【実施例】
【0039】
カルボキシメチルセルロースの合成例(1)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダに99%イソプロピルアルコール911部と水酸化ナトリウム78.7部を水189部に溶解したものと加え、市販のセルロース(コットンリンターPCS2400、山東高蜜化繊公司製)を200部(質量部、以下同様)仕込んだ。30℃で90分間攪拌、混合しアルカリセルロースを調製後、更に攪拌しつつ90%イソプロピルアルコール90部に溶解したモノクロロ酢酸20部を添加し、30分で70℃に昇温し、90分間反応させた。反応終了後、80%メタノールで2回洗浄、中和、脱液、乾燥、粉砕し、DS0.10、重量平均分子量30万のカルボキシメチルセルロース(CMC−A)を得た。
【0040】
カルボキシメチルセルロースの合成例(2)
90%イソプロピルアルコール90部に溶解したモノクロロ酢酸の添加量を28部とする以外は(1)の合成例と同様の手法でDS0.20、重量平均分子量30万のカルボキシメチルセルロース(CMC−B)を得た。
【0041】
カルボキシメチルセルロースの合成例(3)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダに99%イソプロピルアルコール1044部と水酸化ナトリウム69.8部を水162部に溶解したものと加え、市販のセルロース(コットンリンターPCS2400、山東高蜜化繊公司製)を200部仕込んだ。30℃で90分間攪拌、混合しアルカリセルロースを調製後、更に攪拌しつつ90%イソプロピルアルコール90部に溶解したモノクロロ酢酸32部を添加し、30分で70℃に昇温し、90分間反応させた。反応終了後、80%メタノールで2回洗浄、中和、脱液、乾燥、粉砕し、DS0.24、重量平均分子量30万のカルボキシメチルセルロース(CMC−C)を得た。
【0042】
カルボキシメチルセルロースの合成例(4)
90%イソプロピルアルコール90部に溶解したモノクロロ酢酸の添加量を25部とする以外は(1)の合成例と同様の手法でDS0.18、重量平均分子量30万のカルボキシメチルセルロース(CMC−D)を得た。
【0043】
(I)カルボキシメチルセルロースのエーテル化度(DS)
試料2gを精秤して、300mL共栓付き三角フラスコに入れた。硝酸液(メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液)100mLを加え、3時間攪拌して、カルボキシメチルセルロース(CMC)を酸型(以下、H−CMCという)にした。その絶乾H−CMCを1.5〜2.0g秤量し、300mL共栓付き三角フラスコに入れた。80%メタノール15mLでH−CMCを湿潤させ、0.1N−NaOH 100mLを加え、室温で3時間攪拌した。フェノールフタレインを指示薬として、0.1N−H
2SO
4で過剰のNaOHを逆滴定した。CMCのDSは、次式によって算出した。
A=〔(100×F−B×F’)×0.1〕/(H−CMCの絶乾質量(g))
DS=0.162×A/(1−0.058×A)
A:H−CMCの1gの中和に要する0.1N−NaOH量(mL)
B:0.1N−H
2SO
4(mL)の滴定値(mL)
F:0.1N−H
2SO
4のファクター
F’:0.1N−NaOHのファクター
【0044】
(II)カルボキシメチルセルロースのろ過速度
フィルター寸法25φmmのフィルターホルダー(ファンネルとサポートスクリーンを装着したベースに別れたガラス製のろ過器で、間にフィルターを装着しをクランプで固定するタイプのもの)に55φmmの定性ろ紙(No.2)をはさみ、ファンネル部分にカルボキシメチルセルロースの水溶液(濃度6.7ppm)を150mL添加し、自然ろ過させる。ファンネル部分に残った水溶液の量が150mLから125mLになるまでに要した時間(秒)をろ過速度とした。
【0045】
実施例1〜7及び比較例1〜10
表2に示す割合で各成分を配合して、粉末洗剤組成物a〜eを調製した。各組成物は、表3のカルボキシメチルセルロースを、これ以外の成分を含有する組成物(ベース洗剤)と混合して調製した。得られた粉末洗剤組成物の平均粒径、布残留性(白色度)を以下の方法で測定、評価した。結果を表3に示す。
【0046】
(1)粉末洗剤組成物の平均粒径
目開き125μm、180μm、250μm、355μm、500μm、710μm、1000μm、1400μm、2000μmの9段の篩と受け皿を用いて、受け皿上に目開きの小さな篩から順に積み重ね、最上部の2000μmの篩の上から100gの顆粒を添加し、蓋をしてロータップ型ふるい振とう機(株式会社平工製作所製、タッピング156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け5分間振動させた後、それぞれの篩及び受け皿上に残留した粒子の質量を測定し、各篩上の粒子の質量割合(%)を算出した。受け皿から順に目開きの小さな篩上の粒子の質量割合を積算していく。重量頻度が50%以上となる最初の篩の目開きをaμmとし、またaμmよりも一段大きい篩の目開きをbμmとした時、受け皿からaμmの篩までの重量頻度の積算をc%、またaμmの篩上の重量頻度をd%とした場合、平均粒径は次の式から求められる。
【0047】
【数1】
【0048】
(2)布残留性試験
布残留性試験に際し、粉末洗剤は30℃、70%RHの部屋に3日間放置したものを用いた。また試験布として、染色試材株式会社 谷頭商店の黒染綿ブロード40(平織り黒布)を直径8cmの円状に切ったものを用いた。を作成する。25℃にした交換水を1リットルビーカー(内径105mm、高さ150mmの円筒型、例えば岩城硝子株式会社製)の中に満たし、25℃の水温をウオーターバスにて一定に保った状態で、攪拌子(長さ35mm、直径8mm、例えば型式:ADVANTEC社製、テフロン(登録商標)丸型細型)にて水深に対する渦巻きの深さが略1/3となる回転数(1000rpm)で攪拌する。0.6667±0.0010gとなるように秤量した粉末洗剤組成物を攪拌下に水中に投入・分散させ攪拌を続ける。投入から10分後に予め吸引ろ過器にセットしておいた黒布に分散液を流し吸引ろ過する(吸引ろ過器=直径90mmのブフナーロート・吸引瓶に、直径8cmに切り取った黒布をセットしたもの)。次いで、1Lの水道水(20℃)をいれたターゴトメーターに、布を添加し、85rpmで1分間撹拌の後、ターゴトメーターの撹拌を停止し、布を取り出し、水道水を満たした洗面器にいれて軽くすすぐ。その布を、105℃の乾燥機で30分間乾燥する。乾燥した布の白色度(L
*値)を分光式色差計(日本電色製SE−2000)で測定し、布の白色度とした。白色度は小さい方が残留量が少ないことを意味する。本評価では、白色度は21.5以下であることが好ましい。白色度が21.5を超えた場合、目視評価において、黒布に明らかに白い染みが目立つようになる。
【0049】
(3)再汚染防止性(カーボン)
20℃の4°硬水1Lに、粉末洗剤組成物を添加し、十分攪拌し洗浄液とした。この洗浄液に、日本油化学協会選定のカーボンブラック(旭カーボン株式会社製、旭洗浄用カーボンブラック)0.25gを加え分散させた後、この液をターゴトメータ(Terg−O−Tometer)の試料カップに移し、評価布として6cm×6cmの木綿の白布(日本油化学協会選定の標準品、洗濯科学協会が販売する#2023布)5枚と、さらに調整布として6cm×6cmの木綿の白布を48g入れて、温度20℃、回転速度80rpmで10分間撹拌し、カーボンの再汚染処理を行った。
【0050】
次に評価布を取り出し、充分濯いだ後に乾燥させ、下記の式により再汚染防止率を算出した。
再汚染防止率(%)=〔(試験後の木綿の白布の反射率)/(試験前の木綿の白布の反射率)〕×100
反射率は日本電色工業株式会社製の色差計(SE2000)で測定(測定波長550nm)した。
各洗剤組成物の再汚染防止率を比較例1と比較し、以下の基準で評価した。
【0051】
評価基準
◎:比較例1の再汚染防止率よりも10%(10ポイント)以上高い
○:比較例1の再汚染防止率よりも5%以上10%未満(5ポイント以上10ポイント未満)高い
△:比較例1の再汚染防止率よりも0%以上5%未満(0ポイント以上5ポイント未満)高い
×:比較例1の再汚染防止率との差が0%未満(マイナスポイント)(比較例1の再汚染防止率よりも低い)
【0052】
(4)再汚染防止性(泥)
前記したカーボンブラック0.25gの代わりに、泥粒子(200メッシュの篩いを通過した園芸用鹿沼赤土〔(株)国幸園(大阪府和泉市善正町10)から購入〕)を2.5g用いること以外は、カーボンの再汚染評価と同様の処理で泥の再汚染評価を行った。泥汚れのときの評価基準を以下に示す。
◎:比較例1の再汚染防止率よりも5%(5ポイント)以上高い
○:比較例1の再汚染防止率よりも1%以上5%未満(1ポイント以上5ポイント未満)高い
△:比較例1の再汚染防止率よりも0%以上1%未満(0ポイント以上5ポイント未満)高い
×:比較例1の再汚染防止率との差が0%未満(マイナスポイント)(比較例1の再汚染防止率よりも低い)
【0053】
【表2】
【0054】
*1 比較例1ではカルボキシメチルセルロースを0質量%、硫酸ナトリウムを11質量%とした。
【0055】
表2中の成分は以下のものである。
・LAS−Na:アルキル基の炭素数12〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
・非イオン性界面活性剤:炭素数10〜14の1級アルコールにEOを平均8モル付加させたもの
・脂肪酸ナトリウム:炭素数14〜18のアルキル基を有する脂肪酸ナトリウム
・ゼオライト:ゼオビルダー社製「ゼオビルダー」(4A型、平均粒径4μm)
・AA/MAポリマー:アクリル酸−マレイン酸コポリマー(ナトリウム塩(70モル%中和)であり、モノマー比はアクリル酸/マレイン酸=3/7(モル比)、平均分子量70000)
・結晶性シリケート:結晶性層状珪酸ナトリウム〔製品名プリフィード6N、(株)トクヤマシルテック製〕
・PEG:ポリエチレングリコール(重量平均分子量8500)
・蛍光染料:チバガイギー社製「チノパールCBS−X」と住友化学工業株式会社製「ホワイテックスSA」とを1/1(質量比)で配合したもの
・酵素:セルラーゼK(特開昭63−264699号公報記載)
なお、ゼオライトの平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、「LA950」)を用いて、屈折率1.30の水を分散媒として、循環速度4、超音波照射なしで1分間循環後、測定したときの体積中位粒径(D50)の値を平均粒径とした。
【0056】
【表3】