特許第5780790号(P5780790)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5780790
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20150827BHJP
   A61F 13/472 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   A61F13/18 340
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-63880(P2011-63880)
(22)【出願日】2011年3月23日
(65)【公開番号】特開2012-196399(P2012-196399A)
(43)【公開日】2012年10月18日
【審査請求日】2014年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104927
【弁理士】
【氏名又は名称】和泉 久志
(72)【発明者】
【氏名】栗原 涼子
【審査官】 笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−284231(JP,A)
【文献】 特開2010−042060(JP,A)
【文献】 実開平04−042817(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/00
A61F 13/15 〜 13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透液性表面シートと裏面シートとの間に吸収体が介在されるとともに、使用面側の両側部にそれぞれ長手方向に沿って断面が中空のループ状立体ギャザーが形成された吸収性物品において、
前記ループ状立体ギャザーは、少なくとも前記吸収性物品の幅方向外側と内側のそれぞれに長手方向に沿って形成された接合部によって前記吸収性物品の使用面側に接合されるとともに、前記外側接合部の近傍を起立基端とする外側傾斜面と前記内側接合部の近傍を起立基端とする内側傾斜面とを有し、これら外側傾斜面と内側傾斜面との交点を頂部とする構造を有し、
前記吸収性物品の長手方向両端部では、前記外側傾斜面を前記ループ状立体ギャザーの内側に折り畳むように積層することにより、前記ループ状立体ギャザーの起立をなくした非起立部とされ、
前記ループ状立体ギャザーの起立部では、前記外側傾斜面の基端部から頂部までの長さが、前記内側傾斜面の基端部から頂部までの長さより短く形成され、且つ前記吸収性物品の幅方向線に対する前記内側傾斜面の傾斜角度が45°以下であり、かつ前記ループ状立体ギャザーには、前記吸収性物品の長手方向に沿って複数の弾性伸縮部材が配設され、前記外側傾斜面に配設される弾性伸縮部材は、前記内側傾斜面に配設される弾性伸縮部材より伸縮力が高く設定されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記ループ状立体ギャザーは、前記吸収性物品の幅方向外側から内側方向に延在したシートが内側位置で表面から突出方向の起立側に折り返される第1折返し部と、この第1折返し部に連続する起立側位置で前記吸収性物品の幅方向外側であって前記裏面シート側に折り返される第2折返し部と、この第2折返し部に連続する前記吸収性物品の使用面側位置で幅方向内側に折り返される第3折返し部とを有し、前記第1折返し部から順に第1折返し面、第2折返し面、第3折返し面が形成され、
前記第1折返し面が前記内側傾斜面、前記第2折返し面が前記外側傾斜面とされ、且つ前記第1折返し部の外側近傍に前記内側接合部が形成されるとともに、前記第3折返し面に前記外側接合部が形成されている請求項1記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経血やおりものなどを吸収するための生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド等の吸収性物品に係り、身体に密着でき、漏れ防止効果が高いループ状立体ギャザーを備えた吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パンティライナー、生理用ナプキン、失禁パッドなどの吸収性物品として、ポリエチレンシートまたはポリエチレンシートラミネート不織布などの不透液性裏面シートと、不織布または透液性プラスチックシートなどの透液性表面シートとの間に綿状パルプ等からなる吸収体を介在したものが知られている。
【0003】
この種の吸収性物品においては、排泄された体液の横漏れを防止するため、吸収性物品の使用面側の両側部にそれぞれ長手方向に沿って表面側に起立する立体ギャザーが種々の形態で形成されている。
【0004】
例えば、下記特許文献1では、表面層における長手方向の両側部に互いに離間して形成され、シート状部材により中空部を有するように構成される一対のギャザーを備え、前記一対のギャザーそれぞれは、前記シート状部材が、吸収性物品の肌当接面側に凸となるような立体形状部を有し、該立体形状部は、吸収性物品の長手方向に延びるように形成された接合部により表面層及び/又は裏面層に接合されるとともに、中空部を構成するようにして形成され、前記接合部は、前記立体形状部における幅方向内方側の端部を形成する第1接合端部と、該立体形状部における幅方向外方側の端部を形成する第2接合端部とを含み、前記立体形状部における前記第1接合端部から前記第2接合端部までの長さL1と、前記第1接合端部と前記第2接合端部との間の距離である接合端部間距離L2との比(L1/L2)は2以上である吸収性物品が開示されている。
【0005】
また、下記特許文献2では、吸収性本体の長手方向両側部それぞれに帯状の伸縮性シートを接合して形成された中空のループ状の防漏壁を備え、前記防漏壁それぞれは、装着者の体液排泄部に当接される排泄部領域を含む、該配設領域からその後方にかけての領域及び該排泄部領域からその前方にかけての領域の少なくとも何れか一方に、前記伸縮性シートの他側部が接合された接合部が、前記排泄部領域からその後方にかけての領域及び該排泄部領域からその前方にかけての領域の少なくとも何れか一方に、吸収性物品の幅方向の内側に向かって凸状に湾曲又は屈曲している内方凸部を有し、さらに前記伸縮性シートの一側部が接合された接合部が、他側部側の接合部が内方凸部を形成している部分において、吸収性物品の幅方向の外方に向かって凸状に湾曲又は屈曲している外方凸部を有していることにより、該防漏壁の高さが部分的に高い高壁部を有している吸収性物品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−6065号公報
【特許文献2】特開2010−110558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1記載の吸収性物品では、立体ギャザーの幅方向断面形状が接合端部間距離L2よりもギャザーの立体形状における最大幅L3の方が大きい略Ω形状を有しているため、中空の立体形状部は必ずしも十分な高さで形成され難く、身体との密着性が失われて横漏れを生じるおそれがあった。
【0008】
また、上記特許文献2記載の吸収性物品では、伸縮性シートの接合部を蛇行させることによって中空のループ状の防漏壁の高さを部分的に高くした高壁部を形成しているが、この高壁部が装着時に内側に倒れる可能性があり、この場合には吸収体の上面が伸縮性シートによって覆われるため、体液の吸収機能が低下するおそれがあった。上記特許文献1記載の吸収性物品においても、特に吸収性物品の長手方向両端部側における接合端部間距離を吸収性物品の長手方向中央部における接合端部間距離よりも大きく形成した場合には同様の問題が生じ得る。
【0009】
そこで本発明の主たる課題は、使用面側の両側部にそれぞれ長手方向に沿って中空のループ状立体ギャザーが形成された吸収性物品において、身体に密着し得る十分な高さが確保できるとともに、ギャザーが内側に倒れにくく、漏れ防止効果を高くした吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、透液性表面シートと裏面シートとの間に吸収体が介在されるとともに、使用面側の両側部にそれぞれ長手方向に沿って断面が中空のループ状立体ギャザーが形成された吸収性物品において、
前記ループ状立体ギャザーは、少なくとも前記吸収性物品の幅方向外側と内側のそれぞれに長手方向に沿って形成された接合部によって前記吸収性物品の使用面側に接合されるとともに、前記外側接合部の近傍を起立基端とする外側傾斜面と前記内側接合部の近傍を起立基端とする内側傾斜面とを有し、これら外側傾斜面と内側傾斜面との交点を頂部とする構造を有し、
前記吸収性物品の長手方向両端部では、前記外側傾斜面を前記ループ状立体ギャザーの内側に折り畳むように積層することにより、前記ループ状立体ギャザーの起立をなくした非起立部とされ、
前記ループ状立体ギャザーの起立部では、前記外側傾斜面の基端部から頂部までの長さが、前記内側傾斜面の基端部から頂部までの長さより短く形成され、且つ前記吸収性物品の幅方向線に対する前記内側傾斜面の傾斜角度が45°以下であり、かつ前記ループ状立体ギャザーには、前記吸収性物品の長手方向に沿って複数の弾性伸縮部材が配設され、前記外側傾斜面に配設される弾性伸縮部材は、前記内側傾斜面に配設される弾性伸縮部材より伸縮力が高く設定されていることを特徴とする吸収性物品が提供される。
【0011】
上記請求項1記載の発明では、吸収性物品の長手方向両端部において、外側傾斜面をループ状立体ギャザーの内側に折り畳むように積層することにより、ループ状立体ギャザーの起立をなくした非起立部とされているため、ループ状立体ギャザーの起立部においては、前記外側傾斜面が広がって高く起立した中空部が形成されるようになる。従って、身体に密着し得る十分な高さが確保でき、脚回りにフィットして漏れ防止効果が高くなる。
【0012】
また、ループ状立体ギャザーの起立部では、外側傾斜面の基端部から頂部までの長さが、内側傾斜面の基端部から頂部までの長さより短く形成され、且つ前記吸収性物品の幅方向線に対する内側傾斜面の傾斜角度が45°以下で形成されているため、吸収性物品の装着時に、外側傾斜面が外側に膨出するようにしてループ状立体ギャザーが全体的に外側に倒れるように変形する。従って、ループ状立体ギャザーが内側に倒れて体液吸収面を覆うような事態が防止できるので、体液吸収機能が低下することがなくなり、漏れ防止効果が高まるようになる。
【0013】
さらに本発明では、外側傾斜面に配設される弾性伸縮部材の伸縮力を、内側傾斜面に配設される弾性伸縮部材の伸縮力より大きくなるように設定してあるため、両端の非起立部においてループ状立体ギャザーの内側に折り畳まれた外側傾斜面を起立部において十分に起立させることができるようになる。
【0014】
請求項2に係る本発明として、前記ループ状立体ギャザーは、前記吸収性物品の幅方向外側から内側方向に延在したシートが内側位置で表面から突出方向の起立側に折り返される第1折返し部と、この第1折返し部に連続する起立側位置で前記吸収性物品の幅方向外側であって前記裏面シート側に折り返される第2折返し部と、この第2折返し部に連続する前記吸収性物品の使用面側位置で幅方向内側に折り返される第3折返し部とを有し、前記第1折返し部から順に第1折返し面、第2折返し面、第3折返し面が形成され、
前記第1折返し面が前記内側傾斜面、前記第2折返し面が前記外側傾斜面とされ、且つ前記第1折返し部の外側近傍に前記内側接合部が形成されるとともに、前記第3折返し面に前記外側接合部が形成されている請求項1記載の吸収性物品が提供される。
【0015】
上記請求項2記載の発明は、具体的なループ状立体ギャザーの形態例を示したものであり、これにより横断面視略三角形状のループ状立体ギャザーが形成できる。
【発明の効果】
【0016】
以上詳説のとおり本発明によれば、身体に密着し得る十分な高さが確保できるとともに、ギャザーが内側に倒れにくく、漏れ防止効果を高くした吸収性物品が提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る生理用ナプキン1の一部破断展開図である。
図2】そのII−II線矢視図である。
図3図1のIII−III線矢視図である。
図4】ループ状立体ギャザーBSを示す生理用ナプキン1の横断面図である。
図5】本生理用ナプキン1の装着要領を示す横断面図である。
図6】他の生理用ナプキンの装着要領を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0019】
〔生理用ナプキン1の基本構造〕
本発明に係る生理用ナプキン1は、ポリエチレンシートなどからなる不透液性裏面シート2と、経血やおりものなどを速やかに透過させる透液性表面シート3と、これら両シート2,3間に介装された綿状パルプまたは合成パルプなどからなる吸収体4と、この吸収体4の形状保持および拡散性向上のために前記吸収体4を囲繞するクレープ紙5と、前記吸収体4の略側縁部を起立基端とし、かつ少なくとも体液排出部Hから前後方向に所定の区間内において表面側(使用面側)に突出して設けられた左右一対のループ状立体ギャザーBS、BSを形成するギャザー形成用不織布6とから主に構成され、かつ前記吸収体4の周囲においては、その上下端縁部では前記不透液性裏面シート2と透液性表面シート3との外縁部がホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、またその両側縁部では吸収体4よりも側方に延出している前記不透液性裏面シート2と、ギャザー形成用不織布6とがホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、これら不透液性裏面シート2とギャザー形成用不織布6とによる積層シート部分によって側方に突出するウイング状フラップW、Wが形成されているとともに、これよりも臀部側に位置する部分に第2ウイング状フラップW、Wが形成されている。
【0020】
以下、さらに前記生理用ナプキン1の構造について詳述すると、
前記不透液性裏面シート2は、ポリエチレン等の少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが好適に用いられる。前記不透液性裏面シート2の非使用面側(外面)には1または複数条の粘着剤層(図示せず)が形成され、身体への装着時に生理用ナプキン1を下着に固定するようになっている。前記不透液性裏面シート2としては、プラスチックフィルムと不織布とを積層させたポリラミ不織布を用いてもよい。
【0021】
次いで、前記透液性表面シート3は、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。前記透液性表面シート3に多数の透孔を形成した場合には、経血やおりもの等(以下、まとめて体液という。)が速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。
【0022】
前記不透液性裏面シート2と透液性表面シート3との間に介在される吸収体4は、たとえばフラッフ状パルプと吸水性ポリマーとにより構成されている。前記吸水性ポリマーは吸収体を構成するパルプ中に、例えば粒状粉として混入されている。前記パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。本例のように、吸収体4を囲繞するクレープ紙5を設ける場合には、結果的に透液性表面シート3と吸収体4との間にクレープ紙5が介在することになり、吸収性に優れる前記クレープ紙5によって体液を速やかに拡散させるとともに、これら経血等の逆戻りを防止するようになる。
【0023】
本生理用ナプキン1の表面には、適宜の形状で圧搾溝8を形成することができる。図1に示される例では、ナプキン1の長手方向に細長く、かつ周方向に閉合する圧搾溝8が形成されている。
【0024】
前記透液性表面シート3の幅寸法は、図示例では、図2の横断面図に示されるように、吸収体4の幅よりも若干長めとされ、吸収体4を覆うだけに止まり、前記立体ギャザーBS、BSは前記透液性表面シート3とは別のギャザー形成用不織布6によって形成され、立体ギャザーBS、BSの外側には、前記不透液性裏面シート2の表面側に外側に延びるギャザー形成用不織布6が積層されている。これらギャザー形成用不織布6は、経血やおりもの等が浸透するのを防止する、あるいは肌触り感を高めるなどの目的に応じて、適宜の撥水処理または親水処理を施した不織布素材を用いて構成されている。かかる不織布6としては、天然繊維、合成繊維または再生繊維などを素材として、適宜の加工法によって形成されたものを使用することができるが、好ましくはゴワ付き感を無くすとともに、ムレを防止するために、坪量を抑えて通気性を持たせた不織布を用いるのがよい。具体的には、坪量を13〜23g/mとして作製された不織布を用いるのが望ましく、かつ体液の透過を確実に防止するためにシリコン系、パラフィン系、アルキルクロミッククロリド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布が好適に使用される。
【0025】
前記ギャザー形成用不織布6は、図2に示されるように、不透液性裏面シート2の外縁までの範囲に亘ってホットメルトなどの接着剤によって接着し、これら前記ギャザー形成用不織布6と不透液性裏面シート2との積層シート部分により、ほぼ体液排出部に相当する吸収体側部位置に左右一対のウイング状フラップW、Wを形成するとともに、これより臀部側位置に第2ウイング状フラップW、Wを形成している。これらウイング状フラップW、Wおよび第2ウイング状フラップW、Wの外面側にはそれぞれ粘着剤層10…,11…を備え、ショーツに対する装着時に、前記ウイング状フラップW、Wを折返し線RL位置にて反対側に折り返し、ショーツのクロッチ部分に巻き付けて止着するようになっている。
【0026】
前記ギャザー形成用不織布6は、ナプキン1の幅方向内側部分が二重に折り返され、この二重シート部分を生理用ナプキン1の表面から突出する起立側に適宜折り返して中空のループ状立体ギャザーBSを形成している。前記二重シート内部の所定位置には、表面から突出する起立側中間部に両端または長手方向の適宜の位置が固定された複数条の弾性伸縮部材21…、22…が配設されている。
【0027】
以下、このループ状立体ギャザーBSについて詳述する。
〔ループ状立体ギャザーBSについて〕
前記ループ状立体ギャザーBSは、少なくともナプキン1の幅方向外側と内側のそれぞれに長手方向に沿って形成された外側接合部30及び内側接合部31によってナプキン1の使用面側に接合されるとともに、前記外側接合部30の近傍を起立基端とする外側傾斜面32と前記内側接合部31の近傍を起立基端とする内側傾斜面33とを有し、これら外側傾斜面32と内側傾斜面33との交点を頂部Pとする構造を有することによって、断面が中空のループ状とされたものである。前記外側接合部30及び内側接合部31は、その幅方向範囲が明確に画成されていなくても、外側傾斜面32及び内側傾斜面33の起立基端からナプキン幅方向に一定の範囲に形成された接合部の部分であればよい。前記外側接合部30及び内側接合部31は、ナプキン長手方向に沿ってほぼ直線状に形成されている。
【0028】
具体的に図4に示される例では、前記ループ状立体ギャザーBSは、ナプキン1の幅方向外側から内側方向に延在した前記ギャザー形成用不織布6の二重シート部分が内側位置で表面から突出方向の起立側に折り返される第1折返し部34と、この第1折返し部34に連続する起立側位置でナプキン1の幅方向外側であって前記裏面シート2側に折り返される第2折返し部35と、この第2折返し部35に連続するナプキン1の使用面側位置で幅方向内側に折り返される第3折返し部36とを有し、前記第1折返し部34から順に第1折返し面37、第2折返し面38、第3折返し面39が形成されている。すなわち、前記第1折返し面37が内側傾斜面33、前記第2折返し面38が外側傾斜面32とされ、且つ前記第1折返し部34の外側近傍に前記透液性表面シート3に接合される内側接合部31が形成されるとともに、第3折返し面39に前記ギャザー形成用不織布6に接合される外側接合部30が形成されている。前記第1折返し部34より幅方向外側の二重シートのうち、少なくとも一方のシート、図示例ではループ状の内側シートが、生理用ナプキン1の側縁まで延在している。
【0029】
前記ループ状立体ギャザーBSは、この図示例に限定されるものではなく、ナプキン1の幅方向外側から内側方向に延在したギャザー形成用不織布6を、外側位置で起立側に折り返した後、起立側位置でナプキン1の幅方向内側であって裏面シート2側に折り返すことによって中空のループ状立体ギャザーBSを形成してもよい。
【0030】
前記ループ状立体ギャザーBSは、図4に示される横断面視で、外側傾斜面32、内側傾斜面33がそれぞれ起立基端部から頂部Pにかけて直線的に形成される必要はなく、図示例のように中間部で屈折部を有していたり、起立基端部から頂部Pにかけて曲線状に湾曲していたりしてもよい。なお、全体が曲線状に形成される場合には、ナプキン表面からの起立高さが最大の点を頂部Pとし、これを境界として幅方向外側又は内側をそれぞれ外側傾斜面32、内側傾斜面33とする。
【0031】
図3に示されるように、ナプキン1の長手方向両端部では、前記外側傾斜面32をループ状立体ギャザーBSの内側に折り畳むようにして積層することにより、ループ状立体ギャザーBSの起立をなくした非起立部とされている。図3に示される例では、外側傾斜面32の高さ方向の中央部を内側にして二重に折り畳み、ループ状立体ギャザーBSの内側に積層するとともに、この折り畳み部分同士をホットメルト等の接着剤による接合部40で接合し、且つ内側傾斜面33の内側を同じく接着剤による接合部41で接合している。前記外側傾斜面32は、図示例のように二重に折り畳むだけでなく、これより複数の蛇腹状に折り畳んでもよい。
【0032】
一方、ループ状立体ギャザーBSの起立部では、前記外側傾斜面32の基端部から頂部Pまでの長さL1が、内側傾斜面33の基端部から頂部Pまでの長さL2より短く形成され、且つ生理用ナプキン1の幅方向線に対する内側傾斜面33の傾斜角度αを45°以下、好ましくは30°〜45°にしている。
【0033】
前記外側傾斜面32には、その高さ方向中間部に両端又は長手方向の適宜の位置が固定された複数条の、図示例では3条の弾性伸縮部材22が伸張状態で配設されるとともに、ループ状立体ギャザーBSの頂部Pと前記内側傾斜面33の高さ方向中間部には、両端又は長手方向の適宜の位置が固定された複数条の、図示例では条の弾性伸縮部材21が伸張状態で配設されている。これによって、生理用ナプキン1の長手方向両端部の非起立部を除く中間部が表面側に起立するループ状立体ギャザーBSの起立部とされている。
【0034】
以上の構造により、ループ状立体ギャザーBSは、生理用ナプキン1の長手方向両端部の非起立部において、外側傾斜面がループ状立体ギャザーBSの内側に折り畳むように積層されているため、ループ状立体ギャザーBSの起立部においては、この折り畳み部分が表面側に起立して立体ギャザーが高く形成されるので、身体に密着するのに必要な高さが確保できる。
【0035】
また、外側傾斜面32の幅L1が内側傾斜面33の幅L2より短く形成され、且つ内側傾斜面33の傾斜角度αが45°以内に規制されているため、図5に示されるように、ナプキン1の装着時に、ループ状立体ギャザーBSが外側への倒れ幅Aを伴って外側に倒れるようにして身体に密着するので、体液の吸収面側に倒れにくくなり、体液の吸収機能が低下することがなくなる。
【0036】
これとは逆に、図6に示されるように、外側傾斜面32の幅L1が内側傾斜面33の幅L2より長く形成され、且つ内側傾斜面33の傾斜角度αが45°を超えて形成されている場合、装着時に立体ギャザーBSは内側に倒れやすく内側への倒れ幅Bが形成されるようになるため、その分体液の吸収面を狭めてしまい、体液の吸収機能が低下するので好ましくない。
【0037】
さらに、ループ状立体ギャザーBSはループ状であるため、脚回りに幅広く密着し、漏れ防止効果が高くなる。また、ループ状立体ギャザーBSの接合部30、31は生理用ナプキン1の長手方向に沿って直線状に設けられるため、ナプキン1の製造が簡便になる。
【0038】
前記立体ギャザーBSに配設される複数の弾性伸縮部材21…、22…は、すべて同等の張力を有するものを同等の引張力で伸長させた状態で配置するようにしてもよいが、外側傾斜面32に配設される弾性伸縮部材22…は、内側傾斜面33に配設される弾性伸縮部材21…より伸縮力を高く設定することが好ましい。これにより、生理用ナプキン1の長手方向両端部の非起立部において折り畳み状態で積層されている外側傾斜面32が起立部において起立しやすくなり、中空のループ状立体ギャザーBSをより高く起立させることができるようになる。伸縮力を高く設定するには、弾性伸縮部材22としてより太いものを用いたり、固定時の伸びをより大きくしてテンションを高くしたりすることができる。
【0039】
前記立体ギャザーBSは、生理用ナプキン1の幅方向の最大幅L3が外側接合部30から内側接合部31にかけての接合部幅L4とほぼ同等であることが好ましい。すなわち、外側接合部30及び内側接合部31の接合端部を基点として外側傾斜面32及び内側傾斜面33が使用面側に起立するように形成されている。このため、突出高さが高いループ状立体ギャザーBSが形成できる。
【0040】
図示例では、生理用ナプキン1の幅方向断面に対する断面形状が略三角形状となるように形成されているが、台形状や、半割卵形状などで形成されるようにしてもよい。
【0041】
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、ギャザー形成用不織布6の外側を生理用ナプキン1の側縁まで延在させていたが、ギャザー形成用不織布6を所定の外側範囲までとし、外側の所定範囲に別体のサイド不織布を配設するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1…生理用ナプキン、2…不透液性裏面シート、3…透液性表面シート、4…吸収体、5…クレープ紙、6…ギャザー形成用不織布、21・22…弾性伸縮部材、30…外側接合部、31…内側接合部、32…外側傾斜面、33…内側傾斜面、BS…立体ギャザー、W…ウイング状フラップ、W…第2ウイング状フラップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6