(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して、一実施の形態の建設機械として大型の油圧ショベルを例として説明する。
図1は、油圧ショベル10の外観側面図である。油圧ショベル10は、走行体1と、走行体1上に旋回可能に設けられた旋回体2とを有する。旋回体2には、旋回体2の上部に設けられた運転室3と、旋回体2の後部に設けられたエンジン室4と、旋回体2の前方に取り付けられた多関節型のフロント装置6とを有する。フロント装置6は、ブーム11と、アーム12と、バケット13とを有する。
【0009】
走行体1は、左右一対の履帯1aを備え、履帯1aは走行モータ(不図示)により駆動される。旋回体2は、その中心部に設けられた旋回モータ(不図示)により走行体1に対して旋回される。ブーム11、アーム12、バケット13は、それぞれブームシリンダ14、アームシリンダ15、バケットシリンダ16の伸縮により回動される。これらの各モータおよび各シリンダはエンジン室4に設けられた油圧ポンプ(不図示)からの油圧によって駆動される。
【0010】
図2の平面図を用いて、運転室3の内部について説明する。
図2では、図面の上部が油圧ショベル10の前方に対応するものとする。運転室3には、運転席31と、運転席31の前方左右に位置する作業操作レバー32a、32bと、表示制御装置33とが設けられている。表示制御装置33は、表示モニタ331と、設定値入力操作部材332と、代用設定画面切替指示操作部材333と、表示状態切替指示操作部材334とを含んで構成される。表示モニタ331には、後述するコントローラの制御に応じて、文字や画像が表示される。設定値入力操作部材332は、後述する代用設定画面での設定値を入力する際にオペレータにより操作されるボタン、スイッチ等により構成される。代用画面設定切替指示操作部材333は、後述するように表示モニタ331の表示を代用設定画面に切り替える際にオペレータにより操作されるボタン、スイッチ等により構成される。表示状態切替指示操作部材334は、表示モニタ331に表示される表示内容を切り替える際にオペレータにより操作されるボタン、スイッチ等により構成される。設定値入力操作部材332、代用画面設定切替指示操作部材333および表示状態切替指示操作部材334は、オペレータによる操作に応じた操作信号をコントローラへ出力する。
【0011】
図3は、設定値入力操作部材332を構成する各種のボタンを説明する平面図である。設定値入力操作部材332には、設定値入力ボタン群40として、「↑」キー41、「↓」キー42、「←」キー43、「→」キー44、「○」キー45および「完了」キー46が設けられている。オペレータは、各種の入力値を選択する際には、上記の「↑」キー41、「↓」キー42、「←」キー43、「→」キー44および「○」キー45のいずれかを選択操作し、選択操作により選択した入力値を決定するために「完了」キー46を操作する。この操作を本明細書では、入力値決定操作と呼ぶ。
【0012】
図4は、表示状態切替指示操作部材334を構成する各種のボタンを説明する平面図である。表示状態切替指示操作部材334には、表示切替ボタン群50として、「決定○」キー51、「中止×」キー52、「選択↑」キー53、「選択↓」キー54、「選択←」キー55および「選択→」キー56が設けられている。オペレータは、各種の表示状態の切り替えの設定を選択する際には、上記の「選択↑」キー53、「選択↓」キー54、「選択←」キー55および「選択→」キー56のいずれかを選択操作し、選択操作により選択した設定を決定するために「決定○」キー51を操作する。本明細書では、この操作を決定操作と呼ぶ。切替決定操作により決定した設定を取り消し、表示モニタ331の表示状態を以前の表示に戻す場合には、オペレータは「中止×」キー52を操作する。本明細書では、この操作を中止操作と呼ぶ。
【0013】
図5のブロック図を用いて、表示制御装置33の制御系について詳細に説明する。なお、
図5においては、
図2で示した構成と同一のものについては、同一の符合を付与している。
図5に示すように、表示制御装置33は、表示モニタ331と、設定値入力操作部材332と、代用設定画面切替指示操作部材333と、表示状態切替指示操作部材334と、コントローラ338とを備えている。
【0014】
コントローラ338は、図示しないCPU、ROM等の周辺回路により構成され、入力した操作信号に基づいて各種の演算を行って、表示モニタ331の表示を制御する。また、コントローラ338は、機能として、画面切替部335と、入力値判定部336と、記憶部337とを有している。画面切替部335は、表示状態切替指示操作部材334から入力した操作信号に応じて表示モニタ331に表示される表示内容の切り替えを行う。入力値判定部336は、設定値入力操作部材332または表示状態切替指示操作部材334から入力した操作信号に応じて、オペレータにより入力操作された入力値を判定する。記憶部337は、後述する故障発生日や代用設定テーブルデータを記憶するための不揮発性の記憶媒体である。
【0015】
本実施の形態による表示制御装置33は、表示状態切替指示部材334の一のボタンが故障した場合、一のボタンで行う操作が可能となるように他のボタンを代用設定できるように構成されている。換言すると、表示切替ボタン群50のいずれかのボタンに故障が発生した場合、故障したボタンに対応する操作を、他の故障していないボタンに割り当てることにより、表示制御装置33は表示モニタ331の画面表示切替処理を継続する。以下の説明では、表示切替ボタン群50に故障が発生していない場合と、故障が発生している場合とに分けて説明する。
【0016】
−故障が発生していない場合−
表示切替ボタン群50に故障が発生していない場合の、表示制御装置33による表示モニタ331の表示状態切替処理と、表示モニタ331に表示される画面の一例とを説明する。
図6、
図7は表示モニタ331に表示される各種の画面を示す図である。
図6(a)は作業画面D1を示している。作業画面D1には、各種の情報として、例えば速度メータ、タコメータ、燃料残量メータおよび各種ランプが表示される。また、表示モニタ311に表示された作業画面D1の下部には、表示状態の切替操作をガイドするガイド領域R1が表示される。
図6(a)に示すように、作業画面D1が表示されているときのガイド領域R1には「○メニュー」が表示される。「○メニュー」の表示は、表示状態切替指示部334に含まれる「決定○」キー51を用いて決定操作をすることにより、作業画面D1から各種の設定を行うためのメニュー画面へ表示状態が切り替わることを示している。
【0017】
図6(b)にメニュー画面D2の一例を示す。
図6(b)に示すように、メニュー画面D2には、オペレータにより設定可能な項目L1〜L3として、たとえば「各種設定」、「機械情報」および「時計」が表示される。また、表示モニタ331にメニュー画面D2が表示されているとき、ガイド領域R2には、「↑↓選択」、「○決定」および「×戻る」が表示される。すなわち、オペレータが「選択↑」キー53または「選択↓」キー54を操作することにより上記の3つの設定可能な項目L1〜L3のうち所望するものを選択することができる。
【0018】
オペレータによる「選択↑」キー53または「選択↓」キー54の操作に応じて選択された項目は、背景と文字が白黒反転(たとえば文字が白色、背景が黒色)して表示される。
図6(b)に示す例では、オペレータにより項目L2の「機械情報」が選択されている様子を示している。
図6(b)に示す状態でオペレータが「選択↑」キー53を操作すると、項目L1の「各種設定」を選択できる。この場合、項目L1の「各種設定」の背景と文字とが白黒反転して表示され、その他の項目L2、L3の背景と文字とが通常表示(たとえば文字が黒色、背景が白色)される。また、
図6(b)に示す状態でオペレータが「選択↓」キー54を操作すると、項目L3の「時計」を選択できる。この場合、項目L3の「時計」の背景と文字とが白黒判定して表示され、その他の項目L1、L2の背景と文字とが通常表示される。 上記のように「選択↑」キー53または「選択↓」キー54をオペレータが操作して所望の項目を選択して、「決定○」キー51により決定操作をすると、表示モニタ331には選択された項目に応じた設定画面が表示される。また、メニュー画面D2が表示されているときにオペレータが「中止×」キー52により中止操作をすると、表示モニタ331の表示は作業画面D1に切り替わる。
【0019】
図7(a)に設定画面として表示モニタ331に表示される表示の一例を示す。
図7(a)は、
図6(b)に示すメニュー画面D2で項目L3の「時計」がオペレータに選択されて切り替わった時計設定画面D3の例を示している。時計設定画面D3には現在の「年、月、日、時、分、秒」が表示される。また、時計設定画面D3が表示されているとき、ガイド領域R3には、「○調整」および「×戻る」が表示される。「○調整」の表示は、表示状態切替指示部334に含まれる「決定○」キー51を操作することにより、現在の年月日、時刻を調整するための時計調整画面へ表示状態が切り替わることを示す。「×戻る」の表示は、表示状態切替指示部334に含まれる「中止×」キー52を操作することにより、時計設定画面D3からメニュー画面D2へ表示状態が切り替わることを示す。
【0020】
図7(b)は時計調整画面D4の一例を示す。
図7(b)に示すように、時計調整画面D4には、オペレータにより調整可能な項目M1〜M6が表示される。各項目M1〜M6には、たとえば「年」、「月」、「日」、「時」、「分」および「秒」にそれぞれ対応した数値が表示される。また、表示モニタ331に時計調整画面D4が表示されているとき、ガイド領域R4には、「↑↓選択」、「←→変更」、「○決定」および「×中止」が表示される。すなわち、オペレータが「選択↑」キー53または「選択↓」キー54を操作することにより上記の6つの設定可能な項目M1〜M6のうち所望するものを選択することができる。
【0021】
オペレータによる「選択↑」キー53または「選択↓」キー54の操作により選択された項目の数値は、「選択←」キー55または「選択→」キー56を操作することにより変更できる。たとえば、「選択←」キー55が操作されるごとに、選択されている項目に表示された数値が1ずつ減少し、「選択→」キー56が操作されるごとに、選択されている項目に表示された数値が1ずつ増加する。
図7(b)に示すように、「月」の数値を示す項目M2が選択され、かつ、項目M2の数値が2の場合にオペレータが「選択→」キー56を操作すると、
図7(c)に示すように項目M2の数値が3に変更される。なお、
図7(b)に示す場合も、項目M1〜M6のうちオペレータにより選択された項目は白黒反転表示される。この状態でオペレータが「決定○」キー51により決定操作をすると、項目M2の数値が3に変更して設定される。
【0022】
図8に、オペレータによる表示状態切替指示操作部材334の操作に応じて表示モニタ331に表示される画面が遷移する様子を示す。
図8(a)は、表示モニタ331に作業画面D1が表示された場合を示している。このときにオペレータが「決定○」キー51で決定操作をすると、表示状態切替指示操作部材334は、「決定○」キー51が操作されたことを示す操作信号をコントローラ338へ出力する。そして、画面切替部335は、入力した操作信号に従って、表示モニタ331の表示状態を作業画面D1から
図8(b)に示すメニュー画面D2へ切り替える。
【0023】
図8(b)に示すメニュー画面D2が表示されているときにオペレータにより「選択↓」キー54が操作されると、表示状態切替指示操作部材334は、「選択↓」キー54が操作されたことを示す操作信号をコントローラ338へ出力する。そして、画面切替部335は、入力した操作信号に従って、表示モニタ331のメニュー画面D2を
図8(c)に示すメニュー画面D2へ切り替える。すなわち、画面切替部335は、「機械情報」の項目L2を白黒反転表示させる。
【0024】
図8(c)に示すメニュー画面D2が表示されているときにオペレータにより「選択↓」キー54が操作されると、表示状態切替指示操作部材334は、「選択↓」キー54が操作されたことを示す操作信号をコントローラ338へ出力する。そして、画面切替部335は、入力した操作信号に従って、表示モニタ331のメニュー画面D2を
図8(d)に示すメニュー画面D2へ切り替える。すなわち、画面切替部335は、「時計」の項目L3を白黒反転表示させる。
【0025】
図8(b)〜(d)に示すメニュー画面D2が表示されているときに、オペレータが「中止×」キー52を用いて中止操作をすると、表示状態切替指示操作部材334は、「中止×」キー52が操作されたことを示す操作信号をコントローラ338へ出力する。そして、画面切替部335は、入力した操作信号に従って、表示モニタ331のメニュー画面D2を
図8(a)に示す作業画面D1へ切り替える。
【0026】
図8(d)に示すメニュー画面D2が表示されているときに、すなわち項目L3の「時計」が選択されているときにオペレータにより「決定○」キー51が操作されると、表示状態切替指示操作部材334は、「決定○」キー51が操作されたことを示す操作信号をコントローラ338へ出力する。そして、画面切替部335は、入力した操作信号に従って、表示モニタ331の表示状態をメニュー画面D2から
図8(e)に示す時計設定画面D3へ切り替える。
【0027】
図8(e)に示す時計設定画面D3が表示されているときにオペレータにより「決定○」キー51が操作されると、表示状態切替指示操作部材334は、「決定○」キー51が操作されたことを示す操作信号をコントローラ338へ出力する。そして、画面切替部335は、入力した操作信号に従って、表示モニタ331の表示状態を時計設定画面D3から
図8(f)に示す時計調整画面D4へ切り替える。また、時計設定画面D3の表示中にオペレータにより「中止×」キー52が操作されると、表示状態切替指示操作部材334は、「中止×」キー52が操作されたことを示す操作信号をコントローラ338へ出力する。そして、画面切替部335は、入力した操作信号に従って、表示モニタ331の時計設定画面D3を
図8(d)に示すメニュー画面D2へ切り替える。
【0028】
図8(f)に示す時計調整画面D4が表示されているときにオペレータにより「選択↓」キー54が操作されると、表示状態切替指示操作部材334は、「選択↓」キー54が操作されたことを示す操作信号をコントローラ338へ出力する。そして、画面切替部335は、入力した操作信号に従って、表示モニタ331の表示を
図8(f)に示す時計調整画面D4から
図8(g)に示す時計調整画面D4へ切り替える。すなわち、画面切替部335は、項目M2を白黒反転表示させる。
【0029】
図8(g)の時計調整画面D4が表示されているときにオペレータにより「選択→」キー56が操作されると、表示状態切替指示操作部材334は、「選択→」キー56が操作されたことを示す操作信号をコントローラ338へ出力する。そして、画面切替部335は、入力した操作信号に従って、表示モニタ331の表示を
図8(h)に示す時計調整画面D4に切り替える。すなわち、画面切替部335は、項目M2が表示する数値を「2」から「3」に変更して表示する。
【0030】
図8(h)に示すように、項目M2の数値が変更された後、オペレータにより「決定○」キー51が操作されると、表示状態切替指示操作部材334は、「決定○」キー51が操作されたことを示す操作信号をコントローラ338へ出力する。そして、画面切替部335は、入力した操作信号に従って、表示モニタ331を
図8(h)の時計調整画面D4から
図8(i)に示す時計設定画面D3へ切り替える。
図8(i)に示す時計設定画面D3では、時計調整画面D4において変更された数値が反映された時刻が現在時刻として表示される。
【0031】
図8(f)〜(h)に示す時計調整画面D4が表示されているときにオペレータにより「中止×」キー52が操作されると、表示状態切替指示操作部材334は、「中止×」キー52が操作されたことを示す操作信号をコントローラ338へ出力する。そして、画面切替部335は、入力した操作信号に従って、表示モニタ331の表示状態を
図8(e)に示す時計設定画面D3へ切り替える。
【0032】
−故障が発生した場合−
次に、表示切替ボタン群50のいずれかのボタンに故障が発生した場合について説明する。上述したように、本実施の形態による表示制御装置33は、表示状態切替指示操作部材334の一のボタンが故障した場合、一のボタンで行う操作が可能となるように他のボタンを代用設定できるように構成されている。たとえば、「決定○」キー51が故障した場合に、「選択↑」キー53と「選択↓」キー54との操作により「決定○」キー51による操作と同様の操作を行えるように設定される。すなわち、「選択↑」キー53と「選択↓」キー54との操作が、「決定○」キー51の操作の代用設定の内容となる。以下、故障が発生した場合の処理として、代用設定処理、表示状態切替処理、故障発生日付の確認処理の順序で詳細に説明する。
【0033】
(a)代用設定処理
オペレータにより代用設定画面切替指示操作部材333が操作されると、コントローラ338は、後述するように故障発生日付を確認する。そして、以下の(1)〜(3)の場合に、コントローラ338に機能的に設けられた画面切替部335は、表示モニタ331へ代用設定画面を表示させる。(1)〜(3)のいずれにも該当しない場合には、画面切替部335は表示モニタ331へ代用設定画面を表示させない。なお、代用設定画面は、オペレータが代用設定の内容を選択、決定するための画面である。
(1)以前に故障が発生していない場合。
(2)以前に発生した故障が修復されている場合。
(3)以前に故障が発生し未修復のままN日(たとえば7日)間以上経過していない場合。
【0034】
図9(a)に代用設定画面D5の一例を示す。代用設定画面D5には、切替指示入力値N1と、代用入力値N2と、カーソルCとが表示される。切替指示入力値N1は、表示状態切替指示操作部材334により行われる各指示、すなわち「決定○」キー51、「中止×」キー52、「選択↑」キー53、「選択↓」キー54、「選択←」キー55および「選択→」キー56に対応する操作内容を示す。代用入力値N2は、切替指示入力値N1が示す操作内容を、表示状態切替指示操作部材334の表示切替ボタン群50のうちいずれのボタンを用いて行うかを示す。
図9(a)に示す代用設定画面D5では、「決定○」キー51の操作を、「選択↑」キー53および「選択↓」キー54の二重押し操作により代用するように設定されたことを示している。オペレータは、設定値入力操作部材332を用いて、代用設定画面D5上で代用設定のための操作を行う。カーソルCは、オペレータによる設定値入力部332の操作に応じて選択されている代用入力値N2を示している。
【0035】
以下、オペレータによる代用設定のための操作について説明する。オペレータは、代用設定画面D5上で「↑」キー41または「↓」キー42を操作して、代用入力を行う切替指示入力値N1に対応する代用入力値N2を選択する。
図9(a)に示す例では、「決定」の切替指示入力値N1に対応する代用入力値N2がオペレータにより選択されていることを示している。代用入力値N2が選択された後、オペレータにより「○」キー45が操作された後、さらにオペレータが設定値入力操作部材332を操作することにより、代用入力値N2の入力が可能となる。すなわち、オペレータは、設定値入力操作部材332を構成する各種の設定値入力ボタン群40のうち、「↑」キー41、「↓」キー42、「←」キー43、「→」キー44および「○」キー45を操作することにより、所望の代用操作を代用入力値N2とすることができる。
図9(a)は、オペレータにより「↑」キー41および「↓」キー42の二重押し操作が行われた場合を示している。
【0036】
上述したようにしてオペレータによる設定値入力操作部材332の操作が行われた後、「完了」キー46により入力値決定操作が行われて設定入力操作部材332から操作信号が出力されると、コントローラ338は、代用入力値N2を代用設定された内容として決定する。すなわち、コントローラ338は、
図10に示す代用設定テーブルTBに代用設定された内容を書き込んで、記憶部337に記憶する。代用設定テーブルTBには、切替指示入力値と代替入力値とが書き込まれる。切替指示入力値は、他のボタンで代用される表示状態切替指示操作部材334の表示切替ボタン群50、すなわち現在故障している表示切替ボタン群50を示す。代替入力値は、切替指示入力値に書き込まれた表示状態切替指示操作部材334の表示切替ボタン群50に代えて、代用して使用される表示切替ボタン群50、すなわち代用設定画面D5で設定された表示切替ボタン群50を示す。
図10に示す代用設定テーブルTBの例は、「決定○」キー51の操作を、「選択↑」キー53および「選択↓」キー54の二重押し操作により代用することを示している。さらに、コントローラ338は、代用設定が有効にされたことを示す代用設定フラグをONにして、記憶部337に記憶する。
【0037】
(b)表示状態切替処理
代用設定処理が行われた場合の、表示制御装置33による表示モニタ331の表示状態切替処理について説明する。代用設定処理が行われた場合には、代用設定処理によって設定された操作内容に従ってオペレータが表示状態切替指示操作部材334を操作すると、表示制御装置33は上述した表示モニタ331の表示状態切替処理を行う。すなわち、
図9(a)に示すように代用設定画面D5で代用設定が行われた場合には、
図8を用いて説明した画面の遷移を行う際に、オペレータは「決定○」キー51の操作に代えて、「選択↑」キー53および「選択↓」キー54の二重押し操作をすればよい。この場合、オペレータによる表示状態切替指示操作部材334の操作に応じて操作信号が出力されると、入力値判定部336は、記憶部337に記憶された代用設定フラグがONに設定されているかを判定する。代用設定フラグがONに設定されている場合には、入力値判定部336は、入力した操作信号が
図10に示す代用設定テーブルTBに書き込まれた入力値に対応しているかを判定する。
【0038】
たとえば、表示状態切替指示操作部材334から出力された操作信号が、「選択→」キー56の操作に対応する場合、入力値判定部336は、代用設定テーブルTBに書き込まれた切替入力値を参照する。
図10に示す代用設定テーブルTBには、代替入力値に「選択→」が書き込まれていないので、コントローラ338は、入力した操作信号に応じた処理、すなわち「選択→」キー56の操作に応じた処理を行う。
【0039】
表示状態切替指示操作部材334から出力された操作信号が、「選択↑」キー53および「選択↓」キー57の二重押し操作に対応する場合も、入力値判定部336は、同様にして、代用設定テーブルTBに書き込まれた切替入力値を参照する。
図10に示す代用設定テーブルTBでは、代替入力値に「選択↑」キー53および「選択↓」キー57の二重押し操作、すなわち、入力した操作信号と同一の入力値が代用設定テーブルTBに書き込まれている。この場合、コントローラ338は、代替入力値に対応して書き込まれた切替指示入力値、すなわち、「決定○」キー51の操作に応じた処理を行う。その結果、「決定○」キー51が故障している場合であっても、オペレータは「選択↑」キー53および「選択↓」キー57の二重押し操作をすることにより、
図8で示すように画面の表示切替を行うことができる。
【0040】
(c)故障発生日付の確認処理
オペレータにより代用設定画面切替指示操作部材333が操作された際、コントローラ338が代用設定画面D5を表示する前に行う、故障発生日付の確認処理について説明する。記憶部337には、上述したように故障発生日が記憶されている。この故障発生日は、油圧ショベル10の出荷時はデフォルト値に設定されて記憶されている。上述した代用設定処理が行われると、コントローラ338は、故障発生日をデフォルト値から代用設定処理が行われた日付に設定して記憶部337に記憶させる。故障発生後に故障が修復された場合には、コントローラ338は後述する修復状況確認処理を実行した後、故障発生日を再びデフォルト値に設定して記憶部337に記憶させる。
【0041】
上述したように、オペレータによる代用設定画面切替指示操作部材333の操作に応じて操作信号が出力されると、コントローラ338は、記憶部337に記憶された故障発生日を参照する。参照した故障発生日がデフォルト値の場合、すなわち、以前に故障が発生していない場合、または以前に発生した故障が修復されている場合には、画面切替部335は、表示モニタ331に代用設定画面D5を表示させる。記憶部337に記憶された故障発生日がデフォルト値ではない場合、表示切替部335は、修復状況確認処理を行うための修復状況確認画面を表示モニタ331に表示させる。そして、修復状況確認処理の結果、コントローラ338が、表示状態切替指示操作部材334が故障中、かつ、故障発生日からN日間以上経過していないことを判定した場合には、画面切替部335は、表示モニタ331に代用設定画面D5を表示させる。
【0042】
図11に修復状況確認処理を行うための修復状況確認画面D6の一例を示す。修復状況確認画面D6は、表示状態切替指示操作部材334の修復状況の設定を行うための画面である。
図11に示すように、修復状況確認画面D6には、修復状況を示す項目として「修復未完」O1と「修復完了」O2とが表示される。表示状態切替指示操作部材334の修復が完了している場合には、オペレータは設定入力操作部材32の「←」キー43または「→」キー44を操作して「修復完了」の項目O2を選択して、「完了」キー46により入力値決定操作をする。オペレータによる上記の操作に応じて設定入力操作部材332から操作信号が出力されると、コントローラ338は、表示状態切替指示操作部材334の故障修復の完了を設定する。すなわち、コントローラ338は、代用設定フラグのOFFを設定し、故障発生日をデフォルト値に設定し、代用設定テーブルTBをクリア(解除)して、それぞれ記憶部337に記憶する。
【0043】
表示状態切替指示操作部材334の修復が完了してい
ない場合には、オペレータは設定入力部332の「←」キー43または「→」キー44を操作して「修復未完」の項目O1を選択して、「完了」キー46により入力値決定操作をする。オペレータによる上記の操作に応じて設定入力操作部材332から操作信号が出力されると、コントローラ338は、表示状態切替指示操作部材334が故障中であると判断し、記憶部337に記憶された故障発生日を参照する。そして、上述したように、コントローラ338は、故障発生日からN日間以上経過しているか否かを判定する。故障発生日からN日間以上経過してない場合には、表示切替部335は、上述したように表示モニタ331に代用設定画面D5を表示させる。故障発生日からN日間以上経過している場合には、表示切替部335は表示モニタ331への代用設定画面D5の表示を行わない。換言すると、表示状態切替指示操作部材334の表示切替ボタン群50のうちの故障した一のボタンを他のボタンを用いて操作する代用設定が行うことができない。
【0044】
図12〜
図15に示すフローチャートを用いて、実施の形態による表示制御装置33の処理について説明する。
図12〜
図15の各処理はコントローラ338でプログラムを実行して行われる。
図12〜
図15の各処理を行なうプログラムはメモリ(不図示)に格納されている。表示制御装置33の電源がオンされるとコントローラ338によりプログラムが起動され、実行される。
【0045】
図12のステップS101では、コントローラ338は、代用設定フラグにOFFを設定、すなわち代用設定を無効にして記憶部337に記憶してステップS102へ進む。ステップS102では、コントローラ338は、前画面番号として代用設定画面D5への切り替えを行わないことを示す値「0xFF」を記憶部337に記憶してステップS103へ進む。ステップS103では、コントローラ338は、後述する代用設定処理を行ってステップS104へ進む。ステップS104では、コントローラ338の画面切替部335は、後述する表示状態切替処理を行ってステップS103へ戻る。
【0046】
次に、ステップS103における代用設定処理について、
図13のフローチャートを用いて説明する。
図13のステップS201では、入力値判定部335は、代用設定画面D5への切り替え操作が行われたか否かを判定する。代用設定画面D5への切り替え操作が行われた場合、すなわち代用設定画面切替指示操作部材333からの操作信号が入力された場合、入力値判定部335によりステップS201が肯定判定されてステップS202へ進む。代用設定画面D5への切り替え操作が行われず、代用設定画面切替指示操作部材333からの操作信号が入力されない場合には、入力値判定部335によりステップS201が否定判定されて、
図12のステップS104へ戻る。
【0047】
ステップS202では、コントローラ338は、表示モニタ331に現在表示している画面番号(すなわち表示アプリ番号)を前画面番号に設定してステップS203へ進む。ステップS203では、コントローラ338は、記憶部337に記憶されている故障発生日がデフォルト値であるか否かを判定する。故障発生日がデフォルト値ではない場合には、コントローラ338によりステップS203が否定判定されて、後述する修復状況確認処理を行って、
図12のステップS104へ戻る。故障発生日がデフォルト値の場合には、コントローラ338によりステップS203が肯定判定されてステップS204へ進む。
【0048】
ステップS204では、コントローラ338は、故障発生日を現在の日付けに変更して記憶部337に記憶し、ステップS205へ進む。ステップS205では、コントローラ338は、代用設定フラグをONに設定して記憶部337に記憶してステップS206へ進む。ステップS206では、画面切替部335は表示モニタ331に代用設定画面D5を表示させる。そして、コントローラ338は、代用設定画面D5上において設定された代用設定値に応じた内容を代用設定テーブルTBに書き込んで記憶部337に記憶して、
図12のステップS104へ戻る。
【0049】
ステップ
S207における修復状況確認処理について、
図14のフローチャートを用いて説明する。
ステップS301において、画面切替部335は表示モニタ331に修復状況確認画面D6を表示させる。そして、コントローラ338は、修復状況確認画面D6上において設定された故障の修復状況、すなわち故障修復完了または故障修復未完を設定してステップS302へ進む。ステップS302では、コントローラ338は故障の修復が完了しているか否かを判定する。故障の修復が完了している場合、すなわちステップS301において故障修復完了が設定されている場合には、コントローラ338によりステップS302が肯定判定されてステップS303へ進む。故障の修復が完了してない場合、すなわちステップS301において故障修復未完が設定されている場合には、コントローラ338によりステップS302が否定判定されてステップS306へ進む。
【0050】
ステップS303では、コントローラ338は代用設定フラグをOFFに設定して記憶部337に記憶し、ステップS304へ進む。ステップS304では、コントローラ338は、故障発生日をデフォルト値に設定し、記憶部337に記憶してステップS305へ進む。ステップS305においては、コントローラ338は、代用設定テーブルTBをクリアして
図12のステップS104へ戻る。
【0051】
ステップS302が否定判定された場合、ステップS306において、コントローラ338により故障発生日からN日間以上経過しているか否かを判定する。記憶部337に記憶されている故障発生日から現在に日付けがN日間以上経過している場合には、コントローラ338によりステップS306が肯定判定されて
図12のステップS104へ戻る。故障発生日からN日間以上経過していない場合には、コントローラ338によりステップS306が否定判定されてステップS307へ進む。ステップS307(代用設定フラグON)およびステップS308(代用設定テーブルTBに書き込み)の各処理は、
図13のステップS205(代用設定フラグON)およびステップS206(代用設定テーブルTBに書き込み)と同一である。ステップS308の処理が終了すると、
図12のステップS104へ戻る。
【0052】
ステップS104における表示状態切替処理について、
図15のフローチャートを用いて説明する。
ステップS401では、コントローラ338は、前画面番号が代用設定画面への切り替えを行わないことを示す「0xFF」が設定されているか否かを判定する。前画面番号が「0xFF」に設定されている場合には、コントローラ338によりステップS401が肯定判定されてステップS402へ進む。前画面番号が「0xFF」に設定されていない場合には、コントローラ338によるステップS401が否定判定されてステップS407へ進む。ステップS407においては、画面切替部335は、前画面番号を参照して、前画面に対応する画面を表示モニタ331に表示させて、ステップS408でコントローラ338は前画面番号に「0xFF」を設定して
図12のステップS103へ戻る。
【0053】
ステップS402においては、オペレータにより表示状態切替指示操作部材334の操作が行われたか否かを判定する。表示状態切替指示操作部材334からの操作信号を入力しない場合には、コントローラ338によりステップS402が否定判定されて
図12のステップS103へ戻る。表示状態切替指示操作部材334から操作信号を入力した場合には、コントローラ338によりステップS402が肯定判定されてステップS403へ進む。
【0054】
ステップS403では、代用設定フラグがONに設定されているか否かを判定する。代用設定フラグがONに設定されている場合には、コントローラ338によりステップS403が肯定判定されてステップS404へ進む。代用設定フラグがOFFに設定されている場合には、コントローラ338によりステップS403が否定判定されて、ステップS404およびS405をスキップしてステップS406へ進む。
【0055】
ステップS404では、入力値判定部336は、ステップS402で入力した操作信号に応じた入力値が、記憶部337に記憶した代用設定テーブルTBの代用入力値と一致するか否かを判定する。操作信号に応じた入力値が代用設定テーブルTBの代用入力値と一致する場合には、入力値判定部336によりステップS404が肯定判定されてステップS405へ進む。操作信号に応じた入力値が代用設定テーブルTBの代用入力値と一致しない場合には、入力値判定部336によりステップS404が否定判定されてステップS405をスキップしてステップS406へ進む。
【0056】
ステップS405では、入力値判定部336は、代用設定テーブルTBを参照して、操作信号に応じた入力値に対応する切替指示入力値をオペレータにより入力指示として確定してステップS406へ進む。ステップS406では、入力値判定部336は、入力指示を判定し、画面切替部335は入力値判定部336により判定された入力指示に応じた画面を表示モニタ331に表示させて、
図12のステップS103へ戻る。
【0057】
以上で説明した実施の形態による表示制御装置によれば、以下の作用効果が得られる。
(1)画面切替部335は、各種の情報を含む画面の表示内容を制御する。表示状態切替指示操作部材334は、各種の画面に対して、複数種類の操作入力を受け付ける複数のキー51〜56からなる表示切替ボタン群50をそれぞれ有する。設定値入力操作部材332は、複数のキー51〜56のうちの一のキーの操作指示を、他のキーで代用する代用設定を行うための操作入力を受け付ける。代用設定画面切替指示操作部材333によって代用設定を開始するための操作入力が受け付けられると、コントローラ338は、代用設定画面D5を表示させ、設定値入力操作部材332によって受け付けられた操作入力に応じて、代用設定の内容を決定する。そして、表示状態切替指示操作部材334によって受け付けられた操作入力が、コントローラ338により設定された代用設定の内容と一致する場合には、画面切替部335は、代用設定の内容に応じて画面の表示を制御するようにした。したがって、表示切替ボタン群50のうち故障が発生していない他のボタンを用いて、故障が発生しているボタン50の操作を補って画面の表示を切り替える操作を行うことができる。その結果、表示モニタ331の表示画面のための各種操作を行うための表示切替ボタン群50を直ちに修復できない場合や、油圧ショベル10を停止できない場合であっても、油圧ショベル10を停止することなく作業を継続することができる。
【0058】
(2)コントローラ338により代用設定の内容が設定されてから、代用設定画面切替指示操作部材333による操作入力が受け付けられるまでの日数がN日間以上経過している場合には、画面切替部335は、代用設定画面D5の表示を行わないようにした。換言すると、代用設定の内容が無効となるので、表示状態切替指示操作部材334が故障した状態のままで、油圧ショベル10を長期間使用することを防ぐことができる。
【0059】
以上で説明した実施の形態による表示制御装置を、以下のように変形できる。
(1)代用設定の内容を、オペレータによる代用値入力操作部材332の操作に応じて設定するものに代えて、複数の代用設定の内容から選択可能に構成されてもよい。この場合、それぞれの切替指示入力値N1に対して、複数の代用設定の内容が予め登録されている。
図9(b)に示すように、オペレータにより「↑」キー41または「↓」キー42が操作されて、「決定」の切替指示入力値N1に対応する代用入力値N2がオペレータにより選択されると、登録された複数の代用設定の内容がプルダウンメニューとして表示される。オペレータは、表示されたプルダウンメニューの中から、所望する代用設定の内容を「←」キー43、「→」キー445を操作することにより選択する。
図9(b)においても、オペレータにより「選択↑」および「選択↓」の二重押し操作が代用設定の内容として選択された場合を示している。そして、「完了」キー46により入力値決定操作が行われると、コントローラ338は、選択された代用入力値N2を代用設定された内容として設定する。
【0060】
(2)設定値入力操作部材332および表示状態切替指示操作部材334がタッチパネルによって構成されてもよい。すなわち、オペレータは、タッチパネルをタッチ操作することにより、設定値入力操作部材332の設定値入力ボタン群40の操作入力、表示状態切替指示操作部材334の表示切替ボタン群50の操作入力と同様の操作入力を行うことができる。
【0061】
また、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。説明に用いた実施の形態および変形例は、それぞれを適宜組合わせて構成しても構わない。