【実施例】
【0021】
図1に示すように、液状樹脂成形装置10は、樹脂成型用金型11と、この樹脂成型用金型11へ樹脂材料を射出する射出機12と、この射出機12へ樹脂材料を計量供給する第1・第2計量供給機構13、14と、これらの第1・第2計量供給機構13、14へ各々液状樹脂材料15、16を圧送する第1・第2ポンプ17、18と、第1・第2ポンプ17、18から延びて第1・第2計量供給機構13、14に到る第1・第2供給路21、22と、これらの第1・第2供給路21、22に各々設けられる第1・第2減圧弁23、24とを主要素とする設備である。
【0022】
例えば、液状樹脂材料15は主剤であり、液状樹脂材料16は硬化剤である。
また、減圧弁23、24の前後に記載した(P)印は、圧力計を示す。
【0023】
第1計量供給機構13は、シリンダ25と、このシリンダ25に往復移動可能に収納されるピストン26と、このピストン26を移動させるピストン移動手段27とからなり、第1ポンプ17で圧送されてくる液状樹脂材料15を計量し、所定量だけ送り出す機構である。第2計量供給機構14も同様であるため、符号を流用し構造説明を省略する。
【0024】
第1計量供給機構13から延びる第1送出路28と、第2計量供給機構14から延びる第2送出路29は、混合部31で合流する。この混合部31で2種の液状樹脂材料15、16が混合される。混合された液状樹脂材料は、供給管32を介して射出機12へ供給される。
【0025】
次に、第1・第2ポンプ17、18と、第1・第2減圧弁23、24の構造の例を、順に説明する。
図2に示すように、第1・第2ポンプ17、18は、有底筒状のポンプケース34と、このポンプケース34に軸方向移動可能に収納されるピストン35と、このピストン35を往復移動させるアクチュエータ36とからなる。
【0026】
ポンプケース34は、下部に吸入口37を備え、上部に吐出口38を備え、下部の吸入口37に第1ポンプ弁39を備える。
ピストン35は、軸方向に貫通する通穴41、41を備え、これらの通穴41、41に第2ポンプ弁42、42を備える。
【0027】
アクチュエータ36は、構造は任意であるが、例えば、シリンダ43と、このシリンダ43に内蔵されるピストン44と、このピストン44から延びてポンプ側のピストン35に連結されるピストンロッド45と、ピストン35の上下空間へエアを送るエア管46と、空気源47からの高圧空気を切り換える方向切換弁48とからなる。
方向切換弁48を切り換えることにより、ピストン44を上下させることができ、ピストンロッド45を介してポンプ側のピストン35を上下させることができる。
【0028】
アクチュエータ36は、電動シリンダ、回転を直線往復運動に変換するクランク機構であってもよい。
また、シリンダ43に方向切換弁48を内蔵し、エア圧のみでエア流路を切換える方向切換弁内蔵エアシリンダであってもよい。方向切換弁内蔵エアシリンダであれば、電磁弁が不要であり、電気配線が不要となる。
【0029】
また、この例では、ポンプケース34に円板状の蓋49を備える。蓋49は外周にシール材51を備え、蓋49の外径は、ペール缶と称する容器52の内径に対応している。
液状樹脂材料15又は16を入れた容器52に第1ポンプ17又は第2ポンプ18をセットする。蓋49が液状樹脂材料15又は16の液面に載るため、外気の侵入(空気の吸い込み)が防止される。
【0030】
アクチュエータ36より、ピストン35を下げると、第1ポンプ弁39が閉じ、第2ポンプ弁42、42が開くため、液状樹脂材料15又は16がピストン35の上方空間へ進入する。下のストロークエンドでピストン35の移動方向を下から上へ切り換える。すると、第1ポンプ弁39が開き、第2ポンプ弁42、42が閉じる。
ピストン35が上昇すると、ピストン35の上方の液状樹脂材料15又は16はピストン35で加圧され、吐出口38から吐出(圧送)される。同時に容器52内の液状樹脂材料15又は16が吸入口37を介してピストン35の下方空間に導かれる。
【0031】
第1・第2ポンプ17、18は、ピストン35が往復することで液状樹脂材料15、16が吐出されるため、ピストンポンプと呼ばれる。数あるポンプの中で構造が最も単純なものの1つであって、極めて安価である。
ただし、上下のストロークエンドでピストン35が一瞬ではあるが停止するため、吐出圧の変動は、ロータリ式ポンプや斜板式ピストンポンプに比較して大きくなる。
【0032】
吐出圧の変動を平準化するために、本発明では第1・第2減圧弁23、24を採用した。
図3に示すように、第1・第2減圧弁23、24は、バイパス状の通路54を有する弁箱55と、通路54の入口56を開閉する弁体57と、弁箱55を横断するようにして弁体57から延びる弁棒58と、この弁棒58の先に連結されるダイヤフラム59と、弁体57が開く方向へダイヤフラム59を押す弁ばね61と、この弁ばね61及びダイヤフラム59を覆うダイヤフラムケース62とからなる。
【0033】
弁箱55は、通路54の入口56と出口63の間にて、壁64で塞がれており、この壁の下流側にパイロット穴65を有する。
矢印(1)のように、液状樹脂材料が流入すると、この液状樹脂材料は、矢印(2)の様に、入口56から通路54に流入し、通路54を流れ、出口63を介して弁箱55から流出する。壁64を境にして上流側を「一次側」、下流側を「二次側」と呼ぶ。
二次側の圧力が矢印(3)のように、ダイヤフラム59の下面に作用して、ダイヤフラム59を押し上げる。一方、ダイヤフラム59は弁ばね61で矢印(4)のように、押し戻される。矢印(3)の力と矢印(4)の力が釣り合った時点で、弁開度δが定まる。
【0034】
仮に、一次側の圧力が低下すると、二次側の圧力も低下し、矢印(3)の力が弱まる。すると、ダイヤフラム59が弁ばね61でより多く押され、弁開度δが増大する。すると、入口56廻りの圧力損失が減少して、二次側の圧力が上昇する。
【0035】
二次側の圧力が所定値より増大すると、矢印(3)の力が強まる。すると、ダイヤフラム59が弁ばね61を圧縮させ、弁開度δが減少する。すると、入口56廻りの圧力損失が増加して、二次側の圧力が下がる。
以上により、一次側の圧力が変動しても、二次側の圧力は一定に保たれる。なお、二次側の圧力は、調節ねじ66の締め加減で変更可能である。
【0036】
入口56廻りで、比較的大きな圧力損失が発生するため、一次側の圧力に対して二次側の圧力はかなり小さくなる。すなわち、常に減圧される。
【0037】
ところで、矢印(4)の力を外部から加える制御方式を「他力式」と呼ぶ。一方、
図3に示す第1・第2減圧弁23、24は、外部から力を加えることなく、自前の弁ばね61で矢印(4)の力を発生させるため、この制御方式は「自力式」と呼ばれる。
すなわち、本発明の第1・第2減圧弁23、24は、二次側の圧力を一定にする性能を有する「自力式減圧弁」である。
【0038】
図4に示すように、一次側の圧力がp1〜p2の範囲であるときに、二次側の圧力は、ほぼ所定値に保たれる。一方、一次側の圧力がp1未満では二次側の圧力は所定値より小さくなり、一定値にならない。また、一次側の圧力がp2超では二次側の圧力は所定値より大きくなり、一定値にならない。すなわち、p1未満とp2超の領域は、自力式減圧弁の制御範囲外であり、p1〜p2の範囲が自力式減圧弁の制御範囲である。
【0039】
(実験例)
本発明に係る実験例を以下に述べる。なお、本発明は実験例に限定されるものではない。
【0040】
○実験設備:
図1に示す液状樹脂成形装置10の第1ポンプ17及び第1計量供給機構13を用いた。
○実験に用いた液状樹脂材料:
品名:信越化学工業(株)製 KE−1950−40(A/B)
○第1ポンプの仕様:
吐出量:75cm
3/ストローク(1500cm
3/分)
最大吐出圧:12MPa
実験用吐出圧:3MPa、6MPa、9MPa(バルブで制御)
【0041】
○第1減圧弁の設定:
二次側の圧力設定:1MPa、2MPa
○第1計量供給機構の仕様:
吐出量(標準値):5cm
3/1計量
【0042】
以上の条件で実験を行って、第1計量供給機構からの吐出量を測定した。結果を
図5に示す。
図5は横軸が一次側の圧力、縦軸が相対的吐出量のグラフである。
【0043】
第1減圧弁が無い場合で且つ一次側の圧力が3MPaである時の吐出量を「1.00」とする。
第1減圧弁が無い場合は、一次側の圧力に比例して吐出量が増加する。1.00が1.014に増加したため、変動率は1.4%であった。
【0044】
一方、二次側の圧力を2MPaに設定した場合は、一次側の圧力が3〜9MPaの範囲で変化したにも拘わらず、吐出量はほぼ一定になった。すなわち、0.993〜0.995であるため、(0.995−0.993)/0.993=0.002の計算により、変動率は0.2%に留まった。
【0045】
また、二次側の圧力を1MPaに設定した場合は、一次側の圧力が3〜9MPaの範囲で変化したにも拘わらず、吐出量はほぼ一定になった。すなわち、0.966〜0.970であるため、(0.970−0.996)/0.996=0.004の計算により、変動率は0.4%に留まった。
【0046】
図5中に、括弧で示す数値は、(一次側の圧力/二次側の圧力)を示す。すなわち、実験から、(一次側の圧力/二次側の圧力)が1.5倍〜9倍の範囲であれば、第1計量供給機構からの吐出量がほぼ一定であることが確認できた。
【0047】
既に述べたように、本発明で使用するポンプは安価なピストンポンプである。安価であるため、いわゆるオーバースペックのピストンポンプを使用することができる。すると、ポンプに余裕が生まれるため、このポンプで複数の射出機を賄うことができる。
【0048】
具体例として、
図6に示すように、1組の第1・第2ポンプ17、18で、少なくとも2基の射出機12、12へ液状樹脂材料を供給することができる。
図6において詳細に説明する。
複数の射出機
(12A,12B)と、射出機の一つ(12A)へ液状樹脂材料(15)を計量供給する第1A計量供給機構(13A)と、射出機の他の一つ(12B)へ液状材料(15)を計量供給する第1B計量供給機構(13B)と、これら第1A計量供給機構(13A)及び第1B計量供給機構(13B)へ前記液状樹脂材料(15)を圧送する第1ポンプ(17)と、射出機の一つ(12A)へ前記液状材料(15)とは異なる液状樹脂材料(16)を計量供給する第2A計量供給機構(14A)と、前記射出機の他の一つ(12B)へ前記液状材料(16)を計量供給する第2B計量供給機構(14B)と、これら第2A計量供給機構(14A)及び第2B計量供給機構(14B)へ前記液状樹脂材料(16)を圧送する第2ポンプ(18)とからなる。
第1ポンプ(17)、第2ポンプ(18)は、アクチュエータ(36)でピストン(35)を往復させるピストンポンプであり、このピストンポンプで構成される
前記第1ポンプ(17)、第2ポンプ(18)の吐出圧が、前記計量供給機構(13A,13B,14A,14B)への供給圧の少なくとも1.5倍に設定されている。
第1ポンプ(17)は第1供給路(21)で第1A計量供給機構(13A)及び第1B計量供給機構(13B)に減圧弁(23A,23B)を介して連結されている。
第2ポンプ(18)は第2供給路(22)で第2A計量供給機構(14A)及び第2B計量供給機構(14B)に減圧弁(24A,24B)を介して連結されている。
第1A計量供給機構(13A)及び第2A計量供給機構(14A)は、第1送出路(28A)及び第2送出路(29A)、これら送出路(28A)、(29A)と混合部(31A)で合流して供給管(32A)を介して射出機(12A)に連結されている。
第1B計量供給機構(13B)及び第2B計量供給機構(14B)は、第1送出路(28B)及び第2送出路(29B)、これら送出路(28B)、(29B)と混合部(31B)で合流して供給管(32B)を介して射出機(12B)に連結されている。
各混合部(31A,31B)で2種の液状材料(15,16)を混合して射出機(12A,12B)の夫々に供給する。
尚射出機12は3基以上であってもよい。
第1・第2ポンプ17、18を共有することにより、設備費の圧縮が可能となる。
構成要素の詳細な説明を省略する。
【0049】
尚、本発明はピストンポンプの圧力変動を減圧弁で是正することが主旨であるため、射出機1基に対して、ポンプ、計量供給機構、減圧弁が各1である液状樹脂成形装置にも適用可能である。