(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5781005
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】データ管理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 12/00 20060101AFI20150827BHJP
G06Q 50/16 20120101ALI20150827BHJP
【FI】
G06F12/00 501P
G06Q50/16 102
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-108009(P2012-108009)
(22)【出願日】2012年5月9日
(65)【公開番号】特開2013-235459(P2013-235459A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2014年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋口 真樹
【審査官】
井上 宏一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−185226(JP,A)
【文献】
特開2007−164240(JP,A)
【文献】
特開2009−122820(JP,A)
【文献】
特開2006−221439(JP,A)
【文献】
特開平 8−106408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 12/00
G06Q 50/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の建物のそれぞれの観測点にて測定されたデータを取得する取得手段と、
記憶装置の記憶領域を分割することで建物ごとのパーティションを生成し、各建物にて測定されたデータを各建物に対応するパーティションに別々に保存する制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、各建物にて過去に測定されたデータの容量に応じた分割単位、又は、各建物における測定点の数に応じた分割単位のいずれかの分割単位で前記記憶領域を分割することで前記パーティションを前記建物ごとに生成し、各建物にて測定されたデータを各建物に対応するパーティションに別々に保存し、
さらに、前記制御手段は、各建物にて過去に測定されたデータの容量又は各建物における測定点の数のいずれかに応じた期間単位を前記分割単位として前記建物ごとに決定し、前記期間単位ごとに測定されるデータを前記期間単位ごとに保存するためのパーティションを前記建物ごとに生成し、各建物にて各期間単位に測定されたデータを、各建物の各期間単位に対応するパーティションに別々に保存する、
ことを特徴とするデータ管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ管理装置であって、
前記期間単位は、年単位、月単位、週単位又は日単位のいずれかであり、
前記制御手段は、各建物にて過去に測定されたデータの容量又は各建物における測定点の数のいずれかに応じて、年単位に対応する容量のパーティション、月単位に対応する容量のパーティション、週単位に対応する容量のパーティション又は日単位に対応する容量のパーティションのいずれかを前記建物ごとに生成し、各建物の年単位、月単位、週単位又は日単位のいずれかに対応するパーティションに、各建物にて年単位、月単位、週単位又は日単位のいずれかで測定されたデータを別々に保存する、
ことを特徴とするデータ管理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のデータ管理装置であって、
前記取得手段は、各建物にて測定されて圧縮されたデータを取得し、
前記制御手段は、前記圧縮されたデータを解凍して各建物に対応するパーティションに保存する、
ことを特徴とするデータ管理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のデータ管理装置であって、
前記取得手段は、通信回線を介して前記複数の建物のそれぞれから前記データを取得する、
ことを特徴とするデータ管理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のデータ管理装置であって、
前記データは、前記複数の建物のそれぞれに設置された設備機器の運転状態を示すデータを含む、
ことを特徴とするデータ管理装置。
【請求項6】
コンピュータに、
複数の建物のそれぞれの観測点にて測定されたデータを取得する第1のステップと、
記憶装置の記憶領域を分割することで建物ごとのパーティションを生成し、各建物にて測定されたデータを各建物に対応するパーティションに別々に保存する第2のステップと、
を実行させ、
前記第2のステップでは、各建物にて過去に測定されたデータの容量に応じた分割単位、又は、各建物における測定点の数に応じた分割単位のいずれかの分割単位で前記記憶領域を分割することで前記パーティションを前記建物ごとに生成し、各建物にて測定されたデータを各建物に対応するパーティションに別々に保存し、
さらに、前記第2のステップでは、各建物にて過去に測定されたデータの容量又は各建物における測定点の数のいずれかに応じた期間単位を前記分割単位として前記建物ごとに決定し、前記期間単位ごとに測定されるデータを前記期間単位ごとに保存するためのパーティションを前記建物ごとに生成し、各建物にて各期間単位に測定されたデータを、各建物の各期間単位に対応するパーティションに別々に保存する、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル等の建物にて取得されたデータを管理するデータ管理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビル等の建物(物件)に設置されている様々な設備機器の運転状態を管理するビル管理システム(Building Automation System:BAS)が知られている。ビル管理システムにおいては、各設備機器に設けられたセンサや建物に設置された各種センサから各設備機器の運転状態等を示すデータを収集し、収集したデータをログファイルとしてサーバ等のデータ管理装置で管理している。例えば、1つの建物で1日に1回の割合でログファイルを収集し、収集したログファイルを圧縮してデータ管理装置に送信し、圧縮されたログファイルを解凍(展開)してデータ管理装置のストレージに保存している。従来においては、例えば
図4に示すように、ストレージの記憶領域200における1つのパーティション210に、複数の建物に関するログファイル(データ)を解凍して保存している。すなわち、1つのパーティション210に様々な建物に関するログファイルが混在していることになる。そして、データ管理装置に保存されているログファイルを解析することで、各設備機器の運用状況や消費電力量等を示すレポートを作成している。
【0003】
また、データを管理する装置として、例えば下記の特許文献1には、記録装置上のパーティション空間を部分領域に分け、複数の部分領域をアプリケーションごとに割り当てるデータ管理装置が開示されている。
【0004】
また、下記の特許文献2には、記憶領域を分割した分割領域にユーザグループを対応付け、分割領域に属するユーザグループに対応付けられているユーザのみがその分割領域に格納されているデータにアクセスできるようにしたデータ管理装置が開示されている。
【0005】
また、下記の特許文献3には、空調機や照明器具等の設備機器を制御するシステムであって、エリア内に存在する人から快適度を示す環境情報を取得し、その快適度を考慮して設備機器を制御するシステムが開示されている。
【0006】
また、下記の特許文献4には、環境に対する利用者からの要望の数を取得し、その要望の数が所定の基準値を超えた場合に環境制御機器に制御信号を出力する環境制御システムが開示されている。
【0007】
また、下記の特許文献5には、部屋に入室した個人に対応する照明器具を点灯する照明制御システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−88766号公報
【特許文献2】特開2004−303051号公報
【特許文献3】特開2004−205202号公報
【特許文献4】特開2008−106984号公報
【特許文献5】特開2009−169543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ビル等の建物に設置されている各センサは一定の時間間隔(例えば所定の分単位)でデータを検出するため、1つの建物から出力されるログファイルの容量は、(時間間隔(例えば分単位)×観測点)の単位で増大する。1つのデータの容量が数バイトであったとしても、一定の時間間隔(例えば分単位)でデータを取得している上、ビルによっては観測点の数が数百〜数万となる場合があるため、データの数が数万〜数十万になってデータの総容量が膨大になってしまう。また、サーバ等のデータ管理装置は、複数の建物に関するログファイルを保存して管理しているため、管理対象の建物の数が増大するほど、データ管理装置が保存して管理しなければならないログファイルの容量が増大する。そして、このような膨大な容量のログファイルが定期的に(例えば毎日や毎週)、複数の建物からデータ管理装置に送信されて保存されている。従って、大規模なビルを管理する場合、非常に大容量のログファイルが生成されることになるため、データ管理装置のファイルシステムの性能が低下し、圧縮されたログファイルの解凍(展開)、データ検索、データ抽出及びデータ解析に要する時間が増大することになる。例えば
図4に示すように、1つのパーティション210にすべての建物に関するログファイルを解凍して保存する場合、ファイル数の増加に伴ってファイルシステムの性能が低下し、その結果、データ管理装置全体の性能低下を招くことになる。また、ストレージの論理破壊が発生した場合にデータ損傷の被害が拡大するため、1つのパーティションにすべてのログファイルを保存することは、リスク管理の観点からも問題がある。
【0010】
上述した特許文献1,2に記載されたデータ管理装置では、複数の建物に関するログファイルを対象にしてデータを管理しているわけではないため、複数の建物から出力される大容量のログファイルを効率的に管理することは困難である。また、上述した特許文献3,4,5に記載されたシステムは、空調機や照明器具等の設備機器の制御を行うに過ぎず、複数の建物に関するログファイルを効率的に管理することは困難である。
【0011】
本発明の目的は、複数の建物にて測定されたデータを効率的に管理することが可能なデータ管理装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明は、複数の建物のそれぞれの観測点にて測定されたデータを取得する取得手段と、記憶装置の記憶領域を分割することで建物ごとのパーティションを生成し、各建物にて測定されたデータを各建物に対応するパーティションに別々に保存する制御手段と、を有
し、前記制御手段は、各建物にて過去に測定されたデータの容量に応じた分割単位、又は、各建物における測定点の数に応じた分割単位のいずれかの分割単位で前記記憶領域を分割することで前記パーティションを前記建物ごとに生成し、各建物にて測定されたデータを各建物に対応するパーティションに別々に保存し、さらに、前記制御手段は、各建物にて過去に測定されたデータの容量又は各建物における測定点の数のいずれかに応じた期間単位を前記分割単位として前記建物ごとに決定し、前記期間単位ごとに測定されるデータを前記期間単位ごとに保存するためのパーティションを前記建物ごとに生成し、各建物にて各期間単位に測定されたデータを、各建物の各期間単位に対応するパーティションに別々に保存する、ことを特徴とするデータ管理装置である。
【0015】
また、請求項
2に係る発明は、請求項
1に係るデータ管理装置であって、前記期間単位は、年単位、月単位、週単位又は日単位のいずれかであり、前記制御手段は、各建物にて過去に測定されたデータの容量又は各建物における測定点の数のいずれかに応じて、年単位に対応する容量のパーティション、月単位に対応する容量のパーティション、週単位に対応する容量のパーティション又は日単位に対応する容量のパーティションのいずれかを前記建物ごとに生成し、各建物の年単位、月単位、週単位又は日単位のいずれかに対応するパーティションに、各建物にて年単位、月単位、週単位又は日単位のいずれかで測定されたデータを別々に保存する、ことを特徴とする。
【0016】
また、請求項
3に係る発明は、請求項1
又は請求項
2に係るデータ管理装置であって、前記取得手段は、各建物にて測定されて圧縮されたデータを取得し、前記制御手段は、前記圧縮されたデータを解凍して各建物に対応するパーティションに保存する、ことを特徴とする。
【0017】
また、請求項
4に係る発明は、請求項1から請求項
3のいずれか一項に係るデータ管理装置であって、前記取得手段は、通信回線を介して前記複数の建物のそれぞれから前記データを取得する、ことを特徴とする。
【0018】
また、請求項
5に係る発明は、請求項1から請求項
4のいずれか一項に係るデータ管理装置であって、前記データは、前記複数の建物のそれぞれに設置された設備機器の運転状態を示すデータを含む、ことを特徴とする。
【0019】
また、請求項
6に係る発明は、コンピュータに、複数の建物のそれぞれの観測点にて測定されたデータを取得する第1のステップと、記憶装置の記憶領域を分割することで建物ごとのパーティションを生成し、各建物にて測定されたデータを各建物に対応するパーティションに別々に保存する第2のステップと、を実行させ
、前記第2のステップでは、各建物にて過去に測定されたデータの容量に応じた分割単位、又は、各建物における測定点の数に応じた分割単位のいずれかの分割単位で前記記憶領域を分割することで前記パーティションを前記建物ごとに生成し、各建物にて測定されたデータを各建物に対応するパーティションに別々に保存し、さらに、前記第2のステップでは、各建物にて過去に測定されたデータの容量又は各建物における測定点の数のいずれかに応じた期間単位を前記分割単位として前記建物ごとに決定し、前記期間単位ごとに測定されるデータを前記期間単位ごとに保存するためのパーティションを前記建物ごとに生成し、各建物にて各期間単位に測定されたデータを、各建物の各期間単位に対応するパーティションに別々に保存する、ことを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、記憶装置の記憶領域を分割して建物ごとのパーティションを生成し、各建物にて測定されたデータをそれぞれ別々のパーティションに保存することで、複数の建物にて測定されたデータを効率的に管理することが可能となる。その結果、ファイルシステムの性能低下を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係るデータ管理装置を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るデータ管理方式の一例を説明するための図であり、記憶領域の分割単位の一例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るデータ管理方式の別の例を説明するための図であり、記憶領域の分割単位の別の例を説明するための図である。
【
図4】従来技術に係るデータ管理方式を説明するための図であり、記憶領域の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1を参照して、本発明の実施形態に係るデータ管理装置について説明する。本実施形態に係るデータ管理装置1は、ネットワーク等の通信経路Nを介してビルやプラント等の建物10(物件)に接続され、建物10に設置されている図示しない各種センサによって取得されたデータ(ログファイル)を通信経路Nを介して取得し、取得したログファイルを保存する。
【0023】
ビルやプラント等の建物10には、空調機、照明器具、エレベータ、エスカレータ又は入退室管理装置等の様々な設備機器11が設置されている。各設備機器11には図示しないセンサが設置されており、各センサは各設備機器11の運転状態(例えば稼働時間や起動回数等)を検出して運転状態を示すデータを出力する。また、建物10には、温度センサや湿度センサや電力量計等の図示しない各種センサが設置されており、各センサは温度や湿度や消費電力量等を検出して温度等を示すデータを出力する。各センサは、一定のサンプリング時間間隔(例えば所定の分単位)に従ってデータを測定する。各センサは、測定が行われた時間(例えば日時や時刻等)を示す時間情報と、各センサを識別するための機器情報(例えば機器ID)とをデータに付帯させ、時間情報と機器情報とが付帯されたデータを出力する。なお、センサが設置されている設備機器11を識別するための情報を、機器情報として用いてもよい。例えば、数百〜数万の数のセンサを建物10に設置し、数百〜数万の数の観測点にてデータを取得する。
【0024】
データ収集部12は、建物10に設置されている各センサから出力されたデータをログファイルとして収集し、収集したログファイルを所定の圧縮形式(例えばZIP形式)に従って圧縮して出力する。例えば、データ収集部12は、定期的に(例えば1日に1回や2日に1回の割合で)各センサからログファイルを収集し、収集したログファイルを所定の圧縮形式で圧縮して出力する。
【0025】
管理部13は、データ収集部12によって収集されたログファイル(データ)を、定期的に(例えば1日に1回や2日に1回の割合で)通信経路Nを介してデータ管理装置1に送信する。例えば、管理部13は、個々の建物10を識別するための管理情報(例えば管理番号)をログファイルに付帯させ、管理情報が付帯されたログファイルをデータ管理装置1に送信する。また、管理部13は、建物10に設置されている設備機器11の稼働状況や、ネットワーク等の通信経路Nのアクセス状況等を記録する機能を有していてもよい。
【0026】
図1に示す例では、1つの建物10が通信経路Nを介してデータ管理装置1に接続されているが、複数の建物10がデータ管理装置1に接続されていてもよい。この場合、複数の建物10からログファイルが通信経路Nを介してデータ管理装置1に送信される。
【0027】
次に、本実施形態に係るデータ管理装置1について説明する。データ管理装置1は、通信部2と制御部3と集計サーバ4とを備え、各建物10から出力されたログファイルを取得し、各建物10に関するログファイルを集計サーバ4に保存する。
【0028】
通信部2は、通信経路Nを介して建物10の管理部13との間で通信を行い、建物10に関するログファイルを管理部13から受信したり、各種の制御信号を管理部13に送信したりする。通信部2は、例えばWebサーバとして機能する管理部13との間でhttp等の通信プロトコルに従って通信を行い、管理部13からログファイルを受信する。通信部2は、各建物10の管理部13からログファイルを受信し、各建物10に関するログファイルを制御部3に出力する。例えば、通信部2は、定期的に(例えば1日に1回や2日に1回の割合で)ログファイルを各建物10の管理部13から受信する。なお、通信部2が取得手段の一例に相当する。
【0029】
制御部3は、各建物10に関するログファイルを集計サーバ4の記憶装置5(ストレージ)に記憶させる。例えば、制御部3は、記憶装置5における記憶領域を建物10ごとに分割することで各建物に対応するパーティションを生成し、各建物10に関するログファイルを各建物に対応するパーティションに別々に保存する。また、ログファイルが所定の圧縮形式で圧縮されている場合、制御部3は、圧縮されたログファイルを解凍(展開)し、解凍後のログファイル(生データ)を記憶装置5に記憶させる。なお、記憶装置5は、ハードディスクドライブ(HDD)や光ディスクや半導体メモリ等によって構成されている。
【0030】
ここで、
図2を参照して、本実施形態に係るデータ管理方式の一例を説明する。
図2は、記憶装置5における記憶領域の一例を示す。制御部3は、記憶装置5における記憶領域100を建物10ごとに分割することで各建物10に対応するパーティション110,120,130(部分領域)を生成し、各建物10に対応するパーティション110,120,130に、各建物10に関するログファイルを保存する。例えば、制御部3は、パーティション110に、管理番号(建物10を識別するための管理情報)が「11111」の建物10に関するログファイル(file/2012/11111/)を保存する。また、制御部3は、パーティション120に、管理番号が「22222」の建物10に関するログファイル(file/2012/22222/)を保存する。また、制御部3は、パーティション130に、管理番号が「33333」の建物10に関するログファイル(file/2012/33333/)を保存する。このように、本実施形態では、建物10ごとにパーティションを生成し、各建物10に関するログファイルをそれぞれ別々のパーティションに保存する。
【0031】
例えば、制御部3は、各建物10に関するログファイルの容量に応じた分割単位で記憶領域100を分割することで、各建物10のログファイルの容量に応じた容量のパーティションを建物10ごとに生成する。一例として、制御部3は、すべての建物10のログファイルを年単位で管理し、一年間に収集されるログファイルを保存するために十分な容量のパーティションを生成する。制御部3は、過去に取得されて解凍された後のログファイルの容量(過去の履歴)に基づいて、各建物10に対応するパーティションの容量を決定し、決定された容量に従って記憶領域100を分割することで、各建物10に対応するパーティションを生成する。観測点の数とサンプリング時間間隔とが変化しなければ、各建物10に関するログファイルの容量の変化は少ないため、過去に取得されたログファイルの容量に基づいて、各建物10に割り当てるパーティションの容量を推定することができる。
【0032】
図2に示す例では、制御部3は、管理番号が「11111」の建物10にて例えば2011年に取得されたログファイルの容量に基づいて、管理番号が「11111」の建物10にて2012年に取得されるログファイルを保存するためのパーティションの容量を推定し、推定された容量に従って記憶領域100を分割することで、推定された容量のパーティション110を生成する。同様に、制御部3は、管理番号が「22222」の建物10にて例えば2011年に取得されたログファイルの容量に基づいて、管理番号が「22222」の建物10にて2012年に取得されるログファイルを保存するためのパーティションの容量を推定し、推定された容量に従って記憶領域100を分割することで、推定された容量のパーティション120を生成する。同様に、制御部3は、管理番号が「33333」の建物10にて例えば2011年に取得されたログファイルの容量に基づいて、管理番号が「33333」の建物10にて2012年に取得されるログファイルを保存するためのパーティションの容量を推定し、推定された容量に従って記憶領域100を分割することで、推定された容量のパーティション130を生成する。
【0033】
また、制御部3は、建物10の規模に応じて記憶領域100を分割することで、建物10の規模に応じたパーティションを生成してもよい。例えば、制御部3は、建物10における観測点の数に基づいて、建物10の規模を大規模物件、中規模物件及び小規模物件等のように分類し、建物10の規模に応じて記憶領域100を分割する。一例として、制御部3は、観測点の数が第1の閾値以上となる建物10を大規模物件に分類し、観測点の数が第1の閾値よりも小さい第2の閾値未満となる建物10を小規模物件に分類し、観測点の数が第1の閾値未満かつ第2の閾値以上となる建物10を中規模物件に分類する。そして、制御部3は、規模の大きさ(観測点の数)に応じた分割単位で記憶領域100を分割することで、規模の大きさに応じた容量のパーティションを建物10ごとに生成する。例えば、制御部3は、規模が大きくなるほど(観測点の数が多くなるほど)容量の大きいパーティションを生成してログファイルを保存する。規模が大きいほど(観測点の数が多いほど)、取得されるログファイルの容量も増大するため、規模が大きい(観測点の数が多い)建物10ほど大容量のパーティションを確保する。なお、制御部3は、各建物10における観測点の数を示す情報を予め記憶していてもよいし、建物10の管理部13から当該建物10における観測点の数を示す情報を取得するようにしてもよい。上記の例では、建物10の規模を、大規模物件、中規模物件又は小規模物件に分類する処理について説明したが、観測点の数に応じて建物10の規模をさらに細かく分類してもよい。また、制御部3は、建物10における観測点の数に基づいて当該建物10にて得られるログファイルの容量を推定し、推定された容量のログファイルを保存するために十分な容量のパーティションを生成してもよい。また、制御部3は、過去に取得されて解凍された後のログファイルの容量に基づいて建物10の規模を分類してもよい。この場合、制御部3は、過去のログファイルの容量に基づいて決定された規模の大きさに応じた容量のパーティションを建物10ごとに生成してもよい。
【0034】
また、制御部3は、ログファイルを管理するための期間単位を建物10の規模に基づいて決定し、決定された期間単位で記憶領域を分割することで、決定された期間単位で得られるログファイルを期間単位ごとに保存するために十分な容量のパーティションを生成してもよい。すなわち、制御部3は、建物10の規模に応じて期間単位を変え、その期間単位に対応する容量のパーティションを生成し、期間単位ごとに得られるログファイルを別々のパーティションに保存してもよい。期間単位は、一例として年単位、月単位、週単位又は日単位である。例えば、制御部3は、大規模物件の建物10に関するログファイルを日単位で管理し、中規模物件の建物10に関するログファイルを月単位で管理し、小規模物件の建物10に関するログファイルを年単位で管理する。この場合、制御部3は、大規模物件の建物10については、記憶領域100を日単位(例えば一日単位)で分割することで、日単位で得られるログファイルを日単位ごとに保存するために十分な容量のパーティションを生成し、日単位で区切られた各パーティションに日単位のログファイルを保存する。また、制御部3は、中規模物件の建物10については、記憶領域100を月単位(例えば一カ月単位)で分割することで、月単位で得られるログファイルを月単位ごとに保存するために十分な容量のパーティションを生成し、月単位で区切られた各パーティションに月単位のログファイルを保存する。また、制御部3は、小規模物件の建物10については、記憶領域100を年単位(例えば一年単位)で分割することで、年単位で得られるログファイルを年単位ごとに保存するために十分な容量のパーティションを生成し、年単位で区切られた各パーティションに年単位のログファイルを保存する。なお、建物10の規模(観測点の数)に応じて、当該建物10に関するログファイルを週単位で管理してもよい。この場合、制御部3は、記憶領域100を週単位(例えば一週間単位)で分割することで、週単位で得られるログファイルを週単位ごとに保存するために十分な容量のパーティションを生成し、週単位で区切られた各パーティションに週単位のログファイルを保存する。また、制御部3は、過去に取得されて解凍された後のログファイルの容量に基づいて期間単位を決定し、決定された期間単位で得られるログファイルを期間単位ごとに保存するために十分な容量のパーティションを生成してもよい。
【0035】
図3に示す例において、管理番号が「11111」の建物10を大規模物件とし、管理番号が「22222」の建物10を中規模物件とし、管理番号が「33333」の建物10を小規模物件とする。この場合、制御部3は、大規模物件の建物10については、記憶領域100を日単位で区切ることで、日単位で得られるログファイル(例えば一日分のログファイル)を日単位ごとに保存するために十分な容量のパーティション110A,110B,110C・・・を生成し、パーティション110A,110B,110C・・・のそれぞれに、日単位で得られるログファイルを保存する。例えば、制御部3は、管理番号が「11111」の建物10にて2012年2月21日に収集されたログファイル(file/2012/11111/02/21/)をパーティション110Aに保存し、2012年2月22日に収集されたログファイル(file/2012/11111/02/22/)をパーティション110Bに保存し、2012年2月23日に収集されたログファイル(file/2012/11111/02/23/)をパーティション110Cに保存する。
【0036】
また、制御部3は、中規模物件の建物10については、記憶領域100を月単位で区切ることで、月単位で得られるログファイル(例えば一カ月分のログファイル)を月単位で保存するために十分な容量のパーティション120を生成し、パーティション120に月単位で得られるログファイルを保存する。例えば、制御部3は、管理番号が「22222」の建物10にて2012年2月に収集されたログファイル(file/2012/22222/02/)をパーティション120に保存する。
【0037】
また、制御部3は、小規模物件の建物10については、記憶領域100を年単位で区切ることで、年単位で得られるログファイル(例えば一年分のログファイル)を年単位で保存するために十分な容量のパーティション130を生成し、パーティション130に年単位で得られるログファイルを保存する。例えば、制御部3は、管理番号が「33333」の建物10にて2012年に収集されたログファイル(file/2012/33333/)をパーティション130に保存する。
【0038】
以上のように、記憶装置5の記憶領域を建物10ごとに分割して各建物10に対応するパーティションを生成し、各建物10に関するログファイルを別々のパーティションに保存することで、1つのパーティションに保存されるログファイルの容量が制限されるため、ファイルシステムの性能低下を防止することができる。例えば、ファイルシステムにおけるインデックスの巨大化を防止することができ、そのことにより、インデックス管理の負荷を軽減することができる。また、ジャーナリングファイルシステムの応答性低下を防止することができる。上述した実施形態のように、圧縮されたログファイルを解凍して記憶装置5に保存する場合であっても、1つのパーティションに保存されるログファイルの容量を制限することで、解凍時及び保存時の負荷を軽減し、解凍及び保存に要する時間を削減することが可能となる。
【0039】
また、建物10の規模(観測点の数)に応じてログファイルを管理するための期間単位を変え、その期間単位に対応する容量のパーティションを生成して期間単位ごとのログファイルを別々のパーティションに保存することで、1つのパーティションに保存されるログファイルの容量を制限できるため、ファイルシステムの性能低下を防止できる。例えば、建物10の規模が大きくなるほど収集されるログファイルの容量が増大するため、建物10の規模が大きくなるほど、当該建物10にて得られるログファイルの期間単位を短くすることで、1つのパーティションに保存されるログファイルの容量が制限されるため、ファイルシステムの性能低下を防止することができる。
【0040】
また、建物10ごと又は期間単位ごとにログファイルを分けて別々のパーティションに保存しているため、仮に記憶装置5(ストレージ)に論理破壊が発生した場合であっても、ログファイルの損傷の拡大を抑制することが可能となる。
【0041】
なお、制御部3は、記憶装置5の記憶領域100を分割することで得られたパーティションの容量が、実際のログファイルの容量から乖離している場合、実際のログファイルの容量に基づいて記憶領域100を再び分割することで、実際のログファイルを保存するために十分な容量のパーティションを生成してもよい。例えば、推定によって生成されたパーティションの容量が実際のログファイルの容量よりも少ない場合や、推定によって生成されたパーティションの容量が実際のログファイルの容量よりも所定容量以上大きい場合に、制御部3は、実際のログファイルを保存するために十分な容量のパーティションを再び生成する。
【0042】
以上のようにしてデータ管理装置1に保存されたログファイルは、解析部20によって解析される。解析部20は、集計サーバ4の記憶装置5からログファイルを取得し、そのログファイルを解析することで、各設備機器11の運用状況や消費電力量等を示すレポート30を作成して出力する。例えば、解析部20は、建物10ごとのレポート、各建物10の年単位のレポート、月単位のレポート、週単位のレポート又は日単位のレポートを作成する。各ログファイルは、建物10ごと又は期間単位ごとに分けて別々のパーティションに保存されているため、ログファイルを記憶装置5から読み出すときの負荷が軽減し、読み出しに要する時間を削減することができる。なお、データ管理装置1は解析部20を含んで構成されていてもよいし、解析部20を含んでいなくてもよい。
【0043】
上述したデータ管理装置1は図示しないCPU等のプロセッサを備えている。プロセッサは、図示しないメモリに記憶されたプログラムを実行することにより、通信部2及び制御部3のそれぞれの機能を実現する。上記プログラムは、CDやDVD等の記録媒体を介して又はネットワーク等の通信経路を介してハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置に記憶される。なお、上記プログラムはハードディスクドライブ等の記憶装置に予め記憶されていてもよい。ハードディスクドライブ等の記憶装置に記憶されたプログラムがRAM等のメモリに読み出されてCPU等のプロセッサによって実行されることにより、通信部2及び制御部3のそれぞれの機能が実現される。また、データ収集部12及び管理部13は、図示しないCPU等のプロセッサと、図示しないメモリに記憶されたプログラムとによって実現される。例えばハードディスクドライブ等の記憶装置に記憶されたプログラムがRAM等のメモリに読み出されてCPU等のプロセッサによって実行されることにより、データ収集部12及び管理部13のそれぞれの機能が実現される。また、解析部20は、図示しないCPU等のプロセッサと、図示しないメモリに記憶されたプログラムとによって実現される。例えばハードディスクドライブ等の記憶装置に記憶されたプログラムがRAM等のメモリに読み出されてCPU等のプロセッサによって実行されることにより、解析部20の機能が実現される。
【符号の説明】
【0044】
1 データ管理装置、2 通信部、3 制御部、4 集計サーバ、5 記憶装置、10 建物、11 設備機器、12 データ収集部、13 管理部、20 解析部、30 レポート。