(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の部品撮像システムには、未だ改善の余地がある。例えば、特許文献1に記載の部品撮像システムにおいては、部品保持ヘッドの移動速度によって光量が決まり、特許文献2に記載の部品撮像システムにおいては、CCDカメラのシャッタスピードによって照明装置の閃光発生時間が決まるのであるが、移動速度やシャッタスピードによって決まる光量が必ずしも画像処理に適した明るさの像が得られる量であるとは限らず、その点において改良の余地があるのである。
本発明は、そういった実情に鑑みて為されたものであり、より実用的な撮像システムおよびより実用的な部品撮像システムを備えた電子回路部品装着機を得ることを課題として為されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の撮像システムは、
閃光発生時間を互いに長さが異なる複数の時間に変更可能な照明装置と、
その照明装置により閃光が発生させられている間、撮像対象部を撮像する撮像装置と、
その撮像装置に対して撮像対象部を、それら撮像装置と撮像対象部との対向方向と直交する方向に移動させるとともに、その移動速度を互いに大きさが異なる複数の速度に変更可能な対象部移動装置と、
その対象部移動装置による撮像対象部の移動中に、前記照明装置に設定閃光発生時間だけ閃光を発生させて前記撮像装置に撮像対象部の撮像を行わせるとともに、前記設定閃光発生時間中における撮像対象部の移動量が設定移動量またはその設定移動量以下となるように、前記対象部移動装置の移動速度を制御する制御装置と
を含み、
前記設定移動量が、撮像対象部の種類に応じて定まるものであり、
前記制御装置が、
撮像対象部に応じて、前記照明装置の設定閃光発生時間を、撮像対象部とそれの周辺部との反射率の高い方である輝度規定部の反射率に基づく時間となるように設定する閃光発生時間設定部と、
前記対象部移動装置の設定移動速度を、前記閃光発生時間設定部によって設定された設定閃光発生時間と前記設定移動量とに基づく速度となるように設定する移動速度設定部と
を有し、
前記閃光発生時間設定部によって設定された設定閃光発生時間と、前記移動速度設定部によって設定された設定移動速度とに基づいて、前記照明装置による閃光の発生と前記対象部移動装置の移動速度とを制御するように構成されたことを特徴とする。
【0007】
撮像対象部は、1つの部材全体でもよく、その部材の一部でもよい。
照明装置の閃光発生時間は、複数段階に変更可能とされてもよく、連続的に変更可能とされてもよい。後者の場合には閃光発生時間が無数の段階に変更可能であると考えることとする。
移動装置の移動速度も、複数段階に変更可能とされてもよく、連続的に変更可能とされてもよい。後者の場合には移動速度が無数に変更可能であると考えることとする。
制御装置は、移動速度が連続的に変更可能である場合には、移動速度が設定移動速度になるように対象部移動装置を制御し、移動速度が段階的にのみ変更可能である場合には、複数段階の移動速度のうち、設定移動速度以下の範囲内において最大の移動速度に制御するものとされる。
移動装置が、移動速度が連続的に変更可能な装置である場合には、設定移動速度がいかなる大きさであっても、撮像対象部を設定移動速度で移動させることができ、撮像対象部の移動量が設定移動量となる。それに対し、移動装置が、移動速度を段階的に変更可能な装置である場合、複数段階の移動速度のうち、設定移動速度と等しい移動速度があれば、撮像対象部は設定移動速度で移動させられ、その移動量は設定移動量となるが、設定移動速度と等しい移動速度がなければ、複数段階の移動速度のうち、設定移動速度より小さく、かつ、設定移動速度との差が最小の移動速度で撮像対象部が移動させられ、その移動量は設定移動量より小さくなる。
撮像装置の撮像器としては、例えば、CCDカメラあるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが採用可能である。
【0008】
上記の課題はまた、電子回路部品装着機を、(a)回路基板を保持する基板保持装置と、(b)電子回路部品を供給する部品供給装置と、(c)その部品供給装置から部品保持具により電子回路部品を受け取り、基板保持装置に保持された回路基板に装着する装着装置と、(d)部品保持具に保持された電子回路部品の少なくとも一部を撮像する部品撮像システムと、(e)その部品撮像システムにより撮像された上記少なくとも一部の像を表す画像データに基づいて前記部品保持具による電子回路部品の保持位置誤差を取得する画像処理装置と、(f)その画像処理装置により取得された保持位置誤差を補正しつつ電子回路部品を回路基板に装着するように、装着装置を制御する装着装置制御部とを含み、かつ、上記部品撮像システムを本発明に係る撮像システムにより構成することによって解決される。
【発明の効果】
【0009】
撮像対象部の撮像装置に対する相対移動中に撮像が行われるようにすれば、撮像対象部が移動開始点から移動終了点まで移動させられる間に、撮像のために停止させる必要がなくなり、作業能率を向上させることができる。
ただし、撮像対象部の良好な画像を取得するためには、撮像対象部あるいはその背景となる部分から撮像装置に所定量の反射光を入光させることが必要であり、撮像対象部あるいはその背景となる部分の反射率が低い場合ほど長い時間の照明が必要である。
そして、照明装置が閃光を発生させられている間、撮像装置により撮像対象部の撮像が行われるため、閃光発生時間を長くするほど撮像装置への入光量を多くし得るが、反面、撮像により取得される画像のブレ量が大きくなる。また、閃光発生時間が同じであれば、移動装置による撮像対象部の移動速度が大きいほど画像のブレ量が大きくなる。
撮像の目的を達成するためには、画像のブレ量を許容ブレ量以下に抑えることが必要である。設定閃光発生時間中における撮像対象部の設定移動量は、その撮像対象部に許容される許容ブレ量を表す。
本項に係る撮像システムにおいては、撮像対象部あるいは背景が照明光の反射率の低いものである場合には、照明装置の閃光発生時間が長くされて撮像装置への所要入光量が確保されるとともに、対象部移動装置による撮像対象部の移動速度が小さくされ、画像のブレ量が許容ブレ量以下に抑えられる。逆に、撮像対象部あるいはその背景が照明光の反射率の高いものである場合には、短い閃光発生時間が設定されるとともに対象部移動装置による撮像対象部の移動速度が大きくされ、画像のブレ量が許容ブレ量以下に抑えられつつ作業能率が向上させられる。
このように本項に係る撮像システムによれば、撮像対象部あるいは背景の照明光の反射率を考慮して照明を行うことができるため、いずれの撮像対象部についても処理に適した明るさの画像を得ることができる。例えば、撮像対象部の表面が鏡面に近く、反射率が高い場合には閃光発生時間を短くして画像が明るくなり過ぎないようにし、撮像対象部が色がグレーである場合のように反射率が低い場合には、閃光発生時間を長くして明るい画像が得られるようにすることができる。
【0010】
本発明に係る電子回路部品装着機においては、電子回路部品の少なくとも一部が撮像対象部であり、撮像対象部が設定閃光発生時間、照明され、その間、撮像されるとともに、撮像対象部が設定移動量または設定移動量以下の量、移動させられる。そのため、保持位置誤差取得のための画像処理に適した明るさを有する画像が得られるとともに、画像のブレ量が設定移動量あるいは設定移動量以下とされ、保持位置誤差取得精度が向上し、装着能率の低下が回避されつつ、装着精度が向上する。
【0011】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施形態の記載,従来技術等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0012】
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(2)項が請求項2に、(3)項が請求項3に、(5)項が請求項4に、(7)項が請求項5に、(11)項が請求項6に、(13)項が請求項7にそれぞれ相当する。
【0013】
(1)閃光発生時間を互いに長さが異なる複数の時間に変更可能な照明装置と、
その照明装置により閃光が発生させられている間、撮像対象部を撮像する撮像装置と、
その撮像装置に対して撮像対象部を、それら撮像装置と撮像対象部との対向方向と直交する方向に移動させるとともに、その移動速度を互いに大きさが異なる複数の速度に変更可能な対象部移動装置と、
その対象部移動装置による撮像対象部の移動中に、前記照明装置に設定閃光発生時間だけ閃光を発生させて前記撮像装置に撮像対象部の撮像を行わせるとともに、前記設定閃光発生時間中における撮像対象部の移動量が設定移動量またはその設定移動量以下となるように、前記対象部移動装置の移動速度を制御する制御装置と
を含むことを特徴とする撮像システム。
(2)前記制御装置が、
前記照明装置の設定閃光発生時間および前記対象部移動装置の設定移動速度を、撮像対象部の種類と対応付けて複数セット記憶している設定閃光発生時間・設定移動速度記憶部(第1記憶部)と、
次に撮像すべき撮像対象部の種類を取得する撮像対象部取得部と、
その撮像対象部取得部により取得された撮像対象部の種類に対応する前記設定閃光発生時間および前記設定移動速度を読み出す設定閃光発生時間・移動速度読出部と
を含む(1)項に記載の撮像システム。
上記「撮像対象部の種類」は、撮像対象部が例えば電子回路部品全体の場合には、識別コードのように電子回路部品を個々に識別することはできないが、型番のように電子回路部品の外観を規定することはできるものを意味し、撮像対象部が例えば電子回路部品のリード,ボールグリッド,本体部のように電子回路部品の部分である場合には、その部分の種類(材質の違いも種類の違いとする)を認識できるものを意味する。
ただし、多くの場合、撮像対象部のエッジ(それを境に光学的特性が急変する部分)を取得することが必要であり、エッジが良好に取得できるか否かは、撮像対象部の光学的性質のみで決まるものではなく、撮像対象物とそれに隣接する部分との両方の光学的性質によって決まる。したがって、例えば、撮像対象部とそれに隣接する部分との照明光の反射率の違い方(両部分の反射率の比と、両部分のいずれか一方の反射率との組合わせ)が異なれば、撮像対象部の種類が異なると考える方がよい場合もある。例えば、撮像対象部が電子回路部品の部分である場合には、その部分の反射率とその部分に隣接する部分の反射率との組合わせが異なれば、撮像対象部の種類が異なると考え、取得すべきエッジが電子回路部品の外形線である場合には、その電子回路部品の反射率と背景形成部材の反射率との組合わせが異なれば、撮像対象部の種類が異なると考えるのである。
制御装置が、設定閃光発生時間・移動速度読出部により読み出された設定閃光発生時間および設定移動速度で、照明装置と対象部移動装置とを制御することとなる。
それにより、撮像対象部は、読み出された移動速度で移動させられつつ、読み出された設定閃光発生時間、照明されるとともに撮像され、その反射率の高さによらず、画像処理に適した明るさを有するとともに、ブレ量が設定量あるいは設定量以下の画像が得られる。設定閃光発生時間および設定移動速度が記憶部に記憶させられているため、それらが撮像時に決められる場合に比較して制御装置の負担が少なくて済む。
(3)前記制御装置が、
前記照明装置の前記設定閃光発生時間を設定する閃光発生時間設定部と、
その閃光発生時間設定部により設定された閃光発生時間に基づいて前記対象部移動装置の前記設定移動速度を設定する移動速度設定部と
を含む(1)項に記載の撮像システム。
制御装置が、閃光発生時間設定部により設定された設定閃光発生時間で照明装置を制御し、移動速度設定部により設定された設定移動速度で対象部移動装置を制御することとなる。
本項の閃光発生時間設定部および移動速度設定部は、撮像対象部の撮像が、その撮像の目的を達成するために行われるのに先立って設定閃光発生時間および設定移動速度が予め設定される場合、その事前設定を行う設定部とすることもでき、あるいは目的達成のための撮像が行われる際に設定閃光発生時間および設定移動速度の設定を行う設定部とすることもできる。閃光発生時間設定部および移動速度設定部は、前者の場合、設定閃光発生時間決定部および設定移動速度決定部を構成することとなり、後者の場合、設定閃光発生時間読出部および設定移動速度読出部とすることもでき、あるいは設定閃光発生時間読出部および設定移動速度決定部とすることもできる。
設定閃光発生時間および設定移動速度を事前に決定する場合、(5)項あるいは(6)項に記載の撮像システムにおけるように、撮像対象部の試行撮像に基づいて決定されてもよく、試行撮像を行うことなく、決定されてもよい。例えば、撮像対象部の形状,寸法,色,用途等に基づいて自動的にあるいはオペレータにより設定閃光発生時間が決められるようにするのである。
(4)前記閃光発生時間設定部が、
撮像対象部の種類と設定閃光発生時間とを対応付けて複数セット記憶している設定閃光発生時間記憶部(第1記憶部)と、
次に撮像すべき撮像対象部の種類を取得する撮像対象部取得部と、
その撮像対象部取得部により取得された撮像対象部の種類に対応する設定閃光発生時間を前記設定閃光発生時間記憶部から読み出す設定閃光発生時間読出部と
を含む(3)項に記載の撮像システム。
上記「撮像対象部の種類」は前記 (2)項における「撮像対象部の種類」と同様である。
設定閃光発生時間記憶部に記憶される設定閃光発生時間は、(5)項あるいは(6)項に記載の試行撮像に基づいて得られた時間でもよく、試行撮像によることなく得られた時間でもよい。
設定移動速度が必要な際に、設定閃光発生時間読出部により読み出された設定閃光発生時間に基づいて、設定移動速度設定部により設定移動速度を決定することができ、設定移動速度を、設定閃光発生時間と共に予め撮像対象部の種類と対応付けて記憶部に記憶させておく場合に比較して、記憶部を容量の小さいものとすることができる。
(5)さらに、
前記対象部移動装置に撮像対象部を標準移動速度で移動させつつ、前記照明装置に標準閃光発生時間の間閃光を発生させ、前記撮像装置に撮像を行わせる試行撮像部と、
その試行撮像部により取得された撮像対象部の像を含む画像を表示する表示部と、
その表示部に表示された画像の一部を指定するためにオペレータにより操作される指定入力部と、
その指定入力部により指定された部分の輝度を取得し、その取得した輝度に基づいて設定閃光発生時間を決定する設定閃光発生時間決定部と
を含む(1)項ないし(4)項のいずれかに記載の撮像システム。
上記「オペレータにより指定される画像の一部」は、撮像対象部であることもあり、撮像対象部以外の部分であることもある。例えば、撮像対象部が電子回路部品のリードのように反射率の高い部分である場合には、その部分がオペレータにより指定される。それに対し、撮像対象部が、例えば反射率の高い背景内に存在する暗部である場合には、背景がオペレータにより指定される。「オペレータにより指定される画像の一部」は、その部分の輝度が適正な輝度になるように閃光発生時間が決定されるべき部分であり、その意味において、輝度規定部と称することができる。
輝度は、輝度規定部における照明光の反射率に対応している。したがって、輝度を取得して設定閃光発生時間を決定すれば、輝度規定部の反射率に対応した時間に決定することができ、画像処理が良好に行われる明るさの画像が得られる。
本項に記載の撮像システムによれば、撮像対象部が、撮像が本来の目的で行われる前に撮像され、実際に輝度規定部の輝度が取得されて設定閃光発生時間が自動的に決定されるため、正確にかつ容易に決められる。
撮像システムが電子回路部品装着機に設けられ、部品撮像システムとされる場合、試行撮像は、回路基板に装着される全部の種類の電子回路部品について行われてもよく、一部の種類の電子回路部品について行われてもよい。後者の場合、試行撮像が行われない電子回路部品について設定閃光発生時間は、例えば、撮像対象部の構成,色等が類似していて、試行撮像が行われた電子回路部品と同じにされたり、試行撮像が行われた電子回路部品の設定閃光発生時間から推定して決められたりする。
(6)前記対象部移動装置に撮像対象部を標準移動速度で移動させつつ、前記照明装置に標準閃光発生時間の間閃光を発生させ、前記撮像装置に撮像を行わせる試行撮像部と、
その試行撮像部により取得された撮像対象部の像を表示する表示部と、
その表示部の表示に基づいてオペレータにより決定された前記設定閃光発生時間を入力するためにオペレータにより操作される設定閃光発生時間入力部と
を含む(1)項ないし(4)項のいずれかに記載の撮像システム。
本項の撮像システムによれば、オペレータが自分で設定閃光発生時間を決めることができる。オペレータは、実施形態において説明するように、予め設定された複数種類の設定閃光発生時間の表示に基づいて、それらのうちの1つを選択することにより設定閃光発生時間を決定してもよく、あるいは設定閃光発生時間が表示されず、表示された撮像対象部の像を見て、自身で適宜の長さに設定閃光発生時間を決めて入力してもよい。いずれの場合においても、閃光発生時間の設定は標準閃光発生時間のα倍(αは1より大きくてもよく、小さくてもよい。)という形態で決定されるようにすることもできる。
(7)さらに、
前記試行撮像部により撮像された撮像対象部を、前記設定閃光発生時間およびその設定閃光発生時間に基づいて決まる設定移動速度により、前記撮像装置に撮像させる確認撮像部と、
その確認撮像部により取得された画像が適切な画像であることを確認する画像確認部と
を含む (5)項または(6)項に記載の撮像システム。
通常は画像確認部により画像が適切なものであることが確認されることとなるが、もし確認されない場合には、設定が妥当に行われなかったことになるため、その旨の表示を表示装置に行わせ、それと共に、あるいはそれに代えて、ブザーの作動とランプの点灯との少なくとも一方により、オペレータに報知する報知部が設けられることが望ましい。
(8)前記画像確認部が、前記確認撮像部により取得された画像の画像処理により、撮像対象部のエッジが正常に取得可能であることを確認するエッジ取得可確認部を含む(7)項に記載の撮像システム。
(9)前記画像確認部が、前記確認撮像部により取得された画像の画像処理により、前記撮像対象部のエッジ取得の信頼性に関連する値である信頼性関連値を取得し、その信頼性関連値が設定信頼性関連値以上であることを確認する信頼性確認部を含む(7)項または(8)項に記載の撮像システム。
信頼性の確認については実施形態の項において説明する。
(10)前記画像確認部が、前記設定閃光発生時間決定のために輝度が取得されるべき部分である輝度規定部の輝度を取得し、その輝度が設定範囲内の値であることを確認する輝度確認部を含む(7)項ないし(9)項のいずれかに記載の撮像システム。
輝度確認部により、画像の予め設定された部分、すなわち輝度規定部の輝度が設定範囲内にあることが確認されれば、設定閃光発生時間の設定が妥当に行われたこととなる。
(11)さらに、
撮像対象部の種類と、各種類の撮像対象部の前記設定移動量とを対応付けて記憶している設定移動量記憶部(第2記憶部)と、
次に撮像すべき撮像対象部の種類を取得する撮像対象部取得部と、
その撮像対象部取得部により取得された撮像対象部の種類に対応する設定移動量を前記設定移動量記憶部から読み出す設定移動量読出部と
を含む(1)項ないし(10)項のいずれかに記載の撮像システム。
前記(2)項における「撮像対象部の種類」は、撮像対象部とそれに隣接する部分との両方の光学的性質に着目して分類される種類であることが望ましいのに対し、本項における「撮像対象部の種類」は、画像処理における要求精度の高さに着目して分類される種類であることが望ましい。同じく「撮像対象部の種類」といっても、いかなる点に着目して分類される種類であるかによって意味が異なるのである。ただし、撮像対象部が例えば電子回路部品全体の場合には、型番を種類を表す一手段として使用し得る。型番が判れば、撮像対象部とそれに隣接する部分との両方の光学的性質も判るし、その電子回路部品が画像処理における要求精度の高いものか否かも判るからである。
設定移動量が小さいほど、画像のブレ量が少なくて済み、画像処理を精度良く行うことができ、設定移動量が大きいほど、撮像時に撮像対象部を大きく移動させて移動能率を向上させることができる。したがって、撮像対象部の種類に応じて設定移動量を設定すれば、画像処理精度の向上と移動能率の向上とを選択することができる。
(12)前記照明装置がLEDストロボにより構成された(1)項ないし(11)項のいずれかに記載の撮像システム。
LEDストロボは、閃光発生時間を任意の長さに制御することができ、請求可能発明に係る撮像システムの照明装置に適している。
LEDは、キセノン管に比較して光量が少ないが、設定閃光発生時間が輝度規定部(撮像対象部またはそれの背景)の反射率に応じて設定されるため、画像を形成する像形成光の光量の不足を生じることなく、移動中の撮像対象部の撮像を行うことができる。また、LEDストロボを使用すれば、撮像対象部が電子回路部品あるいは電子回路部品の一部である場合、電子回路部品が帯電することがなく、電子回路部品の帯電による損壊の発生が回避される。さらに、輝度規定部(撮像対象部またはそれの背景)の反射率が低くても、設定閃光発生時間を長くすることにより、画像形成光量の不足を回避しつつ、撮像対象部の移動を停止させることなく、撮像することができ、作業能率の低下を抑制することができる。さらにまた、LEDストロボは閃光による照明に限らず、連続点灯も可能であり、撮像をより多様な態様で行うことができる。
(13)回路基板を保持する基板保持装置と、
電子回路部品を供給する部品供給装置と、
その部品供給装置から部品保持具により電子回路部品を受け取り、前記基板保持装置に保持された回路基板に装着する装着装置と、
前記部品保持具に保持された電子回路部品の少なくとも一部を撮像する部品撮像システムと、
その部品撮像システムにより撮像された前記少なくとも一部の像を表す画像データに基づいて前記部品保持具による電子回路部品の保持位置誤差を取得する画像処理装置と、
その画像処理装置により取得された保持位置誤差を補正しつつ電子回路部品を回路基板に装着するように、前記装着装置を制御する装着装置制御部と
を含み、かつ、前記部品撮像システムが(1)項ないし(12)項のいずれかに記載の撮像システムにより構成されたことを特徴とする電子回路部品装着機。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、請求可能発明のいくつかの実施形態を、図を参照しつつ説明する。なお、請求可能発明は、下記実施形態の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0016】
図1に請求可能発明の一実施形態である電子回路部品装着機が図示されている。本電子回路部品装着機は、基板搬送装置10,それぞれ部品供給装置の一種であるフィーダ型部品供給装置12およびトレイ型部品供給装置14,基板保持装置16,装着装置18,基準マーク撮像ユニット20,部品撮像ユニット22,作業ヘッド収納装置24および制御装置26(
図10参照)を含む。
【0017】
基板搬送装置10は、装着機本体としてのベッド30上に設けられ、例えば、ベルトコンベヤにより構成され、回路基板32を水平な一方向に搬送して基板保持装置16に搬入し、基板保持装置16から搬出する。基板搬送方向をX軸方向とし、基板保持装置16に保持されている回路基板32の表面である部品装着面に平行な一平面である水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向とする。基板保持装置16は位置を固定して設けられ、図示は省略するが、例えば、回路基板32を下方から支持する基板支持装置と、回路基板32の基板搬送方向に平行な両縁部をそれぞれクランプするクランプ装置とを含み、基板搬送装置10により搬入された回路基板32を水平な姿勢で保持する。
【0018】
フィーダ型部品供給装置12およびトレイ型部品供給装置14は、本電子回路部品装着機では、
図1に示すように、ベッド30上の、基板搬送装置10に対してY軸方向に隔たった両側にそれぞれ設けられている。フィーダ型部品供給装置12は、部品供給具の一種であるフィーダ34を複数備えている。複数のフィーダ34はそれぞれ、フィーダ支持台35上に各部品供給部がX軸方向に並ぶ状態で設けられ、それぞれ多数の電子回路部品が送り装置により送られ、1個ずつ順次、部品供給部に位置決めされて供給される。前記トレイ型部品供給装置14は、多数の収容凹部を有するトレイ36に電子回路部品を収容して供給する装置であり、トレイ支持台38上にトレイ36が複数、設けられている。
【0019】
本装着装置18は、
図1ないし
図4に示すように、それぞれ作業ヘッドの一種である部品保持ヘッドたるシングルノズルヘッド40,マルチノズルヘッド42,チャックヘッド44と、ヘッド保持装置46,ヘッド移動装置48,接近離間装置たるヘッド昇降装置50およびヘッド回転装置52とを含む。これらシングルノズルヘッド40,マルチノズルヘッド42,ヘッド保持装置46,ヘッド移動装置48,ヘッド昇降装置50およびヘッド回転装置52は、特開2006−261325号公報に記載のシングルノズルヘッド等と同様に構成されている。
【0020】
ヘッド移動装置48は、
図1に示すように、X軸方向移動装置54およびY軸方向移動装置56を含む。X軸方向移動装置54は、可動部材としてのX軸スライド60とX軸スライド移動装置62とを含む。X軸スライド移動装置62は、駆動源たるX軸移動用モータ64と、ボールねじ66よびナット(図示省略)を含む送りねじ機構68とを含む。Y軸方向移動装置56はX軸スライド60に設けられ、可動部材としてのY軸スライド70とY軸スライド移動装置72とを含む。Y軸スライド移動装置72は、X軸スライド移動装置62と同様に、駆動源たるY軸移動用モータ74と送りねじ機構76(
図2参照)とを含む。X軸移動用モータ64およびY軸移動用モータ74は、例えば、電動モータの一種であるエンコーダ付サーボモータにより構成される。サーボモータは、回転角度の正確な制御が可能な電動回転モータであり、X軸スライド60およびY軸スライド70はそれぞれ、X軸方向およびY軸方向において任意の位置へ移動させられる。サーボモータはまた、回転速度を任意の大きさに制御可能であり、X軸方向移動装置54およびY軸方向移動装置56はそれぞれ、X軸スライド60およびY軸スライド70の移動速度を任意の大きさに変更可能である。サーボモータに代えてステップモータを用いてもよく、リニアモータを用いてもよい。
【0021】
図2に示すように、Y軸スライド70にヘッド保持装置46,ヘッド昇降装置50およびヘッド回転装置52が設けられ、Y軸スライド70の移動により、これらヘッド保持装置46等が水平面上の任意の位置へ移動させられる。ヘッド移動装置48は、ヘッド保持装置46と基板保持装置16とを回路基板32に平行な方向に相対移動させる相対移動装置を構成し、ヘッド昇降装置50はヘッド保持装置46と基板保持装置16とを回路基板32に直角な方向に相対移動させ、接近,離間させる相対移動装置たる接近離間装置を構成し、ヘッド移動装置48およびヘッド昇降装置50がヘッド保持装置46と基板保持装置16とを相対移動させる相対移動装置を構成している。
【0022】
ヘッド保持装置46は、
図2に示すように、装置本体たる軸状部材80および軸状部材80の下端部に一体的に設けられたヘッド保持部82を含み、前記Y軸スライド70に昇降可能かつ自身の鉛直な軸線まわりに回転可能に保持されている。ヘッド回転装置52は、軸状部材80に対して相対回転不能かつ軸方向に相対移動可能な回転体84および回転用モータ86を駆動源とする回転体駆動装置88を含み、回転体84が回転させられることにより、ヘッド保持装置46が正逆両方向に任意の角度回転させられる。
【0023】
前記ヘッド昇降装置50は、
図2に示すように、Y軸スライド70に昇降可能に設けられた昇降部材94および昇降部材駆動装置96を備え、昇降部材94に前記軸状部材80の上端部が回転可能かつ軸方向に相対移動不能に支持されている。昇降部材駆動装置96は、駆動源たる昇降用モータ98(
図10参照)と、ボールねじ100およびナット102を含む送りねじ機構104とを備え、昇降部材94が昇降部材駆動装置96によって昇降させられることにより、ヘッド保持装置46が昇降させられる。
【0024】
前記シングルノズルヘッド40は、
図2に示すように、ヘッド保持装置46により吸着され、保持される被保持部108と、ノズル保持部110とを含むヘッド本体112を備え、負圧により電子回路部品を吸着する部品保持具たる吸着ノズル114を1つ保持する。吸着ノズル114は、ノズル本体116,吸着管118および下向きの背景形成面120を含む。本背景形成面120はノズル本体116に設けられた背景形成部材121の下面により構成され、電子回路部品の撮像時にその背景を形成し、黒色とされている。
【0025】
ヘッド保持装置46の軸状部材80内に設けられた円環状の通路122には、負圧源124から負圧が供給され、シングルノズルヘッド40はヘッド保持装置46によって被保持部108を負圧により吸着されて保持され、ヘッド保持装置46と共に昇降,回転させられる。通路122への負圧の供給は、開閉装置126により許容,遮断される。軸状部材80内にはまた、その軸線上に別の通路128が設けられ、切換装置130の切換えにより正圧源132と負圧源124とに選択的に接続され、吸着ノズル110に正圧あるいは負圧が供給される。
【0026】
シングルノズルヘッド40によって回路基板32に装着される電子回路部品には、例えば、
図5に示すQFP(Quad Flat Package)140や
図6に示すベアチップ142がある。QFP140は、本体144と、本体144の4つの側面からそれぞれ延び出させられた各々端子としての複数のリード146とを含む。ベアチップ142はパッケージに入れられていない電子回路部品であり、本体150と、本体150の一方の面に複数の電極パッド152が設けられるとともに、それら電極パッド152の各々の上にバンプ154が形成されている。ベアチップ142の本体150は表面が鏡面に近い状態とされており、側方から光が照射されれば、表面は黒色に写し出され、バンプが円形に写し出される。
【0027】
マルチノズルヘッド42は、
図3に示すように、ヘッド本体160,複数、本実施形態では3つ以上、例えば、8つのノズル保持部162,部品保持具たる吸着ノズル164,8つのノズル保持部162の各々について設けられたバルブ装置166およびノズル昇降装置168を備えている。ヘッド本体160は、被保持部170およびノズル保持体172を備え、ヘッド保持装置46によって負圧により吸着されて保持され、ヘッド保持装置46と共に昇降,回転させられる。また、ノズル保持体172にノズル保持部162等が設けられ、吸着ノズル164が保持される。吸着ノズル164は、ノズル本体174,吸着管176および下向きの背景形成面178を含む。背景形成面178は、ノズル本体174の下部に設けられ、ノズル本体174から半径方向外向きに突出させられた背景形成板182の下面184と、ノズル本体174の背景形成板182から吸着管176に至る部分であって、吸着管176側ほど直径が直線的に減少させられたテーパ部186の外周面188とにより構成され、黒色とされている。背景形成板182およびテーパ部186が背景形成部材189を構成している。
【0028】
部品供給装置からの電子回路部品の受取り時には、マルチノズルヘッド42の回転により、複数の吸着ノズル164が順次、部品受取位置へ回転させられ、マルチノズルヘッド42の昇降に伴って、部品受取位置に位置させられた吸着ノズル164についてノズル昇降装置168が作動させられ、その吸着ノズル164をヘッド本体160に対して昇降させるとともに、バルブ装置166がバルブ切換装置180によって切り換えられる。それにより、電子回路部品の受取り時には吸着ノズル164に負圧が供給され、電子回路部品を吸着する。
【0029】
マルチノズルヘッド42による電子回路部品の回路基板32への装着時には、装着を行う吸着ノズル164がヘッド本体160に対して昇降させられるとともに、回路基板32に対して昇降させられ、バルブ装置166の切換えにより吸着ノズル164への負圧の供給が遮断されるとともに、正圧が供給される。また、マルチノズルヘッド42の回転により、吸着ノズル164に保持された電子回路部品の回転位置(自身の軸線まわりの位置)が変えられる。
【0030】
マルチノズルヘッド42によって回路基板32に装着される電子回路部品には、例えば、
図7に示すチップ状部品190がある。チップ状部品190は、本体192と、その両端部に設けられた2つの端子194とを備えている。マルチノズルヘッド42により、チップ状部品190以外の電子回路部品も回路基板32に装着される。前記ベアチップ142と同様のベアチップであって、寸法の小さいものが回路基板32に装着されることもある。
【0031】
前記チャックヘッド44は、
図4に示すように、被保持部200およびチャック保持部202を含むヘッド本体204を備え、ヘッド保持装置46によって負圧により吸着されて保持されるとともに、部品保持具たるチャック210を保持する。チャック210の本体であるチャック本体212は、チャック保持部202に、ヘッド本体204の軸線に平行な方向に相対移動可能に嵌合され、付勢装置の一種である弾性部材としての圧縮コイルスプリング214により、チャック保持部202から離脱する方向に付勢されている。このスプリング214によるチャック本体212の移動限度は、チャック保持部202とチャック本体212との間に設けられた相対移動限度規定装置(図示省略)により規定される。
【0032】
チャック本体212には、把持部材としての1対の爪部材220が、チャック本体212の軸線に対して互いに対称に移動可能に設けられ、チャック本体212に設けられた駆動装置たるエアシリンダ(図示省略)によって開閉させられる。エアシリンダは単動シリンダであり、1対の爪部材220は、ヘッド保持装置46からエアシリンダのエア室への圧縮エアの供給により、互いに接近する向きに移動させられて電子回路部品を把持し、エアシリンダのスプリングの付勢により、互いに離間する向きに移動させられて電子回路部品を解放する。
図4において符号222は当接部材ないし位置決め部材であり、チャックヘッド44が下降させられる際に電子回路部品に当接し、チャックヘッド44の電子回路部品に対する接近限度を規定し、上下方向において、1対の爪部材220がちょうど電子回路部品を把持する位置に位置決めする。チャックヘッド44においては、チャック本体212,1対の爪部材220および概して円板状を成す被保持部200が背景形成部材236を構成し、それらのそれぞれ下向きの面が背景形成面238を構成し、黒色とされている。
【0033】
チャックヘッド44によって回路基板32に装着される電子回路部品には、例えば、
図8に示すコネクタ230がある。このコネクタ230は、本体232と、本体232に、本体232を厚さ方向に貫通して設けられた複数のピン234とを含む。本体232の色は、グレーとされている。
【0034】
前記作業ヘッド収納装置24には、複数種類のシングルノズルヘッド40,複数種類のマルチノズルヘッド42およびチャックヘッド44等が収納されている。シングルノズルヘッド40は、保持する吸着ノズル114の種類を異にすることにより、種類を異にする。吸着ノズル114は、装着する電子回路部品の種類(例えば、型番により分類される種類)に応じて吸着管の形状,寸法が異ならされ、それにより種類を異にする。また、マルチノズルヘッド42は、保持する吸着ノズル164の種類と数との少なくとも一方を異にすることにより、種類を異にする。ヘッド保持装置46は作業ヘッド収納装置24へ移動させられ、電子回路部品の回路基板32への装着に使用する部品保持ヘッドを1つ、保持させられる。シングルノズルヘッド40,マルチノズルヘッド42およびチャックヘッド44についての共通の説明であって、ヘッド保持装置46がいずれを保持するかを特定することなく、行われる説明においては、「部品保持ヘッド」を使用する。
【0035】
さらに、前記基準マーク撮像ユニット20は、
図1に示すように、Y軸スライド70に搭載され、ヘッド保持装置46と共に水平面内の任意の位置へ移動させられる。ヘッド移動装置48は、基準マーク撮像装置移動装置でもあり、基準マーク撮像ユニット20と共に基準マーク撮像システムを構成している。基準マーク撮像ユニット20は、本実施形態においては、撮像装置の少なくとも一部を構成するCCDカメラ240および照明装置242(
図10参照)を備え、回路基板に設けられた基準マーク244(
図1参照)等の撮像対象部を上方から撮像する。
【0036】
また、前記部品撮像ユニット22は、
図1に概略的に示すように、X軸スライド60の、部品供給装置12,14の各々と基板保持装置16との間の部分にそれぞれ設けられ、X軸方向においては部品保持ヘッドと共に移動させられ、撮像対象部と共に移動させられる。X軸方向移動装置54は、撮像ユニット移動装置たる部品撮像ユニット移動装置でもある。これら部品撮像ユニット22はそれぞれ、
図9に示すように、CCDカメラ250および導光装置252を含む撮像装置と照明装置254とを備えている。本撮像装置は、面撮像装置である。CCDカメラ250は、マルチノズルヘッド42の全部のノズル保持部162により吸着ノズル164が保持されるとともに、それら吸着ノズル164によりそれぞれ吸着された電子回路部品の全部を一挙に撮像することができるものとされ、本電子回路部品装着機においては、電子回路部品のシルエット像ではなく、正面像を撮像する。電子回路部品を吸着ノズル114,164,チャック210側とは反対側からであって、下側から見た状態を撮像するのであり、それにより、ベアチップ142のバンプ154のように、撮像対象部が電子回路部品の軸線と直角な方向において電子回路部品の他の部分(ベアチップ142の場合、本体150)と重なっている電子回路部品についても、撮像対象部の像が取得される。
【0037】
本照明装置254は、
図9に概略的に示すように、LEDストロボ260によって構成されており、装置本体262と、装置本体262に設けられた複数のLED264とを含む。装置本体262には、その中央部を貫通して開口266が形成され、LED264は装置本体262の開口266のまわりにリング状に、開口266の中心線に対して傾斜した方向に光を照射する向きに設けられている。本照明装置254は、開口266の中心線が部品保持ヘッドの軸線と平行となり、本電子回路部品装着機では鉛直方向と平行となるように設けられ、LEDストロボ260が斜め上方に光を照射し、光照射対象物ないし照明対象物に側方から光を照射するように設けられている。本LEDストロボ260は、単位時間あたりの発光量は一定であるが、閃光発生時間は任意の長さに連続的に変更することができる。また、導光装置252は反射板268を備え、LEDストロボ260の下方に設けられ、電子回路部品からの反射光である像形成光の方向を変えてCCDカメラ250に入光させる。
【0038】
このようにX軸スライド60に設けられた2組の部品撮像ユニット22の、CCDカメラ250および導光装置252を含む撮像装置は、Y軸スライド60に搭載された部品保持ヘッドと、X軸方向およびY軸方向と直交する方向である鉛直方向において対向し、部品保持ヘッドはY軸方向への移動により、撮像装置に対して、撮像装置との対向方向と直交する方向に移動させられ、Y軸方向移動装置56が対象部移動装置を兼ねている。
【0039】
前記制御装置26は、
図10に示すように、CPU300,ROM302,RAM304およびそれらを接続するバス306を含む装着制御コンピュータ310を主体とするものであり、入・出力部312には、CCDカメラ240,250の撮像により得られた画像データを処理する画像処理コンピュータ314,エンコーダ付サーボモータのエンコーダ316および入力装置318等が接続されている。本電子回路部品装着機を構成する各種装置の駆動源の多くはエンコーダ付サーボモータにより構成され、それらエンコーダが
図10ではエンコーダ316により表されるように、入・出力部312に接続されているのである。入・出力部312にはまた、基準マーク撮像ユニット20および部品撮像ユニット22が接続され、CCDカメラ240,250および照明装置242,254が制御される。
【0040】
入・出力部312にはさらに、駆動回路320を介してヘッド移動装置48のX軸移動用モータ64等、種々のアクチュエータ等およびブザー322が接続され、制御回路324を介してディスプレイ326が接続されている。制御回路324およびディスプレイ326により、表示装置328が構成され、ディスプレイ326には種々のデータ等が表示される。入力装置318は、キーボードやマウス等のポインティングデバイスを備えてデータや指示等を入力するものとされたり、表示装置328を利用し、ディスプレイ326の表示に触れて入力を行うものとされたりする。さらに、ROM302には、図示を省略するメインルーチン,部品装着プログラム,
図11および
図12にそれぞれフローチャートで表す設定閃光発生時間・設定移動速度決定ルーチンおよび部品装着ルーチン等、種々のルーチン,プログラムおよびデータ等が記憶させられている。部品装着プログラムには、回路基板32に設定された複数の部品装着箇所の各X,Y座標データ,各部品装着箇所に装着される電子回路部品の種類,電子回路部品を供給するフィーダ34あるいはトレイ36の位置,電子回路部品を保持する部品保持ヘッドの種類等が互いに対応付けられるとともに、電子回路部品の装着順に並べられたデータが含まれる。部品装着プログラムにおける電子回路部品の種類は、例えば、型番により設定される。
【0041】
以上のように構成された電子回路部品装着機においては、回路基板32に装着される電子回路部品の種類(型番により分類される種類)に応じてシングルノズルヘッド40,マルチノズルヘッド42およびチャックヘッド44のうちの1つがヘッド保持装置46により保持され、電子回路部品を回路基板32に装着する。部品撮像ユニット22はX軸スライド60に設けられているため、X軸方向においては部品保持ヘッドと共に移動させられ、いずれの部品保持ヘッドによって電子回路部品の装着が行われる場合でも、部品保持ヘッドが電子回路部品を部品供給装置12あるいは14から受け取った後、基板保持装置16へ移動させられる途中、Y軸方向移動装置56によって移動させられ、Y軸方向の成分を有する方向へ移動させられる際に部品撮像ユニット22上を通り、部品保持ヘッドは停止させられることなく、部品撮像ユニット22に対してY軸方向へ移動させられたままの状態で電子回路部品がCCDカメラ250により撮像される。
【0042】
電子回路部品の撮像は、例えば、吸着ノズル114,164およびチャック210による電子回路部品の保持の有無の検出,保持された電子回路部品の種類(型番により分類される種類)の正誤の判定および電子回路部品の保持位置誤差の取得のために行われる。保持位置誤差には、吸着ノズル114,164およびチャック210の移動方向に平行な方向の位置誤差であって、X軸方向およびY軸方向の各位置誤差と、電子回路部品の軸線まわりの位置誤差である回転位置誤差とが含まれ、それらが修正されることにより、電子回路部品が回路基板32にずれのない姿勢で、回路基板32上に設定された部品装着箇所に精度良く装着される。また、部品保持ヘッドが電子回路部品を保持しておらず、あるいは保持していても間違った種類の電子回路部品であれば、部品供給装置12,14からの電子回路部品の取出しのやり直し等が行われる。
【0043】
このように電子回路部品の保持の有無の検出等を行うために、電子回路部品についてそれぞれ、画像処理される部分、すなわちエッジが取得され、CCDカメラ250の撮像面内における位置が算出される部分が決められている。QFP140はリード146、ベアチップ142はバンプ154、チップ状部品190は端子194、コネクタ230は本体232であり、それぞれ撮像対象部であって画像処理部である。これら撮像対象部はいずれも電子回路部品の一部であり、CCDカメラ250により部品保持具に保持された電子回路部品全体が撮像されて、撮像対象部が撮像される。
【0044】
この撮像は電子回路部品の移動中に行われるため、撮像対象部の画像にブレが生じる。ブレ量が少ないほど画像処理を精度良く行うことができるのであるが、画像処理精度がそれほど高くなくてよく、ブレ量が比較的大きくても差し支えない場合もある。例えば、QFP140の場合、多数のリード146がそれぞれ、回路基板32の部品装着箇所に設けられたランドとの位置を合わされて装着されるため、保持位置誤差の精度の良い取得のために画像処理が精度良く行われることが必要であり、ブレ量が小さいことが必要であるが、チップ状部品190のように端子194が少ない場合や、端子に比較してランドが大きく、位置がずれて装着されても端子がランドから外れる恐れが少ない電子回路部品の場合には、保持位置誤差がそれほど精度良く修正されなくてよく、画像処理精度は高くなくてよいため、ブレ量は大きくてもよい。
【0045】
また、撮像時には電子回路部品はLEDストロボ260により光が照射され、照明されるのであるが、CCDカメラ250の撮像面に撮像対象部の明瞭な画像が形成され、画像処理を良好に行われるようにするためには、所定量の像形成光をCCDカメラ250に入光させることが必要である。そのため、電子回路部品の一部であって、その部分の輝度が適正な輝度になるように閃光発生時間が決定されるべき部分である輝度規定部が設定される。撮像対象部の反射率が他の部分に比較して高い場合には、撮像対象部が輝度規定部に設定され、撮像対象部の反射率がその周辺部に比較して低い場合には、周辺部が輝度規定部に設定されるのが普通である。いずれにしても、輝度規定部の反射率が低いほど、LEDストロボの閃光発生時間を長くすれば、必要な量の像形成光が得られるが、撮像対象部の移動速度が同じであるとすれば、閃光発生時間が長いほど画像のブレ量が大きくなる。
【0046】
そこで、本電子回路部品装着機においては、電子回路部品の種類毎に、その撮像対象部に許容されるブレ量が設定され、輝度規定部の反射率に応じて設定閃光発生時間が決められるとともに、LEDストロボ260が閃光を発生させられて電子回路部品が撮像される間の移動速度が、実際のブレ量が許容ブレ量となる速度に設定されている。それにより、保持位置誤差が精度良く取得されることが必要な電子回路部品の撮像対象部については画像処理が精度良く行われ、撮像対象部の反射率の大きさにかかわらず、画像処理に適した明るさの画像が得られる。部品撮像ユニット22はX軸スライド60に搭載されており、設定移動速度は、電子回路部品がCCDカメラ250によって撮像される際の部品保持ヘッドのY軸方向の移動速度である。
【0047】
撮像対象部(本実施形態においては輝度規定部でもある)の種類毎に設定された許容ブレ量の例を
図13に示す。
図13においては、撮像対象部の種類が、各種類の撮像対象部を有する電子回路部品の種類で表され、許容ブレ量と対応付けられて、RAM304に設けられた許容ブレ量メモリに記憶させられている。本電子回路部品装着機においては、許容ブレ量が複数種類、例えば、3種類設定され、
図14に示すように、3種類の許容ブレ量毎にそれぞれ、設定閃光発生時間と設定移動速度との組合わせが3種類ずつ設定され、RAM304に設けられた設定閃光発生時間・設定移動速度決定用データメモリに記憶させられている。
なお、
図13に示されている撮像対象部の種類は、大まかな分類による電子回路部品の種類であると考えることもでき、型番等、さらに細かな分類による電子回路部品の種類毎に許容ブレ量を設定することも可能である。
また、
図14に示す許容ブレ量は例示であり、これら以外の大きさとされてもよい。
【0048】
3種類の設定閃光発生時間は、輝度規定部の反射率が大、標準、小の3段階に分けられ、各段階の反射率に応じて設定された時間であり、反射率が大きい方が小さい場合より短く、露出係数が小さくされ、画像が処理に適した明るさとなる量の像形成光が得られるようにされている。また、許容ブレ量は、撮像時における撮像対象部の許容移動量であり、設定移動速度と設定閃光発生時間との積により得られ、設定移動速度は、許容ブレ量および設定閃光発生時間から算出される。そのため、設定閃光発生時間が長くても設定移動速度が遅くされ、ブレ量が許容ブレ量に抑えられる。
なお、反射率を上記大,標準,小の3段階の代わりに、さらに多段階に分けることも可能である。その場合、設定閃光発生時間の最長時間と最短時間との少なくとも一方を、
図14に示す例より長くしてもよく、あるいは短くしてもよく、各段階の設定閃光発生時間を
図14に示す例とは異なる長さとしてもよく、種々の長さに設定可能である。
また、輝度規定部の反射率に基づいて設定閃光発生時間を設定する際に、CCDカメラ250のカメラゲインを考慮することも可能であり、また、カメラゲインが変更可能である場合には、設定閃光発生時間および設定移動速度の他に、設定カメラゲインを制御パラメータに加えることも可能である。
【0049】
本電子回路部品装着機においては、電子回路部品の回路基板32への装着に先立って、電子回路部品の種類毎に、その輝度規定部について、いずれの組合わせの設定閃光発生時間および設定移動速度を撮像に適用するかが決められる。この電子回路部品の種類は、
図13に示す許容ブレ量が設定された電子回路部品の種類と同じである。設定閃光発生時間および設定移動速度の決定は、部品保持ヘッドに実際に電子回路部品を保持させ、部品撮像ユニット22に対して標準速度で移動させるとともに、LEDストロボ260を標準閃光発生時間発光させて、CCDカメラ250に電子回路部品を撮像させ、その撮像結果に基づいて行われる。標準閃光発生時間および標準移動速度は、3種類の許容ブレ量毎の3種類の設定閃光発生時間および設定移動速度の組合わせのうち、中間の設定閃光発生時間および設定移動速度である。QFP140,ベアチップ142,チップ状部品190およびコネクタ230を例に取り、設定閃光発生時間および設定移動速度の決定を
図11に示す設定閃光発生時間・設定移動速度決定ルーチンに基づいて説明する。
【0050】
まず、QFP140について設定閃光発生時間および設定移動速度の決定を説明する。この場合、ヘッド保持装置46によりシングルノズルヘッド40が保持される。そして、ステップ1(以後、S1と略記する。他のステップについても同じ。)が実行され、シングルノズルヘッド40がヘッド移動装置48によりフィーダ型部品供給装置12へ移動させられるとともに昇降させられ、複数のフィーダ34の1つからQFP140を取り出す。取出し後、S2が実行され、シングルノズルヘッド40はY軸方向移動装置56により移動させられ、Y軸方向において基板保持装置16側へ移動させられる。そして、シングルノズルヘッド40は、LEDストロボ260上を通過させられ、QFP140がCCDカメラ250により撮像される。
【0051】
この際、シングルノズルヘッド40は標準移動速度で移動させられ、LEDストロボ260は標準閃光発生時間発光させられ、その間に、QFP140が移動させられつつCCDカメラ250により撮像される。
図13に示すように、QFP140については許容ブレ量が25μmに設定されているため、標準移動速度は0.625m/s、標準閃光発生時間は40μsである。LEDストロボ260の閃光発生およびCCDカメラ250による電子回路部品の撮像は装着制御コンピュータ310により制御され、シングルノズルヘッド40が、QFP140全体の像がCCDカメラ250の撮像面の中央に形成される位置へ到達したときにLEDストロボ260が閃光発生を開始させられるとともに、CCDカメラ250の電子シャッタが作動させられて、CCDへの電荷の蓄積が開始され、閃光発生開始から設定閃光発生時間の経過時に閃光発生が終了させられるとともに、電荷の蓄積が終了させられて撮像が終了する。撮像データは画像処理コンピュータ314により処理されるとともに、装着制御コンピュータ310へ送られ、S3の実行により表示装置328のディスプレイ326にQFP140全体の画像が表示される。
【0052】
オペレータは、ディスプレイ326に表示されたQFP140の画像を見て、その輝度規定部を入力装置318を用いて指定する。S4において輝度規定部の指定が行われたか否かの判定が行われ、オペレータが指定完了を入力するまで、S4の判定が繰返し行われる。指定が完了すれば、S4の判定結果がYESになってS5が実行され、指定された部分の輝度が算出される。
【0053】
そして、S6が実行され、オペレータにより輝度規定部として指定された部分の輝度Bが設定値αより大きく、設定値βより小さいか否かの判定が行われる。輝度規定部の反射率が大きく、反射光量であって像形成光量が多いほど輝度は大きくなるため、輝度の大きさによって輝度規定部の反射率がわかり、設定値α,βはそれぞれ、標準閃光発生時間および標準移動速度による輝度規定部の撮像により得られる輝度に基づいて輝度規定部の反射率を、前記3種類の設定閃光発生時間に対応する大、標準、小の3段階に分類することができる大きさに設定されている。
【0054】
オペレータにより輝度規定部としてリード146が指定されれば、その輝度Bが算出される。リード146は複数あり、例えば、それらのうちの1つが指定され、その指定された1つのリード146の輝度が算出される。QFP140のリード146の反射率は標準的な大きさであるため、輝度Bは設定値αより大きいが設定値βより小さく、S6の判定結果がYESになってS7が実行され、設定閃光発生時間および設定移動速度がそれぞれ標準値に決定される。QFP140については許容ブレ量が25μmに設定されており、許容ブレ量を25μmとする3種類の設定閃光発生時間・設定移動速度の組合わせのうち、標準の組合わせがQFP140のリード146についての設定閃光発生時間および設定移動速度とされる。
【0055】
次いでS8が実行され、決定された設定閃光発生時間および設定移動速度により、再度QFP140の撮像が行われる。オペレータにより輝度規定部としてリード146が指定されれば、設定閃光発生時間および設定移動速度は標準値に決定されるため、再度、同じ撮像が行われることとなる。そして、撮像データが画像処理コンピュータ314により処理される。ここでは電子回路部品について回路基板32に装着する場合と同様の画像処理が行われ、吸着ノズル114による電子回路部品の保持位置誤差を算出するための画像処理が行われる。QFP140の場合、複数のリード146についてそれぞれエッジが取得されるとともに、そのエッジに基づいて位置が取得され、複数のリード146の各位置に基づいてQFP140の位置が取得され、保持位置誤差が算出される。そのため、画像処理が行われ、保持位置誤差が算出されれば、リード146の画像の背景の画像に対するコントラストが十分であり、ここではシングルノズルヘッド40の背景形成面120が黒色であるため、リード146の画像処理に必要な明るさが得られ、そのエッジが取得され、決定された設定閃光発生時間および設定移動速度が適切であったこととなる。画像処理の結果、ここでは、保持位置誤差が取得されたか否かが画像処理コンピュータ314から装着制御コンピュータ310へ送られ、それに基づいてS9が実行され、撮像により得られた画像が適切な画像であるか否かの判定が行われる。
【0056】
例えば、ディスプレイ326に表示されたQFP140の画像をオペレータが見て、輝度規定部を指定する際にミスがあり、輝度規定部であるリード146ではない部分を指定することがあれば、設定閃光発生時間および設定移動速度が間違った値に決定され、輝度規定部であるリード146に画像処理に適した明るさが得られず、リード146の位置が得られず、保持位置誤差が算出されないため、その旨を表すデータが画像処理コンピュータ314から装着制御コンピュータ310へ送られる。S9では、保持位置誤差が算出されたか否かの判定が行われ、算出されない場合、画像が適切でなく、S9の判定結果がNOになってS14が実行され、ブザー322の鳴動により、画像不良の発生がオペレータに報知されるとともに、ディスプレイ326に画像不良の発生が表示される。オペレータは画像処理不良の原因を推定し、設定閃光発生時間および設定移動速度の決定をやり直す等の対応を取る。
【0057】
リード146の画像が不良でなく、画像処理が正常に行われ、保持位置誤差が取得されれば、画像処理コンピュータ314から装着制御コンピュータ310へ送られるデータが保持位置誤差の取得を表すデータとなり、S9の判定結果がYESになってS10が実行され、QFP140が解放される。ベッド30のヘッド移動装置48による部品保持ヘッドの移動領域内には部品収容器(図示省略)が設けられており、シングルノズルヘッド40が部品収容器へ移動させられ、QFP140を解放し、部品収容器に収容させる。また、設定閃光発生時間および設定移動速度が電子回路部品の種類(
図13に示されている電子回路部品の種類と同様の大まかな分類による電子回路部品の種類)と対応付けて、装着制御コンピュータ310のRAM304に設けられた設定閃光発生時間・設定移動速度メモリに記憶させられる。部品収容器に替えて装着失敗部品コンベヤを設け、そのコンベヤにQFP140を載せるようにしてもよい。
【0058】
なお、確認撮像により取得された電子回路部品の像を画像処理コンピュータが処理する際の画像処理プログラムは、保持位置誤差の算出に加えて、輝度規定部、例えば、QFPのリードの画像について、エッジ取得の信頼性に関連する値である信頼性関連値、例えば、エッジの両側における像の明るさの差と、エッジ近傍における明るさの変化勾配と、エッジと交差することが予定された設定本数のポジティブシークラインのうち、エッジとの交点が正常に取得されたものの割合等の少なくとも1つが算出される構成とすることが望ましい。エッジ取得の信頼度に関連する値が算出される場合には、算出された値が装着制御コンピュータへ送られ、それに基づいて、確認画像により得られた画像の適正度の取得が行われるようにすることができる。信頼度に関連する値を設定値と比較することにより画像の適正度を取得することができ、装着制御コンピュータは信頼性確認部を備え、信頼度に関連する値が設定信頼性関連値以上であるか否かの判定を行い、設定信頼性関連値以上であることが確認されれば、確認撮像により取得された画像が適切な画像であることが確認される。
【0059】
ベアチップ142もシングルノズルヘッド40により保持され、QFP140の場合と同様に、標準移動速度で移動させられつつ、LEDストロボ260により設定閃光発生時間照明され、CCDカメラ250により撮像される(S1,S2)。ベアチップ142も許容ブレ量が25μmであり、標準移動速度0.625m/sで移動させられ、標準閃光発生時間40μsの間、LEDストロボ260が閃光を発生させられる。
【0060】
オペレータがディスプレイ326に表示されたベアチップ142の画像を見て、輝度規定部を指定すれば、その輝度Bが算出される(S3〜S5)。ベアチップ142の輝度規定部はバンプ154であり、黒色に写し出された本体150を背景とし、その輝度が本体150に対する明るさとして算出されるが、バンプ154の表面は鏡面状を成し、反射率はQFP140のリード146より大きく、反射光量が多い。そのため、オペレータにより輝度規定部としてバンプ154が指定されれば、その輝度Bは設定値β以上であり、S6の判定結果がNOになってS11が実行され、輝度Bが設定値α以下であるか否かの判定が行われるが、この判定結果もNOになってS12が実行され、設定閃光発生時間および設定移動速度が大反射率用の組合わせに決定される。ベアチップ142について設定された許容ブレ量は25μmであり、設定閃光発生時間は20μs、設定移動速度は1.25m/sに決定される。
【0061】
そして、S8以下のステップが実行され、シングルノズルヘッド40がS12において決定された設定移動速度で移動させられるとともに、LEDストロボ260がS12において決定された設定閃光発生時間、発光させられてベアチップ142がCCDカメラ250により撮像され、それにより得られる画像が良好であるか否かに応じた処理が行われる。
【0062】
コネクタ230についての設定閃光発生時間および移動速度の決定を説明する。
この場合、ヘッド保持装置46はチャックヘッド44を保持し、トレイ型部品供給装置14へ移動させられ、チャック210が作動させられてコネクタ230を保持し、トレイ36から取り出す(S1)。コネクタ230について設定された許容ブレ量は25μmであり、チャックヘッド44は標準移動速度0.625m/sで移動させられ、LEDストロボ260が標準閃光発生時間40μsの間、発光させられ、コネクタ230がCCDカメラ250により撮像され、その画像がディスプレイ326に表示される(S2,S3)。
【0063】
オペレータがコネクタ230の輝度規定部を指定すれば、その輝度が算出され、設定値α,βと比較される(S4〜S6)。コネクタ230の輝度規定部は本体232であり、その色はグレーであり、反射率が低く、像形成光量が少ないため、輝度が設定値α以下であり、S6の判定結果がNO、S11の判定結果がYESになってS13が実行され、設定閃光発生時間および設定移動速度が小反射率用の組合わせに決定される。コネクタ230の許容ブレ量も25μmであり、許容ブレ量25μmについて設定された3種類の設定閃光発生時間・設定移動速度決定用データを用いて設定閃光発生時間および設定移動速度が決定され、それぞれ80μsおよび0.3125m/sとされる。
【0064】
そして、S8以下のステップが実行され、チャックヘッド44がS13において決定された設定移動速度0.3125m/sで移動させられるとともに、LEDストロボ260が決定された設定閃光発生時間80μsの間、発光させられてコネクタ230がCCDカメラ250により撮像され、それにより得られる画像が良好であるか否かに応じた処理が行われる。
【0065】
また、チップ状部品190はマルチノズルヘッド42によって回路基板32に装着されるため、マルチノズルヘッド42の複数の吸着ノズル164のうちの1つによって保持され、CCDカメラ250により撮像されて設定閃光発生時間および設定移動速度が決定される。マルチノズルヘッド42は複数の電子回路部品を保持して搬送することができるが、それら電子回路部品は、種類が同じであるか、種類が異なっていても許容ブレ量が同じであり、撮像対象部の反射率も同じ段階に分類される電子回路部品とされる。マルチノズルヘッド42によって複数種類の電子回路部品が保持され、一緒に回路基板32へ搬送されて装着される場合、例えば、それら複数種類の電子回路部品のうちの1つ、例えば、チップ状部品190について設定閃光発生時間および設定移動速度が決定され、これらは他の種類の電子回路部品についても設定閃光発生時間および設定移動速度とされて、電子回路部品の種類と対応付けて設定閃光発生時間・設定移動速度メモリに記憶させられる。
【0066】
マルチノズルヘッド42は、フィーダ型部品供給装置12へ移動させられ、複数の吸着ノズル164のうちの1つが昇降させられてフィーダ34からチップ状部品190を取り出す(S1)。チップ状部品190は許容ブレ量が40μmであるため、マルチノズルヘッド42が標準移動速度1m/sで移動させられつつ、LEDストロボ260が標準閃光発生時間である40μsの間、発光させられ、その間、チップ状部品190がCCDカメラ250により撮像される(S2)。
【0067】
そして、チップ状部品190の画像がディスプレイ326に表示され、オペレータによって輝度規定部が指定されれば、その輝度が算出されて設定値α,βと比較される(S3〜S6)。チップ状部品190は端子194が輝度規定部とされており、端子194の反射率は標準である。そのため、オペレータにより輝度規定部として端子194が指定されれば、その輝度は標準的な大きさであり、設定値αより大きく、設定値βより小さく、
図14に示す許容ブレ量40μm用の設定閃光発生時間・設定移動速度決定用データから、設定閃光発生時間が40μs、設定移動速度が1m/sに決定される(S7)。
【0068】
そして、マルチノズルヘッド42が決定された設定移動速度1m/sで移動させられるとともに、LEDストロボ260が決定された設定閃光発生時間である40μsの間、発光させられてチップ状部品190が撮像される。この撮像に基づいて、端子194について画像処理に適した画像が得られているか否かの判定が行われ、その判定結果に応じた処理が行われる(S8〜S10,S14)。
【0069】
電子回路部品の回路基板32への装着は、
図12に示す部品装着ルーチンに従って行われる。QFP140の回路基板32への装着を例に取って説明する。
この際、シングルノズルヘッド40がヘッド保持装置46により保持される。そして、S21が実行され、回路基板32に装着する電子回路部品についてのデータが装着プログラムから読み出され、装着される電子回路部品の種類、ここではQFP140が取得される。S21における読出しにより得られる電子回路部品の種類は電子回路部品の型番であり、それにより電子回路部品の外観,寸法等が得られる。また、型番は設定閃光発生時間および設定移動速度が対応付けられる電子回路部品の種類(型番よりも大まかな分類による種類)を表しており、設定閃光発生時間・設定移動速度メモリからいずれの設定閃光発生時間および設定移動速度を読み出せばよいかがわかる。次いでS22が実行され、S21において取得された電子回路部品の種類について設定された設定閃光発生時間および設定移動速度が設定閃光発生時間・設定移動速度メモリから読み出される。QFP140については、設定閃光発生時間40μs、設定移動速度0.625m/sである。
【0070】
そして、S23が実行され、シングルノズルヘッド40がフィーダ型部品供給装置12へ移動させられ、フィーダ34からQFP140を取り出す。取出し後、シングルノズルヘッド40は基板保持装置16へ移動させられるが、その途中でS24が実行され、QFP140が移動させられたままの状態でCCDカメラ250により撮像される。この際、LEDストロボ260は、S22において読み出された設定閃光発生時間だけ閃光を発生させられ、その間、CCDカメラ250によりQFP140が撮像される。また、シングルノズルヘッド40を部品供給装置12,14と基板保持装置16との間で移動させる際の移動速度は予め設定されているが、撮像時のみ、Y軸方向においては、LEDストロボ260がS22において読み出された設定閃光発生時間、発光させられる間、既定の移動速度が電子回路部品の撮像対象部について設定された移動速度であって、S22において読み出された設定移動速度に変えられる。それにより、QFP140のリード146は、その反射率に応じた時間、照明され、撮像されるとともに、ブレ量が許容ブレ量に抑えられる。
【0071】
撮像により得られたQFP140の撮像データは画像処理コンピュータ314により処理され、吸着ノズル114によるQFP140の保持位置誤差が算出され、装着制御コンピュータ310に供給される。QFP140は、設定閃光発生時間の照明,撮像および設定移動速度による移動により、リード146について画像処理に適した明るさの画像が得られ、保持位置誤差が精度良く算出される。
【0072】
そして、S25が実行され、QFP140が回路基板32に装着される。撮像後、シングルノズルヘッド40のY軸方向の移動速度は既定値に戻され、QFP140が基板保持装置16へ移動させられて回路基板32に装着される。この際、吸着ノズル114によるQFP140の保持位置誤差が、基準マーク撮像ユニット20のCCDカメラ240による基準マーク244の撮像に基づいて取得された部品装着箇所の位置誤差と共に修正される。部品装着箇所の位置誤差には、電子回路部品の保持位置誤差と同様に、X軸,Y軸方向の各位置誤差および回転位置誤差が含まれる。X軸,Y軸方向の位置誤差は、ヘッド移動装置48によるシングルノズルヘッド40の移動位置の修正により修正され、回転位置誤差はシングルノズルヘッド40がヘッド回転装置52によって回転させられることにより修正され、QFP140が部品装着箇所に正規の姿勢で精度良く装着される。
【0073】
マルチノズルヘッド42によって電子回路部品が回路基板32に装着される場合、複数の吸着ノズル164が電子回路部品を保持する。そのため、S21では、複数の電子回路部品が読み出され、装着される電子回路部品の種類が取得される。電子回路部品の種類が複数あれば、S22においては複数種類の電子回路部品について設定閃光発生時間および設定移動速度が読み出されるが、これらは同じである。
【0074】
マルチノズルヘッド42は、フィーダ型部品供給装置12へ移動させられてフィーダ34から電子回路部品、例えば、チップ状部品190を取り出し(S23)、基板保持装置16への移動の途中、マルチノズルヘッド42により保持された全部の電子回路部品がCCDカメラ250により一括して同時に撮像される(S24)。マルチノズルヘッド42は、LEDストロボ260がS22において読み出された設定閃光発生時間(40μs)、発光させられ、チップ状部品190が撮像される間、Y軸方向においてはS22において読み出された設定移動速度(1m/s)で移動させられる。設定閃光発生時間および設定移動速度は、マルチノズルヘッド42により同時に保持された状態となる複数の電子回路部品について共通であり、撮像が1回行われ、複数の電子回路部品についてそれぞれ保持位置誤差が算出され、部品装着箇所の位置誤差と共に修正されて電子回路部品が回路基板32に装着される(S25)。
【0075】
チャックヘッド44によって電子回路部品が回路基板32に装着される場合、例えば、コネクタ230が電子回路部品に装着される際、ヘッド保持装置46によりチャックヘッド44が保持され、コネクタ230をトレイ36から取り出す。そして、基板保持装置16へ移動させられる途中、S22において読み出された設定閃光発生時間(80μs)および設定移動速度(0.3125m/s)に従ってコネクタ230が移動させられつつ、LEDストロボ260が発光させられ、CCDカメラ250によりコネクタ230が撮像される(S24)。コネクタ230の撮像対象部である本体232はグレーであり、反射率が小さいが、設定閃光発生時間が長くされ、設定移動速度が遅くされているため、十分な量の画像形成光が得られ、画像処理に適した明るさを有するとともに、ブレ量が許容ブレ量に抑えられた画像が得られ、保持位置誤差が精度良く取得される。撮像後、S25が実行され、コネクタ230は、既定の速度で基板保持装置16へ移動させられ、保持位置誤差が修正されて回路基板32に装着される。
【0076】
以上の説明から明らかなように、本電子回路部品装着機においては、入力装置318が指定入力部を構成し、表示装置328が段落〔0013〕の(5)項に記載の表示部を構成し、ブザー322が音声報知装置を構成している。また、装着制御コンピュータ310の設定閃光発生時間・設定移動速度メモリが設定閃光発生時間・設定移動速度記憶部ないし第1記憶部を構成し、許容ブレ量メモリが設定移動量記憶部ないし第2記憶部を構成し、S21を実行する部分が段落〔0013〕の(2)項に記載の撮像対象取得部を構成し、S22を実行する部分が設定閃光発生時間・移動速度読出部を構成している。さらに、装着制御コンピュータ310のS2を実行する部分が段落〔0013〕の(5)項に記載の試行撮像部を構成し、S5〜S7およびS11〜S13を実行する部分が設定閃光発生時間決定部,設定移動速度決定部,設定閃光発生時間・設定移動速度決定部を構成し、S8を実行する部分が確認撮像部を構成し、S9を実行する部分がエッジ取得可確認部を構成し、S14を実行する部分が、表示装置328およびブザー322と共に報知部を構成している。装着制御コンピュータ310のS1〜S13を実行する部分は、設定閃光発生時間・設定移動速度記憶部データ作成部ないし第1記憶部データ作成部である設定閃光発生時間・設定移動速度データ作成部を構成していると考えることもできる。本実施形態においては、装着制御コンピュータ310のS24を実行する部分が、対象部移動装置による撮像対象部の移動中に、照明装置に設定閃光発生時間だけ閃光を発生させて撮像装置に撮像対象部の撮像を行わせるとともに、設定閃光発生時間中における撮像対象部の移動量が設定移動量またはその設定移動量以下となるように、対象部移動装置の移動速度を制御する制御装置を構成し、この制御装置,2つの部品撮像ユニット22およびY軸方向移動装置56を含んで部品撮像システムが構成されている。本実施形態においては制御装置がさらに、上記設定閃光発生時間・設定移動速度記憶部,撮像対象取得部,設定閃光発生時間・移動速度読出部,試行撮像部,設定閃光発生時間決定部,設定移動速度決定部,設定閃光発生時間・設定移動速度決定部,確認撮像部,エッジ取得可確認部および報知部をも含んで構成されている。
さらにまた、画像処理コンピュータ314が画像処理装置を構成し、装着制御コンピュータ310のS25を実行する部分が装着装置制御部を構成している。
【0077】
設定閃光発生時間は、オペレータにより決定されてもよい。その実施形態を
図15に示す設定閃光発生時間・設定移動速度決定ルーチンに基づいて説明する。なお、設定閃光発生時間の決定は、いずれの電子回路部品についても同様に行われるため、QFP140を例に取って説明する。また、設定閃光発生時間および設定移動速度の決定以外は、前記実施形態と同じであり、同じ作用を成す構成要素には同一の符号を付して対応関係を示し、説明を省略する。
【0078】
本ルーチンのS31,S32は、前記設定閃光発生時間・設定移動速度決定ルーチンのS1,S2と同様に実行され、シングルノズルヘッド40が保持したQFP140が標準移動速度で移動させられつつ、LEDストロボ260により標準閃光発生時間照明され、その間、CCDカメラ250により撮像される。この撮像により得られたQFP140の画像データが装着制御コンピュータ310へ送られ、S33の実行により、QFP140の画像および設定閃光発生時間・設定移動速度決定用データがディスプレイ326に表示される。QFP140は許容ブレ量が25μmに設定されており、ディスプレイ326には、許容ブレ量が25μmである3種類の設定閃光発生時間および設定移動速度の組合わせが表示される。オペレータは、QFP140のリード146の画像を見て、その明るさから、撮像に適切と考えられる設定閃光発生時間および設定移動速度の組合わせを、入力装置318を用いて選択する。選択完了が入力されるまで、S34が繰返し実行される。選択完了が入力されれば、S34の判定結果がYESになってS35が実行され、選択された設定移動速度でシングルノズルヘッド40が移動させられつつ、選択された設定閃光発生時間、LEDストロボ260が発光させられ、QFP140が撮像される。
【0079】
そして、S36が前記S9と同様に実行され、撮像されたQFP140について保持位置誤差の取得が行われ、リード146について画像処理に適した明るさの画像が得られていれば、S36の判定結果がYESになってS37が実行され、QFP140が解放されるとともに、オペレータにより選択された設定閃光発生時間および設定移動速度が電子回路部品の種類と対応付けて設定閃光発生時間・設定移動速度メモリに記憶させられる。それに対し、リード146の画像が良好でなく、保持位置誤差が取得されなければ、S36の判定結果がNOになってS38が実行され、ブザー322が鳴動させられて不良発生がオペレータに報知される。
【0080】
次いでS39が実行され、画像不良の発生が表示されるとともに、S33と同様にQFP140の画像および設定閃光発生時間・設定移動速度決定用データがディスプレイ326に表示される。この際、表示されるのは、S32の実行により撮像され、S33においてディスプレイ326に表示された画像である。この画像は、オペレータにより設定閃光発生時間および設定移動速度が選択された後も残されている。そして、S34が実行され、オペレータによる設定閃光発生時間および設定移動速度の選択が待たれ、選択されれば、S35以下のステップが実行されて設定閃光発生時間および設定移動速度が確定されるようにされる。
本電子回路部品装着機では、装着制御コンピュータ310のS32を実行する部分が段落〔0013〕の(6)項に記載の試行撮像部を構成し、表示装置328が段落〔0013〕の(6)項に記載の表示部を構成し、入力装置318が設定閃光発生時間入力部を構成し、装着制御コンピュータ310のS35を実行する部分が確認撮像部を構成し、S36を実行する部分がエッジ取得可確認部を構成し、S38,S39を実行する部分が、表示装置328およびブザー322と共に報知部を構成している。本電子回路部品装着機では、設定閃光発生時間と共に設定移動速度も選択されるため、入力装置318は設定移動速度入力部でもあり、設定閃光発生時間・設定移動速度入力部でもあることとなる。また、装着制御コンピュータ310のS31〜S37を実行する部分は、設定閃光発生時間・設定移動速度記憶部データ作成部ないし第1記憶部データ作成部である設定閃光発生時間・設定移動速度データ作成部を構成していると考えることもできる。
本実施形態においては、前記実施形態と同様に、装着制御コンピュータ310のS24を実行する部分が、対象部移動装置による撮像対象部の移動中に、照明装置に設定閃光発生時間だけ閃光を発生させて撮像装置に撮像対象部の撮像を行わせるとともに、設定閃光発生時間中における撮像対象部の移動量が設定移動量またはその設定移動量以下となるように、対象部移動装置の移動速度を制御する制御装置を構成し、この制御装置,2つの部品撮像ユニット22およびY軸方向移動装置56を含んで部品撮像システムが構成されている。本実施形態においては制御装置がさらに、前記実施形態と同様に設定閃光発生時間・設定移動速度記憶部,撮像対象取得部および設定閃光発生時間・移動速度読出部を含むとともに、上記試行撮像部,確認撮像部,エッジ取得可確認部および報知部をも含んで構成されている。
【0081】
設定閃光発生時間および設定移動速度は、連続した値とされてもよい。その実施形態を、QFP140を例に取り、
図16に示す設定閃光発生時間決定ルーチンおよび
図17に示す部品装着ルーチンに基づいて説明する。なお、
図1〜
図14に基づいて説明した電子回路部品装着機の構成要素と同じ作用を成す構成要素には同一の符号を付して説明に使用する。
本設定閃光発生時間決定ルーチンのS51〜S55は、前記設定閃光発生時間・設定移動速度決定ルーチンのS1〜S5と同様に実行される。オペレータがディスプレイ326に表示されたQFP140の画像を見て、入力装置318を用いて輝度規定部を指定すれば、S54の判定結果がYESになってS55が実行され、指定された箇所の輝度Bが算出された後、S56が実行され、輝度Bおよび予め設定された式(標準閃光発生時間で輝度Bが得られる場合に、適正輝度を得るために適した閃光発生時間を演算する式)を用いて設定閃光発生時間が演算される。次いでS57が実行され、S56において求められた設定閃光発生時間およびQFP140について設定された許容ブレ量に基づいて移動速度が演算される。演算により算出された設定閃光発生時間は連続値であり、移動速度も連続値である。
【0082】
そして、S58が実行され、算出された設定閃光発生時間および移動速度を用いてQFP140の撮像が行われた後 S59が前記S9と同様に実行され、オペレータによって指定された箇所の画像に処理に適切な明るさが得られているか否かの判定が行われる。オペレータによってリード146が指定され、その輝度が取得されたのであれば、設定閃光発生時間および移動速度はリード146の反射率に応じた大きさに算出され、それら設定閃光発生時間および移動速度による撮像により得られたリード146の画像は処理に適した明るさとなり、吸着ノズル114によるQFP140の保持位置誤差取得される。そのため、S59の判定結果がYESになってS60が実行され、算出された設定閃光発生時間が電子回路部品の種類と対応付けて、RAM304の設定閃光発生時間メモリに記憶させられる。それに対し、オペレータにより指定された撮像対象部の画像に処理に適切な明るさが得られておらず、保持位置誤差が取得されないのであれば、S59の判定結果がNOになり、S61が前記S14と同様に実行される。
【0083】
電子回路部品の装着時には、
図17に示す部品装着ルーチンが実行され、S71においてまず、装着プログラムから回路基板32に装着される電子回路部品の種類が読み出された後、S72が実行され、読み出された電子回路部品の種類に基づいて設定閃光発生時間が設定閃光発生時間メモリから読み出される。例えば、装着される電子回路部品がQFP140であるとすれば、QFP140について設定閃光発生時間メモリから設定閃光発生時間が読み出される。そして、S73が実行され、S71において読み出された電子回路部品、ここではQFP140について設定された許容ブレ量が許容ブレ量メモリから読み出される。次いでS74が実行され、読み出された設定閃光発生時間および許容ブレ量に基づいて設定移動速度が演算される。
【0084】
以後、S75〜S77が前記S23〜S25と同様に実行され、QFP140のフィーダ34からの取出し後、シングルノズルヘッド40が演算された設定移動速度で移動させられつつ、LEDストロボ260が読み出された設定閃光発生時間、発光させられてQFP140がCCDカメラ250により撮像され、保持位置誤差が算出,修正されて回路基板32に装着される。
本電子回路部品装着機においては、装着制御コンピュータ310のRAM304の設定閃光発生時間メモリが設定閃光発生時間記憶部ないし第1記憶部を構成し、許容ブレ量メモリが設定移動量記憶部ないし第2記憶部を構成し、装着制御コンピュータ310のS71を実行する部分が段落〔0013〕の(4)項および(11)項にそれぞれ記載の撮像対象取得部を構成し、S72を実行する部分が設定閃光発生時間読出部を構成し、S73を実行する部分が設定移動量読出部を構成し、S74を実行する部分が移動速度設定部たる設定移動速度決定部としての移動速度演算部を構成し、上記設定閃光発生時間記憶部,上記(4)項に記載の撮像対象取得部および設定閃光発生時間読出部が閃光発生時間設定部を構成している。また、装着制御コンピュータ310のS52を実行する部分が試行撮像部を構成し、S56を実行する部分が設定閃光発生時間決定部たる設定閃光発生時間演算部を構成し、S58を実行する部分が確認撮像部を構成し、S59を実行する部分がエッジ取得可確認部を構成し、S61を実行する部分が表示装置328およびブザー322と共に報知部を構成している。装着制御コンピュータ310のS51〜S60を実行する部分が、設定閃光発生時間記憶部ないし第1記憶部に記憶させられたデータである設定閃光発生時間データを作成するデータ作成部を構成していると考えることもできる。
本実施形態においては、装着制御コンピュータ310のS76を実行する部分が、対象部移動装置による撮像対象部の移動中に、照明装置に設定閃光発生時間だけ閃光を発生させて撮像装置に撮像対象部の撮像を行わせるとともに、設定閃光発生時間中における撮像対象部の移動量が設定移動量またはその設定移動量以下となるように、対象部移動装置の移動速度を制御する制御装置を構成し、この制御装置,2つの部品撮像ユニット22およびY軸方向移動装置56を含んで部品撮像システムが構成されている。本実施形態においては制御装置がさらに、上記設定移動量記憶部,上記(11)項に記載の撮像対象取得部,設定移動量読出部,移動速度演算部,閃光発生時間設定部,試行撮像部,設定閃光発生時間演算部,確認撮像部,エッジ取得可確認部および報知部をも含んで構成されている。
【0085】
撮像装置および照明装置を撮像対象部とは別に、専用の移動装置により移動させてもよい。その実施形態を
図18に基づいて説明する。
本実施形態の電子回路部品装着機は、部品撮像ユニット350が専用の部品撮像ユニット移動装置352によって移動させられることを除いて、前記電子回路部品装着機と同様に構成されており、同じ作用を成す構成要素には同一の符号を付して対応関係を示し、説明を省略する。
【0086】
本部品撮像ユニット350および部品撮像ユニット350を移動させる専用の部品撮像ユニット移動装置352は、ベッド30の基板保持装置16と部品供給装置12,14との間の部分にそれぞれ、設けられている。これら2組の部品撮像ユニット移動装置352はそれぞれ、可動部材たるスライド360と、スライド360を、基板保持装置16に保持された回路基板32の部品装着面に平行な方向である水平面内において、部品供給装置12,14と基板保持装置16とが並ぶ方向と直交する方向、本電子回路部品装着機ではX軸方向に平行な方向に移動させるスライド移動装置362とを含む。
【0087】
各スライド移動装置362は、駆動源たる部品撮像ユニット移動用モータ364と、ベッド30の、装着装置18のX軸方向移動装置54のボールねじ66が設けられた部分と部品供給装置12,14の各々との間の部分に、X軸方向に平行な軸線まわりに回転可能かつ軸方向に移動不能に設けられたボールねじ366およびスライド360に固定して設けられるとともに、ボールねじ366と噛み合わされたナット(図示省略)を含む送りねじ機構368とを備えている。部品撮像ユニット移動用モータ364は、例えば、サーボモータにより構成され、ボールねじ366が部品撮像ユニット移動用モータ364によって回転させられることにより、スライド360がX軸方向において任意の位置へ移動させられる。部品撮像ユニット350はスライド360に設けられている。部品撮像ユニット350は、前記部品撮像ユニット22と同様に構成され、CCDカメラおよび導光装置を含む撮像装置とLEDストロボにより構成された照明装置とを含む。
【0088】
部品撮像ユニット350および部品撮像ユニット移動装置352は装着制御コンピュータ(図示省略)により制御される。部品保持ヘッドが部品供給装置12,14のいずれか一方から電子回路部品を受け取った後、基板保持装置16へ移動させられるとき、その途中でX軸方向に平行な部品撮像ユニット350の移動経路の上方を通る。部品保持ヘッドの移動経路は、部品供給装置12,14の部品供給位置および回路基板32の部品装着箇所によって異なるため、それに応じて、部品保持ヘッドの移動経路と部品撮像ユニット350の移動経路とが平面視において交差するX軸方向の位置が求められ、部品撮像ユニット350はこの交差位置へ予め移動させられ、停止させられて待機させられており、部品保持ヘッドが上方を通過する際に電子回路部品を撮像する。撮像は、前記部品撮像ユニット22と同様に行われ、部品保持ヘッドは電子回路部品の撮像対象部について設定された速度で移動させられ、LEDストロボが設定閃光発生時間だけ閃光を発生させられ、その間、CCDカメラによって電子回路部品が撮像される。本電子回路部品装着機においては、ヘッド移動装置48が対象部移動装置を構成している。設定閃光発生時間および設定移動速度は、例えば、前記
図1〜
図17に示す3つの実施形態のうちのいずれか1つと同様に設定される。部品撮像ユニット350の撮像装置と撮像対象部との対向方向と直交する方向はX軸方向とY軸方向との少なくとも一方であり、撮像時に撮像対象部が撮像装置に対していずれの方向へ移動させられるにしても、設定移動速度で移動させられる。本実施形態においては、前記3つの実施形態のうちのいずれか1つの制御装置と同様に構成される制御装置,2つの部品撮像ユニット350およびヘッド移動装置48を含んで部品撮像システムが構成されている。
【0089】
撮像ユニットは位置を固定して設けてもよい。例えば、電子回路部品装着機において、ベッドの基板保持装置と部品供給装置との間の部分であって、部品供給装置の基板搬送方向において中間部分に対応する部分に部品撮像ユニットを位置を固定して設ける。部品保持ヘッドは部品供給装置から電子回路部品を受け取った後、基板保持装置へ移動させられる途中に部品撮像ユニットへ移動させられ、電子回路部品が撮像される。
【0090】
なお、設定閃光発生時間が部品装着に先立って決定され、設定移動速度が部品装着時に設定される場合、輝度規定部の輝度に基づいて自動的に決定されるのであっても、オペレータにより決定されて入力されるのであっても、設定閃光発生時間および設定移動速度はいずれも段階的な値とされてもよく、いずれか一方が段階的な値とされ、他方が連続的な値とされてもよい。
また、設定閃光発生時間および設定移動速度をいずれも部品装着に先立って予め決定しておく場合、それらはいずれも連続的な値とされてもよく、いずれか一方が段階的な値とされ、他方が連続的な値とされてもよい。いずれも連続値とされる場合、例えば、前述のように、撮像対象部の輝度に基づいて演算により算出された設定閃光発生時間を、確認撮像のために算出された設定移動速度と共に撮像対象部の種類と対応付けて記憶部に記憶させておけばよい。連続値である設定移動速度が演算により求められ、設定閃光発生時間と共に予め記憶部に記憶させられる場合、制御装置の設定閃光発生時間を演算する部分が閃光発生時間設定部たる閃光発生時間決定部を構成し、設定移動速度を演算する部分が移動速度設定部たる移動速度決定部を構成する。
さらに、設定移動量は、撮像対象部の種類を問わず、一定(1種類)にしてもよい。この場合は、複数種類の撮像対象部のうち、画像処理における要求精度の高さが最も高い撮像対象部について許容されるブレ量であって、最も短いブレ量を複数種類の撮像対象部に共通の許容ブレ量とし、設定移動量とすることになる。
【0091】
また、オペレータが設定閃光発生時間を決定する場合、設定閃光発生時間は連続値とされてもよい。例えば、ディスプレイに表示された輝度規定部の画像をオペレータが見て、その反射率を推定し、画像処理が良好に行われる画像が得られると考えられる設定閃光発生時間を決めて入力する。例えば、撮像対象部が輝度規定部であり、その背景が黒ではなく、グレー等、他の色の場合、撮像対象部と背景とについて、撮像対象部の画像処理が良好に行われるコントラストが得られることが必要であり、そのための輝度を有する画像が得られるように設定閃光発生時間をオペレータが決め、入力するのである。このような設定閃光発生時間の決定は、コンピュータにより自動的に行われてもよい。
【0092】
さらに、部品装着に先立って記憶部に設定閃光発生時間を記憶させておく場合、設定閃光発生時間は、試行により取得されることは不可欠ではなく、試行によらず、設定閃光発生時間が取得されて記憶されておいてもよい。例えば、オペレータが、撮像対象部、例えば、電子回路部品の構成,用途,色等に基づいて設定閃光発生時間を決め、電子回路部品の種類と対応付けて記憶部に記憶させておくのである。この設定閃光発生時間の取得は、コンピュータにより自動的に行われてもよい。
【0093】
また、撮像対象部の撮像時の移動速度である設定移動速度が、撮像時以外の移動時の移動速度に比較して遅い場合、撮像後、撮像対象部の移動速度を既定速度より早くし、撮像対象部の移動開始点から移動終了点までの移動に要する時間の増大が抑制されるようにしてもよい。
【0094】
さらに、試行撮像後、確認撮像が行われる場合、確認撮像により取得された撮像対象部の像を含む画像を表示部に表示し、その画像を見て、オペレータが画像の予め設定された部分に、画像処理に適切な輝度が得られているか否かを判断するようにしてもよい。
【0095】
また、設定閃光発生時間の決定は、オペレータによる画像の一部の指定が行われることなく、自動的に行われるようにしてもよい。電子回路部品の少なくとも一部が撮像対象部である場合を例に取れば、電子回路部品は部品保持具により保持され、照明装置により、許容ブレ量に応じて予め設定された時間、例えば、標準閃光発生時間、照明されるとともに、標準移動速度で移動させられ、その間、撮像装置により撮像され、それにより得られる画像が保持位置誤差を取得する場合と同様に処理される。この場合、画像処理プログラムは、閃光発生時間および移動速度が不適切であり、輝度規定部の輝度が過大であって画像が明る過ぎても、輝度が過小であって画像が暗過ぎても、輝度規定部を見つけ、撮像対象部を見つけることができるプログラムとされる。そのため、標準閃光発生時間および標準移動速度が、輝度規定部に画像処理に適切な輝度が得られる大きさである場合は勿論、画像処理に適さない輝度しか得られない大きさである場合にも、輝度規定部内の点が見つけられる。そして、輝度規定部の輝度が設定範囲内にあるか否かの判定が行われ、輝度が設定輝度範囲内にあれば、標準閃光発生時間がその電子回路部品についての閃光発生時間とされ、輝度が設定輝度範囲を超えて大きいのであれば、閃光発生時間が標準より短い時間とされ、輝度が設定輝度範囲を超えて小さいのであれば、閃光発生時間が標準より長い時間とされる。閃光発生時間は、輝度の設定輝度範囲からの外れ量に応じて長く、あるいは短くされる。閃光発生時間の決定後、その閃光発生時間およびそれにより得られる移動速度による電子回路部品の撮像が行われ、決定された値が適切であるか否かが確認される。この確認は、例えば、輝度規定部の輝度が設定範囲内にあるか否かが判定されることにより行われ、設定範囲内にあれば、保持位置誤差の取得に適切な画像が得られることが確認され、設定閃光発生時間および設定移動速度が確定される。それに対し、輝度規定部の輝度が設定範囲から外れていれば、得られた画像が適切でなく、報知部により異常の発生がオペレータに報知される。本態様では、撮像システムは、画像確認部としての輝度確認部および閃光発生時間設定部としての閃光発生時間自動決定部を有する。