【実施例】
【0022】
図を参照すると、これらの図はタービンのブレードを示している。特にブレード1はガスタービンの案内ベーンあるいはロータブレードである。
【0023】
ブレード1は互いに接続された二つの別々の部品(エアフォイルとプラットフォーム)あるいは互いに接続された三つの別々の部品(エアフォイルおよびエアフォイルの各々の側のプラットフォーム)において製造されたエアフォイル2とプラットフォーム3を備えている。
【0024】
ブレード1はシール部材4を備えており、このシール部材は接合部6に比べて高温ガス通路5に近い位置でエアフォイル2とプラットフォーム3の間に配置されている。
【0025】
シール部材は機械式に結合しないシール部材であり、すなわちこのシール部材はエアフォイル2とプラットフォーム3の間で全く力を伝えないか、あるいはエアフォイル2とプラットフォーム3の間で最小限の力しか伝えない。
【0026】
さらに、シール部材は耐酸化性であるのが好ましく、かつ高温特性を有している。
【0027】
シール部材は動作時に、エアフォイルとプラットフォームの間の相対運動のための遊びを備えていなければならないのが長所である。
【0028】
接合部6は恒久的な接合部であり、この点で接合部はろう付け(brazing)であるのが好ましい。
【0029】
図に示すように、接合部6はシール部材4とは分離されかつシール部材から間隔をおいて設けられたエアフォイル2とプラットフォーム3の部分において実現されており、この接合部において、エアフォイル2とプラットフォーム3の変形は、エアフォイル2からプラットフォーム3へと、およびプラットフォーム3からエアフォイル2へと力が全く伝えられないかもしくは最小限の力しか伝えられないように小さい。
【0030】
第一の実施例において、プラットフォーム3はC字形状であり、接合部6はエアフォイル2の対応する部分9に面したC字形状のプラットフォーム3の内側部分8で実現されている。
【0031】
シール部材4は高温ガス通路5に面したエアフォイル2とプラットフォーム3の領域で実現されており、特にこのシール部材はC字形状のプラットフォーム3の中央部分で実現されている。
【0032】
別の実施例(
図10)において、プラットフォーム3は逆L字の形状を有している。
【0033】
さらにこの実施例において、接合部6は互いに面しているエアフォイル2とプラットフォーム3の領域で実現されており、シール部材4は高温ガス通路5に面したエアフォイル2とプラットフォーム3の領域で実現されている。
【0034】
以下に続く詳細において、本発明の実施例を詳しく説明する。
【0035】
図1はC字形状のプラットフォーム3を有する本発明のブレード1の第一の実施例を示しており、ろう付けによりプラットフォームの内側部分はエアフォイル2の対応する部分9に接続している。
【0036】
この実施例において、シール部材4はエアフォイル2もしくはプラットフォーム3に接続されている、金属製フェルトあるいは金属製泡状体、またはブラシあるいは薄片でできている。
【0037】
特に
図1において、シール部材4はエアフォイル2に接続された状態で示してあり、かつC字形状のプラットフォーム3の中央部分に面している。
【0038】
さらに、
図1は冷却孔25も示しており、この冷却孔はエアフォイル2および/またはプラットフォーム3内に設けられていてもよい(
図1はエアフォイル2内に設けられた冷却孔25を示している)。
【0039】
冷却孔25はシール部材を収容している間隙内における、あるいはシール部材4と接合部6の間に構成された、エアフォイル2とプラットフォーム3の間の間隙10に開口している。
【0040】
動作時において、高温ガスが高温ガス通路5を通過するのでエアフォイル2とプラットフォーム3は変形する。
【0041】
高温ガスと直接接触する、エアフォイル2とプラットフォーム3の部品、およびそこに近い部品ではこのような変形が大きい。それとは逆に、高温ガスとは直接接触しない、エアフォイル2とプラットフォーム3の部品、および高温ガス通路5から離れた部品では変形は限られている。
【0042】
したがって、高温ガス通路5に近いエアフォイル2とプラットフォーム3の部品は、全く力を伝えない(あるいはほんのわずかの力しか伝えない)機械的に分離しているシール部材4を備えているので、エアフォイル2からプラットフォーム3へ、およびプラットフォーム3からエアフォイル2へと伝達される差動変形により生じる力は全くない(もしくはほんのわずかの力しかない)。
【0043】
それに比べ、接合部6が設けられた領域8,9は高温ガス通路5から遠く離れていて、従って差動変形は限られており、これによりエアフォイル2とプラットフォーム3は互いに接続していて、その結果として差動変形による力はエアフォイル2からプラットフォーム3へ、およびプラットフォーム3からエアフォイル2へと全く伝達されないかあるいはほんのわずかの力が伝達されるにすぎない。
【0044】
(ガスタービンの圧縮機から送られている)冷却孔25は空気を供給しており、この空気は通常の状態では(シール部材4が能率的な場合)、(冷却孔がシール部材4に開口している
図1で示した実施例においては)同じシール部材4により遮断されているか、あるいは閉じた小室を規定するシール部材4と接合部6により間接的に遮断されている。従って、(シール部材4が能率的である状態での)通常の動作状態においては圧縮空気を浪費しない。
【0045】
シール部材4が損傷していると、高温ガスが間隙10に入り、シーリングがもはや保証されない程度にさらにシール部材を損傷させる恐れがある。
【0046】
この場合、冷却孔25は圧縮空気がシール部材4を通過し始めるように開口し(シール部材4が漏洩部を有しているからである)、これにより高温ガスが間隙10に入り、接合部6に達するのを防ぐことができる。
【0047】
図2はすでに説明したものに類似したブレード1の実施例を示しており、この点で、類似した部材は同じ参照符号で表示してある。
【0048】
図2のブレード1は基底部11,12を作られており、これらの基底部は各々、エアフォイル2とプラットフォーム3内に加工され、かつ互いに向い合っている。
【0049】
基底部11,12は(特に上部の両壁では)上側に向かって張出している。すなわち高温ガス通路5に近い両壁が上側に向かって張出している。
【0050】
基底部11,12は互いに接続された幾重の層でできたプレート14を収容している。
【0051】
これらの層は0.20mm未満の肉厚を有しており、かつ0.09〜0.11mmで形成されているのが好ましい。
【0052】
この実施例によるブレード1はロータブレードを規定している。
【0053】
この場合、動作時において、プレート14はパージ空気と遠心力により生じる差動圧力により基底部11,12に対して押圧されており、シーリングが保証される。
【0054】
さらに、この実施例のブレード1は案内ベーンであってもよい。
【0055】
この場合、プレート14はパージ空気により生じる差動圧力により基底部11,12に対して押圧されており、シーリングが保証される。
【0056】
図3は複数の層でできたプレート14で作られたシール部材の別の実施例を示している。この図において、類似の部材は同じ参照符号で表示してある。
【0057】
この実施例において、エアフォイル2は基底部11を有しており、この基底部はプレート13を留めており、プラットフォーム3は開いた基底部12を備えている。留めている基底部がプラットフォーム3に設けられ、開いた基底部がエアフォイル2に設けられてもよいのは当然である。
【0058】
動作時に、ブレード1がロータブレードである場合には差動圧力と遠心力により、そしてブレード1が案内ベーンである場合には差動圧力により、プレート14は(シーリングを保証するために)、基底部11,12に対して付勢される。
【0059】
図4と5はすでに説明したものに類似したブレード1の別の実施例を示しており、この点で、類似した部材は同じ参照符号で表示してある。
【0060】
この実施例において、シール部材はエアフォイル2および/またはプラットフォーム3に接続されたバネ部材を備えている。
【0061】
特に
図4は二つのバネ部材16,17を備えた実施例を示しており、一方のバネ部材はエアフォイル2に接続しており、他方のバネ部材はプラットフォーム3に接続している。
【0062】
さらに、プラットフォーム3は突出部18を備えており。(エアフォイル2に接続している)バネ部材16はこの突起部18にもたれるように当接しており、プラットフォーム3に接続しているバネ部材17はバネ部材16にもたれるように当接している。
【0063】
図5はアコーディオン状の形状を規定するために二回折畳まれ、かつプラットフォーム3の突出部18にもたれるように当接している、たった一つのバネ部材16を備えた実施例を示している。
【0064】
このバネ部材16はエアフォイル2またはプラットフォーム3のどちらかに接続している。それでも、バネ部材16はエアフォイル2およびプラットフォーム3の両方に接続していてもよい(実際に、バネ部材16はエアフォイル2およびプラットフォーム3のどちらにも問題となるようないかなる力も伝達しない)。
【0065】
図6はエアフォイル2またはプラットフォーム3から突出た部分20を備えた別のシール部材を示している。
【0066】
突出た部分20はナイフエッジ21を備えており、このナイフエッジはエアフォイル2またはプラットフォーム3の対応する部分の(金属製フェルト状体のような)軟質材に対して押圧されている。
【0067】
図7(参照符号はすでに説明したものに類似した部材を表している)、プラットフォーム3に接続されたTBC層あるいはセラミック層のような保護コーティング部26で覆われていて、さらにTBC層あるいはセラミック層のような保護コーティング部27で覆われたエアフォイル2を示している。
【0068】
保護コーティング部26,27は入組んだ迷路状シール部材のような第一のシール部材4aを規定している。さらに、(入組んだ迷路状シール部材4aに近い領域内の)エアフォイル2とプラットフォーム3の間には、エアフォイル2またはプラットフォーム3と接続した、金属製フェルトあるいは金属製泡状体、またはブラシあるいは薄片のような第二のシール部材4bが設けられている。
【0069】
図8は
図7に類似の別の実施例を示しており、同じ参照符号は同じかあるいは類似の部材を表している。
【0070】
この実施例において、シール部材4は
図7の迷路状シール部材4aと類似の迷路状シール部材により規定されている。
【0071】
図9は
図7に類似の実施例を示している。この点で、参照符号はすでに説明したものに類似した部材を表している。
【0072】
シール部材4はエアフォイル2またはプラットフォーム3の間の間隙10内に設けられ、かつエアフォイル2またはプラットフォーム3と接続した、金属製フェルトあるいは金属製泡状体、またはブラシあるいは薄片により規定されている。さらに、このシール部材はコーティング部26と27の間で延びている。
【0073】
図10は
図1に近い実施例(同じ参照符号は同じかあるいは類似の部材を表している)を示しているが、プラットフォーム3は逆L字形状を備えている。
【0074】
説明した特徴が互いに独立して設けられていてもよいことは当然である。
【0075】
このように考案されたブレードは、数多くの変更と変形を許容しており、これらはすべて本発明の構想の範囲内に入っている。さらに詳細はすべて技術的に等価な部材により置き換えることができる。
【0076】
実際に、使用される材料と寸法は、要求と従来技術に応じて好きなように選定することができる。