【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的は、請求項1の特徴による送給装置によって、そしてさらに、請求項12の特徴による方法によって達成される。装置のさらに有利な改良は、従属請求項において特定される。請求項において個々に特定される特徴は、任意の所望の技術的に意味のある方法において互いに組み合わされてよい。そして、特定されている本発明のさらなる設計異型については、記述からの説明的な事実によって補充されてよい。
【0006】
本発明による装置は、還元剤を送給し、導き、そして計量するための、少なくとも1つの第1の補償エレメントを有する、液体還元剤を送給するための装置である。この送給装置は、還元剤タンク、送給ユニットさらには還元剤ラインおよび計量ユニットを備え、そしてそれは、還元剤で満たされることができる全体のボリューム(容積、容量、体積)を共有する。少なくとも1つの第1の補償エレメントは、送給装置において負圧が優勢のときに、全体のボリュームのサイズを減少させるのに適する。
【0007】
本発明の文脈の範囲内で、負圧は、周囲圧力に対する負圧を意味する。同様に、正圧は、周囲圧力に対する正圧を意味する。
【0008】
本発明は、送給装置内の還元剤が凍結する前に、還元剤の冷却が常に起こり、そしてその冷却中に、還元剤のボリュームの減少が起こるという認識に基づく。尿素水溶液についての測定は、ボリュームの重要な減少が、20℃から0℃までの還元剤の冷却中に、すでに起こることを示した。従来技術から公知の送給装置では、ボリュームの前記減少のせいで、送給装置内に減圧が形成される。その減圧は、還元剤タンクから送給ユニットの弁を通して送給装置内へと送給される付加的な還元剤を生じさせる。その結果、送給装置の充填レベルは、冷却中に増加する。この程度まで冷却した還元剤がさらに冷却するときに、それはほぼ−11℃の温度で凍結し始める。ここで、ボリュームの増加は、冷却中に以前に起こるボリュームの減少よりも大きく起こる。ボリュームの前記増加は、送給装置内の増加した圧力につながる。圧力の前記増加は、冷却中にボリュームが減少する間に、送給ユニットを通して送給装置内へと付加的に吸い込まれた付加的な還元剤がある場合により増える。本発明による補償エレメントによって、送給装置内の付加的な還元剤のボリュームは、減少されることができるか、または完全に除去されることさえできる。そうすると、本発明による送給装置において、送給装置が氷圧に耐えることを確実にするためにとらなければならない対策はより小さい。
【0009】
送給装置において負圧が優勢でない限り送給装置がボリュームを減少させず、そして、負圧が優勢のときに、第1の補償エレメントがボリュームの減少を非常に急速にかつ非常に自由に許容する場合、それはここで特に有利である。このようにして、送給装置は、作動範囲において(すなわち0バールを上回る圧力で)、実質的に圧縮不可能な挙動を呈することを確実にされることができる。このようにして、送給装置によって提供される還元剤圧力の高度な均一性を達成することは、可能である。同時に、作動中の圧力増加の結果として、送給装置の弾力性のある膨張のために不必要なエネルギーが費やされることはない。
【0010】
少なくとも1つの第1の補償エレメントが、ダイアフラムの形態に設計され、そのために接触面が提供され、その接触面が、送給装置において正圧が優勢のときに、ダイアフラムが実質的に動かないで接触面を圧迫するように、そして、送給装置において負圧が優勢のときに、ダイアフラムが全体のボリューム内へと移動することができるように設計される場合、送給装置はさらに特に有利である。
【0011】
接触面は、例えば、送給装置の一連の内壁の一部でよい。
【0012】
ダイアフラムの下流の接触面において、例えば、送給装置において負圧が優勢のときに、ダイアフラムと接触面との間を空気等が自由に通過することのできる孔が設けられてよい。ダイアフラムによって送給装置の全体のボリュームから切り離される空気は、したがって、送給装置における全体のボリュームの一部を満たす。負圧が優勢のときに、ダイアフラムは非常に容易に変形できることが好ましい。なぜなら、比較的薄いダイアフラムの大きい表面積は、容易に曲がることができるからである。正圧が優勢のときに、ダイアフラムは接触面に対して押圧される。ダイアフラムの動きは、その後、接触面における記述された孔の領域のみで例えば可能である。前記孔は、しかしながら、ダイアフラムが圧迫する接触面に関して非常に小さい。孔の非常に小さい領域全体から見ると、ダイアフラムは、それが他の領域におけるのと同じ厚みをそこで有する場合であっても、比較的堅い。この理由で、ダイアフラムは、孔の内部に有意な程度に膨張することができない。そうすると、システムにおいて正圧が優勢のときに、全体のボリュームの有意な増加がない。
【0013】
孔に代わるものとして、格子もまた、ダイアフラムの下流に設けられてよい。ダイアフラムが全体のボリューム内に自由に膨張することは、それから再び可能である。その一方で、システムにおいて正圧が優勢のときに、ダイアフラムは格子を圧迫し、そして、格子の個々の開口内へのダイアフラムの膨張は、有意な程度には起こらない。
【0014】
部分的に異なる厚みによってダイアフラムが形成されることも、可能である。当接しているダイアフラムが変形しないために、孔または格子の上に置かれるようになるダイアフラムのその領域は、より厚く設計され得る。負圧が優勢のときに、ダイアフラムが送給装置の全体のボリューム内へと移動する場合、ダイアフラムの自由な動きをここで確実にするために、隣接する領域は、薄くてかつフレキシブルに、随意に波形構造(corrugation)をともなってさえ、設計され得る。ダイアフラムの可動領域は、さらに増加した柔軟性をここで確実にするために、波形構造または同類に形成されることもおそらくあり得る。
【0015】
ダイアフラムにとって、異なる材質の組み合わせから成ることも可能である。比較的高い弾性率を有するかおよび/または比較的大きい厚みを有するかいずれかの比較的剛性のある材料は、ダイアフラムの個々の領域に使用することができ、および/または、ダイアフラムは、付加的な層および/または補強構造によって、領域において堅くされてよい。
【0016】
少なくとも1つの第1の補償エレメントが、全体のボリュームのサイズを最大5%まで減少させることを許容する場合、本発明による送給装置は特に有利である。
【0017】
従来の作動温度(概して20℃でよく、または最大80℃でさえよい。)から進む水性の還元剤の凍結中に、ボリュームの減少が最大5%まで発生し得ることが、実験において分かった。第1の補償エレメントが、全体のボリュームの少なくとも2%までボリュームの減少を許容することは、しかしながら好ましい。
【0018】
少なくとも1つの第1の補償エレメントが、500mbar[ミリバール]を下回る負圧で、最大5%まで全体のボリュームのサイズの減少を許容する場合、本発明による送給装置は、さらに特に有利である。ここで、最大2%までのボリュームの減少が、500mbar[ミリバール]を下回る、好ましくは200mbar[ミリバール]を下回る、そして特に好ましくは100mbar[ミリバール]を下回る負圧で可能であることは、特に好ましい。
【0019】
本発明による送給装置のこの実施形態は、送給装置内の負圧があまり大きくなってはならないという概念に基づく。そうすると、付加的な還元剤は、還元剤タンクから送給装置内へと吸い込まれない。システムにおいて低い負圧が優勢のときに、これが発生する確率はより低くて、および/または、還元剤タンクから還元剤が吸い込まれるのを防止するためにとられる対策は必要ないかまたはより小さい。また、流動抵抗は、還元剤タンクから還元剤を吸い込むための吸引ラインに設けられてよい。そして、流動抵抗は、送給装置の冷却が起こるときに、還元剤が還元剤タンクから送給装置内へと流れないことを確実にする。この種の流動抵抗は、第1の補償エレメントによってボリュームの減少のために必要な負圧が、付加的な還元剤が還元剤タンクから吸い込まれる負圧よりも低いことを確実にすることだけを単に意図する。
【0020】
送給装置において正圧の閾値に達したときに、全体のボリュームのサイズを増加させることに適した少なくとも1つの第2の補償エレメントがある場合、本発明による送給装置はまた特に有利である。正圧の閾値を下回る圧力が優勢のときに、少なくとも1つの第2の補償エレメントは、全体のボリュームのサイズの増加を実質的には許容しない。
【0021】
特定の正圧の閾値が上回られるときに、この種の第2の補償エレメント(膨張要素)は、したがって、送給装置のボリュームのサイズを増加させる。これの前に、全体のボリュームのサイズの重要な増加が起こらないことは好ましい。その理由は、本発明による送給装置が作動される送給圧力の範囲で、送給装置は、特にエネルギー効率が良くかつ信頼性が高い還元剤の送給を許容するために、可能な限りの最も堅い挙動を呈しなければならないからである。送給装置内の還元剤が完全に冷却して、そして、還元剤の膨張が凍結プロセスのために発生するときに、通常の送給圧力より著しく高い圧力は起こる。第2の補償エレメントは、この種の圧力で全体のボリュームのサイズの制御された増加を許容する。そうすると、送給装置内の氷圧は損傷を与えない。
【0022】
正圧の閾値が少なくとも5バールである場合、本発明による送給装置は、特に有利である。正圧の閾値は、周囲圧力を上回る圧力として、すなわち周囲圧力に関して、いずれの場合もここで特定される。送給装置の送給圧力は、5バールよりも通常小さい。より高い送給圧力(例えば最大でも10バールまたは最大15バールでさえも)を使用することも、しかしながら可能である。閾値圧力が、送給装置の最大送給圧力よりも高い少なくとも1バールであるようにセットされることは、例えば好都合である。
【0023】
少なくとも1つの第2の補償エレメントが全体のボリュームのサイズを最大15%まで増加させることができる場合、本発明による送給装置は、特に有利である。第2の補償エレメントが全体のボリュームのサイズを最大でも2〜15%、特に最大でも3〜10%まで増加させることができる場合、それは好ましい。ボリュームのサイズのこの種の増加が還元剤の凍結中に規則的に発生し得ることが、実験において分かった。これを許容する1つの第2の補償エレメントだけを正確に提供することが、好ましい。
【0024】
正圧の閾値に達するときに、少なくとも1つの第2の補償エレメントが全体のボリュームのサイズを実質的に突然増加させる場合、本発明による送給装置は、さらに特に有利である。サイズにおけるこの種の突然の(唐突な、即時の)増加の結果、凍結プロセス中に、送給装置内で起こる氷圧は、正圧の閾値よりも大きくはならない。正圧に達するときに、送給装置内の圧力の突然の減少が、全体のボリュームのサイズの突然の増加と同時に起こるように、第2の補償エレメントが造られることも可能である。前記タイプの第2の補償エレメントについては、正圧の閾値に達するときに、安定平衡位置であるとみなされる。そうすると、全体のボリュームのサイズは、突然の圧力低下にもかかわらず再び減少しない。加えて、または、代わりに、正圧の閾値を上回って、全体のボリュームのサイズの連続増加は、圧力のさらなる増加によって起こることができる。この種の設計については、しかしながら、送給装置の圧力は、正圧の閾値をまたさらに上回って高まる。
【0025】
少なくとも1つの第2の補償エレメントがプレロード下で表層部の形態に設計される場合、本発明による送給装置はまた特に有利である。正圧の閾値を上回る正圧が優勢のときに、表層部は、全体のボリュームのサイズが増加するように、プレロードと反対に移動することができる。プレロード下の表層部は、概してクリッカのようにしてふるまう。前記表層部が、特定の力によって、または表層部に作用する特定の圧力によってプレロードと反対に負荷される場合、前記表層部は突然反転して、その結果、ボリュームのサイズは突然増加する。突然の反転中に、表層部がストッパに対して移動して、さらに安定した位置に到達することなくストッパを圧迫する場合、それは通常、好都合である。表層部は、さらに安定な位置から、対応する反対方向の圧力または対応する反対方向の作用力の作用下で、最初のプレロード位置へと戻ることが可能なだけである。ストッパによって、表層部は、さらに安定した位置に達するのを防止されることができる。そうすると、圧力が正圧の閾値以下に低下するときに、表層部はプレロード位置にきちんと戻る。
【0026】
少なくとも1つの第1の補償エレメントおよび少なくとも1つの第2の補償エレメントが複合補償エレメントとして共同で形成される場合、本発明による送給装置はまた特に有利である。プレロード下にある大きな表層部が第2の補償エレメントとして設けられ、そして、ダイアフラムの形態の第1の補償エレメントが前記表層部上に直接設けられることは、例えば可能である。空気がダイアフラムと表層部との間を通過することができるために、プレロード下の表層部は、それから、例えば、対応する孔を有する。第1の補償エレメントおよび第2の補償エレメントが、複合補償エレメントとして、単一のコンパクトな統合コンポーネントに形成されることも、可能である。
【0027】
少なくとも1つの第1の補償エレメントが送給ユニットと計量ユニットとの間に配置される場合、本発明による送給装置はさらに有利である。圧力は送給装置において送給ユニットによって発生して、計量ユニット(それは内燃機関の排気システムに還元剤を供給する。)によって消されるので、送給装置の高圧領域は通常、送給ユニットと計量ユニットとの間にある。計量ユニットは、例えばインジェクタである。送給ユニットは、例えばポンプである。かなりのボリューム(例えばタンク)へと膨張することができない加圧還元剤は、通常、前記高圧領域内に位置している。第1の補償エレメントが送給ユニットの近くに(特に直接隣接して)配置されることは、特に好ましい。凍結プロセスは、それから、第1の補償エレメントの方向において計量ユニットから進んで起こることができる。そうすると、氷プラグは送給装置内に形成されない。そしてそれは、還元剤のまだ液体のボリュームを第1の補償エレメントから切り離して、これにより、第1の補償エレメントがその補償効果を与えるのを防止する。ここで、第2の補償エレメントが、設けられる場合に、送給ユニットと計量ユニットとの間(可能ならば送給ユニット付近)に配置されるように同様に設けられる場合、それは特に有利であるとも考えられる。
【0028】
本発明は、液体還元剤で満たされた全体のボリュームを有する送給装置内の液体還元剤を凍結させる方法であって:
a)送給装置内の還元剤を冷却する(送給装置の全体のボリュームのサイズは、第1の補償エレメントによって減少する)ステップ;および、
b)送給装置内の還元剤を凍結させる(送給装置の全体のボリュームのサイズは、第2の補償エレメントによって増加する)ステップ;
を少なくとも有する方法にも関する。
【0029】
特に、送給装置内への還元剤の引き続いての流れがないように、送給装置の全体のボリュームのサイズは、ステップa)で減少する。さらに、ステップa)における還元剤の凍結中のボリュームの増加は、通常、ステップb)における冷却中のボリュームの減少よりも大きい。
【0030】
この種の方法は、本発明による送給装置を用いて、特に好ましくは実施されてよい。本発明による方法の特定の効果は、送給装置のボリュームの変化が、対応する補償エレメントで定義済み方法において常に起こるということである。そうすると、許容できない膨張および応力は、送給装置において起こることができない。
【0031】
本発明は、内燃機関、および選択接触還元を実施するために設計された排気システム、ならびに還元剤を還元剤タンクから排気システム内へと送給するための本発明による送給装置を備える自動車にも関する。
【0032】
本発明による送給装置のための特別の技術的改良および効果は、本発明による方法および本発明による自動車に類似して適用可能であり、移転可能である。同じことは、本発明による自動車および本発明による方法と連動して特定される効果および特別の技術的改良にあてはまる。そして、その効果および改良は、本発明による装置に適用可能であり、移転可能である。