特許第5780922号(P5780922)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5780922
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】内部式濾過装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 63/04 20060101AFI20150827BHJP
   B01D 35/027 20060101ALI20150827BHJP
   B01D 29/07 20060101ALI20150827BHJP
   B01D 24/00 20060101ALI20150827BHJP
   B01D 29/90 20060101ALI20150827BHJP
   B01D 24/40 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   A01K63/04 A
   B01D35/02 C
   B01D29/06 510A
   B01D29/08 520A
   B01D29/08 530D
   B01D29/08 540A
   B01D29/42 501A
   B01D29/42 501B
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-242615(P2011-242615)
(22)【出願日】2011年11月4日
(65)【公開番号】特開2012-175965(P2012-175965A)
(43)【公開日】2012年9月13日
【審査請求日】2014年7月14日
(31)【優先権主張番号】特願2011-18149(P2011-18149)
(32)【優先日】2011年1月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000193313
【氏名又は名称】水作株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097618
【弁理士】
【氏名又は名称】仁木 一明
(74)【代理人】
【識別番号】100152227
【弁理士】
【氏名又は名称】▲ぬで▼島 愼二
(72)【発明者】
【氏名】小川 創市
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−025731(JP,A)
【文献】 特開平10−098977(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3140125(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 63/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽(V)内の底面に設置される第1濾過本体(1)と、その第1濾過本体(1)の上壁(2)の適所に、接続手段(J)を介して着脱可能に接続される第2濾過本体(20)とを備え、第1濾過本体(1)内に形成される第1濾過室(4)と、第2濾過本体(20)内に形成される第2濾過室(34)とは相互に連通されてそれらの室(4,34)は共通のポンプ(P)により吸水力が作用するようにされ、前記第1濾過本体(1)の第1濾過室(4)内には、その上壁(2)に敷設される第1濾材(12)を通過した濾過水が、その上壁(2)に穿設した吸込小孔群(7)を通して吸引され、また、前記第2濾過本体(20)の第2濾過室(34)内には、その内部に収容した第2濾材(40)を通過した濾過水が吸引されるようにされ、第1および第2濾材(12,40)を通過した濾過水は合流して、第2濾過本体(20)に形成した排出通路(23)を通して外部に排水されるようにしたことを特徴とする、内部式濾過装置。
【請求項2】
前記第1濾過本体(1)と、その多数の吸込小孔(8)を穿設した上壁(2)に敷設される小石などの粗な濾材よりなる前記第1濾材(12)とにより第1濾過装置(F1)が構成され、また、前記第2濾過本体(20)と、その内部に収容されて、多孔質板などの密な濾材を構成する前記第2濾材(40)とより第2濾過装置(F2)が構成され、第1濾過本体(1)の前記第1濾過室(4)と、第2濾過本体(20)の前記第2濾過室(34)は、前記吸込小孔群(7)の吸込小孔(8)と、第2濾過本体(20)の底面に穿設される底面吸込孔(26)を介して相互に連通されることを特徴とする、前記請求項1記載の内部式濾過装置。
【請求項3】
前記接続手段(J)は、第1濾過本体(1)の上壁(2)の複数箇所に、前記第2濾過本体(20)を選択的に着脱可能に接続するようにされていることを特徴とする、前記請求項1記載の内部式濾過装置。
【請求項4】
前記接続手段(J)は、前記第2濾過本体(20)の底面に突設される複数の係合突起(27)と、前記第1濾過本体(1)の上壁(2)の複数箇所に穿設されて、前記係合突起(27)に着脱可能に係合される複数の係合孔(9)とよりなることを特徴とする、前記請求項1または3記載の内部式濾過装置。
【請求項5】
第2濾過本体(20)の底面の突設される、前記複数の係合突起(27)は、第2濾過本体(20)の中心を通る縦軸線を中心とする同心円上に間隔をあけて設けられ、一方、第1濾過本体(1)の上壁(2)に穿設される前記係合孔(9)は、前記同心円上に間隔をあけて設けられと共に前記上壁(2)にはその同心円上に沿って前記係合突起(27)を案内する案内溝(10)が形成されていることを特徴とする、前記請求項4記載の内部式濾過装置。
【請求項6】
水槽(V)内の未浄化水は、第1濾過装置(F1)により濾過されたのち、第2濾過本体(20)を通って水槽(V)内に戻される第1の流れと、前記第2濾過本体(20)の壁面に開口される他の吸込孔(24)を通り、第2濾過装置(F2)により濾過されて水槽(V)内に戻される第2の流れとに分流されることを特徴とする、前記請求項1、2、3、4または5記載の内部式濾過装置。
【請求項7】
水槽(V)内の底面に設置される第1濾過本体(1)と、その第1濾過本体(1)の上壁の適所に、接続手段(J′)を介して着脱可能に接続される外ケース(50)と、その外ケース(50)内に着脱可能に収容される第2濾過本体(20)とを備え、
第1濾過本体(1)内に形成される第1濾過室(4)と、第2濾過本体(20)内に形成される第2濾過室(34)とは、外ケース(50)を介して相互に連通されて、それらの室(4,34)は共通のポンプ(P)により吸水力が作用するようにされ、前記第1濾過本体(1)の第1濾過室(4)内には、その上壁に敷設される第1濾材(12)を通過した濾過水が、その上壁に穿設した吸込小孔群(7)を通して吸引され、また、前記第2濾過本体(20)の第2濾過室(34)内には、その内部に収容した第2濾材(40)を通過した濾過水が吸引されるようにされ、第1および第2濾材(12,40)を通過した濾過水は合流して、第2濾過本体(20)に形成した排出通路(23)を通して外部に排水されるようにしたことを特徴とする内部式濾過装置。
【請求項8】
前記外ケース(50)は、前記第2濾過本体(20)と同形の器状に形成されて、その第2濾過本体(20)を着脱可能に収容するようにされ、外ケース(50)の開口上面(51)と、第2濾過本体(20)の外周面との間に形成される間隙は、第2濾過本体(20)の外周面に纏着されるカバー(60)により閉じられ、外ケース(50)の底面に、前記第一濾過本体(1)の上面に開口した吸込小孔(8b)と協働して前記接続手段(J′)を構成する係合舌片(53)が一体に形成されていることを特徴とする、前記請求項7記載の内部式濾過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金魚、熱帯魚、海水魚等の観賞魚の飼育用内部式濾過装置、特に、水槽内の中間領域および底面領域の未浄化水を同時に広範囲のわたり吸込、濾過して浄化能率を高めるようにした、内部式濾過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水槽内で前記観賞魚を飼育、育成するための、水槽内の未浄化水を濾過して浄化する内部式濾過装置として、濾過本体を水槽内の中間部に配置し、水槽内の中間領域の未浄化水を濾過するようにしたものは公知である(たとえば、後記特許文献1参照)。
【0003】
また、前記内部式濾過装置として、その濾過本体を水槽内の底面上に配置し、水槽内の底面領域の未浄化水を濾過するようにしたものも公知である(たとえば、後記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4116888号公報
【特許文献2】特許第3975221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1あるいは2に示される濾過装置をそれぞれ単独で使用した場合には、水槽水の浄化能率が充分に得られない場合があり、特に、水槽内で飼育される観賞魚の種類や数、水槽の大きさ、水槽内の水草の有無などによりその傾向が大きくなる。
【0006】
そこで濾過能率を高めるために前記特許文献1、2に示される濾過装置をそれぞれ水槽内に設けることが考えられるが、このようにすれば、濾過装置の部品点数が多くなってコスト高を招き、その上、濾過装置のメンテナンスが面倒になるなどの問題がある。
【0007】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたもので、水槽内の中間領域および底面領域にわたる広範囲の未浄化を同時に濾過できるようにした、構造簡単で濾過能率に優れた、新規な内部式濾過装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的達成のため、請求項1記載の発明は、水槽内の底面に設置される第1濾過本体と、その第1濾過本体の上壁の適所に、接続手段を介して着脱可能に接続される第2濾過本体とを備え、第1濾過本体内に形成される第1濾過室と、第2濾過本体内に形成される第2濾過室とは相互に連通されてそれらの室は共通のポンプにより吸水力が作用するようにされ、前記第1濾過本体の第1濾過室内には、その上壁に敷設される第1濾材を通過した濾過水が、その上壁に穿設した吸込小孔群を通して吸引され、また、前記第2濾過本体の第2濾過室内には、その内部に収容した第2濾材を通過した濾過水が吸引されるようにされ、第1および第2濾材を通過した濾過水は合流して、第2濾過本体に形成した排出通路を通して外部に排水されるようにしたことを特徴としている。
【0009】
前記目的達成のため、請求項2記載の発明は、前記請求項1の発明において、前記第1濾過本体と、多数の吸込小孔を穿設した上壁に敷設される小石などの粗な濾材よりなる前記第1濾材とにより第1濾過装置が構成され、また、前記第2濾過本体と、その内部に収容されて、多孔質板などの密な濾材を構成する前記第2濾材とより第2濾過装置が構成され、第1濾過本体の前記第1濾過室と、第2濾過本体の前記第2濾過室は、前記吸込小孔群の吸込小孔の一部と、第2濾過本体の底面に穿設される底面吸込孔を介して相互に連通されることを特徴としている。
【0010】
前記目的達成のため、請求項3記載の発明は、前記請求項1記載の発明において、前記接続手段は、第1濾過本体の上壁の複数箇所に、前記第2濾過本体を選択的に着脱可能に接続するようにされていることを特徴としている。
【0011】
前記目的達成のため、請求項4記載の発明は、前記請求項1または3記載の発明において、前記接続手段は、前記第2濾過本体の底面に突設される複数の係合突起と、前記第1濾過本体の上壁の複数箇所に穿設されて、前記係合突起に着脱可能に係合される複数の係合孔とよりなることを特徴としている。
【0012】
前記目的達成のため、請求項5記載の発明は、前記請求項4記載の発明において、第2濾過本体の底面に突設される、前記複数の係合突起は、第2濾過本体の中心を通る縦軸線を中心とする同心円上に間隔をあけて設けられ、一方、第1濾過本体の上壁に穿設される前記係合孔は、前記同心円上に間隔をあけて設けられる共に前記上壁にはその同心円上に沿って前記係合突起を案内する案内溝が形成されていることを特徴としている。
【0013】
前記目的達成のため、請求項6記載の発明は、前記請求項1、2、3、4または5記載の発明において、水槽内の未浄化水は、第1濾過装置により濾過されたのち、第2濾過本体を通って水槽内に戻される第1の流れと、前記第2濾過本体の壁面に開口される他の吸込孔を通り、第2濾過装置により濾過されて水槽内に戻される第2の流れとに分流されることを特徴としている。
【0014】
前記目的達成のため、請求項7記載の発明は、水槽内の底面に設置される第1濾過本体と、その第1濾過本体の上壁の適所に、接続手段を介して着脱可能に接続される外ケースと、その外ケース内に着脱可能に収容される第2濾過本体とを備え、
第1濾過本体内に形成される第1濾過室と、第2濾過本体内に形成される第2濾過室とは、外ケースを介して相互に連通されて、それらの室は共通のポンプにより吸水力が作用するようにされ、前記第1濾過本体の第1濾過室内には、その上壁に敷設される第1濾材を通過した濾過水が、その上壁に穿設した吸込小孔群を通して吸引され、また、前記第2濾過本体の第2濾過室内には、その内部に収容した第2濾材を通過した濾過水が吸引されるようにされ、第1および第2濾材を通過した濾過水は合流して、第2濾過本体に形成した排出通路を通して外部に排水されるようにしたことを特徴としている。
【0015】
前記目的達成のため、請求項8記載の発明は、前記請求項7記載の発明において、前記外ケースは、前記第2濾過本体と同形の器状に形成されて、その第2濾過本体を着脱可能に収容するようにされ、外ケースの開口上面と、第2濾過本体の外周面との間に形成される間隙は、第2濾過本体の外周面に纏着されるカバーにより閉じられ、外ケースの底面に、前記第一濾過本体の上面に開口した吸込小孔と協働して前記接続手段Jを構成する係合舌片が一体に形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、水槽内の中間領域および底面領域に亘る広範囲の未浄化水を同時に濾過することができ、その浄化能率を大幅に高めることができる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、第1濾過本体の第1濾過室と、第2濾過本体の第2濾過室は、第1濾過本体の上壁に穿設される複数の吸込小孔群の吸込小孔を利用して相互に連通されるので、第1濾過室内に発生する吸水力を第2濾過本体内に直接作用させることができて、共通のポンプによる第1、第2濾過装置の作動を効率よく行なうことができ、また、構造の簡素化を図ることができる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、接続手段は、第1濾過本体の上壁の複数箇所に、第2濾過本体を場所を替えて選択的に接続することができるので、第1濾過本体に対して第2濾過本体の接続位置を複数箇所に選択することができ、水槽内における第2濾過本体の配置の自由度を高めることができる。
【0019】
請求項4記載のの発明によれば、接続手段は、第2濾過本体の底面に突設される複数の係合突起と、第1濾過本体の上壁の複数箇所に穿設されて、前記係合突起に着脱可能に係合される複数の係合孔とよりなるので、第1濾過本体上に第2濾過本体を移動することなく密接状態に接続することができ、第2濾過本体の第2濾過室内に発生する吸水力を外部に漏洩させずに能率よく第1濾過本体の第1濾過室内に及ぼすことができる。
【0020】
請求項5の記載の発明によれば、前記複数の係合突起を、複数の係合孔に係合するとき、その係合突起を案内溝により案内することができるので、第1濾過本体と第2濾過本体との接続操作が容易になる。
【0021】
請求項6記載の発明によれば、水槽内の未浄化水は、第1濾過装置により濾過されたのち、第2濾過本体を通って水槽内に戻される第1の流れと、前記第2濾過本体の壁面に開口される他の吸込孔を通り、第2濾過装置により濾過されて水槽内に戻される第2の流れとに分流されるので、未浄化水の浄化能率を一層高めることができる。
【0022】
請求項7記載の発明によれば、第1濾過本体上に接続される外ケース内に、第2濾過本体を収容するだけで、それら両濾過本体を接続することができ、水槽内でのそれらの接続操作がきわめて簡単、容易になり、また第2濾過本体(メンテナンス後など)を、第1濾過本体に再接続するとき、第1濾過本体上の小石などの第1濾材の払拭作業をしないで済む。
【0023】
請求項8記載の発明によれば、外ケース内に、第2濾過本体を収容して、その外ケースと第2濾過本体との間隙をカバーにより閉じることができ、濾過作用を能率よく、確実に行なうことができ、また、外ケースの第1濾過本体への接続操作も簡単、容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】内部式濾過装置を水槽内に設置した状態を示す斜視図(第1の実施形態)
図2図1の2−2線に沿う内部式濾過装置の拡大断面図(第1の実施形態)
図3】第1濾過装置と第2濾過装置の接続部の分離斜視図(第1の実施形態)
図4】第2濾過本体の平面図(第1の実施形態)
図5図4の5−5線の沿う拡大断面図(第1の実施形態)
図6】内部式濾過装置の分解斜視図(第1の実施形態)
図7】内部濾過装置の組付過程を示す図(第1の実施形態)
図8】内部式濾過装置を水槽内に設置した状態を示す斜視図(第2の実施形態)
図9図8の9−9線に沿う内部式濾過装置の拡大断面図(第2の実施形態)
図10図8の10矢視の内部式濾過装置の側面図(第2の実施形態)
図11図10の11矢視の内部式濾過装置の底面図(第2の実施形態)
図12】内部式濾過装置の分解斜視図(第2の実施形態)
図13】内部濾過装置の組付過程を示す図(第2の実施形態)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の第1の実施の形態を添付図面1〜7を参照して説明する。
【0026】
本発明内部式濾過装置は、第1濾過装置F1の任意の箇所に、第2濾過装置F2を着脱可能に接続して構成され、単一のエアポンプPにより、それらの濾過装置F1,F2内に水槽V内の未浄化水を循環させ、濾過するように構成され、第1濾過装置F1は、水槽V内の底面領域の未浄化水を、また、第2濾過装置F2は、水槽V内の中間領域の未浄化水をそれぞれ吸引濾過するようにされる。
【0027】
図1,2に示すように、第1濾過装置F1は、第1濾過本体1と、その上壁2に敷設される大磯などの小石よるなる第1濾材12とを備えている。第1濾過本体1は、硬質の合成樹脂材板により四角な偏平形状に形成され、平坦な上壁2の周囲から側壁3が下向きに折り曲げられており、その下面は開放されている。第1濾過本体1は、その開放下面を、水槽V内に平坦な底面上に着座させることにより、第1濾過室4が形成される。
【0028】
図5に示すように、第1濾過本体1の上壁2の下面の中間部には、すり割りを設けた複数の取付片5が一体に設けられ、これらの取付片5には、吸盤6が着脱可能に取り付けられ、この吸盤6を水槽Vの底面に吸着させて、第1濾過本体1は水槽Vの底面に固定される。
【0029】
図4,6に示すように、第1濾過本体1の上壁2には、その全域に亘り複数組(この形態では12組)の吸込小孔群7が穿設され、これらの吸込小孔群7を通して水槽V内と第1濾過室4とが連通される。各組の吸込小孔群7は、中間部に放射状に配列される複数の、円形孔8aと長孔8bよりなる吸込小孔8が設けられると共にその外周部に同心円上に等間隔をあけて複数の係合孔9が設けられ、さらに、それらの係合孔9を連絡するように同心円上に円弧状の案内溝10が設けられている。前記複数の係合孔9は、後述する第2濾過本体20の底面に突設される複数の係合突起27(図3)と協働して接続手段Jを構成しており、この接続手段Jにより、第1濾過本体1の上面の複数の吸込小孔群7上に、選択的に第2濾過本体20が着脱可能に密接状態で接続できるようにされている(図1,2参照)。
【0030】
前記第1濾材12は、大磯などの小石よりなり、粗な濾材を構成しており、第1濾過室4内に発生する(後述のエアポンプPによる)吸水力により、水槽V内の未浄化水を、図2矢印aに示すように、第1濾材12を通過して濾過し、複数組の吸込小孔群7を通して第1濾過室4内に吸い込むことができる。
【0031】
図1,2に示すように、前記第2濾過装置F2は、水槽V内において、前記第1濾過装置F1上に配設され、水槽V内の主として中間領域の未浄化水を吸引濾過するものであって、第2濾過本体20と、その内部に収容される第2濾材40を備える。
【0032】
第2濾過本体20は、透明合成樹脂製の八角筒形状の主体部分21と、その開放下面に着脱可能に連結される合成樹脂製の八角形状の皿状をなす底部分22とより構成される。主体部分21の上壁中央部には、排出通路23が上方に向けて一体に突設されると共にその上壁には複数の他の吸込孔24が穿設されている。また、主体部分21の側面下縁の対向部には、底部分22を連結するための、一対の差込舌片25が形成されている。図3に明瞭に示すように、平坦面に形成される、底部分22の底面の中間部には、円形孔26aと長孔26bよりなる多数の底面吸込孔26が放射状に穿設されると共にその外周部には、第2濾過本体20の中心を通る縦中心線を中心とする同心円上に、複数の係合突起27が等間隔をあけて突設され、これらの係合突起27は、八角形の底部分22の角部にに対応した位置にある。
【0033】
前記複数の係合突起27は、前述の第1濾過本体上1の上壁2に穿設した、前記複数の係合孔9に着脱可能に係合するようにされており、係合突起27と、係合孔9とで、本発明にかかる接続手段Jを構成している。また、前記多数の底面吸込孔26は、前述の第1濾過本体1の上壁2に穿設される吸込小孔群7の吸込小孔8に連通するようにされる。
【0034】
図2に示すように、第2濾過本体20の底部分22には、給気通路29が形成されており、この給気通路29の内端は、底部分22の中央部上面に開口した給気口30に連通され、給気通路29の外端は、水槽Vの外に配置されるエアポンプPに連通されるエアパイプ32が接続される。そして、給気口30にはエアストン31が接続されている。エアストン31は、第2濾過本体20内の第2濾過室34内に臨んでおり、その第2濾過室34内にエアポンプPからの加圧エアを放散するようにされている。底部分22内には、重錘および粗な濾材として作用する大磯などの小石35が収容される。底部分22の開口上面は、全域にわたって複数の通水口37を開口した蓋板36により閉じられる。底部分22の対向側面には、一対の差込孔38が形成されており、これらの差込孔38に前記差込舌片25を差し込むことにより、底部分22上に主体部分21が連結されて、第2濾過本体20が組み付けられる。
【0035】
図2,6に示すように、第2濾過本体内20には、その内部に第2濾過室34を形成する第2濾材40が収容される。この第2濾材40は、合成樹脂製の多孔質板により形成されて密な濾材を構成しており、鼓状の濾材保持枠41に、波状の屈曲して保持されて第2濾過本体20内に収容される。濾材保持枠41の底面41aには、連通孔42が穿設され、またその底面41aより下向きに複数の差込突起43が突設されている。図2に示すように、第2濾材40を保持した濾材保持枠41を第2濾過本体20内に収容すれば、該濾材保持枠41の底面41aは、蓋板36上に着座され、通水孔37と連通孔42とが連通され、また、前記複数の差込突起43を底部分22の蓋板36に穿設した複数の差込孔39に差し込むことにより、濾材保持枠41は第2濾過本体20内に固定される。
【0036】
図2に示すように、第2濾過本体20内において、第2濾材40の外側には未濾過室45が形成され、この未濾過室45は、第2濾過本体20の上壁に穿設した前記他の吸込孔24通して外部、すなわち水槽V内に連通される。
【0037】
次に、本発明にかかる内部式濾過装置の組付手順について説明する。
【0038】
(1) 水槽V内の底面上に第1濾過本体1を載置し、その濾過本体1の底面に取り付けた吸盤6を水槽V内の底面に吸着させる。これにより第1濾過本体1は水槽Vの底面に固定され、その底面と第1濾過本体1とで第1濾過室4が形成される。
【0039】
(2) 第2濾材40を収容保持させた第2濾過本体20を、水槽V内に投入して第1濾過本体1上に位置させ、複数組(24組)の吸水小孔群7の一つを選択してその上に位置させ、その吸水小孔群7の複数の係合孔9に、第2濾過本体20の底面の複数の係合突起27を係合させる。これにより、第1濾過本体1上の一つの吸水小孔群7上に第2濾過本体20を密接状態に接続することができ、この接続状態では、第1濾過本体1の複数の吸込小孔8は、第2濾過本体20の底面吸込孔26に連通される。
【0040】
しかして、同心円上に形成される複数の係合孔9を連絡するように、その同心円に沿って円弧状の案内溝10が形成されているので、第2濾過本体20の複数の係合突起27を、第1濾過本体1の複数の係合孔9に係合するに当たっては、係合突起27をその案内溝10に案内させて移動させることにより、係合突起27の係合孔9への係合が容易になる。
【0041】
(3) 第1濾過本体1上に大磯などの小石群よりなる第1濾材12を敷設する。これにより、第2濾過本体20を接続した一つの吸水小孔群7以外の残りの複数の吸水小孔群7上は、第1濾材12により覆われる。
【0042】
(4) 第2濾過本体20の給気通路29に、水槽Vに外に配設されるエアポンプPを接続する。
【0043】
以上により本発明にかかる内部式濾過装置の組立が完了する。
【0044】
つぎに、この内部式濾過装置の作用について説明する。
【0045】
エアポンプPを駆動すると、そこからの加圧エアは、エアパイプ32、給気通路29を通り、エアストン31を通って第2濾過本体20内の第2濾過室34内に気泡状に噴出され、その噴出エアは気流となって第2濾過室34内を上昇し、それに伴って第2濾過室34内の水も上昇して気流と共に排出通路23を通って水槽V内に吐出される。その結果、吸水力が、第2濾過室34内に作用すると共に底面吸込孔26および吸込小孔8を通って第1濾過室4にも作用する。これにより、水槽V内の未浄化水は、図2矢印a,bに示すように、第1濾材12→第1濾過室4→底部分22→第2濾過室34へと流れ(第1の流れ)て、第1濾材12により濾過されると共に図2矢印c,dに示すよに、他の吸水孔24→第2濾材40→第2濾過室34へと流れ(第2の流れ)て濾過される。そして、前記2つの濾過水の流れ(第1および第2の流れ)は、第2濾過室34にて図2矢印eに示すように合流して排出通路23より水槽V内に戻される。
【0046】
以上のように、単一のエアポンプPの駆動により、水槽V内の底面領域の水は、第1濾材12により、また水槽V内の中間領域の水は第2濾材40により濾過することができ、水槽V内の未浄化水を広範囲に亘り濾過することがき、その浄化能率が大幅に高められる。
【0047】
また、第1濾過本体1の第1濾過室4と、第2濾過本体20の第2濾過室34は、第1濾過本体1の上壁2に穿設される複数の吸込小孔群7の一部を利用して相互に連通され、第1濾過室4内に発生する吸水力を第2濾過本体20内に直接作用させることができるので、共通のエアポンプPによる第1、第2濾過装置F1、F2の作動を効率よく行なうことができ、また、構造の簡素化を図ることができる。
【0048】
また、接続手段Jは、第1濾過本体1の上壁2の複数箇所に、第2濾過本体20を選択的に接続することができ、第1濾過本体1に対して第2濾過本体20の接続位置を複数箇所に選択することができるので、水槽V内における第2濾過本体20の配置の自由度を高めることができ、さらに、接続手段Jは、第2濾過本体20の底面に突設される複数の係合突起27と、第1濾過本体1の上壁2の複数箇所に穿設されて、係合突起27に着脱可能に係合される複数の係合孔9とよりなるので、第1濾過本体1上に第2濾過本体20を移動することなく密接状態に接続することができ、第2濾過本体20の第2濾過室34に発生する吸水力を外部の漏洩させずに能率よく第1濾過本体1の第1濾過室4内に及ぼすことができる。
【0049】
さらに、複数の係合突起27を、複数の係合孔9に係合するとき、その係合突起27を案内溝10により案内することができるので、第1濾過本体1と第2濾過本体20との接続操作が容易になる。
【0050】
さらにまた、水槽V内の未浄化水は、第1濾過装置F1により濾過されたのち、第2濾過本体F2を通って水槽V内に戻される第1の流れと、前記第2濾過本体20の壁面に開口される他の吸込孔24を通り、第2濾過装置F2により濾過されて水槽V内に戻される第2の流れとに分流されるので、未浄化水の浄化能率を一層高めることができる。
【0051】
なお、第2濾過本体20の、第1濾過本体1に対する接続位置の変更やそれらのメンテナンスなどを行なう場合には、図7に示すように、第1濾過本体1より第2濾過本体20を分離した後、再度、第2濾過本体2を接続しようとする位置にある第1濾材12(小石など)を手などで払拭して、その第1濾過本体1の、選択した一つの吸込小孔群7上に第2濾過本体20を接続するようにする。
【0052】
つぎに、図8〜13を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0053】
第1濾過本体1に、第2濾過本体20を接続する作業は、主として水槽V内で行なうが、その際に、前記第1の実施態様では、図7に示すように、第1濾過本体1上の小石などの第1濾材12を手などで払拭してから、その第1濾過本体1上の接続位置に第2濾過本体2を接続するが、水の貯留される水槽V内での、小石などの第1濾材12の払拭作業は面倒であり、また、小石などの第1濾材12が、第1濾過本体1上の接続位置に多少とも残っていると、第1濾過本体1と第2濾過本体2との間に、その第1濾材12が挟まれて隙間ができてしまい、濾過能率の低下を招くことがあるが、以下に述べる第2の実施形態では、小石などの第2濾材12の払拭作業をしないで、第1濾過本体1上への第2濾過本体の密接接続作業を簡単にすべく、外ケース50が用意される。
【0054】
外ケース50は、第2濾過本体20と同じく透明合成樹脂製の八角筒形状で、その開口上面51は、全面にわたり開放されて器状に形成されており、第2濾過本体20を収容できるようにそれよりも一回り大きく形成されており、その一辺の外面には、第2濾過本体20の給気通路29に連なるエアパイプ32を受容するための横断面半円状の柱状部52が一体に形成されている。また、外ケース50の底面の中間部には、複数(4つ)の係合舌片53が周方向の間隔をあけて下向きに突設され、図9に示すように、これらの係合舌片53を、第1濾過本体1の上壁2に開口した複数の長孔8bのうちの4つに差し込むことにより、第1濾過本体1の上壁2に外ケース50の底面を密接接続することができる。
【0055】
そして、前記係合舌片53と、長孔8bとで接続手段J′が構成される。
【0056】
また、図11に示すように、外ケース50の底面には、前記差込舌片53の内側および外側に、内側連通孔(八角形状)54および複数の外側連通孔(梯形状)55が開口されており、外ケース50内は、これらの内側連通孔54および外側連通孔55と、吸込小孔8を通して、第1濾過本体1の第1濾過室4に連通されると共に底面吸込孔26および底部分22内を通して、第2濾過本体20の第2濾過室34内に連通される。
【0057】
さらに、外ケース50の底面の外周面には、周方向に間隔をあけて複数の係合小孔56が穿設されており、外ケース50内に第2濾過本体20を収容したとき、それらの係合小孔56は、第2濾過本体20の底面の係合突起27に係合される。これにより、外ケース50と第2濾過本体2の周方向の相対的な位置決めがなされる。
【0058】
第2濾過本体20を収容した外ケース50の開口上面51は、カバー60により水密に閉じられる。このカバー60は、図12に示すように、八角筒状に形成されており、その外周面に、外ケース50の内周面に嵌合する外側嵌合面61が、また、その内周面に、第2濾過本体2の外周面に嵌合する内側嵌合面62が形成される。また、カバー60の一辺の外面には、外ケース50の柱状部52の開口上面を閉じる閉止片63が形成される。
【0059】
図13に示すように、八角筒状のカバー60の内側嵌合面62を、第2濾過本体20の主体部分21の外周面に嵌合した後、その外側嵌合面61を、第2濾過本体20を収容した外ケース50の開口上面51に嵌合すれば、外ケース50の開口上面51は水密に閉じられる。
【0060】
つぎに、本発明の第2の実施形態の作用について説明する。
【0061】
図12に示すように、水槽Vの底面に設置される第1濾過本体1上の複数組の吸水小孔群7の一つを選択して、その上に外ケース50を位置させ、その底面の複数(4つ)の差込舌片53を、吸水小孔群7の複数の吸込小孔8のうちの複数(4つ)の長孔(8b)にそれぞれそれぞれ差込係合させる。これにより、第1濾過本体1上の一つの吸水小孔群7上に外ケース50の底面が密接状態で接続される。この接続状態で、外ケース50内は第1濾過本体1の第1濾過室4に連通される。
【0062】
つぎに、外ケース50内に、第2濾過本体20を収容する。このとき、外ケース50と第2濾過本体20は、いずれも八角筒状に形成されるので、それらの各辺を合わせ、また、第1濾過本体20に接続されるエアパイプ32を、その柱状部52内に収容する。
【0063】
図9に示すように、外ケース50の開口上面51と、第2濾過本体20の上縁間の空間部は、カバー60により水密に閉じられる。カバー60の外側嵌合面61は、外ケース50の開口上面51に、また、その内側嵌合面62は、第2濾過本体20の外周面にそれぞれ嵌合する。
【0064】
第1濾過本体1上の、外ケース50を接続した一つの吸水小孔群7以外の残りの吸水小孔群7上は第1濾材12により覆う。
【0065】
以上により、内部式濾過装置の組立が終了する。
【0066】
そして、本発明の第2の実施形態の内部式濾過装置の濾過作用は、前記第1の形態のものと同じであるが、エアポンプPの駆動により、水槽V内の水は、第1濾過室1に入り、外ケース50の内側および外側連通孔54、55を通って第2濾過室34内に吸引される。
【0067】
しかして、この第2の実施形態によれば、第1濾過本体1に対する第2濾過本体20の接続操作をきわめて簡単かつ確実に行なうことができ、第2濾過本体20の交換、第2濾材40の取り替えなどのメンテナンスは、外ケース50を第1濾過本体1に接続したまま、第2濾過本体20を外ケース50から取り出して簡単、容易に行なうことができる。
【0068】
以上、本発明の第1および第2の実施の形態について説明したが、本発明はそれらに限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施の形態が可能である。
【0069】
たとえば、本発明の前記第1および第2の実施の形態では、エアポンプにより第1、第2濾過室内に吸水力を発生させるようにしているが、このエアポンプに代えて水中ポンプ、たとえば第2濾過室内に設けた水中ポンプを用いてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1・・・・・・・・第1濾過本体
2・・・・・・・・上壁
4・・・・・・・・第1濾過室
7・・・・・・・・吸込小孔群
8・・・・・・・・吸込小孔
8b・・・・・・・吸込小孔(長孔)
9・・・・・・・・係合孔
12・・・・・・・第1濾材
20・・・・・・・第2濾過本体
26・・・・・・・底面吸込孔
27・・・・・・・係合突起
29・・・・・・・給気通路
34・・・・・・・第2濾過室
40・・・・・・・第2濾材
50・・・・・・・外ケース
53・・・・・・・係合舌片
60・・・・・・・カバー
F1・・・・・・・第1濾過装置
F2・・・・・・・第2濾過装置
J・・・・・・・・接続手段
J′・・・・・・・接続手段
P・・・・・・・・ポンプ(エアポンプ)
V・・・・・・・・水槽
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13