【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者等は、浴槽の側壁の複雑な形状に適合し、弱い締付け力でも押圧板に一定の押圧力を生じさせる押圧機構について鋭意検討を重ねた結果、基本的には押圧板を押圧具へ前後移動可能に取り付け、且つ押圧板と押圧具の間に付勢手段を設けることにより上記の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明によれば、浴槽の側壁へ取り付けられる水平部と垂直部を備えた略L字型の固定フレームと、固定フレームの水平部へスライド可能に取り付けられた水平部分と垂直部分を備えた略L字型の可動フレームと、固定フレーム及び/又は可動フレームへ取り付けられた押圧具と、そして押圧具へ前後移動可能に取り付けられた押圧板を備え、さらに押圧具と押圧板の間には、押圧板を押圧具から離間させる方向へ付勢する付勢手段が設けられていることを特徴とする浴槽用手摺りが提供される。
【0015】
また、上述した浴槽用手摺りの変形例として、第1の押圧具を第1の連結手段を介して固定フレームへ前進および後退可能に取り付けられたものとしては、浴槽の側壁へ取り付けられる水平部と垂直部を備えた略L字型の固定フレームと、第1の連結手段を介して固定フレームへ前進および後退可能に取り付けられた第1の押圧具と、第1の押圧具へ前後移動可能に取り付けられた第1の押圧板と、固定フレームの水平部へスライド可能に取り付けられた水平部分と垂直部分を備えた略L字型の可動フレームと、そして第1の押圧板と対向するように配置され、且つ可動フレームへ取り付けられた第2の押圧板を備え、さらに第1の押圧具と第1の押圧板の間には、第1の押圧板を第1の押圧具から離間させる方向へ付勢する付勢手段が設けられていることを特徴とする浴槽用手摺りが提供される。また、この変形例では 第2の押圧板を浴槽の側壁に対し首振り可能にするなどの目的で、第2の連結手段を介して可動フレームへ取り付けてもよい。
【0016】
一般に、浴槽用手摺りの押圧板へ弾性ラバーを適用した場合、押圧板の浴槽の側壁に沿った位置ズレを防止するのに有用なラバーの厚みには事実上の限界があり、そのため、特に押圧方向へのラバーの厚み、変形代を大きくとることができない。このため、浴槽の側壁が大きな曲面や大きな凹凸を有する場合、弾性ラバーはこれらの形状に適合して十分に変形することができず、また同じラバー内においても、変形量が大きな領域では大きな押圧力を生じ、変形量が小さな領域では小さな押圧力を生じるといったように不均一な押圧力を生じ易い。
【0017】
これに対し、本発明の固定フレームへ取り付けられた押圧板又は第1の押圧板の押圧機構は、押圧板を押圧具へ前後移動可能に取り付け、そして押圧具と押圧板の間に付勢手段を設けることにより押圧具から離間する方向へ、換言すれば浴槽の側壁へ向けて付勢するので、押圧板の押圧方向への前後移動距離、すなわち押圧方向への変位代をラバーより大きくとることができる。このため、大きな曲面や大きな凹凸を有する浴槽の側壁であっても、これらの形状に適合するように、押圧板を押圧具に対し十分に変位させることができる。
【0018】
また、押圧板は、浴槽の側壁に撓みなどの変形が生じたような場合などでも、その変形に追従して一定の押圧力を発生し続けることができるので、浴槽用手摺りの係止力を低減させることがない。
【0019】
押圧板自体は、通常、比較的硬質な材料から作られており、ラバーのような可撓性を有するものではないので、浴槽の側壁が小さな曲面や小さな凹凸を有する場合は、これらの全ての形状に適合するように変形することはできない。しかしながら、このような小さな曲面や小さな凹凸に対する適合性の向上は、押圧面に比較的薄い弾性ラバーを適用することにより対処することができる。
【0020】
さらに、押圧板を浴槽の側壁と接触することにより側壁の形状に適合するように首振り可能にする目的で、第1の連結手段を介して固定フレームへ取り付けることもできる。この場合、押圧具と浴槽側壁との隙間の分布、別言すれば押圧具に対する押圧板の隙間の分布も、押圧具と押圧板が略平行に配置されるようにより一層平均化されるので、押圧板には、押圧具と押圧板の間に設けられた付勢手段により浴槽の側壁へ向けてより一層均等な付勢力が伝達され、そして浴槽の側壁に対し略均等な圧力で押圧することができる。
【0021】
また、本発明の押圧板の押圧機構は、押圧板が押圧具に対し押圧方向へ変位するが、浴槽の側壁に沿った方向へは変位しないので、押圧板の表面に分厚い弾性ラバーを適用した時よりも、浴槽の側壁に対し均等な押圧力を発生させながら、浴槽の側壁に沿った位置ズレも効果的に防止することができる。また、押圧板の表面へ、浴槽の側壁に沿った方向の変位量を無視することができるような比較的薄い弾性ラバーを適用することにより、滑りによる押圧板の位置ズレも効果的に防止することができる。なお、弾性ラバーの固定方法に特に制限はなく、特許文献1のように押圧板と一体成形したものであってもよい。
【0022】
このように、本発明の浴槽用手摺りは、押圧板を浴槽の側壁に対し接触するようにセットすれば、例え弱い締付け力であっても押圧板全体に万遍なく一定の押圧力を発生させることができるため、複雑な形状を有し、且つ側方からの押圧に対して十分な強度を有さない側壁を有するシステムバスなどに対しても、側壁を無理に変形させることなく、そして滑りによる位置ズレや脱離を生じさせることなく、しっかりと固定することができる。
【0023】
本発明では、押圧具と押圧板との間に設けられる付勢手段は、弾性体と、弾性体を保持するために押圧具又は押圧板に設けられた弾性体保持手段と、そして押圧具と押圧板との離間を規制するための規制手段を含んでいる。
【0024】
弾性体は、圧縮により押圧力を発生するものであれば特に制限はなく使用することができ、例えばコイル状のバネ、合成樹脂や天然ゴムなどからなる弾性ブロック、又は反発し合う一対の磁石などを利用することができる。
【0025】
また、弾性体は、押圧板の中心から放射方向に相互に所定の間隔を開けて少なくとも4つ以上配置されるのが好ましく、押圧板の中心から放射方向に六角形の各頂点を形成するように6つ配置されるのがより好ましい。
【0026】
なぜなら、弾性体を押圧板の中心から放射方向に多角形の各頂点を形成するように配置すると、押圧板は押圧面の任意の位置において、押圧具に対する相対的な変位に対し略均等な押圧力を発生することができ、そして形成された多角形の各辺に対し直交するそれぞれの方向へ傾斜するように変位し易くなる。ところが、弾性体の配置個数が1〜3つのように少な過ぎると、押圧板は押圧面の任意の位置において、押圧具に対する相対的な変位に対し均等な押圧力を発生することができず、そして押圧板の変位方向も三角形の三辺に直交する方向、2点間を結ぶ直線に直交する方向に偏ってしまい、浴槽の側壁の形状に適合するために必要な方向へ容易に変位することができなくなるからである。
【0027】
ただし、この場合の弾性体の配置個数は、多ければ多いほどよいというものではない。押圧板は、弾性体の個数が多ければ多いほど任意の位置において均等な押圧力を発生し易くなるが、弾性体の個数が多過ぎると、全体として又は局所的においても押圧力が大きくなり過ぎる傾向にあり、また弾性体の取り付けスペースも多く必要とする問題を生じる。
【0028】
したがって、押圧板の中心から放射方向に多角形の各頂点を形成するように配置される弾性体の個数は、それにより押圧板が変位し易くなる方向と、所望とする押圧板の全体的又は局所的な押圧力とのバランスを考慮しながら決定しなければならない。
【0029】
また、押圧板による均等な押圧力の発生よりも、押圧板の浴槽の側壁に形状に適合した密着性、馴染み及び強固な圧接を重視するのであれば、弾性体は、押圧板の中心を通る軸、若しくは押圧具を固定フレーム、可動フレーム又は補助プレート等へ連結させる連結軸と同軸上に配置してもよい。例えば、後述する第1の連結手段のネジ切り棒の中心軸と同軸上にバネを1つ配置することもできる。
【0030】
このような配置の場合、弾性体を押圧板の中心から放射方向に配置する場合に比べて、押圧板の任意の位置において均等な押圧力を発生させることはやや困難になるが、押圧板は、弾性体を中心として360度全方位に対し極めて容易に変位できるようになるので、浴槽の側壁がどのような方向に傾いていても、押圧板はその形状に密着するように押圧具に対し極めて容易に変位することができるようになる。その結果、押圧板と浴槽側壁との間で密着性向上による摩擦力の増加が図られ、第1及び第2の押圧板による浴槽用手摺りの固定が強化される。
【0031】
なお、バネなどの弾性体は、後述する弾性体保持手段によって押圧具及び押圧板の両方に固定されていてもよいが、必ずしも両方に固定されている必要はなく、いずれか一方に固定されていればよい。
【0032】
弾性体保持手段は、例えばコイル状のバネや弾性ブロックなどを内側から突き刺すように保持する棒状の突起物や、逆にバネや弾性ブロックなどを外側から囲い込むように保持する箱状、筒状の突起物であってもよい。また、弾性体保持手段は、これらの弾性体を押圧具又は押圧板に安定的に保持できるものであれば特に制限されるものではなく、例えば接着剤やホッチキスの針などのように弾性体を直接押圧具又は押圧板へ固定するものであってもよい。
【0033】
押圧板は、押圧具へ前後移動可能に取り付けられており且つ押圧具から離間する方向へ常時付勢されているので、付勢手段には、押圧板が押圧具から一定距離以上に離間して脱落しないように規制する規制手段が設けられている。
【0034】
規制手段は、例えば、押圧具に設けられた貫通孔と、前記貫通孔の中をスライド可能に配置される胴部と前記貫通孔より大きな直径を有する頭部とを備え、且つ押圧板に固定されるピンから構成される。このタイプの規制手段の場合、押圧板はピンの胴部において押圧具に対し相対的に前後移動することができる。また、規制手段は、例えば押圧板又は押圧具のいずれか一方にフックを設け、他方にはそのフックを引っ掛ける係止部を設けたものや、例えば押圧板と押圧具を所定の長さで連結する糸や柔軟なワイヤー等であってもよい。
【0035】
このように、本発明の付勢手段に用いられる規制手段は、所定の距離までの押圧板と押圧具の相対的な前後(遠近)移動を許容するが、所定の距離以上の離間を許容しない構造、機能を有するものであれば特に限定されるものではない。
【0036】
押圧板は、浴槽の側壁との適合性を向上させるため、必ずしも1つである必要はなく、少なくとも2つ以上の分離した分割押圧板から構成してもよい。押圧板を2つ以上の分離した分割押圧板から構成する場合、該分割押圧板は押圧具とセットで分割することができ、または1つの押圧具に対し押圧板のみを2つ以上に分割することもできる。ただし、前者の場合は、分割された2つ以上の押圧具を第1の連結手段に接続しなければならないため、これらの押圧具同士をさらに連結する補助プレートの使用が必要となる。
【0037】
本発明において、押圧具と押圧板を、固定フレームへ前進および後退可能に取り付けるために配設される第1の連結手段は、固定フレームの垂直部に設けられた雌ネジ孔と、雌ネジ孔と螺合する雄ネジが切られたネジ切り棒であって、一の端部は押圧具と連結されており、他の端部はネジ切り棒を回転させることによってそれを螺進退させるハンドルノブと連結されているネジ切り棒から構成することができる。
【0038】
このようなタイプの連結手段は、ハンドルノブの操作により押圧具及び押圧板を細かい送りで螺進退させることができるので、押圧板を浴槽の側壁に接触させた後、押圧具と押圧板の間に取り付けられている弾性体の変形量(一対の磁石の場合は変位量)を微調節することができる。そのため、押圧板を浴槽の側壁に確実に係止しながら、該側壁を傷めない適度な押圧力を容易に発生させることができる。また、雌ネジ、雄ネジの組み合わせにより螺進退させる機構は、ハンドルノブの小さな回転力で弾性体に大きな変形量を与えることができるので、弾性体を変形させながら押圧板を浴槽の側壁に沿うように最後まで押し込むのに適しており、また、押圧具が弾性体の反力により押し戻されることもないので有利である。
【0039】
上述した固定フレーム側へ取り付けられる押圧板(第1の押圧板)の押圧機構は、可動フレーム側へ取り付けられる押圧板(第2の押圧板)の押圧機構としてそのまま適用することができる。
【0040】
すなわち、上述した浴槽用手摺りの変形例として、第2の押圧具を第2の連結手段を介して可動フレームへ取り付けられたものとしては、浴槽の側壁へ取り付けられる水平部と垂直部を備えた略L字型の固定フレームと、固定フレームの水平部へスライド可能に取り付けられた水平部分と垂直部分を備えた略L字型の可動フレームと、第2の連結手段を介して可動フレームへ取り付けられた第2の押圧具と、第2の押圧具へ前後移動可能に取り付けられた第2の押圧板と、そして第2の押圧板と対向するように配置され、且つ固定フレームへ取り付けられた第1の押圧板を備え、さらに第2の押圧具と第2の押圧板の間には、第2の押圧板を第2の押圧具から離間させる方向へ付勢する付勢手段が設けられていることを特徴とする浴槽用手摺りが提供される。また、この変形例では 第1の押圧板を浴槽の側壁に対し首振り可能にするなどの目的で、第1の連結手段を介して固定フレームへ取り付けてもよい。
【0041】
したがって、第2の押圧板の押圧機構に適用される付勢手段は、弾性体と、弾性体を保持するために第2の押圧具又は第2の押圧板に設けられた弾性体保持手段と、そして第2の押圧具と第2の押圧板との離間を規制するための規制手段を含んでいる。
【0042】
弾性体は、圧縮により押圧力を発生するものであれば特に制限はなく使用することができ、例えばコイル状のバネ、合成樹脂や天然ゴムなどからなる弾性ブロック、又は反発し合う一対の磁石などを利用することができる。
【0043】
また、弾性体は、第2の押圧板の中心から押圧面に沿って放射方向に且つ相互に所定の間隔を開けて少なくとも4つ以上配置されるのが好ましく、第2の押圧板の中心から押圧面に沿って放射方向に六角形の各頂点を形成するように6つ配置されるのがより好ましい。
【0044】
弾性体保持手段は、例えばコイル状のバネや弾性ブロックなどを内側から突き刺すように保持する棒状の突起物や、逆にバネや弾性ブロックなどを外側から囲い込むように保持する箱状、筒状の突起物であってよい。また、弾性体保持手段は、これらの弾性体を第2の押圧具又は第2の押圧板に安定的に保持できるものであれば特に制限されるものではなく、例えば接着剤やホッチキスの針などのように弾性体を直接第2の押圧具又は第2の押圧板へ固定するものであってもよい。
【0045】
規制手段は、例えば、第2の押圧具に設けられた貫通孔と、前記貫通孔の中をスライド可能に配置される胴部と前記貫通孔より大きな直径を有する頭部を備え、且つ第2の押圧板に固定されるピンから構成される。このタイプの規制手段の場合、第2の押圧板はピンの胴部において第2の押圧具に対し相対的に前後移動することができる。また、規制手段は、例えば第2の押圧板又は第2の押圧具のいずれか一方にフックを設け、他方にはそのフックを引っ掛ける係止部を設けたものや、例えば第2の押圧板と第2の押圧具を所定の長さで連結する糸や柔軟なワイヤー等であってもよい。
【0046】
さらに、第2の押圧板を浴槽の側壁と接触することにより側壁の形状に適合するように首振り可能にする目的で、第2の連結手段を介して可動フレームへ取り付けることもできる。この場合、第2の押圧具と浴槽側壁との隙間の分布、別言すれば第2の押圧具に対する第2の押圧板の隙間の分布も、第2の押圧具と第2の押圧板が略平行に配置されるようにより一層平均化されるので、第2の押圧板には、第2の押圧具と第2の押圧板の間に設けられた付勢手段により浴槽の側壁へ向けてより一層均等な付勢力が伝達され、そして浴槽の側壁に対し略均等な圧力で押圧することができる。
【0047】
また、第2の押圧板は、浴槽の側壁との適合性を向上させるため、必ずしも1つである必要はなく、少なくとも2つ以上の分離した分割押圧板から構成してもよい。第2の押圧板が2つ以上の分離した分割押圧板から構成されている場合、該分割押圧板は第2の押圧具とセットで分割することができ、または1つの押圧具に対し押圧板のみを2つ以上に分割することもできる。ただし、前者の場合は、分割された2つ以上の第2の押圧具を可動フレームまたは第2の連結手段を介して可動フレームへ取り付ける必要があるため、これらの押圧具同士をさらに連結する補助プレートの使用が必要となる場合がある。
【0048】
以上のように、固定フレーム側へ取り付けられる押圧板(第1の押圧板)の押圧機構は、浴槽の側壁を挟んでこれと対向する位置に配置される押圧板(第2の押圧板)の押圧機構としてもそのまま利用することができる。このため、本発明の浴槽用手摺りは、第1の押圧板と第2の押圧板のいずれか一方、またはその両方が上述した押圧機構を備えていてもよい。
【0049】
第1の押圧板にはその送りを細かく調節できる第1の連結手段が取り付けられているため、第1の押圧板側に押圧機構を適用した場合、可動フレームを固定フレームに対しスライドさせることにより第1の押圧板と第2の押圧板の間に浴槽の側壁を軽く挟み込んだ後、第1の連結手段により、付勢手段の弾性体を変形させながら第1の押圧板を浴槽の側壁に沿うように最後まで容易に押し込むことができるようになる。一方、第2の押圧板側に押圧機構を適用した場合は、第1の押圧板を浴槽の側壁へ当接させた後、付勢手段の弾性体が変形するまで可動フレームを固定フレームに対しスライドさせることによって第2の押圧板も浴槽の側壁へ当接させることができるので、浴槽用手摺りの仮セットが極めて容易になるという利点がある。