特許第5781288号(P5781288)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5781288ゲッタ材料からなる接着界面を備えるキャビティ構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5781288
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】ゲッタ材料からなる接着界面を備えるキャビティ構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/26 20060101AFI20150827BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20150827BHJP
   B81B 7/02 20060101ALI20150827BHJP
   B81C 3/00 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   H01L23/26
   H01L23/02 C
   B81B7/02
   B81C3/00
【請求項の数】24
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2010-226464(P2010-226464)
(22)【出願日】2010年10月6日
(65)【公開番号】特開2011-82522(P2011-82522A)
(43)【公開日】2011年4月21日
【審査請求日】2013年8月16日
(31)【優先権主張番号】0956999
(32)【優先日】2009年10月7日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ザヴィエル・バイリン
【審査官】 山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−086585(JP,A)
【文献】 特開2008−084987(JP,A)
【文献】 特開2009−206093(JP,A)
【文献】 特開2007−142054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/02−23/10
H01L 23/26
H03H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1の基材(40、102)および少なくとも1つの接着界面(110a、110b、112、114)を用いて前記第1の基材(40、102)に付着された少なくとも1つの第2の基材(50、108)によって画成される少なくとも1つのキャビティ(106、302)を備える構造(100、200、300)であって、少なくとも1つのゲッタ材料の少なくとも1つの第1の部分(110、110a)の第1の一部(114)は、前記接着界面(110a、110b、112、114)の一部を形成し、ゲッタ材料の前記第1の部分(110、110a)の第2の一部(116)は、前記キャビティ(106、302)内に配置され、ゲッタ材料の前記第1の部分(110、110a)は前記第1の基材(40、102)または前記第2の基材(50、108)に接触するように配置され、前記接着界面(110a、110b、112、114)はゲッタ材料の前記第1の部分(110、110a)の前記第1の一部(114)に熱圧着された少なくとも1つのゲッタ材料の第2の部分(110b、112)の少なくとも一部をさらに含み、ゲッタ材料の前記第2の部分(110b、112)はゲッタ材料の前記第1の部分(110、110a)が前記第1の基材(40、102)に接触するように配置されるときに前記第2の基材(50、108)に接触するように配置されるか、またはゲッタ材料の前記第1の部分(110、110a)が前記第2の基材(50、108)に接触するように配置されるときに前記第1の基材(40、102)に接触するように配置され、
前記ゲッタ材料同士は溶融することなく相互拡散を受ける、構造(100、200、300)。
【請求項2】
前記第2の基材(108)は、カバーを形成する請求項1に記載の構造(100、200)。
【請求項3】
前記キャビティ(106)は、気密封止される請求項1又は2に記載の構造(100、200)。
【請求項4】
ゲッタ材料の前記第1の部分(110)および/または前記第2の部分(112)は、薄層である請求項1から3のいずれか一項に記載の構造(100、200)。
【請求項5】
前記接着界面は、酸化物および/または窒化物および/またはガラスからなる前記第1の基材(102)の部分、および/または酸化物および/または窒化物および/またはガラスからなる前記第2の基材(108)の部分をさらに備える請求項1から4のいずれか一項に記載の構造(100、200)。
【請求項6】
ゲッタ材料の前記第1の部分(110)および第2の部分(112)の前記ゲッタ材料は、異なる熱活性化温度を有する請求項1から5のいずれか一項に記載の構造(100、200)。
【請求項7】
ゲッタ材料の前記第1の部分(110)の前記熱活性化温度は、ゲッタ材料の前記第2の部分(112)の前記熱活性化温度よりも低い請求項6に記載の構造(100、200)。
【請求項8】
前記第1の基材(40、102)と接触するように、および/または前記第1の基材(40、102)内に配置されている少なくとも1つの第1の電気接点(80、202)、および前記第2の基材(50、108)に接触するように、および/または前記第2の基材(50、108)内に配置されている少なくとも1つの第2の電気接点(82、204)をさらに備え、前記第1の電気接点(202)および前記第2の電気接点(204)は前記接着界面(110a、110b、112、114)を形成するゲッタ材料の前記第1の部分(110、110a)および前記第2の部分(112、110b)の一部を少なくとも使って電気的に一緒に接続される請求項1から7のいずれか一項に記載の構造(200、300)。
【請求項9】
前記キャビティ(106)内に配置されるデバイス(104)をさらに備える請求項1から8のいずれか一項に記載の構造(100、200)。
【請求項10】
前記キャビティ(106)内に配置される少なくとも1つのゲッタ材料の少なくとも1つの他の部分(118)をさらに備える請求項1から9のいずれか一項に記載の構造(100)。
【請求項11】
ゲッタ材料の前記第1の部分(110、110a)は、ゲッタ材料の前記第1の部分(110、110a)の熱活性化温度を修正するのに適している少なくとも1つの材料の少なくとも1つの第1の部分を使って前記第1の基材(40、102)または前記第2の基材(50、108)と接触するように配置され、および/またはゲッタ材料の前記第2の部分(110b、112)は、ゲッタ材料の前記第2の部分(110b、112)の熱活性化温度を修正するのに適している少なくとも1つの材料の少なくとも1つの第2の部分を使って前記第2の基材(50、108)または前記第1の基材(40、102)とそれぞれ接触するように配置される請求項1から10のいずれか一項に記載の構造(100、200、300)。
【請求項12】
ゲッタ材料の前記第2の部分(110b、112)の前記一部は、ゲッタ材料の前記第1の部分(110、110a)の前記第1の一部(114)に分子的に接着する請求項1から11のいずれか一項に記載の構造(100、200、300)。
【請求項13】
構造(100、200、300)を形成するための方法であって、少なくとも、
−少なくとも1つのゲッタ材料の少なくとも1つの第1の部分(110、110a)を第1の基材(40、102)または第2の基材(50、108)と接触するように形成するステップと、
−少なくとも1つのゲッタ材料の少なくとも1つの第2の部分(110b、112)を、ゲッタ材料の前記第1の部分(110、110a)が前記第1の基材(40、102)と接触するように配置されるときには前記第2の基材(50、108)に接触するように、またはゲッタ材料の前記第1の部分(110、110a)が前記第2の基材(50、108)と接触するように配置されるときには前記第1の基材(40、102)に接触するように形成するステップと、
−ゲッタ材料の前記第1の部分(110、110a)の第1の一部(114)をゲッタ材料の前記第2の部分(110b、112)の少なくとも一部に熱圧着することによって前記第2の基材(50、108)を前記第1の基材(40、102)に付着させ、前記第1の基材(40、102)および前記第2の基材(50、108)によって画成される少なくとも1つのキャビティ(106、302)を形成し、ゲッタ材料の前記第1の部分(110、110a)の第2の一部(116)は前記キャビティ(106)内に配置される、ステップとを含み、
前記ゲッタ材料同士は溶融することなく相互拡散を受ける、構造(100、200、300)を形成するための方法。
【請求項14】
ゲッタ材料の前記第1の部分(110)を形成する前記ステップの前に、前記第2の基材(108)を前記第1の基材(102)に付着させた後に前記キャビティ(106)内に配置されるように少なくとも1つのデバイス(104)を前記第1の基材(102)内に形成し、および/または前記第1の基材(102)に接触するように形成するためのステップをさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ゲッタ材料の前記第1の部分(110)を形成する前記ステップは、ゲッタ材料の前記第1の部分(110)の薄層として前記第1の基材(102)または前記第2の基材(108)に接触するように堆積する少なくとも1つのステップを含む請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の基材(50、108)を前記第1の基材(40、102)に付着させるステップは、ゲッタ材料の前記第1の部分(110、110a)の前記第1の一部(114)をゲッタ材料の前記第2の部分(110b、112)の前記一部に対して分子接着することによる接着を使用するステップを含む請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記分子接着を行った後に、前記分子接着の熱処理による接続ステップをさらに含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ゲッタ材料の前記第1の部分(110)または前記第2の部分(112)を前記第2の基材(108)に接触するように形成する前記ステップも、前記第2の基材(108)を前記第1の基材(102)に付着させた後に前記キャビティ(106)内に配置されるようにゲッタ材料の少なくとも1つの他の部分(118)を前記第2の基材(108)に接触するように形成する請求項13から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の基材(108)を前記第1の基材(102)に付着させる前記ステップの前、およびゲッタ材料の前記第1の部分(110)および前記第2の部分(112)を形成する前記ステップの後に、ゲッタ材料の前記第1の部分(110)および/または前記第2の部分(112)の酸化物および/または窒化物からなる、前記付着させるステップの実行時に削除される保護層を形成する、二原子酸素および/または二原子窒素の乾燥雰囲気下で実行されるゲッタ材料の前記第1の部分(110)および/または前記第2の部分(112)の酸化および/または窒化ステップをさらに含む請求項13から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記酸化および/または窒化ステップは、1000ミリバールから10−2ミリバールまでの範囲内の圧力の下で、および/または50℃から120℃までの範囲内の温度の下で、および/または1分から10分までの範囲内の期間にわたって実行される請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記酸化および/または窒化ステップと前記付着させるステップとの間に、活性化温度が最低であるゲッタ材料の前記第1の部分(110)および/または前記第2の部分(112)の活性化温度に比べて50℃から150℃低い温度で、また二次真空下で、ゲッタ材料の前記第1の部分(110)および/または前記第2の部分(112)の熱処理のステップを実行するステップをさらに含む請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
ゲッタ材料の前記第1の部分(110、110a)および前記第2の部分(110b、112)は、それぞれ、少なくとも第1の電気接点(80、202)および第2の電気接点(82、204)に接触するように形成され、前記第1の電気接点および前記第2の電気接点のうちの一方(80、202)は前記第1の基材(40、102)と接触するように、および/または前記第1の基材(40、102)内に、配置され、前記第1の電気接点および前記第2の電気接点のうちの他方(82、204)は前記第2の基材(50、108)と接触するように、および/または前記第2の基材(50、108)内に、配置され、ゲッタ材料の前記第1の部分(110、110a)および前記第2の部分(110b、112)を使って前記第1の電気接点(80、202)および前記第2の電気接点(82、204)一緒に電気的に接続される請求項13から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
ゲッタ材料の前記第1の部分(110)を形成する前記ステップの前に、ゲッタ材料の前記第1の部分(110)の熱活性化温度を修正するために適している少なくとも1つの材料の少なくとも1つの第1の部分を前記第1の基材(102)または前記第2の基材(108)と接触するように形成し、ゲッタ材料の前記第1の部分(110)が少なくとも前記材料の前記第1の部分に形成されるステップをさらに含み、および/または前記方法は、ゲッタ材料の前記第2の部分(112)を形成するステップの前に、ゲッタ材料の前記第2の部分(112)の熱活性化温度を修正するのに適している少なくとも1つの材料の少なくとも1つの前記第2の部分をそれぞれ前記第2の基材(108)または前記第1の基材(102)と接触するように形成し、ゲッタ材料の前記第2の部分(112)が少なくとも前記材料の前記第2の部分に形成されるステップをさらに含む請求項13から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記第2の基材(108)を前記第1の基材(102)に付着させた後に、前記キャビティ(106)内に配置されている前記1つまたは複数のゲッタ材料(116、118)の1つまたは複数の熱活性化ステップをさらに含む請求項13から23のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、キャビティ内に満ちている雰囲気を制御するためにゲッタ材料が置かれる気密封止されたキャビティを備える構造に関するものであり、ゲッタ材料はまた、キャビティを形成する要素間の接着界面を完成するように働く。本発明による構造は、特にマイクロエレクトロニクスおよび/またはナノエレクトロニクスデバイスのカプセル化構造であるものとしてよい。本発明は、そのような構造のための製造方法にも関係する。
【背景技術】
【0002】
適切な動作を行うように、MEMSタイプ(エレクトロメカニカルマイクロシステム)、NEMS(エレクトロメカニカルナノシステム)、MOEMS(オプトエレクトロメカニカルマイクロシステム)、NOEMS(オプトエレクトロメカニカルナノシステム)、またはさらには、赤外線検出器などのいくつかのマイクロエレクトロニクスおよび/またはナノエレクトロニクスデバイスは、雰囲気(ガスの性質、圧力)が制御されるキャビティ内に封入される必要がある。これらのデバイスは、一般的に、例えばシリコンからなる同じ基材(ウェハ)上にまとめて作製され、次いで、一般的にはシリコンのカバーを基材上に移送し、次いで基材でカバーを密閉封止することによって形成される密閉キャビティ内に個別に封入される。これまでに知られている密閉封止技術は、ガラス基材とシリコンカバーとの間の陽極封止、金属共晶封止、2つのシリコン要素の間の直接封止、および2つの金属要素の間の熱圧着である。
【0003】
ゲッタをキャビティ内に薄層として加えることで、キャビティ内に広がる圧力を特に制御する。特許文献1および特許文献2に記載されているように、ゲッタ材料を薄層としてキャビティの内側に、デバイスの側面に、またはキャビティのカバーに接触するように、堆積することが知られている。本質的に、および/またはその顕微鏡的な、もしくはナノスケールの形態のゆえに、ゲッタ材料は、ガス状分子に関して吸収性および/または吸着性を有する材料であり、したがって閉環境内に配置されたときにガスポンプを形成することができる。したがって、このようなゲッタ材料は、マイクロエレクトロニクスおよび/またはナノエレクトロニクスデバイスが封入されるキャビティ内の圧力を制御する。非蒸発性のゲッタ材料は、例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウムなどの金属、またはこれら金属もしくは適合された金属の金属合金である。
【0004】
図1は、デバイス14を封じ込める基材12を備えるカプセル封入構造10の第1の例を示している。デバイス14は、封止ビーズ20によって互いに対して封止される基材12とカバー18との間に形成されるキャビティ16内に封入される。カバー18に接触するように堆積されたゲッタ材料22も、キャビティ16内に配置される。
【0005】
カプセル封入構造10は次のような2つの大きな欠点を持つ。
-溶融後に封止ビーズ20の気密性の制御が難しい。
-封止ビーズ20の寸法の制御の難しさは、このビーズが溶融工程において広がる危険性があり、場合によっては封入デバイスの機能障害が生じる(可動質量が影響を受ける、短絡するなど)。
【0006】
図2は、基材12とカバー18との間に形成されるキャビティ16内の封入デバイス14を備えるカプセル封入構造30の第2の例を示している。封止ビーズ20を使ってカバー18が基材12に付着される図1に示されているカプセル封入構造10と比較して、カバー18およびシリコンベースのカプセル封入構造30の基材12は、互いに対して直接封止される。カバーに接触して堆積されるゲッタ材料22に加えて、カプセル封入構造は、キャビティ16内に、基材12に接触するように配置されているゲッタ材料の部分24も含む。
【0007】
2つのシリコンベースの要素の間に直接的なアセンブリを含む、カプセル封入構造30は、熱処理によって界面を硬化する前に、周囲温度で分子接着の改善を目的とする処理を依然として必要とする。乾燥させられ、および/または加湿される、これらの処理は、ゲッタの存在とごくわずかしか適合せず、そのため、ポンピング容量が著しく低下し、したがってこのタイプの構造によって到達可能な最低圧力が制限される危険性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6897551B2号
【特許文献2】国際公開第2009/087284A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、構造内に形成されるキャビティ内にかなりの気密性を確保するために、例えば、デバイスを封入するように設計されている新規性のある構造を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このために、少なくとも1つの第1の基材および少なくとも1つの接着界面を用いて第1の基材に付着された少なくとも1つの第2の基材によって画成される少なくとも1つのキャビティを備え、キャビティ内に一部は配置される少なくとも1つのゲッタ材料の少なくとも1つの部分も接着界面の少なくとも一部を形成する、構造が提案される。
【0011】
少なくとも1つの第1の基材および少なくとも1つの接着界面を用いて第1の基材に付着された少なくとも1つの第2の基材によって画成される少なくとも1つのキャビティを備え、少なくとも1つのゲッタ材料の少なくとも1つの第1の部分の第1の一部は、接着界面の一部を形成し、ゲッタ材料の第1の部分の第2の一部は、キャビティ内に配置され、ゲッタ材料の第1の部分は第1の基材または第2の基材に接触する(placed against)ように配置され、接着界面はゲッタ材料の第1の部分の第1の一部に熱圧着された少なくとも1つのゲッタ材料の第2の部分の少なくとも一部をさらに含み、ゲッタ材料の前記第2の部分はゲッタ材料の第1の部分が第1の基材に接触するように配置されるときに第2の基材に接触するように配置されるか、またはゲッタ材料の第1の部分が第2の基材に接触するように配置されるときに第1の基材に接触するように配置される、構造も提案される。
【0012】
したがって、ゲッタ材料の同じ部分は、接着界面の一部を形成するとともに、キャビティ内にガス吸収および/または吸着ゲッタを形成する。また、ゲッタ材料のこの部分が、キャビティの周辺に配置されたときに、広いゲッタ表面はすべてさらに容易に到達しやすくなる。封止ビーズを含む構造に対して、キャビティの内側に露出されているゲッタ材料の表面のサイズ設定により、キャビティ内に広がる終圧を制御する。
【0013】
接着界面を形成するゲッタ材料の2つの部分が互いに熱圧着されているとすると、その結果、接着界面は、ゲッタ材料同士が相互拡散を受けたことで形成される。
【0014】
少なくとも1つの第1の基材および少なくとも1つの接着界面を用いて基材に付着された少なくとも1つのカバーによって画成される少なくとも1つの気密封止されている(hermetically sealed)キャビティを備え、キャビティ内に一部は配置される少なくとも1つのゲッタ材料の少なくとも1つの部分も接着界面の少なくとも一部を形成する、構造も提案される。
【0015】
第2の基材は、カバーを形成することができる。
【0016】
キャビティは、気密封止することができる。
【0017】
ゲッタ材料の第1の、および/または第2の部分は、薄層であってよい、つまり、約2μm未満の厚さを有するものとしてよい。
【0018】
接着界面は、酸化物および/または窒化物および/またはガラスからなる第1の基材、および/または酸化物および/または窒化物および/またはガラスからなる第2の基材の一部分をさらに備えることができる。
【0019】
したがって、接着界面は、ゲッタ材料の一部分を含み、この部分は
-同じタイプの、または異なるゲッタ材料の他の部分と接触し、
-例えば酸化および/または窒化および/またはガラス系の(第1の基材および/または第2の基材の)表面と接触する。
【0020】
ゲッタ材料の第1の部分と呼ばれる、ゲッタ材料の部分は、第1の基材または第2の基材と接触するように配置することができ、接着界面はゲッタ材料の第1の部分の少なくとも一部と接触するように配置されている少なくとも1つのゲッタ材料の第2の部分の少なくとも一部も含むことができ、ゲッタ材料の前記第2の部分はゲッタ材料の第1の部分が第1の基材と接触するように配置されるときに第2の基材と接触するように配置されるか、またはゲッタ材料の第1の部分が第2の基材と接触するように配置されるときに第1の基材と接触するように配置されうる。
【0021】
第1の基材と第2の基材との間の封止、例えば気密封止は、ゲッタ材料、例えば金属材料の2つの部分の間になされる接続、例えば熱圧着によって得ることができ、したがって、キャビティ内にもたらされる雰囲気が長時間にわたることを確実にするかなりの気密性を有することができる。互いに付着しているゲッタ材料のこれらの部分は、好ましくは両方とも、薄層、例えば、約100nmから数百ナノメートルまでの範囲の厚さの層として形成することができ、ゲッタの粒の厚さおよび/またはサイズが減少するのでますます小さい粗さを有する。
【0022】
ゲッタ材料の第1の部分および第2の部分のゲッタ材料は、異なる熱活性化温度を有していてもよい。この場合、ゲッタ材料の第1の部分の熱活性化温度は、ゲッタ材料の第2の部分の熱活性化温度よりも低い場合がある。したがって、2つの異なる温度で熱的に活性化するゲッタ材料の2つの部分は、これらの部分が類似の熱活性化温度を有するゲッタ材料からなる場合に比べて構造のキャビティ内においてより高い真空度に到達する。次いで、実際、キャビティの内側に置かれているゲッタの第1の部分の一部は、その活性化のために必要以上に大きな熱収支に曝されることになり、その結果、前記層の飽和が生じ、したがって、反対の場合と比べてより高い真空度を生じる可能性がある。
【0023】
構造は、第1の基材と接触するように、および/または第1の基材内に配置されている少なくとも1つの第1の電気接点、および第2の基材に接触するように、および/または第2の基材内に配置されている少なくとも1つの第2の電気接点をさらに備え、第1の電気接点および第2の電気接点は少なくとも接着界面を形成するゲッタ材料の第1の部分および第2の部分の一部を使って電気的に一緒に接続することができる。接着界面を形成するゲッタ材料の部分は、したがって、構造を横切る形で形成される電気接点を電気的に結合する電気的接続部も形成する。
【0024】
構造は、キャビティ内に配置されたデバイスをさらに含むことができる。このようにして、構造は、このデバイスのカプセル封入構造を形成する。
【0025】
構造は、キャビティ内に配置される、例えば第2の基材と接触するように配置される少なくとも1つのゲッタ材料の少なくとも1つの他の部分をさらに備えることができる。ゲッタ材料のこの他の部分で、キャビティ内でガス吸収および/または吸着を行うために接着界面を形成し、一部はキャビティ内に配置されるゲッタ材料の第1の部分が完成する。
【0026】
ゲッタ材料の部分は、ゲッタ材料の部分の熱活性化温度を修正する(modify)のに適している、少なくとも1つの材料、例えば金属材料の少なくとも1つの第1の部分を使って第1の基材または第2の基材と接触するように配置され、および/または構造がゲッタ材料の第2の部分を含む場合に、ゲッタ材料の第2の部分は、ゲッタ材料の第2の部分の熱活性化温度を修正するのに適している、少なくとも1つの材料、例えば金属材料の少なくとも1つの第2の部分を使って第2の基材または第1の基材とそれぞれ接触するように配置されうる。銅またはアルミニウムからなる、ゲッタ材料の熱活性化温度の調節材料のこれらの部分は、ゲッタ材料の1つまたは複数の部分の熱活性化温度を特に下げ、したがって、構造の残り部分で見られる熱収支を制限する。また、ゲッタ材料の熱活性化温度のこれらの調節金属部分は、第1の基材、または第2の基材とゲッタ材料の第1の部分および/または第2の部分のゲッタ材料との間に介在する可能性のある化学的相互作用もなくす。電気接点が構造内に形成され、ゲッタ材料のこれらの部分によって電気的に一緒に接続される場合、これは、好ましくは、ゲッタ材料の部分と電気接点との間に導電性調節部分を形成する。
【0027】
ゲッタ材料の第2の部分の前記一部は、ゲッタ材料の第1の部分の第1の一部に分子的に接着しうる。
【0028】
本発明は、構造の形成方法にも関係し、少なくとも、
-少なくとも1つのゲッタ材料の少なくとも1つの部分を第1の基材および/または第2の基材と接触するように形成する工程と、
-第2の基材を第1の基材に付着させ、少なくとも一部はゲッタ材料の部分によって形成される少なくとも1つの接着界面を使って第1の基材と第2の基材とによって画成される少なくとも1つの気密封止キャビティを形成し、ゲッタ材料の前記部分は一部はキャビティ内にも配置される、工程とを含む。
【0029】
また提案される構造の形成方法は、少なくとも、
-少なくとも1つのゲッタ材料の少なくとも1つの部分を基材またはカバーと接触するように形成する工程と、
-カバーを基材に付着させ、少なくとも一部はゲッタ材料の部分によって形成される少なくとも1つの接着界面を使って基材とカバーとによって画成される少なくとも1つの気密封止キャビティを形成し、ゲッタ材料の前記部分は一部はキャビティ内にも配置される、工程とを含む。
【0030】
また提案される構造の形成方法は、少なくとも、
-少なくとも1つのゲッタ材料の少なくとも1つの第1の部分を第1の基材または第2の基材と接触するように形成する工程と、
-少なくとも1つのゲッタ材料の少なくとも1つの第2の部分を、ゲッタ材料の第1の部分が第1の基材と接触するように配置されるときには第2の基材に接触するように、またはゲッタ材料の第1の部分が第2の基材と接触するように配置されるときには第1の基材に接触するように形成する工程と、
-ゲッタ材料の第1の部分の第1の一部をゲッタ材料の第2の部分の少なくとも一部に熱圧着することによって第2の基材を第1の基材に付着させ、第1の基材および第2の基材によって画成される少なくとも1つのキャビティを形成し、ゲッタ材料の第1の部分の第2の一部はキャビティ内に配置される、工程とを含む。
【0031】
2つの基材の接続を実行するためにそのような熱圧着工程を実行する工程には、
-接続時にゲッタ材料によるキャビティ内のガスの放出がない、
-ゲッタ材料の溶融を伴う接続とは反対に、熱圧着がゲッタ材料のクラッシュを防ぐので、接着界面の寸法制御が良好である、という様々な利点がある。
【0032】
この方法は、ゲッタ材料の第1の部分を形成する工程の前に、第2の基材を第1の基材に付着させた後にキャビティ内に配置されるように少なくとも1つのデバイスを第1の基材内に形成し、および/または第1の基材に接触するように形成するための工程をさらに含むことができる。
【0033】
ゲッタ材料の第1の部分を形成する工程は、ゲッタ材料の第1の部分を第1の基材および/または第2の基材に対して薄層として堆積する少なくとも1つの工程を含むことができる。
【0034】
この方法は、第2の基材を第1の基材に付着させる工程の前に、少なくとも1つのゲッタ材料の少なくとも1つの第2の部分をゲッタ材料の第1の部分と呼ばれるゲッタ材料の他の部分が第1の基材と接触するように配置されるときには第2の基材と接触するように、またはゲッタ材料の第1の部分が第2の基材と接触するように配置されるときには第1の基材と接触するように形成するための工程をさらに含むことができる。
【0035】
第2の基材を第1の基材に付着させる工程は、ゲッタ材料の第1の部分の少なくとも1つの一部をゲッタ材料の第2の部分の少なくとも1つの一部に対して熱圧着する少なくとも1つの工程を実行する工程を含むことができる。
【0036】
第2の基材を第1の基材に付着させる工程は、ゲッタ材料の第1の部分の第1の一部をゲッタ材料の第2の部分の前記一部に対して分子接着(molecular adhesion)することによって接着を完了する工程を含むことができる。
【0037】
この場合、この方法は、分子接着の完了後に、ゲッタ材料をかき乱すことなく分子接着による接着を改善する、前記分子付着の熱処理を介した圧密工程をさらに含むことができる。
【0038】
ゲッタ材料の第1の部分および第2の部分の堆積する工程は、好ましくは、PVD(物理的気相成長法)、例えば、陰極崩壊または蒸着による堆積によって最低の厚さ(例えば、約100nmに等しいか、または約2μm未満)で行うことができ、ゲッタ材料のこの部分は最小の粗さを持つようになる。
【0039】
ゲッタ材料の第1の部分または第2の部分を第2の基材に接触するように形成する工程は、第2の基材を第1の基材に付着させた後にキャビティ内に配置されるようにゲッタ材料の少なくとも1つの他の部分を第2の基材に接触するように形成することもできる。
【0040】
この方法は、第2の基材を第1の基材に付着させる工程の前、およびゲッタ材料の第1の部分および第2の部分を形成する工程の後の、ゲッタ材料の第1の部分および/または第2の部分の酸化物および/または窒化物からなる保護層を形成することができ、前記保護層は接続工程の実行時に排除することができる、二原子酸素および/または二原子窒素の乾燥雰囲気中で実行されうるゲッタ材料の第1の部分および/または第2の部分の酸化および/または窒化工程をさらに含むことができる。したがって、これらの保護層は、空気または空気中に存在する水蒸気によって酸化もしくは汚染されることなくゲッタ材料の部分を周囲空気に曝す。活性化温度が最高であるゲッタ材料の活性化温度以上の温度で、例えば約300℃から450℃までの範囲内の温度で、組み立てを実行するときに、ゲッタ材料の部分は、その保護層を吸収し、酸化物および/または窒化物からなるこの保護層の存在に連動する接触抵抗をしかるべく排除する(ゲッタ材料の部分が電気接点を一緒に電気的に接続する場合には特に有利である)。したがって、ゲッタ材料の部分同士の間でなされる熱圧着は、保護層がゲッタ材料の部分の間に印加される圧力さらにはゲッタ材料の部分が曝される温度の作用によって排除されるときに完了することができる。
【0041】
酸化および/または窒化工程は、例えば、ゲッタを堆積した直後に、また同じ機械内で実行され、これにより、ゲッタ材料が周囲空気に露出されるのを回避することができる。例えばPVDを用いた堆積法により堆積されるゲッタの場合、堆積装置と親和性のあるガス分圧(酸素または窒素)で、つまり約10-2ミリバール(mbar)以上の圧力で、または約1000ミリバールから10-2ミリバールまでの範囲の圧力で、および/または約50℃から120℃までの温度で、および/またはほぼ1minから10minまでの期間に、処理を実行することができる。この保護を実行するうえでの最優先のパラメータは、温度であり、圧力は約1000ミリバールから10-2ミリバールまでと広い範囲にわたって可変であるものとしてよい。
【0042】
この方法は、酸化および/または窒化工程と接続工程との間に、最低の活性化温度を有するゲッタ材料の部分の活性化温度に比べて約50℃から150℃低い温度で、また二次真空下で、ゲッタ材料の第1の部分および/または第2の部分の熱処理工程、例えば脱着の工程を実行する工程をさらに含むことができる。
【0043】
ゲッタ材料の第1の部分および第2の部分は、少なくとも1つの第1の電気接点および1つの第2の電気接点とそれぞれ接触するように配置することができ、第1の電気接点と第2の電気接点のうちの一方は第1の基材と接触するように、および/または第1の基材内に、配置することができ、第1の電気接点および第2の電気接点のうちの他方は第2の基材と接触するように、および/または第2の基材内に、配置することができ、接続工程は、ゲッタ材料の第1の部分および第2の部分を使って第1の電気接点と第2の電気接点とを一緒に電気的に接続することができる。
【0044】
この方法は、ゲッタ材料の第1の部分を形成する工程の前に、ゲッタ材料の第1の部分の熱活性化温度を修正するために適している少なくとも1つの材料、例えば金属材料の少なくとも1つの第1の部分を第1の基材または第2の基材と接触するように形成し、ゲッタ材料の第1の部分が少なくとも前記材料の第1の部分に配置することができる、工程をさらに含むことができ、および/またはこの方法がゲッタ材料の第2の部分を形成する工程を含む場合に、前記方法は、ゲッタ材料の第2の部分を形成する工程の前に、ゲッタ材料の第2の部分の熱活性化温度を修正するのに適している少なくとも1つの材料、例えば金属材料の少なくとも1つの第2の部分をそれぞれ第2の基材または第1の基材と接触するように形成し、ゲッタ材料の第2の部分が少なくとも第2の金属部分に配置することができる、工程をさらに含むことができる。活性化温度のこの部分または調節材料のこれらの部分を形成するために、延性材料またはヤング率の低い材料を利用することで、場合によってはゲッタ材料の粗さを低減し、熱を受けての(in temperature)組み立てによって生じる残留機械的制約条件に対応できる可能性のある柔軟性を活かすことが有利となりうる。
【0045】
この方法は、第2の基材を第1の基材に付着させた後の、キャビティ内に配置されている1つまたは複数のゲッタ材料の1つまたは複数の熱活性化工程をさらに含むことができる。
【0046】
本発明は、添付の図を参照しつつ、純粋に示すためのものであり非限定的な実施形態の説明を読めばよりよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】従来技術のデバイスのカプセル封入構造を明示する図である。
図2】従来技術のデバイスのカプセル封入構造を明示する図である。
図3】第1の実施形態による、本発明の対象である、例えばデバイスのカプセル封入構造を形成するように設計されている、構造を例示する図である。
図4】第2の実施形態による、本発明の対象である、例えばデバイスのカプセル封入構造を形成するように設計されている、構造を例示する図である。
図5A】特定の一実施形態による、本発明の対象でもある、構造の形成方法の工程を例示する図である。
図5B】特定の一実施形態による、本発明の対象でもある、構造の形成方法の工程を例示する図である。
図6】第3の実施形態による、本発明の対象である、構造を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
後述の異なる図の同一の、類似の、または同等の部分には、すべての図を簡単に参照できるように同じ参照番号が使用されている。
【0049】
図に示されている様々な部分は、図を判読しやすくするために必ずしも均等な縮尺に従っていない。
【0050】
様々な可能性(変更形態および実施形態)について、相互に排他的ではないと理解されなければならず、また組み合わせることができる。
【0051】
まず、図3を参照すると、これは、第1の実施形態によるデバイス104のカプセル封入構造としてここでは働く、構造100を示している。
【0052】
構造100は、例えばMEMS、NEMS、MOEMS、NOEMSタイプ、または例えばマイクロボロメータータイプの赤外線検出器のマイクロエレクトロニクスおよび/またはナノエレクトロニクスデバイス104が配置される、例えばシリコンなどの半導体からなる第1の基材102を備える。デバイス104は、これもまたここではカバーを形成する、シリコンなどの半導体からなる、基材102と第2の基材108との間に形成されるキャビティ106内に封入される。第2の基材108と第1の基材102との間の接続部は、第1の基材102上に、すべてデバイス104の上で堆積されたゲッタ材料110の第1の部分の一部114、および第2の基材108と接触するように堆積されたゲッタ材料112の第2の部分を使って形成される。
【0053】
ゲッタ材料の第1の部分110および第2の部分112は、例えば、約100nmから2μmまでの範囲内の厚さを有し、1つまたは複数の金属材料、例えばチタンおよび/またはジルコニウムおよび/またはバナジウムおよび/または吸収および/またはガス吸着の特性を有する任意の他の金属からなる。
【0054】
したがって、第1の基材102と第2の基材108との間の接着界面は、互いに対して熱圧着されているこれらのゲッタ材料の部分110、112によって形成される。ゲッタ材料の部分110、112は、ここで薄層の形態で作製され、したがって、これらの部分は約2μm以下の厚さを有する。また、ゲッタ材料のこれらの部分110および112は、PVD(物理的気相成長法)、例えば陰極崩壊または蒸着によってここに堆積され、これらの部分110および112はわずかな粗さを有することになり、これらの部分110と112との間で行われる熱圧着と親和性を持つ。
【0055】
図3は、ゲッタ材料の第1の部分110の第1の一部114が、ゲッタ材料の第2の部分112とともに第1の基材102と第2の基材108との間に接着界面を形成すること、またキャビティ106内に配置される、第1の部分110の第2の一部116が、接着界面を形成しないことを示している。したがって、ゲッタ材料の第1の部分110は、第1の基材102と第2の基材108との間に、さらにはそれ自体ゲッタ材料の、接着界面を形成する、つまり、キャビティ106内にガス吸収および/または吸着を実行する働きをし、これにより、このキャビティ106内の雰囲気を制御する。ゲッタ材料の第1の部分110の第2の一部116によって満たされるガス吸収および/または吸着のこの役割は、キャビティ106内の、かつデバイス104に対向する、第2の基材118に接触するように配置されるゲッタ材料の部分118によっても満たされ、この部分118の材料は例えばゲッタ材料の第2の部分112の材料と同じである。
【0056】
部分110および112のゲッタ材料は、本質的に同じであるかまたは同じでない可能性がある。また、部分110および112のゲッタ材料は、同じ熱活性化温度を有することが可能である。しかし、これらのゲッタ材料は、好ましくは、その熱活性化温度が異なるように選択される。また、これらのゲッタ材料は、好ましくは、キャビティ106内で、逆の場合(部分110のゲッタ材料は部分112のゲッタ材料の熱活性化温度よりも高い熱活性化温度を有する)またはゲッタ材料の2つの部分110および112が同じ熱活性化温度を有する場合により高い真空度を発生する、最低の熱活性化温度を有するゲッタがキャビティ内に配置される一部を含む部分、つまり、図3の例の第1の部分110のゲッタ材料となるように選択される。ゲッタ材料の熱活性化温度は、例えば、部分110および112がチタンからなる場合に約450℃に等しい。
【0057】
一変更実施形態では、ゲッタ材料の部分110および112が第1の基材104および第2の基材108に直接接触するように配置されないが、ゲッタ材料の熱活性化温度の調節に対するその金属部分はこれらの部分110、112と第1の基材102と第2の基材108との間に配置される可能性がある。例えば、Cuおよび/またはNiおよび/またはPtおよび/またはAgおよび/またはRuおよび/またはCrおよび/またはAuおよび/またはAlからなるこれらの金属部分は、ゲッタ材料の部分110、112がキャビティ106の雰囲気と反応する温度に変更する。このようにして、部分110および112の熱活性化温度を、例えば、調節金属部分の金属の性質およびゲッタ材料の性質に応じて約275℃から425℃までの範囲となるように下げることが可能である。
【0058】
これらの金属部分の厚さは、例えば、約50nmから500nmまでの範囲である。これらの調節金属部分は、約5.10-6/℃から23.10-6/℃までの範囲内の熱膨張係数およびその使用温度(これらの部分が堆積される温度)とその溶融温度との実質的に0.1から0.3までの範囲の比を有することができる。調節金属部分は、例えば蒸着によって堆積される。これらの調節部分に関係する他の特性については、特許文献2において説明されている。
【0059】
図4は、第2の実施形態による、ここではデバイス104のカプセル封入構造を形成する、構造200を例示している。図3に例示されているカプセル封入構造100に関して、カプセル封入構造200は、第1の基材102内に形成される電気接点202、さらにはキャビティ106の壁を形成する第2の基材108の1つの面206上に配置される電気接点204を備える。電気接点202および204は、金属からなるゲッタ材料の部分110および112を使って電気的に一緒に接続される。したがって、部分110および112は、第2の基材108と第1の基材102との間に気密封止を形成するだけでなく、電気接点110および112を電気的に一緒に接続するためにも使用される。また、ゲッタ材料の第1の部分110の第2の一部116は、カプセル封入構造100と同様に、キャビティ106内に存在するガスを吸収および/または吸着するためにも使用される。最後に、カプセル封入構造100に関して、カプセル封入構造200はゲッタ材料118を含まない。
【0060】
一変更形態では、ゲッタ材料の部分110と112との間を封止する前に、周囲空気から、また特に水蒸気から保護されるように部分110および112のゲッタ材料の処理を行うことが可能である。このために、二原子酸素(O2)および/または乾燥二原子窒素(N2)が、約50℃から120℃までの範囲の温度、例えば約100℃に等しい温度と例えば約1000ミリバールから数10-3ミリバールの範囲内の堆積室内に広がる圧力で、原位置に、つまり、ゲッタ材料の堆積室内に注入される。数分程度の期間、例えば、約1minから10minまでの範囲の期間にわたってゲッタ材料を乾燥二原子酸素および/または乾燥二原子窒素の存在下に置くことにより、部分110および112のゲッタ材料の乾燥酸化および/または窒化が生じ、酸化物および/または窒化物からなる保護層をゲッタ材料の表面に形成する。ゲッタ材料が周囲空気に後で露出される場合、その結果得られる保護層がゲッタ材料を特に周囲空気中に存在するガスによって引き起こされうる化学変化から保護するが、それは、これらのガスはゲッタ材料を汚染することなく保護層によって吸収および/または吸着されるからである。したがって、第1の基材102および第2の基材108を、一緒に気密封止する前に周囲空気中で貯蔵することが可能である。第1の実施形態に関連してすでに説明されている他の変更形態(ゲッタ材料の熱活性化温度を調節するための金属部分、ゲッタ材料は異なるかまたは異ならない熱活性化温度を有する)は、この第2の実施形態に適用することができる。
【0061】
次に、カプセル封入構造100を作製するための方法の工程は、図5Aおよび5Bに関して説明する。
【0062】
図5Aに例示されているように、第2の半導体ベースの基材108は、まず最初に、例えばシリコンから作られ、キャビティ106の少なくとも一部を形成する中空部101が作られる。次いで、例えばDVD堆積によってゲッタ材料の薄層が第2の基材108上に堆積され、次いで、例えば、フォトリソグラフィおよびエッチングによって形成され、これにより、中空部101の周りにゲッタ材料112の第2の部分を形成し、さらには中空部101の周りに配置され、デバイス104に対向することが意図されている部分118を形成する。一変更実施形態では、特に第2の基材が実質的なトポロジーを有している場合、第2の部分112および部分118は、リフトオフ堆積(第2の基材108上に形成された犠牲マスクによる堆積)によって、またはステンシルによる堆積によって直接的に形成することも可能である。
【0063】
次いで、ゲッタ材料の第1の部分110をデバイス104(図5B)の周りの、デバイス104が形成される第1の基材102上に堆積される。ゲッタ材料のこの第1の部分110は、ゲッタ材料の第2の部分112を形成することについてすでに説明されている技術と似た技術を使用することによって形成することが可能である。
【0064】
一変更形態では、まず最初に第1の基材および/または第2の基材上に熱活性化温度の調節用の金属部分を、例えば堆積、フォトリソグラフィ、およびエッチングによって形成し、次いで、ゲッタ材料の部分をこれらの調節金属部分上に形成することが可能である。また、金属部分およびゲッタ材料を次々に堆積し、次いでフォトリソグラフィおよびエッチングによって形成することも有利である。
【0065】
次いで、第1の基材102と第2の基材108との間の組み立てを、例えば、エンクロージャの内側の雰囲気を制御し、第1の基材102および第2の基材108に熱を加えつつ圧力を加える封止エンクロージャ内で実行するが、この結果、ゲッタ材料の部分110および112の間の拡散により接続がなされ、第2の基材108が第1の基材102に気密封止される。これにより、図3に示されているカプセル封入構造100が得られ、ゲッタ材料の第1の部分110の第1の一部114がゲッタ材料の第2の部分112に対して熱圧着される。
【0066】
図4に示されているカプセル封入構造200を形成する工程は、カプセル封入構造100を形成することについて上で説明されているものと似た工程を実施する工程を含むことができる。
【0067】
ゲッタ材料の第1の部分110の第1の一部114とゲッタ材料の第2の部分112との間の分子接着を介して2つの基材102および108を接続することが可能である。
【0068】
酸化物および/または窒化物からなる保護層を、第1の基材102上に第2の基材108を組み立てる前にゲッタ材料の部分110および112上に堆積する場合、また第1の基材102および/または第2の基材108が周囲空気に露出されている場合、二次真空下での熱処理を、例えば、約150℃に等しい温度で、またはより一般的には、活性化温度が最低であるゲッタの活性化温度に比べて約50℃から150℃低い温度で、約10minから30minまでの期間にわたって、第2の基材108を第1の基材102に気密封止する前に実行して、保護層によって吸着および/または吸収されているガスを脱着する。次に,封止を行うときに、保護層は部分110と112との間に加えられる圧力と温度の効果の下で消失し、次いで、部分110と112との間の拡散により金属/金属結合が形成し、キャビティ106を気密封止する。
【0069】
次に、40、50、および60で参照されているマイクロエレクトロニクスおよび/またはナノエレクトロニクスコンポーネント(例えば、CMOSタイプ、センサーなど)を備える3つの基材の三次元組み立てによって得られる構造300を、図6に関して説明する。3つの基材40、50、および60のそれぞれは、80、82、および84とそれぞれ参照され、基材40、50、および60を一緒に接続するためにも使用されるゲッタ材料の層110a、110b、および112a、112bによって一緒に電気的に接続されているビアホール、または電気接点を備える。第1の基材40は、ここでは、構造300のベースを形成し、また、構造300の把持部として働く。第1の基材40は、例えば、CMOSタイプのデバイスを備える基材であり、これは、例えば、前者に、例えば基材50および/または60を介して接続される1つまたは複数のセンサーを制御するために使用される。基材50および60は、例えば、貫通電気接点をより容易に復元するために厚さを小さくすることができる。キャビティ302および304をそれぞれ基材40と50との間、および基材50と60との間に形成する。また、ゲッタ材料110a、110bの層一部111a、111bは、キャビティ302の内側に配置される。
【0070】
ゲッタ材料110a、110b、112a、および112bは、同じ性質のものである場合もない場合もある。例えば、ゲッタ材料110a、110bの層がゲッタ材料112a、112bの層と異なる活性化温度を有することも可能である。また、積層された基材による最大許容可能温度に応じて形成された封止を調節するだけでなく、封止でもたらされる内部接続の電気抵抗を制御するために、特許文献2において説明されているような1つまたは複数の調節下位層を構造300に追加することが可能である。例えば、基材60が温度に対して敏感な場合、構造300の残り部分とともに組み立てを行うために、好ましくは、低温で活性化可能なゲッタを選択する。この結果、一緒に電気的に接続される複数の基材を備える構造を形成することが可能である。
【0071】
構造300が1つまたは複数の調節下位層を備える場合、構造300を、活性化温度がベース(第1の基材40)からさらに減少するゲッタ材料から形成し、これにより、上側コンポーネントを過度の温度から保護するか、または逆に、こうして低い活性化温度のゲッタ中に拡散を増大させ、金属間結合の強固さをさらに高めることができる。
【0072】
次に、構造300を形成するための方法の一例を説明する。
【0073】
まず最初に、ゲッタ材料110a、110bの層を基材40および50上に堆積する。次いで、ゲッタ材料の層110a、110bを、これらの層のそれぞれにフォトリソグラフィおよびエッチングを行うことで形成する。次いで、基材40および50を、例えば、ゲッタ材料110a、110bの層を互いに熱圧着することで一緒に接続する。
【0074】
次いで、ビアホール80をビアホール82に接続するために、基材50を研磨して「シリコン貫通ビアホール」、またはTSVと呼ばれる技術に適合する薄さにする。次いで、これらの工程を繰り返して、ゲッタ材料の層112a、112bを使って基材60を基材50に接続し、ビアホール80をビアホール84に接続する。したがって、複数の基材を積層し、すべての基材間に電気的接続を形成し、および/または最終組立品のいずれかの側に電気接点を引き出すことが可能である。
【0075】
構造300の一変更形態では、コンポーネント間の組み立てがゲッタ材料の2つの層によってなされるのではなく、ゲッタ材料の層と酸化物および/または窒化物の層によってなされるようにすることが可能である。このために、ゲッタ材料110aの層が基材40上に堆積され、次いで、ゲッタ材料のこの層がフォトリソグラフィとエッチングの工程によって形成される。次いで、基材50の後面を酸化させ、次いで、ゲッタ材料の層110を基材50の酸化された後面に付着させる。次いで、ビアホール80をビアホール82に接続するために、基材50を研磨してTSV技術に適合する薄さにする。酸化物層も、シリコンのエッチング時に停止層として働き、貫通ビアホール82を形成する。次いで、基材50を基材40上に組み立てるのと同様にして、基材60を基材50上に組み立て、実質的に、ビアホール80をビアホール84に接続する。
【0076】
従来技術の構造と比べて、構造300の作製時に、ろう付けまたは液相を必要とする他のいかなるプロセスも使用せずに接続工程をウェハのスケールで実行することができる。ろう付けの溶融を気にせずに複数の基材を接続することが可能である。この場合、熱収支が増大すると、構造300が強固になる。
【0077】
また、ゲッタ材料の選択によって、すでに作られている構造300上の基材の接続温度を調節するが、ゲッタ材料の導電性も調節する。最後に、接続が行われ、続いて、例えばマイクロデバイスの作製などの最終基材の薄層化および/または研磨工程が行われる。
【0078】
したがって、例えば、単一コンポーネントのものと同等の表面に対して複数の機能を有するデバイスを形成することを目的として、基材などの類似の構造の三次元スタック、および/またはマイクロエレクトロニクスコンポーネントを形成することが可能である。
【符号の説明】
【0079】
10 カプセル封入構造
12 基材
14 デバイス
16 キャビティ
18 カバー
20 封止ビーズ
22 ゲッタ材料
24 ゲッタ材料の部分
30 カプセル封入構造
40、50、および60 基材
80 ビアホール
82 ビアホール
84 ビアホール
100 構造
101 中空部
102 第1の基材
104 デバイス
106 キャビティ
108 第2の基材
110 ゲッタ材料の第1の部分
110a、110b、および112a、112b ゲッタ材料の層
111a、111b ゲッタ材料110a、110bの一部
112 ゲッタ材料の第2の部分
114 第1の一部
116 第2の一部
118 第2の基材
200 構造
202 電気接点
204 電気接点
206 面
300 構造
302および304 キャビティ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6