(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5781161
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】電気接続端子の生産方法
(51)【国際特許分類】
H01R 43/16 20060101AFI20150827BHJP
H01R 4/18 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
H01R43/16
H01R4/18 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-525229(P2013-525229)
(86)(22)【出願日】2011年8月9日
(65)【公表番号】特表2013-538423(P2013-538423A)
(43)【公表日】2013年10月10日
(86)【国際出願番号】EP2011063683
(87)【国際公開番号】WO2012025372
(87)【国際公開日】20120301
【審査請求日】2014年7月22日
(31)【優先権主張番号】102010039655.9
(32)【優先日】2010年8月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】タイコ エレクトロニクス アンプ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハウツンク
(74)【代理人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(72)【発明者】
【氏名】シュミット ヘルゲ
(72)【発明者】
【氏名】ブリューメル ウヴェ
(72)【発明者】
【氏名】ブラント ヨッヘン
【審査官】
楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第7210958(US,B1)
【文献】
米国特許第3293355(US,A)
【文献】
米国特許第3522577(US,A)
【文献】
実公昭43−026841(JP,Y1)
【文献】
特開昭50−043490(JP,A)
【文献】
特開昭51−054279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/16
H01R 4/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気接続端子(100)の生産方法であって、
導電体構造(500)に切り込むために、複数の鋸歯状構造(131,132,133,134,135,136,137,138)を含む鋸歯状配置(130)が前記電気接続端子の導電体サイド(110)に形成され、
前記鋸歯状配置は、エンボス工程において鋭利な傾斜形状輪郭が形成され、
別のエンボス工程が、前記鋸歯状構造における付加的な鋭利な突条を形成するために、鋸歯状構造の少なくとも一部が鋭利な縁のナイフ状構造(241,242,243,244,245,246,247,248)によって切り出されるようにさらに実行される電気接続端子の生産方法。
【請求項2】
非対称な材料の盛りが前記エンボス工程において前記個別の鋸歯状構造上において生産され、
前記材料の盛りが前記鋸歯状配置の前記鋭利な傾斜形状輪郭を形成することを特徴とする請求項1記載の電気接続端子の生産方法。
【請求項3】
前記エンボス工程は、複数の非対称のエンボス構造(231,232,233,234,235,236,237,238,239)を含む複数のエンボス手段(230)の補助とともに行われ、
前記エンボス手段により、大量の非対称な材料の鋸歯状構造(131,132,133,134,135,136,137,138)を生じる導電体(501)の挿入方向への材料の横方向の流れを前記接続端子の前記導電体サイドにもたらせることを特徴とする請求項1または2記載の電気接続端子の生産方法。
【請求項4】
前記電気接続端子が打ち抜き加工において金属シート(101)が切り出され、
前記エンボス工程が前記打ち抜き加工と一体化されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の電気接続端子の生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜形状の鋭利な輪郭を備える鋸歯状配置を備える電気接続端
子の生産方法に関する。
【0002】
導電体は、対応するコンタクトの相手との導電体の接触を許容する接続ピースと自由端において接続されることが多い。とりわけ導電体構造への無はんだ接続を可能とする接続端子が用いられる。これらの端子は、圧着接続端子としても公知であり、典型的には金属シートから打ち抜き加工によって製造される。そのような場合において、接続端子の導電体サイドは、前記導電体の周りに曲げられる少なくとも1つのタブを備え、その後、機械的および/または電気的接続の目的のために圧着される。薄いエナメル層や寄生酸化層などの絶縁層でコーティングされる導電体構造の場合において、妨害絶縁層は、接続端子と導電体構造との間において十分な電気接触を生じさせるために、除去または壊される必要がある。導電体と接触する表面が特別に鋭利な縁の鋸歯状構造である接続端子が、このために用いられる。接続端子の圧着において、寄生絶縁層は、金属導電体に切り込まれる鋸歯状構造によって破壊される。適切な圧着によって、良好な延伸や関係材料の関連摩耗が許容され、そして良好な電気接触を達成する。転移抵抗は、特に、小さな断面部を備えたアルミニウム導電体および硬銅導電体のために、耐用期間に亘っての長期安定性を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、鋭利な縁の鋸歯を用いることは、導電体断面部が鋸歯状構造の切り込みによって関係する場所で減少するので、関連の導電体の望まれない機械的弱さとなることもある。この効果は、アルミニウムなどの脆性材料から形成された導電体の場合において、特に害を示す。さらに、そのような接続端子を用いることは、複数の細い撚り線(strand)から構成される導電体の場合、好ましくない場合もある。この場合において、鋭利な縁の鋸歯が個別の導電体の撚り線を切断する可能性がある。
【0004】
従来の接続端子は、典型的には、打ち抜き加工によって生産され、その後の”プラウイング(ploughing)”工程における鋸歯は、打ち抜き加工部の外側で生産される。この工程において、対称的な材料の盛りで溝状の構造を生産するために、複数のナイフ形状である互いに隣接した配置の”プラウイング”構造は、ケーブルの挿入方向に対して接続端子の導電体接触表面を横切って引かれている。
【0005】
この従来技術を鑑みて、接続端子と導電体との間の十分な電気的接続と十分な機械的接続の両方を可能とし、さらに低コスト生産可能な電気接続端子を提供することが本発明の目的である。
本目的は、請求項1記載
の電気接続端子の製造方法によって達成される
。さらに、本発明の好適な実施形態が、従属項によって示される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明において、電気接続端子の生産方法は、導電体構造に切り込むために、複数の鋸歯状構造を含む鋸歯状配置を電気接続端子の導電体サイドに形成することで提供される。この場合において、前記鋸歯状配置は、鋭利な傾斜形状輪郭をエンボス工程において形成される。エンボス工程を用いるために、対応する導電体構造に切り込むための鋭利な縁構造として用いることができる材料の盛りを特に容易に生産可能である。傾斜形状において増加する鋸歯状構造の鋭利さによって、前記鋸歯状構造が導電体前部よりも前記導電体構造の端部において、より容易かつより深く切り込み可能となるので、前記端子と前記導電体構造との間の接続を改善できる。
鋸歯状構造における付加的な鋭利な突条を形成するために、別のエンボス工程において、鋸歯状構造の少なくとも一部が鋭利な縁のナイフ状構造に切り出されるように実行されるために形成される。鋸歯状構造の分割および鋭利な突条の付着形態のために、付加的で相対的な変形が圧着においてより容易に達成され、接触安定性が向上する。
【0009】
一実施形態において、エンボス工程において個別の鋸歯状構造において生産されるために、非対称な材料の盛り用に形成され、この材料の盛りが前記鋸歯状配置の前記鋭利な傾斜形状を形成することが提供される。大量の非対称な材料の補助により、特に鋭利な縁が形成可能であり、対応する導電体構造に切り込むことに機能する。
【0010】
別の実施形態において、複数の非対称のエンボス構造を含む複数の非対称なエンボス手段の補助とともに行うエンボス工程用に形成されることが提供される。これは、接続端子の導電体サイドにおける大量の非対称な材料の鋸歯状構造(131,132,133,134,135,136,137,138)を生じる導電体の挿入方向への材料の横方向の流れをもたらすことを意味する。それゆえに、所望の鋸歯状傾斜輪郭を特に簡単な方法で達成可能である。
【0011】
別の実施形態は、電気接続端子(100)が打ち抜き加工において金属シート(101)が切り出され、エンボス工程が前記打ち抜き加工と一体化されることを提供する。それゆえに接続端子の生産はかなり容易とすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、打ち抜き金型と打ち抜きベースとの間に配置された金属シートを備える本発明の装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、エンボス加工で形成される鋸歯状構造を備えた完成した打ち抜き部品を示す図である。
【
図3】
図3は、金型と打ち抜きベースとの間に配置された金属シートを備えた、打ち抜き手段とエンボス手段を含む本発明の電気接続端子の生産装置を示す図である。
【
図4】
図4は、打ち抜き作業の際の
図3の生産装置を示す図である。
【
図5】
図5は、完成した打ち抜き部品を備えた
図3および
図4の生産装置を示す図である。
【
図6】
図6は、鋸歯状構造が部品上に形成されるエンボス作業の際における
図3ないし
図5の生産装置を示す図である。
【
図7】
図7は、完成した打ち抜き部品を備えた
図3ないし
図6の生産装置を示す図である。
【
図8】
図8は、複数のフカヒレ形状の鋸歯状構造を備えたエンボス手段を示す図である。
【
図9】
図9は、エンボス作業の際の
図8のエンボス手段を示す図である。
【
図10】
図10は、エンボス作業によって形成された複数の鋸歯状構造を備えた完成した部品を示す図である。
【
図12】
図12は、鏡面対称に配置された複数の鋸歯状構造を形成するための本発明のエンボス方法の一形態を示す図である。
【
図13】
図13は、鏡面対称に配置された複数の鋸歯状構造および中央平坦部を形成するための本発明のエンボス方法の別の一形態を示す図である。
【
図14】
図14は、付加的な突条が複数のナイフ状構造を含む第二エンボス金型によって鋸歯状構造上に形成される別のエンボス工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、添付の図面を参照して以下に説明される。
【0020】
本発明の接続端子の生産方法は、以下の
図1および2に説明される。この説明のため、
図1は、組み合わされた打ち抜き工程とエンボス工程の初期状態を示す。ここで、ブランクとして機能する金属シート101が、打ち抜き手段として機能する打ち抜き金型210と切り出しベースとして機能する金型プレート220との間に配置されている。生産される部品の形状は、打ち抜き金型210内の雌型(negative impression)211として形成される。対照的に、切り出しベース220は、生産される部材の雄型の形態を有する。この結果、打ち抜き金型210の下側で金属シート101が、互いに相補的である打ち抜き金型210内に形成された抜き型211および切り出しベース220の切り出し縁に沿って切り出されることが可能である。
【0021】
本発明において、
図1に示された装置200は、エンボス手段230をさらに備えている。エンボス手段230は、ここでは、打ち抜き金型210内に一体形成されたもの、すなわちエンボス金型が打ち抜き手段210の開口領域213に係合しているものであってもよい。この場合において、エンボス金型230は、溝形状の鋸歯状配置の形態である複数のエンボス構造231を含む。このことは、
図1にのみ示されている。
【0022】
打ち抜き金型210においてエンボス金型230が一体化されるため、所望の鋸歯状構造のエンボス加工を、接続端子100がブランクとして機能する金属シート101から切り出された後すぐに、行うことが可能である。エンボス工程は、原理的に打ち抜き加工前にも行うことが可能である。
【0023】
アプリケーションに依存するが、打ち抜き手段210から間隙により分離して配置されるエンボス手段としてエンボス金型230を形成することが好適である場合がある。図示していないが、この場合において、ブランク101が打ち抜き加工後に打ち抜き手段210からエンボス金型230まで(またはその逆に)搬送される。
【0024】
図2は、所望の鋸歯状配置130を具備する完成され切り出された接続端子100を示す図である。本実施形態における接続端子100は、導電体サイド110および接触サイド導電体部120を含み、本実施形態においては、磁極片として形成される。2つの部分110,120は、共通の橋梁部を介して互いに接続されている。
【0025】
導電体サイド110は、本発明においては互いに隣接している溝形状の鋸歯状構造から構成される所望の鋸歯状配置130を備える。この場合における鋸歯状構造は、接続端子100の対称軸と平行に延伸する導電体501の挿入方向に対して横方向に延伸している。ここでの鋸歯状構造131ないし139は、接続端子100の導電体サイド110の全幅をほぼ横切って延伸しているが、アプリケーションに依存して、サイド110の幅の一部のみの延伸している鋸歯状構造であっても可能である。さらに、複数の鋸歯状配置を導電体サイド110に互いに隣接して配置してもよい。
【0026】
簡易な接続端子100のための打ち抜き加工およびエンボス加工が
図1および2を参照して説明された。アプリケーションに依存するが、接続端子および個別の部分の形態は変化させてもよい。接続端子の生産が通常のケースと同じく大量生産工程で行うのであれば、金属シートの個別部分ではなく、ブランクとして用いられるストリップ形状の金属シートである。その後、打ち抜き加工を連続工程で行い、切り出されたワークピースが取り扱うのにより好適な薄い橋梁部によって互いに接続される。打ち抜き工程において、導電体サイド110は、別の工程(特に圧着)を容易にするために、既に予め曲げられていてもよい。打ち抜き金型210および切り出しベース220は、この目的に対応するように予め形成される。各アプリケーションに応じて、雌型打ち抜き手段(negative punching means)が用いられ、打ち抜き金型は生産される部品の形状を備え、切り出しベースは雌型として機能してもよい。さらに、打ち抜き手段はローラ形状であり、打ち抜き金型および切り出しベースは2つの互いに逆回転するローラ上に配置されている。このことは、連続打ち抜き工程や連続エンボス工程を可能にする。
【0027】
図3ないし
図5において、打ち抜き作業およびエンボス作業は、図式的に簡易化された断面図において示される。ここで、
図3は、ブランクとして機能する金属シートピース101が、一体化されたエンボス金型230を備えた打ち抜き金型210として機能する上部ツール部と切り出しベースとして機能する下部ツール部との間に配置されている初期状態を示している。本実施形態において、エンボス金型230は、複数の鋸歯状のエンボス構造231を示すが、これは単にわかりやすさのために示したに過ぎない。溝形状で延伸するエンボス構造231は、本発明の複数の非対称側部を備えた鋸歯状断面輪郭を備える。左側側部は、各々が少なくとも一部領域においてほぼ垂直に延伸する。以下の方法、工程において、所望の部品が金属シート101から切り出され、その後、所望の鋸歯状構造が金属シート101の導電体接触表面102にエンボス加工される。矢印によって
図4に示されるように、この目的のために打ち抜き金型210が金型プレート220の方向に移動される。これによって、金型プレート220の輪郭を金属シートへ転移させる。金型210および切り出しベース220の相補的形成のために、打ち出しナイフとして機能する金型210の横部分211は、切り出しベース220の外郭に沿ってスライドし、余分な金属シート103を運び出す。
【0028】
打ち抜き加工が一旦行われると、打ち抜き金型210が上方へ案内され(
図5)、次いで、エンボス工程が実施される。そのような工程において、エンボス金型230は、エンボス作業の際のエンボス構造が打ち抜かれた接続端子100の接触表面102へプレスされることが可能となるように、ブランク101上に下げられる。鋸歯状形状のエンボス構造231の非対称的な構成のために、2つの側部は異なる傾きの角度を有し、機械加工されたワークピース101の材料は、2つの側部によって変位度合いが異なるように配置される。
図6に示されるように、歯の平坦な右側側部は、材料を効率的に右側へ押すが、歯の垂直な左側側部がワークピースにおいて材料のいかなる実質的な変位を起こさせないことが好適である。効率的に形態が生じる導電体501の挿入方向への材料104の流れのために、材料は、エンボス構造の急峻な左側側部に対して効率的にプレスされ、この側部上に上げられる。このように、生産された材料の盛りは、鋭利な縁の突条を形成し、その高さまたは鋭利さは、ワークピース100において矢印によって表わされた材料104の流れのために左から右に増加する。
【0029】
エンボス加工が一旦行われると、完成した部品100を解放するために、エンボス金型230が再度上昇する。
図7に示されるように、ここでは部品100は、左から右に鋭利な形状度が増加する、より鋭利な縁の鋸歯状構造を備えた所望の歯130を備える。
【0030】
エンボス構造の物理的形態は、アプリケーションに応じて変化してもよい。それゆえに、例えばフカヒレ形状のエンボス構造を備えたエンボス手段をさらに用いることができる。
図8は、金型210の一部としてのエンボス手段230の断面図である。ここに示されるように、フカヒレ形状のエンボス構造231ないし239も、好適にはほぼ垂直な左側側部を備える。他方で、エンボス構造231ないし239の右側側部は、典型的にはS字形状に形成される。より大きな体積変位のために、フカヒレ形状のエンボス構造を用いることは、
図3ないし
図5に示される楔形状のエンボス構造の補助を用いた場合よりも、材料のより多くの流れがワークピース内に導入可能であることを意味する。これは、側部の輪郭を変えることによって材料の流れを各アプリケーションに適用する可能性を広げることになる。
【0031】
図9に示されるように、右側へ向けられる材料の流れは、ワークピース100へエンボス構造231ないし239をプレスする際にもたらされるものである。これによって、材料を間隙において歯の急峻な側部上に上げさせる。ワークピース100内において矢印104で示される材料の流れのために、エンボス工程が一旦終わると、ワークピース100の左側よりも右側においてより材料の盛りがあることになり、これは材料の盛りが左側よりも右側の方がより高いことを意味することになる。
【0032】
図10に示されるように、より高い右側の材料の盛りは、材料がここではより高く上げられるので、関連する鋸歯状構造のより鋭角すなわち鋭利な輪郭をもたらすことになる。それゆえ、鋸歯状構造131ないし138の鋭利さが達成され、ゆえに、鋸歯状配置130の鋭利な輪郭が左から右に傾斜形状において増加することとなる。導電体構造と共にこのように構成される接続端子の圧着において、導電体インプットサイド上の鋸歯状構造131ないし134は、比較的僅かだけ導電体コアを貫通するので、この点における導電体構造を過度に機械的に脆弱ではないようにすることができる。それゆえに、導電体インプットサイド上の鋸歯状構造131ないし134は、接続端子100内に導電体構造の機械的締結に主に貢献し、接続端子100と導電体構造500の間の十分な電気接触を生じることには余り寄与しない。他方で、接触サイドの鋸歯状構造135ないし138は、比較的高い材料の盛りと関連する鋭利な縁の突条によって、導電体構造500内をさらに貫通し、特に接続端子100と導電体構造500との間の良好な電気接続を得ることができることを意味することになる。
【0033】
特定の接続端子100の作業モードを明らかにするために、
図11は、導電体構造500と係合される鋸歯状配置130を示す。この場合において、導電体構造500の元来の経路が破線によって示される。ここに示されるように、鋸歯状構造131ないし138の関連する導電体構造500への貫通深さは、材料の盛りの異なる高さのために、左から右へ増加していく。この場合において、導電体構造の材料特性に依存して、端子を圧着する際に、幾分多くの量の導電体材料が鋸歯状構造131ないし138内の間隙内へ流れる場合がある。特に軟性材料に場合において、間隙を実質的に完全に満たしてしまうことが起こりうる。
【0034】
アプリケーションに依存して、複数の鋸歯状配置も形成されもよい。とりわけ、2つの鋸歯状配置の鋸歯状構造が互いに鏡面対称に配置されてもよい。
図12は、互いに鏡面対称である2つの鋸歯状配置が形成されるエンボス作業を示す。他方で、
図13の実施形態において、互いに鏡面対称である鋸歯状配置間に平坦領域が対応して形成されたエンボス金型230によってさらに形成される。
【0035】
可能な限り多くの鋭利な縁構造は、接続端子と導電体構造の間の良好な電気接触を生むために好適であるので、鋭利な縁の突条は、個別の鋸歯状構造を分断することによって増加させることができる。このことは、例えば複数の鋭利部を具備するエンボス金型240による第二エンボス作業(楔形状ブレード241ないし248がその前に形成された鋸歯131ないし138にプレスされる)によってなされる。その状況が
図14に示される。
【0036】
本発明の鋸歯状構造のエンボス加工は、打ち抜きツール200内のエンボス金型230の特定形態によって達成される。所望の材料の盛りにとって1つの重要な必要条件は、一方において、エンボス作業/エンボス除去作業によって、材料の多くの変位が十分に構成され、材料の横方向の流れが鋸歯状構造をもたらすことになることである。他方では、少なくとも一サイドにおける鋸歯状構造が特に大きな垂直で、横方向に流れる材料を上げることができる側部を備えるならば好適である。傾斜形状において鋭利さが増大する非対称の突条は、エンボス金型の側部の周期的な鋸歯状またはフカヒレ形状を備えた垂直な側部上において特によく得ることができる。これらは、一番大きな圧縮領域での圧着の場合に配置されるべきである。
【0037】
図面と関連して上述された実施形態は、本発明の単に例示的な実施形態に過ぎない。この場合において、アプリケーションに依存して、これに関連して記載された全ての特徴は、単独と互いの組み合わせの両方で、本発明を実現するものであってもよい。また、本発明は、記載された本実施形態に限定されることを意図するものではない。それどころか、本発明の技術的範囲内であれば、各アプリケーションの必要条件に最適化される接続端子と導電体構造の間の電気接続および/または機械接続を可能にするために、個別の鋸歯状構造の数、配置および寸法を変化させることができる。
【符号の説明】
【0038】
100・・・電気接続端子
101・・・金属シート
104・・・材料
110・・・導電体サイド
130・・・鋸歯状配置
131,132,133,134,135,136,137,138・・・鋸歯状構造
200・・・装置
210・・・打ち抜き手段
220・・・打ち抜きベース
230・・・エンボス手段
231,232,233,234,235,236,237,238,239・・・エンボス構造
241,242,243,244,245,246,247,248・・・鋭利な縁のナイフ状構造
500・・・導電体構造
501・・・導電体