(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接触部と前記第2の駆動機構とを複数有し、前記接触部の振動振幅または振動中心の変位量をそれぞれ異ならせることにより、前記第2部材の前記第1部材に対する傾きを調整することを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、本発明は、本実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変形が可能である。
【0027】
(第1実施の形態)
本実施の形態の画像機器は、光電変換によって画像信号を得る撮像素子を含む撮像ユニットの手ブレ補正を行うために、本発明の駆動装置を搭載したものである。ここでは、一例としてレンズ交換可能な一眼式電子カメラ(デジタルカメラ)への適用例として説明する。
【0028】
図1は、本発明の第1実施の形態の駆動装置を適用したカメラの主に電気的なシステム構成を概略的に示すブロック図である。本実施形態のカメラの具体的形態であるカメラシステム10は、
図1に示すように撮影レンズであるレンズユニット200(撮影光学系)と、ボディユニット100(本体部)とから構成されている。レンズユニット200は、ボディユニット100に着脱可能に構成される。
【0029】
レンズユニット200は、被写体の光学像を結像するための撮影レンズ202や図示しないフォーカス調整用のフォーカシングレンズ等を有し、ボディユニット100は、例えば電荷結合素子(CCD)やCMOSセンサ等と称される撮像素子を具備してなる撮像部117を有して構成されている。
【0030】
以下の説明において、ボディユニット100から被写体に向かう方向を前方と称し、その反対を後方と称する。また、レンズユニット200が構成する光学系の光軸O1と一致する軸をZ軸とし、Z軸に直交する平面上において互いに直交する2つの軸をX軸(水平方向の軸)及びY軸(垂直方向の軸)とする。
【0031】
本実施形態では、レンズユニット200の動作は、レンズユニット200に配設されたレンズ制御用マイクロコンピュータ(以下、“Lucom”と称する)201によって制御される。また、ボディユニット100の動作は、ボディユニット100に配設されたボディ制御用マイクロコンピュータ(以下、“Bucom”と称する)101によって制御される。
【0032】
ボディユニット100にレンズユニット200を装着した状態において、Bucom101とLucom201は、通信コネクタ102を介して互いに通信可能に電気的に接続される。そして、Lucom201はBucom101に従属的に協働しながら稼動するように構成されている。また、通信コネクタ102を通して各ユニットに必要な電力はボディユニット100に設置された電源回路135から供給される。
【0033】
撮像レンズ202は、レンズユニット200内に保持されている。レンズユニット200は、ボディユニット100の前側(被写体側)に設けられた不図示のボディマウントとレンズユニット200の後ろ側(撮像子側)に設けられた不図示のレンズマウントを介して着脱自在である。この着脱機構はいわゆるバヨネット形式であり、この構成により、カメラシステム10は、レンズユニット200を様々に交換して装着し、撮影することができる。例えば、ウォブリング機能を持ったレンズユニットや、持たないレンズユニットを装着することが可能で、第2実施の形態において後述する本発明の駆動装置のウォブリング機能を用いて、ウォブリング機能を持たないレンズユニットが装着された状態でのコントラストオートフォーカスが可能となっている。
【0034】
また、レンズユニット200には、絞り203が配設されている。絞り203は、絞り駆動機構205内に設けられた図示しないステッピングモータ等のアクチュエータによって駆動される。撮影レンズ202の合焦距離、焦点距離、及び絞り値等のレンズユニット200の情報は、図示しない位置エンコーダ等によって検出され、Lucom201及び通信コネクタ102を介して、Bucom101に入力される。
【0035】
撮像部117は、後述する撮像部を移動する撮像部移動機構部159を介してボディユニット100内に保持されている。ここで、撮像部117はCCDやCMOS等の光電変換素子で構成されている。なお、本実施形態では、撮像部117の前側には、ローパスフィルタ等の光学フィルタ118及び防塵フィルタ119が配設されて、撮像ユニット116を構成している。防塵フィルタ119の周縁部には、圧電素子120が取り付けられている。圧電素子120は、防塵フィルタ圧電体制御回路121によって、防塵フィルタ119を寸法や材質によって定まる所定の周波数で振動させるように構成されている。圧電素子120の振動によって、防塵フィルタ119に付着した塵埃を除去することができる。
【0036】
防塵フィルタ119の前側には、一般にフォーカルプレーンシャッタと称される形態を有するシャッタ108が配設されている。また、ボディユニット100内には、シャッタ108の先幕と後幕を駆動するばねをチャージするシャッタチャージ機構112と、これら先幕と後幕の動きを制御するシャッタ制御回路113が設けられている。なお、光学フィルタ118、防塵フィルタ119及びシャッタ108は、必要に応じて適宜に配設されるものであり、カメラシステム10はこれらを具備しない構成であってもよい。
【0037】
撮像部117は、撮像部117の動作を制御する撮像部インターフェース回路122を介して画像処理部126に電気的に接続されている。画像処理部126は、撮像部117から出力される信号に基づいて画像を生成するように構成されている。
【0038】
画像処理部126は、SDRAM124やFlashROM125等の記憶領域を使用して、画像に対して所定の画像処理を行う構成を有する。
【0039】
画像処理部126は、ボディユニット100の後方に配設された画像表示装置123に電気的に接続されており、画像表示装置123に画像を表示することができる。画像表示装置123は、カメラシステム10による撮影構図をリアルタイムに表示する、いわゆる電子ビューファインダとしても機能する。また、本実施形態では光学式のファインダを持たない構成となっているが、いわゆる一眼レフ形式の光学式ファインダを設けても良い。
【0040】
記録メディア127は、フラッシュメモリやHDD等の記録媒体であり、ボディユニット100内に着脱可能に設けられている。記録メディア127は、カメラシステム10で撮像された画像等(動画の場合は音声も含む)のデータを記録する。
【0041】
不揮発性メモリ128は、カメラシステム10の制御に必要な所定の制御パラメータを記憶する、例えばEEPROMからなる記憶部である。不揮発性メモリ128は、Bucom101からアクセス可能に設けられている。
【0042】
Bucom101には、カメラシステム10の動作状態を表示出力によってユーザへ告知するための動作表示用LED130と、カメラ操作SW131と、内蔵ストロボ132及び図示しない外部ストロボを駆動するストロボ制御回路133と、が接続されている。カメラ操作SW131は、例えばレリーズSW、モード変更SW及びパワーSWなど、カメラシステム10を操作するために必要な操作釦を含むスイッチ群である。
【0043】
さらに、ボディユニット100内には、電源としての電池134と、電池134の電圧を、当該カメラシステム10を構成する各回路ユニットが必要とする電圧に変換して供給する電源回路135が設けられ、また、外部電源から不図示のジャックを介して電流が供給されたときの電圧変化を検知する電圧検出回路(図示せず)も設けられている。
【0044】
次に、本実施の形態のカメラの手ブレ補正機能に用いられている駆動装置を含む撮像部移動機構部159について説明する。撮像部移動機構部159は、手ブレを補正するために撮像部117をX軸方向、Y軸方向及びZ軸回りの回転方向に移動させることが可能に保持する撮像部移動機構部159を具備している。撮像部移動機構部159を介して撮像部117を保持していることによって、本実施形態のカメラシステム10は、撮像部117を、X軸方向、Y軸方向及びZ軸回りの回転方向に機械的に移動させることができる。
【0045】
また、撮像部移動機構部159は、光軸方向であるZ軸方向にも撮像部117を移動可能にも構成されている。手ブレ補正用の本発明の駆動装置300は、X軸アクチュエータ163、Y軸アクチュエータ164及び振動子165を駆動源として用い、撮像部117を含む撮像ユニット116を搭載した移動枠(ホルダ)145を移動対象物として構成される。
【0046】
具体的に撮像部移動機構部159は、X軸ジャイロ160、Y軸ジャイロ161、Z軸回転検出器170、防振制御回路162、X軸アクチュエータ163、Y軸アクチュエータ164、振動子165、移動枠であるホルダ145(第2部材)、固定枠であるフレーム167(第1部材)、位置検出センサ168及びアクチュエータ駆動回路169を具備して構成されている。ここで、ブレ検出器は、X軸ジャイロ160、Y軸ジャイロ161およびZ軸回転検出器170を含んで構成されている。勿論、Z軸方向の加速度センサを搭載してZ軸方向の手ブレを検出し、撮像部117をZ軸方向に動作させてもよい。
【0047】
つづいて、電磁方式のVCM(第1の駆動機構)および圧電体を有する振動子(第2の駆動機構)を駆動源として用いる本実施の形態の駆動装置300について
図2から
図5を参照して説明する。
図2は、本実施の形態の駆動装置の構成例を示す概略正面図であり、
図3は
図2の駆動装置をA−A’線で断面をとり、側面から見た側断面図である。
図4は
図2の駆動装置をB−B’線で断面をとり、側面から見た側断面図である。
図5は一般的なVCMの概略構成示す正面図(a)と、正面図(a)においてC−C’線で断面をとり、側面から見た側断面図(b)である。正面図(a)は、VCMのヨークと移動枠とを除いて、移動枠側から見た図となっている。
【0048】
固定枠であるフレーム167(第1部材)は、ボディユニット100に固定されており、該フレーム167によって、移動枠であり、撮像部117を保持するホルダ145(第2部材)がX軸方向、Y軸方向、Z軸回りの回転方向に移動可能に支持されている。ホルダ145の支持は、フレーム167に保持された3つの振動子310a〜310c(第2の駆動機構)が、ホルダ145の片側に設置された摺動板B316a〜316c(摺動板B316cについては図示しない)に当接し、ホルダ145の摺動板B316a〜31bcと対抗する位置に設置された摺動板A315a〜315cが、ボール314a〜314cに当接し、板バネを形成する押えバネ313a〜313cで、ボール314a〜314cを介して、ホルダ145を振動子310a〜310cにZ軸方向に押圧することによりなされている。ボール314a〜314cは、摺動板A315a〜315c(摺動板A315cについては図示しない)に対して転動および摺動可能に構成されている。そして、振動子310a〜310cは、フレーム167に一端を固定された柱状の圧電体312a〜312cと、圧電体の他端に固着された端部が球面形状の接触体(接触部)311a〜311cにより構成されている。この構成により、ホルダ145は、3つの接触体311a〜311cが、ホルダ145の摺動板B316a〜316cと接触する3点で形成する平面(支持面)によって支持され、この平面に沿う方向(XY面内方向とも呼ぶ)に自由に動くことが可能となる。この時、押圧方向であるZ軸方向のホルダ145の位置は3つの接触体311a〜311cが、ホルダ145の摺動板B316a〜316cと接触する3点で形成される平面(支持面)位置となる。この平面は、X軸およびY軸に平行な平面(XY面)となっている。振動子310a〜310cが振動していない場合は接触体311a〜311cと摺動板B316a〜316cとの摩擦力により、ホルダ145はフレーム167に保持される。一方、振動子310a〜310cに高い周波数の振動を与えると、後述するように摩擦力が低下し、保持は解除され、VCM駆動することにより、ホルダ145をX軸、Y軸の方向およびZ軸方向まわりの回転動作をすることが可能である。
【0049】
ここで、ホルダ145をXY面内方向に駆動するアクチュエータであるVCM(第1の駆動機構)について、一般的な構成を
図5を用いて説明する。
図5(a)は一般的なVCMを、移動枠側のヨークと移動枠とを外して移動枠側からみた正面図である。また、
図5(b)は
図5(a)のC−C’側断面図を示す。絶縁被服された導電性の細線をトラック形状に巻いたコイル1は移動枠4に接着等で固定されている。板状の磁石2は、
図5で下側がN極、上側がS極となるようにY方向に着磁され、固定枠5に接着等により固定されている。また、磁性材で形成された板状のヨーク3a、3bが磁石2、コイル1を挟んで移動枠4と固定枠5に接着等で固定され、磁石2あるいはコイル1に電流が流れた時の磁力線が外部に漏れないように磁気回路を形成している。この状態で、コイル1に電流を流すと、磁石2の逆向きの磁力線に対して夫々逆向き電流が直交して流れるので磁力線及び電流と直交する方向に力が働き、移動枠4がY軸方向に駆動される。電流の向きを逆転させると、移動枠4は逆方向に駆動される。また、コイル1に流れる電流の大きさにより発生する力を変えることが可能である。ここでヨーク3a、3bは、移動枠4、固定枠5を磁性材で形成すれば不用となる。
【0050】
次に
図2、
図3、
図4により、駆動装置300の駆動を説明する。駆動装置300では
図5で説明したものと同様に構成されたVCM-XA320a、VCM-XB320b、VCM-YA321a、VCM-YB321b、が
図2に示した様に配置されている。VCM-XA320aおよびVCM-XB320bはX方向の駆動力を発生するVCMであり、
図1のX軸アクチュエータ163を構成している。また、VCM-YA321aおよびVCM-YB321bはY方向の駆動力を発生するVCMであり、
図1のY軸アクチュエータ164を構成している。また、Z軸回りの回転方向の駆動は、VCM-YA321a、VCM-YB321bに異なる駆動力(場合によっては反対方向の駆動力)を与えることにより実現可能である。このようにVCMを駆動する場合は、振動子310a〜310c(
図1において振動子165)は振動を発生させた状態にし、接触体311a〜311cと摺動版B316a〜316cとの接触部の摩擦力を低減させる。
【0051】
ホルダ145の位置制御は、ホルダ145のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の位置並びにZ軸回りの回転方向を検出する位置検出センサ168と、VCM-XA320a、VCM-XB320b、VCM-YA321a、VCM-YB321b、及び、振動子310a〜310cの動作を制御するアクチュエータ駆動回路169によって行われる。
【0052】
以上のような駆動装置300を備える撮像部移動機構部159の動作を次に説明する。X軸ジャイロ160は、カメラシステム10のX軸回りの回動(ブレ)の角速度を検出し、Y軸ジャイロ161は、カメラシステム10のY軸周りの回動の角速度を検出し、Z軸回転検出器170は、カメラシステム10のXY平面内の回動の角速度と回転中心位置を検出する。防振制御回路162は、検出されたカメラシステム10の角速度、回転中心位置から、手ブレ補償量を演算し、撮像部117を、ブレを補償するように駆動装置300により変位移動させる。なお、撮像部移動機構部159において、撮像部117を移動させるアクチュエータの構成は、本実施形態ではVCMを用いているが、これに限定されない。回転モータ、リニアモータ、超音波モータ等を用いても良い。
【0053】
以上のような構成を有する撮像素子移動機構部159は、カメラシステム10の動きに応じて撮像部117を移動させることによって、カメラシステム10の動きに起因する撮像部117での被写体像のブレを抑制する機能、いわゆる撮像素子シフト方式の手振れ補正機能を有する。本実施形態では、駆動装置300は撮像素子シフト方式の手ブレ補正に適用されたが、撮影レンズ側を本発明の駆動装置で移動させて手ブレ補正をするレンズシフト方式に適用しても勿論良い。
【0054】
次に本実施形態における接触体311の接触部の摩擦低減と、ホルダ145のZ軸方向への駆動について、
図6〜
図9を用いて説明する。
【0055】
図6は、振動子部の要部構造を概念的に示す部分断面図である。
図6に示すように、固定枠15に振動子11(
図1の165並びに
図2〜
図4の310a,310bおよび310cに相当)が設置されており、移動枠14(
図1〜
図4のホルダ145に相当)に固着された摺動板17(
図3および4の摺動板B316a〜316cに相当)が、振動子11の圧電体12(
図3および4の圧電体312a,312bおよび312cに相当)の端部に固着された接触体13(
図3および
図4の接触体311a,311bおよび311cに相当)の球面凸部に押圧されている。
【0056】
摺動板17と接触体13との間の押圧力は、固定枠15と移動枠14との間に設けられたバネ16により発生されている。押圧力の発生は、
図6のようにコイルバネでも良いし、板バネ、磁石による磁力等、接触体13と摺動板17の間に圧力が発生できるものであればどのような機構でも良い。本実施の形態の
図2〜
図4では、押えバネ313a、313b、313cを用いて押圧力を発生させている。
【0057】
図9は、移動枠と接触体との間の摩擦低減を説明するための、
図6の主要構成の動作を概念的に示す図である。
図9では、
図6で圧電体12に周波電圧を与えて振動させた場合の移動枠14と振動子11との様子を所定の時間ごとに表示している。また、
図10は
図9の時間T0からT6までに対応する圧電体11に印加される電圧信号を示す。
【0058】
圧電体12に正弦波の20kHz以上の電圧を加え、接触体13の移動枠14の摺動板17との接触面に1μm程度の振幅の超音波振動を発生させると、
図9に示すように接触体13は殆ど摺動板17には接触しない状態となる。詳しく説明すると、圧電体12に電圧が印加されない初期状態の
図9(a)では接触体13は摺動板17にバネ16の押圧力で押圧されて接触している。
【0059】
次に圧電体12が延びるように圧電体12に電圧が印加されると圧電体が変位する加速度と移動枠14の質量の積の力があらたに加わった状態で接触体13は摺動板17に押圧され、変位加速度は次第に減少して0となり、最大電圧が印加されて圧電体12が最大に伸張した状態になる(
図9(b))。初期の発生加速度が非常に大きな場合は、条件によってはこの状態で接触体13が摺動板17に接触しない場合も発生する。
【0060】
最大に変形した後に圧電体12は縮みはじめ、初期状態に戻る。この時、圧電体が発生した加速度による変位をバネ16は充分引き戻すことは出来ない(圧電体は時定数が小さいがバネ16は時定数が相対的に非常に大きいため応答遅れが生ずる)ので接触体13は摺動板17に接触しない状態が実現する(
図9(c))。
【0061】
圧電体12には続いて圧電体12を縮める方向の最大電圧印加状態でも接触体13は摺動板17には接触しない状態が継続する(
図9(d))。
【0062】
次に圧電体12に印加される電圧は小さくなって0になり、圧電体12は初期状態の変位に戻るが、接触体13は摺動板17に接触しない(
図9(e))。
【0063】
さらに圧電体12に伸張する方向に電圧が加わり、圧電体12が延びると所定のところで接触体13は摺動板17に接触し、移動枠14には、接触体13から離れる方向に加速度が加えられる(
図9(f))。
【0064】
再び圧電体12に縮む方向に電圧が加わり、圧電体12が初期状態の変位に戻ると、接触体13と摺動板17は再び接触しない状態になる(
図9(g))。以上に示したように
図9の(c)から(g)までを1周期として繰り返しの動作となる。
図9の(a)から(c)までは静止状態から定常振動発生までの過渡特性の状態となるので定常状態では
図9(c)から(g)が繰り返される。
【0065】
図9の(c)から(g)までの1周期で接触体13が摺動板17に接触するのは
図9(f)の付近の一瞬のみとなり、1周期の大部分の時間は非接触状態であり、その間は摩擦力Ffは0となる。従って1周期の平均の摩擦力Ffは非常に小さくなる。実際には非接触時にVCMが動作すれば、摩擦力Ffは0で動作し、圧電体12の振動周期の間隔で瞬間摩擦力でブレーキがかかる状態になるが、振動周期が非常に小さいために摩擦力が定常的に小さくなったように滑らかに動作する。この動作からもわかるように、圧電体12の振動振幅を変えることで、接触体13の摺動板17との接触時間が変化する。振動振幅を非常に小さくする(振幅を0に近い値とする)と接触体13と摺動板17は常時接触した状態と殆ど変わりなくなり、摩擦力Ff≒μFpとなる。ここで、μは接触体13と摺動板17の接触面の摩擦係数であり、Fpはバネ16の押圧力である。
【0066】
なお、圧電体12を振動させると、接触体13には超音波振動による数万m/s
2レベルの加速度が加わる。従って、接触体13は剛性の高い金属やセラミックスが好ましく、可聴音の抑制のためには剛性の高いPPS等の樹脂にセラミック粉、ガラス繊維、炭素繊維等の材料を混ぜたものがより好ましい。また、接触体13と圧電体12の接合は剛性の高いエポキシ系の接着剤等で行なうのが良い。一方、接触する摺動板17は剛性が高く、耐摩耗性の金属やセラミックスにするのが好ましく、本実施形態の場合には近くにVCMの磁石が配置されることから非磁性のステンレスなどがより好ましい。
【0067】
図7、
図8は振動子310a、310b、310cを構成する圧電体312a、312b、312cの構成を示している。
図7は圧電体312a、312b、312cの詳細を示す分解斜視図である。圧電体312a、312b、312cはチタン酸ジルコン酸鉛等の圧電セラミックスで作られた圧電体単板を多数枚積み重ねて構成された積層圧電体からなっている。積層される圧電体の基本構成410は内部電極である電極C401cが片側の面に形成された矩形板状の圧電体板A401と、内部電極である電極C402cが片側の面に形成された矩形板状の圧電体板B402とのペアから成り、これらを複数ペア積層することにより積層圧電体を構成している。各電極C401c、402cは異なる側面位置に引き出され、圧電体板A401および圧電体B402が積層され、さらに内部電極を持たない圧電体板C403が積層されて焼成されたものの側面に形成された電極A401aおよび電極B401bにより、圧電体板A401および圧電体B402の1枚おきに内部電極が接続され、最外面の圧電体板C403の表面に2つの電極、すなわち電極A402aおよび電極B403bが形成されている。
図7では圧電体単板を複数枚積み重ねているが、圧電体単板を折り畳んだ形態で製作しても同様な構成が可能である。
【0068】
このように形成された積層圧電体は電極A、電極B間に高電圧を印加することで各圧電体板A401および圧電体板B402が板厚方向で同じ方向に分極される。従って、
図8に示すように分極された圧電体312a、312b、312cの電極A,電極Bの一方406をグランドにつなぎ、他方に圧電体制御回路500の信号出力端子につなげて周波電圧を印加すると板厚方向に圧電体312a、312b、312cは伸び縮みする。
【0069】
図11は、駆動装置300における圧電体312a、312b、312cの圧電体制御回路500の構成を概略的に示す回路図である。また、
図12は、
図11の圧電体制御回路500における各構成部材から出力される各信号Sig1〜Sig4の波形を示すタイムチャートである。ここで圧電体制御回路500は
図1のアクチュエータ駆動回路169の一部を構成している。この様に積層圧電体にすることによって低い電圧で駆動が可能となり、駆動回路をより小型にすることが可能である。
【0070】
圧電体制御回路500は、
図11に例示の如く、N進カウンタ182、1/2分周回路183、インバータ184、複数のMOSトランジスタQ00,Q01,Q02、トランス185及び抵抗R00から構成されている。
【0071】
上記トランス185の1次側に接続されたMOSトランジスタQ01及びMOSトランジスタQ02のON/OFF切替え動作によって、そのトランス185の2次側に所定周期の信号(Sig4)が発生するように構成されており、この所定周期の信号に基づき圧電体312a、312b、312cを駆動させ、
図9に示すような振動を発生させるようになっている。
【0072】
Bucom101は、制御ポートとして設けられた2つのIOポートP_PwCont及びIOポートD_NCntと、このBucom101内部に存在するクロックジェネレータ186を介して圧電体制御回路500を次のように制御する。クロックジェネレータ186は、圧電体312a、312b、312cへ印加する信号周波数より充分に速い周波数でパルス信号(基本クロック信号)をN進カウンタ182へ出力する。この出力信号が、
図12中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig1である。そしてこの基本クロック信号はN進カウンタ182へ入力される。
【0073】
N進カウンタ182は、当該パルス信号をカウントし所定の値“N”に達する毎にカウント終了パルス信号を出力する。即ち、基本クロック信号を1/Nに分周することになる。この出力信号が、
図12中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig2である。
【0074】
この分周されたパルス信号はHighとLowのデューティ比が1:1ではない。そこで、1/2分周回路183を通してデューティ比を1:1へ変換する。この変換されたパルス信号は、
図12中のタイムチャートが表わす波形の信号Sig3に対応する。
【0075】
この変換されたパルス信号のHigh状態において、この信号が入力されたMOSトランジスタQ01がONする。一方、MOSトランジスタQ02へはインバータ184を経由してこのパルス信号が印加される。従って、パルス信号のLow状態において、この信号が入力されたMOSトランジスタQ02がONする。トランス185の1次側に接続されたMOSトランジスタQ01とMOSトランジスタQ02が交互にONすると、2次側には
図12中の信号Sig4の如き周期の信号が発生する。
【0076】
トランス185の巻き線比は、電圧制御回路501の出力電圧と圧電体312a、312b、312cの駆動に必要な電圧とから決定される。尚、抵抗R00はトランス185に過大な電流が流れることを制限するために設けられている。また、電源回路135の出力電圧は電圧制御回路501に入力されている。
【0077】
Bucom101のVCntから電圧制御回路501の出力電圧が設定され、圧電体312a、312b、312cへの印加電圧が決まる。電圧制御回路501の出力電圧により、圧電体312a、312b、312cの振動振幅が決る。具体的に振動振幅を電圧制御回路501によって変えた状態を示すグラフが
図13である。この場合、接触体311a、311b、311cとホルダ145の摺動板とのZ軸方向の接触位置は、基準振幅に対し、振幅拡大したとき、変化する。この時の接触位置の変化ΔZは、4μmである。このように圧電体312a、312b、312cへの印加電圧を制御することによってZ軸方向へのホルダ145の位置制御も可能となる。
図13で基準振動をさせた時も、圧電体を振動させない場合を基準にしてΔZは、1μmとなるが、この値は不揮発性メモリ128に記憶させておけば、補正することができる。
【0078】
圧電体312a、312b、312cを駆動するに際しては、MOSトランジスタQ00がON状態にあり、且つ、電圧制御回路501からトランス185のセンタータップに電圧が印加されていなければならない。そして、この場合において、MOSトランジスタQ00のON/OFF制御は、Bucom101のIOポートP_PwContを介して行われるようになっている。N進カウンタ182の設定値“N”は、Bucom101のIOポートD_NCntから設定でき、よって、Bucom101は、設定値“N”を適宜に制御することで、圧電体312a、312b、312cの駆動周波数を任意に変更可能である。また、駆動周波数を振動子310a、310b、310cの共振周波数として振動子310a、310b、310cの振動振幅を拡大し、低い電圧で動作するようにしても良い。共振周波数とする場合は圧電体312a、312b、312cの振動状態を検出し、共振周波数を追尾する制御が必要となる。振動状態の検出は、例えば圧電体312a、312b、312cに入力される電流を検知することで検出可能である。
【0079】
このとき、次の(1)式によって周波数は算出可能である。即ち、
fdrv=fpls/2N …(1)
但し、NはN進カウンタ182への設定値、fplsはクロックジェネレータ186の出力パルスの周波数、fdrvは圧電体312a、312b、312cに印加される信号の周波数である。尚、この(1)式に基づいた演算は、Bucom101のCPU(制御手段)で行われる。
【0080】
また、fdrvは本実施形態では20kHZ以上の周波数とするのが良い。圧電体312a、312b、312cは、fdrvの周波数で振動することになるが、この周波数帯は超音波領域であり、人間には聞こえない。カメラシステム10は動画の撮影にも使われるが、その時は音声を同時に記録する場合があり、駆動音が小さいことが求められる。超音波帯の音は人間の可聴域を超えるため、通常のマイクが検出することがない。
【0081】
なお、圧電体312に与える電圧の振動振幅を変化させることに代えて、直流電圧成分を印加することもできる。
図14は異なる圧電体制御回路(不図示)で制御した圧電体312a、312b、312cの振動の様子を示す。
図11から電圧制御回路501を除き、電源回路135の出力を直接入力し、圧電体制御回路からの出力に直流電圧回路からの出力(DC電圧)を加算して圧電体312a、312b、312cに印加するものである。このような構成とした場合に直流電圧回路の出力電圧を制御することで、接触体311a、311b、311cとホルダ145の摺動板とのZ軸方向の接触位置を制御することが可能である。この場合、VCMを駆動させることなく、DC電圧を印加することでホルダ145をZ軸方向に移動制御することも可能である。
【0082】
以上説明したように、本実施の形態によるカメラシステム10は、接触体311a〜311cが構成する支持面(XY平面)に沿う方向に、撮像素子を載置したホルダ(移動枠)145とフレーム(固定枠)167とを相対移動させるVCM−XA320a,VCM−XB320b,VCM−YA321aおよびVCM−YB321bと、接触体311a〜311cをフレーム167に対して押圧方向(Z軸方向)に変位させる振動子310a〜310cとを有し、振動子310により接触体311を押圧方向に振動させることにより、接触体311a〜311cとホルダ145の摺動板B316a〜316cとの間の摩擦力を低減するようにしたので、ブレを補償するために駆動装置300により、より小さな駆動力で撮像部117を、変位移動させることが可能になる。このとき、簡単な構成で支持面(XY平面)内の駆動に加えて、支持面に垂直な押圧方向(Z軸方向)への駆動も可能となる。さらに、このカメラシステム10は、手ブレ補正を行わない場合は、振動子310a〜310cを停止時させ、精密な位置の保持が可能である。
【0083】
すなわち、本実施の形態ではXY平面に沿う方向の駆動のために、固定枠であるフレーム167と可動枠であるホルダ145のみを用いれば良く、X軸方向およびY軸方向を独立して駆動させるために、それぞれX方向とY方向に駆動させるための別個の可動枠を設ける場合に比べ、構造が単純でありコンパクトに実装することが可能になる。
【0084】
さらに、カメラシステム10の駆動装置300は、撮像部117を押圧方向(Z軸方向)へも駆動できるので、撮像素子の光軸方向の位置の微調整などに利用することもできる。
【0085】
(変形例)
第1実施の形態において、圧電体312a、312b、312cは屈曲振動を発生する積層圧電体にすることができる。屈曲振動を発生する積層圧電体は、
図15に要部の構造を示すように、第1実施の形態と同様の矩形板状の圧電体を多数積層して構成されるが、第1の基本構成411と第2の基本構成412の2つの基本構成を有する点で、第1実施の形態の圧電体312a、312b、312cとは異なっている。
【0086】
第1の基本構成411は、第1実施の形態の基本構成410と同様に、圧電体板A401および圧電体板B402をこの順に順次積層して構成される。一方、第2の基本構成412は、第1の基本構成411とは反対に、圧電体板B402および圧電体板A401をこの順で順次積層して構成される。圧電体312は、
図16に示すように、ほぼ同数の圧電体板から成る第1の基本構成411と第2の基本構成412とを重ねて一体として構成される。第1の基本構成側の片側の面はフレキシブル基板404と接続されている。また、第2の基本構成412側の端面の中央には接触体311が接着剤等で固定される。
【0087】
また、圧電体312は第1の基本構成411側の端面を、フレキシブル基板404を挟んで、2つの突出部を両端にもつ支持体318の突出部に接着等で固定され、屈曲振動が可能な状態になっている。一方、支持体318は、
図17に示すように突出部と異なる側の矩形形状の本体がフレーム167の矩形凹部に嵌り、接着等で固定されている。支持体318は振動減衰性のあるゴムや樹脂で形成すると、振動をフレームに逃がすことが無く、好ましい。この変形例において、他の構成は第1実施の形態と同様である。
【0088】
この状態で
図16に示す圧電体制御回路500で正弦波電圧を印加すると、正の電圧が印加されると第1の基本構成411の群からなる圧電体部分は、例えば、矩形の長手方向に伸び、第2の基本構成412からなる圧電体部分は矩形長手方向に縮む。すると、第1の基本構成411と第2の基本構成412は一体に形成されているので圧電体は、伸びる側の圧電体面が凸になるように屈曲する。次に、負の電圧が印加されると、正の電圧がかかった場合とは逆側に曲がる。このため、圧電体に固着されている接触体は圧電体の積層方向に振動することになる。これによって、圧電体の振幅をより拡大することができるので有利である。
【0090】
本発明の第2実施の形態は、第1実施の形態と同様の構成を用いながら、Bucom101の制御により、画像処理部126が、いわゆるコントラスト検出方式によるオートフォーカスを行うために、撮像部117を光軸方向に所定の振幅で振動(ウォブリングの動作)させて生成した複数の画像について、所定の領域(フォーカスエリア)におけるコントラスト値を算出して、遠距離側、近距離側のいずれに焦点位置があるのか検出する。そして、ウォブリング動作をしながら焦点のある方向にフォーカスレンズ202を移動させつつ、画像を取り込む(撮影する)と、それらの画像から最大コントラストの状態(焦点位置)を検出することができ、その位置でフォーカスレンズ202を停止することにより、オートフォーカスをする。
【0091】
以下に、
図18および
図19のフローチャートを参照して、カメラシステム10の動作を説明する。
図18は、本発明の駆動装置をカメラシステム10のAF(オートフォーカス)に適用した場合の動作を示している。
図19は
図18の中のAF(オートフォーカス)の動作を示している。
【0092】
図18に示すカメラシステムの撮影シーケンスの動作制御は、主にBucom101の制御によって行われる。
【0093】
まず、Bucom101は、カメラシステム10のカメラ操作SW131のパワーSWが操作されると、あらかじめ定められたカメラシステム起動時の初期設定シーケンスを実行する(ステップS101)。この初期設定シーケンスでは、Bucom101は、不揮発性メモリ128から必要な制御パラメータを読み出す。
【0094】
次に、Bucom101は、図示しない結合部に接続されているストロボや電子ビューファインダ等のアクセサリの有無を検出する(ステップS102)。
【0095】
さらに、Bucom101は、カメラ操作SW131の各スイッチの状態を検出する(ステップS103)。状態を検出するスイッチとしては、録画・再生モードの切り替え、動画・静止画の切り替え等を行うスイッチを含む。なお、カメラ操作SW131には、ハードウェアにより実現されるスイッチに限られず、ソフトウェア的に切り替えられるスイッチをも含む。
【0096】
その後、Bucom101は、カメラシステム10が、再生モードと録画モードの何れであるかを検出し(ステップS104)、再生モードの場合には、動画または静止画の再生用プログラムが起動され、画像表示装置123に再生可能な画像の選択画面が表示され、使用者の指示に従って画像の再生を実行する(ステップS105)。再生モードの詳細は、本願に直接の関係がないので説明を省略する。
【0097】
次に、再生モードではない場合は、静止画撮影モードと動画撮影モードのいずれのモードにあるかが検出される。具体的には、カメラ操作SW131のうち動画・静止画の切り換えを行うスイッチである動画ボタンのON/OFFが検出される(ステップS106)。動画ボタンがONされた場合は、動画が記録中か否かを示す記録中フラグが反転される(ステップS107)。すなわち、動画ボタンがONされる度に、記録中フラグのON/OFFが切り替わる。次に、記録中フラグが検出され(ステップS108)、ONの場合は、自動露光(AE)処理を行い(ステップS109)、その後、ウォブリングを用いたAF動作を行う(ステップS110)。
【0098】
図19は、
図18のAF動作(ステップS110およびS116)を説明するフローチャートである。このAF動作は、撮像素子を有する撮像部117を光軸O1方向に微小移動させることが、不図示のフォーカシングレンズを光軸方向に微小移動させることと光学的に等価になるように撮像光学系を構成し、撮像部117を光軸方向に微小移動した位置でのAF評価値(コントラスト値)により、フォーカシングレンズの合焦位置が存在する方向を認識して、フォーカシングレンズの移動を行うものである。
【0099】
まず、Bucom101は、カメラシステムがAFモード状態にあるか検出する(ステップS201)。AFモード状態に無い場合は、非AFモード用の動作を行う。非AFモード用処理は、本発明の内容と直接的に関連しないので省略する。
【0100】
カメラシステムがAFモード状態の場合は、次にAF開始状態にあるかが検出される(ステップS202)。このステップでは、例えば、静止画撮影の場合は、ファーストレリーズボタンがONの状態にあるか否か等を検出して、AF開始状態か否かが判定される。AF開始状態の場合は、Bucom101は、振動子310a〜310c(165)の圧電体312を振動駆動させ(ステップS203)、接触体311a〜311cと摺動板B316a〜316cとの間に働くZ軸方向(押圧方向)の摩擦力Ffを低減する。なお、摩擦力Ffが低減されるとホルダ145はXY面内で重力方向に移動してしまうので、同時にVCM320a,320b,321a,321bを駆動し、ホルダ145が位置制御されている。例えば、ブレ補正の動作をしながらウォブリング動作をすることが可能である。
【0101】
次に、Bucom101の制御により、接触体311a〜311cが形成する支持面のZ軸方向(押圧方向)の変位量を変化させることにより、撮像部117のウォブリングを行う(ステップS204)。ウォブリングは、
図13に示したように、圧電体312a〜312cに印加する電圧の交流成分の振幅を変化させ前記接触体311a〜311cの振動振幅を変えることによって変化させる。また、
図14に示したように、圧電体312a〜312cに印加する電圧の直流成分を変化させて前記接触体311a〜311cの振動中心を変位させても良い。
【0102】
Bucom101は、ウォブリングによりフォーカシングレンズの位置を移動させ、撮像部117により複数回(例えば3回)の画像の取り込みを行う(ステップS205)。取り込んだ画像から、画像処理部126が各画像のコントラスト値を検出する(ステップS206)。コントラスト値の最大値と最小値との差異を許容値と比較し(ステップS207)、許容値より大きい場合、コントラスト値の差異によって、フォーカシングレンズの合焦位置のある方向が分かるので、Bucom101は、Lucom201を介して不図示のレンズ駆動機構によりフォーカシングレンズを合焦位置の方向へ駆動させる(ステップS208)。これによって、フォーカシングレンズを合焦位置に近づけることができる。
【0103】
Bucom101は、ステップS204〜S208の処理を繰り返し行いつつ、得られたコントラスト値の差が所定の許容値以下になった場合(ステップS207)は、コントラストが最良の状態、すなわち合焦状態にあると判断してAF処理を終了する。このとき、Bucom101によりまずウォブリングが停止する(ステップS209)。さらに、振動子310a〜310cの圧電体312a〜312cの駆動も停止し(ステップS210)、撮像部117のZ軸方向の位置は、振動子310a〜310cの駆動前の位置に戻る。なお、撮像部117のZ軸方向の位置を所定の位置に保持するために、振動子310a〜310cの圧電体312a〜312cに所望の変位量に応じた所定の直流電圧を印加することもできる。
【0104】
次に
図18に示すように、AF動作(ステップS110)が完了すると、動画撮影(ステップS111)を行う。撮影された動画は、画像処理部126で処理され(ステップS112)、記録メディア127に記録される(ステップS113)。
【0105】
その後、電源OFF操作をしない限り、電源がONであることが判断され(ステップS121)、Bucom101の処理は、ステップS104に戻る。特段の操作を行わない場合は、ステップS104,S106,S108を経て、AE動作(ステップS109)から画像記録(ステップS113)までの動作が繰り返され、動画撮影が継続する。
【0106】
次に、上述の動画撮影モードから動画ボタンが操作されると、Bucom101は、動画ボタンがONになったことを検出し(ステップS106)、記録中フラグを反転させる(ステップS107)。これによって、動画記録状態ではないと判断され(ステップS108)、静止画撮影モードに移行し、動画の撮影・記録は終了する。ただし、画像表示装置123は、ステップS121で電源OFFとなるまで動画表示(ライブビュー表示)を続ける。
【0107】
静止画撮影モードにおいて、Bucom101は、撮影者によりレリーズSWが半押し動作、すなわちファーストレリーズボタンがONに変化したかを検出する(ステップS114)。ファーストレリーズボタンがONになったことが検出されると、自動露光(AE)処理を行い(ステップS115)、その後、ウォブリングを用いたAF動作を行う(ステップS116)。ステップS116では、
図19に示したAF動作が行われる。その際、画像表示装置123には、ステップS205で取り込んだ画像が表示される。
【0108】
次に、
図18に示すように、AF動作(ステップS116)が完了すると、Bucom101は、電源OFFを検出するステップS121を経てステップS104に戻る。使用者がモードの変更をしない限り、ステップS104、ステップS106、ステップS108を経て、ステップS114で、再び1stレリーズボタンがONに変化したかが検出される。ここで、1stレリーズボタンは、既にONになっているので「NO」に分岐する。
【0109】
次に、Bucom101は、レリーズSWの全押し動作であるセカンドレリーズボタンの動作を検出し(ステップS117)、セカンドレリーズボタンがONされると、静止画像の撮影(ステップS118)を行う。ステップS118で撮像した画像データは、撮像部インターフェース回路122を介して画像処理部126で処理され(ステップS119)、画像表示装置123に表示されると共に記録メディア127に記録される(ステップS120)。
【0110】
一方、ステップS117において、セカンドレリーズボタンがOFFの場合は、ステップS121を経て、ステップS104に戻り、特段の操作をしない限り、ステップS104,S106,S108,S114,S117,S121の処理が繰り返される。静止画撮影モードでは、ファーストレリーズボタンがONの状態では、画像表示装置123にAF動作(ステップS116)により取り込んだ画像が表示され、セカンドレリーズボタンがONされる度に、1コマずつ静止画の撮影・記録(ステップS118〜S120)を実行する。
【0111】
カメラシステム10は、動画または静止画撮影における画像記録(ステップS113およびステップS120)後、電源OFFが検出されるまで(ステップS121)画像再生、静止画、動画の撮影を行う。電源OFFが検出されると、適宜終了処理を行いカメラ各部への給電が停止される。
【0112】
以上説明したように本実施形態によれば、カメラシステム10は、振動子310a〜310cの振動振幅または振動中心の変位量を変化させることにより、フレーム167に対する撮像素子を有する撮像部117のZ軸方向の変位量を変化させ、撮像素子から得られた画像のコントラスト値から、合焦方向を検出するようにしたので、第1実施の形態と同様の簡単な構成を用いながら、フォーカシングの調整を行うことができる。したがって、カメラシステム10は、単純な駆動装置300を用いながら、手ブレ補正とウォブリングによるオートフォーカスの双方を行うことが可能になる。また、VCMおよび圧電体を用いることにより、撮像部117の高精度な位置制御が可能になる。また、ボディユニット100側にウォブリングの機構を設けたので、本実施形態では何れのレンズユニットを用いても高速、高精度なコントラストオートフォーカスを行なうことが可能となる。
【0113】
さらに、XY面に沿う方向の駆動にVCMを用い、Z軸方向の駆動に圧電素子を用いたので、精密に位置調整可能な三次元ステージをコンパクトに実現することができる。
【0114】
なお、
図2、
図3、
図4には3つの振動子310a、310b、310cが設置されているが、これらの振動子を独立にZ軸方向に制御することによって、ホルダ145の傾きを調整することが可能である。上記に記載したように数μmレベルの精密な制御が可能なことから、カメラシステムのレンズ、又はボディに記憶されたレンズあるいはボディの製造による光軸と撮像部の傾き量を、各振動子310a、310bおよび310cを制御することによって補正することができる。Z軸方向のフォーカス位置の製造誤差を同様な方法で補償することも可能である。この補正は手ブレ補正でホルダ145をXY面内で動作させた場合に実施できるのは勿論、圧電体312a、312b、312cに直流電圧を印加する場合はVCMなどのアクチュエータを動作させなくとも補正を実現できる。
【0115】
(第3実施の形態)
第3実施の形態は、第1実施の形態に係る駆動装置の振動子およびその周囲の構成を変更したものである。
図20は、本発明の第3実施の形態に係る駆動装置の要部構造を示す図であり、
図20(a)は
図2の振動子310a及びその周囲の構成を示している。また、
図20(b)は
図20(a)のE−E’側断面図である。
【0116】
第1実施の形態では、
図3に示すように、フレーム167に固定された押えバネ313により、ホルダ145を前方からフレーム167に対して押圧していた。本実施の形態は、
図20に示すように、振動子310aが接着等で固着された両持ち支持の押圧バネ318により、押圧力を発生させるものである。以下に、第1実施の形態と異なる部分について説明する。
【0117】
まず、フレーム167の外縁部はZ軸方向の前方にせり出しており、その最前部に前固定枠150がビス317により固定されている。圧電体312aは、フレーム167に設けられた穴を貫通するように配置される。圧電体312aのZ方向中ほど外周に環状のゴム151が配置され、ゴム151の外周は上記穴の内周に固定されている。このゴム151は振動子310aのZ方向の振動を阻害せずに、振動子310aの前方端(接触体311aの接触体311a)のXY面に沿う方向の振動を抑制している。ゴム151の材料はゴムでなくても、振動減衰性をもつものであれば、ウレタン等の樹脂材料、コルク、フェルト、スポンジ等であれば良い。また、フレーム167には、振動子体310aの接触体311aとは反対側の端部を押圧するように、押圧バネ318がビス152a,152bで固定されている。押圧バネ318により、振動子310aの先端に固着されている接触体311aは、前固定枠150とフレーム167との間に設けられたホルダ145に固着された摺動板B316に対して所定の力量で押圧される。一方、ホルダ145は、前方に摺動板A315aが固着され、転動体であるボール314aを介して、前固定枠150との間に挟みこまれる。
【0118】
振動子310aが停止した状態で、ホルダ145には接触体311aと摺動板B316の間に大きな摩擦力が発生しているので、XY面内にホルダ145は動くことがない。ボール314側に発生する摩擦力は、ボール314aと摺動板Aとの転がり摩擦となるので、小さなものとなるが、振動子310a側で発生する摩擦が非常に大きいので全体としては、大きな保持力が働く。
【0119】
一方、振動子310aが動作状態では、固定枠に対して振動子310aが振動して変位することになり、接触体311aと摺動板B316aとの間の摩擦力を小さく出来る。この場合、XY面に沿う方向での動作時のボール314aと摺動板A315aとの摩擦は小さいものとなるので、ボール314aの保持は、
図20に示した形態がより好ましい。その他の構成、作用は、第1実施の形態と同様であるので、同一構成要素には同一参照符号を付して説明を省略する。
【0120】
本実施の形態によれば、フレーム167に対して振動子310aが振動すると、第1実施の形態と同様に、摺動板B316aと接触体311aとの間の相対位置運動により、摺動板B316aと接触体311aとの間の摩擦力が軽減され、手ブレを補償するために駆動装置300により、駆動時にはより大きな駆動力で撮像部117を、変位移動させることが可能になり、停止時には精密な位置の保持が可能となる。また、前固定枠150と摺動板A315aとの間は、ボール314aの転がり摩擦のみが働くようにしたため、さらに、摩擦力を軽減させることができる。
【0121】
さらに、本実施の形態では、前固定枠150とホルダ145との間はボール314aを介して支持されるので、ホルダ145はXY平面に沿う方向にのみ変位可能で、Z方向には変位しない。このため、Z方向への変位が好ましくないような用途には特に適している。
【0122】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、本発明の駆動装置は実施の形態に示されたカメラシステムのみならず、例えば工具顕微鏡のステージなど、XY平面内およびZ軸方向への駆動を伴うような種々の分野に適用することができる。
【0123】
また、第1の駆動機構としては、VCMに限られず、用途に応じて回転モータ、リニアモータや超音波モータ等種々のアクチュエータを用いることができる。さらに、第2の駆動機構としては、圧電体を用いたものに限られず、振動可能な種々の駆動機構を利用できる。例えば、公知のモータを使って偏心体を回転させることによっても振動を発生させることができる。
【0124】
また、上記実施の形態では、第1部材を固定枠であるフレーム、第2部材を移動枠であるホルダとしたが、第1部材を可動枠、第2部材を固定枠とする構成も可能である。その場合、例えば、移動枠に振動子を設け、固定枠には、この振動子の接触体と対抗する場所に摺動板を設ける。
【0125】
また、振動子は接触体を有さず、例えば、圧電体の摺動板との接触部をプラスチックエンジニアリング材料等で構成すれば、圧電体を直接摺動板に当てる構成も可能である。したがって、本発明の接触部は、実施の形態に示した接触体に限られない。さらにホルダやフレームの材質や表面処理により摺動板を省くことも可能である。また、圧電体に入力される印加電圧は正弦波に限られず、矩形波や三角波などでも勿論良い。
【0126】
さらに、第1および第2実施の形態においても、第3実施の形態と同様にボールを介してホルダを押圧するようにしても良い。接触部および振動子は3つに限られず、他の数であっても良い。例えば、接触部が大きな平面の接触面を有していれば、1つの接触部で支持面を構成することが可能である。その場合、接触部は1つでも良い。