(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記アタッチメントの位置が作業車両本体から所定の範囲内である場合、前記アタッチメントの位置よりも作業車両本体から離間した位置の規制面のみによって前記可動範囲を制限する請求項1に記載の作業車両。
アタッチメント選択手段を更に備え、前記制御装置は、前記アタッチメント選択手段によって選択されたアタッチメントの種類に基づいて前記複数の規制面の位置を補正する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の作業車両。
前記制御装置は、前記可動範囲の制限が解除されても、前記複数の規制面のうち選択されていた規制面を記憶している請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の作業車両。
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず、
図1から
図3を用いて、本発明の第一実施形態に係る作業車両であるバックホー1について説明する。なお、本実施形態においては、バックホー1を作業車両の一実施形態として説明するが、作業車両はこれに限るものではなく、その他の農業車両、建設車両、産業車両等であっても良い。以下の説明では、矢印F方向をバックホー1の前方向、矢印L方向をバックホー1の左方向として前後左右上下方向を規定して説明する。
【0021】
バックホー1は、主として走行装置2、旋回装置3、及び作業装置4を具備する。
【0022】
走行装置2は、主として左右一対のクローラ5・5、左走行用油圧モータ5L、及び右走行用油圧モータ5Rを具備する。走行装置2は、左走行用油圧モータ5Lにより機体左側のクローラ5を、右走行用油圧モータ5Rにより機体右側のクローラ5を、それぞれ駆動することで、バックホー1を前後進及び旋回させることができる。
【0023】
旋回装置3は、主として旋回台6、旋回モータ7、操縦部8、及びエンジン9を具備する。旋回台6は、旋回装置3の主たる構造体となるものである。旋回台6は、走行装置2の上方に配置され、走行装置2に旋回可能に支持される。旋回装置3は、旋回モータ7を駆動することで、当該旋回台6を走行装置2に対して旋回させることができる。また、旋回台6上には、種々の操作具を備える操縦部8、動力源となるエンジン9等が配置される。
【0024】
作業装置4は、主としてブーム10、アーム11、アタッチメントの一種であるバケット12、ブームシリンダ13、アームシリンダ14、アタッチメント用シリンダ15を具備する。
【0025】
ブーム10は、その一端部が旋回台6の前部に回転自在に支持される。ブーム10は、伸縮自在に駆動するブームシリンダ13によって一端部を回転中心として回転される。より詳細には、ブームシリンダ13が伸ばされた場合、ブーム10は上方に回転され、ブームシリンダ13が縮められた場合、ブーム10は下方に回転される。また、ブーム10の支持部には、ブーム10の回転位置を検出する位置センサー10aが設けられる。なお、本実施形態において、位置センサー10aによってブーム10の回転位置を検出するものとしたが、これに限定されるものではなく、ブームシリンダ13の伸縮量等を検出するものでもよい。
【0026】
アーム11は、その一端部がブーム10の他端部に回転自在に支持される。アーム11は、伸縮自在に駆動するアームシリンダ14によって一端部を回転中心として回転される。より詳細には、アームシリンダ14が伸ばされた場合、アーム11は下方(アーム11の他端側がブーム10に近接する方向)に回転され、アームシリンダ14が縮められた場合、アーム11は上方(アーム11の他端側がブーム10から離間する方向)に回転される。また、アーム11の支持部には、アーム11の回転位置を検出する位置センサー11aが設けられる。なお、本実施形態において、位置センサー11aによってアーム11の回転位置を検出するものとしたが、これに限定されるものではなく、アームシリンダ14の伸縮量等を検出するものでもよい。
【0027】
アタッチメントの一種であるバケット12は、その一端部がアーム11の他端部に回転自在に支持される。バケット12は、伸縮自在に駆動するアタッチメント用シリンダ15によって一端部を回転中心として回転される。より詳細には、アタッチメント用シリンダ15が伸ばされた場合、バケット12は下方(バケット12の他端側がアーム11に近接する方向)に回動され、アタッチメント用シリンダ15が縮められた場合、バケット12は上方(バケット12の他端側がアーム11から離間する方向)に回動される。また、バケット12の支持部には、バケット12の回転位置を検出する位置センサー12aが設けられる。なお、本実施形態において、位置センサーによってバケット12の回転位置を検出するものとしたが、これに限定されるものではなく、アタッチメント用シリンダ15の伸縮量等を検出するものでもよい。
【0028】
以上の如く、作業装置4は、バケット12を用いて土砂等の掘削を行う多関節構造を構成している。なお、本実施形態に係るバックホー1は、バケット12を有して掘削作業を行う作業装置4としているが、これに限定するものではなく、例えば油圧ブレーカーを有して破砕作業を行う作業装置4であっても良い。
【0029】
図2に示すように、操縦部8には、略中央に操縦席20が設けられ、その左右両側に右側操作レバー装置21及び左側操作レバー装置22が配置される。各操作レバー装置は、旋回モータ7、ブームシリンダ13、アームシリンダ14、及びアタッチメント用シリンダ15を操作可能に構成される。操縦席20の左右一側(本実施形態では右側)には、表示装置23が設けられる。表示装置23は、表示部分が操縦席20に着座した操縦者と対向するように配置される。また、操縦部8には、エンジン9のスロットル開度を変更する、図示しないスロットルレバーが備えられる。操縦者は、スロットルレバーを操作することによってエンジン9の出力を変更することができる。
【0030】
次に、
図3を用いて、バックホー1が具備する油圧回路100について説明する。
【0031】
なお、以下では説明の便宜上、旋回モータ用方向切換弁111、ブームシリンダ用方向切換弁112、アームシリンダ用方向切換弁113、及びアタッチメント用方向切換弁114、を総称して、単に「方向切換弁群110」と記す。右側前後パイロット弁121、右側左右パイロット弁122、左側前後パイロット弁123、及び左側左右パイロット弁124、を総称して、単に「パイロット弁群120」と記す。
【0032】
図3に示すように、油圧回路100は、主として方向切換弁群110、パイロット弁群120、パイロット切換弁130、及び油圧ポンプ140を具備する。
【0033】
方向切換弁群110(旋回モータ用方向切換弁111、ブームシリンダ用方向切換弁112、アームシリンダ用方向切換弁113、アタッチメント用方向切換弁114)は、パイロット圧によってスプールが摺動されることにより、旋回モータ7、ブームシリンダ13、アームシリンダ14、及びアタッチメント用シリンダ15に供給される作動油の流れを切り換えるパイロット式の方向切換弁である。
【0034】
旋回モータ用方向切換弁111は、旋回モータ7に供給される作動油の方向を切り換える。旋回モータ用方向切換弁111にパイロット圧が付与された場合、旋回モータ用方向切換弁111は中立位置から一又は他のポジションに切り換えられる。旋回モータ用方向切換弁111が一のポジションのとき、旋回モータ7は作動油によって一方向に回転駆動される。旋回モータ用方向切換弁111が他のポジションのとき、旋回モータ7は作動油によって他方向に回転駆動される。旋回モータ7から排出される作動油は、作動油タンク150に戻される。
【0035】
ブームシリンダ用方向切換弁112は、ブームシリンダ13に供給される作動油の方向を切り換える。ブームシリンダ用方向切換弁112にパイロット圧が付与された場合、ブームシリンダ用方向切換弁112は中立位置から一又は他のポジションに切り換えられる。ブームシリンダ13は、ブームシリンダ用方向切換弁112の作用により伸縮し、ブーム10が上方又は下方に回動される。
【0036】
アームシリンダ用方向切換弁113は、アームシリンダ14に供給される作動油の方向を切り換えることが可能なパイロット式の方向切換弁である。アームシリンダ用方向切換弁113にパイロット圧が付与された場合、アームシリンダ用方向切換弁113は中立位置から一又は他のポジションに切り換えられる。アームシリンダ14は、アームシリンダ用方向切換弁113の作用により伸縮し、アーム11が上方又は下方に回動される。
【0037】
アタッチメント用方向切換弁114は、アタッチメント用シリンダ15に供給される作動油の方向を切り換えることが可能なパイロット式の方向切換弁である。アタッチメント用方向切換弁114にパイロット圧が付与された場合、アタッチメント用方向切換弁114は中立位置から一又は他のポジションに切り換えられる。アタッチメント用シリンダ15は、アタッチメント用方向切換弁114の作用により伸縮し、アタッチメント用シリンダ15が上方(バケット12の他端側がアーム11から離間する方向)又は下方(バケット12の他端側がアーム11に近接する方向)に回動される。
【0038】
パイロット弁群120(右側前後パイロット弁121、右側左右パイロット弁122、左側前後パイロット弁123、左側左右パイロット弁124)は、方向切換弁群110に供給されるパイロット用作動油の流れを切り換えるものである。
【0039】
右側前後パイロット弁121は、右側操作レバー装置21が前後方向に操作されるときに、パイロット用作動油の流れを切り換えるように右側操作レバー装置21と連動連結される。すなわち、右側前後パイロット弁121は、右側操作レバー装置21が前後方向に操作されることで、方向切換弁群110における一の方向切換弁のスプールを一又は他のポジションに切り換え可能に構成される。
【0040】
右側左右パイロット弁122は、右側操作レバー装置21が左右方向に操作されるときに、パイロット用作動油の流れを切り換えるように右側操作レバー装置21と連動連結される。右側左右パイロット弁122の構成は、右側前後パイロット弁121の構成と略同一である。
【0041】
左側前後パイロット弁123は、左側操作レバー装置22が前後方向に操作されるときに、パイロット用作動油の流れを切り換えるように左側操作レバー装置22と連動連結される。左側前後パイロット弁123の構成は、右側前後パイロット弁121の構成と略同一である。
【0042】
左側左右パイロット弁124は、左側操作レバー装置22が左右方向に操作されるときに、パイロット用作動油の流れを切り換えるように左側操作レバー装置22に連動連結される。左側左右パイロット弁124の構成は、右側前後パイロット弁121の構成と略同一である。
【0043】
これにより、操縦者は、右側操作レバー装置21及び左側操作レバー装置22の操作によって、複数の油圧アクチュエータに供給される作動油の方向を切り換えることで、自在にバックホー1の作業機を操縦することができる。
【0044】
パイロット切換弁130は、方向切換弁に連通されるパイロット弁の組み合わせを切り換えるものである。パイロット切換弁130は、方向切換弁群110とパイロット弁群120とを接続する油路の途中部に配置される。パイロット切換弁130は、ケーシング131と、ケーシング131に回動自在に挿入される円柱状のロータリスプール132と、を具備する。
【0045】
パイロット切換弁130のケーシング131には、方向切換弁群110からの油路である方向切換弁用油路群110bと、パイロット弁群120からの油路であるパイロット用油路群120aとがそれぞれ接続される。パイロット切換弁130は、ロータリスプール132の位置によって方向切換弁用油路群110bとパイロット用油路群120aとを所定の組み合わせでそれぞれ連通可能に構成される。
【0046】
油圧ポンプ140は、エンジン9によって駆動され、作動油を吐出する。油圧ポンプ140は、図示しない可動斜板の斜板角度を変更することによって吐出量を変更可能な可変容量型のポンプである。油圧ポンプ140から吐出された作動油は、方向切換弁群110及びパイロット弁群120へと供給される。
【0047】
以下では、表示装置23の構成について具体的に説明する。
【0048】
図2及び
図4に示すように、表示装置23は、枠体24、LED表示部25、液晶表示部26、画面操作部27、制御部28(
図5参照)を具備する。
【0049】
枠体24は、長辺部と短辺部とからなる側面視略L字の箱状に形成される。枠体24は、短辺部の一側面が操縦席20と対向するように操縦席20の右側側方に配置される。
【0050】
LED表示部25は、枠体24の短辺部の一側面上方に設けられる。LED表示部25には、バックホー1の動作状態や、警告の有無等を表す複数の図形が表示され、各図形にLEDが配置される。LED表示部25は、所定の条件において対応するLEDが点灯することで特定の図形のみが点灯する。このようにして、LED表示部25は、操縦者に情報を伝達可能なように構成される。なお、本実施形態において、LED表示部25はLEDを点灯させて表示するものとしたが、これに限定されるものではなく、点灯制御できる光源であればよい。
【0051】
表示部である液晶表示部26は、枠体24の短辺部の一側面であってLED表示部25の下方に設けられる。液晶表示部26は、情報を表示する液晶画面から構成される。液晶表示部26は、後述の画面操作部27の操作により液晶画面を各作業モード応じた表示に切り換えてバックホー1の稼動状態を確認することができる。このようにして、液晶表示部26は、操縦者に情報を伝達可能なように構成される。なお、本実施形態において、液晶表示部26は液晶画面によって表示するものとしたが、これに限定されるものではなく、複数の情報を任意に表示できるものであればよい。
【0052】
画面操作部27は、枠体24の短辺部の一側面であって液晶表示部26の下方に配置される。画面操作部27は、メニューボタン及び複数の操作ボタンであるF1ボタン、F2ボタン、F3ボタン及びF4ボタンを具備する。画面操作部27は、メニューボタン、F1ボタン、F2ボタン、F3ボタン及びF4ボタンを操作することで、液晶表示部26に表示される画面を選択可能に構成される。
【0053】
制御部28は、LED表示部25及び液晶表示部26の制御を行うものである。制御部28は、LED表示部25及び液晶表示部26と近接する枠体24の内部に、又は後述のECU16と一体的に構成される(
図5参照)。
【0054】
次に、
図5を用いて、本発明に係るバックホー1が具備するECU16、及び表示装置23が具備する制御部28について説明する。
【0055】
図5に示すように、ECU16は、エンジン9、油圧ポンプ140等を制御するものである。ECU16は、エンジン9や油圧ポンプ140等を制御するために種々のプログラムが格納される。また、ECU16は、これらのプログラム等に従って所定の演算を行うことができ、当該演算の結果等を記憶することができる。
【0056】
ECU16は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。
【0057】
ECU16は、エンジン9に設けられる、図示しない各種センサーや燃料噴射装置に接続され、エンジン9を制御することが可能である。
【0058】
ECU16は、燃料計17に接続され、燃料計17が検出する図示しない燃料タンク内の燃料残量Flを取得することが可能である。
【0059】
ECU16は、水温計18に接続され、水温計18が検出するエンジン9の冷却水温度Tを取得することが可能である。
【0060】
ECU16は、油圧ポンプ140に設けられる図示しない各種センサーやアクチュエータに接続され、油圧ポンプ140を制御することが可能である。
【0061】
ECU16は、表示装置23の制御部28に接続され、制御部28に警告・エラー情報、燃料残量Fl、及び冷却水温度T等についての制御信号を伝達し、制御部28に入力された入力信号を取得することが可能である。
【0062】
次に、
図5を用いて、表示装置23が具備する制御部28について具体的に説明する。
【0063】
図5に示すように、制御部28は、表示装置23を制御するものである。制御部28は、表示装置23を制御するために種々のプログラムが格納される。また、制御部28は、これらのプログラム等に従って所定の演算を行うことができ、当該演算の結果等を記憶する記憶部29を有する。
【0064】
制御部28は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。また、制御部28は、本実施形態において後述のECU16と別構成としたが、これに限定されずECU16と一体に構成されていてもよい。この場合、ECU16には、位置センサー10a・11a・12aが接続される。
【0065】
制御部28は、位置センサー10a・11a・12aに接続され、位置センサーが検出する作業装置4のブーム10、アーム11及びバケット12の回転位置を取得することが可能である。また、制御部28は、取得したブーム10、アーム11及びバケット12の回転位置から旋回装置3に対するバケット12の先端部の位置Pbを算出することが可能である。一方、記憶部29には、バケット12の可動範囲を制限するための複数の規制面S1・S2・S3・S4・S5が予め記憶される(
図1参照)。規制面S1は、複数の規制面S1・S2・S3・S4・S5のうち最も作業車両1の旋回装置3から離間している規制面を示す。規制面S2・S3・S4は、旋回装置3から順に離間する各規制面を示す。そして、規制面S5は、複数の規制面S1・S2・S3・S4・S5のうち最も旋回装置3に近接している規制面の位置を示す。
【0066】
制御部28は、LED表示部25に接続され、LED表示部25に制御信号を伝達することが可能である。すなわち、制御部28は、表示装置23のLED表示部25に制御信号を伝達することでLED表示部25における所定のLEDを点灯させることが可能である。
【0067】
制御部28は、ECU16に接続され、ECU16からの燃料残量Fl、冷却水温度T、警告、およびエラー情報等の制御信号を取得することが可能である。また、制御部28は、液晶表示部26及び画面操作部27に接続され、液晶表示部26にこれらの制御信号を伝達し、画面操作部27からの入力信号である複数の規制面S1・S2・S3・S4・S5から選択された一の規制面(以下、選択された一の規制面を「規制面St」と表す)の情報を取得することが可能である。すなわち、制御部28は、液晶表示部26に制御信号を伝達することで液晶表示部26においてバックホー1の稼動状態についての情報を表示させるとともに、規制面Stの情報に基づいてバケット12の可動範囲を制限することが可能である。
【0068】
また、本発明に係るバックホー1が具備するECU16、及び表示装置23が具備する制御部28の別実施形態として、
図6に示すように、制御部28に燃料計17及び水温計18が接続される構成としてもよい。このように構成することで、制御部28は、燃料計17が検出する図示しない燃料タンク内の燃料残量Fl、及び水温計18が検出するエンジン9の冷却水温度Tを取得することが可能である。
【0069】
次に、
図7から
図11を用いて、表示装置23の制御部28によって液晶表示部26に表示される情報について説明する。
【0070】
図7に示すように、制御部28は、ECU16から表示すべき警告・エラーの制御信号を取得すると、当該制御信号に基づいて所定の図形及びエラーコード等からなる警告・エラー画面30を液晶表示部26に表示させる。
【0071】
図8に示すように、制御部28は、警告・エラー画面30を所定時間表示後、掘削作業時に表示される掘削モード画面31を液晶表示部26に表示させる。掘削モード画面31は、時刻、稼動時間、操作パターン、燃料残量Fl、及び冷却水温度Tについての情報が常に表示される。また、警告・エラー画面30の下部には画面操作部27のF1ボタン、F2ボタン、F3ボタン、F4ボタンの位置に合わせて各操作ボタンの機能を示唆するマークが表示される。制御部28は、画面操作部27のF2ボタン・F3ボタン・F4ボタンのうちいずれか一つの操作により入力される入力信号を取得すると、バケット12の可動範囲を制限する可動範囲制限モード画面33を液晶表示部26に表示させる(
図10参照)。
【0072】
図9に示すように、制御部28は、画面操作部27のメニューボタンの操作により入力される入力信号を取得すると、メニュー画面32を液晶表示部26に表示させる。メニュー画面32は、複数のモード選択ボタンが表示される。メニュー画面32の下部には画面操作部27のF1ボタン、F2ボタン、F3ボタン、F4ボタンの位置に合わせて各操作ボタンの機能を示唆するマークが表示される。制御部28は、複数のモード選択ボタンのうち一のモード選択ボタンの操作により入力される入力信号を取得すると、メニュー画面32から対応するモード画面を液晶表示部26に表示させる。制御部28は、メニュー画面32のボタン32a・32b・32cのうちいずれか一つの操作により入力される入力信号を取得すると、バケット12の可動範囲を制限する可動範囲制限モード画面33を液晶表示部26に表示させる(
図10参照)。また、制御部28は、メニュー画面32のアタッチメント選択ボタン32dの操作により入力される入力信号を取得すると、選択されたアタッチメントの種類に基づいて、複数の規制面S1・S2・S3・S4・S5を補正する。
【0073】
図10(a)に示すように、可動範囲制限モード画面33は、可動範囲の制限を有効にするONマーク33aと規制面Stを設定するSETマーク33bが表示される。メニュー画面32の下部には画面操作部27のF1ボタン、F2ボタン、F3ボタン、F4ボタンの位置に合わせて各操作ボタンの機能を示唆するマークが表示される。制御部28は、F2ボタン及びF3ボタンの操作により規制面Stの設定が選択され(
図10におけるSETマーク33b側)、F4ボタンの操作により規制面Stの設定を行うための入力信号を取得すると、規制面Stを設定する規制面SETモード画面34を液晶表示部26に表示させる(
図11参照)。
【0074】
図10(b)に示すように、制御部28は、F2ボタン及びF3ボタンの操作により可動範囲を制限する設定が選択され(
図10におけるONマーク33a側)、F4ボタンの操作により可動範囲を制限するための入力信号を取得すると、規制面SETモード画面34を表示させることなく可動範囲が制限されていることを示す画面(図示せず)を液晶表示部26に表示した後に、掘削モード画面31を液晶表示部26に表示させる。この際、可動範囲を制限する規制面Stは、記憶部29に記憶されている直前に設定されていた規制面が選択される。
【0075】
また、誤操作による可動範囲の意図せぬ解除が発生しないように、制御部28は、可動範囲制限モード画面33において
F2ボタン、F3ボタン及びF4ボタンを同時に操作した場合にのみ可動範囲の制限を解除するように構成される。なお、可動範囲の制限を解除する特定の操作は、本実施形態に限定されるものではない。
【0076】
図11に示すように、規制面SETモード画面34は、バケット12の位置とバケット12の可動範囲を規制する複数の規制面S1・S2・S3・S4・S5の位置との関係が表示される。規制面SETモード画面34において、バケット12の位置Pbは、バケットマーク34aによって表される。規制面SETモード画面34において、最も左側に表示される規制面マーク34bは、規制面S1を示す。規制面マーク34c・34d・34eは、
旋回装置3から離間する順にそれぞれ規制面S2・S3・S4を示す。最も右側に表示される規制面マーク34fは、規制面S5を示す。規制面Stの位置Ptは、規制面マーク34b・34c・34d・34e・34fのうちいずれか一つに合された白三角マーク34gによって表される。なお、本実施形態において、複数の規制面は、5個であるがこれに限定されるものではない。規制面SETモード画面34の下部には画面操作部27のF1ボタン、F2ボタン、F3ボタン、F4ボタンの位置に合わせて各操作ボタンの機能を示唆するマークが表示される。
【0077】
図11(a)に示すように、規制面Stの位置Ptがバケット12の位置Pbよりも旋回装置3から離間している場合、すなわち、規制面SETモード画面34において、白三角マーク34gよりもバケットマーク34aが右側にある場合、制御部28は、規制面Stを設定する機能が割り当てられる画面操作部27のF4ボタンを有効とする。さらに、制御部28は、液晶表示部26に操作ボタンF4の機能を示唆するマークを表示させる。また、最も左側の規制面マーク34bが選択されている場合、制御部28は、白三角マーク34gを左側に移動させる機能が割り当てられた操作ボタンF2を無効とする。さらに、制御部28は、液晶表示部26に操作ボタンF2の機能を示唆するマークを表示させない。
【0078】
図11(b)に示すように、規制面Stの位置Ptがバケット12の位置Pbよりも旋回装置3に近接している場合、すなわち、規制面SETモード画面34において、白三角マーク34gよりもバケットマーク34aが左側にある場合、制御部28は、規制面Stを設定する機能が割り当てられたF4ボタンを無効とする。さらに、制御部28は、液晶表示部26に操作ボタンF4の機能を示唆するマークを表示させない。また、最も左側の規制面マーク34b又は最も右側の規制面マーク34fが選択されていない場合、制御部28は、白三角マーク34gを左側に移動させる機能が割り当てられた操作ボタンF2、及び白三角マーク34gを右側に移動させる機能が割り当てられた操作ボタンF3を有効とする。さらに、制御部28は、液晶表示部26にF2ボタン及びF3ボタンの機能を示唆するマークを表示させる。
【0079】
図11(c)に示すように、バケット12の位置Pbが規制面Stの位置Ptよりも旋回装置3に近接する位置に移動された場合、すなわち、バケットマーク34aが白三角マーク34gよりも右側に移動した場合、制御部28は、規制面Stを設定する機能が割り当てられた操作ボタンF4を有効する。さらに、制御部28は、液晶表示部26に操作ボタンF4の機能を示唆するマークを表示させる。
【0080】
図11(a)及び
図11(c)に示すように、制御部28は、液晶表示部26にF4ボタンの機能を示唆するマークを表示している状態において、操作ボタンF4の操作により入力される入力信号を取得すると、可動範囲が制限されていることを示す画面(図示せず)を液晶表示部26に表示した後に、掘削モード画面31を液晶表示部26に表示させる。このように、バケット12の位置Pbが規制面S1・S2・S3・S4・S5が設定されている範囲内である場合、バケット12の位置Pbよりも旋回装置3から離間した位置Ptに設定される規制面Stのみによって可動範囲を制限することができる。
【0081】
以下では、
図12及び
図13を用いて、上述の如く構成される表示装置23の制御部28の制御態様について具体的に説明する。
【0082】
図12に示すように、制御部28は、以下のステップで液晶表示部26に情報を表示させる。
【0083】
まず、ステップS110において、制御部28は、燃料計17が検出する燃料残量Fl、水温計18が検出する冷却水温度T、及び警告・エラー情報をECU16から取得し、記憶部29に記憶する。また、制御部28は、位置センサー10a・11a・12aが検出する作業装置4のブーム10、アーム11及びバケット12の回転位置を取得する。そして、旋回装置3に対するバケット12の先端部の位置Pbを算出して記憶部29に記憶する。
【0084】
図6に示す別実施形態においては、制御部28は、燃料計17が検出する燃料残量Flを取得し、水温計18が検出する冷却水温度Tを取得するとともに、警告・エラー情報をECU16から取得し、記憶部29に記憶する。また、制御部28は、旋回装置3に対するバケット12の先端部の位置Pbを算出する。
【0085】
ステップS120において、制御部28は、取得して記憶した警告・エラー情報に基づいて、液晶表示部26に表示させる必要がある警告・エラーについての警告・エラー画面30を表示させる(
図7参照)。その後、制御部28は、取得して記憶した燃料残量Fl、冷却水温度Tに基づいて、液晶表示部26に掘削モード画面31を表示させる(
図8参照)。
【0086】
ステップS130において、制御部28は、記憶部29に記憶されているアタッチメント情報、又はメニュー画面32のアタッチメント選択ボタン32dの操作により入力される入力信号を取得し、選択されたアタッチメントの種類を判別する。
【0087】
ステップS140において、制御部28は、認識したアタッチメントの種類に基づいて、規制面S1・S2・S3・S4・S5を補正する。
【0088】
ステップS150において、制御部28は、F2ボタン、F3ボタン及びF4ボタンのいずれかの操作による入力信号を取得したか否か判定する。その結果、F2ボタン、F3ボタン及びF4ボタンのいずれかの操作による入力信号を取得したと判定した場合、制御部28はステップをステップS160に移行させる。一方、F2ボタン、F3ボタン及びF4ボタンのいずれかの操作による入力信号を取得していない判定した場合、制御部28はステップをステップS190に移行させる。
【0089】
ステップS160において、制御部28は、液晶表示部26に可動範囲制限モード画面33を表示させる(
図10参照)。
【0090】
ステップS170において、制御部28は、F3ボタン及びF4ボタンの操作による規制面Stの設定をするための入力信号を取得したか否か判定する。その結果、規制面の設定をするための入力信号を取得したと判定した場合、制御部28はステップをステップS180に移行させる。一方、規制面の設定をするための入力信号を取得していないと判定した場合、制御部28はステップをステップS280に移行させる。
【0091】
ステップS180において、制御部28は、規制面SET処理Aを開始して、ステップをステップS181(
図13参照)へ移行する。
【0092】
ステップS190において、制御部28は、液晶表示部26に掘削モード画面31を表示させる(
図8参照)。その後、制御部28は、ステップをステップS110へ戻す。
【0093】
ステップS280において、制御部28は、液晶表示部26に可動範囲が有効であることを示す画面を表示させる。その後、制御部28は、ステップをステップS190に移行させる。
【0094】
図13に示すように、制御部28は、以下のステップで規制面SET処理Aを行う。
【0095】
ステップS181において、制御部28は、液晶表示部26に規制面SETモード画面34を表示させる(
図11参照)。
【0096】
ステップS182において、制御部28は、算出して記憶した旋回装置3に対するバケット12の先端部の位置Pbを表示し、F2ボタン及びF3ボタンの操作による規制面Stを選択するための入力信号から選択された規制面Stの位置Ptを取得して記憶部29に記憶する。
【0097】
ステップS183において、制御部28は、記憶した規制面Stの位置Ptが記憶したバケット12の先端部の位置Pbよりも旋回装置3から離間しているか否か判定する。その結果、位置Ptが位置Pbよりも旋回装置3から離間していると判定した場合、制御部28はステップをステップS184に移行させる。一方、位置Ptが位置Pbよりも旋回装置3から離間していないと判断した場合、制御部28はステップをステップS284に移行させる。
【0098】
ステップS184において、制御部28は、F4ボタンの操作を有効にするとともに、液晶表示部26にF4ボタンの機能を示唆するマークを表示させる。
【0099】
ステップS185において、制御部28は、F4ボタンの操作による規制面Stを決定するための入力信号を取得したか否か判定する。その結果、F4ボタンの操作による規制面Stを決定するための入力信号を取得した判定した場合、制御部28はステップをステップS186に移行させる。一方、F4ボタンの操作による規制面Stを決定するための入力信号を取得していないと判断した場合、制御部28はステップをステップS182に移行させる。
【0100】
ステップS186において、制御部28は、液晶表示部26に可動範囲が制限されていることを示す画面を表示させる。その後、制御部28は、規制面SET処理Aを終了し、ステップをステップS190に移行させる(
図12参照)。
【0101】
ステップS284において、制御部28は、F4ボタンの操作を無効にするとともに、液晶表示部26にF4ボタンの機能を示唆するマークを表示させない。その後、制御部28は、ステップをステップS182に移行させる。
【0102】
以上の如く、複数個の関節を有し、先端にアタッチメントであるバケット12が装着される作業装置4を備える作業車両1であって、バケット12の位置を検出する位置センサー10a・11a・12aと、位置センサー10a・11a・12aの検出値に基づいてバケット12の位置Pbを表示する表示装置23と、表示装置23に表示された選択肢を選択する選択手段である画面操作部27と、バケット12の可動範囲を制限する制御装置である制御部28と、を具備し、制御部28には、複数の規制面S1・S2・S3・S4・S5がそれぞれ異なる位置に設定され、表示装置23によって表示された前記複数の規制面S1・S2・S3・S4・S5のうち画面操作部27によって選択された規制面Stに基づいてバケット12の稼動範囲が制限されるものである。このように構成することにより、表示装置23に表示される規制面S1・S2・S3・S4・S5を選択するだけで可動範囲を制限することができる。これにより、容易な操作で可動範囲を制限して干渉の発生が抑制される。
【0103】
また、制御部28は、バケット12の位置Pbが作業車両本体の旋回装置3から所定の範囲内である場合、バケット12の位置Ptよりも旋回装置3から離間した位置の規制面Stのみによって可動範囲を制限することができる。このように構成することにより、バケット12が現在位置よりも旋回装置3から離間した位置である位置Ptまでしか可動することができない。これにより、容易な操作で可動範囲を制限して干渉の発生が抑制される。
【0104】
また、制御部28は、特定の操作である
F2ボタン、F3ボタン及びF4ボタンの同時操作を行わなければ前記可動範囲の制限を解除不能とすることができる。このように構成することにより、操縦者が認識することなく可動範囲の制限が解除されることがない。これにより、誤操作による干渉の発生が防止される。
【0105】
また、アタッチメント選択手段であるメニュー画面32のアタッチメント選択ボタン32dを更に備え、制御部28は、アタッチメント選択ボタン32dによって選択されたバケット12に基づいて複数の規制面S1・S2・S3・S4・S5を補正する。このように構成することにより、バケット12の形状の差異を意識することなく可動範囲を制限することができる。これにより、容易な操作で可動範囲を制限して干渉の発生が抑制される。
【0106】
また、制御部28は、可動範囲の制限が解除されても、複数の規制面S1・S2・S3・S4・S5のうち選択されていた規制面Stを記憶している。このように構成することにより、前回設定していた可動範囲の制限を瞬時に再設定することができる。これにより、容易な操作で可動範囲を制限して干渉の発生が抑制される。