(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明を実施するための形態について説明するが、本発明は、以下の形態に限定されることはない。
【0010】
(1)第1の形態
図1は、本発明の第1の形態のパッドを適用した磁気共鳴イメージング装置の概略図である。
【0011】
磁気共鳴イメージング装置(以下、「MRI装置」と呼ぶ。MRI:Magnetic Resonance Imaging)100は、超伝導マグネット2、テーブル3などを有している。
テーブル3は、クレードル3aを有している。クレードル3aは牽引装置4に連結されている。牽引装置4は、z方向および−z方向に移動することができるように構成されている。牽引装置4がz方向に移動すると、牽引装置4はクレードル3aを牽引し、クレードル3aはz方向に移動する。また、牽引装置4が−z方向に移動すると、牽引装置4はクレードル3aを押し出し、クレードル3aは−z方向に移動する。したがって、牽引装置4によって、クレードル3aをz方向および−z方向に自在に移動させることができる。
【0012】
クレードル3aの上には、パッド5が敷かれており、パッド5の上に被検体11が横になっている。パッド5は、後述する空気供給装置6から暖かい空気が供給されるように構成されており、これによって被検体11を暖める機能を備えている。この機能については後述する。
【0013】
また、MRI装置100は、パッド5に空気を供給するための空気供給装置6を備えている。空気供給装置6は、ポンプ61、ヒータ62、および空圧ホース63を有している。
【0014】
ポンプ61は、ヒータ62に空気を供給する。
ヒータ62は、ポンプ61から供給された空気を暖める。オペレータ12は、ヒータ62に設けられた温度設定パネル(図示せず)によって、ヒータ62が空気を暖めるときの温度を設定することができる。例えば、オペレータ12がヒータ62の温度を23度に設定した場合、ヒータ62は、ポンプ61から供給された空気を23度に暖める。
【0015】
空圧ホース63は、ヒータ62から、牽引装置4のコネクタ4aにまで延在するように配設されている。尚、牽引装置4には、空圧ホース63を牽引装置4まで導くことができるようにするためのフレキシブルガイド8が取り付けられている。フレキシブルガイド8は、牽引装置4からマグネット2の内部にまで延在するように設けられている。空圧ホース63は、ヒータ62から、フレキシブルガイド8の中を通って、牽引装置4のコネクタ4aに配設されている。パッド5は、牽引装置4のコネクタ4aを介して、空気供給装置6に着脱自在に接続することができるように構成されている。
次に、パッド5の構成について説明する。
【0016】
図2は、パッド5の斜視図である。
パッド5は、パッド部51と、ホース52と、コネクタ53とを有している。
【0017】
図3(a)は、
図2に示すパッド5の上面図、
図3(b)は、
図3(a)のA−A断面図である。
【0018】
パッド部51は、被検体11がテーブル3に寝るときに、被検体11とクレードル3aとの間に配置されるものである。パッド部51の内部は空洞になっており、空気供給装置6によって温度調節された空気が供給される。
【0019】
パッド部51の前側面51bの側には、空圧ホース52が取り付けられている。空圧ホース52は、空気供給装置6によって温度調節された空気を、パッド部51の内部に供給するためのホースである。
【0020】
また、パッド部51の表面51aには、パッド部51に供給された空気を、パッド部51の外部に排気するための複数の排気孔51dが形成されている。第1の形態では、複数の排気孔51dは、パッド部51の後端面51cに沿うように、一列に並んでいる。尚、
図3(a)では、図面の見易さの観点から、一つの排気孔にのみ、符号「51d」を付してある。
【0021】
ホース52の先端には、コネクタ53が取り付けられている。コネクタ53は、牽引装置4のコネクタ4a(
図1参照)に着脱自在に取り付けることができるように構成されている。コネクタ53を牽引装置4のコネクタ4aに取り付けることによって、パッド5を空気供給装置6に接続することができる。
パッド5は、上記のように構成されている。
【0022】
第1の形態では、パッド5を用いることによって、被検体11にとって最適な温度環境で撮影を行うことができる。以下に、被検体11を撮影するときの手順について説明する。
【0023】
先ず、被検体11をテーブル3に寝かせる前に、パッド5を空気供給装置6に接続する(
図4および
図5参照)。
【0024】
図4は、パッド5を空気供給装置6に接続する前のMRI装置100を示す図、
図5は、パッド5を空気供給装置6に接続した後のMRI装置100を示す図である。
【0025】
オペレータ12はパッド5を準備する(
図4参照)。そして、パッド5のパッド部51をクレードル3aに設置する。このとき、オペレータ12は、パッド5のコネクタ53を、牽引装置4のコネクタ4aに連結する。パッド5のコネクタ53を牽引装置4のコネクタ4aに取り付けることによって、パッド5を空気供給装置6に接続することができる。
【0026】
オペレータ12は、パッド5を空気供給装置6に接続した後、空気供給装置6を作動させる(
図6参照)。
【0027】
図6は、空気供給装置6を作動させたときの説明図である。
空気供給装置6を作動させると、ポンプ61がヒータ62に空気を供給する。ヒータ62は、ポンプ61から供給された空気を暖める。第1の形態では、オペレータ12は、ヒータ62の温度を23度に設定したとする。したがって、ヒータ62は、ポンプ61からの空気を23度に暖める。ヒータ62によって温度調節された空気は、空気供給装置6の空圧ホース63を経由して、パッド5の空圧ホース52に流入し、パッド部51の内部に供給される。パッド部51の内部に供給された空気は、パッド部51およびその周囲を暖めながら、パッド部51の内部を移動し、排気孔51dから排出される。パッド部51の内部に供給された空気の温度は、時間がたつにつれて低下するが、温度が低下した空気は排気孔51dから排出され、一方で、ヒータ62で温められたばかりの新鮮な空気がパッド5の内部に供給され続ける。したがって、暖められた空気を常にパッド部51に供給し続けることができる。
【0028】
パッド5に暖かい空気を供給した状態で、オペレータ12は、パッド5に被検体11を寝かせる(
図7参照)。
【0029】
図7は、パッド5に被検体11が寝たときの様子を示す図である。
マグネットルームの温度は、マグネット2を冷却する必要性から、通常、20度以下に設定される。したがって、検査を受ける被検体11は、肌寒く感じることが多い。しかし、第1の形態では、パッド5には暖かい空気が供給されている。したがって、マグネットルームの温度が20度以下であっても、パッド5に横になっている被検体11は暖かく感じるので、快適な温度環境で撮影を受けることができる。オペレータ12は、被検体11に温度が快適かどうかを聞き、被検体11が快適であると返答した場合は、クレードル3aをボア21に搬送する。一方、被検体11が温度をもう少し上げて欲しいと要望したり、あるいは、温度をもう少し下げて欲しいと要望した場合は、ヒータ62の温度を調節する。したがって、被検体11をボア21に搬送する前に、温度調節ができるので、撮影前に、被検体11にとって快適な温度環境を実現することができる。
【0030】
また、パッド部51の内部には空気が供給されているので、被検体11がパッド部51に横になると、パッド部51は被検体11の体形に合わせて変形する。したがって、被検体12は苦痛を感じることなく撮影を受けることができる。更に、被検体11の脚部は、脚部支持部材9で支持されている。脚部支持部材9に被検体11の脚部を乗せることによって、脚部に掛かる負担を軽減することができる。
【0031】
オペレータ12は、被検体11がこの温度でいいと納得したら、受信コイルを設置する。受信コイルが設置された後の様子は、
図1に示されている。第1の形態では、被検体11の頭部を撮影するので、受信コイル10は、被検体11の頭部に設置される。オペレータ12は、受信コイル10のコネクタ10aを、牽引装置4のコネクタ4bに接続する。受信コイル10のコネクタ10aを、牽引装置4のコネクタ4bに接続することによって、受信コイル10を受信器(図示せず)に接続することができる。
【0032】
受信コイル10を設置した後、オペレータ12は、被検体12の頭部がマグネットセンターに到達するように、被検体12をボア21に搬入する(
図8参照)。
【0033】
図8は、被検体12をボア21に搬入している途中の様子を示す図である。
オペレータ12は、マグネット2の前面に設けられている操作ボタン(図示せず)を操作し、牽引装置4をz方向に移動させる。牽引装置4にはクレードル3aが連結されているので、牽引装置4がz方向に移動すると、牽引装置4に連動して、クレードル3aがz方向に移動する。また、牽引装置4の移動に伴って、フレキシブルガイド8が変形する。ただし、第1の形態では、フレキシブルガイド8の所定の部分8aは、牽引装置4が移動しても動かないように固定されている。したがって、牽引装置4がz方向に移動すると、フレキシブルガイド8は、所定の部分8aを基点にして変形する。マグネット2には、フレキシブルガイド8が変形したときに、フレキシブルガイド8が入り込むことができる空間2aが設けられている。したがって、牽引装置4がz方向に移動すると、変形したフレキシブルガイド8は、空間2aに入り込む。このため、牽引装置4がフレキシブルガイド8の所定の部分8aの真上に到達しても、フレキシブルガイド8は、牽引装置4の移動を妨害しないようにすることができる。また、空圧ホース63は、フレキシブルガイド8に収容されているので、牽引装置4が空圧ホース63を巻き込んで移動してしまうということもない。したがって、空圧ホース63は、牽引装置4が移動している間も、暖かい空気をパッド5に供給し続けることができる。
【0034】
図9は、被検体12の頭部がマグネットセンターに到達したときの様子を示す図である。
【0035】
被検体12の頭部がマグネットセンターに到達すると、牽引装置4は停止する。したがって、クレードル3aも停止し、被検体12の頭部をマグネットセンターに位置決めすることができる。このようにして、クレードル3aの移動が行われる。クレードル3aを移動が終了したら、被検体11を撮影する。
【0036】
第1の形態では、パッド5に暖かい温度が供給されるので、被検体11は、快適な温度環境で撮影を受けることができる。尚、第1の形態では、空気供給装置6は、暖められた空気を供給するように構成されているが、冷却された空気を供給できるように構成されてもよいし、暖められた空気と冷却された空気の両方を供給できるように構成されていてもよい。また、空気以外の別の気体をパッドに供給するようにしてもよい。
【0037】
また、第1の形態では、パッドを磁気共鳴イメージング装置に適用している。しかし、CT(Computed Tomography)装置など、別の医用装置に適用してもよい。
【0038】
(2)第2の形態
第2の形態では、パッド以外は、第1の形態と同一の構成である。したがって、第2の形態の説明に当たっては、パッドについて説明する。
【0039】
図10は、第2の形態におけるパッド5の斜視図である。
第1の形態では、パッド部51の排気孔51dは後端面51cの側にのみ形成されていたが、第2の形態では、排気孔51dは、バッド部51の表面全体に形成されている。このように排気孔51dをパッド部51の表面全体に設けることによって、暖かい空気を被検体11に当てることができるので、撮影時間が長くなっても、被検体11感じる肌のべたつきを低減することができる。
【0040】
(3)第3の形態
図11は、本発明の第3の形態のパッドを適用したMRI装置の概略図である。
【0041】
MRI装置200は、超伝導マグネット2、テーブル3などを有している。
テーブル3は、クレードル3aを有している。クレードル3aは牽引装置4に連結されている。牽引装置4は、z方向および−z方向に移動することができるように構成されている。牽引装置4がz方向に移動すると、牽引装置4はクレードル3aを牽引し、クレードル3aはz方向に移動する。また、牽引装置4が−z方向に移動すると、牽引装置4はクレードル3aを押し出し、クレードル3aは−z方向に移動する。したがって、牽引装置4によって、クレードル3aをz方向および−z方向に自在に移動させることができる。
【0042】
クレードル3aの上には、パッド50が敷かれており、パッド50の上に被検体11が横になっている。パッド50は、後述する電力供給装置7からの電力の供給を受けて、被検体11を暖める機能を備えている。この機能については後述する。
【0043】
また、MRI装置200は、パッド50に電力を供給するための電力供給装置7を備えている。
【0044】
電力供給装置7は、電源71と、ケーブル72とを有している。ケーブル72は、電源71から、牽引装置4のコネクタ4aにまで延在するように配設されている。尚、牽引装置4には、ケーブル72を牽引装置4まで導くことができるようにするためのフレキシブルガイド8が取り付けられている。フレキシブルガイド8は、牽引装置4からマグネット2の内部にまで延在するように設けられている。ケーブル72は、電源71から、フレキシブルガイド8の中を通って、牽引装置4のコネクタ4aに到達している。パッド50は、牽引装置4のコネクタ4aを介して、電力供給装置7に接続されている。
次に、パッド50の構成について説明する。
【0045】
図12は、第3の形態におけるパッド50の斜視図である。
パッド50は、パッド部151と、ケーブル152と、コネクタ153とを有している。
【0046】
パッド部151は、被検体11がテーブル3に寝るときに、被検体11とクレードル3aとの間に配置されるものである。パッド部151は、被検体11がパッド部151に横になったときに被検体11に加わる圧力を分散することができるような材料によって構成されている。また、パッド部151には、電力供給装置7からの電力の供給を受けて温度調節を行うための温度調節部材151aが埋め込まれている。
図12では、温度調節部材151aは3枚示されているが、温度調節部材は1枚以上であればよい。温度調節部材としては、例えば金属プレートを用いることができる。
【0047】
パッド部151には、温度調節部材151aに電力を供給するためのケーブル152が取り付けられている。
【0048】
ケーブル152の先端には、コネクタ153が取り付けられている。コネクタ153は、牽引装置4のコネクタ4a(
図11参照)に着脱自在に取り付けることができるように構成されている。コネクタ153を牽引装置4のコネクタ4aに取り付けることによって、パッド50を電力供給装置7に接続することができる。
【0049】
パッド50は、上記のように構成されている。第3の形態では、被検体11を撮影する場合、オペレータ12は、パッド50を電力供給装置7に接続した後、電源71を駆動させて、パッド50に電力を供給する。したがって、温度調節部材151aによって温度が調節されるので、被検体11は、快適な温度環境で撮影を受けることができる。