【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記液晶表示パネルの反りへの対応策としては、貼り付け時の張力をコントロールすることで反りの制御を実施することが考えられる。つまり、貼り付け時の反り状態が、貼り付けと逆面方向に反っている場合は張力過多で貼り付ける手法が考えられる。しかしながら、従来のように液晶セルの両面をRTP方式で貼付ける場合、互いに同一方向に吸収軸があるフィルムを使用することが通常であり、その場合、往々にして液晶セルに対して貼り付け方向が直交することになる。すなわち、貼り付け方向が平行にならないため、液晶セルの表裏で応力の相殺をすることができず、反りの矯正はし難くなる。
【0006】
一方、液晶セルの両面共に枚葉状態の光学フィルム(光学シート)を貼り付ける方式(以下、Sheetto Panel(STP)方式ともいう)の場合は、RTP方式と異なり自由度は高く、貼り付け方向は自由に変更でき、表裏のフィルムの貼り付け方向を平行にすることができる。しかしながら、STP方式の場合は、吸着ステージにフィルムを吸着しながら貼りつけるため、大きな張力をかけられず、張力値も自由にコントロールできず成り行きの張力値とならざるを得ない。
【0007】
つまり、液晶セルの両面ともRTP方式もしくは、STP方式で貼り付ける場合、反りに要する応力を相殺するための張力を施すには適さない構成であると推察される。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、反りの発生が抑制された光学表示パネルを製造するための光学表示パネルの製造方法および製造システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、光学セルの一方面に第1光学フィルムが積層され、当該光学セルの他方面に第2光学フィルムが積層された光学表示パネルを連続的に製造する方法であって、
帯状の第1光学フィルムを幅方向に切断することで得られた前記第1光学フィルムを第1光学フィルムロールから供給し、前記光学セルを搬送しながら、前記第1光学フィルムを前記光学セルの対向する一組の辺側から前記第1光学フィルムの供給方向に沿って前記光学セルの一方面に貼り合わせる第1貼合工程と、
枚葉状態の第2光学フィルムが収容された収容部から前記第2光学フィルムを取り出して供給し、前記光学セルを搬送しながら、前記光学セルの対向する一組の辺側から前記第2光学フィルムの供給方向に沿って前記第2光学フィルムを前記光学セルの他方面に貼り合わせる第2貼合工程とを含む。
【0010】
この構成によれば、光学セル(例えば液晶セル)に光学軸(例えば吸収軸)方向が同じ光学フィルム(例えば偏光フィルム)を貼り付ける際、その一方面をRTP方式で貼り、他方面をSTP方式で貼ることにより、貼り付け方向を平行(同一を含む)にすることが可能となる。さらに、片方をテンションフリーから張力過多まで自由に設定することができるRTP方式とすることで、貼合方向・張力制御共に自由度を確保でき、光学セルの表裏(第1面、第2面)の応力を一致(略一致、実質的に一致)させるための張力の相殺を容易に実現することができ、光学表示パネルに反りが発生するのを抑制できる。
【0011】
上記発明において、第1貼合工程と第2貼合工程との順序はどちらが先に行われもよく、同時あるいは貼付処理期間が前後で部分的に重複していてもよい。
【0012】
上記発明の一実施形態として、前記第1貼合工程と前記第2貼合工程とが、前記光学セル及び前記光学表示パネルを搬送する一連の搬送部上で行なわれる。
【0013】
上記発明の一実施形態として、第2光学フィルムの厚みが、第1偏光フィルムの厚みより大きいことが好ましい。すなわち、厚みがより大きい光学フィルムをSheet to Panel方式(予め枚葉状態にしておいた光学フィルムを光学セルに貼り合せる方式、以下「STP方式」ともいう。)で行うことが好ましい。STP方式は、光学フィルムの吸着とその解除を行ないながら、当該光学フィルムの貼り合せを行なうため、当該光学フィルムに対して大きな張力を掛けずに貼り合せを行なう(正確には、当該光学フィルムに対して大きな張力を掛けることができない)。一方、RTP方式は、連続ロール体フィルムであるため張力が掛けやすく、また逆に、フィルムに対して張力を掛けずに(例えば張力フリーで)貼り合せを行うと気泡発生や貼りズレの問題が生じやすいため、フィルムに対して張力を掛けながら貼り合せを行なう。よって、相対的に厚い(応力の溜まりやすい)光学フィルムをSTP方式で光学セルの一方面に貼り合せ、相対的に薄い(応力の溜まりにくい)光学フィルムを、張力をコントロールしながらRTP方式で光学セルの他方面に貼り合せることで、光学表示パネルの反りをより抑制することができる。
【0014】
上記発明の一実施形態として、前記光学表示パネルの一方面に貼り合わされた第1光学フィルムの吸収軸と他方面に貼り合わされた第2光学フィルムの吸収軸とが互いに直交し、
前記第1光学フィルムロールに巻回された状態の前記第1光学フィルムの吸収軸が長手方向にあり、
前記枚葉状態の第2光学フィルムを製造するために用いられる帯状の第2光学フィルムの吸収軸が長手方向にある。
【0015】
この構成により、反りの発生が抑制された高いコントラストの光学表示パネルを製造することができる。
【0016】
上記発明の一実施形態として、前記光学セルが、VAモードまたはIPSモードの液晶セルである。
【0017】
本発明は、反りの発生が抑制された高コントラストのVAモードまたはIPSモードの液晶表示パネルを生産するのに特に好適である。
【0018】
また、他の本発明は、光学セルの一方面に第1光学フィルムが積層され、当該光学セルの他方面に第2光学フィルムが積層された光学表示パネルを連続的に製造するシステムであって、
前記光学セル及び前記光学表示パネルを搬送する一連の搬送部と、
帯状の第1光学フィルムを幅方向に切断することで得られた前記第1光学フィルムを第1光学フィルムロールから供給する第1光学フィルム供給部と、
前記搬送部によって搬送された光学セルを搬送しながら、前記第1光学フィルム供給部によって供給された前記第1光学フィルムを前記光学セルの対向する一組の辺側から前記第1光学フィルムの供給方向に沿って前記光学セルの一方面に貼り合わせる第1貼合部と、
枚葉状態の第2光学フィルムが収容された収容部から前記第2光学フィルムを取り出して供給する第2光学フィルム供給部と、
前記搬送部によって搬送された前記光学セルを搬送しながら、前記第2光学フィルム供給部によって供給された前記第2光学フィルムを、前記光学セルの対向する一組の辺側から前記第2光学フィルムの供給方向に沿って前記光学セルの他方面に貼り合わせる第2貼合部とを含む。
【0019】
この構成によれば、光学セル(例えば液晶セル)に光学軸(例えば吸収軸)方向が同じ光学フィルム(例えば偏光フィルム)を貼り付ける際、その一方面をRTP方式で貼り、他方面をSTP方式で貼ることにより、貼り付け方向を平行(同一を含む)にすることが可能となる。さらに、片方をテンションフリーから張力過多まで自由に設定することができるRTP方式とすることで、貼合方向・張力制御共に自由度を確保でき、光学セルの表裏(第1面、第2面)の応力を一致(略一致、実質的に一致)させるための張力の相殺を容易に実現することができ、光学表示パネルに反りが発生するのを抑制できる。
【0020】
上記発明において、第1貼合部の処理と第2貼合部の処理とは、どちらが先に行われもよく、同時あるいは貼付処理期間が前後で部分的に重複していてもよい。
【0021】
上記発明の一実施形態として、前記第1貼合部と前記第2貼合部とが、前記光学セル及び前記光学表示パネルを搬送する前記搬送部に配置される。
【0022】
上記発明の一実施形態として、第2光学フィルムの厚みが、第1偏光フィルムの厚みより大きいことが好ましい。
【0023】
上記発明の一実施形態として、前記光学表示パネルの一方面に貼り合われた第1光学フィルムの吸収軸と他方面に貼り合わされた第2光学フィルムの吸収軸とが互いに直交し、
前記第1光学フィルムロールに巻回された状態の前記第1光学フィルムの吸収軸が長手方向にあり、
前記枚葉状態の第2光学フィルムを製造するために用いられる帯状の第2光学フィルムの吸収軸が長手方向にある。
【0024】
上記発明の一実施形態として、前記光学セルが、VAモードまたはIPSモードの液晶セルである。
【0025】
本明細書において、光学フィルムロールから光学フィルムを供給する方法としては、例えば、(1)光学フィルムロールから、キャリアフィルム上に帯状の光学フィルムが積層されてなる帯状の積層光学フィルムを繰り出し、帯状の光学フィルムを幅方向に切断することで得られた光学フィルムを供給する方法、(2)光学フィルムロール(切り目入りの光学フィルムロール)から、キャリアフィルム上に幅方向に複数の切込線が形成された帯状の光学フィルムが積層されてなる帯状の積層光学フィルムを繰り出し、光学フィルムを供給する方法などが挙げられ、いずれも用いることができる。