【実施例】
【0032】
図1及び
図2を用いて、本発明の浴槽用手摺りの主な構成を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る浴槽用手摺り1を固定フレームの背後から見た概要を示しており、
図2は、
図1に示される浴槽用手摺り1の断面を示している。
【0033】
図1,2を参照して理解されるように、本発明の浴槽用手摺り本体は、浴槽の側壁へ取り付けられる水平部20と垂直部21を備えた略L字型の固定フレーム2と、固定フレーム2の水平部20へスライド可能に取り付けられた水平部分30と垂直部分31を備えた略L字型の可動フレーム3から構成されている。本実施例では、人の身体を支持するための上部グリップ22が固定フレーム2へ昇降可能に取り付けられており、また側部グリップ32は可動フレーム3へ取り付けられている。
【0034】
第1の押圧板23は、浴槽の側壁(一点鎖線で表示)を洗い場側からクランプするために、後述する取付け機構4の可動部材5へ首振り自在に取り付けられており、そして第1の押圧板23と対向する位置に配置される第2の押圧板33は、浴槽側壁を浴槽側からクランプするために可動フレーム3へ首振り自在に取り付けられている。このため、本実施例の浴槽用手摺り1では、浴槽の側壁を第1の押圧板23と第2の押圧板33の間にクランプした時、第1の押圧板23および第2の押圧板33は浴槽の側壁の形状、傾斜に馴染むように当接面の圧接角度を変えるので、複雑な形状の側壁を有する浴槽においても手摺りを強固に固定することができる。また、本実施例の第1の押圧板23の押圧面および第2の押圧板33の押圧面には、浴槽側壁との滑り防止を強化するために樹脂製の弾性ラバーが装着されている(
図1参照)。
【0035】
第1の押圧板23を浴槽の側壁へ押し付け固定するための取付け機構4は固定フレーム3へ取りけられており、取付け機構4は、一の端が固定フレーム3へ回動可能に取り付けられており他の端は第1の押圧板23へ連結されている可動部材5と、回動軸60に対して偏心し且つ可動部材5の背面51に当接するカム面61を有する偏心カム62を備え、そしてそこから延びており且つ固定フレーム3へ回動操作可能に取り付けられたレバー6を含んでいる。
【0036】
また、本実施例の取付け機構4では、レバー6は手摺り1を固定する時のレバー6の回動方向が押し下げ方向となるように取り付けられている(
図1参照)。このため、レバー6を回動操作する時、使用者はレバー6へ自己の体重を預けることによってレバー6を容易に回動させることができる。また、使用者が手の甲を用いて自己の体重を容易に預けることができるように、本実施例のレバー6の形状は細い棒の形状ではなく、より幅の広い平板の形状となっている。また、レバー6のカム面61により当接される可動部材5の形状も、レバーと同様に細い棒の形状ではなく、より幅の広い平板の形状となっている。
【0037】
本発明では、第1の押圧板23の移動は、レバー6のカム面61によって直接に伝達されるのではなく、第1の押圧板23とカム面61との間に片持ちで支持された可動部材5を介して間接的に伝達される。このため、可動部材5の先端位置52を可動部材5がカム面61と当接する位置53より下方へ延ばすと、テコの原理により、偏心カム62が回転することによる可動部材5がカム面61と当接する位置53での移動量は、可動部材5の先端位置52においてより大きな移動量へと増幅される。
【0038】
このため、本実施例の偏心カム構造を利用した押圧機構では、1回のレバー操作を行うことにより、カム面61の偏心量より大きな移動量を伴って第1の押圧板23を浴槽の側壁へ押し付けることができるので、浴槽用手摺り1を浴槽の側壁へ固定する時、第1の押圧板23の押し込み量および浴槽側壁に対する押圧力の調節幅が拡大され、手摺り1の取り付けが容易となる。
【0039】
本実施例の可動部材5の回動軸50は、レバーの回動軸60に対し上方に軸支されている。このように、可動部材5の固定フレーム側の回動軸50をレバーの回動軸60より上方に軸支すると、片持ち支持の可動部材5は、カム面61と接するために回動軸50から下方向へ延びた配置となり、レバー6の回動操作により、偏心カム62を可動部材5へ押し付けずに開放した状態としても、重力により下向きの安定した姿勢を保持することができるからである。
【0040】
また、本実施例の可動部材5の回動軸50は、レバーの回動軸60に対し平行に軸支されている。可動部材5の固定フレーム側の回動軸50をレバーの回動軸60と平行に軸支すると、レバー6のカム面61の回転方向とこれと接触する可動部材5の回動方向が一致するので、両者の当接面51,61における片当たりやそれが原因で生ずる片減り、偏磨耗を防止することができ、両者のスムーズな回動を保証することができるからである。
【0041】
図3は、本実施例の浴槽用手摺り1において、取付け機構4のレバー6の回動軸60および可動部材5の回動軸50を軸支する構造を部分的に示した側面図および正面図である。
【0042】
図3に示されているように、レバー6の回動軸60および可動部材5の回動軸50は、いずれも固定フレームから延びたリブ24,25により軸支されている。また、リブ24,25のそれぞれには、レバー6の回動軸60の軸端および可動部材5の回動軸50の軸端を軸支するための上下方向に延びた軸穴240および円形の軸穴250が設けられている。
【0043】
本実施例の浴槽用手摺り1では、レバー6の回動軸60を固定フレーム2に対し上下方向へ移動可能に軸支することによって、可動部材5に対するカム面61の当接位置53を調節できるようにし、第1の押圧板23を係止した時の可動部材5の傾斜角度を変更できるようにしている。また、図示しないが、可動部材5に対するカム面61の当接位置53は、可動部材5の回動軸50を固定フレーム2に対し移動可能に軸支することによっても達成できるので、回動軸50,60の移動可能化はそれらのどちらを選択してもよい。
【0044】
この結果、本実施例の浴槽用手摺り1では、レバー6の回動軸60を固定フレーム2に対し上下方向へ動かして、可動部材5に対するカム面61の当接位置53を調節することにより、第1の押圧板23を係止した時の可動部材5の傾斜角度αを変更し、第1の押圧板23の浴槽の側壁に対する押圧力を適度に調節することができる。
【0045】
図4には、可動部材5又はレバー6の回動軸50,60を軸支する他の具体的な軸穴の形状を示すために、リブ24又は25を側面及び正面から見た部分的拡大図が示されている。
【0046】
軸穴240,250の長穴化による、第1の押圧板23を係止した時の可動部材5の傾斜角度αの変更可能化は、本実施例のように長穴を上下方向へ配設する場合に限らず、水平方向(
図4a参照)若しくはそれらを組み合わせた方向(
図4b参照)へ配設することによっても達成される。
【0047】
ただし、長穴240,250を水平方向へ配設する場合、第1の押圧板23を係止した時に可動部材5から偏心カム62へ伝わる水平方向の反力に抗する必要があるため、回動軸50,60をネジ26などを用いて長穴の途中の位置に係止できるようにしなければならない(
図4a,4b参照)。回動軸のネジ止めは、回動軸50,60の端部にネジ26と螺合するネジ山を設けることにより達成できる。この点、長穴240を上下方向へ配設した本実施例の場合は、第1の押圧板23を係止した時に可動部材5から偏心カム62へ伝わる水平方向の反力は長穴240の縁で受けることができるので、レバー6の回動軸60は長穴240の途中の位置にしっかりと係止され有利である。
【0048】
本実施例の浴槽用手摺り1では、可動部材5のカム面61との当接面51は、レバー6を回動することによって第1の押圧板23を浴槽の側壁へ押し付けそして係止させた時、当接面51からの反力により、偏心カム62へ、少なくともレバー6の回動方向とは逆向きの回転モーメントを発生させないように、一部が平面であって一部が曲面からなる形状を有している。可動部材5に対するカム面61の当接位置53を調節することによって、第1の押圧板23を係止した時の可動部材5の傾斜角度αを水平に近づけた時、レバー6を係止させるための回動方向とは逆向きの回転モーメントが生じるのを防止するためである。
【0049】
再び、
図2を参照しながら、本実施例の浴槽手摺り1を浴槽の側壁へ取り付けるための手順について説明する。
図2の中で、破線は第1の押圧板23と第2の押圧板33を開放した位置で、浴槽手摺り1が浴槽の側壁(一点鎖線で表示)へ仮セットされている状態を示し、実線は、第1の押圧板23と第2の押圧板33の間に浴槽の側壁をクランプし、浴槽手摺り1が浴槽の側壁へ固定されている状態を示している。
【0050】
本実施例の浴槽用手摺り1では、固定フレーム2へ取り付けられた第1の押圧板23を洗い場側から浴槽の側壁へ軽く当接するように仮セットした後、可動フレーム3を固定フレーム2に対しスライドさせて近づけると、可動フレーム3へ取り付けられた第2の押圧板33は、浴槽の側壁を浴槽側から軽くクランプする。この状態で、固定フレーム2へ回動可能に取り付けられているレバー6を押し下げ方向へ回動させると、レバー6の回動軸60の周りに形成されているカム面61が可動部材5の背面51に当接した状態で回転し、これに伴って可動部材5は、回転に応じて増加したカム面61の偏心量の分だけ浴槽の側壁側へ押し込まれ、その回動軸50の廻りに回転して傾斜する。そして、第1の押圧板23は可動部材5の先端52により浴槽の側壁へ押し付けられ、その反力により、第2の押圧板33は反対側から浴槽の側壁へ押し付けられる。その結果、第1の押圧板23と第2の押圧板33はそれらの間に浴槽の側壁を強力にクランプし、本実施例1の浴槽用手摺り1を浴槽の側壁へ強固に固定する。
【0051】
したがって、本発明では、可動部材5がレバー6の偏心カム62と第1の押圧板23との間に配置されていればよい。それ故、第1の押圧板23は必ずしも可動部材6の先端52へ連結されている必要はなく、例えば、可動部材6から分離して、固定フレーム3から延びたリブ等により前進及び後退可能に取り付けられていてもよい。
【0052】
このように、本発明の浴槽用手摺り1は、その取付け機構4によって、固定フレーム2に対し可動フレーム3をスライド移動させることにより、浴槽の側壁を挟んで第1の押圧板23と第2の押圧板33の間の距離をできるだけ縮めるように調整した後、1回のレバー操作を行うことによって第1の押圧板23を第2の押圧板33と協働させて浴槽の側壁へ強力に押し付けることができるので、浴槽用手摺り1を単純なワンタッチ操作によって浴槽の側壁へしっかりと固定することができる。