【実施例1】
【0022】
設定
Sunnyvale、Californiaに位置するSvaya Nanotechnologies、Inc.から入手可能である自動化されたスプレーシステムを、層ごとの集成体をスプレーするために使用した。装置は、論理リレーを介して流量を制御できるソレノイド弁に接続された4つの噴霧ノズルを有した。窒素(N
2)ガスは、流量媒体/キャリアーおよび溶液の噴霧器の加圧に使用されたが、他のガスを使用することができるであろうし、そしてこれは依然本発明の範囲内である。ノズルの2つはカチオン性またはイオン性溶液のスプレー用に設定され、そして他の2つのノズルは、すすぎのために使用された。当然に他のノズル配置を使用できる。
【0023】
Zelio Soft 2ソフトウェアを使用して、スプレーの時間、液切りの時間、二重層の数等のスプレーのパラメーターをプログラムして、そして次に自動化された多層構造の集成/スプレーのためのスプレーシステムに連結されたモジュールに、移送された。溶液の流量を、所与のノズルの開口を調節することによって設定した。さらに、N
2ガス圧力を、25または30重量ポンド/平方インチ大気(atomosphere)(psia)のいずれかに設定した。
【0024】
以降[C(a)/A(b)]n(式中、aおよびbは、カチオン(C)およびアニオン(A)溶液、それぞれのpH値であり、そしてnは、スプレーされた二重層の数である。)として表わされるカチオン/アニオン二重層を、自動化されたスプレーシステムを使用してスプレーした。所望の数のスプレーされた二重層が「スタック」(スタックの用語は、所望の数の、低屈折率および/または高屈折率の二重層を有するナノ粒子の多層集成体と本明細書中で規定される。)を形成した。
【0025】
二重層の材料に関しては、負に帯電したSiO
2ナノ粒子(SM−30、平均粒径7ナノメートル(nm)、Aldrich)を、pH9.0のバッファー溶液中で0.03wt%溶液に希釈し、そして次に0.2μmフィルターを通してろ過した。7nmの平均粒径を有するプラスに帯電したTiO
2ナノ粒子を、チタンテトライソプロポキシド(Ti(OCH(CH
3)
2)
4)
8、15の制御された加水分解によって合成した。得られた溶液を0.2μm〜0.02μmのフィルターを通してろ過し、そして次に脱イオン水中で0.03wt%に希釈した。1.0MのHCl酸を加えることによって、溶液pHを2.0に調整した。
【0026】
ポリ(アリルアミン塩酸塩) (PAH、Mw =70、000、Sigma−Aldrich)およびポリ(ビニルスルホン酸ナトリウム塩) (PVS、Mw=170、000、テクニカルグレード、25%水溶液、Sigma−Aldrich)のポリマー溶液を、脱イオン水中で0.01Mの繰り返し単位ベースに希釈した。pHを、PAH溶液で7.5に、そしてPVS溶液で2.0に調整した。両方のポリマー溶液を、pH調整後に、0.2μmのメンブレンフィルターを使用してろ過した。
【0027】
所与の多層集成体では、透明な基材を、ノズルと垂直にかつノズルから離間して配向させ、そして次にスプレーされた層を形成するために、所望のナノ粒子またはポリマー溶液を用いてスプレーした。その後、スプレーされた層を液切りし、すすぎ、そして次に再度液切りした。第2の液切りの後に、追加の所望のポリマーまたはナノ粒子溶液を、先の層の上にスプレーし、続くスプレーされる層の適用の前に、追加の層をまた、液切り−すすぎ−液切りサイクルに曝した。
【0028】
液切り時間を6秒に設定し、そしてすすぎ時間を20秒に設定した。pH2.0の水および通常の脱イオン水のすすぎ溶液を、[TiO
2(2.0)/PVS(2.0)]nおよび[PAH(7.5)/SiO
2(9.0)]nの二重層のそれぞれのすすぎのために使用した。
【0029】
いくつかの例において、最初のスタックおよび最終スタックとしてスプレーされた、[TiO
2(2.0)/PVS(2.0)]
20スタックと共に、[TiO
2(2.0)/PVS(2.0)]
20および[PAH(7.5)/SiO
2(9.0)]
60スタックを、交互にスプレーすることによって、多層集成体を調製した。別の言い方をすれば、20の[TiO
2(2.0)/PVS(2.0)]二重層の最初のスタックを、各層の間に液切り−すすぎ−液切り方法を用いてスプレーし、続いて60の[PAH(7.5)/SiO
2(9.0)]二重層のスタック、続いて20の[TiO
2(2.0)/PVS(2.0)]二重層のスタック等を、所望の数のスタックが、所望の多層集成体を形成するようにスプレーした。
【0030】
二重層および/またはスタックの集成の後に、多層構造からポリマー材料を除去するために焼成した。本発明の目的のために、焼成は、C(a)および/またはA(b)の1もしくは2以上の二重層および/またはスタックが高温に曝されて、スプレーされたポリマー溶液から存在するポリマー材料を分解および/または除去する熱処理と規定される。
【0031】
いくつかの例において、多層集成体に、550℃で2時間焼成を行った。例および具体的に説明する目的のみのために、各SiO
2スタックを集成した後、各SiO
2スタックおよび各第5のスタックを集成した後、各第5のスタックを集成した後のみおよび/または全てのスタックを集成した後に、550℃での2時間焼成を行った。
【0032】
いくつかの例において、多層がその上に集成されるにつれて、基材上の色のグラデーションの外観による予備試験のためにケイ素基材を使用した。成長挙動および[TiO
2(2.0)/PVS(2.0)]nおよび[PAH(7.0)/SiO
2(9.0)]n二重層のモルホロジーを分析する場合に、VWR顕微鏡スライドガラスをまた、基材材料として使用した。
【0033】
ガラスおよびケイ素基材上の多層膜の厚みおよび屈折率を、Lincoln、 Nebraskaに位置するWoolham Co.からの分偏光解析器、および70°の入射角を有するWVASE32 ソフトウェアを使用して決定した。屈折率値を630nmの波長で計算した。トポグラフィーの画像および粗さ値(RMS)を、タッピングモードで運転されたDigital Instruments D3000走査プローブ顕微鏡を使用して、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて得た。非1/4波長設計を使用して、可視光波長(500〜580nm)の具体的範囲における、および近UVにおける反射率を有する反射鏡を設計するために、計算シミュレーションを使用した。シミュレーションを再現するために、計算のシミュレーション設計の結果当り20の二重層の[TiO
2(2.0)/PVS(2.0)]および60の二重層の[PAH(7.5)/SiO
2(9.0)]を基材上に交互にスプレーした。スタック数の関数として反射率を可視化するため、およびシミュレーションしたデータと比較するために、3〜11スタックを有するサンプルでUV可視反射率スペクトルを測定した。JOEL 2010F分析電子顕微鏡を使用して、断面透過電子顕微鏡(TEM)を利用した。TEMの用意のために、大きなスライドガラスから切断した2つの小片を、M−ボンド(M−bond)を使用して共にペースト化し、そして約100℃で30分間加熱した。後に、1.5時間低温下で機械的粉砕、そして次にイオンミリングを行うことによって、サンプルを調製した。
【0034】
結果
多層サンプルの当初の集成体は、基材表面に沿って大幅な色のグラデーションを示し、それによって基材の長さおよび/または幅に沿って、厚みが均一でないことを示した。結果として、ケイ素基材上の[PAH(7.5)/SiO
2(9.0)]
60スタックを使用して、ポリマー/ナノ粒子溶液のN
2ガス圧力、溶液の流量およびスプレー時間を研究し、16〜32mL/分の溶液の流量を増加させること、または30〜25ポンド/平方インチ(psi)のガス圧力を低下させることで、被覆された範囲における大幅な変化が観察されなかった。対照的に、各スプレーされた層においてスプレー時間を4秒から12秒に増加させると、
図3a〜3cに具体的に説明されるような、一様に被覆された範囲の増加をもたらした。特に、
図3aは、4秒のスプレー時間および1.7cmの均一厚の直径を具体的に示し、
図3bは、8秒のスプレー時間および2.2cmの均一厚の直径を具体的に示し、そして
図3cは、12秒のスプレー時間および4.2cmの均一厚の直径を具体的に示す。
【0035】
膜厚の変化に関しては、溶液の流量またはガス圧力を高めると、より厚い膜になった。溶液の流量および圧力は、被覆される基材領域の均一性に影響しなかったので、16mL/分の溶液の流量および25ポンド/平方インチのN
2ガス圧力をすべての続くスプレーで使用した。上記のように、[TiO
2(2.0)/PVS(2.0)]n−[PAH(7.5)/SiO
2(9.0)]n多層システムでの12秒のスプレー時間は、直径4センチメートル(cm)の円形部を被覆するのに充分な材料を提供し、従って顕微鏡スライドガラスを被覆するのに充分であった。
【0036】
[PAH(7.5)/SiO
2(9.0)]
60多層膜でのスプレー時間の関数としての厚みおよび光学特性を
図4A〜4Cに示す。基材上へのポリマーおよびナノ粒子の最大吸着は、さらに長い時間スプレーして多層膜の厚みを厚くしない、12秒のスプレー時間で到達した。屈折率は、すべての分析されたスプレー時間で一定であり、そして光学厚み(厚み×屈折率)は、12秒のスプレー時間で一定となった。したがって、12秒の最適なスプレー時間が被膜の最適化工程を通して決定された。当然のことながら、光学厚みは、複数のスタック膜の反射性を計算およびシミュレートするのに使用される主な変数の一つであり
8、そしてこの変数の制御は、構造色の設計を再現するのに非常に重要であることができる。
【0037】
[TiO
2(2.0)/PVS(2.0)]
30の多層膜集成体はまた、
図4D〜4Fに示すようにスプレー時間によって影響される。焼成後の屈折率は、全ての分析されたサンプルで、2.04±0.01と計算された。ポリマーおよびナノ粒子の吸着がその飽和限度に12秒で到達した[PAH(7.5)/SiO
2(9.0)]
60スタックでの膜厚と対照的に、[TiO
2(2.0)/PVS(2.0)]
30スタックのスプレーは、24秒までのスプレー時間での吸着で漸近厚を示さなかった。したがって、[TiO
2(2.0)/PVS(2.0)]スタックでの最大吸収を観察するための努力が4〜120秒の間のスプレー時間を使用して10の二重層集成体をスプレーすることによって行われ、結果を
図5および6に示す。特に、
図5は、焼成後に120秒のスプレー時間で、膜厚が15±0.5nmであり、そして屈折率が1.87±0.01であったことを具体的に示す。さらに、
図6は、基材を完全に覆うのに充分長い4秒のスプレー時間でのAFM画像およびRMS値および受け入れられる範囲内の全てのサンプルのRMS値を具体的に示す。しかし、留意すべきは、60秒以上スプレーされたサンプルは、粒子が表面上で凝集したことを示したことである。
【0038】
図5A中で観察されかつ示されているのは、スプレー時間の増加での膜厚の連続的な増加である。理論に拘束されないが、スプレー時間の増加での[TiO
2(2.0)/PVS(2.0))]
30多層膜のこの限定されない成長は、各層堆積の後での不完全な電荷反転を示す可能性がある。ゼータ電位測定によって計算されるように、pH2.0でのTiO
2ナノ粒子は、pH9.0でのSiO
2ナノ粒子より低い電荷密度を有する
16。高分子量のPVSは、低分子量ポリマーを用いて集成された膜に比較すると、より厚い堆積を可能にする
8、10、17。したがって、PVSの高分子量は、基材表面上での吸着に有利に働き、一方、TiO
2ナノ粒子の低い電荷密度は、吸着の速度論(kinetics)に影響する場合がある。
【0039】
a)各スタックのスプレー後の焼成、b)各SiO
2スタック(スタック2および4)のスプレー後の焼成、およびc)第5のスタックおよび最終のスタック後の焼成の3つの異なる条件下で得た各スタックの屈折率および厚みとともに、[TiO
2(2.0)/PVS(2.0)]
20および[PAH(7.5)/SiO
2(9.0)]
60でできた5スタック膜の偏光解析データを表1に示す。各スタックの後で焼成したサンプル(曲線a)および各SiO
2スタックの後で焼成したサンプル(曲線b)と比較して、最後のスタックおよび第5のスタック後でのみ焼成したサンプル(曲線c)では反射率ピークにおけるシフトにより、5スタック膜の全厚みは、
図7のUV可視スペクトルに示すよう非焼成サンプルではより厚かった。当然のことながら、すべてのサンプルは類似の反射率強度を示し、従って反射率ピークのシフトは、非焼成サンプルでの膜厚の変化の性であろう。この厚みの増加は、4番目のスタックにおいて、非常に観察された。
【0040】
表1
【表1】
【0041】
反射率および粗さにおける小さな変化にもかかわらず、第5のスタックおよび最終のスタックの後のみに焼成された、および各SiO
2スタックの後に焼成して調製された膜は、高い品質の光学性能に好適でなくなる程度に光を散乱した。この散乱現象における表面粗さの役割は、光学顕微鏡を使用して3つの異なるサンプルの表面モルホロジーによって明らかにされた。特に、
図8は、a)各スタックのスプレー後の焼成、b)各SiO
2スタック(スタック2および4)のスプレー後の焼成、およびc)第5のスタックおよび最終のスタック後の焼成の、上記のような3つの異なる条件により焼成された5スタックサンプルでの3つの異なる倍率(2.5倍、20倍、50倍)での光学顕微鏡画像を示す。
【0042】
画像に示すように、各スタック後の焼成は、2.5倍〜50倍の倍率で見えるトポグラフィー的な特徴を有さない、最も滑らかな表面となった。対照的に、各SiO
2スタック後および第5のスタックの後のみに焼成が行われた膜は、それらの全表面上にクラックおよび丸い凝集物を示した。そうした表面の特徴が、上記のように観察された光散乱を生じるようである。
【0043】
理論に拘束されないが、ポリマー/SiO
2ナノ粒子の系では、焼成はポリマーを除き、そしてボイド空間の部分を増加させる。SiO
2の系では、得られた膜は焼成後に崩れず、そして全厚みにおいて大幅な変化はない。対照的に、ポリマー/TiO
2ナノ粒子の系の焼成は、ポリマー除去、続くTiO
2ナノ粒子膜の崩れ、およびTiO
2膜の全厚みの大幅な減少となる
8、10、16。[TiO
2(2.0)/PVS(2.0)]
nスタックがその堆積後に焼成されると、ナノ粒子は、基材上またはその前の層の表面上で安定化し、よってその構造は、次のスタックの堆積によって乱されない。[TiO
2(2.0)/PVS(2.0)]
nスタックおよび[PAH(7.5)/SiO
2(9.0)]
nがその上にスプレーされた後に焼成を適用されない場合、PAHおよびSiO
2溶液の高いpH値は、下地をなすTiO
2スタックにおけるTiO
2ナノ粒子の再配列を生じる場合がある。さらに、
図8で観察されるように、2スタック構造を共に焼成すると、下地のTiO
2ナノ粒子の崩れとなり、表面のクラックおよび大きな凝集物を形成する。
【0044】
計算のシミュレーションは、近UV範囲での狭い反射率帯域および500〜580nmの波長の可視光の範囲での第2の反射率を有する多層スタック膜の設計を与えた。このシミュレーションでは、屈折率を一定と考え、そしてTiO
2およびSiO
2層、それぞれで、25nmおよび385nmの厚さを仮定した。
図9は、屈折率1.93を有するTiO
2スタックで始まりかつ終了する複数層のスタック膜および1.25の屈折率を有するSiO
2スタックを有するTiO
2/SiO
2複数層スタック膜でのシミュレーションされた反射率スペクトルを示す。
【0045】
対応する[TiO
2(2.0)/PVS(2.0)]
20および[PAH(7.5)/SiO
2(9.0)]
60の複数層のスタック膜を、所望の数のスタックが得られるまでスプレーLbL処理を介して顕微鏡スライドガラス上にスプレーした。ポリマーおよびナノ粒子溶液のスプレー時間、ガス圧力および流量を、12秒で、25ポンド/平方インチおよび16mL/分にそれぞれ設定した。ポリマー材料を除去するために、各TiO
2スタックおよび各SiO
2スタック堆積後に、550℃で2時間の焼成を適用した。11スタック反射体を異なる角度で撮り、そして基材にわたる均一の厚みを具体的に示す2枚の写真画像を
図10に示す。11スタックサンプルでのRMS粗さは8nmであり、従来のディッピングLbL(RMS=27nm)を介して調製された類似のサンプルより、著しく滑らかであった。
8
【0046】
11スタック反射体の断面TEMを行い、TEM画像を
図11に示す。明るい灰色の領域はSiO
2スタックであり、そして暗い灰色の線はTiO
2スタックである。スプレー−LbLおよび従来のLbL
8の両方は、複数のスタックの類似の構造を示した。
【0047】
TiO
2およびSiO
2スタックの多孔度は、スプレーされた二重層の数に依存する。例えば、SiO
2ナノ粒子の10の二重層のスタックは約42%の多孔度を有し、これは従来のLbL集成体を介して調製されたサンプルでの約54%の多孔度に通常相当する。TiO
2スタックは、二重層の数によって約15〜約20%の多孔度の値を示した。
【0048】
図12は、
図9に示されたシミュレーションの比較のために、3〜11のスタックを有するサンプルで収集したUV可視分光法データを具体的に示す。ナノ粒子のスタックの数の増加により、近UVおよび可視光波長での反射率は増加し、シミュレーションしたデータと一致している。先の研究において
8、スタックの数の増加と共に近UVにおける反射率のピーク強度は低下し、そしてこれは表面粗さおよび/またはTiO
2ナノ粒子によるUV光の吸収を原因としている。本発明において、より滑らかなスプレーされたLbL膜は、シミュレーションによって予測されたように、スタックの数と共に増加する近UVにおける反射性を示した。
【0049】
図13は、11スタック膜での、実験的(曲線a)とシミュレーションしたデータ(曲線b)との間の比較を具体的に示す。当初のシミュレーションは、分析される光波長の範囲にかけて屈折率が一定であると仮定したが、しかし、短波長でのシミュレーションは、屈折率が波長値に非常に依存し、そして近UV領域での反射率に著しく影響する場合があることを具体的に示した。Cauchyの式: n(λ)=A+B/λ
2+C/λ
4+…(式中、nは屈折率であり、λは、光の波長であり、そしてA、BおよびCは材料によって決定される係数である。)によって記載されるように、屈折率は、光の波長と相関する。しかし、光の波長が短くなると、屈折率への影響がより現われ、そして光学厚みの関数である反射率の計算に影響を与える。Cauchyの式(曲線c)を使用した屈折率を波長の関数と考えるシミュレーションをまた、
図13に示す。より良好な実験曲線の一致が得られ、シミュレーションパラメーターを調整すると、複数層のスタック膜の反射率のより正確な設計および予測を可能とすることが示された。
【0050】
本発明は、具体的に説明した例および上記の態様に制限されない。この例および態様は、本発明の範囲への制限を意図しない。本明細書中に記載された方法、プロセス、装置、組成物、およびその同類のものは例示的であり、そして本発明の範囲への制限として意図されない。これらの変形および他の使用が当業者に生じるであろう。本発明の範囲は請求項の範囲によって規定される。
【0051】
参照
1. Parker、 A. R.、 515 million years of structural colour. Journal of Optics A: Pure and Applied Optics 2000、 (6)、 R15.
2. Parker、 A. R.、 Natural photonic engineers. Materials Today 2002、 5、 (9)、 26−31.
3. Parker、 A. R.; Townley、 H. E.、 Biomimetics of photonic nanostructures. Nat Nano 2007、 2、 (6)、 347−353.
4. Banerjee、 D.; Grayson、 B. A.; Zhang、 M.; Ishii、 M. Multilayer photonic structures having omni−directional reflectivity and coatings incorporating the same. US Patent Application 20090153953、 2009.
5. Banerjee、 D.; Zhang、 M.; Ishii、 M. Narrow Band Omnidirectional Reflectors and their use
as Structural Colors. US Patent Application 20090046368、 2009.
6. Hunt、 S.; Cuthill、 I. C.; Bennett、 A. T. D.; Church、 S. C.; Partridge、 J. C.、 Is the ultraviolet waveband a special communication channel in avian mate choice? J Exp Biol 2001、 204、 (14)、 2499−2507.
7. Klem Jr、 D.、 Preventing Bird−Window Collisions. The Wilson Journal of Ornithology 2009、 121、 (2)、 314−321.
8. Kurt、 P.; Banerjee、 D.; Cohen、 R. E.; Rubner、 M. F.、 Structural Color via Layer−by−layer Deposition: Layered Nanoparticle Arrays with Near−UV and Visible Reflective Bands. Journal of Materials Chemistry 2009、 19、 8920−8927.
9. Berdahl、 P.; Akbari、 H.; Levinson、 R.; Miller、 W. A.、 Weathering of roofing materials − An overview. Construction and Building Materials 2008、 22、 (4)、 423−433.
10. Wu、 Z.; Lee、 D.; Rubner、 M. F.; Cohen、 R. E.、 Structural Color in Porous、 Superhydrophilic、 and Self−Cleaning SiO2/TiO2 Bragg Stacks. Small 2007、 3、 (9)、 1467.
11. Decher、 G.; Schlenoff、 J. B.、 Mutilayer Thin Films: Sequential Assembly of Nanocomposite Materials. Wiley−VCH: New York、 2003.
12. Krogman、 K. C.; Zacharia、 N. S.; Schroeder、 S.; Hammond、 P. T.、 Automated Process for Improved Uniformity and Versatility of Layer−by−Layer Deposition. Langmuir 2007、 23、 (6)、 3137−3141.
13. Krogman、 K. C.; Lowery、 J. L.; Zacharia、 N. S.; Rutledge、 G. C.; Hammond、 P. T.、 Spraying asymmetry into functional membranes layer−by−layer. Nat Mater 2009、 8、 (6)、 512−518.
14. Krogman、 K. C.; Lowery、 J. L.; Zacharia、 U.S. Patent Application Publication No. 2010/0003499、 filed July 6、 2009、 published January 7、 2010.
15. Choi、 W.; Termin、 A.; Hoffmann、 M. R.、 The Role of Metal Ion Dopants in Quantum−Sized TiO2: Correlation between Photoreactivity and Charge Carrier Recombination Dynamics. The Journal of Physical Chemistry 1994、 98、 (51)、 13669−13679.
16. Lee、 D.; Omolade、 D.; Cohen、 R. E.; Rubner、 M. F.、 pH−Dependent Structure and Properties of TiO2/SiO2 Nanoparticle Multilayer Thin Films. Chemistry of Materials 2007、 19、 (6)、 1427−1433.
17. Rahman、 M.; Taghavinia、 N.、 Layer−by−layer self assembly deposition and characterization of TiO2 nanoparticles by using a short chain polycation. The European Physical Journal Applied Physics 2009、 48、 1062.
(態様)
(態様1)
紫外反射率を有する構造色を作るための方法であって、
噴霧ノズルを提供する工程と、
第1のナノ粒子溶液および第2のナノ粒子溶液を提供する工程と、
複数の第1のナノ粒子溶液の層をスプレーする工程と、
該複数の第1のナノ粒子の層が、低屈折率のスタックを形成する工程と、
複数の第2のナノ粒子溶液の層をスプレーする工程と、
該複数の第2のナノ粒子の層が高屈折率のスタックを形成する工程と、
複数の交互の低屈折率のスタックおよび高屈折率のスタックを形成するために、追加の層をスプレーする工程であって、該低屈折率のスタックが該高屈折率のスタックにわたって伸び、そして該高屈折率のスタックが該低屈折率のスタックにわたって伸びる工程と、
複数の交互の低屈折率層および高屈折率層を形成するために、該低屈折率のスタックおよび該高屈折率のスタックを焼成する工程と、
を含み、
該交互の低屈折率層および高屈折率層が、紫外領域における電磁放射線および可視領域における狭帯域の電磁放射線を反射する二重の反射スペクトルを有する、方法。
(態様2)
該複数の低屈折率のスタックおよび高屈折率のスタックそれぞれが、非1/4波長厚を有する、態様1に記載の方法。
(態様3)
該複数の交互の低屈折率層および高屈折率層が、該紫外領域において該電磁放射線の70%超を反射し、そして該可視領域において電磁放射線の該狭帯域の60%超を反射する、態様1に記載の方法。
(態様4)
該第1のナノ粒子がSiO2ナノ粒子であり、そして該第2のナノ粒子がTiO2ナノ粒子である、態様1に記載の方法。
(態様5)
該低屈折率および高屈折率の複数の交互のスタックが、薄片の形態である、態様1に記載の方法。
(態様6)
該薄片が塗料のための顔料である、態様1に記載の方法。
(態様7)
該スプレーおよびすすぎが、コンピューター制御されている、態様1に記載の方法。
(態様8)
該低屈折率層および高屈折率層の複数の交互の層が、[A 0.5qH pL(qH pL)N 0.5qH G]
(式中、
Aは、空気を表わし、
qは、該高屈折率層の1/4波長厚の乗数であり、
Hは、所与の波長λ0での該高屈折率層の1/4波長厚であり、
Pは、該低屈折率材料の1/4波長厚の乗数であり、
Lは、該所与の波長λ0での低屈折率層の厚みであり、
Nは、該高屈折率材料の境界層間の層の全数を表わし、そして
Gは、基材を表わす。)によって記載される層構造を有する、態様1に記載の方法。
(態様9)
紫外反射率を有する構造色を作る方法であって、
複数の噴霧ノズルを提供する工程と、
第1のナノ粒子溶液および第1のポリマー溶液を提供する工程と、
第2のナノ粒子溶液および第2のポリマー溶液を提供する工程と、
複数の第1のナノ粒子の二重層をスプレーする工程であって、各第1のナノ粒子の二重層が、第1組の該複数の噴霧ノズルを使用して、第1のナノ粒子溶液の層および第1のポリマー溶液の層をスプレーすることによってできる、工程と、
追加の第1のナノ粒子の二重層がスプレーされる前に、第2組の該複数の噴霧ノズルを使用して、各第1のナノ粒子の二重層をすすぐ工程と、
該複数の第1のナノ粒子の二重層が、低屈折率のスタックを形成する工程と、
複数の第2のナノ粒子の二重層をスプレーする工程であって、各第2のナノ粒子の二重層が、第2のナノ粒子溶液の層および第2のポリマー溶液の層をスプレーすることによってできる工程と、
追加の第2のナノ粒子の二重層がスプレーされる前に、各第2のナノ粒子の二重層をすすぐ工程と、
該複数の第2のナノ粒子の二重層が、高屈折率のスタックを形成する工程と、
複数の交互の低屈折率のスタックおよび高屈折率のスタックを形成するために追加の層をスプレーする工程であって、該低屈折率のスタックが該高屈折率のスタックにわたって伸び、そして該高屈折率のスタックが該低屈折率のスタックにわたって伸びる工程と、
該低屈折率のスタックから該第1のポリマーを分解させ、そして該高屈折率のスタックから該第2のポリマーを分解させ、そして複数の交互の低屈折率層および高屈折率層を形成させる工程と、
を含み、
該交互の低屈折率層および高屈折率層が、紫外領域において電磁放射線および可視領域において狭帯域の電磁放射線を反射する二重の反射スペクトルを有する、方法。