(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記表示装置と接続される複数の医療機器のうち、所定の医療機器から受信した映像信号を該表示装置に出力させるかを示す情報が新たに設定されると、該所定の医療機器については前記第1の伝送モードを、他の医療機器については前記第2の伝送モードを設定する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の医療画像送信システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係る医療画像送信システムを有する内視鏡システムの構成図である。
図1に示す内視鏡システム10は、モニター装置(以下モニターと略記)2、内視鏡装置3、超音波観測装置4及びCT(Computed Tomography)/MRI(Magnetic Resonance Imaging)画像表示装置5を有する。
【0016】
内視鏡装置3や超音波観測装置4は、内視鏡手術等において使用される医療機器であり、それぞれ内視鏡画像や超音波画像を取得する。
CT/MRI画像表示装置5は、CT検査やMRI検査により得られたCT画像やMRI画像を保持する情報処理装置である。実施例では、CT/MRI画像表示装置としてパーソナルコンピュータを用いるため、以下においては、CT/MRI画像表示装置5を「PC5」と表記する。
【0017】
モニター2は、内視鏡装置3、超音波観測装置4及びPC5から送信される映像信号を処理し、表示させる。
図1においては、有線接続を実線で、無線接続を破線で表し、超音波観測装置4及びPC5は、モニター2と有線で接続されているのに対し、内視鏡装置2は、モニター2と無線で接続されている。
【0018】
本実施形態においては、モニター2は、内視鏡装置3等の複数の装置から伝送される映像信号のうち、ユーザにより所定の装置からの映像信号が選択されると、以降はその映像信号を表示させる。これとともに、モニター2は、映像信号を無線伝送する装置に対し、以降はどのように映像信号を伝送すべきかを示す情報を通知する。
図1の例では、内視鏡装置3がモニター2から通知を受け、映像信号の伝送に関しては、通知の内容にしたがった方法で制御を行う。
【0019】
このように、
図1の内視鏡システム10に含まれる医療画像送信システム1は、無線にて医療画像の映像信号を伝送する医療機器(
図1の例では内視鏡装置3)が映像信号をどのように伝送するかを表す伝送モードを設定する。医療機器は、設定された伝送モードにしたがって医療画像の伝送を行う。伝送モードによって、映像信号を含む医療画像に関する情報の量が決定される。伝送モードの具体的な設定方法については、後述する。
【0020】
図2は、本実施形態に係る医療画像送信システム1を有する内視鏡システム10において、無線を介して通信を行う内視鏡装置3からの映像信号の伝送を制御する方法を模式的に示す図である。
図2を参照して、伝送モードについて説明する。
【0021】
前述のとおり、実施例では、内視鏡装置3とモニター2との間で無線を介して医療画像の映像信号を送受する。このため、
図2においてはこれらの医療画像の無線伝送に関する構成のみを記載し、他は記載を省略している。
【0022】
図2(a)に示すように、モニター2において内視鏡画像が選択されたとする。この場合は、モニター2は、内視鏡装置3は高品質の映像を伝送すべきことを示す伝送モードを設定し、設定した伝送モードを内視鏡装置3に通知する。内視鏡装置3は、モニター2から通知された伝送モードにしたがって、高品質の映像を無線伝送する。モニター2において、内視鏡装置3から受信した映像信号を処理して表示させることで、術者等のユーザに対しては、手術や検査に使用し得る高品質の内視鏡画像が提供される。
【0023】
これに対し、
図2(b)に示すように、モニター2において内視鏡装置3以外の装置からの映像が選択されたとする。この場合は、モニター2は、高品質の映像は伝送する必要がないことを示す伝送モードを設定し、設定した伝送モードを内視鏡装置3に通知する。内視鏡装置3は、モニター2から通知された伝送モードにしたがって、例えば映像信号の伝送を停止させる。あるいは、内視鏡装置3は、画像を圧縮する等により、伝送する情報の量を抑制する。詳細については後述する。
【0024】
以下の説明においては、
図2(a)及び
図2(b)の場合に設定する伝送モードをそれぞれ第1の伝送モード及び第2の伝送モードとする。
また、以下においては、モニター2や内視鏡装置3に送受信部を内蔵する構成を例に説明するが、本実施形態に係る医療画像伝送システム1は、これに限定されるものではなく、送受信機が外付けで接続される構成であってもよい。
【0025】
次に、
図3〜
図6を参照して、本実施形態に係る医療画像送信システム1に含まれる各装置の構成やその動作について説明する。
図3は、モニター2の構成図である。
図3に示すモニター2は、無線入出力部21、2つの映像入力部22(22A及び22B)、画像処理部23、映像表示部24、中央演算処理部25及び映像入力選択部26を有する。
【0026】
無線入出力部21は、無線を介して映像信号を伝送する医療機器との間の信号の入出力を行う。実施例では、無線入出力部21は、無線でモニター2と接続されている内視鏡装置3との間の信号の入出力を行う。
【0027】
映像入出力部22は、有線でモニター2と接続されている機器から伝送される信号の入力を受ける。実施例では、映像入出力部22Aは、有線でモニター2と接続されている超音波観測装置4から伝送される信号の入力を受け、映像入出力部22Bは、有線でモニター2と接続されているPC5から伝送される信号の入力を受ける。
【0028】
画像処理部23は、無線入出力部21や映像入力部22A、22Bから入力される信号のうち、映像信号の入力を受け付け、必要な処理を施して映像表示部24に出力する。映像表示部24は、画像処理部23で画像処理された映像信号を表示する。
【0029】
映像入力選択部26は、ユーザによる映像表示部24に表示したい映像の選択を受け付けることで、無線入出力部21で受信した信号の表示状態を検知する。
図1の構成では、内視鏡装置3、超音波観測装置4及びPC5から入力される3とおりの映像にそれぞれ対応するボタン等をモニター2に設ける。映像入力選択部26は、ユーザによるボタンの押下等の操作を認識すると、ボタンに対応する映像を、選択された映像として中央演算処理部25に通知する。
【0030】
中央演算処理部25は、モニター2の各部の動作を制御する。具体的には、中央演算処理部25は、映像入力選択部26から通知された映像が無線入出力部21、映像入力部22A、22Bのいずれから入力されるかに応じて、無線入出力部21を介して映像信号を伝送する装置に対し、使用すべき伝送モードが第1及び第2の伝送モードのいずれであるかを通知する。これとともに、中央演算処理部25は、映像入力選択部26から通知された情報をメモリ等の記憶部に保持する。そして、中央演算処理部25は、保持する情報にしたがって、無線入出力部21、映像入力部22A、22Bのうち、選択された映像に対応する入出力部/入力部で受信した映像信号を処理し、映像表示部24に出力する旨の処理命令を、画像処理部23に対して出す。
【0031】
以下の説明においては、中央演算処理部25が映像入力選択部26からの通知にしたがってメモリ等の記憶部に記憶する情報を、「選択情報」とする。
図4は、本実施形態に係る選択情報を例示する図である。
図4に示すように、選択情報には、映像信号の入力を受け付けるモニター2の3つの入力部のいずれが映像入力選択部26により選択されたかを表す情報が設定される。モニター2の3つの入力部とは、
図3の無線入出力部21、映像入力部22A、22Bを指す。
【0032】
例えば、選択情報「11」は、3つの入力部のうち、無線入出力部21が映像入力選択部26により選択されていること、すなわち、モニター2には内視鏡装置3からの映像を表示させることが選択されていることを表す。選択情報「21」及び「22」は、それぞれ映像入力部22A及び22Bが選択されていること、すなわち、それぞれ超音波観測装置4及びPC5からの映像を表示させることが選択されていることを表す。
【0033】
無線を介してモニター2との間で信号を送受する内視鏡装置3等の医療機器は、選択情報に基づき決定された伝送モードを表す出力設定情報の通知を、モニター2より受ける。
図5は、本実施形態に係る医療画像送信システム1により信号の伝送の制御を受ける医療機器の構成図である。
図5に示す医療機器は、医療画像入力部31、画像処理部32、中央演算処理部33及び無線入出力部34を有する。
【0034】
医療画像入力部31は、医療機器において取得した画像信号の入力を受ける。
図1に示す構成例では、
図5の医療機器は内視鏡装置3がこれに相当し、医療画像入力部31は、内視鏡装置3のスコープ(
図5においては不図示)において取得した画像信号の入力を受ける。
【0035】
画像処理部32は、医療画像入力部31から入力された画像信号に必要な処理を施して映像信号を生成し、生成した映像信号を無線入出力部34に出力する。
中央演算処理部33は、医療機器の各部の動作を制御する。具体的には、中央演算処理部33は、無線入出力部34を介してモニター2から伝送モードが通知されると、通知された伝送モードに応じて、映像信号の伝送の制御に必要な情報をメモリ等に保持する。そして、中央演算処理部33は、保持した情報にしたがって、画像処理部32や無線入出力部34の制御を行う。以下の説明においては、中央演算処理部33がモニター2から通知された伝送モードに応じてメモリ等の記憶部に保持する情報を、「出力設定情報」とする。
【0036】
無線入出力部34は、無線を介して、通信信号や、出力設定情報にしたがって画像処理部32において処理された映像信号の入出力を行う。モニター2は、無線入出力部34から出力された映像信号を受信する。
【0037】
図6は、本実施形態に係る出力設定情報を例示する図である。
図6に示すように、出力設定情報には、画像処理部32への処理命令と、無線入出力部34への処理命令とが含まれ、出力設定情報を保持する医療機器がモニター2において選択された映像を送信するか否かにより、第1及び第2の出力設定情報の2とおりが設定される。具体的には、医療機器から伝送される映像がモニター2の映像入力選択部26で選択された場合には、第1の伝送モードに対応する第1の出力設定情報を設定する。他の医療機器が映像入力選択部26で選択された場合は、第2の伝送モードに対応する第2の出力設定情報を設定する。
【0038】
第1の出力設定情報では、画像処理部32への処理命令は、画像の圧縮処理は行わない旨の命令と、無線伝送できる信号に処理する命令とを含み、無線入出力部34への処理命令は、画像処理部32から入力される映像信号を無線伝送する旨の命令を含む。
【0039】
第2の出力設定情報については、2とおりの方法で設定することが可能である。
まず、第2の出力設定情報の第1の設定方法では、第2の出力設定情報のうち、画像処理部32への処理命令は、画像の圧縮処理をする旨の命令と、無線伝送できる信号に処理する命令とを含み、無線入出力部34への処理命令は、画像処理部32から入力される映像信号を無線伝送する旨の命令を含む。画像処理部32への処理命令が、画像の圧縮処理をする旨の命令である点が第1の出力設定情報と異なる。
【0040】
これに対し、第2の設定方法では、第2の出力設定情報のうち、画像処理部32への処理命令は、処理を行わない旨の命令を含み、無線入出力部34への処理命令は、画像処理部32から入力される映像信号を無線伝送しない旨の命令を含む。この場合、医療機器は、モニター2との間が無線でつながっていることを確認するためのデータ信号のみを伝送することとなる。
【0041】
図6においては、第2の出力情報の第1の設定方法においては、圧縮画像を伝送する旨を命令する場合を例示するが、これには限定されない。例えば、低解像度の映像を伝送する、フレームレートを落とす、遅延量を増やす等を命令する構成としてもよい。
【0042】
このように、医療機器は、第1の出力設定情報が設定された場合は、画像の圧縮は行わずに高品質の映像を送信するのに対し、第2の出力設定情報が設定された場合は、情報の量を抑制して映像信号の伝送を行うか、映像信号の伝送を行わない。医療機器から伝送される映像信号がモニター2に表示されないときは、第2の出力設定情報に基づき制御を行い、伝送する情報の量を抑制するか映像信号の伝送そのものを行わない構成とすることで、医療機器における消費電力を抑制する。
【0043】
次に、モニター2及びモニター2と無線を介して通信を行う医療機器(実施例では内視鏡装置3)のそれぞれにおいて、どのような制御を行うかについて
図7及び
図8のフローチャートを参照して説明する。
【0044】
図7は、本実施形態に係るモニター2の中央演算処理部25による制御処理を示したフローチャートである。中央演算処理部25は、例えばモニター2の起動後に
図7に示す処理を開始する。
【0045】
まず、ステップS1で、中央演算処理部25は、映像入力選択部26からの通知の有無を判定し、映像入力選択部26からの通知があるまで待機する。中央演算処理部25は、映像入力選択部26から通知を受けると、これに応じた内容の選択情報をメモリ等に保持し、ステップS2へと処理を移行させる。
【0046】
ステップS2で、中央演算処理部25は、ステップS1においてメモリ等に保持した選択情報の内容を判断する。選択情報が、内視鏡装置3からの映像信号、すなわち、無線入出力部21を介して入力される映像信号が選択されていることを表す場合は、ステップS3へと処理を移行させる。選択情報が、他の装置からの映像信号が選択されていることを表す場合は、ステップS4へと処理を移行させる。
【0047】
ステップS3においては、中央演算処理部25は、第1の出力設定情報を出力するよう無線入出力部21に命令する。先に
図6等を参照して説明したとおり、第1の出力設定情報により、内視鏡装置3においては、圧縮処理等は行わずに高品質の映像を伝送するよう制御を行う。
【0048】
ステップS4においては、中央演算処理部25は、第2の出力設定情報を出力するよう無線入出力部21に命令する。第2の出力設定情報により、内視鏡装置3においては、画像を圧縮して伝送する等の情報量を抑制して映像信号を伝送する制御か、あるいは、映像の伝送を停止させる制御を行う。
【0049】
ステップS3またはステップS4の処理を実行すると、ステップS1に戻る。
なお、ステップS3及びステップS4において無線入出力部21を介して送信する出力設定情報は、公知の映像信号の伝送に関するシーケンスのうち、所定の電文の所定のフィールドに格納することとしてもよい。あるいは、モニター2から医療機器に向けて出力設定情報を通知するために、新たにシーケンスを用意して所定のフォーマットの電文の所定のフィールドに格納することもできる。
【0050】
また、
図7のフローチャートにおいては、ステップS3及びステップS4で出力設定情報を含む通信信号をモニター2から医療機器に向けて出力する場合を例示するが、これには限定されない。出力設定情報そのものを送信しなくとも、通知を受けた医療機器において、第1または第2の伝送モードのいずれにより伝送処理の制御を行うべきかを認識することができれば足りる。
【0051】
図8は、本実施形態に係る医療機器の中央演算処理部33による制御処理を示したフローチャートである。中央演算処理部33は、例えば医療機器の起動後に
図8に示す処理を開始する。
【0052】
まず、ステップS11で、中央演算処理部33は、無線入出力部34からの通知の有無を判定する。ここでの通知とは、
図7のステップS3またはステップS4において、モニター2が送信した通知をいう。医療機器の中央演算処理部33は、通知を受信するまで待機し、通知を受信すると、処理をステップS12へと移行させる。
【0053】
ステップS12で、中央演算処理部33は、ステップS11で無線入出力部33から受けた通知に含まれる出力設定情報をメモリ等に保持するとともに、その内容を判断する。
図6等を参照しても説明したとおり、ステップS11で無線入出力部33から受けた通知には、医療機器からの映像信号が選択されているか否かに応じて、それぞれ第1または第2の出力設定情報が含まれている。そこで、中央演算処理部33は、通知に含まれる出力設定情報の内容に応じて、第1の出力設定情報が含まれる場合は処理をステップS13へと移行させ、第2の出力設定情報が含まれる場合は処理をステップS14へと移行させる。
【0054】
ステップS13においては、中央演算処理部33は、第1の出力設定情報に応じた処理を実施する。具体的には、画像処理部32や無線入出力部34に処理命令を出し、画像処理部32から出力される映像信号を無線入出力部34から出力させるよう制御を行うと、ステップS11に戻る。
【0055】
ステップS14においては、中央演算処理部33は、第2の出力設定情報に応じた処理を実施する。具体的には、画像処理部32や無線入出力部34に処理命令を出し、圧縮処理を施した映像信号を無線入出力部34から出力させる、あるいは映像信号を無線入出力部34から出力させない等の各部の制御を行うと、ステップS11に戻る。
【0056】
以上説明したように、本実施形態に係る医療画像送信システム1によれば、モニター2は、映像入力選択部26における入力に応じて選択情報を設定してメモリ等に保持する。モニター2は、保持する選択情報の内容にしたがって、無線を介して映像信号を伝送する医療機器(実施例では内視鏡装置3)に対し、いずれの伝送モードで伝送すべきかを表す出力設定情報を通知する。医療機器は、モニター2から通知を受けると、出力設定情報を設定し、メモリ等に保持する。医療機器は、以降は保持する出力設定情報にしたがって映像信号を処理する。医療機器は、自装置が伝送する映像がモニター2の映像入力選択部26で選択されなかった場合には第2の伝送モードにより映像信号の伝送を行うべきことを表す第2の出力設定情報にしたがって映像信号の伝送に関する処理を実行する。第2の出力設定情報によれば、伝送する情報の量を抑制する、あるいは映像信号の伝送は行わない等の制御がなされる。このため、医療機器における電力の消費が抑えられることとなる。近年では、可搬性を持たせることができる等の理由から、医療機器全体を無線化する傾向が強まってきており、バッテリ駆動による使用に対する要求も存在する。上記の方法で不要な無線通信を抑制/停止することにより、バッテリ駆動により使用する医療機器等についての省電力化に対する要請にも応えることが可能となる。
【0057】
なお、前述のとおり、本実施形態に係る医療画像送信システム1は、モニター2や内視鏡装置3が、外付けで送受信機と接続される構成であってもよい。このような構成をとる場合であっても、上記の方法により不要な映像信号の無線伝送を抑制・停止させることで、同様の効果を得る。
<第2の実施形態>
【0058】
上記の実施形態においては、モニター2に映像信号を伝送する複数の機器のうち、1台のみが無線を介して映像信号の伝送を行っている。これに対し、本実施形態においては、複数台の機器が無線を介して映像信号の伝送を行う。
【0059】
以下に、第1の実施形態と異なる点を中心に、本実施形態に係る医療画像送信システムによる医療画像の伝送を制御する方法について説明する。
図9は、本実施形態に係る医療画像送信システムを有する内視鏡システムの構成図である。
図1に示す第1の実施形態に係るそれと比較すると、本実施形態においては、超音波観測装置4が、無線を介して映像信号を伝送する点で異なる。
【0060】
超音波観測装置4の構成は、
図5に示すとおりであり、第1の実施形態の説明において述べたとおりである。医療画像入力部31から入力される超音波映像を、画像処理部32において処理して無線入出力部34を介してモニター2に向けて無線伝送する。
【0061】
上記の実施形態においては、
図3に示すとおり、超音波観測装置4は、有線を介して映像信号を伝送するため、モニター2では、映像入力部22Aを介して超音波観測装置4からの映像信号を受け付けている。これに対し、本実施形態においては、モニター2では、内視鏡装置3及び超音波観測装置4からの映像信号を、無線入出力部21を介して受け付ける。モニター2の他の構成については、上記の実施形態と同様である。
【0062】
上記の実施形態と同様に、モニター2の中央演算処理部25は、映像入力選択部26においていずれの装置からの映像が選択されたかに応じた内容の選択情報をメモリ等に保持する。そして、中央演算処理部25は、無線を介して映像信号を伝送する各医療機器、実施例では内視鏡装置3及び超音波観測装置4に対し、選択情報に応じた内容の出力設定情報をそれぞれ通知する。
【0063】
図10は、本実施形態に係る選択情報を例示する図である。
図4に示す上記の実施形態に係る選択情報と比較すると、超音波観測装置4が選択されたことを表す選択情報「12」については、無線入出力部21と対応付けられている点で異なる。中央演算処理部25は、メモリ等に保持する選択情報が「11」及び「12」である場合には、無線入出力部21からの映像を映像表示部24に表示させる。
【0064】
これとともに、上記の実施形態と同様に、モニター2の中央演算処理部25は、無線で映像信号を伝送する医療機器に対し、
図10に示す構成の選択情報に基づき出力設定情報を設定し、通知を行う。
図11を参照して、モニター2が
図10に示す構成の選択情報に基づき無線で通信を行う各医療機器に出力設定情報を送信する方法について説明する。
【0065】
図11は、本実施形態に係るモニター2の中央演算処理部25による制御処理を示したフローチャートである。上記の実施形態と同様に、中央演算処理部25は、例えばモニター2の起動後に
図11に示す処理を開始する。
【0066】
ステップS21及びステップS22の処理は、それぞれ
図7のステップS1及びステップS2の処理と同様である。メモリに保持した選択情報が、内視鏡装置3からの映像信号が選択されていることを表す場合はステップS23へと処理を移行させる。同様に、超音波観測装置4からの映像信号が選択されていることを表す場合はステップS24、PC5からの映像信号が選択されていることを表す場合はステップS25へとそれぞれ処理を移行させる。
【0067】
ステップS23においては、中央演算処理部25は、内視鏡装置3には第1の出力設定情報を、超音波観測装置4には第2の出力設定情報を出力するよう無線入出力部21に命令する。
【0068】
ステップS24においては、中央演算処理部25は、超音波観測装置4には第1の出力設定情報を、内視鏡装置3には第2の出力設定情報を出力するよう無線入出力部21に命令する。
【0069】
ステップS25においては、中央演算処理部25は、内視鏡装置3及び超音波観測装置4に第2の出力設定情報を出力するよう無線入出力部21に命令する。
それぞれステップS23〜ステップS25において上記の処理を実行すると、ステップS21に戻る。モニター2は、第2の出力設定情報として、圧縮画像等の情報量を抑制して伝送する旨が設定されている場合は、無線入出力部21を介して複数の医療機器から映像信号を受信することとなる。このような場合であっても、例えば、各医療機器につき固有のID(IDentification)情報等を付加して映像信号を伝送することで、モニター2は、ID情報を参照して、いずれの機器から伝送された映像であるかを識別できる。これにより、モニター2においては、映像入力選択部26で選択された映像を映像表示部24に表示させることが可能となる。
【0070】
ステップS23〜ステップS25の処理により通知を受けた内視鏡装置3及び超音波観測装置4の動作については、先に
図8等を参照して説明したとおりであるので、ここでは説明を割愛する。
【0071】
以上説明したように、本実施形態によれば、無線を介して通信を行う医療機器が複数ある場合であっても、上記の実施形態と同様に、モニター2に表示させる必要のない映像信号については情報量を抑制するか、伝送を停止させるかの制御を行う。これにより、上記の実施形態と同様に、医療機器の省電力化に資する。
【0072】
また、複数台の医療機器が無線を介してモニター2と通信を行うような場合には、使用周波数帯域が重複し、干渉が生じる可能性も高くなる。上記の方法により、モニター2において選択された映像以外については映像信号の伝送を停止させた場合には、複数の医療機器の間で生じる干渉を効果的に抑制することも可能となる。
<第3の実施形態>
【0073】
上記の実施形態においては、モニター2において、映像信号を伝送する複数の装置のうち、いずれの装置からの映像を表示させるか、すなわち、伝送モードを決定する。医療機器は、モニター2からの通知に基づき、高品質の映像の伝送を継続する、あるいは選択しなかった装置には情報量を抑制する/映像信号の伝送を行わないといった制御を行う。これに対し、本実施形態においては、無線を介して通信を行う医療機器は、自装置の状態に基づいて、自装置の伝送モードを決定する点で異なる。
【0074】
以下に、上記の第1及び第2の実施形態と異なる点を中心に、本実施形態に係る医療画像送信システムにおいて、無線を介して通信を行う医療機器からの映像信号の伝送を制御する方法について説明する。
【0075】
以下の説明においては、無線を介して通信を行う医療機器として、内視鏡装置3を例に説明することとする。この場合、システム構成は
図1に示すとおりであり、各装置の構成については、
図3や
図5に示すとおりであるので、その詳細な説明は割愛する。
【0076】
図12は、本実施形態に係る医療画像送信システムにおいて、無線を介して通信を行う内視鏡装置3からの映像信号の伝送を制御する方法を説明する図である。
図12(a)は、スコープ10から入力された画像信号を処理するプロセッサ7Aに送受信部61が内蔵されている場合Wの構成を示す。
【0077】
図12(a)に示す構成では、プロセッサ7A内の着脱検知部72が、スコープ10の着脱を検知し、中央演算処理部71に通知する。プロセッサの着脱検知部がスコープ10の着脱を検知する技術については、公知の技術である。
【0078】
中央演算処理部71が、着脱検知部72からスコープ10が接続されている旨の通知を受けた場合は、画像の圧縮等は行わずに、高品質の映像信号を送受信部73から送出させる。一方、中央演算処理部71が、着脱検知部72からスコープ10がプロセッサ7Aに接続されていない旨の通知を受けた場合は、例えば、スコープ10がプロセッサ7Aに接続されている場合よりも少ない量の情報を送受信部73から伝送させる。あるいは、中央演算処理部71は、映像信号の伝送処理を停止させる等の制御を行う。
【0079】
これは、スコープ10がプロセッサ7Aに接続されていないときは、プロセッサ7Aから伝送される映像信号は手術・診断には利用されておらず、モニターにはカラーバー等が表示されている状態であり、高品質の映像を伝送する必要がないと判断できるためである。そこで、着脱検知部72が「脱」状態を検知した場合は、上述のとおり、伝送する情報の量を抑制するか、映像信号の伝送を停止させる等の制御を行う。
【0080】
スコープ10がプロセッサ7Aに接続されていない場合に具体的にどのような制御を行うかについては、上記の実施形態と同様である。すなわち、例えば、圧縮画像を伝送する、低解像度で伝送する、フレームレートを落とす、遅延量を増やす、映像信号の伝送は行わずにモニター2と間で無線がつながっていることを確認するためのデータ信号のみ伝送する等の処理を各部に実行させる。
【0081】
専用筐体6においては、送受信部61を介して受信した映像信号を表示させる等の処理を行う。映像信号を受信する装置は、専用筐体6に限らず、モニター等でもよい。
図12(b)は、プロセッサ7Bに対して送信機8が外付けされている場合の構成を示す。
【0082】
図12(b)に示す構成をとる場合であっても、プロセッサに送受信部を内蔵する場合と同様の方法で映像信号の伝送を制御することができる。すなわち、プロセッサ7Bは、着脱検知部72において検知したスコープ10のプロセッサ7Bへの着脱状態に基づき、通信部75を介してスコープ10の着脱状態を送信機8に通知するとともに、映像処理部74において、スコープ10が取得した画像信号に処理を施す。そして、プロセッサ7Bは、スコープ10の着脱状態に基づき映像処理部74から出力される映像信号を、送信機8に渡す。
【0083】
送信機8は、通信部82を介してプロセッサ7Bから受信したスコープ10の着脱状態に応じて、
図12(a)の場合と同様の方法で映像処理部81において画像の圧縮等の必要な処理を施し、送受信部83を介して無線で専用筐体6に向けて伝送する。スコープ10が「脱」状態の場合にはデータ信号のみを伝送する構成の場合は、通信部82においてプロセッサ7Bから受信したデータ信号を、送受信部83を介して専用筐体6に向けて伝送する。
【0084】
このように、本実施形態に係る医療画像送信システム1によれば、医療画像を専用筐体6等に向けて伝送する内視鏡装置等の医療機器において、例えばスコープ10の着脱状態のように、医療機器の状態に基づき、高品質の映像を伝送する必要の有無を判断する。上記の実施例では、スコープ10がプロセッサ7A、7Bに接続されていないときは、内視鏡装置から伝送される映像は手術や診断には利用されていないとして、伝送する情報の量を抑制したり、映像信号の伝送を停止させたりする等の制御を行う。これにより、無線を介して通信を行う医療機器の省電力化に資する。
【0085】
なお、上記の第1〜第3の実施形態に係る医療画像送信システムの説明では、無線を介して信号を送受する医療機器の例として、内視鏡装置を挙げている。内視鏡装置については、近年、スコープとプロセッサの間の通信についても無線化の傾向が強くなってきている。
【0086】
以下に、無線を介してスコープとプロセッサとの間の通信を行う内視鏡装置において、無線伝送に最適な状況を作り出し、維持する方法について図面を参照して説明する。
図13は、無線を介して信号の送受を行う内視鏡装置を用いて手術や診断を行うときの内視鏡システムの動作を説明する図である。
図13(a)は、スコープの操作部付近に駆動アンテナ部を備える場合を示し、
図13(b)は、スコープの操作部から離れた位置に駆動アンテナ部を設置する場合を示す。
【0087】
図13(a)に示すように、スコープの操作部付近に駆動アンテナ部を備える構成においては、例えば手術中に無線環境が悪くなった場合であっても、術者が手動で駆動アンテナの向きを操作できる。これにより、スコープで取得した画像信号をプロセッサに伝送するときの無線伝送に最適な環境を作り出し、これを維持することが可能となる。
【0088】
図13(b)に示すように、スコープの操作部から離れた位置に駆動アンテナ部を設置する場合は、例えば術者自身や患者(被検者)、手術台等に駆動アンテナ部を設置する。このような構成をとる場合であっても
図13(a)の構成と同様に、手術中に無線環境が悪くなった場合には、手動で駆動アンテナの向きを操作できることで、
図13(a)と同様の効果を得る。
【0089】
更に、
図13(b)の構成では、スコープ操作部から駆動アンテナ部が離れているため、術者以外であっても駆動アンテナ部の操作が可能となる。
この他にも、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の改良及び変更が可能である。例えば、前述の各実施形態に示された全体構成からいくつかの構成要素を削除してもよく、更には各実施形態の異なる構成要素を適宜組み合わせてもよい