(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
マイクロ波帯以上の周波数の連続波を出力する発振器の出力の一部を所定期間だけパルス状に減衰させて送信波を生成するとともに、この送信波を送信アンテナから対象物に向けて放射させる送信手段と、
前記対象物からの反射波を受信アンテナで受信するとともに、受信した反射波を前記送信波で検波することで前記対象物までの測距情報を得る検波手段と、
を備える、
レーダ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
レーダ装置では、パルス電力と探知距離が比例する。平均電力を抑えつつ探知距離を大きくするには、特許文献1、2に示すようなパルス方式のレーダ装置が適している。しかし、近距離レーダでは探知距離よりも分解能を向上させる方が有用である。分解能の向上には、パルス幅を短く(例えば0.1[ns]〜1[ns])する必要がある。特許文献1のミリ波レーダでは、パルス幅が数[ns]オーダーであり、ここまでパルス幅を短くすることは考慮されていない。探知距離が短い場合には、パルス電力が例えば10[mW]程度あれば十分であり、平均電力を考慮する必要は無い。
【0008】
本発明は、小型、低コストで、簡易な構成の近距離の探知に適したレーダ装置を提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のレーダ装置は、マイクロ波帯以上の周波数の連続波を出力する発振器の出力の一部を所定期間だけパルス状に減衰させて送信波を生成するとともに、この送信波を送信アンテナから対象物に向けて放射させる送信手段と、前記対象物からの反射波を受信アンテナで受信するとともに、受信した反射波を前記送信波で検波することで前記対象物までの測距情報を得る検波手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
従来のパルス方式のレーダ装置では、パルス信号が立ち上がっている間だけ有効となる送信波を出力することになるが、本発明のレーダ装置の送信手段は、パルス信号とは逆に、パルス信号の間だけパルス状に減衰された連続波を出力する。対象物で反射された反射波は、対象物との位置関係や相対速度により、送信波とは位相や周波数が異なったものとなって受信される。検波手段は、この受信した反射波を送信波で検波することで、対象物までの距離や相対速度、対象物の方向等を表す測距情報となる。
このように本発明のレーダ装置は、パルス方式のレーダ装置と連続波方式のレーダ装置の両方の特徴を持つことができる。また、受信した反射波を送信波で検波するので、局部発振器等が不要となり、構成が簡素化され、コストダウンにつながる。
【0011】
前記送信手段は、前記パルス状に減衰された連続波の一部を前記送信波として前記
送信アンテナに導くとともに、残部を前記検波手段に送る回路要素を含んでいてもよい。前記回路要素は、例えば前記パルス状に減衰された連続波の前記一部を反射して、前記
送信アンテナに導く。この場合、前記検波手段は、前記パルス状に減衰された連続波の前記残部で前記受信した反射波を検波することが可能になる。前記回路要素により連続波をアンテナと検波手段とに分けて導くために、構成部品が少なく済み、装置全体を小型化できて低コスト化が図れる。
また、前記回路要素は、前記パルス状に減衰された送信波をさらに減衰させてもよい。
近距離レーダ装置では、このような装置構成も可能となる。
【0012】
前記送信手段は、具体的には、所定のパルス信号が入力されている期間に応じて前記発振器の出力を開状態にすることで前記連続波をパルス状に減衰させるスイッチ回路を備えるようにする。このスイッチ回路は、例えば、ショットキー・バリア・ダイオードを用いて構成されるものである。このようなスイッチ回路により、高速動作が可能となり、減衰される幅(パルス幅)の狭い連続波を形成することができ、近距離用の測距に適したレーダ装置を実現することができる。
また、このようなショットキー・バリア・ダイオードを用いて、連続波の周波数を逓倍して前記連続波よりも高い周波数の送信波を生成するようにしてもよい。連続波を逓倍して送信波を生成する場合には、高い周波数の発振器を用意する必要が無く、更なるコストダウンが図れる。前記パルス信号は、例えばパルス幅を0.1[ns]〜1.0[ns]にして、近距離の探知であっても測距精度を上げる。
【発明の効果】
【0013】
以上のような本発明のレーダ装置では、その一部を減衰させた連続波を測距用の送信波として用いるとともに、対象物で反射された受信波の検波にも用いるため、別途、局部発振器を用いる必要が無くなり、低コストで、簡易な構成の近距離の探知に適したレーダ装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明をマイクロ波(ミリ波)帯で使用するレーダ装置に適用した場合の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、本実施形態のレーダ装置1の構成図である。このレーダ装置1は、送受信用の高周波発振器2、第1リアクタンス回路3、第2リアクタンス回路5、パルス変調用の変調器として機能するショットキー・バリア・ダイオード(以下、「SBD(Shottoky Barrier Diode」)4、3dBカプラ6、二状態デバイス7,8、送受信用アンテナ9、増幅器10、出力端子11、及びパルス発生器12を備えている。3dBカプラ6及び二状態デバイス7,8は、同一の容器若しくは筐体に収容されている。
このレーダ装置1は、例えば車載可能な小型のものであり、探知距離が150[m]〜2[m]の近距離レーダに用いることができる。レーダ装置1から出力される信号は、出力端子11から後続の電子回路(図示省略)に送られる。後続の電子回路では、レーダ装置1から送られる信号により、対象物までの距離、相対速度、位置等の算出等の処理が行われる。
【0017】
高周波発振器2は、連続波(continuous wave)の発振器である。レーダ装置1が近距離レーダであるので、高周波発振器2から出力される連続波の出力は10[dBm]を超えない程度で充分である。
高周波発振器2から出力される連続波は、第1リアクタンス回路3を介してSBD4に入力される。連続波は、マイクロ波帯やミリ波帯の高周波である。
【0018】
SBD4は、パルス発生器12から入力されるパルス信号に応じてスイッチ動作を行うことで、連続波の一部を所定期間パルス状に減衰させて変調した変調波を生成する。例えばSBD4は、第1リアクタンス回路3と第2リアクタンス回路5との間の経路をパルス信号が入力されている期間だけ開状態にすることで、連続波をパルス状に減衰させる。
図2にこの様子を示す。
【0019】
図2aは、パルス信号の例示図である。
図2bは、高周波発振器2の出力である連続波の例示図である。
図2cは、SBD4から出力される変調波の例示図である。SBD4のスイッチ動作により、
図2bの連続波が
図2aのパルス信号が入力される期間だけ減衰され、
図2cに例示する変調波となる。
変調波は、
図2cに示されるように、パルス方式のレーダ装置の送信波とは逆に、パルス信号の間だけ送信が途切れることになる。このSBD4から出力される変調波は、第2リアクタンス回路5を経て、3dBカプラ6に入力される。
なお、
図2cでは、変調波の減衰部分の振幅が0になっているが、完全に0になる必要は無く、他の部分に比べて明らかに減衰されていればよい。
【0020】
レーダ装置1が近距離レーダであるので、パルス信号のパルス幅は、できるだけ短いことが好ましい。本例では、パルス幅を△T=0.1[ns]〜1.0[ns]のショットパルスにすることで、1.5[cm]〜15[cm]の分解能で測距が可能となる。
図2aの例では、パルス幅(△T)が0.5[ns]なので、分解能は7.5[cm]となる。SBD4は、このようなパルス信号による高速スイッチ動作に適しているが、同様の高速動作が可能なスイッチ回路をSBD4に代えて用いてもよい。また、SBD4へ入力されるパルス信号の極性は、
図2aとは逆であっても利用可能である。
【0021】
高周波発振器2としては、マイクロ波帯やミリ波帯の連続波の発振器が高価であることから、代わりに周波数が比較的低い連続波を出力する安価な発振器を用い、この発振器の出力をSBD4で逓倍して高い周波数の変調波を得るようにしてもよい。この場合、SBD4が、スイッチ回路の機能の他に逓倍回路としての機能も有することになる。
【0022】
3dBカプラ6は、容器若しくは筐体内の基板への取付が容易な超小型の4端子デバイスであり、第1〜第4端子61〜64を備えている。
第1端子61から入力される信号は、第3端子63及び第4端子64のそれぞれから、電力が1/2の信号として出力される。第1端子61から入力される信号と第3端子63から出力される信号は同位相であり、第1端子61から入力される信号と第4端子64から出力される信号は位相が90度異なる。
第2端子62から入力される信号は、第3端子63及び第4端子64のそれぞれから、電力が1/2の信号として出力される。第2端子62から入力される信号と第3端子63から出力される信号は位相が90度異なり、第2端子62から入力される信号と第4端子64から出力される信号は同位相である。
第3端子63から入力される信号は、第1端子61及び第2端子62のそれぞれから、電力が1/2の信号として出力される。第3端子63から入力される信号と第1端子61から出力される信号は同位相であり、第3端子63から入力される信号と第2端子62から出力される信号は位相が90度異なる。
第4端子64から入力される信号は、第1端子61及び第2端子62のそれぞれから、電力が1/2の信号として出力される。第4端子64から入力される信号と第1端子61から出力される信号は位相が90度異なり、第4端子64から入力される信号と第2端子62から出力される信号は同位相である。
第1端子61と第2端子62との間、及び第3端子63と第4端子64との間では、信号の入出力が行われない。
【0023】
第1端子61にはSBD4から第2リアクタンス回路5を介して変調波が入力される。第2端子62には、送受信用アンテナ9が接続される。第3、第4端子63、64には、それぞれ二状態デバイス7、8が接続される。
【0024】
3dBカプラ6の第3、第4端子63、64に接続される二状態デバイス7、8は、第3、第4端子63、64との間で概ねインピーダンス整合状態になるが、完全な整合状態ではない。完全な整合状態のときには、変調波が3dBカプラ6の第3、第4端子63、64側にまったく反射されないが、完全ではないために、一部が反射される。反射された変調波の一部は、送信波として送受信アンテナ9へ導かれる。反射されない変調波の残部は、二状態デバイス7、8において検波に用いられる。なお二状態デバイス7、8は、3dBカプラ6の第3、第4端子63、64との間で概ねインピーダンス整合状態にあるので、変調波の大部分は検波に用いられる。そのために変調波の一部である送信波の送信出力が小さくなるが、本実施形態のレーダ装置1は近距離を測距するので、送信出力は10[dBm]を超えない程度で充分である。
【0025】
二状態デバイス7、8には、例えばSBDを用いることができる。SBDに3dBカプラ6を介して変調波が加えられると、SBDには整流作用により自己バイアス電圧が発生する。このため、SBDは入力された変調波に対し、概ねインピーダンス整合状態となるものの、完全なインピーダンス整合状態とはなっていない。従って、SBDに入力された変調波の大部分は検波に用いられるが、一部は反射されて送信波として送受信アンテナ9へ送られる。なお、SBDに入力される変調波について、反射させて送信波とする成分と検波に用いる成分との割合を変えたい場合がある。この場合には、
図1の構成に加えて、SBDのアノード端子とカソード端子との間に適切な電圧を別途印加する手段を設けることで、変調波に対するSBDのインピーダンス整合状態を調整することができる。
【0026】
3dBカプラ6は、このような二状態デバイス7、8により、送信系と受信系の2つの経路を同時に形成することになる。
この3dBカプラ6の動作について、
図3、4を参照して詳細に説明する。
図3a、bは、送信系における3dBカプラ6内の変調波の伝送経路を表す図であり、
図4は、受信系における3dBカプラ6内の受信波の伝送経路を表す図である。
【0027】
送信系では、3dBカプラ6の第1端子61に入力された変調波が、第3、第4端子63、64から、90度の位相差をもって二状態デバイス7、8に出力される(
図3a)。送信系では変調波の一部が二状態デバイス7、8で反射されて第3、第4端子63、64に返される。第3、第4端子63、64に返された変調波は、第1、第2端子61、62に送られる。第1端子61に送られる変調波は、第4端子64から入力された変調波が第3端子63から入力された変調波に対して位相差が180度になるために、打ち消される。そのために第1端子61から変調波は出力されない。第2端子62に送られる変調波は、第3端子63から入力された変調波の位相が90度ずれて第4端子64から入力された変調波と同位相になる。そのために第2端子62から出力される変調波は、第1端子61に入力される変調波に対して位相が90度ずれる。第2端子62から出力される変調波は、送信波として送受信用アンテナ9から放射される(
図3b)。
【0028】
受信系では、送受信アンテナ9で受信された反射波が、3dBカプラ6の第2端子62に受信波として入力される。受信波は、送信波に対して対象物までの距離に応じた量だけ遅延する。また、受信波の周波数は、ドップラ効果により対象物との相対速度に応じて変化する。
第2端子62に入力された受信波は、第3、第4端子63、64から、90度の位相差をもって二状態デバイス7、8に出力される。このときにも第1端子61には変調波が入力されており(
図4)、一部が
図3bに示すように反射されている。二状態デバイス7、8では、第1端子61から入力された変調波の残部により第2端子62から入力された受信波をホモダイン検波する。
【0029】
送受信用アンテナ9は、3dBカプラ6から送られる送信波を放射するとともに、送信波が対象物に反射した反射波を受信する。反射波は、受信波として3dBカプラ6に送られる。
【0030】
増幅器10は、二状態デバイス8によりホモダイン検波された受信波を所定の増幅率で増幅して、図示しない後続の電子回路に出力する。
【0031】
このようなレーダ装置1により、
図2cに示す変調波を用いて対象物との間の距離を測定する場合について説明する。
なお、各回路の遅延時間は予め調整されているものとする。
【0032】
図2cに示す変調波は、3dBカプラ6及び二状態デバイス7、8により、90度位相がずれた送信波として送受信アンテナ9から放射される。
図5は、このような送信波の例示図である。送受信アンテナ9から放射された送信波は、対象物に反射する。送信波は、対象物までの距離に応じた時間Δt後に反射波として送受信アンテナ9に受信され、3dBカプラ6に受信波として入力される。
図6は、このような受信波の例示図である。
【0033】
送信波と受信波とにより、対象物までの距離(L)は、以下の式で求められる。
L=Δt・C/2
C:光速
【0034】
送信波と受信波とにより、対象物との相対速度(v)は、以下の式で求められる。
λ=C/f0
f1=f0−2v/λ
fd=f1−f0=−(2v/λ)
v=−(fd・λ/2)
λ:送信波の波長、C:光速、f0:送信波の周波数、f1:受信波の周波数、fd:ドップラ周波数
【0035】
図6の受信波を、
図5の送信波でホモダイン検波すると、
図7に示すような検波信号が得られる。検波信号は、増幅器10により増幅されて、出力端子11から外部の電子回路に送られる。
図7における検波信号は、Δtの測定により、レーダ装置1から対象物までの距離測定が可能である。また、対象物との間の相対速度に応じて、受信波の周波数が変化する。この周波数の変化(上式のドップラ周波数(fd))は、検波信号の検波電圧によって表される。検波信号は、対象物との相対速度により、変調波の1/4波長毎に上下動し、この上下動の計測により、相対速度情報も得られる。
【0036】
このように本実施形態のレーダ装置1は、従来のパルス方式のレーダ装置と逆に、パルス波でパワーを送らないレーダ方式である。このような送信波を用いることで、対象物との距離の他に、ドップラ効果により対象物との相対速度の計測も、従来のパルス方式のレーダ装置よりも高精度に検出可能である。
また、レーダ装置1は、近距離用のレーダ装置なので、送信波の送信電力が小さくても問題なく測距等に用いることができる。
【0037】
レーダ装置1では、連続波の一部をパルス状に減衰させた変調波を、送信波として用いる他に、ホモダイン検波用の局部発信信号としても用いる。このように高周波発振器2は、送信波用の発振器とホモダイン検波用の局部発振器として兼用されるため、部品の簡素化やコストダウンが実現できる。
さらに、SBD4を変調器として用いることで、構成が簡素になる。SBD4を変調器の他に、発振器からの連続波を逓倍することにも用いることで、高周波発振器2に比較的周波数の低い発振器を用いることができるので、周波数の安定性、発振器のコストダウンが図れる。
本実施形態のレーダ装置1は、このように簡易な構成で従来よりも大幅に構成部品を減らしているために、コスト削減及び小型化の他に、良品率の向上が期待できる。
【0038】
[他の実施形態1]
図8は、他の実施形態のレーダ装置1aの構成図である。レーダ装置1aは、
図1のレーダ装置1の3dBカプラ6及び二状態デバイス7、8を、サーキュレータ13及びミクサ14に置き換えた構成である。
サーキュレータ13には、SBD4から、例えば
図2cに示すような変調波が入力される。サーキュレータ13は、入力された変調波を送受信アンテナ9に送る。送受信アンテナ9に送られた変調波は、送信波として送受信アンテナ9から放射される。
【0039】
送受信アンテナ9から放射された送信波は、対象物に反射した反射波として送受信アンテナ9に受信される。反射波は、受信波として送受信アンテナ9からサーキュレータ13に送られる。サーキュレータ13は、受信波をミクサ14に送る。ミクサ14は、サーキュレータ13からリークされる変調波に基づいて受信波をホモダイン検波する。ホモダイン検波の結果得られる検波信号は、増幅器10を介して後段の電子回路に送られる。
【0040】
[他の実施形態2]
図9は、他の実施形態のレーダ装置1bの構成図である。レーダ装置1bは、
図8のレーダ装置1aのサーキュレータ13を方向性結合器15に置き換えた構成である。
方向性結合器15には、SBD4から、例えば
図2cに示すような変調波が入力される。方向性結合器15は、入力された変調波を送受信アンテナ9に送る。送受信アンテナ9に送られた変調波は、送信波として送受信アンテナ9から放射される。
【0041】
送受信アンテナ9から放射された送信波は、対象物に反射した反射波として送受信アンテナ9に受信される。反射波は、受信波として送受信アンテナ9から方向性結合器15に送られる。方向性結合器15は、受信波をミクサ14に送る。ミクサ14は、方向性結合器15からリークされる変調波に基づいて受信波をホモダイン検波する。ホモダイン検波の結果得られる検波信号は、増幅器10を介して後段の電子回路に送られる。
【0042】
レーダ装置1a、1bにおいても、レーダ装置1と同様の変調波を用いており、またこの変調波によりホモダイン検波を行う。そのために、レーダ装置1と同様の効果を持つことができる。
【0043】
レーダ装置1bでは、送受信アンテナ9を用いているが、送信アンテナと受信アンテナとを別に設けてもよい。この場合、送信アンテナを、送受信アンテナ9に置き換えて設け、受信アンテナを送信アンテナからの信号の干渉が無い端子(
図9では、抵抗で終端されている端子)に接続する。
【0044】
[他の実施形態3]
図10は、他の実施形態のレーダ装置1cの構成図である。レーダ装置1cは、送信用と受信用にそれぞれ別個のアンテナを設けるとともに、受信波を送信波の周波数よりも低い中間周波数に変換して、この中間周波数に変換された受信波を中間周波数でホモダイン検波する。そのためにレーダ装置1cは、変調波を生成するレーダ装置1と同様の構成の他に、方向性結合器15、PLL(Phase Locked Loop)16、IF(Intermediate Frequency)波発振器2a、ミクサ17、19、増幅器18、送信用アンテナ9a、及び受信用アンテナ9bを備える。
【0045】
方向性結合器15は、送信用アンテナ9aに変調波を送る他に、変調波をPLL16に送る。PLL16は、IF波発振器2aから入力されるIF波と変調波との位相比較を行い、その比較結果に応じて、IF波と変調波の合成波を生成する。合成波は、ミクサ17に送られる。IF波は、変調波に対して十分に低い周波数であり、例えば、変調波の周波数が24[GHz]の場合には、IF波の周波数を500[MHz]にする。この場合、合成波の周波数を500[MHz]として扱うことができる。
【0046】
ミクサ17には、PLL16で生成された合成波と、受信アンテナ9bで受信された受信波が入力される。受信波は、送信波の成分とドップラ効果によるドップラ波の成分を含んでいる。ミクサ17により合成波と受信波とをミキシングすることで、それぞれに含まれる送信波(変調波)の成分が打ち消され、IF波とドップラ波との受信合成波が生成される。受信合成波は、増幅器18で増幅された後にミクサ19に送られる。
【0047】
ミクサ19では、IF波発振器2aから出力されるIF波に基づいて増幅された受信合成波を検波することで、検波信号を生成する。検波信号は、増幅器10で増幅されて、出力端子11から外部の電子回路へ出力される。
【0048】
検波信号は、周波数がドップラ波と同じで、送信波及び受信波の減衰された部分がそのまま減衰された波形である。周波数により対象物との相対速度が検出され、減衰された部分により対象物との距離の測定が可能である。
【0049】
このようなレーダ装置1cでは、IF波の周波数を変調波の周波数よりも十分に低く設定することで、受信波の周波数を扱いやすい低い周波数に変換したうえで検波することができる。このような構成では、検波時の周波数が低く帯域も制限されるために、歪みを小さくでき、受信機としても感度や安定度を上げることができる。