(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5782007
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】飲料用ストローの縮径部及びリング状拡径部の加工方法
(51)【国際特許分類】
B29C 57/04 20060101AFI20150907BHJP
A47G 21/18 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
B29C57/04
A47G21/18
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-236476(P2012-236476)
(22)【出願日】2012年10月26日
(65)【公開番号】特開2014-83820(P2014-83820A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2014年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】306039511
【氏名又は名称】三枝 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100083633
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏
(72)【発明者】
【氏名】三枝 文昭
【審査官】
大塚 徹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−208040(JP,A)
【文献】
特開平09−039089(JP,A)
【文献】
特開2006−192801(JP,A)
【文献】
特開昭52−145480(JP,A)
【文献】
米国特許第04736887(US,A)
【文献】
米国特許第05827467(US,A)
【文献】
米国特許第06405938(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 57/04
A47G 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料用ストロー(1)の一端側に縮径部(1b)を成形すると共に、連続してこの縮径部(1b)近くに略リング状の拡径部(1a)を更に一体成形する加工方法であって、丸棒の先端面に挿入穴(21a)を穿設し、その先端面をラッパ状の成形部(21b)に形成した金型本体(21)と、該金型本体(21)に前記挿入穴(21a)と同芯状で固定されると共に、細軸部(22a)の先端が前記成形部(21b)より突出させた段付きピン中子(22)とから成り、且つ、前記挿入穴(21a)の内周面(21c)と前記細軸部(22a)との間に間隙部(23)を有する成形金型(2)を用い、先ず、予め加熱された前記成形金型(2)あるいは前記飲料用ストロー(1)を移動し、前記飲料用ストロー(1)の一端を前記成形部(21b)に当接させながら間隙部(23)に挿入し前記成形金型(2)の段部(22b)まで押し込んで前記縮径部(1b)を成形し、更に一定量押し込み前記成形部(21b)でもって、前記飲料用ストロー(1)の縮径部(1b)近くに略リング状の前記拡径部(1a)を成形させたことを特徴とする飲料用ストローの縮径部及びリング状拡径部の加工方法。
【請求項2】
前記金型本体(21)の前記成形部(21b)のテーパー角(θ)が、60度〜130度の範囲である前記成形金型(2)を使用した請求項1記載の飲料用ストローのリング状拡径部の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック製飲料用ストローの一端側に縮径部を成形すると共に、この縮径部近くに略リング状の拡径部を更に一体成形する加工方法に関し、特には、二段式飲料用ストローの外管に、同じ金型で縮径部とリング状の拡径部を連続的に成形する加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二段式飲料用ストローは伸縮自在な構成にするため、外管の一端側を縮径に形成し、伸長した際に内管が抜け落ちないようにしている。
他方、飲料用ストローを飲料容器に刺し込んで吸引すると、飲料容器内が減圧し容器が変形して飲みづらくなり、このため吸引を中断し再び吸引することを繰り返す不便があった。これを解決する手段として、近年飲料用ストローに溝や突状部あるいは端部に拡径部を設けて吸引の際に容器内に空気が入り、吸引がスムーズに行うことが種々行われている。
【0003】
この拡径部を有する飲料用ストローとしては、例えば、特許文献1(特開2003−135242号公報)では、径の異なる2本以上の管が伸縮自在に組合わされ、前記管のうち、最も外側に位置する最外管が、断面円弧形の外周壁と、外周壁の長手方向に沿った1本以上の凸条とを有する多段式ストローが開示されている。これにより、吸引の際に、飲料容器が減圧にならず、飲みやすい効果を有する。
【0004】
また、ストローの端部を拡径するための製造装置としては、特許文献2(特開2001−058351号公報)では、熱可塑性樹脂からなる長尺の筒状体の少なくとも一方の端部に、端部に向って内径及び外径を大きくした拡径部を設けた拡径ストロー管の製造装置であって、先端から基端に向って筒状体の内径よりも小さい径から筒状体の外径よりも大きい径まで拡径した拡径金型部と溝を有する段部とを有する拡径ストロー管の製造装置が開示されている。
これにより、製造する拡径ストロー管の壁圧を所望の座屈強度が得られる程度に厚くしても、外径が小さい部分で使用する材料の量は少なくて済む。したがって、軽量化とコストの削減を図ることができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−135242号公報
【特許文献2】特開2001−058351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の二段式飲料用ストローにおいては、その外管には、その一端側を縮径し縮径部を形成し、更に、外管に突状部や拡径部を別々に加工していたので、それらの金型も別々に必要となり、工程数も多くなって手間を要し、そのため加工費用が増加する問題点を有していた。
【0007】
また、飲料用ストローに溝や突状部を形成するのは、それがストローの端部、あるいは外周であっても、ストローの長手方向に凸部や溝を形成するものであり、その加工方法は比較的に容易である。
即ち、特許文献1のものでは、ストローの長手方向に凸条を加工するのに、ストロー内に刺し込んだ雄型ロッドは凸条を成形後に、凸条が長手方向に成形したものであるから、凸状が形成された雄型ロッドであっても、凸状を成形後に雄型ロッドをストロー内から比較的容易に引き出せるので、加工上大きな問題もなく、他方特許文献2の場合にも、ストローの端部を拡径するものであるから、金型をストローの端部に押し込んでも極めて容易に金型を外すことができ、加工が容易である。
【0008】
しかしながら、
図6に示すように、ストローの中間に略リング状の拡径部(1a)を形成する場合においては、拡径部(1a)がリング状であるから、その拡径部(1a)を成形する金型ロッドをストロー内に挿入することが極めて難しく、例え金型ロッドが挿入されたとしても、拡径部(1a)の成形後に、ストローから金型ロッドを引き抜くことが困難となり、ストロー内に金型ロッドを挿入した加工には無理が生じ、これらを解決するには、複雑な金型ロッドが必要となり、多大な費用を要する問題点があった。
【0009】
本発明は、複雑な加工金型や工程を要することなく、一つの金型でもって、ストローの一端側を縮径部に成形すると共に、連続してこの縮径部の近くに略リング状の拡径部を更に一体成形できる飲料用ストローの縮径部及びリング状拡径部の加工方法を提供することを目的とする。
【0010】
本発明の他の目的は、略リング状の拡径部(1a)を成形するのに、加工金型がシンプルで、しかもストロー内に挿入する部分の金型に拡径部(1a)を形成するための凸状部を必要とせず、加工金型の挿入及び抜き差しが極めて簡単な飲料用ストローのリング状拡径部の加工方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、飲料用ストロー(1)の一端側に縮径部(1b)を成形すると共に、連続してこの縮径部(1b)近くに略リング状の拡径部(1a)を更に一体成形する加工方法であって、挿入穴(21a)が穿設された先端面をテーパー状の成形部(21b)に形成した丸棒状の金型本体(21)と、該金型本体(21)に前記挿入穴(21a)と同芯状で固定されると共に、細軸部(22a)の先端が前記成形部(21b)より突出させた段付きピン中子(22)とから成り、且つ、前記挿入穴(21a)の内周面(21c)と前記細軸部(22a)との間に間隙部(23)を有する成形金型(2)を用い、先ず、予め加熱された前記成形金型(2)あるいは前記飲料用ストロー(1)を移動し、前記飲料用ストロー(1)の一端を前記成形部(21b)に当接させながら間隙部(23)に挿入し前記成形金型(2)の段部(22b)まで押し込んで前記縮径部(1b)を成形し、更に一定量押し込み前記成形部(21b)でもって、前記飲料用ストロー(1)の前記縮径部(1b)近くに略リング状の前記拡径部(1a)を成形させたことを特徴とする。
【0012】
また、前記金型本体(21)の前記成形部(21b)のテーパー角(θ)が、60度〜130度の範囲である前記成形金型(2)を使用するのが好ましい。
【0013】
本発明の飲料用ストローは、プラスチック製の1本又は2段式ストローを含み、特には、2段式ストローの外管を加工対象とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は飲料用ストロー(1)あるいは成形金型(2)のいずれかを移動させ、飲料用ストロー(1)の端部を成形金型(2)の成形部(21b)に当接させながら、成形金型(2)の段部(22b)まで押し込んで縮径部(1b)を成形し、連続して更に一定量押し込んで略リング状の拡径部(1a)を成形する加工方法であり、飲料用ストロー(1)を一つの成形金型(2)に押し込むだけで、飲料用ストロー(1)の一端に縮径部(1b)と、その一端近くに略リング状の拡径部(1a)との両方が容易に成形でき、従来のように飲料用ストロー(1)の外側から押圧する別な金型も不要であるから、加工に要する時間が極めて短く、製造のスピード化をもたらすと共に金型の故障もなくコスト低減を成す。
【0015】
また、本発明の加工方法においては、先端面をテーパー状の成形部(21b)に形成した丸棒状の金型本体(21)と、細軸部(22a)の先端が前記成形部(21b)より突出させた段付きピン中子(22)とから成り、且つ、前記挿入穴(21a)の壁面(21c)と前記細軸部(22a)との間に間隙部(23)を形成する成形金型(2)を使用するため、この加熱状態な成形金型(2)の成形部(21b)に飲料用ストロー(1)の端部を当接しながら押し込むと、その端部が軟化してテーパー状の成形部(21b)に沿って徐々に縮径をしながら、間隙部(23)内に押し込まれる。やがて、その端部が段付きピン中子(22)の段部(22b)に当接した状態では、間隙部(23)内に飲料用ストロー(1)の縮径された端部側が隙間なく入り込み、正確な縮径部(1b)を成形することができる。
この状態の飲料用ストロー(1)を更に一定量押し込むと、飲料用ストロー(1)は、その外周が規制されず加熱された成形部(21b)の部分で略リング状に盛り上り、飲料用ストロー(1)の一端近くに飲料用ストロー(1)の外径よりも大きな径の拡径部(1a)が容易に一体成形される。
つまり、本発明では、成形部(21b)でもって縮径部(1b)と拡径部(1a)の成形を行うことができるため、金型の簡素化が容易となり、且つ、加工の容易化を成す点に特徴を有する。
この際に成形部(21b)のテーパー面でもって、拡径部(1a)の形状を整えると共に、テーパー面の角度(θ)及び押し込量を変えることにより拡径部(1a)の形状及び高さを自由に調節することができる。
【0016】
更に、本発明では、成形金型(2)が、その軸方向に凹凸がないため、加工の際、飲料用ストロー(1)に押し込んだり、抜き出すのが極めて簡単となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の飲料用ストローに拡径部及びリング状拡径部の加工方法を示す説明図である。
【
図2】本発明の加工に用いる成形金型の説明図である。
【
図3】本発明の加工に用いる成形金型の正面図である。
【
図4】本発明の成形金型である段付きピン中子の側面図である。
【
図5】本発明の成形金型である金型本体の断面図である。
【
図6】本発明の加工方法の対象である飲料用ストローの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図を基に本発明の飲料用ストローに縮径部(1b)及び略リング状の拡径部(1a)を一体成形する加工方法について説明する。
【0019】
先ず、本発明の加工方法に使用する成形金型(2)について、
図2〜
図5を基に説明する。この成形金型(2)は基本的に外側の金型本体(21)とその中に嵌着した段付きピン中子(22)とから成る。
【0020】
金型本体(21)は、
図2の如く、金属製の丸棒状で、その先端面に挿入穴(21a)を穿設すると共に,肉厚筒状な先端側の先端面を、その中心に向けて凹ませ、断面がテーパー面の成形部(21b)に形成したものである。つまり、成形部(21b)は外周に向かって広がるラッパ状である。
前記挿入穴(21a)の穴径は、飲料用ストロー(1)の縮径部(1b)外径とほぼ同一で、縮径部(1b)が隙間なく容易に挿入できる大きさである。
前記成形部(21b)のテーパー面の角度(θ)は、60度〜130度の範囲で、より好ましくは90度〜110度がよく、60度以下では拡径部(1a)の外径がリング状に盛り上がらずなだらかな裾広がりとなり、拡径部(1a)の形成が難しく、他方、130度以上では、縮径部(1b)を成形する際に、飲料用ストロー(1)の端部を成形部(21b)に当接しながらし押し込んでも縮径されずに潰れた状態になり、縮径部(1b)を成形することができない。
【0021】
そして、金型本体(21)に挿入する金属製の段付きピン中子(22)は、段部(22b)を境に、細い部分の細軸部(22a)と太い部分の基部(22c)とからなる丸棒状の段付きピンである。
この段付きピン中子(22)の基部(22c)側から金型本体(21)の挿入穴(21a)内に挿入し、金型本体(21)に基部(22c)側をスプリングピン(3)で同芯状に固定する。
この際に、細軸部(22a)と挿入穴(21a)の壁面(21c)との間には環状の間隙部(23)が形成され、しかも細軸部(22a)の先端側は成形部(21b)より突出している。
また、間隙部(23)の広さは、飲料用ストロー(1)の肉厚と略同等であり、しかも細軸部(22a)の外径が飲料用ストロー(1)の縮径部(1b)内径と略同等である。
従って、このように構成した成形金型(2)においては、飲料用ストロー(1)の加工した縮径部(1b)が間隙部(23)内に隙間なく容易に入り込めるようにしている。
【0022】
次に、
図1を基に、上記成形金型(2)を使用した縮径部(1b)及び拡径部(1a)の加工方法について、成形金型(2)の方を移動した場合について説明すると、成形金型(2)は、予め加熱装置(3)で約110℃〜160℃に加熱させておく。
図1(a)に示すように、この加熱された状態の成形金型(2)を移動させ最初に突出した細軸部(22a)を飲料用ストロー(1)の穴に挿入して押し込んでいくと、飲料用ストロー(1)の先端部が成形部(21b)に当接する。
更に成形金型(2)を押し込んでいくと、飲料用ストロー(1)の先端部側が成形部(21b)のテーパー面で縮径されながら、
図1(b)に示すように、成形金型(2)内の間隙部(23)内まで押し込まれ、やがて飲料用ストロー(1)の縮径された先端部が段部(22b)に当接し縮径部(1b)が成形される。
この当接した後、
図1(c)に示すように、更に成形金型(2)を一定量押し込むと、加熱され軟化した部分の飲料用ストロー(1)は、縮径部(1b)が間隙部(23)内では詰まった状態のため、成形部(21b)の所で外側にリング状に膨らんで盛り上がり、略リング状の拡径部(1a)が成形されるのである。
【0023】
この際に、拡径部(1a)は、テーパー面の成形部(21b)に添って盛り上がるので、その形状が整えられ、断面形状がきれいな山型に成形されるのである。
また、飲料用ストロー(1)に成形される拡径部(1a)の位置は、通常飲料用ストロー(1)の一端から約3mm〜4mm程度の所が飲料用ストロー(1)を飲料容器に刺し込んで吸引するのに好ましいが、本発明の加工方法では、成形金型(2)の成形部(21b)で成形されるため、この丁度良い位置に形成される。
更に、拡径部(1a)の高さは、飲料用ストロー(1)が段部(22b)に当接した後、更に飲料用ストロー(1)を一定量押し込む量で調整され、この押し込む量としては、例えば、外径が5mmの飲料用ストロー(1)の場合、1mm〜3mmの程度である。
尚、飲料用ストロー(1)に成形金型(2)を押し込む場合に、成形金型(2)は拡径部(1a)が成形されるまで連続して押し込まれる。そして、拡径部(1a)が成形された後に、成形金型(2)を飲料用ストロー(1)から抜き出せばよい。
【0024】
上記の説明した加工方法は、成形金型(2)の方を飲料用ストロー(1)側に移動した場合であるが、逆に飲料用ストロー(1)を成形金型(2)の方に移動して加工してもよく、その場合も成形金型(2)を移動するのと同様に加工される。
【0025】
本発明に使用する成形金型(2)に対し、その加熱装置、押し込むための移動装置等は、すべて公知のものが使用され、例えば、図示しないが、加熱装置としては成形金型(2)の外周に設けたドーナツ型のヒーターであり、他方、移動装置としては、アクチュエーター、駆動カム等を備えたものである。要するに、成形金型(2)が加熱状態で移動し飲料用ストロー(1)に押し込めるための加熱装置及び移動装置であればよい。
尚、成形金型(2)を移動させずに、飲料用ストロー(1)を成形金型(2)の方に移動する場合は、加熱装置は同様であるが、移動装置は飲料用ストロー(1)を移動するための移動装置が使用される。
【0026】
また、飲料用ストロー(1)を成形金型(2)に搬送する手段としては、図示しないが、例えば、上部のホッパーと、その下部で、外周に多数の円弧状溝を設けたステップ回転する回転搬送ドラムと、その回転搬送ドラムの下半分に添って回転する押えベルトから成る供給搬送装置でもって、円弧状溝に収納した飲料用ストロー(1)を成形金型(2)と対向する所までステップ回転しながら送られる。
この際に、対向する飲料用ストロー(1)と成形金型(2)とは、互いの中心が一致した状態にセットされ、飲料用ストロー(1)あるいは成形金型(2)の何れかを移動させて加工される。
【符号の説明】
【0027】
1 飲料用ストロー
1a 拡径部
1b 縮径部
2 成形金型
21 金型本体
21a 挿入穴
21b 成形部
21c 内周面
22 段付きピン中子
22a 細軸部
22b 段部
23 間隙部