【課題を解決するための手段】
【0010】
このために、少なくとも1つの第1の基材および少なくとも1つの接着界面を用いて第1の基材に付着された少なくとも1つの第2の基材によって画成される少なくとも1つのキャビティを備え、キャビティ内に一部は配置される少なくとも1つのゲッタ材料の少なくとも1つの部分も接着界面の少なくとも一部を形成する、構造が提案される。
【0011】
少なくとも1つの第1の基材および少なくとも1つの接着界面を用いて第1の基材に付着された少なくとも1つの第2の基材によって画成される少なくとも1つのキャビティを備え、少なくとも1つのゲッタ材料の少なくとも1つの第1の部分の第1の一部は、接着界面の一部を形成し、ゲッタ材料の第1の部分の第2の一部は、キャビティ内に配置され、ゲッタ材料の第1の部分は第1の基材または第2の基材に接触する(placed against)ように配置され、接着界面はゲッタ材料の第1の部分の第1の一部に熱圧着された少なくとも1つのゲッタ材料の第2の部分の少なくとも一部をさらに含み、ゲッタ材料の前記第2の部分はゲッタ材料の第1の部分が第1の基材に接触するように配置されるときに第2の基材に接触するように配置されるか、またはゲッタ材料の第1の部分が第2の基材に接触するように配置されるときに第1の基材に接触するように配置される、構造も提案される。
【0012】
したがって、ゲッタ材料の同じ部分は、接着界面の一部を形成するとともに、キャビティ内にガス吸収および/または吸着ゲッタを形成する。また、ゲッタ材料のこの部分が、キャビティの周辺に配置されたときに、広いゲッタ表面はすべてさらに容易に到達しやすくなる。封止ビーズを含む構造に対して、キャビティの内側に露出されているゲッタ材料の表面のサイズ設定により、キャビティ内に広がる終圧を制御する。
【0013】
接着界面を形成するゲッタ材料の2つの部分が互いに熱圧着されているとすると、その結果、接着界面は、ゲッタ材料同士が相互拡散を受けたことで形成される。
【0014】
少なくとも1つの第1の基材および少なくとも1つの接着界面を用いて基材に付着された少なくとも1つのカバーによって画成される少なくとも1つの気密封止されている(hermetically sealed)キャビティを備え、キャビティ内に一部は配置される少なくとも1つのゲッタ材料の少なくとも1つの部分も接着界面の少なくとも一部を形成する、構造も提案される。
【0015】
第2の基材は、カバーを形成することができる。
【0016】
キャビティは、気密封止することができる。
【0017】
ゲッタ材料の第1の、および/または第2の部分は、薄層であってよい、つまり、約2μm未満の厚さを有するものとしてよい。
【0018】
接着界面は、酸化物および/または窒化物および/またはガラスからなる第1の基材、および/または酸化物および/または窒化物および/またはガラスからなる第2の基材の一部分をさらに備えることができる。
【0019】
したがって、接着界面は、ゲッタ材料の一部分を含み、この部分は
-同じタイプの、または異なるゲッタ材料の他の部分と接触し、
-例えば酸化および/または窒化および/またはガラス系の(第1の基材および/または第2の基材の)表面と接触する。
【0020】
ゲッタ材料の第1の部分と呼ばれる、ゲッタ材料の部分は、第1の基材または第2の基材と接触するように配置することができ、接着界面はゲッタ材料の第1の部分の少なくとも一部と接触するように配置されている少なくとも1つのゲッタ材料の第2の部分の少なくとも一部も含むことができ、ゲッタ材料の前記第2の部分はゲッタ材料の第1の部分が第1の基材と接触するように配置されるときに第2の基材と接触するように配置されるか、またはゲッタ材料の第1の部分が第2の基材と接触するように配置されるときに第1の基材と接触するように配置されうる。
【0021】
第1の基材と第2の基材との間の封止、例えば気密封止は、ゲッタ材料、例えば金属材料の2つの部分の間になされる接続、例えば熱圧着によって得ることができ、したがって、キャビティ内にもたらされる雰囲気が長時間にわたることを確実にするかなりの気密性を有することができる。互いに付着しているゲッタ材料のこれらの部分は、好ましくは両方とも、薄層、例えば、約100nmから数百ナノメートルまでの範囲の厚さの層として形成することができ、ゲッタの粒の厚さおよび/またはサイズが減少するのでますます小さい粗さを有する。
【0022】
ゲッタ材料の第1の部分および第2の部分のゲッタ材料は、異なる熱活性化温度を有していてもよい。この場合、ゲッタ材料の第1の部分の熱活性化温度は、ゲッタ材料の第2の部分の熱活性化温度よりも低い場合がある。したがって、2つの異なる温度で熱的に活性化するゲッタ材料の2つの部分は、これらの部分が類似の熱活性化温度を有するゲッタ材料からなる場合に比べて構造のキャビティ内においてより高い真空度に到達する。次いで、実際、キャビティの内側に置かれているゲッタの第1の部分の一部は、その活性化のために必要以上に大きな熱収支に曝されることになり、その結果、前記層の飽和が生じ、したがって、反対の場合と比べてより高い真空度を生じる可能性がある。
【0023】
構造は、第1の基材と接触するように、および/または第1の基材内に配置されている少なくとも1つの第1の電気接点、および第2の基材に接触するように、および/または第2の基材内に配置されている少なくとも1つの第2の電気接点をさらに備え、第1の電気接点および第2の電気接点は少なくとも接着界面を形成するゲッタ材料の第1の部分および第2の部分の一部を使って電気的に一緒に接続することができる。接着界面を形成するゲッタ材料の部分は、したがって、構造を横切る形で形成される電気接点を電気的に結合する電気的接続部も形成する。
【0024】
構造は、キャビティ内に配置されたデバイスをさらに含むことができる。このようにして、構造は、このデバイスのカプセル封入構造を形成する。
【0025】
構造は、キャビティ内に配置される、例えば第2の基材と接触するように配置される少なくとも1つのゲッタ材料の少なくとも1つの他の部分をさらに備えることができる。ゲッタ材料のこの他の部分で、キャビティ内でガス吸収および/または吸着を行うために接着界面を形成し、一部はキャビティ内に配置されるゲッタ材料の第1の部分が完成する。
【0026】
ゲッタ材料の部分は、ゲッタ材料の部分の熱活性化温度を修正する(modify)のに適している、少なくとも1つの材料、例えば金属材料の少なくとも1つの第1の部分を使って第1の基材または第2の基材と接触するように配置され、および/または構造がゲッタ材料の第2の部分を含む場合に、ゲッタ材料の第2の部分は、ゲッタ材料の第2の部分の熱活性化温度を修正するのに適している、少なくとも1つの材料、例えば金属材料の少なくとも1つの第2の部分を使って第2の基材または第1の基材とそれぞれ接触するように配置されうる。銅またはアルミニウムからなる、ゲッタ材料の熱活性化温度の調節材料のこれらの部分は、ゲッタ材料の1つまたは複数の部分の熱活性化温度を特に下げ、したがって、構造の残り部分で見られる熱収支を制限する。また、ゲッタ材料の熱活性化温度のこれらの調節金属部分は、第1の基材、または第2の基材とゲッタ材料の第1の部分および/または第2の部分のゲッタ材料との間に介在する可能性のある化学的相互作用もなくす。電気接点が構造内に形成され、ゲッタ材料のこれらの部分によって電気的に一緒に接続される場合、これは、好ましくは、ゲッタ材料の部分と電気接点との間に導電性調節部分を形成する。
【0027】
ゲッタ材料の第2の部分の前記一部は、ゲッタ材料の第1の部分の第1の一部に分子的に接着しうる。
【0028】
本発明は、構造の形成方法にも関係し、少なくとも、
-少なくとも1つのゲッタ材料の少なくとも1つの部分を第1の基材および/または第2の基材と接触するように形成する工程と、
-第2の基材を第1の基材に付着させ、少なくとも一部はゲッタ材料の部分によって形成される少なくとも1つの接着界面を使って第1の基材と第2の基材とによって画成される少なくとも1つの気密封止キャビティを形成し、ゲッタ材料の前記部分は一部はキャビティ内にも配置される、工程とを含む。
【0029】
また提案される構造の形成方法は、少なくとも、
-少なくとも1つのゲッタ材料の少なくとも1つの部分を基材またはカバーと接触するように形成する工程と、
-カバーを基材に付着させ、少なくとも一部はゲッタ材料の部分によって形成される少なくとも1つの接着界面を使って基材とカバーとによって画成される少なくとも1つの気密封止キャビティを形成し、ゲッタ材料の前記部分は一部はキャビティ内にも配置される、工程とを含む。
【0030】
また提案される構造の形成方法は、少なくとも、
-少なくとも1つのゲッタ材料の少なくとも1つの第1の部分を第1の基材または第2の基材と接触するように形成する工程と、
-少なくとも1つのゲッタ材料の少なくとも1つの第2の部分を、ゲッタ材料の第1の部分が第1の基材と接触するように配置されるときには第2の基材に接触するように、またはゲッタ材料の第1の部分が第2の基材と接触するように配置されるときには第1の基材に接触するように形成する工程と、
-ゲッタ材料の第1の部分の第1の一部をゲッタ材料の第2の部分の少なくとも一部に熱圧着することによって第2の基材を第1の基材に付着させ、第1の基材および第2の基材によって画成される少なくとも1つのキャビティを形成し、ゲッタ材料の第1の部分の第2の一部はキャビティ内に配置される、工程とを含む。
【0031】
2つの基材の接続を実行するためにそのような熱圧着工程を実行する工程には、
-接続時にゲッタ材料によるキャビティ内のガスの放出がない、
-ゲッタ材料の溶融を伴う接続とは反対に、熱圧着がゲッタ材料のクラッシュを防ぐので、接着界面の寸法制御が良好である、という様々な利点がある。
【0032】
この方法は、ゲッタ材料の第1の部分を形成する工程の前に、第2の基材を第1の基材に付着させた後にキャビティ内に配置されるように少なくとも1つのデバイスを第1の基材内に形成し、および/または第1の基材に接触するように形成するための工程をさらに含むことができる。
【0033】
ゲッタ材料の第1の部分を形成する工程は、ゲッタ材料の第1の部分を第1の基材および/または第2の基材に対して薄層として堆積する少なくとも1つの工程を含むことができる。
【0034】
この方法は、第2の基材を第1の基材に付着させる工程の前に、少なくとも1つのゲッタ材料の少なくとも1つの第2の部分をゲッタ材料の第1の部分と呼ばれるゲッタ材料の他の部分が第1の基材と接触するように配置されるときには第2の基材と接触するように、またはゲッタ材料の第1の部分が第2の基材と接触するように配置されるときには第1の基材と接触するように形成するための工程をさらに含むことができる。
【0035】
第2の基材を第1の基材に付着させる工程は、ゲッタ材料の第1の部分の少なくとも1つの一部をゲッタ材料の第2の部分の少なくとも1つの一部に対して熱圧着する少なくとも1つの工程を実行する工程を含むことができる。
【0036】
第2の基材を第1の基材に付着させる工程は、ゲッタ材料の第1の部分の第1の一部をゲッタ材料の第2の部分の前記一部に対して分子接着(molecular adhesion)することによって接着を完了する工程を含むことができる。
【0037】
この場合、この方法は、分子接着の完了後に、ゲッタ材料をかき乱すことなく分子接着による接着を改善する、前記分子付着の熱処理を介した圧密工程をさらに含むことができる。
【0038】
ゲッタ材料の第1の部分および第2の部分の堆積する工程は、好ましくは、PVD(物理的気相成長法)、例えば、陰極崩壊または蒸着による堆積によって最低の厚さ(例えば、約100nmに等しいか、または約2μm未満)で行うことができ、ゲッタ材料のこの部分は最小の粗さを持つようになる。
【0039】
ゲッタ材料の第1の部分または第2の部分を第2の基材に接触するように形成する工程は、第2の基材を第1の基材に付着させた後にキャビティ内に配置されるようにゲッタ材料の少なくとも1つの他の部分を第2の基材に接触するように形成することもできる。
【0040】
この方法は、第2の基材を第1の基材に付着させる工程の前、およびゲッタ材料の第1の部分および第2の部分を形成する工程の後の、ゲッタ材料の第1の部分および/または第2の部分の酸化物および/または窒化物からなる保護層を形成することができ、前記保護層は接続工程の実行時に排除することができる、二原子酸素および/または二原子窒素の乾燥雰囲気中で実行されうるゲッタ材料の第1の部分および/または第2の部分の酸化および/または窒化工程をさらに含むことができる。したがって、これらの保護層は、空気または空気中に存在する水蒸気によって酸化もしくは汚染されることなくゲッタ材料の部分を周囲空気に曝す。活性化温度が最高であるゲッタ材料の活性化温度以上の温度で、例えば約300℃から450℃までの範囲内の温度で、組み立てを実行するときに、ゲッタ材料の部分は、その保護層を吸収し、酸化物および/または窒化物からなるこの保護層の存在に連動する接触抵抗をしかるべく排除する(ゲッタ材料の部分が電気接点を一緒に電気的に接続する場合には特に有利である)。したがって、ゲッタ材料の部分同士の間でなされる熱圧着は、保護層がゲッタ材料の部分の間に印加される圧力さらにはゲッタ材料の部分が曝される温度の作用によって排除されるときに完了することができる。
【0041】
酸化および/または窒化工程は、例えば、ゲッタを堆積した直後に、また同じ機械内で実行され、これにより、ゲッタ材料が周囲空気に露出されるのを回避することができる。例えばPVDを用いた堆積法により堆積されるゲッタの場合、堆積装置と親和性のあるガス分圧(酸素または窒素)で、つまり約10
-2ミリバール(mbar)以上の圧力で、または約1000ミリバールから10
-2ミリバールまでの範囲の圧力で、および/または約50℃から120℃までの温度で、および/またはほぼ1minから10minまでの期間に、処理を実行することができる。この保護を実行するうえでの最優先のパラメータは、温度であり、圧力は約1000ミリバールから10
-2ミリバールまでと広い範囲にわたって可変であるものとしてよい。
【0042】
この方法は、酸化および/または窒化工程と接続工程との間に、最低の活性化温度を有するゲッタ材料の部分の活性化温度に比べて約50℃から150℃低い温度で、また二次真空下で、ゲッタ材料の第1の部分および/または第2の部分の熱処理工程、例えば脱着の工程を実行する工程をさらに含むことができる。
【0043】
ゲッタ材料の第1の部分および第2の部分は、少なくとも1つの第1の電気接点および1つの第2の電気接点とそれぞれ接触するように配置することができ、第1の電気接点と第2の電気接点のうちの一方は第1の基材と接触するように、および/または第1の基材内に、配置することができ、第1の電気接点および第2の電気接点のうちの他方は第2の基材と接触するように、および/または第2の基材内に、配置することができ、接続工程は、ゲッタ材料の第1の部分および第2の部分を使って第1の電気接点と第2の電気接点とを一緒に電気的に接続することができる。
【0044】
この方法は、ゲッタ材料の第1の部分を形成する工程の前に、ゲッタ材料の第1の部分の熱活性化温度を修正するために適している少なくとも1つの材料、例えば金属材料の少なくとも1つの第1の部分を第1の基材または第2の基材と接触するように形成し、ゲッタ材料の第1の部分が少なくとも前記材料の第1の部分に配置することができる、工程をさらに含むことができ、および/またはこの方法がゲッタ材料の第2の部分を形成する工程を含む場合に、前記方法は、ゲッタ材料の第2の部分を形成する工程の前に、ゲッタ材料の第2の部分の熱活性化温度を修正するのに適している少なくとも1つの材料、例えば金属材料の少なくとも1つの第2の部分をそれぞれ第2の基材または第1の基材と接触するように形成し、ゲッタ材料の第2の部分が少なくとも第2の金属部分に配置することができる、工程をさらに含むことができる。活性化温度のこの部分または調節材料のこれらの部分を形成するために、延性材料またはヤング率の低い材料を利用することで、場合によってはゲッタ材料の粗さを低減し、熱を受けての(in temperature)組み立てによって生じる残留機械的制約条件に対応できる可能性のある柔軟性を活かすことが有利となりうる。
【0045】
この方法は、第2の基材を第1の基材に付着させた後の、キャビティ内に配置されている1つまたは複数のゲッタ材料の1つまたは複数の熱活性化工程をさらに含むことができる。
【0046】
本発明は、添付の図を参照しつつ、純粋に示すためのものであり非限定的な実施形態の説明を読めばよりよく理解することができる。