特許第5782015号(P5782015)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5782015
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/72 20060101AFI20150907BHJP
【FI】
   H03H9/72
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-273173(P2012-273173)
(22)【出願日】2012年12月14日
(65)【公開番号】特開2014-120841(P2014-120841A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2013年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】514250975
【氏名又は名称】スカイワークス・パナソニック フィルターソリューションズ ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】藤原 城二
(72)【発明者】
【氏名】治部 徹
(72)【発明者】
【氏名】小松 禎也
(72)【発明者】
【氏名】中村 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】鶴成 哲也
(72)【発明者】
【氏名】西村 和紀
【審査官】 畑中 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/025106(WO,A1)
【文献】 特開2011−160203(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/073377(WO,A1)
【文献】 特開2010−154437(JP,A)
【文献】 特開平09−312587(JP,A)
【文献】 特開2002−158599(JP,A)
【文献】 特開2013−118611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の信号端と第2の信号端の間に接続され、
第1の通過帯域を有する第1のフィルタと、
前記第1の信号端と第3の信号端との間に接続され、
前記第1の通過帯域と異なる第2の通過帯域を有する第2のフィルタとを備え、
前記第1と第2のフィルタを経由して前記第2と第3の信号端を結ぶ回路を主回路部としたとき、
前記主回路部と並列接続になるように、前記第2と第3の信号端の間に付加回路部を設け、
前記付加回路部は前記第1または第2の通過帯域の中に前記主回路部と逆方向の位相成分を有する周波数領域を設け
前記付加回路部は、直列腕共振器と並列腕共振器を有するラダー回路部を有し、
前記直列腕共振器の共振周波数と反共振周波数の中点と、前記並列腕共振器の共振周波数と反共振周波数の中点を、前記第1または第2の通過帯域内に配置した電子部品。
【請求項2】
前記第1のフィルタを送信フィルタとし、前記第2のフィルタを受信フィルタとし、アンテナ共用器として動作する請求項1記載の電子部品。
【請求項3】
前記第1と第2のフィルタの少なくとも1つは、位相を反転させる機能を有する請求項1記載の電子部品。
【請求項4】
前記第1と第2のフィルタの少なくとも1つは、縦結合弾性波共振器を有する請求項1記載の電子部品。
【請求項5】
前記付加回路部において、前記周波数領域における通過特性の振幅レベルをシフトさせる素子を設けた請求項1記載の電子部品。
【請求項6】
前記周波数領域において、前記主回路部の通過特性の振幅と前記付加回路部の通過特性の振幅の差の絶対値を10dB以下にした請求項1記載の電子部品。
【請求項7】
前記ラダー回路部は弾性波素子を用いた第1のラダー回路部であり、前記第1または第2のフィルタは弾性波素子を用いた第のラダー回路部を有する請求項1記載の電子部品。
【請求項8】
並列腕共振器と前記第2の信号端との間に第1の容量素子を設けた請求項1記載の電子部品。
【請求項9】
直列腕共振器と前記第3の信号端との間に第2の容量素子を設けた請求項記載の電子部品。
【請求項10】
前記ラダー回路部には弾性波素子用いられる請求項1に記載の電子部品。
【請求項11】
記ラダー回路部と前記第2の信号端との間に第1の容量素子を設けた請求項1記載の電子部品
【請求項12】
記ラダー回路部と前記第3の信号端との間に第2の容量素子を設けた請求項11記載の電子部品。
【請求項13】
前記第1または第2のフィルタおよび前記付加回路部は、同一の圧電基板に形成された弾性波素子を有する請求項1記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種通信機器や高周波装置等において使用される電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線通信装置においてアンテナ共用器として使用される従来の電子部品を図9に示す。図9において、従来の電子部品1000は、送信フィルタ1001と、受信フィルタ1002と、共通端子1003と、送信端子1004と、受信端子1005と、移相回路1006を有し、送信端子1004に接続された送信フィルタ1001と、受信端子1005に接続された受信フィルタ1002とが、移相回路1006を介して共通端子1003に接続されている。
【0003】
この従来の電子部品1000は、通信装置200の内部において、共通端子1003はアンテナ201に接続され、送信端子1004は送信回路202に接続され、受信端子1005は受信回路203に接続される。そして、送信回路202において生成した送信信号は、送信端子1004から入力して共通端子1003からアンテナ201を経由して電波として出力される。アンテナ201から受信した受信信号は、共通端子1003から入力し、受信端子1005から受信回路203に出力する。
【0004】
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2010/073377号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の電子部品1000は、送信端子1004から入力する送信信号は強力であるのに対して、受信端子1005から入力する受信信号は微弱であるため、送信信号の電力の一部が受信フィルタ1002から漏出し、受信特性に悪影響を及ぼすという課題を有していた。
【0007】
本発明は、共通の信号端子に接続された2つの高周波フィルタの間において一方の高周波フィルタから他方の高周波フィルタへの信号の漏出が少なく、アイソレーション特性が良好な電子部品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、第1の信号端と第2の信号端の間に接続され、第1の通過帯域を有する第1のフィルタと、前記第1の信号端と第3の信号端との間に接続され、前記第1の通過帯域と異なる第2の通過帯域を有する第2のフィルタとを備え、前記第1と第2のフィルタを経由して前記第2と第3の信号端を結ぶ回路を主回路部としたとき、前記主回路部と並列接続になるように、前記第2と第3の信号端の間に付加回路部を設け、前記付加回路部は前記第1または第2の通過帯域の中に前記主回路部と逆方向の位相成分を有する周波数領域を設けたものである。
【発明の効果】
【0009】
このような構成としたことで、2つのフィルタの間のアイソレーション特性が良好な電子部品を得ることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態における電子部品の回路構成図
図2】同電子部品の回路図
図3】同電子部品の配線図
図4】同電子部品の特性図
図5】同電子部品の特性図
図6】同電子部品の特性図
図7】同電子部品の特性図
図8】同電子部品の特性図
図9】従来の電子部品の回路構成図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態における電子部品として、アンテナ共用器について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施の形態における電子部品であるアンテナ共用器100の構成図、図2はアンテナ共用器100の回路図、図3はアンテナ共用器100のレイアウト結線図である。
【0013】
図1図2において、アンテナ共用器100は通信装置200の内部において使用され、送信フィルタ101と受信フィルタ102と共通端子103と送信端子104と受信端子105と移相回路106と圧電基板107を有する。送信フィルタ101は、接続部109と送信端子104の間に接続され、受信フィルタ102は、接続部109と受信端子105の間に接続され、移相回路106は、接続部109と共通端子103の間に接続される。ここで、送信フィルタ101と接続部109と受信フィルタ102を経由して送信端子104と受信端子105を結ぶ回路を主回路部108とする。アンテナ共用器100におけるアイソレーション特性は、送信端子104と受信端子105の間の通過特性であり、送信帯域と受信帯域において、送信端子104と受信端子105の間を通過する信号レベルを低減することにより良好なアイソレーション特性が得られる。そして、本発明の一実施の形態における電子部品であるアンテナ共用器100は、主回路部108と並列接続になるように、付加回路部110を設けたものである。
【0014】
通信装置200は、アンテナ共用器100とアンテナ201と送信回路202と受信回路203を有し、アンテナ共用器100の共通端子103はアンテナ201に接続され、送信端子104は送信回路202に接続され、受信端子105は受信回路203に接続される。
【0015】
送信フィルタ101は、圧電基板107の上の複数の弾性表面波素子からなり、送信端子104と接続部109を結ぶ信号ラインに直列腕共振器S1、S2、S3、S4、S5が順に直列接続され、信号ラインとグランドの間には、並列腕共振器P1、P2、P3、P4、P5が接続され、ラダー型フィルタを構成している。送信フィルタ101の送信帯域は880〜915MHzである。
【0016】
受信フィルタ102は、圧電基板107上に形成された弾性表面波素子からなり、一端子対共振器R1と縦結合型共振器R2と縦結合型共振器R3を縦続接続してなる。受信フィルタ102の受信帯域は925〜960MHである。縦結合型共振器R2または縦結合型共振器R3のIDT(インタデジタルトランスデューサ)は、接続の向きを設定することにより、主回路部108の位相を反転させた。これにより主回路部108の位相と付加回路部110の位相の向きを受信帯域において逆方向にした。
【0017】
付加回路部110は、主回路部108と並列接続になるように送信端子104と受信端子105との間に接続したものであり、圧電基板107の上に電極によって形成され、容量111、112と共振器113、114を有する。ここで、共振器113、114は一端子対弾性表面波共振器である。容量111と共振器113と容量112は、この順に送信端子104と受信端子105の間に直列接続したものであり、共振器114は、容量111と共振器113の接続部とグランドとの間に接続したものである。これは、共振器113を直列腕共振器とし、共振器114を並列腕共振器とするラダー回路を容量111と容量112で挟んだ構成である。
【0018】
付加回路部110において、直列腕である共振器113の共振周波数を937MHz、反共振周波数を971MHz、並列腕である共振器114の共振周波数を932MHz、反共振周波数を966MHzに設定することにより、受信帯域925〜960MHzの中に通過特性を有する領域Sを形成した。ここで、領域Sの周波数範囲は945〜960MHzであり、直列腕である共振器113における共振周波数と反共振周波数の中点951MHzと、並列腕である共振器114における共振周波数と反共振周波数の2点の中点954MHzの両方が受信帯域925〜960MHz内に入るように設計することにより、受信帯域内に領域Sを形成したものである。ここで、共振周波数と反共振周波数の中点は、2つの周波数の平均を計算することにより算出したものである。容量111と容量112は、領域Sにおける付加回路部110の通過特性の振幅レベルをシフトする素子であり、容量111と容量112の設計により、付加回路部110の通過特性の振幅レベルを主回路部108の通過特性の振幅レベルに近似させることを可能にする。そして、領域Sにおける付加回路部110の位相と主回路部108の位相を逆向きにしていることから、領域Sにおける主回路部108の振幅を相殺し、送信端子104と受信端子105の間のアイソレーション特性を向上できる。また、容量111および容量112により、付加回路部110の位相を微調整することができる。また、容量111および容量112は、主回路部108から付加回路部110に流入する電流を抑制することにより、共振器113、114を破壊から保護する機能も併せ持つ。具体的には、容量111と容量112の静電容量を共振器113の静電容量よりも小さな容量値に設定し、送信端子104に近い容量111を受信端子105に近い容量112より小さな容量に設定したものである。
【0019】
図3は、本発明の一実施の形態の電子部品であるアンテナ共用器100の圧電基板107上に構成したときのレイアウトと結線を示した図である。図3において、圧電基板107の一主面に、送信フィルタ101を構成する直列腕共振器S1、S2、S3、S4、S5と並列腕共振器P1、P2、P3、P4、P5と受信フィルタ102を構成する一端子対共振器R1と縦結合型共振器R2と縦結合型共振器R3と容量111、112と共振器113、114とが、形成されている。このように1つの圧電基板107上に形成することにより小型でアイソレーション特性に優れたアンテナ共用器を得ることが可能になる。圧電基板107の長辺側に共通端子103が形成され、送信フィルタ101を構成する並列腕共振器P1、P2、P3、P4、P5は共通端子103が形成された端面側に配置され、直列腕共振器S1、S2、S3、S4、S5は共通端子103が形成された端面に対向する端面側に配置されている。また、付加回路部110を構成する共振器113、114は共通端子103が形成された端面に対向する端面側に配置されている。このような配置にすることでアイソレーション特性が改善される。
【0020】
共通端子103は圧電基板107の長辺を等分した中央より受信フィルタ側に配置されている。このようにすることで送信フィルタを構成する直列腕共振器および並列腕共振器の占める面積を大きくするとともに圧電基板107上の配線を短くすることができるため耐電力性に優れ、かつ配線の抵抗損失の小さなアンテナ共用器が得られる。
【0021】
さらに、圧電基板107上において、共通端子103と送信フィルタ101の並列腕共振器に接続されたグランド端子121、122との間に共振器と電気的に接続されていないダミーの端子123、124を設けている。このような構成とすることで、並列腕共振器から共通端子103への電磁界結合による電気信号の回り込みを防止し、アイソレーションを改善できる。
【0022】
125は縦結合型共振器R2のグランド電極を接地する端子であり、126は縦結合型共振器R3のグランド電極を接地する端子であり、125と126を圧電基板107上で電気的に分離された構成にしている。このようにすることで受信フィルタの減衰特性を良好とし、アイソレーション特性を良好にすることができる。127は共振器114に接続されたグランド端子である。
【0023】
123、124、128、129の各々はいずれの共振器とも接続されていない端子であり、接地されている。これらの端子は圧電基板107の固着力強化をする他、送信端子104と共通端子103、受信端子105と共通端子103、または送信端子104と受信端子105の間のアイソレーションを向上する効果がある。
【0024】
図4図8は本発明の一実施の形態における電子部品であるアンテナ共用器100の電気特性を示す図である。
【0025】
図4において実線は、アンテナ共用器100において送信フィルタ101から位相回路106と受信フィルタ102を経由した主回路部108の通過特性Aであり、付加回路部110が無い場合のアンテナ共用器100のアイソレーション特性を示す。図4において破線は、付加回路部110の通過特性Bを示す。図4に示すように、付加回路部110の通過特性Bは、受信帯域において通過特性Aに近似するように、領域Sに矩形状の通過特性を設けたものである。この矩形状の通過特性は、共振器113の共振周波数および反共振周波数と共振器114の共振周波数および反共振周波数を設定することによりその周波数帯域が受信帯域に入るように設計したものであり、容量111と容量112を設定することにより付加回路部110の通過特性の振幅レベルが主回路部108の通過特性の振幅レベルに近似できるように設計している。
【0026】
図5は、図4に示す通過特性Bから通過特性Aを差し引いた振幅差Cであり、受信帯域の特に領域Sにおいてその振幅差を小さくしていることを示している。
【0027】
図6において実線は、アンテナ共用器100において送信フィルタ101から位相回路106と受信フィルタ102を経由した回路の位相特性Dである。図6において破線は、付加回路部110の位相特性Eを示す。図6に示すように、付加回路部110の位相特性Eは、受信帯域内の領域Sにおいて位相特性Dと逆方向の位相特性にしたものである。ここで、位相特性が逆方向であるとは、−180度〜180度の範囲内で位相差の絶対値が90度以上であり、逆方向の位相成分を有することをいう。
【0028】
図7は、図6に示す位相特性Eから位相特性Dを差し引いた位相差Fであり、受信帯域の中の特に領域Sにおいて位相差の絶対値が90°を超える逆方向であり、位相差が150度程度になっていることがわかる。
【0029】
図8において、実線は本発明の一実施の形態におけるアンテナ共用器100のアイソレーション特性Gであり、破線は比較例のアイソレーション特性Hであり、アイソレーション特性はマイナスの方向に大きな値であるほど良好である。ここで、比較例は、アンテナ共用器100において、付加回路部110を有さない主回路部108のみのアイソレーション特性である。図8において、本発明の実施の形態1におけるアンテナ共用器100のアイソレーション特性Gは、受信帯域の中の特に領域Sにおいて信号レベルを低減することができ、特性を大きく改善していることがわかる。
【0030】
以上のように、本発明の一実施の形態における電子部品は、第1の信号端と第2の信号端の間に接続され、第1の通過帯域を有する第1のフィルタと、前記第1の信号端と第3の信号端との間に接続され、前記第1の通過帯域と異なる第2の通過帯域を有する第2のフィルタとを備え、前記第1と第2のフィルタを経由して前記第2と第3の信号端を結ぶ回路を主回路部としたとき、前記主回路部と並列接続になるように、前記第2と第3の信号端の間に付加回路部を設け、前記付加回路部は前記第1または第2の通過帯域の中に前記主回路部と逆方向の位相成分を有する周波数領域を設けたことにより、この周波数領域における主回路部の通過特性の振幅を相殺して減衰を高めることができ、これによって、第1のフィルタと第2のフィルタの間のアイソレーションを大きく改善することができるものである。
【0031】
ここで、この逆方向の位相成分を有する周波数領域における主回路部と付加回路部との間の位相差の絶対値は、0度〜180度の範囲内において、180度が理想的である。しかし、位相差の絶対値が90度以上であれば、逆方向の位相成分を有するため、通過特性の振幅を相殺してアイソレーションを高める効果を有するものである。上記一実施の形態においては、図7に示すように、位相差を110度以上にすることにより効果的に通過特性の振幅を相殺してアイソレーションを高めることができた。
【0032】
また、上記本発明の一実施の形態における電子部品は、第1のフィルタを送信フィルタとし、第2のフィルタを受信フィルタとすることにより、アイソレーション特性の良好なアンテナ共用器を得ることができるものである。
【0033】
また、上記本発明の一実施の形態における電子部品は、第1または第2のフィルタに位相を反転させる機能をもたせることによって実現できるものであり、付加回路部に別途の位相反転機能を追加する必要が無く、回路構成を簡単にすることができるものである。
【0034】
また、上記本発明の一実施の形態における電子部品は、第1または第2のフィルタに縦結合弾性波共振器を用いたものであり、縦結合弾性波共振器のIDTの接続の向きを設定することにより、主回路部と付加回路部の位相を逆向きにする手段を与えることができるものであり、別途の位相反転機能を追加する必要が無く、回路構成を簡単にすることができる。
【0035】
また、上記本発明の一実施の形態における電子部品は、主回路部の位相と付加回路部の位相を逆向きにした領域Sにおいて、通過特性の振幅レベルをシフトさせる素子を付加回路部に設けたものであり、これによって、領域Sにおける付加回路部の振幅を主回路部の振幅に近似させることが可能になる。
【0036】
特に、容量111と容量112の静電容量を共振器113の静電容量よりも小さな容量値に設定し、送信端子104に近い容量111を受信端子105に近い容量112より小さな容量に設定することにより、領域Sにおける付加回路部の振幅を主回路部の振幅に合せこむことが可能になり、アイソレーション特性を向上する効果が高くなる。
【0037】
また、上記本発明の一実施の形態における電子部品は、主回路部の位相と付加回路部の位相を逆向きにした領域Sにおいて、主回路部の通過特性の振幅と付加回路部の通過特性の振幅の差の絶対値を10dB以下にしたことにより、主回路部の振幅と付加回路部の振幅を小さくすることができ、相殺の効果を大きくすることができるため、アイソレーション特性を向上する効果が大きい。
【0038】
また、上記本発明の一実施の形態における電子部品は、第1または第2のフィルタは弾性波素子を用いた第1のラダー回路部を有し、付加回路部は弾性波素子を用いた第2のラダー回路部を有する構成としたことにより、温度変化があった場合の第1のラダー回路部の周波数特性の変化と付加回路部の周波数特性の変化を近似させることができ、温度変化に対するアイソレーション特性の劣化を低減することができる。
【0039】
また、上記本発明の一実施の形態における電子部品は、付加回路部は弾性波素子を用いたラダー回路部を有し、ラダー回路部と第2の信号端との間に第1の容量素子を設け、ラダー回路部と前記第3の信号端との間に第2の容量素子を設けたことにより、主回路部108から流入する電流から共振器113、114を保護し、共振器113、114の破壊を防止することができる。
【0040】
また、上記本発明の一実施の形態における電子部品は、付加回路部に直列腕共振子と並列腕共振子を有するラダー回路部を設け、直列腕共振器の共振周波数と反共振周波数の中点と、並列腕共振器の共振周波数と反共振周波数の中点を、第1または第2の通過帯域内に配置したことにより、第1または第2の通過帯域の中に付加回路部が形成する通過帯域(領域S)を配置することができるものである。
【0041】
また、上記本発明の一実施の形態における電子部品は、第1または第2のフィルタと付加回路部を、同一の圧電基板に形成された弾性波素子を有するものとしたことにより、温度変化による周波数特性の変化が第1または第2のフィルタと付加回路部の両方に同様に生じるため、温度変化があった場合でもアイソレーション特性の劣化を少なくすることができ、アンテナ共用器に適用した場合には、温度変化に対するアイソレーション特性劣化の少ないアンテナ共用器を得ることができるという効果が得られる。また、第1または第2のフィルタと付加回路部を、同一の圧電基板に形成することにより、大型化することなしにアイソレーション特性の良好な電子部品を得ることができる。また、第1のフィルタと第2のフィルタと付加回路部を、同一の圧電基板に形成することにより、より小型の電子部品が得られる。
【0042】
なお、上記一実施の形態における電子部品として、アンテナ共用器100を用いて説明したが、本発明の適用はアンテナ共用器に限らず、例えばデュアルフィルタに適用することもできる。すなわち、2個のフィルタが共通の信号端子に接続している回路であれば、本発明を適用でき、同様の効果を有するものである。
【0043】
また、上記一実施の形態におけるアンテナ共用器100において、送信フィルタ101と受信フィルタ102と共振器113は、弾性表面波フィルタおよび弾性表面波共振器により構成したものであったが、送信フィルタ101と受信フィルタ102と共振器113を、弾性境界波フィルタおよび弾性境界波共振器により構成しても良いものであり、実施の形態1におけるアンテナ共用器100と同様にアイソレーション特性を向上することができるという効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係る電子部品は、各種通信機器を構成する上で有用である。
【符号の説明】
【0045】
100 アンテナ共用器
101 送信フィルタ
102 受信フィルタ
103 共通端子
104 送信端子
105 受信端子
106 移相回路
107 圧電基板
108 主回路部
110 付加回路部
111、112 容量
113、114 共振器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9