(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記システムは、関心のある信号が特定の周波数帯域に存在するか否かを決定するように、又は特定のイベントを検出するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の検出ユニットからの情報を合成する2つの手法がこれまでに提案されている。一方では、各検出ユニットは、ハード検出判定を行い、そのバイナリ結果(1/0)を中央ユニットに送信し得る。中央ユニットでは、受信したビットが合成される。ビットを合成するための一般的に使用されるルールは、過半数ルールであり、信号の存在の最終的な決定は、受信信号の過半数が1であるか否かで行われる。この手法の利点は、シグナリング量が低い点である。しかし、ハード検出判定を行うことは、暗示的な信号情報のロスを生じ、これは中央ユニットでは更に利用できない。このことは、最終的な検出性能に影響を及ぼす。
【0005】
他方では、各検出ユニットは、単に生の観測又は何らかの他の形式の観測を中央ユニットに送信してもよい。この手法はより良い性能を生じ得るが、関与するシグナリング量は許容できないほど大きくなる。
【0006】
A. Ghasemi及びE. S. Sousaによる“Impact of user collaboration on the performance of sensing-based opportunistic spectrum access”, IEEE VTC Fall, pp. 1-6, September 2006は、エネルギー値又は1ビットのハード判定が個々のセンサから中央統合ユニットに送信され、スペクトラム検出を行うために合成されることを開示している。
【0007】
前述の問題のうち少なくともいくつかを軽減することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1に記載の装置、請求項8に記載のシステム、請求項13に記載の方法、及び請求項15に記載のコンピュータプログラムにより達成され得る。
【0009】
従って、本発明の第1の態様では、装置が提示される。この装置は、信号を検出するように構成された検出ユニットと、検出された信号又はこの信号から導かれた信号成分の複数のサンプルに基づいて値を計算するように構成された第1の計算ユニットと、第1の計算ユニットにより計算された値に基づいてメトリックを計算するように構成された第2の計算ユニットと、第2の計算ユニットにより計算されたメトリックを通信するように構成された通信ユニットとを有する。この装置は、コグニティブ無線システム及び他のシステムにおける関心のある特定の信号、又はセンサネットワーク及び他のネットワークにおける特定のイベントを検出するために使用されてもよい。これは、それほど大きなシグナリングオーバーヘッドを必要とすることなく、以前に提案された装置より良い検出性能を可能にし得る。
【0010】
本発明の第2の態様では、第1の計算ユニットは、検出された信号又は信号成分の二乗されたサンプルの和に基づいて値を計算するように構成される。第2の態様は、第1の態様と組み合わされてもよい。
【0011】
本発明の第3の態様では、第2の計算ユニットは、値の条件付確率に基づいてメトリックを計算するように構成される。第3の態様は、第1又は第2の態様と組み合わされてもよい。
【0012】
本発明の第4の態様では、メトリックは、異なる仮説に関する値の条件付確率に依存する関数である。第4の態様は、前述の態様のいずれか1つと組み合わされてもよい。
【0013】
本発明の第5の態様では、メトリックは、対数尤度比又は尤度比である。第5の態様は、前述の態様のいずれか1つと組み合わされてもよい。
【0014】
本発明の第6の態様では、検出ユニットは、観測時間を通じて検出された信号又は信号成分のサンプルを収集するように構成される。第6の態様は、前述の態様のいずれか1つと組み合わされてもよい。
【0015】
本発明の第7の態様では、検出ユニットは、無線信号又は生理学的信号を検出するように構成される。第7の態様は、前述の態様のいずれか1つと組み合わされてもよい。
【0016】
本発明の第8の態様では、システムが提示される。このシステムは、前述の態様のいずれか1つに記載の複数の装置と、これらの装置により通信されたメトリックを受信し、メトリックを合成し、合成されたメトリックに基づいて複数の仮説のうちどれが真であるかを決定するように構成された中央ユニットとを有する。このシステムは、コグニティブ無線ネットワークにおける関心のある特定の信号、又はセンサネットワークにおける特定のイベントを検出するために使用されてもよい。これは、それほど大きなシグナリングオーバーヘッドを必要とすることなく、以前に提案されたシステムより良い検出性能を可能にし得る。
【0017】
本発明の第9の態様では、中央ユニットは、メトリックを加算又は乗算することにより、メトリックを合成するように構成される。第9の態様は、第8の態様と組み合わされてもよい。
【0018】
本発明の第10の態様では、中央ユニットは、閾値ルールを用いて決定を行うように構成される。第10の態様は、第8又は第9の態様と組み合わされてもよい。
【0019】
本発明の第11の態様では、複数の装置は、コグニティブ無線ネットワーク又はセンサネットワークの一部である。第11の態様は、第8〜第10の態様のいずれか1つと組み合わされてもよい。
【0020】
本発明の第12の態様では、このシステムは、関心のある信号が特定の周波数帯域に存在するか否かを決定するように、又は特定のイベントを検出するように構成される。第12の態様は、第8〜第11の態様のいずれか1つと組み合わされてもよい。
【0021】
本発明の第13の態様では、方法が提示される。この方法は、信号を検出し、検出された信号又はこの信号から導かれた信号成分の複数のサンプルに基づいて値を計算し、第1の計算ステップで計算された値に基づいてメトリックを計算し、第2の計算ステップで計算されたメトリックを通信することを有する。
【0022】
本発明の第14の態様では、この方法は、複数の装置からメトリックを受信し、メトリックを合成し、合成されたメトリックに基づいて複数の仮説のうちどれが真であるかを決定することを更に有する。第14の態様は、第13の態様と組み合わされてもよい。
【0023】
本発明の第15の態様では、コンピュータプログラムが提示される。このコンピュータプログラムは、コンピュータ上で実行されたときに、コンピュータに対して第13又は第14の態様に記載の方法のステップを実行させるプログラムコード手段を有する。
【0024】
提案の方法及びコンピュータプログラムは、コグニティブ無線システム及び他のシステムにおける関心のある特定の信号、又はセンサネットワーク及び他のネットワークにおける特定のイベントを検出するために使用されてもよい。これらは、それほど大きなシグナリングオーバーヘッドを必要とすることなく、以前に提案された方法及びコンピュータプログラムより良い検出性能を可能にし得る。
【0025】
更に有利な変更態様は、従属項に記載される。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の前記及び他の態様は、添付図面を参照して以下に記載する実施例から明らかになり、これらの実施例により説明される。
【0028】
図1は、第1の実施例による例示的なシステム100の構成を示す概略ブロック図を示している。システム100は、送信機105と、領域上に分散した第1〜第Mの装置110_1〜110_Mと、中央ユニット140とを有してもよい。各装置110_1〜110_Mは、アンテナと、検出ユニットと、第1の計算ユニットと、第2の計算ユニットと、通信ユニットとを含んでもよい。すなわち、第iの装置は、アンテナ115_iと、検出受信機又はユニット120_iと、第1の計算ユニット125_iと、第2の計算ユニット(130_i)と、通信ユニット135_iとを有してもよい。例えば、第1の装置は、アンテナ115_1と、検出ユニット120_1と、第1の計算ユニット125_1と、第2の計算ユニット(130_1)と、通信ユニット135_1とを含んでもよく、第Mの装置は、アンテナ115_Mと、検出ユニット120_Mと、第1の計算ユニット125_Mと、第2の計算ユニット(130_M)と、通信ユニット135_Mとを有してもよい。
【0029】
装置110_iは、前述のものと異なる構成を有してもよい。例えば、第1の計算ユニット125_iと第2の計算ユニット130_iとの双方の機能を有する単一の計算ユニットのみを有してもよく、装置110_iの全ての構成要素の機能を実行可能ないくつかの種類の処理ユニットを有してもよい。一般的に、各装置110_1〜110_Mは、中央ユニットへの通信機能を備えた検出受信機(例えば、検出無線機又は以下に説明する機能を実行可能な他の種類の装置)でもよい。
【0030】
システム100は、セカンダリ・コグニティブ無線システムの一部でもよい。このようなセカンダリ・コグニティブ無線システムは、プライマリシステムのユーザに有害な干渉を生じることなく、プライマリ無線システムに許可されているスペクトラムの二次利用を可能にする。これは、プライマリユーザの送信に使用されていないスペクトラムの部分で動作することにより実現されてもよい。これらの部分を決定するために、プライマリユーザの信号は、スペクトラム検出により検出されてもよい。すなわち、関心のある信号が特定の周波数帯域に存在するか否かが決定されてもよい。
【0031】
プライマリユーザの信号の検出の問題は、バイナリの仮説検証問題として考えられてもよい。すなわち、2つの仮説(関心のある信号が存在する(H
1により示される仮説)又はノイズのみが存在する(H
0により示される仮説))のうちどちらが真であるかを決定することである。信号の存在は、以下に更に詳細に説明するように、システム100のM個の装置110_1〜110_Mにより検出されてもよい。
【0032】
関心のある信号は、送信機105により送信されてもよく、例えば、VHF帯域又はUHF帯域の信号のような無線周波数(RF:radio frequency)信号でもよい。例えば、マイクロ波信号が送信されてもよい。各装置110_1〜110_Mは、送信機105により送信された信号を受信又は検出してもよい。すなわち、各検出ユニット120_1〜120_Mは、アンテナ115_1〜115_Mの対応するもので受信した送信信号をそれぞれ受信又は検出してもよい。更に、各検出ユニット120_1〜120_Mは、検出された信号をサンプリングしてもよい。これは、アンテナ115_1〜115_Mの各フロントエンド受信アンテナの後にアナログ信号をサンプリングすることにより行われてもよい。次に、検出された信号のサンプルは、観測時間を通じて収集されてもよい。これは、ナイキスト周波数又は更に高い周波数で検出ユニット120_1〜120_Mで検出された信号をサンプリングすることにより実現されてもよい。すなわち、オーバーサンプリングが可能である。受信又は検出された信号の収集されたサンプルはr
ikとして示される。添え字iは第iの検出ユニット120_iを示し、添え字kはサンプルインデックスを示す。
【0033】
それぞれ2つの仮説H
1及びH
0のもとで第iの検出ユニット120_iで検出及びサンプリングされた信号は、以下のように記述されてもよい。
【0034】
【数1】
ただし、s
ikは第iの検出ユニット120_iでの第kの信号サンプルを示し、n
ikは第iの検出ユニット120_iでの第kの独立ガウスノイズサンプルを示す。
【0035】
信号サンプルr
ikは、第iの検出ユニット120_iから第iの第1の計算ユニット125_iに供給されてもよく、例えば以下の式に従って数量又は値E
iを計算するために使用されてもよい。
【0036】
【数2】
ただし、Λは時間と帯域幅との積(time-bandwidth product)であり、N
0はノイズ電力であり、Wは信号帯域幅を示す。式(2)による値E
iの計算は、例えば、第iの第1の計算ユニット125_iの二乗和(square-and-sum)ユニットを使用することにより実行されてもよい。
【0037】
E
iはランダムな変数を示し、仮説に応じて異なる分布関数を有する。仮説H
0では、E
iは2Λの自由度で中心カイ二乗分布(central chi-squared distribution)を有してもよい。仮説H
1では、E
iは非心度パラメータ2ρ
i及び2Λの自由度で非心カイ二乗分布(non-central chi-squared distribution)を有してもよい。ρ
iは信号対雑音比(SNR:signal-to-noise ratio)である。すなわち、H
0の前提では、E
iの確率分布は中心カイ二乗分布になってもよく、H
1の前提では、E
iの確率分布は非心カイ二乗分布になってもよい。
【0038】
前述の式(2)に従って計算された値E
iに基づいて、第iの第2の計算ユニット130_iは、例えば以下の数量又はソフトメトリックを計算してもよい。
【0039】
【数3】
ただし、P(E
i|H
0)及びP(E
i|H
1)は、H
0及びH
1を前提としたそれぞれの確率である。すなわち、P(E
i|H
0)は、仮説H
0が真であるという条件での条件付確率を示し、P(E
i|H
1)は、仮説H
1が真であるという条件での条件付確率を示す。
【0040】
P(E
i|H
0)及びP(E
i|H
1)は、それぞれ仮説H
0及びH
1でのE
iの確率分布関数に基づいて計算されてもよい。次に、メトリックD
iが前述の式(3)に従って計算されてもよい。しかし、他の式に従って代替のメトリックが計算されてもよい。例えば、メトリックD
iは対数尤度比の代わりに尤度比に基づいて計算されてもよい。この場合、メトリックD
iは、例えば以下の式に従って計算されてもよい。
【0041】
【数4】
更に、尤度比だけでなく、P(E
i|H
0)及びP(E
i|H
1)に適切に依存する他の関数も計算で使用されてもよい。また、このような関数の適切に量子化されたものを使用することも可能である。
【0042】
前述の式(3)に従ったメトリックD
iの計算は、除算関数と対数関数とを含んでもよい。これらの関数は、これらを計算することができる標準的な関数ブロックを使用することにより実装されてもよい。このようなブロックは、第2の計算ユニット130_iの一部でもよい。メトリックD
iが異なる方法で計算される場合、他の関数が含まれてもよい。例えば、対数尤度比の代わりに尤度比を使用する場合、除算関数のみが含まれてもよい。従って、この場合には簡単な除算器で十分になり得る。
【0043】
第2の計算ユニット130_iにより計算されたメトリックD
iは、通信ユニット135_iに供給されてもよい。通信ユニット135_iは、メトリックD
iを中央ユニット140に通信してもよい。すなわち、このメトリックは、装置110_iから中央ユニット140に伝達されてもよい。装置110_1〜110_Mは、所定のプロトコルで中央ユニット140と通信してもよい。通信される情報要素は指定されてもよい。例えば、情報要素は、式(3)又は(3’)に従って計算されたソフト情報又はメトリックD
iでもよい。通信は、無線通信でもよく、有線通信でもよい。
【0044】
装置110_1〜110_Mからの通信された情報(すなわち、メトリックD
1〜D
M)は、中央ユニット140で受信されて収集されてもよい。次に、通信された情報は合成されてもよい。例えば、メトリックD
1〜D
Mは、加算されてもよい。合成された情報に基づいて、関心のある信号の最終的な検出が実行されてもよい。換言すると、中央ユニット140は、仮説H
1が真であるか(すなわち、関心のある信号が存在するか)、仮説H
0が真であるか(すなわち、ノイズのみが存在するか)を決定してもよい。例えば、H
1又はH
0を真であると宣言するために、以下の判定ルールが使用されてもよい。
【0045】
【数5】
前述の式(4)に従って、ベクトル
【0046】
【数6】
に応じた最終判定統計D
sは、M個の装置110_1〜110_MからのメトリックD
1〜D
Mの和として決定されてもよい。ベクトル
【0047】
【数7】
の成分は、前述の式(2)に従って計算された値でもよい。すなわち、ベクトル
【0048】
【数8】
は、M個の第1の計算ユニット125_1〜125_Mにより計算された一式の値E
1〜E
Mを有してもよい。従って、以下の関係が当てはまってもよい。
【0049】
【数9】
前述の式(4)では、ベクトル
【0050】
【数10】
は、最終判定統計D
sが値E
1〜E
Mの関数になり得ることを示すように明示的に記述されている。D
sを決定した後に、この最終判定統計は、検出閾値ζと比較されてもよい。D
sがζ以上である場合、仮説H
1は真であると宣言されてもよい。D
sがζ未満である場合、仮説H
0は真であると宣言されてもよい。検出閾値ζは、システム100の検出性能を最適化するように選択されてもよい。検出閾値ζは、事前に計算されてもよく、システム100が動作している間に調整されてもよい。
【0051】
式(4)によれば、最終判定統計D
sは、D
iの和として計算され、検出閾値ζと比較されてもよい。これらの演算は、例えば加算及び比較ユニットにより行われてもよい。このようなユニットの出力は、D
sの結果の値が検出閾値ζ以上である場合には1でもよく、そうでない場合には0でもよい。出力はまた、検出閾値ζ以上であるD
sの値の場合には0でもよく、そうでない場合には1でもよい。更に、1及び0以外の出力が異なるD
sの値に関連付けられてもよい。
【0052】
前述のように、メトリックD
iが対数尤度比に基づいて(すなわち、式(3)に従って)計算される場合には、最終判定統計D
sはD
1〜D
Mを加算することにより決定されてもよい。メトリックD
iが他の適切な関数に基づいて計算される場合には、決定は異なる方法で実行されてもよい。決定の種類は、メトリックD
iの計算の種類に応じて選択されてもよい。例えば、対数尤度比の代わりに尤度比が用いられる場合(すなわち、メトリックD
iが式(3’)に従って計算される場合)、最終判定統計D
sはD
1〜D
Mを乗算することにより決定されてもよい。この場合、例えば、H
1又はH
0が真であると宣言するために、以下の判定ルールが使用されてもよい。
【0053】
【数11】
前述の検出手順の結果、中央ユニット140は、仮説H
0が真であると宣言されたか、仮説H
1が真であると宣言されたかを示す値を決定してもよい。例えば、中央ユニット140は、H
0が真であると宣言された場合には値0を決定してもよく、H
1が真であると宣言された場合には値1を決定してもよい。また、その逆でもよい。他の値も仮説H
0及びH
1に関連付けられてもよい。中央ユニット140は、決定された値を出力してもよい。
【0054】
実行された検出手順の結果(例えば、中央ユニット140により決定された値)に基づいて、プライマリユーザの送信が特定の周波数帯域で行われていない場合には、装置(例えば、セカンダリユーザの送信を実行しようとする無線装置等)は、特定の周波数帯域にアクセスすることを許可されてもよい。そうでない場合には、装置は、特定の周波数帯域にアクセスすることを許可されなくてもよい。すなわち、無線アクセスは、検出手順の結果に基づいて制御されてもよい。このような制御は、中央ユニット140又は更なる制御ユニット(
図1に図示せず)により実行されてもよい。後者の場合、更なる制御ユニットは、例えば中央ユニット140により決定されて出力された値に基づいて、制御を実行してもよい。
【0055】
前述の説明によれば、検出された信号のサンプルr
ikは収集されてもよい。すなわち、第iの第1の計算ユニット125_iは、検出された信号の複数のサンプルに基づいて、値E
iを計算してもよい。しかし、検出された信号から導かれた信号成分のサンプルが収集され、値E
iがこれらのサンプルに基づいて計算されることも可能である。例えば、検出された信号に埋め込まれたパイロット成分のサンプルが収集され、値E
iを計算するために使用されてもよい。信号成分は、第iの第1の計算ユニット125_iで検出された信号から抽出されてもよい。また、別のユニットが
図1に示されていなくても、信号成分を第iの第1の計算ユニット125_iに提供する別のユニットにより抽出されてもよい。
【0056】
更に、関心のある信号を検出する検出手順は、単一のプライマリ信号(例えば、無線信号等)が単一の送信機(
図1に示す送信機105等)により送信される例示的な構成に関して記載されている。しかし、検出手順はまた、複数のプライマリ信号が1つ以上の送信機により送信される構成(すなわち、複数の信号の集合が生じる場合)にも適用可能である。すなわち、
図1には示されていなくても、複数の送信機が存在してもよい。
【0057】
図2は、第2の実施例による例示的なシステム200の構成を示す概略ブロック図を示している。システム200は、複数の装置(例えば、第1〜第3の装置210_1〜210_3)と、中央ユニット240とを有してもよい。装置210_1〜210_3は、
図2に示すように、人体に分散されたセンサネットワークの一部でもよく、他の種類のネットワークでもよい。各装置210_1〜210_3は、第1の実施例によるシステム100の装置110_1〜110_Mの構成要素と同様の構成要素を含んでもよい。すなわち、各装置は、アンテナ又は結合ユニットと、検出ユニットと、第1の計算ユニットと、第2の計算ユニットと、通信ユニットとを有してもよい。
【0058】
第2の実施例は、無線信号ではなく、イベントの検出を含むという点で、第1の実施例と異なる。例えば、何らかの生理学的パラメータ(例えば、心拍数、脳電活動又は筋肉活動等)が検出されてもよい。このようなパラメータは、所望の数量を測定可能な一式の検出センサを有するセンサネットワークにより検出されてもよい。例えば、生理学的信号(例えば、心電図(ECG:electrocardiogram)信号、脳波図(EEG:electroencephalogram)信号及び/又は筋電図(EMG:electromyogram)信号等)を検出可能なセンサを含むセンサネットワークが使用されてもよい。
【0059】
第2の実施例によるセンサネットワークの装置又はセンサは、例えば、人体又は動物の体に分散されてもよい。この場合の仮説H
1は、生理学的ソース又はパラメータの存在(発生)又は通常の値からのずれを表してもよい。他方、仮説H
0は、その不在又は通常の状態であることを表してもよい。例えば、H
0及びH
1は、人間の通常の心拍及び心臓不整脈を表してもよい。
【0060】
第1の実施例に関して記載したステップは、この場合には仮説H
0及びH
1での基礎となる確率分布が検出されるイベントの統計的性質に応じて異なり得るという差があるが、名称における適切な変更を用いて依然として同様である。
【0061】
図3は、第3の実施例による例示的なシステム300の構成を示す概略ブロック図を示している。システム300は、複数の装置(例えば、第1及び第2の装置310_1及び310_2)と、中央ユニット340とを有してもよい。装置310_1及び310_2は、人体又は動物の体の環境(例えば、周囲の家庭環境等)に分散されたセンサネットワークの一部でもよい。例えば、装置310_1及び310_2は、
図3に示すように、人体の近くに配置されてもよい。各装置310_1及び310_2は、第1の実施例によるシステム100の装置110_1〜110_Mの構成要素と同様の構成要素を含んでもよい。すなわち、各装置は、アンテナ又は結合ユニットと、検出ユニットと、第1の計算ユニットと、第2の計算ユニットと、通信ユニットとを有してもよい。
【0062】
第3の実施例は第2の実施例と類似する。この実施例では、生理学的ソース又はパラメータの存在又は不在ではなく、人間又は動物の存在又は不在が検出されてもよい。より具体的には、人体又は動物の体が特定の領域に存在するか否かが検出されてもよい。この場合、例えば、仮説H
1は人間の存在を表してもよく、仮説H
0はその不在を表してもよい。
【0063】
第1の実施例に関して記載したステップは、この場合には仮説H
0及びH
1での基礎となる確率分布が検出対象に応じて異なり得るという差があるが、名称における適切な変更を用いて依然として同様である。
【0064】
図4は、第1〜第3の実施例による例示的な検出手順400のステップを示すフローチャートを示している。第1の実施例に従って前述の検出手順が実行される場合には、図示のステップは、
図1に示すシステム100の装置110_1〜110_M及び中央ユニット140により実行されてもよい。図示のステップは、第2の実施例に従って検出手順を実行する場合には、システム200の対応する要素により実行されてもよく、第3の実施例に従って検出手順を実行する場合には、システム300の対応する要素により実行されてもよい。
【0065】
検出手順400のステップS405において、各装置は信号測定を行ってもよい。すなわち、各装置は、信号を検出してサンプリングしてもよい。例えば、送信信号又は生理学的信号が検出されてもよい。ステップS410において、各装置は、式(2)により与えられる値を計算してもよい。ステップS415において、各装置は、例えば式(3)により与えられるメトリックを計算してもよい。ステップS420において、各装置は、それぞれ計算されたメトリックを通信してもよい。ステップS425において、中央ユニットは、装置から通信されたメトリックを受信してもよい。ステップS430において、中央ユニットは、例えば式(4)により与えられる最終判定統計D
sを計算してもよい。ステップS435において、D
sが検出閾値ζ以上であるか否かが決定されてもよい。ステップS435における決定が肯定的(YES)である場合、ステップS440において仮説H
1が真であると宣言されてもよい。ステップS435における決定が否定的(NO)である場合、ステップS445において仮説H
0が真であると宣言されてもよい。
【0066】
図5は、第1〜第3の実施例のソフトウェアに基づく実装の例を示している。ここで、装置500は、処理ユニット(PU:processing unit)505を有する。処理ユニット505は、単一チップ又はチップモジュールで提供されてもよく、メモリ(MEM)510に格納された制御プログラムのソフトウェアルーチンに基づいて制御を実行する制御ユニットを備える如何なるプロセッサ又はコンピュータでもよい。
図4に関して記載したような処理ステップ又は特許請求の範囲に記載の処理ステップを実行するために、プログラムコード命令は、MEM510から取り出され、PU505の制御ユニットにロードされる。
図4のフローチャートに示す処理ステップ又は同様の処理ステップは、入力データDIに基づいて実行され、出力データDOを生成してもよい。入力データDIは、検出された信号に対応してもよく、出力データDOは、複数の仮説のうちどれが真であるかを示す判定結果に対応してもよい。
【0067】
提案の検出手順の利点は、単一の検出ユニットをそれぞれ有する5つの装置を有するシステムにおいてハード検出を使用する検出手順の検出性能とその検出性能とを比較したときに明らかになる。明らかな性能の利得がみられる。このような性能の利得はまた、単一の検出ユニットを有する唯一の装置を有するシステムと比較したときにもみられる。
【0068】
システムの検出性能は、誤警報(P
fa)の実現される確率に関して、欠落した検出の一式の確率(P
md)について測定されてもよい。例えば、P
md=10
-3が設定されてもよい。
【0069】
図6は、以前に提案された検出手順の性能と比較したときの第1〜第3の実施例による例示的な検出手順の性能を示すグラフ600を示している。図示のグラフ600は、P
mdが10
-3に設定されたときの、信号対雑音比(SNR)に応じた異なる手法の実現されるP
faを示している。曲線605は、単一の検出ユニット又はセンサを有する唯一の装置を有するシステムにおいてハード検出を使用する以前に提案された検出手順のP
faを示している。曲線610は、単一の検出ユニット又はセンサをそれぞれ有する5つの装置を有するシステムにおいてハード検出を使用する以前に提案された検出手順のP
faを示している。ここで、これらの装置により出力された値にANDの合成が適用される。曲線615は、単一の検出ユニット又はセンサをそれぞれ有する5つの装置を有するシステムにおいてハード検出を使用する以前に提案された検出手順のP
faを示している。ここで、これらの装置により出力された値にORの合成が適用される。曲線620は、単一の検出ユニット又はセンサをそれぞれ有する5つの装置を有するシステムにおいて第1〜第3の実施例による例示的な検出手順のP
faを示している。図示の曲線は、支持するシミュレーション結果を示している。
【0070】
第1〜第3の実施例による検出手順を用いて、誤警報P
faの確率が、以前に提案された検出手順よりかなり低くなり得ることが、グラフ600から明らかである。このことは、第1〜第3の実施例による検出手順を使用したシステム(例えば、コグニティブ無線システム等)が空のスペクトラムにアクセスする機会をより多く有し得ることを意味する。この理由は、空のスペクトラムが占有されていると誤って宣言する確率が低いからである。従って、性能がより良くなり得る。
【0071】
第1〜第3の実施例による検出手順は、近く発表されるWRAN(Wireless Regional Area Network)のIEEE802.22標準が完成したときに生じる可能性がある拡張機能にも適用され得る。将来の標準は、UHF帯域/TVの余白における接続性アプリケーション(例えば、ポータブル装置)を対象にすることが想定される。ここでも、提案の検出方法は非常に興味深い。提案の検出手順は、広範囲のコグニティブ無線システム及び将来の標準の対象になり得る他のシステムにも一般的に適用され得る。
【0072】
特に将来の無線システムが本質的にコグニティブになると想定されるため、分散スペクトラム検出のソフト情報を伝達及び合成するために提示された対策を利用する様々な用途が考えられ得る。提案の検出手順は、一般的に信号環境を理解する(関心のある信号の種類を検出し、関心のある特定のスペクトラムに存在する干渉を検出する)ために適用されてもよい。提案の検出手順は、例えば多様センサネットワークによるイベント検出のような用途に使用されてもよい。
【0073】
本願では、中央ユニットへの通信機能を備えた複数の装置又はセンサを有するコグニティブ無線システムの検出手順が提案される。この検出手順は、例えばコグニティブ無線ネットワークにより関心のある特定の信号を検出するスペクトラム検出方法で使用されてもよい。関心のある信号が特定の周波数帯域に存在するか否かを決定するために、又は特定のイベントを検出するために、ルール及びシグナリングプロトコルが使用されてもよい。提案の検出手順は、領域に分散された複数の装置で利用されてもよい。各装置は、信号検出又は検知を実行し、観測時間を通じて受信した信号サンプルを収集し、ソフト判定メトリック(例えば、尤度比、対数尤度比又は他の適切な関数)を計算し、ソフト判定メトリックを中央ユニットに送信/伝達してもよい。メトリックはエネルギーメトリックでもよく、異なる仮説で条件付けされてもよい。複数の装置からのソフト判定メトリックは、中央ユニットで収集されてもよい。中央ユニットは、指定の統合又は合成ルールを用いて収集されたメトリックを合成し、関心のある信号又はイベントの存在又は不在の最終判定を行うために(例えば、プライマリユーザの信号を検出するために)閾値ルールを使用してもよい。
【0074】
提案の検出手順は、あまり多くのシグナリングオーバーヘッドを必要とせずに、以前に提案された手法と比較して良い検出性能を提供し得る。このことは、検出手順により使用されるフィードバックメトリック及び統合ルールにより可能にされてもよい。前者は、シグナリングプロトコルの形式になってもよく、コグニティブ無線における如何なる標準又はセンサネットワークにおける将来の標準でも有用である。
【0075】
要約すると、本発明は、スペクトラム検出のための装置、システム、方法及びコンピュータプログラムに関する。中央ユニットと通信可能な複数の検出装置を使用することにより関心のある信号又はイベントを検出する検出手順が提案される。検出装置は、ソフト判定メトリックを計算し、この情報を中央ユニットに通信してもよい。中央ユニットでは、情報は、特定の指定されたルールを使用して最終的な検出判定を行うために使用されてもよい。提案の手法のシグナリングオーバーヘッドは、ハードシグナリングの手法のものと同じオーダーになり得る。しかし、提案の手法は、より良い検出性能を実現し得る。
【0076】
図面及び前述の説明で本発明について詳細に図示及び記載したが、このような図示及び記載は、限定的ではなく、例示的として考えられるべきである。本発明は、開示された実施例に限定されない。
【0077】
図面、この開示及び特許請求の範囲の検討から、本発明を実施する際に、開示された実施例への変更が当業者により分かり実行され得る。
【0078】
請求項において、“有する”という用語は他の要素又はステップを除外せず、単数は複数を除外しない。単一のプロセッサ、計算ユニット、検出ユニット又は他のユニットは、請求項に記載の複数の項目の機能を実現してもよい。特定の手段が相互に異なる従属項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示しているのではない。
【0079】
特許請求の範囲に記載の機能を実行するようにプロセッサを制御可能なコンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又は他のハードウェアの一部として供給される適切な媒体(光記憶媒体又は固体媒体)に格納/分配されてもよく、他の形式で(インターネット又は他の有線若しくは無線通信システム等を介して)分散されてもよい。コンピュータのコンピュータプログラムプロダクトは、コンピュータプログラムプロダクトがコンピュータ上で実行したときに、例えば
図4に関して記載したような処理ステップを実行するソフトウェアコード部を有してもよい。コンピュータプログラムプロダクトは、ソフトウェアコード部が格納されるコンピュータ可読媒体(例えば、光記憶媒体又は固体媒体等)を更に有してもよい。
【0080】
請求項の如何なる参照符号もその範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。