特許第5780782号(P5780782)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5780782
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】ティートカップライナー
(51)【国際特許分類】
   A01J 7/00 20060101AFI20150827BHJP
【FI】
   A01J7/00
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-46679(P2011-46679)
(22)【出願日】2011年3月3日
(65)【公開番号】特開2012-182999(P2012-182999A)
(43)【公開日】2012年9月27日
【審査請求日】2013年11月18日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、独立行政法人科学技術振興機構「地域卓越研究者戦略的結集プログラム(エキゾチック・ナノカーボンの創生と応用)」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000226677
【氏名又は名称】日信工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000103921
【氏名又は名称】オリオン機械株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】300025114
【氏名又は名称】興和ゴム工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(72)【発明者】
【氏名】植木 宏之
(72)【発明者】
【氏名】町田 一幸
(72)【発明者】
【氏名】米村 真吾
(72)【発明者】
【氏名】祖山 光文
(72)【発明者】
【氏名】野口 徹
【審査官】 竹内 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−001266(JP,U)
【文献】 特開2003−041064(JP,A)
【文献】 特開2002−103412(JP,A)
【文献】 特開昭56−106936(JP,A)
【文献】 特表2006−510381(JP,A)
【文献】 特開2005−129144(JP,A)
【文献】 特開2010−265154(JP,A)
【文献】 米国特許第03934550(US,A)
【文献】 米国特許第06476154(US,B1)
【文献】 炭素、2006年、223号、232〜243頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01J 5/00−7/00
C08K 3/04
C08L 9/02
F16L 11/04
C01B 31/00−31/36
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニトリルゴムとカーボンブラックとを含み、
前記カーボンブラックは、平均粒子径が18nm以上80nm以下であり、DBP吸収量が90cm/100g以上160cm/100g以下であって、前記ニトリルゴム100質量部に対し、40質量部以上55質量部以下含む、ティートカップライナー用ゴム組成物を用いて筒状に形成され、
乳頭が挿入される第1の開口部と、該第1の開口部に対向する第2の開口部と、該第1の開口部側に形成された胴部と、該第2の開口部側に形成された該胴部より厚肉かつ凹凸が形成された先端付近以外では均一な肉厚のショートミルクチューブと、を有し、
前記ショートミルクチューブの管路は陰圧でも常に開いた状態にあると共に、前記ショートミルクチューブを屈曲することにより管路を閉鎖する屈曲部を、前記先端付近以外に配する、ティートカップライナー。
【請求項2】
請求項1において、
前記ティートカップライナー用ゴム組成物は、硬度(JIS−A)が50度以上56度以下である、ティートカップライナー。
【請求項3】
請求項1または2に記載において、
前記先端付近以外の前記ショートミルクチューブは、2.5mm以上3.8mm以下の範囲で均一な肉厚である、ティートカップライナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搾乳装置に使用されるティートカップライナー用ゴム組成物を用いたティートカップライナーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ティートカップは、搾乳装置を用いて哺乳動物例えば牛の搾乳を行う際に、乳頭に装着される。ティートカップは、例えば1つの搾乳装置に複数設けられ、乳頭を受け入れるティートカップライナーと、ティートカップライナーの周囲に装着される円筒状のティートカップシェルと、を備えていた。ティートカップシェルは例えばステンレスなどの金属製であり、ティートカップシェル内部とエア式パルセータとの間をチューブで接続される。ティートカップライナーは、ゴム組成物で一体的に形成された略円筒状の部材であり、ティートカップシェル内で脈動する胴部と、ティートカップシェルの外に延びるショートミルクチューブと、を有していた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、ティートカップライナーにおける特にショートミルクチューブは、搾乳作業や保管時に繰り返し折り曲げ変形することなどによる屈曲疲労によって亀裂やひび割れが発生していた。そのため、一般にティートカップライナーは亀裂による搾乳不良が発生する前、例えば6カ月程度で交換していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−92887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、屈曲疲労耐久性を向上させたティートカップライナー用ゴム組成物を用いたティートカップライナーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかるティートカップライナーは
ニトリルゴムとカーボンブラックとを含み、
前記カーボンブラックは、平均粒子径が18nm以上80nm以下であり、DBP吸収量が90cm/100g以上160cm/100g以下であって、前記ニトリルゴム100質量部に対し、40質量部以上55質量部以下含む、ティートカップライナー用ゴム組成物を用いて筒状に形成され、
乳頭が挿入される第1の開口部と、該第1の開口部に対向する第2の開口部と、該第1の開口部側に形成された胴部と、該第2の開口部側に形成された該胴部より厚肉かつ凹凸が形成された先端付近以外では均一な肉厚のショートミルクチューブと、を有し、
前記ショートミルクチューブの管路は陰圧でも常に開いた状態にあると共に、前記ショートミルクチューブを屈曲することにより管路を閉鎖する屈曲部を、前記先端付近以外に配する
【0007】
本発明にかかるティートカップライナーによれば、屈曲疲労耐久性を向上させることができる。
【0008】
本発明にかかるティートカップライナーにおいて、
前記ティートカップライナー用ゴム組成物は、硬度(JIS−A)が50度以上56度以下であることができる。
本発明にかかるティートカップライナーにおいて、
前記先端付近以外の前記ショートミルクチューブは、2.5mm以上3.8mm以下の範囲で均一な肉厚であることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ティートカップライナーの縦断面図であって、吸引期の状態を示す図である。
図2】ティートカップライナーの縦断面図であって、休止期の状態を示す図である。
図3】ティートカップの保管時の状態を示す側面図である。
図4】ティートカップライナーの屈曲試験装置を示す側面図である。
図5】ティートカップライナーの屈曲試験装置の動作を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
本発明の一実施の形態にかかるティートカップライナーは、ニトリルゴムとカーボンブラックとを含み、前記カーボンブラックは、平均粒子径が18nm以上80nm以下であり、DBP吸収量が90cm/100g以上160cm/100g以下であって、前記ニトリルゴム100質量部に対し、40質量部以上55質量部以下含む、ティートカップライナー用ゴム組成物を用いて筒状に形成され、乳頭が挿入される第1の開口部と、該第1の開口部に対向する第2の開口部と、該第1の開口部側に形成された胴部と、該第2の開口部側に形成された該胴部より厚肉かつ凹凸が形成された先端付近以外では均一な肉厚のショートミルクチューブと、を有し、前記ショートミルクチューブの管路は陰圧でも常に開いた状態にあると共に、前記ショートミルクチューブを屈曲することにより管路を閉鎖する屈曲部を、前記先端付近以外に配する
【0015】
図1は、本実施の形態に係るティートカップライナー2の縦断面図であって、吸引期の状態を示す図である。図2は、本実施の形態に係るティートカップライナー2の縦断面図であって、休止期の状態を示す図である。
ティートカップ10は、牛などの乳頭Tに装着される搾乳機器であり、乳頭Tを受け入れるティートカップライナー2と、ティートカップライナー2の周囲に装着される円筒状のティートカップシェル1と、を備えている。
【0016】
ティートカップシェル1は、金属製、例えばステンレス製の円筒状であって、内部に装入されたティートカップライナー2との間に真空室24が形成される。真空室24は、ティートカップシェル1の側面から突出する管状の接続部13及び接続部13に接続された図示しないチューブを介して、図示しないパルセータに接続される。パルセータは、予め設定された所定の周期、例えば約1秒程度の周期で真空圧と大気圧とを交互に切り替えて真空室24の気圧を変化させることができる。
【0017】
ティートカップライナー2は、柔軟なゴム組成物によって一体的に形成されている。ティートカップライナー2は、例えば横断面が円形の管路26A,26Bを内部に有する筒状に形成され、乳頭Tが挿入される第1の開口部3と、第1の開口部3が形成された頭部21と、第1の開口部3に対向する第2の開口部4と、第1の開口部3側に形成された胴部22と、第2の開口部4側に形成された胴部22より厚肉のショートミルクチューブ23と、を有する。頭部21は、胴部22から外側に拡径して形成され、その先端において内側へ張り出したリップ部25と、胴部22側に向かって略円筒状に延びるスカート部27と、を有する。第1の開口部3は、リップ部25の内周の縁に形成されている。胴部22は、パルセータによって脈動するため比較的薄肉に形成され、乳頭Tからの乳汁Mを流す管路26Aを内側に形成する。胴部22の下端には、胴部22から外側に拡径する拡径部29が形成され、拡径部29の外周には環状の嵌入溝28が形成されている。ティートカップシェル1は、スカート部27と胴部22との間に一方の開口部11が配置され、他方の開口部12が嵌入溝28に嵌めこまれ、ティートカップライナー2と一体化している。ショートミルクチューブ23は、胴部22の拡径部29から延びる略円筒状に形成され、その端部には第2の開口部4が形成されている。
【0018】
ショートミルクチューブ23は、第2の開口部4が図示しないパルセータの送乳用の真空ラインに接続され、ショートミルクチューブ23の管路26B内が常時陰圧となるように調圧されている。図1に示すように、真空室24が真空圧の状態すなわち吸引期にあっては、胴部22の管路26Aの中央領域が開いた状態であり、乳汁Mが管路26A,26Bを経てパルセータへ吸引される。図2に示すように、真空室24に空気が導入された大気圧の状態すなわち休止期にあっては、胴部22の管路26Aの中央領域の対向面が密着して管路26Aを閉じて乳汁Mの吸引を停めることができる。搾乳作業中の吸入期及び吸引期においては、ショートミルクチューブ23の管路26Bは常に開いた状態にあるが、搾乳作業をしていない例えば保管時においては、図3に示すようにショートミルクチューブ23を途中で折り曲げるようにすることがある。このようにショートミルクチューブ23が折り曲げられている状態にあっては、屈曲部Xにおいて管路26Bを閉じることができる。また、ショートミルクチューブ23の肉厚A(図1,2参照)は、2.5mm以上3.8mm以下であることができる。ショートミルクチューブ23は、図1及び図2に示すように、凹凸が形成された先端付近以外では均一な肉厚であることができる。ショートミルクチューブ23の肉厚Aを従来よりも薄くすることができるため、ショートミルクチューブ23における材料費を削減することができる。また、肉厚Aを薄くすることによって、搾乳時において乳汁Mがショートミルクチューブ23内を移動していることを作業者が把握しやすくなる傾向がある。
【0019】
ティートカップライナー2に用いるゴム組成物は、ニトリルゴムとカーボンブラックとを含み、カーボンブラックは、平均粒子径が18nm以上80nm以下であり、DBP吸収量が90cm/100g以上160cm/100g以下であって、ニトリルゴム100質量部に対し、40質量部以上55質量部以下含む。カーボンブラックの平均粒子径は、カーボンブラックの凝集体を構成する小さな球状の成分の直径を電子顕微鏡により測定し算出した平均値である。カーボンブラックの平均粒子径は、さらに20nm以上75nm以下であることができ、特に27nm以上72nm以下であることができる。カーボンブラックのDBP吸収量は、さらに100cm/100g以上160cm/100g以下であることができる。DBP吸収量は、カーボンブラック100gが吸収するDBP(ジブチルフタレート)量(cm/100g)であり、JIS K6217−4(ASTM D 2414)に従って測定される。DBP吸収量によって、カーボンブラック粒子同士が融着したアグリゲートの発達度合いであるストラクチャーを間接的に定量することができる。DBP吸収量が多いハイストラクチャーなカーボンブラックを用いることによってゴム組成物の屈曲疲労耐久性を向上することができる。また、質量部は、特に指定しない限り「phr」を示し、「phr」は、parts per hundred of rubberの省略形であって、ゴムに対する添加剤等の外掛百分率を表すものである。このようなカーボンブラック配合することでカーボンブラックが比較的少ない配合量であってもニトリルゴムの柔軟性を維持しながら適度に補強することができ、ティートカップライナーのショートミルクチューブの屈曲疲労耐久性を向上させることができる。
【0020】
ティートカップライナーに用いるゴム組成物における硬度(JIS−A)は、50度以上56度以下であることができ、さらに、51度以上54度以下であることができる。ティートカップライナーに用いるゴム組成物の硬度は、搾乳作業の際に牛にストレスを与えないようにするために所定範囲にすることが望ましく、可塑剤の配合量とカーボンブラックの配合量によって調節することができる。具体的には、カーボンブラックの配合量を増やすと硬度は高くなり、可塑剤を増やすと硬度は低くなる。可塑剤としては、公知の可塑剤を用いることができる。
【0021】
ティートカップライナーに用いるゴム組成物におけるニトリルゴムは、アクリロニトリルとブタジエンの共重合体であり、搾乳時に牛に過度なストレスを与えない柔軟性や比較的安価でありながら疲労耐久性に優れるなどの観点から、ニトリル含量が18質量%以上25質量%以下であることができ、ムーニー粘度ML1+4(中心地100℃)が30以上80以下であることができる。
【実施例】
【0022】
(実施例1〜10、比較例1〜2)
(1)ゴム組成物サンプルの作成
実施例1〜10及び比較例1〜2を表1〜3の配合で6インチ・オープンロールを用いて混練し、分出ししたゴム組成物を金型にセットし、145℃、20分間プレス架橋を行ってゴム組成物サンプルを得た。配合を表1〜3に示した。使用材料は、以下の通りであった。
1.ニトリルゴム(NBR):ニトリル含量20質量%、ムーニー粘度ML1+4(中心値100℃)63。
2.カーボンブラック:MAF−HS、HAF、HAF−HS、FEF−HS、SRF−HS、FEF、SRF。なお、各粒子径(D(nm))及びDBP吸収量(DBP(cm/100g))は表4に示した。
3.可塑剤、硫黄、加硫促進剤、亜鉛華、老化防止剤、ステアリン酸。
【0023】
(2)常態物性の測定
常態物性として、実施例1〜10及び比較例1〜2について、室温における硬度、100%及び300%モジュラス、引張強さ、破断伸び及び圧縮永久歪み率を測定した。測定結果を表1〜3に示した。
【0024】
ゴム硬度(表1〜4において「Hs(JIS−A)」で示した。)は、JIS K 6253に基づいて測定した。
【0025】
100%伸び時の応力(表1〜3において「σ100(MPa)」で示した。)、300%伸び時の応力(表1〜3において「σ300(MPa)」で示した。)、引張強さ(表1〜3において「TS(MPa)」で示した。)、及び破断伸び(表1〜3において「EB(%)」で示した。)は、JIS3号形のダンベル形状に切り出した試験片について、上島製作所社製の引張試験機を用いて、23±2℃、引張速度500mm/minでJIS K6251に基づいて引張試験を行い測定した。なお、「σ100」及び「σ300」は、「100%モジュラス(M100)」及び「300%モジュラス(M300)」と呼ばれることがある。
【0026】
圧縮永久歪み率(表1〜3において「CS(%)」で示した。)は、JIS K 6262に基づいて測定した。測定条件は、25%圧縮、70℃、22時間で行なった。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】
(3)製品評価
比較例1〜2及び実施例1〜10の配合で図1に示したティートカップライナーを作成し、屈曲試験を行った。その結果を表5〜7に示した。
比較例1〜2及び実施例1〜5は、同じ金型で成形したティートカップライナーを用いた。ショートミルクチューブの肉厚Aは3.9mmであった。
実施例6−10は、ショートミルクチューブの内径を広げた金型(中子)を用いて成形したティートカップライナーであって、ショートミルクチューブの肉厚Aは3.6mmであった。
また、実施例11〜14として、実施例1の配合のゴム組成物を用いてショートミルクチューブの肉厚Aを3.0mm〜3.9mmまで変化させた金型を用いて成形したティートカップライナーを用いて、屈曲試験を行った。実施例11〜14の結果については、表6に示した。
さらに、実施例15〜16として、実施例6の配合のゴム組成物を用いてショートミルクチューブの肉厚Aを2.7mmと3.9mmに変化させた金型を用いて成形したティートカップライナーを用いて、屈曲試験を行った。実施例15〜16の結果については、表7に示した。
【0032】
屈曲試験は、図4,5に示す屈曲試験装置30を用いて行った。図4は、ティートカップライナー10の屈曲試験装置30を示す側面図である。図5は、ティートカップライナー10の屈曲試験装置30の動作を示す側面図である。屈曲試験装置30は、機台32上に固定された基板33と、基板33に固定されたエアシリンダ34と、を含む。エアシリンダ34の駆動ロッド36の先端には、ティートカップシェル1と連結する昇降板35が固定され、エアシリンダ34によって昇降可能である。実施例1〜16のティートカップライナー10を屈曲試験装置30に図4に示すように設置し、エアシリンダ34によって駆動ロッド36を駆動して図5に示すようにティートカップシェル1を降下させてショートミルクチューブ23を屈曲させ、さらにエアシリンダ34によって図4の状態に上昇させることで繰り返し屈曲させた。ショートミルクチューブ23の先端は、機台32に図示せぬ接続部を介して固定した。図5のように、ショートミルクチューブ23の屈曲動作時に変形の大きな部位230、231、232を観察し、亀裂が発生した回数(表5〜7において「屈曲試験(×10)」で示した)を表5〜7に示した。なお、実施例11,12については、162万回繰り返し屈曲させても亀裂が生じなかったので試験を中止した。
【0033】
【表5】
【0034】
【表6】
【0035】
【表7】
【0036】
表5〜7によれば、比較例2のティートカップライナーに比べて、実施例1〜16のティートカップライナーの方がショートミルクチューブに亀裂が発生するまでの屈曲回数が8万回以上多かった。したがって、実施例1〜16のティートカップライナー及びゴム組成物の方が屈曲疲労耐久性に優れていた。また、実施例6〜13及び実施例16のティートカップライナーは、肉厚Aを比較例2のティートカップライナーより薄くしても屈曲疲労耐久性に優れていた。
【符号の説明】
【0037】
1 ティートカップシェル、2 ティートカップライナー、3 第1の開口部、4 第2の開口部、10 ティートカップ、11 開口、12 開口、13 接続部、21 頭部、22 胴部、23 ショートミルクチューブ、24 真空室、26A 管路、26B 管路、27 スカート部、28 嵌入部、29 拡径部、T 乳頭、M 乳汁、A ショートミルクチューブの肉厚、X 屈曲部、30 屈曲試験装置、32 機台、33 基板、34 エアシリンダ、35 昇降板、36 駆動ロッド、230〜232 変形の大きな部位
図1
図2
図3
図4
図5