特許第5781520号(P5781520)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5781520
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】流体冷却式エキゾーストマニホールド
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/02 20060101AFI20150907BHJP
   F01N 13/10 20100101ALI20150907BHJP
【FI】
   F01N3/02 J
   F01N3/02 K
   F01N13/10
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-533708(P2012-533708)
(86)(22)【出願日】2010年10月13日
(65)【公表番号】特表2013-508596(P2013-508596A)
(43)【公表日】2013年3月7日
(86)【国際出願番号】IB2010002615
(87)【国際公開番号】WO2011045659
(87)【国際公開日】20110421
【審査請求日】2013年9月9日
(31)【優先権主張番号】61/251,427
(32)【優先日】2009年10月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/348,481
(32)【優先日】2010年5月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511141803
【氏名又は名称】ウエスキャスト インダストリーズ インク.
【氏名又は名称原語表記】WESCAST INDUSTRIES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100170346
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 望
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】スロス クレイトン エー
【審査官】 瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭56−029015(JP,A)
【文献】 米国特許第03324533(US,A)
【文献】 米国特許第04301775(US,A)
【文献】 実開平04−017120(JP,U)
【文献】 米国特許第03772887(US,A)
【文献】 特開平03−177082(JP,A)
【文献】 特開2006−125321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの一体的に形成された排ガス通路を有するエキゾーストコンポーネントであって、前記少なくとも1つの一体的に形成された排ガス通路は、少なくとも1つの一体的に形成された流体キャビティの境界を少なくとも部分的に定める外面を有するエキゾーストコンポーネントと、
前記エキゾーストコンポーネントに取り付けられ、平面を有する少なくとも1つのプレートであって、前記平面は、前記外面とともに前記外面との間に少なくとも1つの流体通路の境界を定め、前記少なくとも1つの流体通路は、前記少なくとも1つの排ガス通路から分離される少なくとも1つのプレートと、
前記少なくとも1つの流体通路に流体が注入される少なくとも1つの注入口と、
前記プレートと一体的に形成され、前記少なくとも1つの流体通路から前記流体が排出される少なくとも1つの排出口と
を具備するエキゾーストシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のエキゾーストシステムであって、
前記エキゾーストコンポーネントは、エキゾーストマニホールド又はターボチャージャーハウジングである
エキゾーストシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のエキゾーストシステムであって、
前記流体キャビティは、前記エキゾーストコンポーネントと一体的に形成される
エキゾーストシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のエキゾーストシステムであって、
前記少なくとも1つのプレートは、前記エキゾーストコンポーネントに溶接される
エキゾーストシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のエキゾーストシステムであって、
前記流体は、水、エンジン冷却剤及び冷媒のうち少なくとも1つを含む
エキゾーストシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のエキゾーストシステムであって、
前記流体は、前記少なくとも1つの排ガス通路内を流通する排ガスからの熱を吸収する
エキゾーストシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のエキゾーストシステムであって、
前記エキゾーストコンポーネントとの間で熱が移動する関係にある熱電素子
をさらに具備するエキゾーストシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体通路を有するエキゾーストコンポーネント(排気部品)であって、エキゾーストコンポーネントの材料温度を調整し、及び/又は排気流からエネルギーを取り出すエキゾーストコンポーネントに関する。
【背景技術】
【0002】
以下、本開示に関する背景情報について説明するが、その内容が従来技術であるとは限らない。
【0003】
自動車メーカー及び輸送部門全体は、益々厳しさを増す燃料効率規制及び排出量規制に直面している。また、燃料効率を向上して運転コストを減少したいという車両運転者からのプレッシャーもある。これらの目的を達成するため、自動車メーカーは、新技術を導入している。新技術として、例えば、ターボチャージガソリン直噴エンジンや、リーンバーン燃焼(希薄燃焼)がある。これらの新技術は、排ガスを高温に上昇させる傾向がある。
【0004】
最も一般的な従来型の内燃機関(インターナルコンバッションエンジン)において、最大期間平均排ガス温度は、約900℃以下となる。安価な鋳鉄合金(例えば、シリコンモリブデン(SiMo)鋳鉄)は、多くの場合、エキゾーストコンポーネントの使用にあたり用途上要求される耐久性を満足する。耐久性の問題に対処したり、上記よりも若干高温の排ガスに対処する用途で、しばしば、ニッケル鋳鉄合金(例えば、D5S Ni−Resist(−35% Ni))により鋳造コンポーネントが製造される。しかしながら、ニッケル鋳鉄合金は高価である。多くの新エンジン(特に、ターボチャージガソリン直噴エンジン)の排ガス温度は、950℃より高くなる。現在、自動車産業において、最も要求の厳しい用途には、鍛造ステンレス鋼又は鋳造ステンレス鋼が慣習的に使用される。鍛造ステンレス鋼又は鋳造ステンレス鋼は、コンポーネントを製造するにあたり最も費用がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、安価な材料を使用すると用途上要求される耐久性が満たされない場合に、エキゾーストコンポーネントに高価な材料を使用する必要性により生じる課題を解決する方法に関する。安価な材料を使用して要求される耐久性を達成するために、稼働中のコンポーネントの温度を調整して、用途上、特定材料の限界値未満に維持する。多くの場合、限界値は、特定材料のAc1変態温度未満であり、高い動作応力又は歪みがかかる場合の変態温度よりも十分に低い値である。エキゾーストコンポーネントの材料温度の調整方法の1つとして、エキゾーストコンポーネントの水冷却が挙げられる。
【0006】
ウォータージャケットは、鋳造工程中に蒸発する発泡模型を使用して作製することができる。これにより、所望の形状を有するエキゾーストマニホールド及び周囲のウォータージャケットが形成される。鋳造エキゾーストマニホールドのウォータージャケットを作製する別の工程として、製造時にウォータージャケットコアを使用する方法がある。この場合、鋳造の前に金型に取り付けられる1又は複数の内部砂コア(中子)により、ウォータージャケット全体が作製される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、本開示の全体的な概要を説明するが、本開示の全範囲又は本開示の全特徴を包括的に開示するものではない。
【0008】
本開示によれば、排ガスと熱移動媒体(例えば、エンジン冷却剤など)との間の熱交換を目的として、エキゾーストコンポーネントと、キャビティをエキゾーストコンポーネントの外面に作製する方法と、キャビティを低価格且つ堅牢に形成する方法とが提供される。以下の例及び議論は、概ね、エキゾーストマニホールドの冷却に関する。しかしながら、ここで議論する基本概念は、他のエキゾーストコンポーネント及び/又はシステムにも適用可能である。他のエキゾーストコンポーネント及び/又はシステムの非限定的な例として、例えば、ターボチャージャーハウジングや、排ガス熱回収システムなどが挙げられる。
【0009】
本開示は、鋳造工程中に従来の内部ウォータージャケットコアを使用しない、エキゾーストコンポーネント用の流体冷却キャビティに関する。「流体」又は「冷却剤」という用語は、本開示の1又は複数の目的を実行するのに適した、多数の液体又はガスのいずれかを意味する。例えば、流体又は冷却剤として、水、冷媒、エンジン冷却剤又はその他のあらゆる適当な流体を使用することができる。本開示では、追加の外部コアを通常用いずに、エキゾーストコンポーネントの外面に部分的にキャビティを作製する方法を説明する。鋳造工程完了後、エキゾーストコンポーネントに別個の部材を溶接又はろう付けすることで、この部分的なキャビティが閉じられる。これにより、流体ジャケット(例えば、ウォータージャケット)が作製される。
【0010】
流体冷却式エキゾーストコンポーネントは、耐久性及び/又は熱除去の目的から望ましい。耐久性を目的としてコンポーネントを冷却する場合、熱除去を目的としてコンポーネントを冷却する場合に用いることができる材料よりも安価な材料を、エキゾーストコンポーネントの構成に採用することができる。鋳造機構及び溶接プレートを組み合わせることにより、マニホールドの面上に流体冷却キャビティを作製することで、本開示の流体冷却式エキゾーストマニホールドが形成される。溶接プレートは、冷却流体の流れを修正するために、追加的な形状特性を有してもよいし、有さなくてもよい。鋳物の外的形状を再形成し、これにより、ジャケットキャビティの一部を形成し、溶接されるプレートの接合面を適当な形状にする。好ましい実施形態では、溶接プレートが平坦になるように、鋳物の接合面形状を作製する。しかしながら、プレートを、鋳造コンポーネントの湾曲した接合面をたどるような形状とすることもできるし、キャビティ壁を部分的に形成するような形状とすることもできる。いくつかの実施形態では、1つのカバープレートは、上型又は下型細工により形成された各キャビティに対応してもよい。例えば、図1〜2に示す構成では、複数の流体冷却キャビティが両側に(分離線のいずれの側にも)形成されるため、2つのカバープレートが設けられる。これは、図3〜4を参照すれば明らかである。図3〜4によれば、複数のキャビティが分離線PLの両側に形成され、別個のカバープレート4,8がそれぞれのキャビティに設けられる。図1〜2に示す実施形態では、複数のカバープレートを設けることができる。一方、細工の一部分により形成されたエキゾーストコンポーネントの一部のみを冷却したい場合には、図7に示す実施形態のように、1つのカバープレートを採用するのが有利と考えられる。
【0011】
理想的には、鋳物の接合面形状は、成形及び鋳造工程において、金型模型のみにより作製される。これが可能であれば、追加のコアが不要であり、金型模型により接合面形状が作製される。これにより、ウォータージャケットキャビティの一部を形成するための外部コアの製造コスト及び使用コストがかからない。加えて、本開示の冷却キャビティによれば、内部鋳造コアを用いてウォータージャケットを作製する際の大きな問題を回避することができる。内部鋳造コアを用いる場合、鋳造後、見通しの悪い通路から中子砂を除去する。内部鋳造コアにより作製された内部キャビティを洗浄するのも、さらには検査するのも極めて困難である。通路の清浄度は、車両の冷却システムの信頼性を高めるに当たり、最重要である。本開示の冷却キャビティは、鋳造後、開放状態となる。これにより、プレートを溶接する前に、容易に洗浄及び検査を行うことができる。図1の流体冷却式エキゾーストマニホールドでは、1つの冷却剤注入口、1つの冷却剤排出口、2つの溶接プレート及び鋳造マニホールドの外面により、冷却キャビティが形成される。別の実施形態によれば、それぞれの溶接プレートに、1つの冷却剤注入口及び1つの冷却剤排出口が設けられる。この場合、それぞれの溶接プレートは、独立した流体冷却キャビティと関連する。独立した冷却キャビティの個数は、本願の熱移動の目的に応じて異なる。
【0012】
冷却キャビティのサイズ、形状及び配置を設計するにあたり、多数の変数を考慮してもよい。例えば、重要な考慮事項として、鋳造材料の温度限界及び/又は冷却流体により吸収されるエネルギー量がある。冷却水中の過度の熱エネルギーを、車両の冷却システムから排除する必要がある場合がある。車体の空間設計上の制約も、流体ジャケットの配置場所に制限を課すとともに、冷却キャビティ内外での冷却剤の連通のための配置を制約する。
【0013】
耐久性を目的として、流体でエキゾーストコンポーネントを冷却する場合、耐久性を向上するために冷却する必要がある領域内にのみ、冷却キャビティを配置するのが望ましい場合がある。例えば、図1に示す流体冷却式エキゾーストマニホールドでは、エキゾーストマニホールドの排気口近傍にのみ、水冷却キャビティが配置される。複数のエンジンシリンダー全てからの排ガスが排気口領域で合流するため、排気口領域は、コンポーネントにおいて最も高温の部位である。典型的な非冷却式エキゾーストマニホールドにおいて、排気口近傍の領域は、最も高温の領域であることに加えて、耐久性について最大の懸念がある領域でもある。しかしながら、流体で冷却することにより、本形状の鋳鉄エキゾーストマニホールドは、冷却しない場合は耐熱ステンレス鋼が要求される、という動作条件に耐えることができる。図1〜2に示す流体冷却式コンポーネントでは、複数の冷却キャビティ及び対応する複数のカバープレートが、マニホールド排気口の両側に設けられる。
【0014】
低価格で堅牢な流体冷却式エキゾーストコンポーネントを実現するに当たり、追加的に、熱電廃エネルギー回収システム及びアクティブウォームアップ(AWU、Active Warm Up)システムを適用する。熱電素子は、廃排気エネルギーを直接電力に変換する。このような熱電素子から作られた電力は、バッテリーを充電したり、車両の電気負荷を相殺(オフセット)するのに使用することができる。AWUシステムは、エキゾーストシステムからの廃熱エネルギーを利用し、他の車両流体システム(エンジン冷却剤、エンジンオイル、トランスミッション流体及びトランスアクスル流体)を熱するのに廃熱エネルギーを使用する。これらの流体システムを熱調節することにより、運転開始時の粘性損失を抑えることができる。その結果、燃料効率が向上し、キャビンのウォームアップが向上する。
【0015】
出来るだけ多くの廃排ガス熱を回収することを目的として、流体でエキゾーストマニホールドを冷却する場合、冷却キャビティがエキゾーストマニホールドの大部分を包囲するように、冷却キャビティを設計すればよい。これは、実際的であり、費用効率が高い手法である。
【0016】
コスト削減を最大限達成するのに適した、流体冷却式鋳造エキゾーストマニホールドの材料は、鋳鉄合金(例えば、安価なシリコン合金ノジュラー鋳鉄など)である。溶接プレートの好ましい材料は、フェライト系ステンレス鋼である。これは、最も安価な材料の組み合わせの1つであり、構成材料の非限定的な一例にすぎない。
【0017】
本開示の一形成によれば、エキゾーストコンポーネントと、少なくとも1つのプレートと、少なくとも1つの注入口と、少なくとも1つの排出口とを具備するエキゾーストシステムが提供される。エキゾーストコンポーネントは、少なくとも1つの排ガス通路を有するエキゾーストコンポーネントであって、前記少なくとも1つの排ガス通路は、少なくとも1つの流体キャビティの境界を少なくとも部分的に定める外面を有してもよい。少なくとも1つのプレートは、前記エキゾーストコンポーネントに取り付けられ、平面を有する少なくとも1つのプレートであって、前記平面は、前記外面とともに前記外面との間に少なくとも1つの流体通路の境界を定め、前記少なくとも1つの流体通路は、前記少なくとも1つの排ガス通路から分離されてもよい。流体は、少なくとも1つの注入口から前記少なくとも1つの流体通路に注入されてもよい。前記流体は、少なくとも1つの排出口を通って前記少なくとも1つの流体通路から排出されてもよい。
【0018】
本開示の別の形成によれば、鋳物と、プレートとを具備する車両用エキゾーストシステムが提供される。鋳物は、一体的に形成された排ガス通路と、前記排ガス通路と一体的に形成された流体キャビティとを有してもよい。プレートは、前記鋳物に取り付けられ、前記流体キャビティを少なくとも部分的に包囲して流体管の境界を定めるプレートであって、前記流体管は、前記排ガス通路と流体的に分離され、前記プレートは、一体的に形成された注入口及び一体的に形成された排出口を有し、前記注入口及び排出口は、前記流体管と流体的に連通してもよい。
【0019】
本開示の別の形成によれば、流体キャビティの境界を定める外面を有する排ガス通路を有するエキゾーストコンポーネントを鋳造し、第1の口及び第2の口を有するプレートを準備し、前記プレート及び前記流体キャビティが協働して、前記第1の口及び前記第2の口と流体的に連通する流体管を形成するように、前記プレートを前記エキゾーストコンポーネントに取り付け、前記プレートを前記エキゾーストコンポーネントに取り付ける前に、前記流体キャビティを洗浄する方法が提供される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、キャビティを低価格且つ堅牢に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示により教示される流体冷却式エキゾーストマニホールド組立品の外観斜視図である。
図2】流体冷却式エキゾーストマニホールドの切断面である。
図3図1の流体冷却式マニホールドのAA断面である。
図4図1の流体冷却式マニホールドのBB断面である。
図5】熱電素子付きで使用するよう設計され、外部コアを使用せずに製造された流体冷却式鋳造エキゾーストコンポーネント組立品の断面である。
図6】熱電素子付きで使用するよう設計され、分割面に垂直な面に熱電素子を配置可能なように外部コアを使用して製造された流体冷却式鋳造エキゾーストコンポーネント組立品の断面である。
図7】別の実施形態に係る、アクティブウォームアップを目的とした熱除去専用に設計された流体冷却式鋳造エキゾーストマニホールド組立品である。
図8図7のマニホールドであって、流体通路を示すため、溶接プレートを除去した状態を示す。
図9図7のマニホールド組立品断面図であって、カバープレートと鋳物との連通により外形が形成された流体通路を示す。
図10】ガス通路形状を変更することで作成された、排ガスから冷却剤への熱の移動を促進するための構造特性を示す。
図11】本開示の原理に係る、カバープレートを有する別のエキゾーストコンポーネントの斜視図である。
図12図11のエキゾーストコンポーネントの斜視図であって、カバープレートを除去した状態を示す。
図13図11のエキゾーストコンポーネントの底面図であって、カバープレートを取り外した状態を示す。
図14】本開示の原理に係る、カバープレートを有する別のエキゾーストコンポーネントの斜視図である。
図15図14のエキゾーストコンポーネントの斜視図であって、カバープレートを除去した状態を示す。
図16】本開示の原理に係る別のエキゾーストコンポーネントの斜視図である。
図17】本開示の原理に係るさらに別のエキゾーストコンポーネントの斜視図である。
図18図17のエキゾーストコンポーネントの部分断面斜視図である。
図19】本開示の原理に係る、カバープレートを有するさらに別のエキゾーストコンポーネントの斜視図である。
図20図19のエキゾーストコンポーネントの斜視図であって、エキゾーストコンポーネント内の流体流路を示すため、カバープレートを除去した状態を示す。
図21】本開示の原理に係る、カバープレートを有するさらに別のエキゾーストコンポーネントの部分断面斜視図である。
図22】本開示の原理に係る、カバープレートを有するさらに別のエキゾーストコンポーネントの斜視図であって、流体流路を示すため、カバープレートを部分的に切断した状態を示す。
図23】本開示の原理に係る、カバープレートを有するさらに別のエキゾーストコンポーネントの斜視図であって、流体流路を示すため、カバープレートを部分的に切断した状態を示す。
図24図23のエキゾーストコンポーネントの断面図である。
図25】本開示の原理に係る、カバープレートを有するさらに別のエキゾーストコンポーネントの斜視図であって、流体流路を示すため、カバープレートを部分的に切断した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の説明により、さらなる適用性の範囲を明らかにする。「課題を解決するための手段」における上記説明及び具体例は、例示を目的としたものにすぎず、本開示の範囲を限定することを目的としたものではない。
【0023】
上記図面は、選択された実施形態を例示する目的に過ぎず、全ての実現可能性を示すものではなく、本開示の範囲を制限することを目的とするものではない。
【0024】
複数の図面を通して、対応する参照符号は、対応する部位を示す。
【0025】
添付図面を参照し、実施形態をより詳細に説明する。
【0026】
実施形態を説明することで、本開示が詳細なものとなり、本開示の範囲が当業者に十分に伝達される。多数の具体的詳細(例えば、具体的なコンポーネント、装置及び方法の例)を説明し、これにより、本開示の各実施形態の理解が十分深まるようにする。当業者には明らかなように、具体的詳細を必ずしも採用する必要があるわけではなく、各実施形態は多数の異なる形態として実現可能であり、いずれも本開示の範囲を限定するよう解釈されるべきでない。いくつかの実施形態では、周知工程、周知装置構成及び周知技術は、詳細に説明しない。
【0027】
ここで使用される技術は、特定の各実施形態を説明する目的に過ぎず、限定することを目的としていない。ここでは、単数形での表記は、文脈的に明らかに単数形のみを意図している場合を除き、複数形をも含むものとする。「具備する」、「有する」及び「含む」といった用語は、包括的表現である(すなわち、排他的でない)。従って、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/又は部品が存在することを明記するとともに、一方、1又は複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/又はこれらの集合が存在する可能性又は付加される可能性を排除するものではない。ここで説明する方法のステップ、工程及び動作は、実行する順序を具体的に特定していない限り、説明又は図示した特定の順序で必然的に実行する必要があると解釈されるものではない。追加的又は代替的ステップを採用してもよいということも理解されたい。
【0028】
ある要素又は階層が、別の要素又は階層「に〜」、「と連結」、「に接続」又は「と結合」と言うときは、直接的に、当該別の要素又は階層「に〜」、「と連結」、「に接続」又は「と結合」してもよい。あるいは、要素又は階層が介在することもありうる。一方、ある要素が、別の要素又は階層「に直接〜」、「と直接連結」、「に直接接続」又は「と直接結合」と言うときは、要素又は階層が介在しないことがある。複数の要素間の関係を説明するための他の用語も、同様に解釈されるべきである(例えば、「〜の間に」と「直接〜の間に」、「隣接」と「直接隣接」など)。ここでは、「及び/又は」という用語は、列挙された1又は複数の関連事項の、いずれか及び全ての組み合わせを含む。
【0029】
ここで、「第1の」、「第2の」及び「第3の」等の用語は、数個の要素、部品、領域、階層及び/又はセクションを説明するために使用されることがある。しかしながら、これらの用語により、要素、部品、領域、階層及び/又はセクションが限定されるべきでない。これらの用語は、1つの要素、部品、領域、階層又はセクションを、別の領域、階層又はセクションから区別するために使用するものであればよい。「第1の」及び「第2の」等の用語やその他の数字を使った用語をここで使用する場合、これらの用語は、文脈中に明示されていない限り、順番又は順序の意味を含むものではない。従って、各実施形態の教示から逸脱しない限り、以下に議論する第1の要素、部品、領域、階層又はセクションを、第2の要素、部品、領域、階層又はセクションと称することもできる。
【0030】
ここで、1つの要素又は特徴の、別の要素又は特徴に対する図示の関係を容易に説明するため、空間に関係する用語(例えば、「内」、「外」、「下」、「下方」、「低」、「上方」、「上」など)を使用する。空間に関係する用語は、図示の向きに加えて、使用中又は動作中の装置の異なる向きを包含することを意図して使用する場合がある。例えば、図中、装置が裏返されている場合、別の要素又は特徴の「下方」又は「下」として説明される要素は、当該別の要素又は特徴の「上方」を向くことになる。従って、この例では、用語「下方」は、上方と下方との両方の向きを包含し得る。装置は、他の向きであってもよく(90度回転、あるいは、別の向き)、ここで使用される空間に関係する記述語は、上記のように解釈される。
【0031】
図1を参照し、流体冷却式エキゾーストマニホールド1は、冷却剤注入口2と、冷却剤排出口3とを有する。本実施形態では、冷却剤排出口3は、プレート4に溶接される。冷却剤注入口2は、鋳造エキゾーストマニホールド1の本体5に直接取り付けられる。プレート4の周囲は、接合面6に沿って、本体5に溶接される。接合面6は、鋳造流体冷却式エキゾーストマニホールド1の外面に形成される。好ましくは、接合面6は、鋳造前の成形工程において、パターン細工により形成される。この外面の鋳造形状は、冷却キャビティの壁の一部を形成し、プレート4が取り付けられる接合面6において終端をなす。形成された冷却キャビティがあることで、水又は冷却剤が、排ガスからエネルギーを取り出す。これとともに、あるいは、これに代えて、形成された冷却キャビティは、マニホールド排気口7の領域内での鋳造マニホールド1の材料温度を調整する。
【0032】
図2は、冷媒及び排ガスの流路を示す。内部排ガス通路9は、鋳造エキゾーストマニホールド1の本体5の壁により形成される。内部排ガス通路9は、エンジンの排ガスがエキゾーストマニホールド1の吸気口11からエキゾーストシステム(排気システム)へと移動する際、エンジンの排ガスを輸送するのに用いられる。本体5の壁の外面は、鋳造接合面6及びプレート4,8とともに、相互連結キャビティ10を形成する。冷却剤は、相互連結キャビティ10内を流通する。複数の冷却キャビティが、レイアウト及び鋳造細工の分割面によって決まる複数の部品の離れた側面に設けられるとき、カバープレートを2つ設けてもよい。エキゾーストマニホールドの鋳造壁12は、鋳造マニホールド1の外面に重ね合わせられるようにして設けられたキャビティ10内の冷却剤と、排ガス通路9の内部の排ガスの流れとを分離する。鋳造マニホールド壁12を通して、高温の排ガスと冷却剤との間の熱交換が行われる。
【0033】
図1〜2に示す実施形態では、流体冷却式エキゾーストマニホールドをエンジンに設置する。そうすると、マニホールドの底部にある排ガス排気口7の近傍の冷却剤注入口2に冷却剤が注入される。冷却剤は、マニホールドの上側にある冷却キャビティを通過する。続いて、冷却剤(本例では、エンジン冷却システムに使用されるグリコール水溶液)は、マニホールドの上部にある冷却キャビティ内を移動し、マニホールドの底部へと至る。続いて、冷却剤は、マニホールドの底部に形成された冷却キャビティ内を移動し、冷却剤排出口3から排出される。冷却キャビティの形状及び経路は、用途に応じて異なる。図1に示す鋳造流体冷却式エキゾーストマニホールド1では、冷却キャビティが複数の留め具穴13,14と干渉しないように、且つ、排気口7の領域での材料温度が鋳鉄材料の動作温度範囲内に収まるように、冷却キャビティを配置する。
【0034】
図3は、図1のAA断面図である。図4は、図1のBB断面図である。これらの断面図から明らかなように、1又は複数の冷却キャビティ10により、内部排ガス通路9を部分的に冷却したり、あるいは、全体的に取り囲んだりすることができる。また、流体ジャケットキャビティの形状は、細工面を用いて形成することができることは明らかである。従って、鋳造工程において、外部コアが不要となる。溶接部16を介して、プレート4が鋳造エキゾーストマニホールド1に接合される。
【0035】
図5は、別の構成であって、複数の熱電素子15を用いるため、キャビティ形状を変更した構成を示す。熱電素子15は、エキゾーストマニホールドの高温の壁12及びはるかに低温の冷却キャビティ10により生じる温度差を利用して動作する。同図に示すように、分離面PLに平行な2つの主面は、複数の熱電素子を設けて使用可能である。図6は、一実施形態に係る、金型分離面PLに対して略垂直である内部排ガス通路9の面に配置された熱電素子15を有する流体冷却式鋳造エキゾーストマニホールドを示す。この場合、冷却キャビティは分離線PLを内包する。冷却キャビティは、鋳造前の成形工程で、あるいは、キャビティの機械切削により、分離式外部コアにより形成される。
【0036】
図7は、別の実施形態に係る流体冷却式鋳造エキゾーストマニホールド1である。この流体冷却式鋳造エキゾーストマニホールド1は、排ガスから熱エネルギーを取り出し、エンジン冷却剤を熱するように設計される。カバープレート20は、溶接接合面25に沿って、エキゾーストマニホールド1に溶接される。冷却剤注入口21と、冷却剤排出口22とは、カバープレート20に設けられる。あるいは、冷却剤注入口及び冷却剤排出口は、必要に応じて、鋳造マニホールドと一体的に形成してもよい。カバープレート20は、形状的装備23を有する。形状的装備23は、冷却剤の流れを冷却流路に誘導するのを促進する。排ガスがマニホールドランナー24を通過するとき、熱エネルギーが排ガスから冷却剤に移動する。図8は、冷却剤流路27の経路の一例を示す。中間壁又はリブ26が、鋳物の一部として形成される。中間壁又はリブ26は、冷却剤の流れを誘導して冷却剤流路27に分散する目的で形成される。図9は、鋳造マニホールド1と、冷却流路27の所望の形状を形成するためのカバープレート20の形状との関係を示す。
【0037】
図10は、ガス通路の形状を変更することで、排ガスから冷却剤への熱の移動を向上させる方法を示す。排ガス通路30は、不規則形状をもつ。例えば、内部スカラップ31、内部フィン又はリブ32及び/又は内部ピン33により、面領域を増設し、冷却流路内での排ガスから冷却剤への熱の移動の速度を向上させる。
【0038】
図11、12及び13は、複数の冷却キャビティ51を有する流体冷却式エキゾーストマニホールド50を示す。複数の冷却キャビティ51は、コンポーネントの2つの側面に設けられる。図11は、上部カバープレート52を定位置に配置した組立品を示す。図12は、図11と同じ実施形態であり、上部カバープレートを取り外した状態を示す。図13は、同じ実施形態の底面図であり、底部カバープレートを取り外した状態を示す。冷却剤は、複数の通路53により、複数の冷却キャビティ間を通過する。
【0039】
図14は、別の実施形態に係る流体冷却式エキゾーストマニホールド60を示す。流体冷却式エキゾーストマニホールド60は、コンポーネントの上側に設けられた1つの冷却剤キャビティを有する。図15は、図14と同じ実施形態を示し、カバープレート61を取り外した状態を示す。なお、小さい排水通路62が設けられる。冷却システムの整備時、排水通路62があることで、冷却剤が冷却キャビティから完全に排水される。本実施形態によれば、エキゾーストコンポーネントの一面である高温の面全てを完全に覆う、という利点がある。従って、遮熱材を設ける必要が無い。エキゾーストコンポーネントの一面である高温の面全てが完全には覆われない場合には、エキゾーストコンポーネント60の熱から近傍の部品を保護するため、遮蔽材を設けなければいけない場合もある。
【0040】
図16は、別の実施形態に係る単冷却キャビティを示し、カバープレートを取り外した状態を示す。なお、冷却キャビティの本構成は、連続冷却性を有するため、いくつかの用途に対して有益である。具体的には、本構成は、特に垂直に設置したときに、ポケットに捕集される不要なガス又は液体を無くすよう設計されている。
【0041】
図17を参照し、流体冷却式エキゾーストマニホールド組立品100は、冷却剤注入口102と、冷却剤排出口103とを有する。図18に示す特定の実施形態では、冷却剤排出口103は、カバープレート104に接合される。冷却剤注入口102は、鋳造エキゾーストマニホールド111に直接取り付けられる。カバープレート104の周囲は、接合面112に沿って、鋳造エキゾーストマニホールド111に溶接される。接合面112は、鋳造流体冷却式エキゾーストマニホールド111の外面に形成される。接合面112は、成形/鋳造工程において、パターン細工により作製される。この外面の鋳造形状は、冷却キャビティの壁の一部を形成し、カバープレート104が取り付けられる接合面112において終端をなす。形成された冷却剤通路があることで、冷却剤が、排ガスからエネルギーを取り出す。これとともに、あるいは、これに代えて、冷却剤は、関係領域内での鋳造マニホールド111の材料温度を調整する。この場合、排ガス排気口107の近傍に、最も高温になる領域が発生する。
【0042】
図18は、図17と同じ流体冷却式エキゾーストマニホールド組立品での、冷媒の流路108を示す。冷却剤通路109は、鋳造エキゾーストマニホールド111の壁113の外面と、カバープレート104と、カバープレート105とにより形成される。鋳造エキゾーストマニホールド壁113の内面は、冷却剤通路109から分離した排ガス通路106を形成する。排ガス通路106は、エンジンからの排ガスが、エキゾーストマニホールドの吸気口から排ガス排気口107へと移動するとき、この排ガスを輸送する。複数の冷却キャビティが、レイアウト及び特定の鋳造細工の分割面によって決まる鋳造コンポーネントの離れた複数の側面に設けられるとき、カバープレートを2つ設けてもよい。鋳造マニホールド壁113を通して、高温の排ガスと冷却剤との間の熱交換が行われる。
【0043】
図17〜18に示す実施形態では、流体冷却式エキゾーストマニホールドをエンジンに設置する。そうすると、冷却剤は、排ガス排気口107の近傍の冷却剤注入口102に注入される。冷却剤は、マニホールドの冷却剤通路109を通過する。続いて、冷却剤(例えば、エンジン冷却システムで使用されるグリコール水溶液)は、冷却剤通路内を移動し、冷却剤排出口103から排出される。冷却通路の形状及び経路は、用途に応じて異なる。図17に示す鋳造流体冷却式エキゾーストマニホールド組立品100では、冷却キャビティが吸気口フランジ115の複数の留め具穴114と干渉しないように、且つ、排気口107の領域での材料温度が鋳鉄材料の動作温度範囲内に収まるように、冷却キャビティを配置する。この配置は、以下のような製造利点がある。すなわち、冷却キャビティ壁を形成する鋳造工程中に追加のコアが不要である。また、鋳造後、洗浄及び検査のために、冷却キャビティを完全に開放することができる。
【0044】
図19〜20は、別の実施形態に係る流体冷却式エキゾーストコンポーネント131を示す。図示のように、本実施形態によれば、複数の冷却キャビティ136a〜136fにより、必要に応じて、エキゾーストコンポーネント131を部分的に冷却したり、あるいは、全体的に取り囲んだりすることができる。また、このウォータージャケットキャビティ全体の形状は、細工面及び外部コアを用いて形成することができることは明らかである。従って、鋳造工程において、追加の内部コアが不要となる。これにより、洗浄及び検査を容易に行うことができる。同時に、ウォータージャケットが、鋳造エキゾーストコンポーネントと全体的且つ一体的に形成されているため、ウォータージャケットの位置決め、洗浄及び検査が複雑にならない。
【0045】
図19〜20に示す実施形態では、エキゾーストコンポーネント131の周囲に一連の複数のキャビティが設けられる。一連の複数のキャビティは、全体として、螺旋状冷却剤通路135となるよう配置される。冷却剤は、螺旋状冷却剤通路135内を移動する。冷却剤は、エンジン冷却システムから、冷却剤注入口132を通ってエキゾーストコンポーネント131に注入される。冷却剤は、冷却剤注入口132から冷却キャビティ136cに注入され、冷却キャビティ136dへと流通し、同様に隣接する冷却キャビティ内を移動し、連結穴138を通過し、冷却キャビティ136bに至る。冷却剤は、冷却キャビティ136bから同様の経路を取って冷却キャビティ136eに至る。冷却剤は、他の隣接する冷却キャビティを通って穴139に至る。冷却剤は、冷却キャビティ136aに至る。最終的に、冷却剤は、冷却キャビティ136f内を通過し、冷却剤排出口133から排出される。冷却剤注入口132は、カバープレート134cに接合される。冷却剤排出口は、カバープレート134dに接合される。複数の接合面140a〜140dは、複数のカバープレート134a〜134dを、鋳造エキゾーストコンポーネントに接合するために設けられる。複数の冷却剤キャビティは、エンジン組立品の複数の間隙域141を避けるようにして設けられる。これらの間隙域141を、吸気口フランジ143の複数の取り付け穴142に対応させてもよい。
【0046】
図21を参照し、鋳造エキゾーストマニホールド又は他のエキゾーストコンポーネント161は、複数のエキゾーストマニホールドランナー169を有する。複数のエキゾーストマニホールドランナー169は、排ガスを収容し、排ガスをエキゾーストコンポーネント161の排気口168へと輸送する。各マニホールドランナー169からの排ガス通路は、排気口168の前で、集結して軸方向に揃えられる。螺旋状冷却剤通路又は流路170は、排気口168の上流の領域に、エキゾーストコンポーネント161の外面に沿って形成される。螺旋状流路170は、鋳造エキゾーストコンポーネント161の一部として鋳造された螺旋状リブ167により形成される。螺旋状流路170は、錬鉄の筒状スリーブにより包囲される。すなわち、カバープレート166が形成される。螺旋状リブ167は、冷却剤注入口163から冷却剤排出口165への冷却剤164の流れを制御及び誘導するよう配置される。冷却剤注入口163及び冷却剤排出口165は、カバープレート166に接合される。筒状カバープレート166は、筒状カバープレート166のいずれの端部にも設けられた複数の接合面171において、鋳造エキゾーストコンポーネント161に接合されてもよい。
【0047】
図22は、別の実施形態に係る流体冷却式鋳造エキゾーストマニホールド191である。流体冷却式鋳造エキゾーストマニホールド191は、排ガスから熱エネルギーを取り出し、エンジン冷却剤を熱するよう設計される。カバープレート198は、溶接接合面196に沿って、エキゾーストマニホールド191に溶接される。冷却剤注入口193は、カバープレート198に接合される。冷却剤排出口194は、鋳造エキゾーストマニホールドと一体的に形成される。排ガスが複数のマニホールドランナー195を流通するとき、熱エネルギーが排ガスから冷却剤へと移動する。その後、排ガスは、排ガス排気口収集器197へと流通する。中間壁又はリブ199は、鋳物の一部として形成される。中間壁又はリブ199は、冷却剤192の流れを誘導し、冷却剤通路200を通して分散する。相対的に低温の面であるカバープレート198があることにより、エキゾーストコンポーネント191を遮熱する必要性が低減する、あるいは、必要性が無くなる。排ガス通路内(例えば、複数のマニホールドランナー195内)及び/又は冷却剤通路200内に、不規則形状(例えば、スカラップ、フィン及び/又はリブ)を形成することで、排ガスから冷却剤への熱の移動を促進してもよい。
【0048】
図23〜24を参照し、ターボチャージャーハウジング121は、放射状に突出する一対の壁225、226を有する。一対の壁225、226は、おおよそ、ターボチャージャー螺旋構造228の両側面に形成される。ターボチャージャー螺旋構造228を通るガスの流れが比較的高速であるため、ターボチャージャー螺旋構造228は、ターボチャージャーハウジングにおいて最も高温な部位となりうる。エンジン冷却システムからの冷却剤の流れ230は、冷却剤通路229をたどる。この冷却剤通路229は、複数の壁225、226及びカバープレート224により、境界が定められる。冷却剤注入口管222及び冷却剤排出口管223は、カバープレート224に取り付けられる。冷却剤偏向プレート227は、カバープレート224に取り付けられる。冷却剤偏向プレート227は、冷却剤230の流れをターボチャージャーハウジングの高温の面に沿って誘導し、局所的なハウジング温度を相対的に低温に維持する。
【0049】
図25を参照し、エキゾーストコンポーネント251は、1又は複数の熱電素子255を有する。熱電素子255は、エキゾーストコンポーネント251の高温の壁と、相対的に低温の冷却通路258との間で発生する温度差を利用して動作する。エキゾーストコンポーネント251は、円筒状カバープレート252を有する。円筒状カバープレート252は、冷却剤注入口253と、冷却剤排出口257とを有する。冷却剤が注入口253を通ってエキゾーストコンポーネント251に注入され、円周の冷却剤ヘッダー254内を流通し、一連の複数の平行通路258内に分散するように、冷却剤流路259が配置される。複数の通路258は、複数の鋳造リブ装備256により分離される。複数の流路からの冷却剤は、同様の円周の冷却剤ヘッダー(図示せず)に集まり、冷却剤排出口257を通ってエキゾーストコンポーネント251から排出される。
【0050】
上記説明した各実施形態は、例示及び説明を目的としたものであり、本開示を網羅的又は限定的に説明することを目的としたものではない。特定の実施形態の個々の要素又は特性は、通常、当該特定の実施形態に限定されるものではない。むしろ、該当する場合には、特定の実施形態の個々の要素又は特性は、置換可能であり、選択された実施形態中に格別明示又は記載されていなくても、当該選択された実施形態に使用され得る。また、同様のものを様々に変更することができる。このような変更は本開示から逸脱するものではなく、このような改良は全て本開示の範囲に含まれるものとする。
【0051】
本願は、米国特許出願第61/251,427号(2009年10月14日出願)及び米国特許出願第61/348,481号(2010年5月26日出願)を基礎として優先権を主張する。上記各出願の開示全体を参照することにより、本願の一部を構成する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図25