特許第5780757号(P5780757)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大王製紙株式会社の特許一覧
<>
  • 特許5780757-吸収性物品 図000002
  • 特許5780757-吸収性物品 図000003
  • 特許5780757-吸収性物品 図000004
  • 特許5780757-吸収性物品 図000005
  • 特許5780757-吸収性物品 図000006
  • 特許5780757-吸収性物品 図000007
  • 特許5780757-吸収性物品 図000008
  • 特許5780757-吸収性物品 図000009
  • 特許5780757-吸収性物品 図000010
  • 特許5780757-吸収性物品 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5780757
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20150827BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20150827BHJP
   A61F 13/534 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   A61F13/18 301
   A61F13/18 302
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2010-289950(P2010-289950)
(22)【出願日】2010年12月27日
(65)【公開番号】特開2012-135445(P2012-135445A)
(43)【公開日】2012年7月19日
【審査請求日】2013年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104927
【弁理士】
【氏名又は名称】和泉 久志
(72)【発明者】
【氏名】中田 知佐
【審査官】 山本 杏子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−000561(JP,A)
【文献】 特表2003−510165(JP,A)
【文献】 特開2000−225146(JP,A)
【文献】 特表平11−513927(JP,A)
【文献】 特開平03−038248(JP,A)
【文献】 特開平01−119250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/00
A61F 13/15−13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面シートと透液性の表面シートとの間に吸収体が介在した吸収性物品であって、
前記吸収体は、前記吸収性物品の前側から後側に亘って配設され着用者の排血口に対応する領域に開口を有する基材用吸収体と、個装状態において、前記開口に嵌合され前記基材用吸収体とほぼ同等の高さに形成された中高用吸収体とからなり、
装着時に幅方向外側から内側方向に向かう圧縮力を受けた際、前記開口の両側壁間の間隔が狭まり、前記開口両側の前記基材用吸収体が前記中高用吸収体の下側に入り込むことにより、前記中高用吸収体が肌当接面側に向けて突出可能となっており、
前記基材用吸収体及び開口の下側には不織布からなる親水性シートが配設され、この親水性シートが、前記開口の幅方向中央部のみにおいて長手方向に沿って前記中高用吸収体側に接合され、装着時に前記中高用吸収体が肌当接面側に向けて移動することにより前記親水性シートが前記中高用吸収体とともに引き上げられるように構成されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記圧縮力を受けた際の前記基材用吸収体と中高用吸収体との摺動面となる、少なくとも前記開口内の両側壁部及び/又は前記中高用吸収体の両側面部にそれぞれ、摩擦抵抗を低下させる低摩擦化処理が施されている請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記開口は、前記吸収性物品の長手方向両端部側に向けて漸次開口幅が小さくなるように形成されている請求項1〜2いずれかに記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記開口の側面は、肌当接面側に向けて開口面積が大きくなるように傾斜している請求項1〜3いずれかに記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記基材用吸収体の肌当接面側であって前記開口又はその近傍から前記吸収性物品の後側の範囲に対し、体液拡散性シートが配設されている請求項1〜4いずれかに記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経血やおりものなどを吸収するための生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド等の吸収性物品に係り、詳しくは個装状態では吸収体の中高部を有さず、装着時に中高部が形成されるようにした吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッドなどの吸収性物品として、ポリエチレンシートまたはポリエチレンラミネートシート不織布などの不透液性裏面シートと、不織布または透液性プラスチックシートなどの透液性表面シートとの間に綿状パルプ等からなる吸収体を介在したものが知られている。
【0003】
この種の吸収性物品においては、身体の表面との密着度を高めるため、吸収性物品の幅方向中央部に使用面側に高い吸収体の中高部を有するものが提案されている。
【0004】
例えば、下記特許文献1では、吸収体が上部吸収層と下部吸収層とからなり、該下部吸収層は、その幅方向中央部に開口部を有し、上部吸収層は、吸収性物品の幅方向において、前記開口部の両側に跨っている吸収性物品が開示されている。また、下記特許文献2では、吸収体のサイド部のそれぞれを吸収体の幅方向中心側に、厚さ方向における非肌当接面側に折り返すことにより、サイド部がコア部よりも厚さ方向における高さが高くなり、コア部と裏面シートとの間に空間部が形成された吸収性物品が開示されている。
【0005】
このような中高部を有する吸収性物品では、吸収性物品の装着時に大腿部からの内側方向に向かう圧縮力を受けることによって、中高部が肌当接面側に隆起するように変形し、この隆起部が排血口付近に密着することにより経血等が吸収できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−115996号公報
【特許文献2】特開2008−125918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、肌当接面側に高い吸収体の中高部を形成した吸収性物品では、個装時に吸収性物品を長手方向に折り畳む折り線が中高部にかかる場合、中高部において外面側と内面側の周径差が部分的に大きくなるため折りジワがきつく形成される結果、装着時に大腿部からの圧縮力を受けても、中高部が効果的に隆起せず、身体とのフィット性が低下して漏れが発生するなど中高部の機能が損なわれるおそれがあった。
【0008】
また、上記特許文献1、2記載の吸収性物品では、吸収性物品を長手方向に折り畳んだ個装状態において、中高部などの吸収体が積層された部分が嵩張るため、個装の厚みが厚くなり、携帯性が悪いという問題があった。
【0009】
そこで本発明の主たる課題は、装着時に身体にフィットして漏れ防止を図るという中高部の機能を低下させないとともに、個装状態でのコンパクト化を可能にした吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、裏面シートと透液性の表面シートとの間に吸収体が介在した吸収性物品であって、
前記吸収体は、前記吸収性物品の前側から後側に亘って配設され着用者の排血口に対応する領域に開口を有する基材用吸収体と、個装状態において、前記開口に嵌合され前記基材用吸収体とほぼ同等の高さに形成された中高用吸収体とからなり、
装着時に幅方向外側から内側方向に向かう圧縮力を受けた際、前記開口の両側壁間の間隔が狭まり、前記開口両側の前記基材用吸収体が前記中高用吸収体の下側に入り込むことにより、前記中高用吸収体が肌当接面側に向けて突出可能となっており、
前記基材用吸収体及び開口の下側には不織布からなる親水性シートが配設され、この親水性シートが、前記開口の幅方向中央部のみにおいて長手方向に沿って前記中高用吸収体側に接合され、装着時に前記中高用吸収体が肌当接面側に向けて移動することにより前記親水性シートが前記中高用吸収体とともに引き上げられるように構成されていることを特徴とする吸収性物品が提供される。
【0011】
上記請求項1記載の発明では、前記吸収体として、吸収性物品の前側から後側に亘って配設され着用者の排血口に対応する領域に開口を有する基材用吸収体と、個装状態において、前記開口に嵌合され前記基材用吸収体とほぼ同等の高さに形成された中高用吸収体とからなるものが使用されている。そして、装着時に幅方向外側から内側方向に向かう圧縮力を受けた際、前記開口の両側壁間の間隔が狭まり、前記中高用吸収体を押し退けるようにして前記開口両側の前記基材用吸収体が前記中高用吸収体の下側に入り込むことにより、前記中高用吸収体が肌当接面側に向けて突出可能とされている。このように本発明に係る吸収性物品では、個装状態では使用面側に高い吸収体の中高部が形成されず、装着時に幅方向外側からの圧縮力を受けることによって基材用吸収体の開口に嵌合された中高用吸収体が肌当接面側に移動して中高部が形成されるようになっているため、個装状態において吸収性物品を長手方向に折り畳んでも中高部の折りジワがきつくなるようなことがなく、従って装着時に中高部の隆起が制限されフィット性が低下し漏れが生じるなどの中高部としての機能が低下する問題が防止できる。
【0012】
また、個装状態では吸収体の中高部が形成されないため、個装がコンパクトになり、携帯性に優れるようになる。
【0013】
また、上記請求項1記載の発明では、前記基材用吸収体及び開口の下側に不織布からなる親水性シートを配設し、この親水性シートが、前記開口の幅方向中央部のみにおいて長手方向に沿って前記中高用吸収体側に接合されることにより、装着時に中高用吸収体が肌当接面側に向けて移動したとき、中高用吸収体に吸収された体液が前記親水性シートを通じて基材用吸収体に移行しやすくしている。
【0014】
請求項2に係る本発明として、前記圧縮力を受けた際の前記基材用吸収体と中高用吸収体との摺動面となる、少なくとも前記開口内の両側壁部及び/又は前記中高用吸収体の両側面部にそれぞれ、摩擦抵抗を低下させる低摩擦化処理が施されている請求項1記載の吸収性物品が提供される。
【0015】
上記請求項2記載の発明では、前記圧縮力を受けた際の前記基材用吸収体と中高用吸収体との摺動面となる、少なくとも前記開口内の両側壁部及び/又は前記中高用吸収体の両側面部にそれぞれ、摩擦抵抗を低下させる低摩擦化処理を施すことによって、装着時に幅方向外側から内側方向に向かう圧縮力を受けた際、開口近傍の基材用吸収体が中高用吸収体の下側にスムーズに入り込むため、中高用吸収体が肌当接面側に向けて移動しやすくなる。
【0016】
請求項3に係る本発明として、前記開口は、前記吸収性物品の長手方向両端部側に向けて漸次開口幅が小さくなるように形成されている請求項1〜2いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0017】
上記請求項3記載の発明は、前記開口の平面形状について規定したものであり、吸収性物品の長手方向両端部側に向けて漸次開口幅が小さくなるような形状で形成したものである。これにより、装着時に幅方向外側から内側方向に向かう圧縮力を受けた際、開口の両側壁間の間隔が狭まりやすくなる。
【0018】
請求項4に係る本発明として、前記開口の側面は、肌当接面側に向けて開口面積が大きくなるように傾斜している請求項1〜3いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0019】
上記請求項4記載の発明は、前記開口の断面形状について規定したものであり、開口の側面を、肌当接面側に向けて開口面積が大きくなるように傾斜させるようにしたものである。これにより、装着時に幅方向外側から内側方向に向かう圧縮力を受けた際、開口近傍の基材用吸収体が中高用吸収体の下側に入り込みやすくなり、中高用吸収体の肌当接面側に向けた移動がスムーズに行われるようになる。
【0020】
請求項5に係る本発明として、前記基材用吸収体の肌当接面側であって前記開口又はその近傍から前記吸収性物品の後側の範囲に対し、体液拡散性シートが配設されている請求項1〜4いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0021】
上記請求項5記載の発明では、基材用吸収体の肌当接面側であって前記開口又はその近傍から前記吸収性物品の後側の範囲に対し、体液拡散性シートを配設することにより、中高用吸収体に吸収された体液の後方への拡散が促進され、中高用吸収体での体液吸収効果が低下しないようにすることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上詳説のとおり本発明によれば、装着時に身体にフィットして漏れ防止を図るという中高部の機能を低下させないとともに、個装状態でのコンパクト化を可能にした吸収性物品が提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る生理用ナプキン1の平面図である。
図2】そのII−II線矢視図である。
図3図1のIII−III線矢視図である。
図4】吸収体4の断面図である。
図5】(A)、(B)は装着時の変形過程を示す吸収体4の断面図である。
図6】開口22の平面形状を示す基材用吸収体20の平面図である。
図7】他の形態例(その1)を示す、(A)は吸収体4の平面図、(B)は断面図である。
図8】他の形態例(その2)を示す、(A)は吸収体4の平面図、(B)は断面図である。
図9】他の形態例(その3)を示す生理用ナプキン1の平面図である。
図10】他の形態例(その4)を示す吸収体4の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0025】
〔生理用ナプキン1の基本構造〕
本発明に係る生理用ナプキン1は、図1図3に示されるように、ポリエチレンシートなどからなる不透液性裏面シート2と、経血やおりものなどを速やかに透過させる透液性表面シート3と、これら両シート2,3間に介装された綿状パルプまたは合成パルプなどからなる吸収体4と、前記吸収体4の略側縁部を起立基端とし、かつ少なくとも体液排出部を含むように前後方向に所定の区間内において表面側に突出する左右一対の立体ギャザーBS、BSを形成する立体ギャザー形成用不織布6、6と、この立体ギャザー形成用不織布6、6の所定位置からそれぞれ生理用ナプキン1の側縁まで延在するサイド不織布7、7とから主に構成され、かつ前記吸収体4の周囲においては、その上下端縁部では前記不透液性裏面シート2と透液性表面シート3との外縁部がホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、またその両側縁部では吸収体4よりも側方に延出している前記不透液性裏面シート2と前記サイド不織布7とがホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、これら不透液性裏面シート2とサイド不織布7とによる積層シート部分によって側方に突出するウイング状フラップW、Wが形成されているとともに、これよりも臀部側に位置する部分に第2ウイング状フラップW、Wが形成されている。
【0026】
以下、さらに前記生理用ナプキン1の構造について詳述すると、
前記不透液性裏面シート2は、ポリエチレン等の少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが好適に用いられる。前記吸収体4が介在する本体部分の不透液性裏面シート2の非使用面側(外面)には1または複数条の粘着剤層(図示せず)が形成され、身体への装着時に生理用ナプキン1を下着に固定するようになっている。前記不透液性裏面シート2としては、プラスチックフィルムと不織布とを積層させたポリラミ不織布を用いてもよい。
【0027】
次いで、前記透液性表面シート3は、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。前記透液性表面シート3に多数の透孔を形成した場合には、経血やおりもの等(以下、まとめて体液という。)が速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。
【0028】
一方、前記透液性表面シート3の幅寸法は、図示例では、図2の横断面図に示されるように、吸収体4の幅よりも若干長めとされ、吸収体4を覆うだけに止まり、前記立体ギャザーBSは前記透液性表面シート3とは別の立体ギャザー形成用不織布6、具体的には経血やおりもの等が浸透するのを防止する、あるいは肌触り感を高めるなどの目的に応じて、適宜の撥水処理または親水処理を施した不織布素材を用いて構成されている。かかる体ギャザー形成用不織布6としては、天然繊維、合成繊維または再生繊維などを素材として、適宜の加工法によって形成されたものを使用することができるが、好ましくはゴワ付き感を無くすとともに、ムレを防止するために、坪量を抑えて通気性を持たせた不織布を用いるのがよい。具体的には、坪量を13〜23g/mとして作製された不織布を用いるのが望ましく、かつ体液の透過を確実に防止するためにシリコン系、パラフィン系、アルキルクロミッククロリド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布が好適に使用される。なお、立体ギャザーBSは、立体ギャザー形成用不織布6を配設せず、前記サイド不織布7を内側に連続させて形成してもよい。
【0029】
前記サイド不織布7は、前記立体ギャザー形成用不織布6と同様の素材を用いることができ、図2に示されるように、幅方向中間部より外側部分を吸収体4の内側位置から吸収体側縁を若干越えて不透液性裏面シート2の外縁までの範囲に亘ってホットメルトなどの接着剤によって接着し、これら前記サイド不織布7と不透液性裏面シート2との積層シート部分により、ほぼ体液排出部に相当する吸収体側部位置に左右一対のウイングフラップW、Wを形成するとともに、これより臀部側位置に第2ウイング状フラップW、Wを形成している(図1参照)。これらウイング状フラップW、Wおよび第2ウイング状フラップW、Wの外面側(不透液性裏面シート2側)にはそれぞれ粘着剤層(図示せず)を備え、ショーツに対する装着時に、前記ウイング状フラップW、Wを折返し線RL位置にて反対側に折り返し、ショーツのクロッチ部分に巻き付けて止着するとともに、前記第2ウイング状フラップW、Wをショーツの内面に止着するようになっている。
【0030】
〔吸収体4について〕
本生理用ナプキン1では、図1及び図4に示されるように、前記吸収体4は、生理用ナプキン1の前側から後側に亘って配設され着用者の排血口Hに対応する領域に開口22を有する基材用吸収体20と、個装状態において、前記開口22に嵌合され前記基材用吸収体20とほぼ同等の高さに形成された中高用吸収体21とから構成されている。
【0031】
前記基材用吸収体20としては、体液を吸収・保持し得るものであれば良いが、パルプ繊維中に吸水性ポリマー粉末を混入したものが吸収機能及び価格の点から好適に使用される。前記基材用吸収体20の製造方法は、エアスルー吸収体、エアレイド吸収体とすることができる。また、トウ繊維(繊維束)や積繊パルプに化学繊維を混合したものであってもよい。前記トウ繊維としては、例えば、多糖類又はその誘導体(セルロース、セルロースエステル、キチン、キトサンなど)、合成高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリラクタアミド、ポリビニルアセテートなど)などを用いることができるが、特に、セルロースエステルおよびセルロースが好ましい。前記化学繊維は、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロンなどのポリアミド系、及びこれらの共重合体などの合成繊維を使用することができるし、これら2種を混合したものであってもよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイドバイサイド型繊維、分割型繊維などの複合繊維も用いることができる。前記パルプ繊維は、木材から得られる化学パルプ、溶融パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。
【0032】
前記中高用吸収体21としては、機能的に透液性表面シート3の上面に排出された体液を速やかに吸収するけれども、吸収した体液を内部に保留せずに基材用吸収体20に浸透させる機能を備えている必要があるところ、浸透性を向上させるためにパルプ繊維中に化学繊維を混合したもの、エアスルー吸収体やエアレイド吸収体又はトウ繊維からなるものが好適に使用される。前記中高用吸収体21に化学繊維を混合することにより体液吸収状態時でも萎むことなく嵩を保持しクッション性を維持できるようになる。前記中高用吸収体21には、嵩高となり身体へのフィット性を向上させるため、トウ繊維(繊維束)やポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維を混合することが好ましい。
【0033】
なお、前記基材用吸収体20は化学繊維を含有することを要件とせず、パルプ繊維単独、或いはパルプ繊維と高吸水性樹脂との混合体とすることができる。前記基材用吸収体20は透過性が重視されず、前記中高用吸収体21から浸透した体液を内部に保留し外部に滲み出さないように保持することが望ましいため化学繊維を含有しないようにする方がむしろ望ましい。
【0034】
前記基材用吸収体20及び中高用吸収体21はそれぞれ、形状保持および拡散性向上のために被包シート23、24によって囲繞されている。前記被包シート23、24としては、クレープ紙、親水性の不織布などを用いることができる。前記中高用吸収体21の被包シート24は、図3に示されるように、開口22のナプキン長手方向長さより長く形成され、この開口22より長手方向に延在した部分を基材用吸収体20側に接合することが好ましい。なお、図2及び図3に示される例では、基材用吸収体20を囲繞する被包シート23は、開口22において切除され、その縁部同士が接合されている。
【0035】
それぞれ被包シート23、24によって囲繞された前記基材用吸収体20及び中高用吸収体21は、生理用ナプキン1の幅方向中心部に長手方向に沿って塗布されたホットメルトなどの接着剤によって接合されている。
【0036】
前記吸収体4は、図5に示されるように、装着時に幅方向外側から内側方向に向かう圧縮力Fを受けた際、前記開口22内の両側壁22a、22aの間隔が狭まり。開口22両側の基材用吸収体20が中高用吸収体21を肌当接面側に押し退けるようにして中高用吸収体21の下側に入り込むことにより、中高用吸収体21が肌当接面側(透液性表面シート3側)に向けて突出可能に構成されている。
【0037】
このように、本生理用ナプキン1では、個装状態では使用面側に高い吸収体の中高部が形成されず、装着時に所定の圧縮力Fを受けることによって基材用吸収体20の開口22に嵌合された中高用吸収体21が肌当接面側に移動して中高部が形成されるようになっているため、個装状態において生理用ナプキン1を長手方向に折り畳んでも中高部の折りジワがきつくなるようなことがなく、従って装着時に中高部の隆起が制限されフィット性が低下して漏れが生じるなどの中高部としての機能が低下する問題が防止できる。また、個装状態において中高部が形成されないため、個装がコンパクトになり、携帯性に優れるようになる。
【0038】
更に、本生理用ナプキン1では、前記圧縮力Fを受けた際の基材用吸収体20と中高用吸収体21との摺動面となる、少なくとも開口22内の幅方向両側壁部22a、22a及び/又は前記中高用吸収体21の両側面部21a、21aにそれぞれ、摩擦抵抗を低下させる低摩擦シート25を配設することが好ましい。この低摩擦シート25を配設することにより、装着時に幅方向外側から内側に向かう圧縮力Fを受けた際、開口22近傍の基材用吸収体20が中高用吸収体21の下側にスムーズに入り込むため、中高用吸収体21が肌当接面側に向けて移動する一連の動作がスムーズに行われるようになる。
【0039】
前記基材用吸収体20に配設される低摩擦シート25は、図1に示されるように、生理用ナプキン1の幅方向に対して、前記開口22内の幅方向両側壁部22a、22aから基材用吸収体20の肌当接面側に延在して開口22より外側の範囲まで配設することが好ましい。また、図1に示されるように、中高用吸収体21を囲繞する被包シート23が開口22よりナプキン長手方向に延在して配設される場合、前記低摩擦シート25は、それぞれこの延在部分にも配設することが好ましい。
【0040】
前記低摩擦シート25は、摩擦抵抗の低いラミネート不織布又はフィルムなどを用いることができる。前記ラミネート不織布又はフィルムには滑剤を塗布することにより、さらに低摩擦化を図ることができる。前記滑剤としては、シリコン樹脂或いは、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化エチレンプロピレン樹脂に代表されるフッ素系樹脂、或いはパラフィンワックス等の鉱物系ワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックス、動物性又は植物性のワックス類などを好適に使用することができる。
【0041】
さらに別の態様としては、前記基材用吸収体20の被包シート23及び中高用吸収体21の被包シート24を不織布で構成した場合、少なくとも開口22内の幅方向両側壁部22a、22a及び中高用吸収体21の両側面部21a、21aに対してそれぞれ、低摩擦化加工処理を施すことにより滑り性を与えることもできる。前記低摩擦化加工処理は、不織布表面に圧力を加えることにより不織布表面に毛羽立つ繊維を不織布表面に寝かせるように押さえ付ける方法で行う。不織布表面に圧力を加える方法としては、不織布をローラーの間に挟み込んで表裏両面から圧力を加える方法が挙げられる。また、板等の二つの面で不織布を挟む等により行うこともできる。また、これらの加圧時に熱を加えるようにしてもよい。この低摩擦化加工処理により、不織布表面は毛羽立ちが押さえられて滑らかとなり摩擦係数が小さくなる。なお、低摩擦化加工処理としては毛羽立った繊維をカットして滑らかにする方法であってもよい。前記低摩擦化加工処理により不織布表面の摩擦抵抗としては、摩擦係数の平均偏差(MMD値)において、MD(Machine Direction)は0.01〜0.50、CD(Cross Direction)は0.01〜0.70であることが望ましい。
【0042】
一方、前記基材用吸収体20及び開口22の下側には親水性シート26を配設することが好ましい。前記親水性シート26としては、エアスルーなどの嵩高に形成された不織布、体液の拡散性を向上させるためパルプ繊維中に化学繊維を混合したものが好適に使用される。また前記親水性シート26には、トウ繊維(繊維束)やポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維を混合することができるし、トウ繊維のみで構成することもできる。前記トウ繊維としては、例えば、多糖類又はその誘導体(セルロース、セルロースエステル、キチン、キトサンなど)、合成高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリラクタアミド、ポリビニルアセテートなど)などを用いることができるが、特に、セルロースエステルおよびセルロースが好ましい。
【0043】
前記化学繊維は、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロンなどのポリアミド系、及びこれらの共重合体などの合成繊維を使用することができるし、これら2種を混合したものであってもよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイドバイサイド型繊維、分割型繊維などの複合繊維も用いることができる。前記化学繊維は、体液に対する親和性を有するように、疎水性繊維の場合には親水化剤によって表面処理したものを用いるのが望ましい。
【0044】
この親水性シート26は、前記基材用吸収体20の開口22において前記中高用吸収体21側に接合されている。このため、装着時に中高用吸収体21が肌当接面側に向けて移動するのとともに親水性シート26が引き上げられるため、この親水性シート26を通じて中高用吸収体21に吸収された体液が基材用吸収体20に移行され易くなる。
【0045】
前記開口22は、図6に示されるように、生理用ナプキン1の平面視で、生理用ナプキン1の長手方向両端部側に向けて漸次開口幅が小さくなるように形成することが好ましい。これにより、装着時に幅方向外側から内側方向に向かう圧縮力Fを受けた際、開口22の両側壁間が前側から後側に亘って均等に狭まりやすくなる。具体的な平面形状は、同図6に示されるように、(A)生理用ナプキン1の長手方向両端に頂点を有するように配向された六角形状、(B)生理用ナプキン1の長手方向に長い楕円形状、(C)生理用ナプキン1の長手方向に長い菱形形状、(C)前記六角形状の両側壁を内側に凸(図示例)又は外側に凸に湾曲又は屈曲させた形状などとすることができる。
【0046】
また、前記開口22の断面形状は、図2及び図3に示されるように、側面が肌当接面側に向けて開口面積が大きくなるように傾斜して形成することが好ましい。これにより、開口22の側壁が下側(非肌当接面側)が突出したクサビ状に形成されるため、装着時に幅方向外側から内側方向に向かう圧縮力Fを受けた際、開口22近傍の基材用吸収体20が中高用吸収体21の下側に入り込みやすくなり、中高用吸収体21の肌当接面側に向けた移動がスムーズに行われるようになる。
【0047】
前記開口22は、図1に示されるように、生理用ナプキン1の長手方向長さLが90mm以上、幅方向長さBが基材用吸収体20の幅方向長さMに対して25%以上、50%以下(0.25M≦B≦0.5M)であることが望ましい。長手方向長さLが90mmより小さいと中高用吸収体21によって排血口部をカバーできず、また幅方向長さBが0.25Mより小さいと中高吸収体21として十分な幅が確保できず、Bが0.5Mより大きいと装着時に基材用吸収体20が圧縮変形したとき中高用吸収体21の下側中央部まで入り込めなくなるためである。
【0048】
前記中高用吸収体21は、少なくとも一部が前記開口22に嵌合するように形成されている。即ち前記中高用吸収体21は、前記開口22の大きさ以下に形成し、その全部が開口22に嵌合可能とされたものであっても、開口22のナプキン幅方向長さB以下の幅を有し且つ開口22のナプキン長手方向長さLより長い帯状に形成し、その一部が前記開口22に嵌合可能とされたものであってもよい。前者の全部が開口22に嵌合可能とされた中高用吸収体21としては、開口22が形成されていない1枚の基材用吸収体20から開口22の部分を切り取った際の切り取り片を利用することができる。
【0049】
前記中高用吸収体21に対しては、基材用吸収体20の肌当接面側であって、前記開口22又はその近傍から生理用ナプキン1の後側の範囲に対し、体液拡散性シート27を配設することができる。
【0050】
例えば、図7では、中高用吸収体21の下側から開口22の後側の範囲に対し、帯状の体液拡散性シート27が配設されている。開口22より後側に延在する部分は、生理用ナプキン1の幅方向中央部に長手方向に沿って隙間が開けられていることが好ましい。この隙間を設けることにより、後方部分の幅方向中央部が肌面側に隆起する変形を妨げることがなくなる。
【0051】
また、図8では、中高用吸収体21を囲繞する被包シート23と基材用吸収体20との間であって、開口22の後端部近傍から生理用ナプキン1の後側の範囲に対し、体液拡散性シート27が配設されている。
【0052】
前記体液拡散性シート27を配設することにより、中高用吸収体21に吸収された体液の後方への拡散が促進され、中高用吸収体21の体液吸収限界による体液吸収の効果の低下が防止できる。前記体液拡散性シート27としては、体液吸収性を有し且つ拡散性に優れるトウ繊維からなるものが好適に使用できる。
【0053】
次に、吸収体4の製造手順について説明すると、前記前記開口22が形成された基材用吸収体20及び中高用吸収体21をそれぞれ、被包シート23、24によって囲繞した後、必要に応じて基材用吸収体20の肌当接面側を覆う被包シート23の外面であって少なくとも前記開口22内の両側壁部に対し低摩擦化処理を施すとともに、必要に応じて中高用吸収体21を囲繞する被包シート24の両側面部に低摩擦化処理を施す。その後、基材用吸収体20の肌当接面側を覆う被包シート23の外面であって少なくとも開口22の幅方向中央部に長手方向に沿って線状又は帯状にホットメルト等の接着剤を塗布し、その上面から中高用吸収体21を接合させるとともに、前記中高用吸収体21を前記開口22に嵌合させ、吸収体4が製造される。
【0054】
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、中高用吸収体21を囲繞する被包シート24が開口22よりナプキン長手方向に延在して設けられていたが、図9に示されるように、中高用吸収体21及び被包シート24を開口22とほぼ同形状に形成し、個装状態で中高用吸収体21及び被包シート24の全部が開口22に嵌合するようにしてもよい。
【0055】
(2)上記形態例では、前記親水性シート26は、基材用吸収体20を囲繞する被包シート23の外面側に配設されていたが、図10に示されるように、基材用吸収体20と被包シート23との間に配設してもよい。この場合、基材用吸収体20は親水性シート26とともに被包シート23によって囲繞され、開口22において、肌当接面側の被包シート23と親水性シート26とが接合されている。
【符号の説明】
【0056】
1…生理用ナプキン、2…不透液性裏面シート、3…透液性表面シート、4…吸収体、6…立体ギャザー形成用不織布、7…サイド不織布、20…基材用吸収体、21…中高用吸収体、22…開口、23・24…被包シート、25…低摩擦シート、26…親水性シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10