【課題を解決するための手段】
【0015】
このため第1の目的による本発明は、少なくとも1つの金属元素でドープされたポリマー球又は少なくとも1つの金属元素でドープされたポリマービーズを作製する方法であって、
a)重合開始剤を含む有機相中で、少なくとも1つの金属元素の少なくとも1つのキレート配位子を含む少なくとも1つのエチレンモノマーの重合によりポリマー球又はポリマービーズを形成する工程と、
b)上記ポリマー球又はポリマービーズを少なくとも1つの金属元素を含む溶液に接触させる工程と、
を含む、少なくとも1つの金属元素でドープされたポリマー球又は少なくとも1つの金属元素でドープされたポリマービーズを作製する方法に関する。
【0016】
本発明の記載においてより詳細な説明を与える前に、以下の定義を定める。
【0017】
少なくとも1つの金属元素の少なくとも1つのキレート配位子を含むエチレンモノマーとは、従来的には少なくとも1つの金属元素と錯体形成することが可能な少なくとも1つのペンダント基を含む炭素二重結合を有するモノマーを意味し、これは換言すると、金属元素が、非共有電子対(free doublet)を共有することにより配位結合を介して、又は結合する金属原子と上記ペンダント基が有する負の電荷を共有することによるイオン結合を介して、上記ペンダント基と結合することが可能であることを意味する。
【0018】
金属元素とは、従来的にはアルカリ元素、アルカリ土類元素、遷移元素、ランタニド元素、アクチニド元素、又はAl、Ga、Ge、In、Sn、Sb、Tl、Pb、Bi及びPoから選択される元素のカテゴリーに属する元素を意味する。
【0019】
金属元素でドープされたポリマー球又は金属元素でドープされたポリマービーズを作製するこの革新的な方法は、以下の利点をもたらす:
金属元素と球の壁及びビーズの構成ポリマー材料との間の結合が、上述のモノマーを選択することによって、単純な配位結合又はイオン結合により達成されるため、多様な金属元素の球の壁及びビーズへの組み込みを可能にし、
所定のレベルの金属元素の導入を可能にし(上記レベルは、重合工程中に用いられる上述のモノマーの量を変えることにより調整することができる)、
一定領域に均質にこれらの元素を分布させることにより、又は金属の分布を領域ごとに変えることにより(例えば、接触時間又は金属溶液中の浸漬深度を変えることにより)、球の壁における又はビーズにおける金属元素の特異的な局在化を可能にし、
上述のモノマーの局在化により、球の中心腔ではなく壁における及びビーズの所定の領域における金属元素の排他的な局在化を可能にし、球の壁及びビーズの所定の領域における金属元素の量に影響を与えない洗浄操作により球の中心腔から存在すると考え得る金属元素を取り除くことができ(これは球の壁及びビーズの所定の領域における金属元素が上述のモノマーによって配位結合及び/又はイオン結合を介して安定に結合しているためである)、
とりわけ、球の壁に又はビーズの関連領域に存在する金属元素のレベルに関して容易に再現可能である(これは球の壁及びビーズの所定の領域の構造に入るのには、重合した特定のモノマーの量だけがこのレベルと関係があるためである)。
【0020】
上述のように本発明の方法は初めに、少なくとも1つの重合開始剤を含む有機相中で、少なくとも1つの金属元素の少なくとも1つのキレート配位子を含む少なくとも1つのエチレンモノマーの重合によりポリマー球又はポリマービーズを形成する工程を含む。
【0021】
本発明によれば、キレート配位子を形成することができる基を含むモノマーは有益には、非共有電子対を有する少なくとも1つの基、特にアミン基、及び/又は少なくとも1つの負に荷電した基、特にカルボキシレート基を含むモノマーである。有益なモノマーは、少なくとも1つのアミン基と少なくとも1つのカルボキシレート基との両方を含むことができ、これらのタイプの基は両方ともアミノ酸残基から誘導することができ、またこのようなモノマーの利点は、これらが周期表のほとんど全ての金属元素との結合が可能であることである。
【0022】
より具体的には、本発明の方法に使用することができるモノマーは、以下の式(I):
【化1】
(式中、Rは以下の式の基から選択される基を表し:
【化2】
R
1及びR
2は独立して、H、アルキル基、アリール基、又は以下の式の基を表し、:
【化3】
R
11及びR
12は独立して、上記で与えられたR
1及びR
2と同じ規定に対応する基に相当し、
R’はOR
13又はアミン基であり;
R
3、R
4、R
5、R
6、R
7は独立して、H、エチレン基、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基又はハロゲン原子を表し、該アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基が任意に全フッ素置換されており、1つ又は複数の酸素原子、窒素原子、硫黄原子及び/又はセレン原子を該基に挿入することができ(但し、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7のうちの少なくとも1つはエチレン基を表す);
R
8、R
9及びR
10は独立して、H、エチレン基、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基又はハロゲン原子を表し、該アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基が任意に全フッ素置換されており、1つ又は複数の酸素原子、窒素原子、硫黄原子及び/又はセレン原子を該基に挿入することができ;
R
13は、H、金属、例えば、アルカリ金属、アルキル基、アリール基、アシル基又はアルキルアリール基を表し、該アルキル基、アリール基、アルキルアリール基が任意に全フッ素置換されており、1つ又は複数の酸素原子、硫黄原子及び/又はセレン原子を該基に挿入することができ;
k、l及びmが0〜20の範囲の整数である);
で表されるモノマー及びその塩に対応し得る。
【0023】
上述のモノマーの記載においてより詳細な説明を与える前に、以下の定義を提示する。
【0024】
アルキル基は一般的に、上記及び下記において、1個〜20個の炭素原子を含む直鎖若しくは分岐状のアルキル基又は3個〜20個の炭素原子を含む環状アルキル基を意味する。例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、n−ドデカニル基、i−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基が言及され得る。
【0025】
アリール基は一般的に、上記及び下記において、6個〜20個の炭素原子を含むアリール基を意味する。例としては、ベンジル基、ナフチル基、ビフェニル基が言及され得る。
【0026】
アルキルアリール基は一般的に、上記及び下記において、上記で与えられたものと同じ定義を有するアリール基を意味し、上記基は上記で与えられたものと同一の定義を有する少なくとも1つのアルキル基で置換される。
【0027】
−O−アルキル基、−O−アリール基は、上記で与えられたものと同じ定義に従うアルキル基又はアリール基を意味し、アルキル基又はアリール基はこの場合、酸素原子を介してモノマーの別の部分と結合している。
【0028】
全フッ素置換基は水素原子が全てフッ素原子に置換されている基を意味する。
【0029】
1つ又は複数の酸素原子、窒素原子、硫黄原子及び/又はセレン原子を上記基(すなわち、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基)に挿入することができると定める場合、これは換言すると炭素原子が−O−基、−S−基、−N−基又は−Se−基に置き換えられることを意味する。
【0030】
エチレン基は、二重結合を介して結合した2つの炭素原子を含む炭素基(carbonaceous group)を意味し、この基はラジカル経路により重合可能である。特定のエチレン基はビニル基(CH
2=CH−)、(アルキル)アクリレート基、例えば、メタクリレート基である。
【0031】
アシル基は−CO−アルキル基(アルキル基は上記で与えられたものと同じ定義に従う)を意味する。
【0032】
塩はイオン構造の化合物を意味する。例えば、R’がOR
13(R
13は金属である)に相当する場合、金属炭酸塩が言及され得る。この場合では、金属は従来的には、一価の金属、例えば、Na、Kのようなアルカリ金属を意味する。
【0033】
金属元素は、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ランタニド、アクチニド、並びに、Al元素、Ga元素、Ge元素、In元素、Sn元素、Sb元素、Tl元素、Pb元素、Bi元素及びPo元素を意味する。
【0034】
特に、金属元素は有益には、イッテルビウム等のランタニドである。
【0035】
添字k、l、mは丸括弧内にある単位の反復数を表すと定め、この数は0〜20の範囲であり得る。
【0036】
特定のモノマーは、Rが式:
【化4】
の基であり、R
1及びR
2のうちの少なくとも1つが式:
【化5】
の基であり、R
3〜R
7、R’、l及びmは上記で説明されたものと同じ意味を有するが、但し常に、R
3〜R
7のうちの少なくとも1つはエチレン基を表す、モノマーであり得る。
【0037】
より具体的には、上記で与えられた規定に従うモノマーは、Rが式:
【化6】
の基であり、R
1が式:
【化7】
の基であり、R
2が水素原子であり、l及びm、R
3〜R
7及びR’は上記で与えられたものと同じ意味を有するが、R
3〜R
7のうちの少なくとも1つはエチレン基を表す、モノマーである。特にl及びmは1に等しい場合がある。
【0038】
このタイプの特定のモノマーは、以下の式(II):
【化8】
(式中、R
13は特に、H、アルカリ金属(Na、Kのような)等の金属、又はエチル基等のアルキル基を表す)に対応する。
【0039】
式(I)のモノマーの規定に従う別の群のモノマーは、Rが式:
【化9】
の基であり、R
1が式:
【化10】
の基であり、R
2が式:
【化11】
の基であり、l及びm、R
3〜R
7及びR’は上記で与えられたものと同じ意味を有するが、R
3〜R
7のうちの少なくとも1つはエチレン基を表す、モノマーに相当する。特にl及びmは1に等しい場合がある。
【0040】
このタイプの特定のモノマーは、以下の式(III):
【化12】
(式中、R
13は特に、H、例えば、Na、Kのようなアルカリ金属等の金属、又はエチル基等のアルキル基を表す)に対応する。
【0041】
本発明の方法に有益に使用することができる他のモノマーは、少なくとも2つの窒素原子を含む環状アミンを含むモノマーであり得る。
【0042】
このタイプの特定のモノマーは、以下の式(IV):
【化13】
(式中、R
14は以下の式の基から選択される基を表し:
【化14】
R’
1及びR’
2は独立してアルキル基、アリール基、又は以下の式の基を表し:
【化15】
R
11及びR
12は独立して、上記で与えられたR’
1及びR’
2と同じ規定に対応する基に相当し;
R’はOR
13又はアミン基であり;
R
3、R
4、R
5、R
6及びR
7は独立して、H、エチレン基、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基又はハロゲン原子を表し、該アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基が任意に全フッ素置換されており、1つ又は複数の酸素原子、窒素原子、硫黄原子及び/又はセレン原子を該基に挿入することができ(但しR
3、R
4、R
5、R
6、R
7のうちの少なくとも1つはエチレン基を表す);
R
8、R
9及びR
10は独立して、H、エチレン基、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基又はハロゲン原子を表し、該アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基が任意に全フッ素置換されており、1つ又は複数の酸素原子、窒素原子、硫黄原子及び/又はセレン原子を該基に挿入することができ;
R
15は以下の式の基を表し:
【化16】
(式中、R
3〜R
10は上記で規定されるとおりである)、
R
13は、H、金属、アルキル基、アリール基、アシル基又はアルキルアリール基を表し、該アルキル基、アリール基、アルキルアリール基が任意に全フッ素置換されており、1つ又は複数の酸素原子、硫黄原子及び/又はセレン原子を該基に挿入することができ;
R
16は式の基を表し:
【化17】
(式中、R’
1及びR’
2は上記で規定されるとおりである);
k、l、m、u、p、q、r、x及びwは0〜20の範囲の整数であり、vは1〜20の範囲の整数であるが、xが0に等しい場合、(r+q)は少なくとも2に等しく、xが1に等しい場合、p、q、rのうちの少なくとも1つは0とは異なる)に対応する。
【0043】
p、q、r、x、k、l、m、u、v及びwは丸括弧内(p、q、r、k、l、m、u、v及びwでは)又は角括弧内(xでは)にある単位の反復数に相当すると定める。
【0044】
有益には、目的のモノマーは、R
14が、以下の式の基を表し:
【化18】
R’
1及びR’
2のうちの少なくとも1つが、
【化19】
を表し、R
3〜R
7、R’、l及びmは上記で与えられたものと同じ規定に対応し、p、q、r及びxは有益には少なくとも1に等しいが、但し常に、R
3〜R
7のうちの少なくとも1つはエチレン基を表す、モノマーである。
【0045】
より具体的には、上記で与えられた規定に従うモノマーは、R
14が式:
【化20】
の基であり、R’
1及びR’
2が、式:
【化21】
の基を表し、R
3〜R
7、R’、l及びmは上記で与えられたものと同じ規定に対応し、p、q、r及びxは有益には少なくとも1に等しいが、但し常に、R
3〜R
7のうちの少なくとも1つはエチレン基を表す、モノマーである。特に、l及びmは1に等しい整数である場合があり、p、q、r及びxは2に等しい整数である場合がある。
【0046】
上記の規定に対応する特定のモノマーは、以下の式(V):
【化22】
(式中、R
13が特に、H、エチル基等のアルキル基又は金属を表す)に対応するモノマーである。
【0047】
このようにして、式(V)のモノマーでは、R
14は式:
【化23】
の基に相当し、R’
1及びR’
2は式−CH
2−COOR
13の基に相当し、p、q、r及びxは2に等しい整数である。
【0048】
上記で与えられた規定に従う他のモノマーは、R
14、R’
1及びR’
2が、以下の式:
【化24】
に対応し、R
3〜R
7、lは上記で与えられたものと同じ規定に対応し、p、q、r及びxは少なくとも有益には少なくとも1に等しいが、但し常に、R
3〜R
7のうちの少なくとも1つはエチレン基を表す、モノマーである。特に、lは1に等しい整数である場合があり、p、q、r及びxは2に等しい整数である場合がある。
【0049】
上記で与えられた規定に対応する特定のモノマーは、以下の式:
【化25】
に対応するモノマーである。
【0050】
有益には、R
14は式:
【化26】
の基を表していてもよく、R’
1及びR’
2のうちの少なくとも1つが、
【化27】
を表し、R
15、R
16、R’、m、u及びvは上記で与えられたものと同じ規定に対応し、p、q、r及びxは有益には少なくとも1に等しい。
【0051】
R
14が式:
【化28】
の基に相当する場合、モノマーは以下の一般式:
【化29】
により表され得ると定める。
【0052】
上記で与えられた規定に従う特定のモノマーの基は、R
15が、式:
【化30】
(式中、l及びR
3〜R
7は上記で与えられたものと同じ規定に対応するが、R
3〜R
7のうちの少なくとも1つがエチレン基を表す)の基に相当し、R’
1基及びR’
2基は式:
【化31】
(式中、m及びR’は上記で与えられたものと同じ規定に対応する)の基を表し、p、q、r及びxは有益には少なくとも1に等しい、モノマーに相当する。特にp、q、r、x、u、v及びwは例えば、2に等しい整数を表す。
【0053】
これまでの規定に従う特定のモノマーは、以下の式(VI):
【化32】
(式中、R
13は特に、H、金属、又は、エチル基等のアルキル基を表す)及びそれらの任意の塩に対応する。
【0054】
このため式(VI)のこのモノマーでは、R
15は式:
【化33】
の基を表し、R’
1及びR’
2は式−CH
2−−COOR
13の基に相当し、p、q、r、x、u、v及びwは2に等しい整数である。
【0055】
最後に、使用することができる他のモノマーは、以下の式:
【化34】
に対応するビニルイミダゾールモノマー等の少なくとも1つの複素環芳香族基を含むエチレンモノマーであり得る。
【0056】
上述のモノマーに加えて、有機相は、一般的に上述のモノマーとは異なる1つ又は複数のコモノマーを含むことができる。
【0057】
これらのコモノマーは、スチレンモノマー又はアクリレートモノマーから選択することができる。
【0058】
有益にはコモノマーは、少なくとも2つのエチレン基を含み、そのことにより架橋剤の役割を確実なものにする。それにより得られた材料は良好な機械強度を有する。
【0059】
使用することができるコモノマーは、以下の式(VII)のスチレンモノマーであり得る:
【化35】
(式中、(6−n)個のR
17は、同一であるか又は異なり、水素原子、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基又はハロゲン原子を表し、該アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基は任意に全フッ素置換されており、nは1〜3の範囲の整数であり、好ましくはnは2に等しい)。
【0060】
特に、好適なコモノマーはジビニルベンゼン、特に1,4−ジビニルベンゼンであり得る。
【0061】
使用することができるコモノマーは、以下の式(VIII)のアクリル酸化合物でもあり得る:
【化36】
(式中、R
18はアルキル基を表し、R
19はH又はアルキル基を表し、nは1〜3の範囲の整数である)。
【0062】
特に、このタイプの好適なコモノマーは、以下の式:
【化37】
のトリメチロールプロパントリアクリレート(頭文字を取ってTMPTAとして知られる)であり得る。
【0063】
加えて、有機相は従来、過酸化物化合物、アゾニトリル(例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(頭文字を取ってAiBNとして知られる)、2,2’−アゾジ(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)(V70とも称される))、アゾエステル、アゾアミドから選択されるラジカル開始剤等の少なくとも1つの重合開始剤を含む。
【0064】
開始剤を様々な量で、例えば、利用されるモノマーの総質量に基づき0重量%〜50重量%の範囲であり得る量で重合媒体に導入することができる。
【0065】
有機相は、極性であり得るポロゲン溶媒(porogenic solvent)、非極性有機溶媒を更に含むことができ、エーテル溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)、ジメチルスルホキシド、フタル酸溶媒(例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル)、アルコール溶媒(例えば、メタノール、エタノール)、芳香族溶媒(例えば、トルエン、フルオロベンゼン)、ケトン溶媒から選択することができる。
【0066】
最後に、有機相は、1つ又は複数の界面活性剤、例えば、第4級アンモニウム、リン脂質、SPAN 80(登録商標)を含むことができる。
【0067】
特に、工程a)は、上述の式(III)のモノマー、ジビニルベンゼン及びスチレンの存在下で適用することができる。
【0068】
特定の実施の形態によれば、工程a)を、
少なくとも1つの金属元素の少なくとも1つのキレート配位子を含む少なくとも1つのエチレンモノマーと、少なくとも1つの重合開始剤とを含む有機相中での第1の水相W
1の封入により有機相を有する液体ビーズ又は液体球を形成すること、
そのようにして形成された球又はそのようにして形成されたビーズを第2の水相W
2中で乳化すること、
有機相の構成モノマー(複数の場合もあり)を重合して、これによりポリマー球又はポリマービーズを得ること、
の一連の操作により適用することができる。
【0069】
実際には、液体球又は液体ビーズは、注入システムの排出口で形成することができる。液体球の形成に関して、注入システムは有機相を供給するためのキャピラリー形態の第1の注入口と、水相W
1を供給するためのキャピラリー形態の第2の注入口とを備えることができ、これらのキャピラリーはともに排出口の開口部で接続され、そこで液体球が形成される。
【0070】
次いで、そのようにして形成された球又はそのようにして形成された液体ビーズを第2の水相W
2により注入システムの排出口の開口部に「集め(picked up)」、ここでは上記球又は上記ビーズは上述のような懸濁工程により規定されるようにエマルションとして見出される。
【0071】
形成された液体球の良好な同心度を確保するために、有機相の密度は水相W
1の密度よりも大きいのが好ましい。
【0072】
さらに、形成工程中に形成された球又は形成されたビーズに水相W
2を接触させることにより形成されたエマルションの強度を確保するために、水相W
2の密度は形成工程中に形成された球又は形成されたビーズの見掛けの密度、すなわち球を作製する場合の有機相及び水相W
1により形成された全体の密度よりも大きいことが好ましい。例えば、水相W
2の密度は形成された球の見掛けの密度より最大で1%大きい。
【0073】
そのため、水相W
2、有機相、及び球を形成する場合には、水相W
1の構成要素、並びにそれらのそれぞれの割合を選択する。
【0074】
有機相は工程a)の記載に関して上記で与えられたものと同じ規定を対応することが理解される。
【0075】
上述の有機相に存在するモノマーの重合工程は、40℃〜100℃の範囲の温度に加熱することにより実現することができる。
【0076】
重合が行われたら、工程b)に供する前に、形成された球又は形成されたビーズをろ過により単離することができる。
【0077】
重合前、及び重合の適用中に金属元素の少なくとも1つのキレート配位子を含むモノマー(複数の場合もあり)を、上記モノマーを有機相に可溶性にする機能を有し得る保護基で保護することができる。この場合、工程b)の適用を進める前に、工程b)で配位子が機能するように、配位子の脱保護を進める必要がある。この脱保護工程は、重合した球又は重合したビーズを、化学的脱保護試薬と接触させること、又は更にはそれに物理的刺激、例えば、放射線照射(保護基がかかる放射線照射により開裂可能である場合)をかけることからなり得る。
【0078】
該方法の工程b)は、そのようにして重合した球又はそのようにして重合したビーズを、金属元素の塩又は錯体として現れ得る少なくとも1つの金属元素を含む溶液に接触させることからなる。
【0079】
該溶液は、球若しくはビーズの壁を構成するポリマー材料と錯体形成する金属元素の塩又は金属錯体が可溶化している有機溶媒又は有機溶媒の混合物であり得る。
【0080】
金属元素の金属塩又は錯体の例としては、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、ヨウ素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、亜硫酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、シアニド、アジド、ヒドロキシル、塩素酸塩、過塩素酸塩、酢酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩、アルコキシド、アセチルアセトネート、シクロペンタジエニル、金属アルキニドが言及され得る。
【0081】
実用上の観点から、接触工程b)は重合した球又は重合したビーズを含浸させるのに及び金属元素がこれらの球又はビーズを構成するポリマー材料と錯体形成するのに適した時間、金属元素の塩又は錯体を含む溶液に、重合した球又は重合したビーズを浸漬させることからなり得る。
【0082】
この工程b)の後、本発明の方法は、金属元素の塩又は錯体を含む、球の中心腔に又はビーズの細孔に残った溶液を取り除くように、このようしてドープされた球又はこのようしてドープされたビーズを洗浄する工程を含み得る。この洗浄工程は、ドープされた球又はドープされたビーズを溶媒に接触させ、その溶媒を金属元素の塩又は錯体を含む溶媒と交換させることからなり得る。この洗浄工程は1回又は数回繰り返すことができる。
【0083】
洗浄工程が球の壁に又はビーズに存在する金属元素の漏出を伴う従来技術の実施の形態とは異なり、本発明の方法で作製される球の壁又は本発明の方法で作製されるビーズの構成ポリマー材料と錯体形成する金属元素は、これらの元素が強い結合:配位結合又はイオン結合を介して材料上に結合するため、この工程によっては影響を受けない。
【0084】
最後に、該方法は工程b)及び任意の洗浄工程後に、ドープされた球又はドープされたビーズを乾燥させる工程を含み得る。この乾燥工程は、上記球又は上記ビーズを凍結乾燥させること、又は超臨界二酸化炭素CO
2により乾燥させることからなり得る。
【0085】
本発明の方法は、以下を備える、これまでに規定されたような方法を適用するために特別に設計された装置で適用することができる:
該装置に有機相及び任意で水相W
1を供給するための1つ又は幾つかの注入口と、液体球又は液体ビーズを形成するための排出口の開口部とを備える注入システム、
水相W
2を供給するための1つ又は幾つかの注入口と、この水相W
2中での液体球又は液体ビーズの懸濁により得られるエマルションをチャンバーの外に排出させるための排出口とを備える、注入システムの排出口の開口部が収容された閉塞チャンバー、
形成されたエマルションを上記閉塞チャンバーで受けるための手段。
【0086】
本発明の方法により形成された球又はビーズは、ポリマー発泡体の物体の形態の外観を有しており、該球又は該ポリマーは10mg/cm
3〜250mg/cm
3の範囲の比重を有することがあり、慣性閉じ込め実験を行うための標的又は標的元素を形成するのに使用することができる。
【0087】
これより本発明は本発明による方法の例示的な実施形態を鑑みて説明し、この実施例は本発明の例示として与えられ、それを限定するものでは決してない。