(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5780909
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】パルス循環式ゴンドラリフト
(51)【国際特許分類】
B61B 12/00 20060101AFI20150827BHJP
B61B 12/02 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
B61B12/00 A
B61B12/02 H
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-219083(P2011-219083)
(22)【出願日】2011年10月3日
(65)【公開番号】特開2013-78971(P2013-78971A)
(43)【公開日】2013年5月2日
【審査請求日】2014年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000228523
【氏名又は名称】日本ケーブル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】石倉 芳人
【審査官】
黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平8−40259(JP,A)
【文献】
特開平8−99631(JP,A)
【文献】
特開平10−76936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 12/00
B61B 12/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端の停留場に上下二段に並設された滑車と、上側の前記滑車間に巻き掛けられて無端状に張架された上側索条と、下側の前記滑車間に巻き掛けられて無端状に張架された下側索条と、前記上側索条の循環経路上の対称位置で該索条に取り付けられた一台又は複数台の搬器グループと、前記下側索条の循環経路上の対称位置で該索条に取り付けられた一台又は複数台の搬器グループと、いずれかの前記停留場において上下の前記滑車をそれぞれ独立して回転駆動する原動装置と、を備えたことを特徴とするパルス循環式ゴンドラリフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、循環する索条に搬器グループを間隔を開けて取り付けて運行を行うパルス循環式ゴンドラリフトに関する。
【背景技術】
【0002】
パルス循環式ゴンドラリフトは、1台から4台程度の搬器を1グループとして、この搬器グループを一定の間隔を隔てて索条へ取り付け、人員や貨物の輸送を行う索道設備であり、一般的に以下のように構成されている。両端の停留場には、それぞれ滑車を枢設し、この滑車に索条を巻き掛けるとともに、この索条を無端状に循環させて線路を形成する。搬器は、1台又は複数台を1グループとし、複数台の場合は搬器どうしを互いに近接して索条に固着する。
【0003】
索条の周回軌道上には、2組の搬器グループが線路上において対象となる位置、すなわち一方の搬器グループが停留場に位置するときに他方の搬器グループが他方の停留場に位置するように配置され、このような位置関係で複数の搬器グループが所定の間隔で配置される。以上の構成により、いずれの搬器グループも線路中に位置するときは高速で運転が行われ、いずれかの搬器グループが停留場に到着すると、速度を下げて低速で運転するか又は一時停止をして乗客の乗降が行われる。
【0004】
上記のように、パルス循環式ゴンドラリフトにおいては、搬器は固定式の握索機により索条への取り付け位置が常時固定された構成が一般的であるが、これに代えて握放索可能な握索機を採用するとともに停留場に握索機が走行するレールを備え、停留場内では搬器が索条から切り離されて移動する構成も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−321614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記パルス循環式ゴンドラリフトの一般的な構成においては、索条への搬器の取付位置は固定されているので、いずれかの搬器グループが停留場へ到着し、低速運転や一時停止が行われると、線路中の搬器グループも同様に低速運転や一時停止することになる。このために、一の搬器グループが両停留場間を移動する時間が大きくなり、時間当たりの輸送人員が少なくなってしまうという短所があった。また、搬器が線路中で減速や停止をするために、搬器に乗車した乗客が不安を感じてしまうこともある。
【0007】
また、特許文献1に記載された構成においては、停留場内に搬器ないし握索機が走行するためのレールを備えなくてはならず、停留場自体が大きくなってしまう。また、停留場内で搬器を回送するためには、コンベア装置等を設けなくてはならず、装置が大掛かりになってしまう。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、輸送力を増強し、かつ、乗客が搬器へ安全に乗降することのできるパルス循環式ゴンドラリフトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のパルス循環式ゴンドラリフトは、両端の停留場に上下二段に並設された滑車と、上側の前記滑車間に巻き掛けられて無端状に張架された上側索条と、下側の前記滑車間に巻き掛けられて無端状に張架された下側索条と、前記上側索条の循環経路上の対称位置で該索条に取り付けられた一台又は複数台の搬器グループと、前記下側索条の循環経路上の対称位置で該索条に取り付けられた一台又は複数台の搬器グループと、いずれかの前記停留場において上下の前記滑車をそれぞれ独立して回転駆動する原動装置と、を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、停留場に到着した搬器グループは停留場内を微速で移動するか、又は一時停止を行うので安全に乗客が搬器へ乗降でき、しかも、このときに線路中の搬器グループは、速度を低下させることなく運行されるので輸送力を増強することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の具体的な実施の形態を図面を参照して説明する。
図1及び
図2は、パルス循環式ゴンドラリフトの概略を示す平面図及び側面図である。山麓側停留場10と山頂側停留場11とには、それぞれ二枚の滑車12a、12b及び13a、13bが上下二段に並設されており、各滑車12a、12b、13a、13bは、それぞれ独立して回転自在になっている。それぞれの停留場10、11における上側の滑車12a、13a間には、一条の上側索条14aが無端状に巻き掛けられて張架されており、同様に下側の滑車12b、13bにも一条の下側索条14bが無端状に巻き掛けられて張架されている。各滑車12a、12b、13a、13bの直径は全て同一であり、したがって、上側索条14a及び下側索条14bにより、同一の二本の線路が上下に平行して形成されている。
【0013】
上側索条14aには、2台の搬器15aを1グループとする搬器グループAと搬器グループCの搬器群が取り付けられており、下側索条14bには、2台の搬器15bを1グループとする搬器グループBと搬器グループDの搬器群が取り付けられている。上側線路に配置される搬器グループAと搬器グループCとは、上側索条14aの循環経路上において対称となる位置、すなわち、搬器グループAが山麓側停留場10に位置するときに搬器グループCが山頂側停留場11に位置するように配置されている。同様に、下側線路に配置される搬器グループBと搬器グループDとの位置関係も、下側索条14bの循環経路上において対称の位置関係となっている。そして、各搬器グループA、B、C、D間の間隔は、線路中において所定の間隔を有するように設けられている。
【0014】
次に、上側線路に配置する搬器15aの懸垂機17aは、下側線路に配置する搬器15bの懸垂機17bよりも上下方向に長く形成されており、停留場10、11内においては、搬器15a、15bの客車16の位置は同じ高さになるようにしている。そして、懸垂機17a、17bの上端部には、索条14a、14bを常時握索する固定式の握索機を備え、これにより各搬器15a及び15bは、対応する上側索条14a及び下側索条14bの定位置に固着されており、したがって、搬器グループAと搬器グループCとが連動して移動し、また、搬器グループBと搬器グループDとが連動して移動する。
【0015】
山頂側停留場11において滑車13aの上方には、減速機や電動機等からなる原動装置18aを備えており、これによって滑車13aが回転駆動される。一方、滑車13bの下方には、床下に地下室が形成されており、この内部に原動装置18bを備えるとともに原動装置18bと滑車13bとがシャフト19により連結されて滑車13bが回転駆動される。原動装置18aと原動装置18bとは、同一の制御装置に接続されており、これによって原動装置18a、18bないし滑車13a、13bの動きが電気的に制御される。すなわち、滑車13a、13bは、それぞれ独立して駆動されて回転するものの、搬器グループA、B、C、Dの位置や速度等は、全体的に制御されるようにしている。
【0016】
以上の構成により、次のようにして搬器15a、15bの運行が行われる。
図1に示したように、全ての搬器15a、15bが線路中を移動する場合には、索条14a、14bを駆動する滑車13a、13bは同一の回転速度で駆動され、搬器グループA、B、C、Dは、所定の間隔を保持して高速(例えば、5m/s)で矢印X方向へ向けて移動する。次に、下側の線路に配置された搬器グループB、Dが各停留場10、11に近づくと、下側の滑車13bの回転速度を除々に低下させ、下側索条14bないし搬器グループB、Dの速度を減速させる。この後、搬器グループB及び搬器グループDは停留場10、11内を微速(例えば、0.2m/s)で移動するか、又は一時停止を行って乗客の乗降を行う。このとき上側の滑車13aは回転速度を変えておらず、したがって、搬器グループA及び搬器グループCは高速のまま線路中を進行する(
図3参照)。
【0017】
次いで、
図4に示したように、搬器グループB及び搬器グループDが滑車12b及び滑車13bの外周を周回して出発側に進入すると、滑車13bの回転速度を徐々に増加させ、下側索条14bないし搬器グループB、Dの速度を加速させた後、一定の高速度に保たれて搬器グループB及び搬器グループDが線路中を移動する。一方、上側の線路に配置された搬器グループA、Cが各停留場10、11に近づくと、上側の滑車13aの回転速度を除々に低下させ、上側索条14aないし搬器グループA、Cの速度を減速させる。この後、搬器グループA及び搬器グループCは、同様に停留場10、11内を微速で移動するか、又は一時停止を行って乗客の乗降を行う。以降、同様の動作を上下の線路で繰り返し行って各搬器グループA、B、C、Dの運行が行われる。以上のように、各搬器グループA、B、C、Dは、停留場10、11において微速で移動又は一時停止を行い、線路中においては高速運転にて連続して移動する。
【0018】
次に、運行を終了する場合には次のようにする。
図5に示すように、下側の線路に配置された搬器グループB及び搬器グループDは、各停留場10、11に到着した後に出発側へと周回して運行を停止する。続いて
図6に示すように、上側の線路に配置された搬器グループA及び搬器グループCは、引き続き運行を行って各停留場10、11に進行し、各停留場10、11到着後に到着側に停止して運行を終了する。このようにして運行を終了することにより、各搬器グループA、B、C、Dは、運行休止時に停留場内へ収容されているので、例えば強風時における搬器15a、15bへの悪影響を軽減することができ、また搬器15a、15bの保守等も停留場10、11内で同時に行うことができる。
【0019】
以上の実施の態様においては、上下の線路上にそれぞれ二組の搬器グループを配置する構成であったが、例えば、全体の線路が長大であって、両端の停留場の中間位置にさらに停留場を設けるような場合には、上下の線路上にそれぞれ四組の搬器グループを配置する構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0020】
10 山麓側停留場
11 山頂側停留場
12a 滑車
12b 滑車
13a 滑車
13b 滑車
14a 上側索条
14b 下側索条
15a 搬器
15b 搬器
16 客車
17a 懸垂機
17b 懸垂機
18a 原動装置
18b 原動装置
19 シャフト
A 搬器グループ
B 搬器グループ
C 搬器グループ
D 搬器グループ
X 矢印