特許第5781388号(P5781388)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リンテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5781388-印刷装置 図000002
  • 特許5781388-印刷装置 図000003
  • 特許5781388-印刷装置 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5781388
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41F 17/10 20060101AFI20150907BHJP
   B65H 37/04 20060101ALI20150907BHJP
   B65H 41/00 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
   B41F17/10 H
   B65H37/04 A
   B65H41/00 A
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-156826(P2011-156826)
(22)【出願日】2011年7月15日
(65)【公開番号】特開2013-22759(P2013-22759A)
(43)【公開日】2013年2月4日
【審査請求日】2014年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚本 勝秀
【審査官】 亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−162732(JP,A)
【文献】 特表昭61−500489(JP,A)
【文献】 実開昭63−110450(JP,U)
【文献】 特開昭63−097565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 17/10
B65H 37/04
B65H 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の剥離シートの一方の面に帯状の接着シートが仮着された原反を繰り出す繰出手段と、
前記繰出手段で繰り出された原反の接着シートから前記剥離シートを一旦剥離して迂回させる迂回手段と、
前記迂回手段で剥離シートが迂回されることによって表出した接着シートの接着剤層、前記接着シートから迂回された剥離シートの一方の面、および前記剥離シートの他方の面のうちの少なくとも1つの面に印刷を施す印刷手段と、
前記迂回手段で迂回された剥離シートに前記接着シートを再仮着させる再仮着手段と、
前記再仮着手段における再仮着時の剥離シートと接着シートとの合せ面内方向であって、各シートの繰出方向に直交する位置合せ方向における剥離シートと接着シートとの相対位置を所定の位置に合せる位置合せ手段とを備え、
前記位置合せ手段は、前記迂回手段から前記再仮着手段までの間において互いに剥離された前記接着シートおよび剥離シートのうち、少なくとも一方の位置合せ対象シートに当接可能に設けられるとともに、当該位置合せ対象シートにおける前記位置合せ方向に延びるガイド手段と、当該位置合せ方向と直交する回動軸を中心に前記ガイド手段を回動可能に支持する支持手段とを有して構成され
前記支持手段は、前記ガイド手段を前記位置合せ対象シートに向かって付勢する付勢手段と、この付勢手段の反対側から前記ガイド手段に接続されて当該ガイド手段の振動を減衰させる減衰手段とを備えて構成されていることを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帯状の剥離シートに帯状の接着シートが仮着された原反に対して印刷を施す印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の印刷装置は、原反の搬送方向の上流側および下流側に設けた2つの駆動ローラで原反を搬送駆動し、これら駆動ローラに回転速度差を与えることで駆動ローラ間の接着シートに所定の張力を付与しつつ、接着シートから剥離シートを迂回させて当該接着シートの両面に印刷を施すように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4408945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の印刷装置は、剥離した剥離シートを接着シートに対して迂回させるため、迂回している間の接着シートや剥離シートの蛇行等により接着シートと剥離シートとの間にその合せ面方向であって、当該合せ面の繰出方向に直交する方向における剥離シートと接着シートとの相対位置がずれてしまう。このため、剥離シートに接着シートを再仮着させる際に、接着シートが幅方向にずれた状態で剥離シートに貼付されてしまうという不都合がある。
【0005】
本発明は、接着シートと剥離シートとの再仮着時の位置ずれを防止することができる印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明の印刷装置は、帯状の剥離シートの一方の面に帯状の接着シートが仮着された原反を繰り出す繰出手段と、前記繰出手段で繰り出された原反の接着シートから前記剥離シートを一旦剥離して迂回させる迂回手段と、前記迂回手段で剥離シートが迂回されることによって表出した接着シートの接着剤層、前記接着シートから迂回された剥離シートの一方の面、および前記剥離シートの他方の面のうちの少なくとも1つの面に印刷を施す印刷手段と、前記迂回手段で迂回された剥離シートに前記接着シートを再仮着させる再仮着手段と、前記再仮着手段における再仮着時の剥離シートと接着シートとの合せ面内方向であって、各シートの繰出方向に直交する位置合せ方向における剥離シートと接着シートとの相対位置を所定の位置に合せる位置合せ手段とを備え、前記位置合せ手段は、前記迂回手段から前記再仮着手段までの間において互いに剥離された前記接着シートおよび剥離シートのうち、少なくとも一方の位置合せ対象シートに当接可能に設けられるとともに、当該位置合せ対象シートにおける前記位置合せ方向に延びるガイド手段と、当該位置合せ方向と直交する回動軸を中心に前記ガイド手段を回動可能に支持する支持手段とを有して構成され、前記支持手段は、前記ガイド手段を前記位置合せ対象シートに向かって付勢する付勢手段と、この付勢手段の反対側から前記ガイド手段に接続されて当該ガイド手段の振動を減衰させる減衰手段とを備えて構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の印刷装置において、前記ガイド手段は、前記位置合せ対象シートにおける前記位置合せ方向に沿った回転軸を中心に回転可能に支持されたガイドローラで構成されていることが好ましい
【発明の効果】
【0009】
以上のような本発明によれば、位置合せ手段により、剥離シートと接着シートとの合せ面内方向であって、各シートの繰出方向に直交する位置合せ方向における剥離シートと接着シートとの相対位置を所定の位置に合せた上で、剥離シートに接着シートを再仮着させるため、例えば、剥離シートと接着シートとを迂回させる前の相対位置関係に合せて再仮着することができる。
【0010】
本発明において、ガイドローラでガイド手段を構成すれば、位置合せ対象シートに対するストレスを低減させることができる。
また、ガイド手段を位置合せ対象シートに向かって付勢する付勢手段を設ければ、当該シートが蛇行等によりガイド手段から離れることを防止することができるので、再仮着時の位置ずれを確実に防止することができる。さらに、付勢手段の反対側に減衰手段を設ければ、原反の繰り出しや間欠送り、正負反転などによってガイド手段に加わる振動や衝撃を減衰手段によって吸収して減衰させることで、ガイド手段と位置合せ対象シートとの位置ずれが防止でき、剥離シートと接着シートとの相対位置を確実に合せることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る印刷装置の模式図。
図2図1の印刷装置における位置合せ手段の断面図。
図3図2と直交方向の位置合せ手段の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本明細書において明示のない、例えば、上、下、左、右、または、手前、奥という方向を示す表現は、全て図1を基準に用いられる。また、X軸方向とは図1中左右方向、Y軸方向とは図1中紙面直交方向、Z軸方向とは図1中上下方向とする。
図1に示すように、本実施形態の印刷装置1は、帯状の剥離シートRLの一方の面である剥離面RL1に仮着された接着シートSから剥離シートRLを迂回させ、接着シートSおよび剥離シートRLに印刷を施した後に接着シートSと剥離シートRLとを再仮着すものである。ここで、接着シートSは、基材シートBSの一方の面に接着剤層ADが積層されるとともに、当該接着剤層ADを介して剥離シートRLの剥離面RL1に仮着された原反Rとして予め準備されている。
【0013】
印刷装置1は、原反Rを繰り出す繰出手段2と、繰り出された原反Rの接着シートSから剥離シートRLを一旦剥離して迂回させる迂回手段3と、剥離シートRLおよび接着シートSに印刷を施す印刷手段4と、接着シートSおよび剥離シートRLに印刷されたインクを硬化させる硬化手段5と、剥離シートRLに接着シートSを再仮着させる再仮着手段6と、再仮着時の剥離シートRLと接着シートSとの繰出方向(図のX軸方向であり、各シートRL,Sの長さ方向)の位置関係を剥離前の位置関係に合せる第1位置合せ手段7と、再仮着手段6における再仮着時の剥離シートRLと接着シートSとの合せ面内方向であって、各シートRL,Sの繰出方向に直交する位置合せ方向(図のY軸方向であり、各シートRL,Sの短寸幅方向)における剥離シートRLと接着シートSとの相対位置を所定の位置に合せる位置合せ手段としての第2位置合せ手段8と、剥離シートRLに接着シートSが再仮着された原反Rを巻き取る巻取手段9と、上記各手段2〜9等を制御する制御手段10とを備え、その全体が図示しないベースフレームに支持されている。
【0014】
繰出手段2は、原反Rをロール状に巻回して支持するとともに駆動機器であってその駆動トルクおよび回転速度を制御可能な回動モータ21によって駆動する支持ローラ22と、駆動機器であってその駆動トルクおよび回転速度を制御可能な回動モータ23によって駆動する駆動ローラ24と、駆動ローラ24との間に原反Rを挟み込むピンチローラ25とを備えている。
【0015】
迂回手段3は、接着シートSから剥離シートRLを剥離させる剥離ローラ31と、駆動機器であってその駆動トルクおよび回転速度を制御可能な回動モータ32,33によって駆動され、剥離シートRLをガイドして迂回させる迂回ローラ34,35と、迂回ローラ34,35との間に剥離シートRLを挟み込むピンチローラ36,37とを備えている。接着シートSから迂回された剥離シートRLは、各迂回ローラ34,35間で所定の張力となるように、回動モータ32,33により張力制御が行われる。これら迂回ローラ34,35と回動モータ32,33とで、剥離シート張力付与手段が構成される。
【0016】
印刷手段4は、剥離シートRLの剥離面RL1に図示しない画像や文字、位置合せマーク等の所定の印刷を施す第1印刷ユニット4Cと、剥離シートRLの剥離面RL1とは反対側の面であって他方の面である剥離シート裏面RL2に図示しない画像や文字、位置合せマーク等の所定の印刷を施す第2印刷ユニット4Dと、接着シートSの基材シートBSに図示しない画像や文字、位置合せマーク等の所定の印刷を施す第3印刷ユニット4Eと、接着シートSの接着剤層ADに図示しない画像や文字、位置合せマーク等の所定の印刷を施す第4印刷ユニット4Fとを備えている。
【0017】
硬化手段5は、第1〜第4印刷ユニット4C〜4Fにおける接着シートSまたは剥離シートRLの繰出方向下流側に設けられた第1〜第4硬化ユニット5A〜5Dを備えている。各硬化ユニット5A〜5Dは、エア吹付装置や紫外線照射装置等で構成され、接着シートSおよび剥離シートRLの印刷面にエアを吹き付けてインクを乾燥させたり、紫外線硬化型のインクを用いている場合は紫外線を照射したりすることにより、インクを硬化させるように構成されている。各硬化ユニット5A〜5Dによりインクを硬化させることで、各ローラ35,37,81〜84,87との接触や再仮着手段6での再仮着時に、接着シートSおよび剥離シートRLの印刷面が擦れて印刷画像が不鮮明になったり印刷面が汚れたりすることが防止される。
【0018】
再仮着手段6は、迂回手段3で迂回してきた剥離シートRLを接着シートSの送り方向に誘導する誘導ローラ61と、誘導ローラ61に対向して設けられたピンチローラ62とを備え、接着シートSと剥離シートRLとを誘導ローラ61およびピンチローラ62間に挟み込むことにより、接着シートSを剥離シートRLに再仮着させる。
【0019】
第1位置合せ手段7は、図示しないベースフレームに回転自在に支持され、剥離シートRLが迂回された接着シートSを案内する固定ローラ71〜74と、駆動機器としての直動モータ75と、直動モータ75のスライダ76に回転自在に支持され、Z軸方向に移動可能な移動ローラ77とを備えている。これら固定ローラ71〜74と移動ローラ77とに接着シートSが掛け回されることで、迂回されている剥離シートRLの長さと剥離シートRLが迂回されている接着シートSの長さとが同じ長さになるように設定されている。
【0020】
第2位置合せ手段8は、迂回手段3によって剥離された接着シートSおよび剥離シートRLのそれぞれに対し再仮着手段6よりも上流側に設けられている。ここでは、剥離シートRLを位置合せする第2位置合せ手段8を参照して説明する。第2位置合せ手段8は、図2および図3に示すように、剥離シートRLに当接するガイド手段としてのガイドローラ81と、このガイドローラ81を回動可能に支持する支持手段82とを有して構成されている。ガイドローラ81は、剥離シートRLの短寸幅方向かつ位置合せ方向であるY軸方向に沿って長尺に形成され、Y軸方向に平行な回転軸81Aを中心に回転可能に支持されている。なお、接着シートSを位置合せする第2位置合せ手段8においては、ガイドローラ81は、接着シートSの基材シートBSに当接可能に設けられている。
【0021】
支持手段82は、図示しないフレームに支持されたベース83と、このベース83に回動自在に支持されたサブフレーム84と、ベース83に対するサブフレーム84の位置を調節する一対の位置調節機構85とを備えて構成されている。ベース83は、Y−Z平面に沿った背面部831と、この背面部831のY軸方向両端部から延びるフランジ832とを有して断面略コ字形に形成され、背面部831には、サブフレーム84を支持する一対のブラケット833が設けられている。サブフレーム84は、背面部831に対向して設けられる本体部841と、この本体部841の両端側から延びてガイドローラ81を軸支する軸受け部842とを有し、本体部841のY軸方向中央部が一対のブラケット833に渡る回動軸86を介して支持されている。左右の軸受け部842には、適宜なベアリング等を介してガイドローラ81の両端部が支持されている。従って、ガイドローラ81は、剥離シートRLの位置合せ方向であるY軸方向と直交するZ軸方向に沿って延びる回動軸86を中心にして回動可能に支持されている。また、ベース83の背面部831とサブフレーム84の本体部841との間には、減衰手段としてのショックアブソーバ87が2箇所に設けられており、印刷を実施する際の原反Rの間欠送りや正負反転などによってガイドローラ81に振動や衝撃が加わったとしても、ショックアブソーバ87によって振動等を吸収し、ガイドローラ81の位置ずれが防止できるようになっている。
【0022】
位置調節機構85は、ベース83のフランジ832に固定される支持部851と、この支持部851をX軸方向に貫通するとともに先端がサブフレーム84の本体部841に対して摺動可能に接続されたねじ軸852と、ねじ軸852を挿通するとともに支持部851と本体部841とに渡って設けられた付勢手段としての圧縮ばね853とを有して構成されている。ねじ軸852は、支持部851と螺合されており、回転操作によってねじ軸852をX軸方向背面部831側に進出させることで、圧縮ばね853で付勢されたサブフレーム84の端部が背面部831に近づくように移動し、一方、逆向きに操作してねじ軸852を後退させることで、圧縮ばね853の付勢力に抗してサブフレーム84の端部が背面部831から遠ざかるように移動する。このように左右の位置調節機構85におけるねじ軸852を適宜操作することによって、回動軸86を中心にしてサブフレーム84を回動させ、剥離シートRLの繰り出し方向であるZ軸回りにガイドローラ81を角度調整することができ、この角度調整によってガイドローラ81で案内する剥離シートRLの位置合せが実施できるようになっている。また、ねじ軸852には、その進退位置を位置決めするナット854が設けられており、ガイドローラ81を適宜に角度調整した後に支持部851に対してナット854を締め付けることで、調整後の状態が保持できるようになっている。
【0023】
巻取手段9は、駆動機器であってその駆動トルクおよび回転速度を制御可能な回動モータ91によって駆動して原反Rを巻き取る巻取ローラ92と、駆動機器であってその駆動トルクおよび回転速度を制御可能な回動モータ93によって駆動する駆動ローラ94と、駆動ローラ94との間に原反Rを挟み込むピンチローラ95とを備えている。ここで、駆動ローラ94,24と回動モータ93,23とで、接着シート張力付与手段が構成され、接着シートSは、駆動ローラ94と駆動ローラ24との間で所定の張力となるように、回動モータ93,23により張力制御が行われる。
【0024】
制御手段10は、パーソナルコンピュータやシーケンサ等で構成され、印刷装置1の全体の動作が制御可能に設けられている。
【0025】
以上の印刷装置1において、接着シートSおよび剥離シートRLに対して印刷を施す手順について説明する。
先ず、図1に示すように原反Rを通紙してセットが完了する。そして、制御手段10から起動の指令が入力された印刷装置1は、回動モータ21,23,32,33,93,91を同期駆動して原反Rを繰り出す。原反Rが繰り出されると、第3印刷ユニット4Eは、基材シートBSの上面に図示しない印刷を施す。基材シートBSに印刷が施された原反Rに対し、第3硬化ユニット5Cは、基材シートBSの上方からエアを吹き付けたり紫外線を照射したりして、基材シートBS上のインクを硬化させる。そして、剥離ローラ31により剥離シートRLが下方に案内されて第1印刷ユニット4Cに案内されるとともに、接着シートSが第4印刷ユニット4Fに案内される。
【0026】
剥離シートRLが接着シートSから迂回されると、第4印刷ユニット4Fは、剥離により表出した接着シートSの接着剤層ADに図示しない印刷を施し、第4硬化ユニット5Dは、接着剤層ADに対して上記と同様にして接着剤層AD上のインクを硬化させる。このようにして両面に印刷が施された接着シートSは、第1位置合せ手段7および第2位置合せ手段8を経由し、再仮着手段6に案内される。
【0027】
一方、剥離シートRLが案内された第1印刷ユニット4Cは、剥離シートRLの剥離面RL1に印刷を施し、第1硬化ユニット5Aが上記と同様にして剥離面RL1上のインクを硬化させる。また、第2印刷ユニット4Dは、剥離シート裏面RL2に印刷を施し、第2硬化ユニット5Bが上記と同様にして当該面上のインクを硬化させる。そして、剥離シートRLは、迂回ローラ35で接着シートSに向けて方向転換されて第2位置合せ手段8に送られる。
【0028】
第2位置合せ手段8において、剥離シートRLは、ガイドローラ81によってX軸方向に付勢され、若干量だけ折れ曲がった状態で案内され、短寸幅方向の位置が調整されてから再仮着手段6に送られる。そして、再仮着手段6で接着シートSが剥離シートRLに再仮着される。
【0029】
ここで、例えば、剥離シートRLと接着シートSとを迂回させる前の相対位置関係に合せて再仮着するときに、接着シートSおよび剥離シートRLのそれぞれの印刷の位置から、接着シートSと剥離シートRLとがX軸方向にずれた状態で再仮着されていると認められる場合には、第1位置合せ手段7の直動モータ75を介して移動ローラ77をZ軸方向に移動させることで、剥離シートRLの迂回部分のシート長と、剥離シートRLが迂回されている接着シートSのシート長とを同じ長さに設定することができる。これにより、迂回された剥離シートRLと当該剥離シートRLが迂回された接着シートSとの再仮着までの移動距離が同じになるため、接着シートSと剥離シートRLとが、X軸方向に関して迂回前の位置関係で剥離シートRLに再仮着されるようになる。
【0030】
また、接着シートSと剥離シートRLとがY軸方向にずれた状態で再仮着されている場合には、2箇所の第2位置合せ手段8のうちの少なくとも一方においてガイドローラ81の角度調整を行い、接着シートSおよび剥離シートRLの少なくとも一方の短寸幅方向の位置を調整する。具体的には、例えば、接着シートSに対して剥離シートRLがY軸方向+側(図1、3の紙面奥行き方向であり、図2の右方向)にずれていた場合には、剥離シートRL側の第2位置合せ手段8において、図2中左側のねじ軸852を背面部831に向かって進出させるか、図2中右側のねじ軸852を後退させるか、これらの両方を操作することで、ガイドローラ81の回転軸81Aを回動軸86を中心に平面視で反時計回りに回動させる。このようにガイドローラ81を角度調整することで、剥離シートRLがY軸方向−側に向かうようにして再仮着手段6に送られる。なお、上述と同様の操作を接着シートS側の第2位置合せ手段8で行ってもよいし、2箇所の第2位置合せ手段8の両方で行ってもよい。また、接着シートSに対して剥離シートRLがY軸方向−側にずれていた場合には、ガイドローラ81の回動方向が上述と逆向きになるようにねじ軸852を進退させればよい。以上のように、接着シートSに対する剥離シートRLのY軸方向の位置を調整することで、接着シートSと剥離シートRLとが、Y軸方向に関して剥離前の位置関係で再仮着されるようになる。
【0031】
そして、原反Rの全長にわたって接着シートSおよび剥離シートRLに印刷が施され、接着シートSおよび剥離シートRLが位置決めされて再仮着されると、原反Rは、駆動ローラ94の回転によって巻取ローラ92に送られて巻取ローラ92に巻き取られ、原反Rの巻き取りが終わって完了指令が入力されると、印刷装置1は、回動モータ21,23,32,33,93,91を停止し、次の原反Rの印刷に備える。
【0032】
以上のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、印刷装置1は、第2位置合せ手段8により、剥離シートRLと接着シートSとの合せ面内方向であって、各シートの繰出方向に直交する位置合せ方向(Y軸方向)における剥離シートRLと接着シートSとの相対位置を所定の位置に合せた上で、剥離シートRLに接着シートSを再仮着させることができる。この際、ガイドローラ81を回動させて回転軸81Aの角度を調整するだけでY軸方向の位置合せができるので、接着シートSや剥離シートRLに余計なストレスを与えないようにできるとともに、微細な調整が可能となって位置合せ精度を向上させることができる。
【0033】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質等を限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質等の限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0034】
例えば、第2位置合せ手段8としては、接着シートSおよび剥離シートRLの少なくとも一方に対して設けられていればよく、2箇所の第2位置合せ手段8のうちの一方を省略することができる。また、前記実施形態では、位置合せ方向であるY軸方向に延びるガイドローラ81に対し、剥離シートRL側の第2位置合せ手段8では、Z軸に平行な回動軸86を中心にX−Y平面内でガイドローラ81を回動させて角度調整し、接着シートS側の第2位置合せ手段8ではX軸に平行な回動軸86を中心にY−Z平面内でガイドローラ81を回動させて角度調整するように構成したが、このような構成に限定されるものではない。すなわち、ガイドローラ81を回動させる回動軸86は、位置合せ方向であるY軸方向と直交していればよく、X軸やZ軸とは必ずしも平行でなくてもよい。
【0035】
また、ガイド手段としては、ガイドローラ81のように回転軸81Aを中心に回転可能なものに限らず、接着シートSや剥離シートRLと摺接可能なガイド部材であってもよく、その際には、接着シートSや剥離シートRLへのストレスを抑制するために、ガイド部材の表面に摩擦抵抗の小さな材質を用いたり弾性材料を用いたりすることが好ましい。
また、第2位置合せ手段8の位置調節機構85としては、前記実施形態のような手動のものに限られず、駆動機器としての直動モータやアクチュエータを用いた電動や油圧などによって位置合せを実施するものでもよい。その際には、制御手段10を介して適宜な入力手段から入力された数値に基づいて位置合せを実施してもよいし、適宜なセンサで検出した位置ずれ量に基づいて位置合せを実施するように構成してもよい。
【0036】
また、印刷ユニットの数および配置については、前記実施形態の構成に限られない。例えば、第1および第2印刷ユニット4C,4Dのみを設けて剥離シートRLにのみ印刷を施すようにしてもよい。
印刷手段4としては、サーマルヘッド、ドットインパクトプリンタ、レーザプリンタ、インクジェットプリンタなども採用することができる。また、輪転式の印刷装置1に限らず、例えば、スクリーン印刷機等に本発明を適用してもよい。
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0037】
1 印刷装置
2 繰出手段
3 迂回手段
4 印刷手段
6 再仮着手段
8 第2位置合せ手段(位置合せ手段)
81 ガイドローラ(ガイド手段)
81A 回転軸
82 支持手段
86 回動軸
87 ショックアブソーバ(減衰手段)
853 圧縮ばね(付勢手段)
AD 接着剤層
R 原反
RL 剥離シート
S 接着シート
図1
図2
図3