(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
荷重検出器から出力される荷重信号に含まれるクリープ誤差を算出するための補償関数の式に用いられるパラメータであって、前記荷重検出器に所定のテスト荷重を負荷したときのクリープ誤差の飽和量に基づいて決定される前記パラメータを決定する際に、
前記荷重検出器に前記テスト荷重をクリープ誤差が飽和するのに要する時間の間負荷してから除荷した直後の荷重信号値と前記テスト荷重を負荷する前の荷重信号値との差分を算出し、前記差分を前記クリープ誤差の飽和量とみなして前記パラメータを決定する、
クリープ誤差補償関数のパラメータ決定方法。
荷重検出器から出力される荷重信号に含まれるクリープ誤差を算出するための補償関数の式に用いられるパラメータであって、前記荷重検出器に所定のテスト荷重を負荷したときのクリープ誤差の飽和量に基づいて決定される前記パラメータを決定する際に、
前記荷重検出器に前記テスト荷重をクリープ誤差が飽和するのに要する時間より短い第1の時間の間負荷してから除荷した直後の荷重信号値と前記テスト荷重を負荷する前の荷重信号値との差分を算出し、前記差分を前記テスト荷重を前記第1の時間負荷した時のクリープ誤差とみなした場合に予測される前記クリープ誤差の飽和量に基づいて前記パラメータを決定する、
クリープ誤差補償関数のパラメータ決定方法。
前記差分を前記テスト荷重を前記第1の時間負荷した時のクリープ誤差とみなし、このクリープ誤差が前記補償関数の式から算出されるクリープ誤差と一致するように、前記予測される前記クリープ誤差の飽和量を算出する、
請求項2に記載のクリープ誤差補償関数のパラメータ決定方法。
荷重検出器から出力される荷重信号に含まれるクリープ誤差を算出するための補償関数の式に用いられるパラメータであって、前記荷重検出器に所定のテスト荷重を負荷したときのクリープ誤差の飽和量に基づいて決定される前記パラメータを決定するパラメータ決定手段と、
前記荷重検出器に前記テスト荷重をクリープ誤差が飽和するのに要する時間の間負荷してから除荷した直後の荷重信号値と前記テスト荷重を負荷する前の荷重信号値との差分を算出する差分演算手段とを有し、
前記パラメータ決定手段は、前記差分演算手段で算出される前記差分を前記クリープ誤差の飽和量とみなして前記パラメータを決定するように構成された、
クリープ誤差補償関数のパラメータ決定装置。
荷重検出器から出力される荷重信号に含まれるクリープ誤差を算出するための補償関数の式に用いられるパラメータであって、前記荷重検出器に所定のテスト荷重を負荷したときのクリープ誤差の飽和量に基づいて決定される前記パラメータを決定するパラメータ決定手段と、
前記荷重検出器に前記テスト荷重をクリープ誤差が飽和するのに要する時間より短い第1の時間の間負荷してから除荷した直後の荷重信号値と前記テスト荷重を負荷する前の荷重信号値との差分を算出する差分演算手段とを有し、
前記パラメータ決定手段は、前記差分演算手段で算出される前記差分を、前記テスト荷重を前記第1の時間負荷した時のクリープ誤差とみなした場合に予測される前記クリープ誤差の飽和量に基づいて前記パラメータを決定するように構成された、
クリープ誤差補償関数のパラメータ決定装置。
前記パラメータ決定手段は、前記差分を前記テスト荷重を前記第1の時間負荷した時のクリープ誤差とみなし、このクリープ誤差が前記補償関数の式から算出されるクリープ誤差と一致するように、前記予測される前記クリープ誤差の飽和量を算出するように構成された、
請求項5に記載のクリープ誤差補償関数のパラメータ決定装置。
【背景技術】
【0002】
荷重検出器、例えばロバーバル型のロードセルに荷重が負荷されると、ロードセルは、負荷された荷重の大きさに応じた撓みを生じ、併せてクリープ現象を生じる。そして、荷重が除去されると、ロードセルは、元の状態に戻ろうとするが、その際、クリープ回復現象を生じる。これによって、ロードセルから出力される荷重信号には、クリープ誤差およびクリープ回復誤差が生じることが知られている。
【0003】
ここで、個々のロードセルには、それぞれが持つ特性によって、ロードセルに荷重を負荷し続けていると時間経過に応じて荷重信号が増加するクリープ誤差(ポジティブクリープ誤差)が生じる場合と、時間経過に応じて荷重信号が減少するクリープ誤差(ネガティブクリープ誤差)が生じる場合とがある。
【0004】
図5は、ポジティブクリープ誤差が生じる場合の荷重信号の経時変化の一例を模式的に示す図である。この場合、ロードセルに荷重が負荷されると、荷重信号wは、直ちにロードセルの初期撓み量に応じた荷重信号値Tw1にまで立ち上がり、その後、クリープ現象によって時間tの経過に伴って荷重信号が徐々に増加するクリープ誤差を生じ、荷重が負荷され続けると最終的にある荷重信号値Tweに収束する。そして、ロードセルから荷重が除去されると、荷重信号wは、まずロードセルの初期戻り量に応じた荷重値分だけ立ち下がり、その後、クリープ回復現象によって時間tの経過に伴って荷重信号wが徐々に減少するクリープ回復誤差を生じ、この誤差は最終的にゼロになる。
【0005】
また、
図6は、ネガティブクリープ誤差が生じる場合の荷重信号の経時変化の一例を模式的に示す図である。この場合、ロードセルに荷重が負荷されると、荷重信号wは、直ちにロードセルの初期撓み量に応じた荷重信号値Tw1にまで立ち上がり、その後、クリープ現象によって時間tの経過に伴って荷重信号が徐々に減少するクリープ誤差を生じ、荷重が負荷され続けると最終的にある荷重信号値Tweに収束する。そして、ロードセルから荷重が除去されると、荷重信号wは、まずロードセルの初期戻り量に応じた荷重値分だけ立ち下がり、その後、クリープ回復現象によって時間tの経過に伴って荷重信号wが徐々に増加するクリープ回復誤差を生じ、この誤差は最終的にゼロになる。
【0006】
このようなクリープ誤差を軽減するためにロードセルを構成する材料や構造等を改良することも行われているが、十分ではない。
【0007】
そこで、近年では、デジタル回路にクリープ誤差を含む荷重信号を入力して、補償関数を利用してクリープ誤差を含む荷重信号からクリープ誤差の成分を除去する方法が開発されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のクリープ誤差を補償するための補償関数には、パラメータとして、既知の荷重を負荷したときに生じるクリープ誤差飽和量(クリープ誤差最大発生量)Ceに基づいて決定される値を用いたものが多々ある。このような補償関数のパラメータを決定するためには、ロードセルを試験機に接続し、ロードセルに既知の荷重(分銅)をクリープ誤差が飽和する時間として定められた所定の飽和時間Te(例えば30分程度)負荷し、その場合の荷重信号値Tw1、Tweを試験機で測定し、これらの荷重信号値Tw1、Tweの差分を算出することによりクリープ誤差飽和量Ce(例えば、Ce=Twe−Tw1)等を求める。ここで、ロードセルに既知の荷重(分銅)を負荷しているときには、ロードセルから出力される荷重信号がクリープ誤差に対して大きな振動成分を含んで安定せず、クリープ誤差飽和量Ceを求めるための荷重信号値Tw1、Tweを正確に測定することが困難である。特に荷重を負荷した直後の荷重信号にはクリープ誤差に対してより大きな振動成分を含んでいる。荷重信号が安定しない原因としては、例えばロードセルに分銅を吊り下げることにより荷重を負荷するが、このロードセルに荷重を負荷したときに、その負荷する際の衝撃によっておこる振動や周囲環境の影響による振動等が考えられる。周囲環境の影響による振動としては、当該試験機の周辺で他の機器等が動作していることによる振動等があり、当該試験機の設置場所(土台が堅固であるか、建物の1階に設置されているか上層階に設置されているか等)によっても異なる。
【0010】
図7は、
図5に示すようなポジティブクリープ誤差が生じる場合の実際の荷重信号に含まれるクリープ誤差及びクリープ回復誤差の測定値の割合(誤差割合)を示す図である。
【0011】
この
図7に示すように、クリープ誤差が発生している時すなわち荷重が負荷されている時には荷重信号に振動成分が多く含まれる。そのため、
図5に示す負荷開始時の荷重信号の値Tw1及び負荷終了時の荷重信号の値Tweの正確な値を測定することができず、それらの差分であるクリープ誤差飽和量Ceを正確に求めることは容易ではない。
【0012】
同様に、
図6に示すようなネガティブクリープ誤差が生じる場合にも、荷重が負荷されている時の荷重信号にはクリープ誤差に対して大きな振動成分が多く含まれ、クリープ誤差飽和量Ceを正確に求めることは容易ではない。
【0013】
クリープ誤差飽和量Ceが正確に求められなければ、それに基づいて決定される補償関数のパラメータの値も正確なものとは言えず、補償関数から求められる補償量も正確なものとはならず、クリープ誤差を正確に補償することができない。また、クリープ誤差飽和量Ceはロードセル毎に異なり、ロードセル毎に個別に求める必要がある。
【0014】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、クリープ誤差を正確に補償するためのクリープ誤差補償関数のパラメータ決定方法及びパラメータ決定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明のある形態(aspect)に係るクリープ誤差補償関数のパラメータ決定方法は、荷重検出器から出力される荷重信号に含まれるクリープ誤差を算出するための補償関数の式に用いられるパラメータであって、前記荷重検出器に所定のテスト荷重を負荷したときのクリープ誤差の飽和量に基づいて決定される前記パラメータを決定する際に、前記荷重検出器に前記テスト荷重をクリープ誤差が飽和するのに要する時間の間負荷してから除荷した直後の荷重信号値と前記テスト荷重を負荷する前の荷重信号値との差分を算出し、前記差分を前記クリープ誤差の飽和量とみなして前記パラメータを決定するようにしている。
【0016】
このパラメータ決定方法によれば、テスト荷重をクリープ誤差が飽和するのに要する時間の間負荷してから除荷した直後の荷重信号値とテスト荷重を負荷する前の荷重信号値との差分を算出し、この差分をクリープ誤差の飽和量とみなしてパラメータを決定するようにしている。上記差分は、荷重信号が安定している無負荷時の荷重信号値を用いて算出されるため正確な値を算出することができ、その値に基づくパラメータも正確な値となる。このように補償関数のパラメータを正確な値に決めることができるので、このパラメータを含む補償関数を用いてクリープ誤差を補償することにより、クリープ誤差を正確に補償することができる。
【0017】
本発明の他の形態に係るクリープ誤差補償関数のパラメータ決定方法は、荷重検出器から出力される荷重信号に含まれるクリープ誤差を算出するための補償関数の式に用いられるパラメータであって、前記荷重検出器に所定のテスト荷重を負荷したときのクリープ誤差の飽和量に基づいて決定される前記パラメータを決定する際に、前記荷重検出器に前記テスト荷重をクリープ誤差が飽和するのに要する時間より短い第1の時間の間負荷してから除荷した直後の荷重信号値と前記テスト荷重を負荷する前の荷重信号値との差分を算出し、前記差分を前記テスト荷重を前記第1の時間負荷した時のクリープ誤差とみなした場合に予測される前記クリープ誤差の飽和量に基づいて前記パラメータを決定するようにしている。
【0018】
このパラメータ決定方法によれば、テスト荷重をクリープ誤差が飽和するのに要する時間より短い第1の時間の間負荷してから除荷した直後の荷重信号値とテスト荷重を負荷する前の荷重信号値との差分を算出し、この差分をテスト荷重を第1の時間負荷した時のクリープ誤差とみなし、その場合に予測されるクリープ誤差の飽和量に基づいてパラメータを決定するようにしている。上記差分は、荷重信号が安定している無負荷時の荷重信号値を用いて算出されるため正確な値を算出することができ、その値に基づいて予測されるクリープ誤差の飽和量及びパラメータは正確な値となる。このように補償関数のパラメータを正確な値に決めることができるので、このパラメータを含む補償関数を用いてクリープ誤差を補償することにより、クリープ誤差を正確に補償することができる。また、テスト荷重を負荷している時間を大幅に短縮することができる。
【0019】
また、この場合、前記差分を前記テスト荷重を前記第1の時間負荷した時のクリープ誤差とみなし、このクリープ誤差が前記補償関数の式から算出されるクリープ誤差と一致するように、前記予測される前記クリープ誤差の飽和量を算出することが好ましい。
【0020】
本発明の他の形態に係るクリープ誤差補償関数のパラメータ決定装置は、荷重検出器から出力される荷重信号に含まれるクリープ誤差を算出するための補償関数の式に用いられるパラメータであって、前記荷重検出器に所定のテスト荷重を負荷したときのクリープ誤差の飽和量に基づいて決定される前記パラメータを決定するパラメータ決定手段と、前記荷重検出器に前記テスト荷重をクリープ誤差が飽和するのに要する時間の間負荷してから除荷した直後の荷重信号値と前記テスト荷重を負荷する前の荷重信号値との差分を算出する差分演算手段とを有し、前記パラメータ決定手段は、前記差分演算手段で算出される前記差分を前記クリープ誤差の飽和量とみなして前記パラメータを決定するように構成されている。
【0021】
この構成によれば、テスト荷重をクリープ誤差が飽和するのに要する時間の間負荷してから除荷した直後の荷重信号値とテスト荷重を負荷する前の荷重信号値との差分を算出し、この差分をクリープ誤差の飽和量とみなしてパラメータを決定するようにしている。上記差分は、荷重信号が安定している無負荷時の荷重信号値を用いて算出されるため正確な値を算出することができ、その値に基づくパラメータも正確な値となる。このように補償関数のパラメータを正確な値に決めることができるので、このパラメータを含む補償関数を用いてクリープ誤差を補償することにより、クリープ誤差を正確に補償することができる。
【0022】
本発明の他の形態に係るクリープ誤差補償関数のパラメータ決定装置は、荷重検出器から出力される荷重信号に含まれるクリープ誤差を算出するための補償関数の式に用いられるパラメータであって、前記荷重検出器に所定のテスト荷重を負荷したときのクリープ誤差の飽和量に基づいて決定される前記パラメータを決定するパラメータ決定手段と、前記荷重検出器に前記テスト荷重をクリープ誤差が飽和するのに要する時間より短い第1の時間の間負荷してから除荷した直後の荷重信号値と前記テスト荷重を負荷する前の荷重信号値との差分を算出する差分演算手段とを有し、前記パラメータ決定手段は、前記差分演算手段で算出される前記差分を、前記テスト荷重を前記第1の時間負荷した時のクリープ誤差とみなした場合に予測される前記クリープ誤差の飽和量に基づいて前記パラメータを決定するように構成されている。
【0023】
この構成によれば、テスト荷重をクリープ誤差が飽和するのに要する時間より短い第1の時間の間負荷してから除荷した直後の荷重信号値とテスト荷重を負荷する前の荷重信号値との差分を算出し、この差分をテスト荷重を第1の時間負荷した時のクリープ誤差とみなし、その場合に予測されるクリープ誤差の飽和量に基づいてパラメータを決定するようにしている。上記差分は、荷重信号が安定している無負荷時の荷重信号値を用いて算出されるため正確な値を算出することができ、その値に基づいて予測されるクリープ誤差の飽和量及びパラメータは正確な値となる。このように補償関数のパラメータを正確な値に決めることができるので、このパラメータを含む補償関数を用いてクリープ誤差を補償することにより、クリープ誤差を正確に補償することができる。また、テスト荷重を負荷している時間を大幅に短縮することができる。
【0024】
また、この場合、前記パラメータ決定手段は、前記差分を前記テスト荷重を前記第1の時間負荷した時のクリープ誤差とみなし、このクリープ誤差が前記補償関数の式から算出されるクリープ誤差と一致するように、前記予測される前記クリープ誤差の飽和量を算出するように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、以上に説明した構成を有し、クリープ誤差を正確に補償するためのクリープ誤差補償関数のパラメータ決定方法及びパラメータ決定装置を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0028】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態のクリープ誤差補償関数のパラメータを決定するために用いるテスト装置(パラメータ決定装置)の一構成例を示すブロック図である。
【0029】
このテスト装置は、制御装置3と表示装置4と操作入力部5とを備えているが、増幅及びA/D変換部2は、テスト装置に含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。すなわち、増幅及びA/D変換部2は、テスト装置に内蔵されていてもよいし、ロードセル1に付属して設けられていてもよい。
【0030】
荷重検出器であるロードセル1に、増幅及びA/D変換部(増幅部及びA/D変換部)2を介して制御装置3が接続されている。ロードセル1は、負荷された荷重の大きさに応じた電圧のアナログ荷重信号を増幅及びA/D変換部2へ出力する。ロードセル1は、例えば歪みゲージ式のロードセルであり、金属製の起歪体と、この起歪体に取り付けられた例えば4組の歪みゲージと、4組の歪みゲージがブリッジ接続されたブリッジ出力回路とを備えており、荷重が負荷されることによる起歪体の歪み量に応じた電圧を出力するように構成されている。
【0031】
増幅及びA/D変換部2では、その増幅部においてロードセル1から入力されるアナログ荷重信号を増幅し、この増幅したアナログ荷重信号をA/D変換部において所定のサンプリング周期(d)でサンプリングし、デジタル荷重信号に変換して制御装置3へ出力する。
【0032】
制御装置3は、例えば、マイクロコントローラで構成されており、パラメータ決定手段及び差分演算手段等として機能する。制御部31には、例えばマイクロコントローラのCPU等が用いられる。記憶部32には、例えばマイクロコントローラの内部メモリが用いられる。制御部31と記憶部32とは相互に接続されている。記憶部32には制御プログラム(上記CPUの実行プログラム)が格納されている。制御部31は、記憶部32に格納された制御プログラムを実行することにより、演算等の処理や表示装置4の制御を行う。
【0033】
表示装置4は、表示画面を有するディスプレイであり、制御装置3(制御部31)の制御によって、例えば、増幅及びA/D変換部2から入力される荷重信号の経時変化を示すグラフ等を表示することができる。
【0034】
操作入力部5は、例えばキーボード等によって構成され、テスト装置の動作開始の指示等、テスト装置に対する種々の指示を制御装置3(制御部31)へ入力することができる。操作入力部5から入力された指示に基づいて制御装置3を含むテスト装置の動作が制御される。
【0035】
なお、以下の説明において、荷重信号とは、制御装置3(制御部31)に入力されるデジタル荷重信号のことである。
【0036】
本実施形態におけるクリープ誤差補償関数のパラメータ決定方法について、
図2〜
図4を参照して説明する。
【0037】
図2は、ポジティブクリープ誤差が生じる場合の荷重信号の経時変化の一例を模式的に示す図であり、
図3は、ネガティブクリープ誤差が生じる場合の荷重信号の経時変化の一例を模式的に示す図である。なお、
図2、
図3は、それぞれ補償関数のパラメータ(クリープ割合β)を決定する際のテスト荷重を負荷した場合の一例を示している。
【0038】
ロードセル1のクリープ誤差を補償するための補償関数は、例えば、ロードセル1に任意のある荷重(測定対象の荷重)を負荷した直後の荷重信号値の増加量wiと、同荷重を負荷している時間(荷重負荷時間)tとを変数とする関数f(wi,t)として示すことができる。なお、測定対象の荷重を負荷した直後の荷重信号値の増加量wiは、測定対象の荷重が負荷された直後の荷重信号値(w1)から、同荷重が負荷される直前の無負荷時の荷重信号値(w0)を減算することにより算出される(wi=w1−w0である)。
【0039】
そして、荷重負荷時間tにおけるクリープ誤差補償前の荷重信号をwaとし、補償後の荷重信号をwxとすれば、
wx=wa−f(wi,t)
となる。すなわち、補償関数f(wi,t)は、クリープ誤差を算出するための関数であり、上式によって、クリープ誤差が補償された荷重信号値(wx)を求めることができる。
【0040】
ここで、補償関数f(wi,t)の一例を挙げれば、特許文献1(特開2011−33374号公報)に開示されているように、例えば、補償関数f(wi,t)は、線形関数g(wi,t)と飽和関数h(wi,t)とを重み付け加算したものとして、例えば、次の(1)式で示される。
【0041】
f(wi,t)=k・g(wi,t)+(1−k)・h(wi,t) ・・・(1)
ここで、
g(wi,t)=C(wi)・(t/Te) ・・・(2)
h(wi,t)=C(wi)・{1−exp(−t/τ)} ・・・(3)
また、kは重み係数(0<k<1)であり、τはクリープ誤差の一次遅れ応答の時定数であり、Teは荷重の負荷を開始してからクリープ誤差が飽和するまでに要する時間として予め定められている所定の飽和時間(例えば30分間)である。ここでは、飽和関数h(wi,t)として、一次遅れ系のステップ応答関数を用いているが、これに限られず、単位時間当たりの変化量の絶対値が時間経過に応じて減少していく関数を用いることができる。なお、本明細書では、上記の(3)式中にも示されるように、例えば、e
yを、exp(y)と表記する。
【0042】
なお、荷重負荷時間tは、荷重負荷開始時を起点(t=0)として、あるサンプリング時刻(0≦t≦Te)までの時間に相当し、このサンプリング時刻(t)は、サンプリング周期(サンプリング間隔)をd、荷重負荷開始時(n=0)からのサンプリング番号をn(n=0,1,2,3,・・・)とすれば、t=n・dとして示すこともできる。
【0043】
また、ここで、C(wi)は、測定対象の荷重が負荷されたときのクリープ誤差飽和量(クリープ誤差最大発生量)であり、例えば次式で示される。
【0044】
C(wi)=β・wi=β(w1−w0)
ここで、βはクリープ割合であり、測定対象の荷重が負荷されたときのクリープ誤差飽和量(クリープ誤差最大発生量)を算出するためのパラメータである。このクリープ割合βは、負荷される荷重(クリープ誤差を含まない荷重)wiに対するクリープ誤差飽和量の比率であり、負荷される荷重の大きさに関わらず一定であると考えてよい。
【0045】
このクリープ割合βは、例えば、次式によって定義される。
【0046】
β=Ce/(Tw1−Tw0)
ここで、Ceは、既知のテスト荷重(例えば10kgの分銅)をロードセル1に負荷したときのクリープ誤差飽和量(クリープ誤差最大発生量)である。Tw1は、同テスト荷重を負荷した直後の荷重信号値であり、クリープ誤差を含んでいないものとみなしている。また、Tw0は、同テスト荷重を負荷する前の無負荷時の荷重信号値である。クリープ誤差飽和量Ceは、例えば、次式で示される。
【0047】
Ce=Twe−Tw1
ここで、Tweは同テスト荷重を所定のクリープ誤差飽和時間Teの間負荷し、クリープ誤差が飽和したときあるいはクリープ誤差が飽和したものとみなされるときの荷重信号値である。これらのTw1、Tw0、Twe、Ceは、
図2及び
図3にも示されている。
【0048】
ここで、前述したように、荷重が負荷されている間は荷重信号が振動するように変化して安定しないため、正確な荷重信号値Tw1、Tweを測定するのは困難であり、クリープ誤差飽和量Ceを正確に求めるのは容易ではない。また、クリープ割合βは、前述の定義式より、テスト荷重を負荷したときのクリープ誤差飽和量Ceに基づいて決定されるので、クリープ誤差飽和量Ceが正確な値でなければクリープ割合βも正確な値とは言えない。
【0049】
そこで本実施形態では、ロードセルに荷重を負荷すると時間経過に伴ってクリープ誤差が発生するが、除荷した直後には、その直前のクリープ誤差に応じたクリープ回復誤差が発生すること(言い換えれば、直前のクリープ誤差が残留していること)に着目するとともに、ロードセルに荷重が負荷されていないとき(除荷された直後も含む)には荷重信号が安定していること(例えば、
図7のクリープ回復誤差の部分を参照)に着目し、以下で述べるパラメータ決定方法(第1の方法、第2の方法)によってクリープ誤差飽和量Ce、クリープ割合βを求める。
【0050】
本実施形態におけるテスト装置では、操作入力部5を操作することにより、以下で述べる第1の方法と第2の方法のいずれかを選択して実施できるように構成されているが、いずれか一方の方法のみを実施するように構成されていてもよい。
【0051】
本実施形態におけるパラメータ決定方法として、まず、第1の方法では、ロードセル1にテスト荷重を所定のクリープ誤差飽和時間Teの間負荷した後、除荷し、この除荷直後のクリープ回復誤差Deを求め、その値をクリープ誤差飽和量Ceの値とみなしてクリープ割合βを求める。ここで、除荷直後のクリープ回復誤差Deは、除荷直前に発生しているクリープ誤差(ここではクリープ誤差飽和量Ce)の残留成分であるので、クリープ回復誤差Deをクリープ誤差飽和量Ceとみなすことができる。
【0052】
すなわち、第1の方法では、テスト荷重を負荷する前の荷重信号値Tw0と、テスト荷重を所定の飽和時間Teの間負荷してクリープ誤差が飽和した後、テスト荷重を除荷し、この除荷直後の荷重信号値Tw2とを取得し、除荷直後の荷重信号値Tw2から負荷する前の荷重信号値Tw0を減算して除荷直後のクリープ回復誤差De(=Tw2−Tw0)を求める。
【0053】
このようにして求めたクリープ回復誤差Deをクリープ誤差飽和量Ceとみなして、次式により、クリープ割合βを算出する。
【0054】
β=De/(Tw1−Tw0)
ここで、荷重信号値Tw1には、テスト荷重を負荷した直後にサンプリングした連続する複数個の荷重信号値の平均値を算出し、その平均値を用いる。この荷重信号値Tw1にたとえクリープ誤差が含まれていたとしても、Tw1−Tw0の値に比べれば、クリープ誤差は極めて微量であり、クリープ割合βを算出するのには実用上問題ない。例えば、
図7に示されるように、クリープ誤差は飽和量でも平均すれば、Tw1−Tw0の値の0.01%程度と非常に小さい値である。
【0055】
図4(A)は、第1の方法によるクリープ誤差補償関数のパラメータ決定方法を実施するためのテスト装置の動作(テスト動作)の一例を示すフローチャートである。この動作は、制御装置3の処理によって実現される。また、ここでは、記憶されるべき情報はすべて記憶部32に記憶される。
【0056】
テスト装置は、テスト動作を開始すると、増幅及びA/D変換部2から荷重信号が所定のサンプリング周期(例えば1ms)の間隔で制御装置3に入力される。
【0057】
まず、制御装置3は、テスト開始後、ロードセル1にテスト荷重が負荷される前の荷重信号値Tw0を取得し記憶する(ステップS1)。
【0058】
ここで、テスト担当者は、テスト荷重をロードセル1に負荷し、荷重負荷時間が所定の飽和時間Te経過後に除荷する。
【0059】
次に、制御装置3は、順次入力される荷重信号値が荷重負荷判定用閾値wt以上であるか否かを判定し(ステップS2)、テスト荷重が負荷されて荷重負荷判定用閾値wt以上になると、そのときの荷重信号値Tw1を記憶する(ステップS3)。ここで、荷重負荷判定用閾値wtは、予め記憶部32に記憶されている設定値であり、例えばテスト荷重が10kgとした場合に、20g程度に相当する値であり、テスト荷重に対して非常に小さい値に相当する。また、荷重が負荷されているときの荷重信号は変動が大きいので、テスト荷重が負荷された直後に(すなわち荷重信号値が荷重負荷判定用閾値wt以上になった直後に)入力される連続する複数個の荷重信号値の平均値を算出し、その平均値を、テスト荷重を負荷した直後の荷重信号値Tw1として記憶する。
【0060】
次に、順次入力される荷重信号値が荷重負荷判定用閾値wt未満であるか否かを判定し(ステップS4)、テスト荷重が除荷されて荷重負荷判定用閾値wt未満になると、そのときの荷重信号値Tw2を記憶する(ステップS5)。この除荷直後の荷重信号は、安定しているので、除荷直後に最初に入力された荷重信号値をTw2として記憶する。
【0061】
次に、テスト荷重を除荷した直後の荷重信号値Tw2と負荷される前の荷重信号値Tw0とから除荷直後のクリープ回復誤差Deを算出する(ステップS6)。ここでは、Tw2−Tw0=Deである。
【0062】
次に、パラメータであるクリープ割合βを、β=De/(Tw1−Tw0)
により算出し、記憶する(ステップS7)。
【0063】
この第1の方法では、テスト荷重をクリープ誤差飽和時間Teの間負荷してから除荷した直後のクリープ回復誤差De(=Tw2−Tw0)を求め、このクリープ回復誤差Deをクリープ誤差飽和量Ceとみなしてクリープ割合βを算出するようにしている。ここで、クリープ回復誤差Deの算出に用いる荷重信号値Tw2、Tw0は無負荷時の荷重信号値であるため、荷重信号が安定しており正確な値を取得することができ、正確なクリープ回復誤差Deを算出することができる。したがって、クリープ誤差飽和量Ceに代えて、除荷直後のクリープ回復誤差Deを用いてクリープ割合βを算出することにより、正確なクリープ割合βを算出することができる。また、このようにして算出したクリープ割合βをパラメータとして含む補償関数を用いることにより、クリープ誤差を正確に補償することができる。
【0064】
次に、第2の方法では、ロードセル1にテスト荷重をクリープ誤差飽和時間Teより短い時間Ts(0<Ts<Te)の間負荷した後、除荷し、この除荷直後のクリープ回復誤差Ds(=Tws−Tw0)を求め、このクリープ回復誤差Dsと後述のクリープ誤差飽和量算出式等を用いてクリープ誤差飽和量Ce及びクリープ割合βを算出する。このテスト荷重を上記の時間Ts後に除荷した場合の荷重信号を、
図2、
図3において一点鎖線で示している。なお、上記の時間Ts(以下、「テスト荷重負荷時間Ts」という)は予め定められた時間でなくてもよい。
【0065】
まず、クリープ誤差飽和量算出式等の導出方法について説明する。
【0066】
前述の(1)式に、(2)及び(3)式を代入すると、
f(wi,t)=C(wi)・〔k(t/Te)+(1−k){1−exp(−t/τ)}〕
となる。
【0067】
ここで、前述のように、クリープ誤差飽和時間Teはクリープ誤差が飽和する時間として予め定められた所定時間(例えば30分間)であり、重み係数k及び時定数τもすでに決定されている。重み係数k及び時定数τは、例えば、同一部品を用いて同様に作製された複数(10個程度)のロードセルにテスト荷重を負荷して、そのときの荷重信号の経時変化の測定記録に基づいて、平均的な値として決められている。すなわち、重み係数k及び時定数τは、同一部品を用いて作製された各々のロードセルについては一様に適用することができるが、クリープ誤差飽和量(最大発生量)は各々のロードセルごとに異なるものである。なお、重み係数k及び時定数τの決め方については、例えば、特許文献1(特開2011−33374号公報)にも記載されているように種々の方法があるが、本発明の主旨ではないので、その詳細については省略する。
【0068】
ここで、テスト荷重が負荷された直後の荷重信号値の増加量をTwi(=Tw1−Tw0)、テスト荷重負荷時間Tsにおいて発生するクリープ誤差をCsとすれば、補償関数を用いて、
Cs=f(Twi,Ts)
=C(Twi)・〔k(Ts/Te)+(1−k){1−exp(−Ts/τ)}〕
と表すことができる。
【0069】
この式を、C(Twi)を算出する式に変形すると、
C(Twi)=Cs/〔k(Ts/Te)+(1−k){1−exp(−Ts/τ)}〕
となる。
【0070】
このC(Twi)は、テスト荷重が負荷されたときのクリープ誤差飽和量Ceである。したがって、
Ce=Cs/〔k(Ts/Te)+(1−k){1−exp(−Ts/τ)}〕・・・(4)
となる。この(4)式は、補償関数から導かれるクリープ誤差飽和量Ceの予測式と言える。
【0071】
ここで、振動成分の多い荷重信号からテスト荷重負荷時間Ts(時刻ts)におけるクリープ誤差Csを正確に求めるのは容易ではないので、クリープ誤差Csに代えて、テスト荷重負荷時間Ts(0<Ts<Te)経過直後におけるクリープ回復誤差Ds(=Tws−Tw0)を算出して用いる。
【0072】
すなわち、クリープ回復誤差Dsをクリープ誤差Csとみなすと、(4)式から次の(5)式が得られる。
Ce=Ds/〔k(Ts/Te)+(1−k){1−exp(−Ts/τ)}〕・・・(5)
この(5)式をクリープ誤差飽和量算出式として、クリープ誤差飽和量Ceを算出する。すなわち、ここで算出されるクリープ誤差飽和量Ceはテスト荷重負荷時間Ts直後のクリープ回復誤差Dsをクリープ誤差Csとみなして算出される予測値である。なお、テスト荷重負荷時間Tsは制御装置3によって計測される。ここで、除荷直後のクリープ回復誤差Dsは、除荷直前に発生しているクリープ誤差(ここではクリープ誤差Cs)の残留成分であるので、クリープ回復誤差Dsをクリープ誤差飽和量Csとみなすことができる。
【0073】
そして、クリープ割合βは、次の(6)式または(7)式により算出できる。
【0074】
β=Ce/(Tw1−Tw0) ・・・(6)
β=Ds/〔k(Ts/Te)+(1−k){1−exp(−Ts/τ)}〕(Tw1−Tw0)
・・・(7)
ここで、荷重信号値Tw1には、テスト荷重を負荷した直後にサンプリングした連続する複数個の荷重信号値の平均値を算出し、その平均値を用いる。この荷重信号値Tw1にたとえクリープ誤差が含まれていたとしても、Tw1−Tw0の値に比べれば、クリープ誤差は極めて微量であり、クリープ割合βを算出するのには実用上問題ない。
【0075】
図4(B)は、第2の方法によるクリープ誤差補償関数のパラメータ決定方法を実施するためのテスト装置の動作(テスト動作)の一例を示すフローチャートである。この動作は、制御装置3の処理によって実現される。また、ここでは、記憶されるべき情報はすべて記憶部32に記憶される。
【0076】
テスト装置は、テスト動作を開始すると、増幅及びA/D変換部2から荷重信号が所定時間(例えば1ms)間隔で制御装置3に入力される。
【0077】
ステップS11〜S14は、
図4(A)の場合のステップS1〜S4と同様であり、その説明を省略する。ただし、ここでは、テスト担当者は、テスト荷重をロードセル1に負荷し、テスト荷重負荷時間Tsを所定のクリープ誤差飽和時間Teより短い時間とし、例えば5〜10分間程度負荷した後に除荷する。また、制御装置3は、テスト荷重負荷時間Tsを計測するように構成されている。
【0078】
次に、制御装置3は、テスト荷重が除荷されて荷重信号値が荷重負荷判定用閾値wt未満になると、そのときの荷重信号値、すなわち除荷直後の荷重信号値Twsを記憶する(ステップS15)。また、このとき、制御装置3は、テスト開始後、荷重信号値が荷重負荷判定用閾値wt以上になってから荷重負荷判定用閾値wt未満になるまでの時間、例えばts−t1をテスト荷重負荷時間Tsとして算出する。
【0079】
次に、テスト荷重を除荷した直後の荷重信号値Twsと負荷される前の荷重信号値Tw0とから除荷直後のクリープ回復誤差Dsを算出する(ステップS16)。ここでは、Tws−Tw0=Dsである。
【0080】
次に、前述の(5)式のクリープ誤差飽和量算出式を用いてクリープ誤差飽和量Ceを算出する(ステップS17)。
【0081】
次に、パラメータであるクリープ割合βを、(6)式のβ=Ce/(Tw1−Tw0)
により算出し、記憶する(ステップS18)。
【0082】
なお、クリープ誤差飽和量Ceの算出(ステップS17)を行わずに、ステップS18では、前述の(7)式を用いてクリープ割合βを算出するようにしてもよい。
【0083】
この第2の方法では、テスト荷重をクリープ誤差飽和時間Teより短い時間(テスト荷重負荷時間Ts)の間負荷してから除荷した直後のクリープ回復誤差Ds(=Tws−Tw0)を求め、このクリープ回復誤差Dsをクリープ誤差Csとみなしてクリープ誤差飽和量Ceを算出し、クリープ割合βを算出するようにしている。クリープ回復誤差Dsの算出に用いる荷重信号値Tws、Tw0は無負荷時の荷重信号値であるため、荷重信号が安定しており正確な値を取得することができ、正確なクリープ回復誤差Dsを算出することができる。したがって、正確なクリープ誤差飽和量Ce及び正確なクリープ割合βを算出することができる。また、このようにして算出したクリープ割合βをパラメータとして含む補償関数を用いることにより、クリープ誤差を正確に補償することができる。
【0084】
この第2の方法によれば、第1の方法に比べて、パラメータ(クリープ割合β)を決定するためのテスト時間(テスト荷重の負荷時間)を大幅に短縮することができる。
【0085】
なお、本実施形態において、荷重負荷判定用閾値wtは、テスト荷重が負荷される前の荷重信号値Tw0に所定値を加算することにより算出するようにしてもよい。
【0086】
なお、本実施形態で用いた補償関数f(wi,t)は、線形関数g(wi,t)と、単位時間当たりの変化量の絶対値が時間経過に応じて減少していく飽和関数h(wi,t)とを、重み付け加算したものである。この場合、線形関数g(wi,t)と飽和関数h(wi,t)とを重み付け加算して補償関数が演算されるため、個々のロードセル1が有するクリープ誤差特性に応じて重み係数kの値を設定することにより、クリープ誤差をより高精度に補償することができる。例えば、荷重負荷直後の増加率特性が大きく漸増特性が小さいクリープ誤差特性を有する荷重信号を出力するロードセルに対しては、線形関数g(wi,t)の重み(k)を小さくするとともに飽和関数h(wi,t)の重み(1−k)を大きくすることにより、発生するクリープ誤差に高精度に近似させることができる。また、荷重負荷直後の増加率特性が小さく漸増特性が大きいクリープ誤差特性を有する荷重信号を出力するロードセルに対しては、線形関数g(wi,t)の重み(k)を大きくするとともに飽和関数h(wi,t)の重み(1−k)を小さくすることにより、発生するクリープ誤差に高精度に近似させることができる。
【0087】
また、本実施形態では、補償関数として、線形関数と飽和関数とを重み付け加算した補償関数f(wi,t)を用いたが、これに限られない。本発明は、荷重信号に含まれるクリープ誤差を算出するための補償関数であって、所定のテスト荷重を負荷したときのクリープ誤差飽和量Ceに基づいて決定されるパラメータを有する補償関数であれば、前記パラメータの決定方法及び決定装置として適用することができる。