(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態1)
以下、本発明の第1の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る液体管理システム1Aの基本構成を示すブロック図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る液体管理システム1Aは、半導体ウエハの洗浄装置100と接続され、該洗浄装置100に対して洗浄・乾燥液を供給する。なお、ここでは洗浄装置100に関する詳しい説明は省略するが、該洗浄装置100は、液体管理システム1Aから供給される洗浄・乾燥液を用いて半導体ウエハの洗浄を行う洗浄槽を少なくとも備えている。
【0016】
図1に示すように、液体管理システム1Aは、アルコール(本実施形態ではIPA)と純水(本実施形態では超純水)が供給され、洗浄・乾燥液(以下、「洗浄液」と総称する。)が調製される混合槽4と、IPAを混合槽4に供給するアルコール供給手段と、超純水を混合槽4に供給する純水供給手段と、混合槽4に接続された濃度測定手段と、廃液タンク6および当該システム1Aを統括的に制御する制御部7とを有する。
【0017】
アルコール供給手段は、
図1に示すIPA供給源2、配管10および弁15aを少なくとも有する。
【0018】
IPA供給源2は、例えば、IPAが貯留された容器と、その容器内のIPAを混合槽4に圧送する手段とを有する。IPAを圧送する手段の具体例としては、窒素ガスやポンプ等が挙げられる。配管10は、IPA供給源2と混合槽4とを接続しており、IPA供給源2から混合槽4へIPAを導入するための流路を形成している。弁15aは、配管10に設けられるとともに、制御部7によって制御されており、IPAの導入開始又は導入停止やIPAの導入量などを調節する。
【0019】
純水供給手段は、
図1示す超純水供給源3、配管11および弁15bを少なくとも有する。
【0020】
配管11は、超純水供給源3と混合槽4とを接続しており、超純水供給源3から混合槽4へ超純水を導入するための流路を形成している。弁15bは、配管11に設けられるとともに、制御部7によって制御されており、超純水の導入開始又は導入停止や超純水の導入量などを調節する。超純水供給源3は、配管11を介して混合槽4と直接的に接続された超純水製造装置であってよい。また、超純水供給源3は、超純水製造装置によって製造された超純水を貯留するタンクと、該タンクに貯留されている超純水を配管11を介して混合槽4へ圧送するポンプ等を有していてもよい。
【0021】
IPAと超純水の供給直後の混合槽4内の洗浄液の濃度を均一にするため、混合槽4には攪拌機構が備えられているのが好ましく、例えば、ポンプ等による洗浄液の循環、ガス(N
2等)を吹き込んで攪拌できるようにされているのが好ましい。
【0022】
混合槽4と濃度測定手段(濃度測定装置5)とは、配管12を介して互いに接続されている。混合槽4と廃液タンク6とは、配管13を介して互いに接続されている。混合槽4と洗浄装置100とは、供給用の配管14aおよび回収用の配管14bを介して互いに接続されている。
【0023】
ここで、混合槽4内の洗浄液の成分濃度と、混合槽4から流出した直後の洗浄液の成分濃度とは実質的に同一である。よって、配管14a上に濃度測定装置5を設けた場合も、14aから分岐させた配管に濃度測定装置5を接続した場合も、混合槽4内の洗浄液の成分濃度を測定することが可能である。すなわち、本発明における洗浄液の成分濃度測定には、混合槽4内の洗浄液の成分濃度を測定することと、混合槽4から流出した直後の洗浄液の成分濃度を測定することの双方が含まれる。
【0024】
次に、上記構成を有する液体管理システム1Aの動作について説明する。まず、制御部7によって、
図1に示す弁15a、15bが同時に、または順次に開かれるとともに、IPA供給源2および超純水供給源3からIPAおよび超純水が混合槽4へ供給される。ここでは、予め定められている一定の割合でIPAと超純水とが供給される。換言すれば、理想的な成分濃度(以下「理想濃度」と呼ぶ。)を有する洗浄液が得られるように予め定められた量のIPAと超純水とがそれぞれ供給される。これにより、混合槽4内でIPAと超純水とが混合され洗浄液が作られる。もっとも、この時点では、混合槽4内の洗浄液の成分濃度が理想濃度と完全に一致しているとは限らない。なぜなら、混合槽4には一定の割合でIPAと超純水とが供給されるが、この割合は計算上の割合だからである。
【0025】
混合槽4にIPAおよび超純水が供給され、所定量の洗浄液が作られると、弁15a、15bが閉じられる。次いで、濃度調整処理が開始される。具体的には、制御部7による制御の下、配管12を介して混合槽4内の洗浄液の一部が抜き取られ、その成分濃度が濃度測定装置5によって測定される。その後、濃度測定装置5による測定結果に応じて弁15aと弁15bの双方または一方が再度開かれるとともに、IPA供給源2と超純水供給源3の双方または一方によって、IPAと超純水の双方または一方が混合槽4へ補充される。より具体的には、混合槽4内の洗浄液の成分濃度を理想濃度に一致させるべく、濃度測定装置5による濃度測定と、IPAおよび/または超純水の補充とが何度か繰り返される。また、所定量の洗浄液を作るためのIPAおよび超純水の混合槽4への供給と、濃度調整処理とを同時に実行することもできる。具体的には、IPAおよび超純水を混合槽4に供給しつつ、混合槽4内の洗浄液の一部を抜き取って成分濃度を測定し、その測定結果に応じて弁15aと弁15bの双方または一方を開閉したり、開度を調整したりしてもよい。いずれにしても、本実施形態における制御部7は、第二の制御手段として機能する。
【0026】
濃度測定のために抜き取られた洗浄液は、汚染の度合いに応じて混合槽4に戻されるか、廃棄(廃液タンク6に送ってもよく、別のラインで排出してもよい。)される。濃度測定装置5が配管14aから分岐されて接続されている場合は、配管14aに戻すか、洗浄装置100に送ってもよい。もっとも、濃度測定装置5としてカールフィッシャー水分計を用いる場合には、洗浄液に試薬を添加する必要がある。よって、濃度測定後の洗浄液は混合槽4へ戻さない方が好ましい。
【0027】
上記のようにして理想濃度またはこれに近似した濃度の洗浄液が作られると、混合槽4から洗浄装置100への洗浄液の供給と回収が開始される。具体的には、循環手段によって混合槽4内の洗浄液が配管14aを介して洗浄装置100の洗浄槽へ供給され、使用済の洗浄液が配管14bを介して混合槽4に回収される。この間、洗浄装置100では、供給された洗浄液を用いて半導体ウエハの洗浄や乾燥が行われる。すなわち、洗浄液は、液体管理システム1A(混合槽4)と洗浄装置100(洗浄槽)との間を循環する。
【0028】
ここで、混合槽4内には不図示の液量測定手段(レベルセンサ)が設けられており、混合槽4内の洗浄液の液面(液量)が連続的または断続的に監視されている。制御部7は、レベルセンサの監視結果に基づいて液量調整処理を実行する。具体的には、レベルセンサによる監視によって、混合槽4内の洗浄液の液量が、所定の液量範囲(混合槽4と洗浄装置100との間を循環可能で、洗浄槽における半導体ウエハの洗浄・乾燥に十分な量の範囲)を超えて減少していることが検知されると、弁15a、15bが開かれ、IPA供給源2および超純水供給源3から混合槽4へIPAおよび超純水が一定の割合で供給される。一方、レベルセンサによる監視によって、混合槽4内の洗浄液の液量が、所定の液量範囲を超えて増加していることが検知されると、制御部7は、廃液手段を制御して、混合槽4内の洗浄液の一部を廃棄させる。具体的には、配管13上の不図示の弁を開かせ、混合槽4内の洗浄液の一部を廃液タンク6へ廃棄させる。このようにして、混合槽4内には、理想濃度またはこれに近似した濃度を有する洗浄液が常に一定量だけ保持される。すなわち、本実施形態における制御部7は、第一の制御手段としても機能する。
【0029】
しかし、上記のように洗浄液が循環する間にも、様々な要因によって洗浄液の成分濃度が変化する。最も一般的な濃度変化は、IPA濃度の低下であるが、それ以外の濃度変化もあり得る。そこで、洗浄液の循環中においても、上記濃度調整処理が連続的または断続的に実行される。具体的には、制御部7の制御の下、洗浄液の成分濃度が濃度測定装置5によって連続的または断続的に測定され、洗浄液の成分濃度が所定の濃度範囲を超えて変化している場合には、IPAと超純水の双方または一方が混合槽4へ補充される。具体的には、濃度測定装置5の測定結果に応じて、弁15aと弁15bの双方または一方が開かれるとともに、IPA供給源2と超純水供給源3の双方または一方が作動されて、IPAと超純水の双方または一方が混合槽4へ補充される。
【0030】
ここで、濃度調整に必要なIPAの量をなるべく少なくする観点からは、濃度調整処理の実行に先立って液量調整処理を実行することが好ましい。さらに、液量調整処理では、混合槽4内の洗浄液の量が所定の液量範囲内であって、かつ、該液量範囲の上限に達しない量に調整し、濃度調整処理では、混合槽4内の洗浄液の量が液量範囲の上限を超えないように、IPAと純水の双方または一方を供給する。
【0031】
濃度測定装置5としては、超音波濃度計、比抵抗計、赤外分光計、ブリックス計、比重計などを用いることもできる。また、液量測定手段としては、ロードセルを用いて混合槽4の荷重から混合槽4内の液量を求めるものでもよい。
【0032】
なお、上述の配管上には必要に応じてポンプや弁が設置される。また、必要に応じてフィルタを設置することもできる。さらに、配管上に熱交換器を設置して洗浄液の温度管理を行ってもよい。
【0033】
さらに、半導体ウエハの洗浄・乾燥により洗浄液が不純物で汚染された場合などには、洗浄液を入れ替えてもよいが、本発明の実施形態であれば、汚染された洗浄液の一部を配管13を介して廃液タンク6に抜き出し、IPAおよび超純水を混合槽4に供給することによって、不純物を希釈して理想濃度の洗浄液を作ることができる。これにより、汚染された洗浄液の全てを入れ替えなくても、洗浄工程を停止させることなく、理想濃度の洗浄液を洗浄装置に供給できる。該洗浄液の抜き出しと不純物の希釈は、別々に行ってもよいし、同時に行ってもよい。不純物を希釈するためのIPAと超純水の使用量を少なくするには、洗浄液の一部を抜き出して容量を少なくしてからIPAおよび超純水を混合槽4に供給して、不純物の希釈を行うことが好ましい。洗浄液が不純物で汚染された場合であって、混合槽4の液量が低下している場合には、汚染された洗浄液を廃液タンク6に抜き出さずにIPAおよび超純水を混合槽4に供給することによって、不純物を希釈して理想濃度の洗浄液を作ることができる。洗浄液の不純物濃度を監視するには、例えば、配管14a、14bまたは12上またはこれらの分岐ラインや、混合槽4に直接接続されたサンプリングラインを介して、微粒子検出器(微粒子計)を設け、洗浄液中の微粒子(不純物)の量を監視すればよい。また、不純物が光を吸収する性質を持つ場合には、吸光光度計によって不純物の量を監視することもできる。
【0034】
(実施形態2)
次に、本発明の第2の実施形態について詳細に説明する。
図2は、本実施形態に係る液体管理システム1Bの基本構成を示すブロック図である。
【0035】
本実施形態に係る液体管理システム1Bは、調製槽20を有する点以外は、実施形態1に係る液体管理システム1Aと本質的に同一の構成を有する。よって、液体管理システム1Aと共通する構成については
図2中に同一の符号を付して説明を省略する。
【0036】
本実施形態におけるアルコール供給手段は、IPA供給源2、配管10、弁15a、配管21および配管21上に設けられた弁(不図示)を少なくとも有する。配管21は、IPA供給源2と調製槽20とを接続しており、IPA供給源2から調製槽20へIPAを供給するための流路を形成している。配管21上に設けられている不図示の弁は、制御部7によって制御されており、IPAの導入開始又は導入停止やIPAの導入量などを調節する。
【0037】
また、純水供給手段は、超純水供給源3、配管11、弁15b、配管22および配管22上に設けられた弁(不図示)を少なくとも有する。配管22は、超純水供給源3と調製槽20とを接続しており、超純水供給源3から調製槽20へ超純水を供給するための流路を形成している。配管21上に設けられている不図示の弁は、制御部7によって制御されており、超純水の導入開始又は導入停止や超純水の導入量などを調節する。
【0038】
調製槽20内には、撹拌手段が設けられており、調製槽20に供給されたIPAと超純水とが短時間のうちに均一に混合される。
【0039】
次に、上記構成を有する液体管理システム1Bの動作について説明する。まず、制御部7の制御の下、配管21、22にそれぞれ設けられている不図示の弁が開かれ、IPA供給源2および超純水供給源3からIPAおよび超純水が調製槽20へ供給される。ここでは、予め定められている一定の割合でIPAと超純水とが供給される。これにより、調製槽20内でIPAと超純水とが混合され、洗浄液が作られる。
【0040】
上記のようにして、調製槽20内で洗浄液が作られた後、必要に応じて、洗浄液が混合槽4へ供給される(移される)。調製槽20内の洗浄液の量が少なくなると、配管21、22上の弁が再度開かれ、IPA供給源2および超純水供給源3からIPAおよび超純水が調製槽20へ再度供給され、調製槽20内で洗浄液が作られ、貯えられる。混合槽4と洗浄装置100(洗浄槽)との間では、循環手段によって洗浄液の循環が開始され、半導体ウエハの洗浄、乾燥処理が行われる。一方、調製槽20内で作られ、貯えられていた洗浄液は、制御部7による制御の下、必要に応じて混合槽4へ供給される。例えば、制御部7は、混合槽4内における洗浄液の液量が所定の液量範囲を超えて減少した場合に、調製槽20内の洗浄液を混合槽4へ供給して混合槽4内の液量を補う補充処理を実行する。かかる補充処理には、洗浄液が不純物で汚染された場合に、混合槽4内の洗浄液の一部を廃液タンク6に抜き出した後に、調製槽20内の洗浄液を混合槽4へ供給し、不純物を希釈して不純物濃度を低下させる工程が含まれる場合もある。さらに、洗浄液が不純物で汚染された場合であって、混合槽4の液量が低下している場合には、汚染された洗浄液を廃液タンク6に抜き出すことなく、調製槽20内の洗浄液を混合槽4に供給することによって、不純物を希釈して理想濃度の洗浄液を作る工程が含まれる場合もある。いずれにしても、本実施形態における制御部7は、調製槽20内の洗浄液を混合槽4へ供給する補充処理を実行する第三の制御手段として機能する。
【0041】
なお、液体管理システム1Bにおいても、制御部7による制御の下、液量調整処理と濃度調整処理とが随時行われる。例えば、混合槽4と洗浄装置100との間の洗浄液の循環過程において、調製槽20で作られた洗浄液を必要に応じて混合槽4に供給するとともに(上記補充処理を実行するとともに)、濃度測定装置5による測定結果に応じて、混合槽4内の洗浄液の成分濃度を理想濃度に一致させるべく、IPAと超純水の双方または一方が混合槽4へ補充される。すなわち、本実施形態における制御部7は、第1の制御手段および第二の制御手段としても機能する。
【0042】
ここでは、調製槽20内で作られた洗浄液を混合槽4へ移動させる場合について説明した。しかし、混合槽4および調製槽20のそれぞれにおいて洗浄液を同時に作ってもよい。この場合、液体管理システム1Aと同様に、混合槽4へのIPAおよび超純水の供給および濃度調整が行われ、混合槽4内で洗浄液が作られる。これと同時に、配管21、22にそれぞれ設けられている不図示の弁が開かれ、IPA供給源2および超純水供給源3からIPAおよび超純水が調製槽20へ一定の割合で供給される。これにより、混合槽4および調製槽20のそれぞれにおいて、IPAと超純水が所定割合で混合された洗浄液が同時に作られる。この場合も、調製槽20内の洗浄液は、必要に応じて混合槽4へ供給される。
【0043】
いずれにしても、本実施形態に係る液体管理システム1Bでは、IPAと超純水とが一定の割合で混合された洗浄液が調製槽20内に常に準備されている。よって、洗浄液の補充や濃度調整、不純物の希釈・低減をより迅速に行うことができる。さらに、混合槽4に直接IPAおよび超純水を供給して洗浄液の濃度を調節する場合以上に、洗浄液の成分濃度の変動を小さくすることができる。
【0044】
なお、
図2に示されている配管レイアウトは一例であり、適宜変更することが可能である。例えば、
図2に示されている配管21は、配管10を介してIPA供給源2に接続してもよい。換言すれば、配管21を配管10から分岐させてもよい。また、
図2に示されている配管22は、配管11を介して超純水供給源3に接続してもよい。換言すれば、配管22を配管11から分岐させてもよい。
【0045】
また、調製槽20内にレベルセンサを設けて、洗浄液の液面管理を行ってもよい。この場合、レベルセンサによる監視によって、調製槽20内の洗浄液の液面低下が検知されたときには、IPAおよび超純水が調製槽20へ供給される。
【0046】
(実施形態3)
次に、本発明の第3の実施形態について詳細に説明する。
図3は、本実施形態に係る液体管理システム1Cの基本構成を示すブロック図である。
【0047】
本実施形態に係る液体管理システム1Cは、平準化槽30を有する点以外は、実施形態2に係る液体管理システム1Bと本質的に同一の構成を有する。よって、液体管理システム1Bと共通する構成については
図3中に同一の符号を付して説明を省略する。
【0048】
本実施形態におけるアルコール供給手段は、IPA供給源2、配管10、弁15a、配管21、配管21上の弁(不図示)、配管34および配管34上の弁36aを少なくとも有する。配管34は、配管21から分岐しており、IPA供給源2から平準化槽30へIPAを供給するための流路を形成している。配管34上に設けられている弁36aは、制御部7によって制御されており、IPAの導入開始又は導入停止やIPAの導入量などを調節する。
【0049】
また、純水供給手段は、超純水供給源3、配管11、弁15b、配管22、配管22上の弁(不図示)、配管35および配管35上の弁36bを少なくとも有する。配管35は、配管22から分岐しており、超純水供給源3から平準化槽30へ超純水を供給するための流路を形成している。配管35上に設けられている弁36bは、制御部7によって制御されており、超純水の導入開始又は導入停止や超純水の導入量などを調節する。
【0050】
平準化槽30は、調製槽20と混合槽4との間に位置し、配管31を介して調製槽20に接続され、配管32を介して混合槽4に接続されている。また、平準化槽30は、配管33を介して濃度測定装置5に接続されている。
図3では、濃度測定装置5は混合槽4および平準化槽30の双方に接続されている。すなわち、本実施形態における濃度測定装置5は、第一の濃度測定手段および第二の濃度測定手段の双方として機能する。しかし、混合槽4用の濃度測定装置と、平準化槽30用の濃度測定装置を別々に設けてもよい。
【0051】
次に、上記構成を有する液体管理システム1Cの動作について説明する。まず、制御部7の制御の下、配管21、22上に設けられている不図示の弁が開かれるとともに、IPA供給源2および超純水供給源3からIPAおよび超純水が調製槽20へそれぞれ供給される。ここでは、予め定められている一定の割合でIPAと超純水とが供給される。これにより、調製槽20内でIPAと超純水が混合され、洗浄液が作られる。
【0052】
上記のようにして、調製槽20内で洗浄液が作られた後、洗浄液が調製槽20から平準化槽30へ供給される(移される)。次いで、濃度調整処理が実行される。具体的には、制御部7による制御の下、配管33を介して平準化槽30内の洗浄液の一部が抜き取られ、その成分濃度が濃度測定装置5によって測定される。その後、濃度測定装置5による測定結果に応じて弁36aと弁36bの双方または一方が開かれるとともに、IPA供給源2および/または超純水供給源3からIPAおよび/または超純水を平準化槽30へ補充される。より具体的には、平準化槽30内の洗浄液の成分濃度を理想濃度に一致させるべく、濃度測定装置5による濃度測定とIPAおよび/または超純水の補充とが何度か繰り返される。
【0053】
上記のようにして作られた平準化槽30内の洗浄液は、制御部7の制御の下、必要に応じて混合槽4へ供給される。例えば、制御部7は、混合槽4内における洗浄液の液量が所定の液量範囲を超えて減少した場合に、平準化槽30内の洗浄液を混合槽4へ供給して混合槽4内の液量を補う補充処理を実行する。かかる補充処理には、混合槽4内における洗浄液が不純物で汚染された場合に、混合槽4内の洗浄液の一部を廃液タンク6に抜き出した後に、平準化槽30内の洗浄液を混合槽4へ供給し、不純物を希釈して不純物濃度を低下させる工程が含まれる場合もある。さらに、洗浄液が不純物で汚染された場合であって、混合槽4の液量が低下している場合には、汚染された洗浄液を廃液タンク6に抜き出すことなく、平準化槽30内の洗浄液を混合槽4に供給することによって、不純物を希釈して理想濃度の洗浄液を作る工程が含まれる場合もある。いずれにしても、本実施形態における制御部7は、第三の制御手段として機能する。
【0054】
なお、本実施形態に係る液体管理システム1Cにおいても、洗浄液が調製槽20から平準化槽30へ移動した後に、調製槽20内の洗浄液量が少なくなると、制御部7よって配管21、22上の弁が再度開かれる。さらに、洗浄液が平準化槽30から混合槽4へ移動した後に、平準化槽30の洗浄液量が少なくなると、調製槽20に準備されている洗浄液が平準化槽30に供給される(移される)。すなわち、本実施形態に係る液体管理システム1Cでは、IPAと超純水とが一定の割合で混合された洗浄液が調製槽20内に常に準備されている。さらに、理想濃度に調整された洗浄液が平準化槽30内に常に準備されている。調製槽20内に準備されている洗浄液は、必要に応じて平準化槽30へ供給され、平準化槽30内に準備されている洗浄液は、必要に応じて混合槽4へ供給される。よって、洗浄液の補充や濃度調整、不純物の希釈、低減をより迅速かつ高精度で行うことができる。さらに、混合槽4に直接IPAおよび超純水を供給して洗浄液の濃度を調節する場合以上に、洗浄液の成分濃度の変動を小さくすることができる。
【0055】
本実施形態に係る液体管理システム1Cにおいても、制御部7による制御の下、濃度調整処置と液量調整処理とが随時行われ、洗浄液の成分濃度を理想濃度とするための維持、管理が図られることは勿論である。すなわち、本実施形態における制御部7は、第一の制御手段および第二の制御手段としても機能する。
【0056】
なお、本実施形態に係る液体管理システム1Cにおいても、混合槽4、調製槽20、平準化槽30のうちの2以上の槽において同時に洗浄液を作ることができる。
【0057】
なお、
図3に示されている配管レイアウトは一例であり、適宜変更することが可能である。例えば、
図3では、IPA供給源2と平準化槽30とを接続する配管34が配管21から分岐され、超純水供給源3を平準化槽30とを接続する配管35が配管22から分岐されている。しかし、IPA供給源2と平準化槽30とを独立した配管によって直接接続してもよい。また、超純水供給源3と平準化槽30とを独立した配管によって直接接続してもよい。
【0058】
また、平準化槽30内にレベルセンサを設けて、洗浄液の液面管理を行ってもよい。この場合、レベルセンサによる監視によって、平準化槽30内の洗浄液の液面低下が検知されたときには、IPA供給源2からIPAが、超純水供給源3から超純水が平準化槽30へ供給され、または調製槽20から洗浄液が供給される。一方、レベルセンサによる監視によって、平準化槽30内の洗浄液の液面上昇が検知されたときには、不図示の配管を介して平準化槽30内の洗浄液の一部が排出される。