特許第5780844号(P5780844)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5780844
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/06 20060101AFI20150827BHJP
【FI】
   F25D23/06 W
   F25D23/06 H
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-129163(P2011-129163)
(22)【出願日】2011年6月9日
(65)【公開番号】特開2012-255605(P2012-255605A)
(43)【公開日】2012年12月27日
【審査請求日】2014年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 隆明
【審査官】 柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−269779(JP,A)
【文献】 特開2006−125804(JP,A)
【文献】 特開2007−057199(JP,A)
【文献】 実開昭59−038686(JP,U)
【文献】 特開2008−151410(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0280090(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と内箱との間に断熱材を設けて箱状に構成され前記内箱の内部に貯蔵室を形成する断熱箱体と、前記貯蔵室内に当該貯蔵室内を上下に仕切るために設けられる仕切部と、を備え、
前記断熱箱体のうち少なくとも左右の側壁は、前記断熱材として、ガスを吸着する吸着剤が内部に設けられた真空断熱パネルを用いるとともに、この真空断熱パネルの一面を前記内箱の裏面に接着して構成され、
前記吸着剤は、前記側壁にあって前記仕切部と対応する部分を避けた位置に配置されていることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記側壁の前記内箱には、負荷が掛けられる取付部材が取り付けられていて、
前記吸着剤は、前記側壁にあって前記取付部材と対応する部分を避けた位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記取付部材は、前記内箱に形成された開口部に裏側から挿入されて一部が前記貯蔵室内に突出し、基端部が前記内箱の裏側において前記真空断熱パネルに接着されていることを特徴とする請求項2記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記側壁の前記内箱には、負荷が掛けられる負荷受け部が一体成形されていて、
前記吸着剤は、前記側壁にあって前記負荷受け部を避けた位置に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記吸着剤は、前記側壁における後部に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記吸着剤は、前記側壁にあって前記仕切部の下方に配置されていることを特徴とする請求項5記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷蔵庫のキャビネットを構成する断熱箱体は、金属板製の外箱と合成樹脂製の内箱との間にウレタンからなる発泡断熱材を設けて構成されるのが一般的であったが、断熱性能の向上および発泡断熱材の使用量の低減を図るために、外箱と内箱との間の断熱材として真空断熱パネルと発泡断熱材とを併用することが行われている。
【0003】
また、最近では、発泡断熱材の使用量を一層少なくするために、真空断熱パネルをメインの断熱材として使用する構造も考えられている。この構造は、真空断熱パネルの一面を外箱の内面に接着するとともに、真空断熱パネルの前記一面とは反対側の他面を内箱の外面(裏面)に接着し、真空断熱パネルを外箱と内箱で挟み込んだ構成とするものである。
【0004】
真空断熱パネルは、ガラスウールなどのコア材を、ガスバリア性を有する包装材内に収容し、その包装材内を真空引きすることによって形成される。その際、長期の信頼性を確保するため、真空断熱パネルの内部に、ガス特に水蒸気ガスを吸着する吸着剤(乾燥剤)を設けることが多い。このように真空断熱パネル内に吸着剤を設ける場合、前記コア材を前記包装材内に収容する前に、コア材に形成された収容凹部内に、通気性を有する不織布等で覆われた吸着剤を収容配置し、この後、コア材を吸着剤ごと前記包装材内に収容し、その包装材内を真空引きする。このようにして形成された真空断熱パネルにおいては、その表面に、前記吸着剤に対応する部分でやむを得ず凹凸が形成されるようになる。
【0005】
このような構成の真空断熱パネルの一面を内箱の外面に接着剤を用いて接着すると、前記吸着剤に対応する部分の表面の凹凸の影響により、真空断熱パネルと内箱との間に微妙な隙間ができやすく、局部的に接着力が低下して脆弱な部分が発生しやすい。その接着力が脆弱な部分に対応して、例えば断熱箱体内に形成される貯蔵室を上下に仕切るための仕切部が設けられた場合、仮にその仕切部と内箱とが強固に結合されていたとしても、真空断熱パネルと内箱との接着強度が劣るために、仕切部自体の自重が大きい場合や当該仕切部に負荷がかかるような場合には、内箱が変形するなどして、仕切部の固定強度が大幅に劣るようになることが懸念される。また、長期間の使用により前記吸着剤部分が膨れ上がるようになった場合には、真空断熱パネルと内箱との間の接着強度が一層低下することが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−260780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、断熱箱体の側壁の断熱材に、内部に吸着剤を設けた真空断熱パネルを用い、この真空断熱パネルの一面を内箱に接着するようにしたものにおいて、貯蔵室内に設けられる仕切部の固定強度が大幅に劣るようなことを防止できる冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態の冷蔵庫は、外箱と内箱との間に断熱材を設けて箱状に構成され内箱の内部に貯蔵室を形成する断熱箱体と、貯蔵室内に当該貯蔵室内を上下に仕切るために設けられる仕切部と、を備える。断熱箱体のうち少なくとも左右の側壁は、断熱材として、ガスを吸着する吸着剤が内部に設けられた真空断熱パネルを用いるとともに、この真空断熱パネルの一面を内箱の裏面に接着して構成する。吸着剤は、側壁にあって仕切部と対応する部分を避けた位置に配置する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態による冷蔵庫の外観斜視図
図2】断熱箱体の斜視図
図3図2より下側から見た状態の断熱箱体の斜視図
図4】断熱箱体の分解斜視図
図5】左側壁用断熱パネルの分解斜視図
図6図5におけるX6−X6線に沿う真空断熱パネルの部分横断面図
図7】棚受部部分の縦断正面図
図8】仕切板部分の縦断正面図
図9】第1のレール用取付部材部分の縦断正面図
図10】断熱仕切壁部分の縦断正面図
図11】第2実施形態による真空断熱パネルの部分横断面図
図12】第3実施形態による断熱仕切壁部分の縦断正面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、複数の実施形態による冷蔵庫を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について図1図10を参照して説明する。図1には第1実施形態の冷蔵庫1の外観が示され、図2および図3には冷蔵庫1のキャビネットを構成する断熱箱体2の外観が示されている。断熱箱体2の内部には、上から順に冷蔵室3、野菜室4が設けられ、この野菜室4の下方に製氷室5と小冷凍室6が左右に並べて設けられ、最下部に主冷凍室7が設けられている。これら冷蔵室3、野菜室4、製氷室5、小冷凍室6、および主冷凍室7は、それぞれ貯蔵室を形成している。このうち、冷蔵室3および野菜室4は、庫内温度が例えば1℃〜5℃程度の冷蔵温度に制御される。このように冷蔵室3および野菜室4は、いずれも冷蔵温度帯の貯蔵室であることから、例えば合成樹脂製の仕切板8(仕切部に相当)によって仕切られている。製氷室5、小冷凍室6、および主冷凍室7は、庫内温度が例えば−18℃以下の冷凍温度に制御されるもので、冷凍温度帯の貯蔵室である。冷蔵温度帯の野菜室4と、冷凍温度帯の製氷室5および小冷凍室6との間は、断熱性を有する断熱仕切壁9(仕切部に相当)によって上下に仕切られている。なお、冷蔵庫1には、冷蔵温度帯の貯蔵室および冷凍温度帯の貯蔵室を冷却するために、図示はしないが圧縮機、凝縮器、蒸発器(冷却器)を備えた冷凍サイクルが設けられている。
【0011】
図2および図3に示すように断熱箱体2の前部において、前記仕切板8の前方に位置させて横方向に延びる前仕切部10が設けられ、前記断熱仕切壁9の前方に位置させて横方向に延びる前仕切部11が設けられている。また、断熱箱体2の前部において、製氷室5と小冷凍室6との間に位置させて上下方向に延びる前仕切部12が設けられ、製氷室5および小冷凍室6と主冷凍室7との間に位置させて横方向に延びる前仕切部13が設けられている。
【0012】
冷蔵室3は、前面が2枚の扉15,16によって開閉される。扉15,16は、断熱箱体2の左右両端部に設けられたヒンジ部17,18を中心に前後方向に回動される観音開き式である。野菜室4は、前面が引き出し式の扉19によって開閉される。その扉19の裏側には、図示しない野菜収納容器が設けられている。製氷室5は、前面が引き出し式の扉20によって開閉される。製氷室5には図示しない製氷装置が設けられ、扉20の裏側には、図示しない氷収納容器が設けられている。小冷凍室6は、前面が引き出し式の扉21によって開閉される。その扉21の裏側には、図示しない収納容器が設けられている。主冷凍室7も、前面が引き出し式の扉22によって開閉される。その扉22の裏側には、図示しない収納容器が設けられている。
【0013】
前記断熱箱体2は、図4に示すように、後壁を形成する後壁用断熱パネル25と、左側壁を形成する左側壁用断熱パネル26と、右側壁を形成する右側壁用断熱パネル27と、天井壁を形成する天井壁用断熱パネル28と、底壁を形成する底壁用断熱パネル29とを組み合わせることによって、前面が開口した箱状に構成されている。後壁用断熱パネル25と左側壁用断熱パネル26とは、左後部のコーナー部において固定具23を用いて連結固定されている。また、後壁用断熱パネル25と右側壁用断熱パネル27とは、右後部のコーナー部において前記固定具23と同様な固定具(図示せず)を用いて連結固定されている。左側壁用断熱パネル26の前部と右側壁用断熱パネル27の前部とは、前記前仕切部10,11,13によって連結されている。断熱箱体2は、それら前仕切部10,11,13によって補強されている。
【0014】
これら断熱パネル25〜29の概略構成は同様であるので、左側壁用断熱パネル26を代表して説明する。図5に示すように、左側壁用断熱パネル26は、外箱用の金属板製の外板30と、内箱用の合成樹脂製の内板31と、これら外板30と内板31との間に挟まれた状態で配置される断熱材としてパネル状の真空断熱パネル32とから構成されている。内板31は、弾性変形が可能なシート状をなしている。真空断熱パネル32は、図7図10に示すように、一面を内板31の裏面に接着剤33により接着固定するとともに、前記一面とは反対側の他面を外板30の内面に接着剤34により接着固定することにより、内板31と外板30との間に挟み込まれた状態となっている。
【0015】
真空断熱パネル32は、図6に示すように、ガラスウールなどのコア材35と、このコア材35に形成された収容凹部36内に収容配置された吸着剤37と、ガスバリア性を有する包装材38とから構成されている。吸着剤37は、ガス特に水蒸気ガスを吸着するシリカゲルやゼオライトなどの多数の粒材を、通気性を有する不織布などで覆った構成で、乾燥剤としても使用されるものである。このような吸着剤37は、長期の使用により水分を吸着すると膨らみ変形する。この場合、吸着剤37は、真空断熱パネル32にあって、内板31側の表面付近に配置される。
【0016】
真空断熱パネル32は、次のようにして製造される。コア材35の収容凹部36内に吸着剤37を複数個配置し、そのコア材35を吸着剤37ごと包装材38内に収容し、この状態で包装材38内を真空引きすることによってパネル状(板状)に製造される。この場合、吸着剤37は、真空断熱パネル32において後部の下部の2箇所に2個ずつ配置している。この吸着剤37の具体的な配置については後述する。このようにして製造される真空断熱パネル32においては、包装材38の表面にあって前記吸着剤37(収容凹部36)に対応する部分の表面に窪み部39が生じ、表面が凹凸状になる。この真空断熱パネル32の一面を内板31に接着した場合、図6に示すように、前記窪み部39部分において真空断熱パネル32と内板31とが離間した離間部39aが形成される。なお、真空断熱パネル32のコア材35は、上記の他に、例えば抄紙法や加熱圧縮法で製造してもよい。
【0017】
左側壁用断熱パネル26の内箱を形成する内板31には、図2図5に示すように棚受部40と、仕切板用取付部材41と、第1のレール用取付部材42と、仕切壁用取付部材43と、第2のレール用取付部材44が設けられている。なお、左側壁用断熱パネル26と対向する右側壁用断熱パネル27の内板31にも、図示はしないが、左側壁用断熱パネル26の前記棚受部40と、仕切板用取付部材41と、第1のレール用取付部材42と、仕切壁用取付部材43と、第2のレール用取付部材44と対向するように、棚受部40と、仕切板用取付部材41と、第1のレール用取付部材42と、仕切壁用取付部材43と、第2のレール用取付部材44が設けられている。
【0018】
このうち、棚受部40は、冷蔵室3に対応する上部で、かつ前後方向の中間部に位置させて、上下方向に3段設けられている。各棚受部40は、図7に示すように冷蔵室3内へ突出するように内板31に一体成形により設けられている。内板31の裏面側には、各棚受部40を補強する補強板45が設けられている。内板31および補強板45の裏面は、真空断熱パネル32の一面に接着剤33により接着固定されている。各棚受部40には、冷蔵室3内に設けられる棚板46(図7の二点鎖線参照)が載置される。棚板46には、貯蔵品が載置される。したがって、各棚受部40には、棚板46および貯蔵品などの負荷が掛けられる。なお、棚受部40の強度が確保されれば、補強板45はなくてもよい。各棚受部40は、内板31(内箱)に一体成形され、負荷が掛けられる負荷受け部に相当する。
【0019】
仕切板用取付部材41は、冷蔵室3と野菜室4との間を仕切る仕切板8に対応する部位に位置させて、前部と後部に1個ずつ設けられている。この仕切板用取付部材41は、図8に示すように、横方向へ突出する凸部41aと、その凸部41aの基端部から外方へ延びるように設けられた取付片41bとを一体に有した、例えば合成樹脂製のものである。この仕切板用取付部材41は、内板31に形成された開口部47に、当該内板31の裏側から凸部41aを挿入してその凸部41aを内板31の表面側に突出させることによって内板31に取り付けられる。基端部の取付片41bは、接着剤33により真空断熱パネル32の一面に接着固定される。この仕切板用取付部材41には、仕切板8が載置される。仕切板8にも貯蔵品が載置される。したがって、各仕切板用取付部材41には、仕切板8および貯蔵品などの負荷が掛けられる。各仕切板用取付部材41は、内板31(内箱)に取り付けられて負荷が掛けられる取付部材に相当する。
【0020】
第1のレール用取付部材42は、野菜室4に対応する部位に位置させて前後方向に複数個、この場合4個設けられている。この第1のレール用取付部材42は、図9に示すように、横方向へ突出するコ字形のレール支持部42aと、このレール支持部42aの基端部から上方および下方へ延びる取付片42bとを一体に有した、例えば金属板製のものである。この第1のレール用取付部材42も、仕切板用取付部材41と同様に、内板31に形成された開口部48に、当該内板31の裏側からレール支持部42aを挿入してそのレール支持部42aを内板31の表面側に突出させることによって内板31に取り付けられる。この第1のレール用取付部材42には、固定レール49がねじ50により固定され、この固定レール49に可動レール51が前後方向にスライド可能に設けられる。この可動レール51は、野菜室4の扉19の裏側に取り付けられる支持枠(図示せず)の前後方向の移動を案内する。その支持枠に野菜収納容器(図示せず)が取り付けられる。基端部の取付片42bも、接着剤33により真空断熱パネル32の一面に接着固定される。したがって、第1のレール用取付部材42には、固定レール49、可動レール51、支持枠、野菜容器、当該野菜容器に収容される貯蔵品などの負荷が掛けられる。第1のレール用取付部材42も、内板31(内箱)に取り付けられて負荷が掛けられる取付部材に相当する。
【0021】
仕切壁用取付部材43は、前記断熱仕切壁9が設けられる部位に位置させて、前部と後部に1個ずつ設けられている。この仕切壁用取付部材43も、図10に示すように、前記仕切板用取付部材41と同様に、横方向へ突出する凸部43aと、その凸部43aの基端部から外方へ延びるように設けられた取付片43bとを一体に有した、例えば合成樹脂製のものである。この仕切壁用取付部材43も、内板31に形成された開口部52に、当該内板31の裏側から凸部43aを挿入してその凸部43aを内板31の表面側に突出させることによって内板31に取り付けられる。基端部の取付片43bも、接着剤33により真空断熱パネル32の一面に接着固定される。この仕切壁用取付部材43には、断熱仕切壁9が載置される。したがって、各仕切壁用取付部材43にも、断熱仕切壁9の負荷が掛けられる。各仕切壁用取付部材43も、内板31(内箱)に取り付けられて負荷が掛けられる取付部材に相当する。
【0022】
前記第2のレール用取付部材44は、主冷凍室7に対応する部位に位置させて前後方向に複数個、この場合4個設けられている。この第2のレール用取付部材44も、前記第1のレール用取付部材42と同様にして内板31に取り付けられている。第2のレール用取付部材44にも、第1のレール用取付部材42と同様に、固定レール、可動レール、支持枠、収納容器、当該収納容器に収容される貯蔵品などの負荷が掛けられる。第2のレール用取付部材44も、内板31(内箱)に取り付けられて負荷が掛けられる取付部材に相当する。
【0023】
さて、前記左側壁用断熱パネル26において、前記真空断熱パネル32の内部に設けられた吸着剤37は、野菜室4に臨む部位の後部で、かつ仕切板8の下方、特には第1のレール用取付部材42の下方に2個配置され、また、主冷凍室7に臨む部位の後部で、かつ断熱仕切壁9の下方、特には第2のレール用取付部材44の下方に2個配置されている。右側壁用断熱パネル27においても、真空断熱パネル32の吸着剤37は、左側壁用断熱パネル26における吸着剤37と対向する位置に配置されている。したがって、この場合、左側壁用断熱パネル26および右側壁用断熱パネル27において、真空断熱パネル32の内部に設けられた吸着剤37は、仕切部を構成する仕切板8および断熱仕切壁9に対応する部分(仕切板用取付部材41および仕切壁用取付部材43に対応する部分)と、負荷を受ける棚受部40、第1のレール用取付部材42、第2のレール用取付部材44に対応する部分を避けた位置に配置している。
【0024】
このような構成のものにおいて、真空断熱パネル32の吸着剤37が水分を吸着することに伴い膨らむと、弾性変形しやすい内板31も膨らみ変形しやすいという事情がある。この場合、真空断熱パネル32における内板31側の表面には、吸着剤37(収容凹部36)に対応する部分に窪み部39(図6参照)が形成されているので、その吸着剤37が膨らんでも、その膨らみ変形が窪み部39にて一部吸収されるようになり、内板31が大きく膨らみ変形することが抑えられる。
【0025】
上記した実施形態によれば、次のような作用効果を得ることができる。
左側壁用断熱パネル26および右側壁用断熱パネル27において、真空断熱パネル32の内部に設けられた吸着剤37は、仕切部を構成する仕切板8および断熱仕切壁9に対応する部分を避けた位置に配置している。これにより、真空断熱パネル32と、仕切板8および断熱仕切壁9に対応する内板31の裏面との間を接着剤33により良好に接着することができて接着力が極端に低下することを防止でき、仕切板8および断熱仕切壁9の固定強度が大幅に劣るようなことを防止できる。
【0026】
また、左側壁用断熱パネル26および右側壁用断熱パネル27において、真空断熱パネル32の内部に設けられた吸着剤37は、内板31に取り付けられて負荷が掛けられる仕切板用取付部材41、仕切壁用取付部材43、第1のレール用取付部材42、第2のレール用取付部材44を避けた位置に配置している。これにより、真空断熱パネル32と、それら仕切板用取付部材41、仕切壁用取付部材43、第1のレール用取付部材42、第2のレール用取付部材44が取り付けられた内板31の裏面との間を接着剤33により良好に接着でき、その接着剤33の接着力が極端に低下することを防止でき、それら仕切板用取付部材41、仕切壁用取付部材43、第1のレール用取付部材42、第2のレール用取付部材44の取付強度が大幅に劣るようなことを防止できる。
【0027】
また、左側壁用断熱パネル26および右側壁用断熱パネル27において、真空断熱パネル32の内部に設けられた吸着剤37は、内板31に一体成形された棚受部40を避けた位置に配置している。これにより、真空断熱パネル32と、棚受部40が設けられた内板31の裏面との間を接着剤33により良好に接着することができ、その接着剤33の接着力が極端に低下することを防止でき、棚受部40の強度が大幅に劣るようなことを防止できる。
【0028】
そして、左側壁用断熱パネル26および右側壁用断熱パネル27において、真空断熱パネル32の内部に設けられた吸着剤37は、野菜室4および主冷凍室7の後部に配置している。これにより、仮に吸着剤37の影響により内板31が変形したとしても、その変形部分は、使用者が扉19,22を開放しても使用者からは見え難く、目立ち難くできる。特に野菜室4および主冷凍室7は引出し式の扉19,22によって開閉される場所であり、前記吸着剤37の影響により内板31が変形したとしても、その変形部分は、扉19,22の裏側に存する支持枠や、野菜収納容器、収納容器によって隠されることになるので、使用者からは一層見え難くできる。しかも、前記吸着剤37は、仕切板8および断熱仕切壁9の下方に配置しているので、仮に吸着剤37の影響により内板31が変形したとしても、その変形部分は、使用者からは一層見え難くできる。
【0029】
なお、後壁用断熱パネル25における内板31の前面側は、冷気ダクトを形成するカバーなどにより前方から覆われるので、後壁用断熱パネル25における真空断熱パネルの吸着剤の位置は特には限定しない。
【0030】
(第2実施形態)
図11は第2実施形態を示す。この実施形態では、真空断熱パネル32における吸着剤37の形状が第1実施形態とは異なっている。吸着剤37は、内板31側の表面の中央部が外側へ凸となる凸部53を有する形状をなしている。これにより、真空断熱パネル32の表面に形成される離間部39aの一部を内板31に近づけて接着することができるようになる。
【0031】
(第3実施形態)
図12は第3実施形態を示す。この実施形態では、左側壁用断熱パネル26(右側壁用断熱パネル27も同様)において、真空断熱パネル32に設けられる吸着剤37を、断熱仕切壁55に対応する部位に配置する必要がある場合に対応するものである。このような場合、断熱仕切壁55には、内板31側の端部に位置させて凹部56を形成している。凹部56は、内板31側が開口し、吸着剤37よりも上下方向の長さが大きく形成されている。このような構成によれば、真空断熱パネル32において、仮に長期間の使用に伴い吸着剤37部分が膨らみ、それに伴い内板31部分が変形したとしても、その変形分を前記凹部56により吸収することが可能になり、周囲に与える影響を極力小さくすることが可能になる。
【0032】
(その他の実施形態)
真空断熱パネル32において、吸着剤37は、内板31側に配置することに代えて、外板30側に配置してもよい。このようにした場合には、吸着剤37が膨らみ変形しても、内板31(内箱)はふくらみ変形し難くなる。
断熱箱体2において、後壁用断熱パネル25、天井壁用断熱パネル28、および底壁用断熱パネル29には、断熱材として必ずしも真空断熱パネル32を用いる必要はなく、発泡断熱材としてもよい。
【0033】
以上のように本実施形態の冷蔵庫によると、断熱箱体のうち少なくとも左右の側壁は、断熱材として吸着剤が内部に設けられた真空断熱パネルを用いるとともに、この真空断熱パネルの一面を内箱の裏面に接着して構成されるものにおいて、吸着剤は、前記側壁にあって仕切部と対応する部分を避けた位置に配置した。これにより、真空断熱パネルと、仕切部に対応する内箱の裏面との間を良好に接着することができて接着力が極端に低下することを防止でき、仕切部の固定強度が大幅に劣るようなことを防止できる。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0035】
図面中、1は冷蔵庫、2は断熱箱体、3は冷蔵室(貯蔵室)、4は野菜室(貯蔵室)、5は製氷室(貯蔵室)、6は小冷凍室(貯蔵室)、7は主冷凍室(貯蔵室)、8は仕切板(仕切部)、9は断熱仕切壁(仕切部)、26は左側壁用断熱パネル(側壁)、27は右側壁用断熱パネル(側壁)、30は外板(外箱)、31は内板(内箱)、32は真空断熱パネル、33,34は接着剤、37は吸着剤、40は棚受部(負荷受け部)、41は仕切板用取付部材(取付部材)、42は第1のレール用取付部材(取付部材)、43は仕切壁用取付部材(取付部材)、44は第2のレール用取付部材(取付部材)、55は断熱仕切壁(仕切部)、56は凹部を示す。
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