【実施例1】
【0018】
図1は、本発明のサドルカバー装置30の外観を示す図であり、
図1(a)は平面図、
図1(b)は正面図、
図1(c)は右側面図である。サドルカバー装置30は、本体ケース10と上蓋11よりなる外筐体を有しており、上蓋11は4本の固定ネジ40によって本体ケース10に固定されている。
【0019】
本実施例のサドルカバー装置30は、正面前方にストッパー栓13がわずかに露出しており、係止紐13aがストッパー栓13の中央に設置されている。使用者は、この係止紐13aに指を入れて引くことにより内部に収納されたサドルカバーを引き出すことができる。また、正面右側にはガイド棒14が突出しており、左側面にはバネケース21とキャップ22が露出している。なお、内部構造の詳細については後述する。
【0020】
図2は、サドルカバー装置30の上蓋11を取り外した内部構造を示す図であり、
図2(a)は平面図、
図2(b)は右側面図である。サドルカバー装置30の構造を、
図2を用いて以下に説明する。
【0021】
先端にストッパー栓13を有するサドルカバー12は、一端が回転軸15に固定され、回転軸15によって巻き取られる。また、サドルカバー12の他端はストッパー栓13に固定されている。なお、
図2(a)はサドルカバー12を完全に引張出した状態を示している。回転軸15の左端部には発条バネ20が取り付けられており、右端部にはS極の磁石15bが設置されている。なお、S極の磁石15bはN極の磁石であってもよい。発条バネ20の外側端部はバネケース21の内壁部に固定されている。そして、バネケース21にはキャップ22がねじ込まれている。
【0022】
本体ケース10の右端部には、両側にガイド棒14を有する切換子16が設置されている。また、2個のガイド棒14にはコイルバネ19が挿入されている。そして、切換子16には回転軸15のS極磁石15bと対向する位置にN極の磁石16aとS極の磁石16bが設置され、切換子16はガイド金具18に載置されている(
図2(b))。従って、切換子16はコイルバネ19に影響されつつ、
図2(a)の上下方向に移動する。なお、回転軸15の右側端部は仕切板10aで保持されており、仕切板10aの所定位置にはN極の磁石23aが2個設置されている。
【0023】
上記したサドルカバー装置30の構造を示す分解斜視図を
図3に示す。回転軸15の左端部には発条バネ20の内側端部を固定するための切欠き15cが設けられており、本体ケースの穴10cに挿入された回転軸15はバネケース21の穴を通って発条バネ20と連結される。なお、図示しないがバネケース21の内壁は、発条バネ20の外側端部を固定するための固定部を有しており、またバネケース21の内壁にはキャップ22がねじ込まれるネジ溝が形成されている。本体ケース10の仕切板10aの回転軸15のS極磁石15bが挿入される穴の両側にはN極の磁石23aが2個設置されている。この2個のN極の磁石23aは、共にS極の磁石15bを両側から引くため、回転軸15の回転を安定化させる働きをする。
【0024】
次に、
図4を参照しつつ、サドルカバー装置30のサドルカバー12の引出し及び巻取りの動作について説明する。
図4(a)は、サドルカバー12が回転軸15に完全に巻き取られている状態を示す図である。この状態では、回転軸15の右端部のS極の磁石15bは切換子16のN極の磁石16aと対向している。そして、この状態でストッパー栓13を矢印Aの方向に引くとサドルカバー12は順次引き出される。このサドルカバー12を引き出す状態においては、発条バネ20の戻す力と回転軸15のS極の磁石15bが切換子16のN極の磁石16aに引かれる力が回転軸15に作用する。そして、サドルカバー12を引き出す状態を停止した場合には、回転軸15のS極の磁石15bが切換子16のN極の磁石16aに拘束されているため、その引出し状態で停止する。
【0025】
図4(b)は、サドルカバー装置30のサドルカバー12を完全に引き出した後、
図4(a)の下側のガイド棒14を押し込んだ状態を示している。
図4(b)の状態では、回転軸15のS極の磁石15bは切換子16のS極の磁石16bと反発するため、回転軸15の回転を拘束することができない。その結果、回転軸15は発条バネ20の戻し力によって回転し、サドルカバー12が回転軸15に巻き取られることになる。なお、このサドルカバー12の巻き戻し状態では、ガイド棒14を常に押していなければならない。
【0026】
図4(b)の状態では、切換子16のS極の磁石16bは回転軸15のS極の磁石15bと反発し合い、切換子16のN極の磁石16aは回転軸15のS極の磁石15bに引っ張られる。すなわち、切換子16には
図4(b)で示したBの方向の力が作用する。また、上側のガイド棒14に挿入されたコイルバネ19は圧縮されているため切換子16にB方向の力を与え、下側のガイド棒14に挿入されたコイルバネ19は伸ばされているため同様に切換子16にB方向の力を与える。結局、
図4(b)の状態で、下側のガイド棒14を押していた手を離すと、
図4(c)の状態を経由して
図4(a)の状態に戻ることになる。すなわち、回転軸15の回転が停止する。サドルカバー12の収納作業を途中で中止したい場合には、ガイド棒14を押していた手を離せばよい。なお、上記したS極の磁石15bはN極の磁石であってもよい。
【0027】
本実施例のサドルカバー装置30の自転車のサドルへの設置について、
図5を参照しつつ以下に説明する。サドルカバー装置30を自転車のサドル26に設置するための取付具24を
図5(a),(b)に示す。取付具24は、サドルカバー装置30の背面側に固定ネジ25によって固定されている。ネジによる固定ではなく、接着や溶接によって固定してもよい。なお、取付具24には種々の形状のものが考えられ、本実施例の取付具はその一例を示したものである。
図5(c)は、本実施例のサドルカバー装置30を、自転車のサドル26の下側に設置した状態を示す図である。サドルカバー装置30は、サドルポスト28の上部に取付具24によって固定されており、使用者はサドルカバー装置30のサドルカバー12を引っ張り出したのち、係止紐13aをフック27に固定する。
【0028】
本発明のサドルカバー装置によれば、収納ケースから引き出されたサドルカバーを任意の位置で拘束し、またその位置で拘束を解除することでサドルカバーを収納ケースに再度収納することができる。