特許第5781708号(P5781708)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5781708
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】サドルカバー装置
(51)【国際特許分類】
   B62J 1/20 20060101AFI20150907BHJP
【FI】
   B62J1/20 B
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-8616(P2015-8616)
(22)【出願日】2015年1月20日
【審査請求日】2015年1月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512102302
【氏名又は名称】張沢 洪植
(74)【代理人】
【識別番号】100066061
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 俊和
(74)【代理人】
【識別番号】100177437
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 英子
(74)【代理人】
【識別番号】100143340
【弁理士】
【氏名又は名称】西尾 美良
(72)【発明者】
【氏名】張沢 洪植
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−250658(JP,A)
【文献】 特開昭60−258045(JP,A)
【文献】 特開昭54−013000(JP,A)
【文献】 実開昭50−155746(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納ケースと、
サドルカバーと、
前記サドルカバーを巻き取る回転軸と、
前記回転軸の一端に設置された該回転軸を巻き戻すためのバネと、
前記回転軸の他端に設置されたS極またはN極の磁石と、
前記回転軸の他端を支持するための穴を有する支持部材と、
前記回転軸の他端と垂直に設置された平板形状の切換子と、
前記切換子の一の面に隣接して設置され、かつ前記回転軸の他端に設置されたS極またはN極の磁石と対向する位置に設置されたS極及びN極の磁石と、
前記切換子の両端部に設置され、前記切換子を前記収納ケースに保持すると共に、前記切換子に設置されたS極及びN極の磁石が前記回転軸の他端に設置されたS極またはN極の磁石と対向している状態を切り換えるためのガイド棒と、
を有することを特徴とするサドルカバー装置。
【請求項2】
前記ガイド棒に挿入され、前記切換子を付勢するためのバネを更に有することを特徴とする請求項1記載のサドルカバー装置。
【請求項3】
前記回転軸の他端に設置されたS極またはN極の磁石に隣接し、かつ前記支持部材の穴の両縁に設置されるN極またはS極の磁石を更に有することを特徴とする請求項1または2に記載のサドルカバー装置。
【請求項4】
前記回転軸を巻き戻すための前記バネが発条バネであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のサドルカバー装置。
【請求項5】
前記収納ケースが、自転車のサドルの下部のサドルポストに設置されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のサドルカバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車のサドルを随時カバーで覆うことができる、サドルカバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車を屋外に駐輪させておいて、時間をおいて再度自転車に乗ろうとした場合、自転車のサドルが雨で濡れて、搭乗者の衣服が濡れたり汚れたりしてしまい、自転車の搭乗者が不愉快な思いをすることがしばしばある。このような場合、搭乗者は濡れた自転車のサドルをハンカチなどで拭き取る場合もあるが、ハンカチが汚れてしまうという問題もある。
【0003】
このような課題を解決するために、例えば特許文献1には、サドルにサドルカバーを被覆できるようにしたサドルカバー装置に関する技術が開示されている。特許文献1のサドルカバー装置について、図6を参照しつつ以下に説明する。
【0004】
図6(a)は特許文献1のサドルカバー装置の分解斜視図であり、図6(b)は平面断面図であり、図6(c)は巻取りロールの端部詳細図である。特許文献1のサドルカバー装置では、巻取りロール52にサドルカバー53が巻き取られた状態で、収納ケース51内に収納されている。サドルカバー53の一方端には係止具61が設置されており、この係止具61が巻取りロール52の係止溝65に係止される。また、サドルカバーの他方の端には係止孔85を有する把持部81が設置されている。把持部81は、自転車の搭乗者が巻かれたサドルカバー53を引っ張り出す場合に使用される。なお、サドルカバー53は収納ケース51に収納される場合には、出し入れ口58に挿通した状態で収納される。また、巻取りロール52が収納ケース51に収納された後は、キャップ57により端部が塞がれる。
【0005】
巻取りロール52の両端部には支持軸67,68が設けられおり、収納ケース51の内部の所定箇所に係合される。巻取りロール52は、支持軸67,68を中心に回転する。また、支持軸67にはコイルバネ73が挿入され、コイルバネ73の一方端が巻取りロール52の端面の挟持片74に挟持され、コイルバネ73の他方端はキャップ57の内面に突設した一対の挟持片75間に挟持固定される。なお、サドルカバー装置は保持具87によって自転車のサドルの下部に設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−250658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述したサドルカバー装置では、自転車のサドルにサドルカバー53を被せた状態では、コイルバネ73の付勢が常にサドルカバー53に付加された状態になっており、サドルカバー53が破損しやすいという課題があった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、収納ケースから引き出されたサドルカバーを任意の位置で拘束し、またその位置で拘束を解除することでサドルカバーを収納ケースに再度収納することが可能なサドルカバー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するため以下の構成を有する。
【0010】
(1)収納ケースと、
サドルカバーと、
前記サドルカバーを巻き取る回転軸と、
前記回転軸の一端に設置された該回転軸を巻き戻すためのバネと、
前記回転軸の他端に設置されたS極またはN極の磁石と、
前記回転軸の他端を支持するための穴を有する支持部材と、
前記回転軸の他端と垂直に設置された平板形状の切換子と、
前記切換子の一の面に隣接して設置され、かつ前記回転軸の他端に設置されたS極またはN極の磁石と対向する位置に設置されたS極及びN極の磁石と、
前記切換子の両端部に設置され、前記切換子を前記収納ケースに保持すると共に、前記切換子に設置されたS極及びN極の磁石が前記回転軸の他端に設置されたS極またはN極の磁石と対向している状態を切り換えるためのガイド棒と、
を有することを特徴とするサドルカバー装置。
【0011】
(2)前記ガイド棒に挿入され、前記切換子を付勢するためのバネを更に有することを特徴とする前記(1)記載のサドルカバー装置。
【0012】
(3)前記回転軸の他端に設置されたS極またはN極の磁石に隣接し、かつ前記支持部材の穴の両縁に設置されるN極またはS極の磁石を更に有することを特徴とする請求項1または2に記載のサドルカバー装置。
【0013】
(4)前記回転軸を巻き戻すための前記バネが発条バネであることを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載のサドルカバー装置。
【0014】
(5)前記収納ケースが、自転車のサドルの下部のサドルポストに設置されることを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれか1項に記載のサドルカバー装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、収納ケースから引き出されたサドルカバーを任意の位置で拘束し、またその位置で拘束を解除することでサドルカバーを収納ケースに再度収納することが可能なサドルカバー装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例のサドルカバー装置の外観を示す図
図2】実施例のサドルカバー装置の内部構造を示す図
図3】実施例のサドルカバー装置の内部構造を示す分解斜視図
図4】実施例のサドルカバー装置のサドルカバーの出し入れを説明するための図
図5】本実施例のサドルカバー装置の自転車のサドルへの設置状態を示す図
図6】従来のサドルカバー装置の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための形態を、図面を参照しつつ以下に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明のサドルカバー装置30の外観を示す図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は正面図、図1(c)は右側面図である。サドルカバー装置30は、本体ケース10と上蓋11よりなる外筐体を有しており、上蓋11は4本の固定ネジ40によって本体ケース10に固定されている。
【0019】
本実施例のサドルカバー装置30は、正面前方にストッパー栓13がわずかに露出しており、係止紐13aがストッパー栓13の中央に設置されている。使用者は、この係止紐13aに指を入れて引くことにより内部に収納されたサドルカバーを引き出すことができる。また、正面右側にはガイド棒14が突出しており、左側面にはバネケース21とキャップ22が露出している。なお、内部構造の詳細については後述する。
【0020】
図2は、サドルカバー装置30の上蓋11を取り外した内部構造を示す図であり、図2(a)は平面図、図2(b)は右側面図である。サドルカバー装置30の構造を、図2を用いて以下に説明する。
【0021】
先端にストッパー栓13を有するサドルカバー12は、一端が回転軸15に固定され、回転軸15によって巻き取られる。また、サドルカバー12の他端はストッパー栓13に固定されている。なお、図2(a)はサドルカバー12を完全に引張出した状態を示している。回転軸15の左端部には発条バネ20が取り付けられており、右端部にはS極の磁石15bが設置されている。なお、S極の磁石15bはN極の磁石であってもよい。発条バネ20の外側端部はバネケース21の内壁部に固定されている。そして、バネケース21にはキャップ22がねじ込まれている。
【0022】
本体ケース10の右端部には、両側にガイド棒14を有する切換子16が設置されている。また、2個のガイド棒14にはコイルバネ19が挿入されている。そして、切換子16には回転軸15のS極磁石15bと対向する位置にN極の磁石16aとS極の磁石16bが設置され、切換子16はガイド金具18に載置されている(図2(b))。従って、切換子16はコイルバネ19に影響されつつ、図2(a)の上下方向に移動する。なお、回転軸15の右側端部は仕切板10aで保持されており、仕切板10aの所定位置にはN極の磁石23aが2個設置されている。
【0023】
上記したサドルカバー装置30の構造を示す分解斜視図を図3に示す。回転軸15の左端部には発条バネ20の内側端部を固定するための切欠き15cが設けられており、本体ケースの穴10cに挿入された回転軸15はバネケース21の穴を通って発条バネ20と連結される。なお、図示しないがバネケース21の内壁は、発条バネ20の外側端部を固定するための固定部を有しており、またバネケース21の内壁にはキャップ22がねじ込まれるネジ溝が形成されている。本体ケース10の仕切板10aの回転軸15のS極磁石15bが挿入される穴の両側にはN極の磁石23aが2個設置されている。この2個のN極の磁石23aは、共にS極の磁石15bを両側から引くため、回転軸15の回転を安定化させる働きをする。
【0024】
次に、図4を参照しつつ、サドルカバー装置30のサドルカバー12の引出し及び巻取りの動作について説明する。図4(a)は、サドルカバー12が回転軸15に完全に巻き取られている状態を示す図である。この状態では、回転軸15の右端部のS極の磁石15bは切換子16のN極の磁石16aと対向している。そして、この状態でストッパー栓13を矢印Aの方向に引くとサドルカバー12は順次引き出される。このサドルカバー12を引き出す状態においては、発条バネ20の戻す力と回転軸15のS極の磁石15bが切換子16のN極の磁石16aに引かれる力が回転軸15に作用する。そして、サドルカバー12を引き出す状態を停止した場合には、回転軸15のS極の磁石15bが切換子16のN極の磁石16aに拘束されているため、その引出し状態で停止する。
【0025】
図4(b)は、サドルカバー装置30のサドルカバー12を完全に引き出した後、図4(a)の下側のガイド棒14を押し込んだ状態を示している。図4(b)の状態では、回転軸15のS極の磁石15bは切換子16のS極の磁石16bと反発するため、回転軸15の回転を拘束することができない。その結果、回転軸15は発条バネ20の戻し力によって回転し、サドルカバー12が回転軸15に巻き取られることになる。なお、このサドルカバー12の巻き戻し状態では、ガイド棒14を常に押していなければならない。
【0026】
図4(b)の状態では、切換子16のS極の磁石16bは回転軸15のS極の磁石15bと反発し合い、切換子16のN極の磁石16aは回転軸15のS極の磁石15bに引っ張られる。すなわち、切換子16には図4(b)で示したBの方向の力が作用する。また、上側のガイド棒14に挿入されたコイルバネ19は圧縮されているため切換子16にB方向の力を与え、下側のガイド棒14に挿入されたコイルバネ19は伸ばされているため同様に切換子16にB方向の力を与える。結局、図4(b)の状態で、下側のガイド棒14を押していた手を離すと、図4(c)の状態を経由して図4(a)の状態に戻ることになる。すなわち、回転軸15の回転が停止する。サドルカバー12の収納作業を途中で中止したい場合には、ガイド棒14を押していた手を離せばよい。なお、上記したS極の磁石15bはN極の磁石であってもよい。
【0027】
本実施例のサドルカバー装置30の自転車のサドルへの設置について、図5を参照しつつ以下に説明する。サドルカバー装置30を自転車のサドル26に設置するための取付具24を図5(a),(b)に示す。取付具24は、サドルカバー装置30の背面側に固定ネジ25によって固定されている。ネジによる固定ではなく、接着や溶接によって固定してもよい。なお、取付具24には種々の形状のものが考えられ、本実施例の取付具はその一例を示したものである。図5(c)は、本実施例のサドルカバー装置30を、自転車のサドル26の下側に設置した状態を示す図である。サドルカバー装置30は、サドルポスト28の上部に取付具24によって固定されており、使用者はサドルカバー装置30のサドルカバー12を引っ張り出したのち、係止紐13aをフック27に固定する。
【0028】
本発明のサドルカバー装置によれば、収納ケースから引き出されたサドルカバーを任意の位置で拘束し、またその位置で拘束を解除することでサドルカバーを収納ケースに再度収納することができる。
【符号の説明】
【0029】
10 本体ケース
10a 仕切板
10c 穴
11 上蓋
13 ストッパー栓
13a 係止紐
14 ガイド棒
15 回転軸
15b S極の磁石
16 切換子
16a N極の磁石
16b S極の磁石
18 ガイド金具
19 コイルバネ
20 発条バネ
21 バネケース
22 キャップ
23a N極の磁石
24 取付具
25 固定ネジ
26 サドル
27 フック
30 サドルカバー装置
【要約】
【課題】収納ケースから引き出されたサドルカバーを任意の位置で拘束し、またその位置で拘束を解除することでサドルカバーを収納ケースに再度収納することが可能なサドルカバー装置を提供することを目的とする。
【解決手段】収納ケース10と、サドルカバー12と、サドルカバー12を巻き取る回転軸15と、回転軸15の一端に設置された該回転軸15を巻き戻すためのバネ20と、回転軸15の他端に設置されたS極の磁石15bと、S極またはN極の磁石15bと対向する位置に設置されたN極の磁石16a及びS極の磁石16bを有する切換子16と、切換子16の両端部に設置され、切換子16を収納ケース10に保持するためのガイド棒14と、を有することを特徴とするサドルカバー装置。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6