特許第5782040号(P5782040)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5782040冷却システム用の可変能力コンプレッサ及び電子サーモスタットの間のデータ及びコマンド通信システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5782040
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】冷却システム用の可変能力コンプレッサ及び電子サーモスタットの間のデータ及びコマンド通信システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20150907BHJP
   H04B 3/54 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
   F25B1/00 361Z
   H04B3/54
【請求項の数】17
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-534503(P2012-534503)
(86)(22)【出願日】2010年10月21日
(65)【公表番号】特表2013-508656(P2013-508656A)
(43)【公表日】2013年3月7日
(86)【国際出願番号】BR2010000348
(87)【国際公開番号】WO2011047453
(87)【国際公開日】20110428
【審査請求日】2013年10月4日
(31)【優先権主張番号】PI0904208-3
(32)【優先日】2009年10月21日
(33)【優先権主張国】BR
(73)【特許権者】
【識別番号】508020638
【氏名又は名称】ワールプール,ソシエダッド アノニマ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター ヨハン マース
【審査官】 仲村 靖
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0131784(US,A1)
【文献】 特開2009−204212(JP,A)
【文献】 特開平11−215037(JP,A)
【文献】 特開2000−286756(JP,A)
【文献】 特開2002−300134(JP,A)
【文献】 特開2000−165303(JP,A)
【文献】 特開昭59−083546(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/068038(WO,A1)
【文献】 米国特許第07841542(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0066245(US,A1)
【文献】 特開2007−135242(JP,A)
【文献】 特開2007−064542(JP,A)
【文献】 特開平08−035713(JP,A)
【文献】 特開2005−210793(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/067135(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
H04B 3/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却システム用の可変能力コンプレッサ及び電子サーモスタット(200)の間のデータ及びコマンド通信システムであって、
前記コンプレッサは、少なくとも、前記コンプレッサの電気モータに電気的に関連付けられる周波数インバータユニット(100)を含み、前記電子サーモスタット(200)は、前記周波数インバータユニット(100)に電気的に関連付けられ、前記電子サーモスタット(200)及び前記周波数インバータユニット(100)は、相ケーブル(F)及び中性ケーブル(N)を用いて交流電圧源(15)により電力を供給され、前記周波数インバータユニット(100)は、電子受容デバイス(2)を含み、前記電子サーモスタット(200)は、電子伝送デバイス(1)を含み、
前記データ通信システムは、
前記電子サーモスタット(200)及び前記インバータユニット(100)の間に一本のデータ通信電気ケーブルにより形成されるデータ通信単一ハイウェイ(50)と、
前記交流電圧源(15)、前記データ通信単一ハイウェイ(50)、前記周波数インバータユニット(100)、及び前記電子サーモスタット(200)の間の電気的関連により規定される電気通信回路と、を含み、
前記電子伝送デバイス(1)は、前記相ケーブル(F)に接続され、前記電子受容デバイス(2)は、前記中性ケーブル(N)に接続され、前記交流電圧源(15)に参照付けられる前記電気通信回路を実現し、
前記電子伝送デバイス(1)は、前記交流電圧源(15)の電圧値(Vf)又は電流値(If)を変調でき、前記電子受容デバイス(2)は、前記交流電圧源(15)の電圧値(Vf)又は電流値(If)を復調でき、前記データ通信単一ハイウェイ(50)を介して前記周波数インバータユニット(100)及び前記電子サーモスタット(200)の間のデータ交換を実現する、
ことを特徴とする冷却システム用の可変能力コンプレッサ及び電子サーモスタットの間のデータ及びコマンド通信システム。
【請求項2】
前記電子サーモスタット(200)及び前記インバータユニット(100)の間のデータ交換は、一方向である、
請求項1に記載の冷却システム用の可変能力コンプレッサ及び電子サーモスタットの間のデータ及びコマンド通信システム。
【請求項3】
前記インバータは、少なくとも、電子伝送デバイス(1)をさらに含み、
前記サーモスタットは、少なくとも、電子受容デバイス(2)をさらに含み、
前記電子サーモスタット(200)及び前記インバータユニット(100)の間のデータ交換は、双方向である、
請求項1に記載の冷却システム用の可変能力コンプレッサ及び電子サーモスタットの間のデータ及びコマンド通信システム。
【請求項4】
前記双方向データ交換は、
前記電子サーモスタット(200)により変調情報信号(Sx)を設定する前記交流電圧源(15)の電圧値(Vf)又は電流値(If)の変調、及び前記インバータユニット(100)による前記変調情報信号(Sx)の復調のために配置される第1の通信期間(T1)、及び
前記インバータユニット(100)により変調情報信号(Sx)を設定する前記交流電圧源(15)の電圧値(Vf)又は電流値(If)の変調、及び前記電子サーモスタット(200)による前記変調情報信号(Sx)の復調のために配置される第2の通信期間(T2)を介して発生する、
請求項3に記載の冷却システム用の可変能力コンプレッサ及び電子サーモスタットの間のデータ及びコマンド通信システム。
【請求項5】
前記一方向データ通信は、前記電子サーモスタット(200)により生成される前記交流電圧源(15)の電圧値(Vf)又は電流値(If)の変調、及び前記インバータユニット(100)により決定される前記交流電圧源(15)の電圧値(Vf)又は電流値(If)の復調により発生する、
請求項2に記載の冷却システム用の可変能力コンプレッサ及び電子サーモスタットの間のデータ及びコマンド通信システム。
【請求項6】
前記変調情報信号(Sx)は、前記交流電圧源(15)の周波数サイクルの数を計数することにより形成される、
請求項4に記載の冷却システム用の可変能力コンプレッサ及び電子サーモスタットの間のデータ及びコマンド通信システム。
【請求項7】
前記変調情報信号(Sx)は、前記交流電圧源(15)の周波数サイクルにより形成される一組の2値ワードから形成される、
請求項4に記載の冷却システム用の可変能力コンプレッサ及び電子サーモスタットの間のデータ及びコマンド通信システム。
【請求項8】
前記変調情報信号(Sx)は、前記交流電圧源(15)の周波数の測定値又はサイクリック比を用いて行われる、
請求項4に記載の冷却システム用の可変能力コンプレッサ及び電子サーモスタットの間のデータ及びコマンド通信システム。
【請求項9】
前記データ通信単一ハイウェイ(50)は、前記電子サーモスタット(200)及び前記インバータユニット(100)に電力を供給できる前記交流電圧源(15)からの交流電圧電力を含む、
請求項1に記載の冷却システム用の可変能力コンプレッサ及び電子サーモスタットの間のデータ及びコマンド通信システム。
【請求項10】
冷却システム用の可変能力コンプレッサ及び電子サーモスタット(200)の間のデータ及びコマンド通信システムであって、
前記コンプレッサは、少なくとも、前記コンプレッサの電気モータに電気的に関連付けられる周波数インバータユニット(100)を含み、前記電子サーモスタット(200)は、前記周波数インバータユニット(100)に電気的に関連付けられ、前記電子サーモスタット(200)及び前記周波数インバータユニット(100)は、相ケーブル(F)及び中性ケーブル(N)を用いて交流電圧源(15)により電力を供給され、
前記データ通信システムは、
前記電子サーモスタット(200)及び前記インバータユニット(100)の間の一本のデータ通信電気ケーブルにより形成され、前記サーモスタット(200)及び前記インバータユニット(100)の間のデータ交換を実現するために配置され、第1の電気的接続点(Sx1)を介して前記電子サーモスタット(200)に接続され、第2の電気的接続点(Sx2)を介して前記インバータユニット(100)に接続されるデータ通信単一ハイウェイ(50)と、
第1のインバータ極(110)で前記第2の電気的接続点(Sx2)に電気的に関連付けられ、前記第1のインバータ極(110)の反対側の第2のインバータ極(111)で前記交流電圧源(15)の第2の端子に電気的に関連付けられるインバータ通信ブランチ(101)を少なくとも有するインバータユニット(100)と、
第1のサーモスタット極(210)で前記第1の電気的接続点(Sx1)に電気的に関連付けられ、前記第1のサーモスタット極(210)の反対側の第2のサーモスタット極(211)で前記交流電圧源(15)の第1の端子に電気的に関連付けられるサーモスタット通信ブランチ(201)を少なくとも有する電子サーモスタット(200)と、を含み、
前記サーモスタット(200)及び前記インバータユニット(100)の間のデータ交換は、変調情報信号(Sx)を配置するために、前記交流電圧源(15)の電圧値(Vf)又は電流値(If)の変調により提供され、前記サーモスタット(200)及び前記インバータユニット(100)の間のデータ交換は、前記変調情報信号(Sx)の復調により提供される、
ことを特徴とする冷却システム用の可変能力コンプレッサ及び電子サーモスタットの間のデータ及びコマンド通信システム。
【請求項11】
前記交流電圧源(15)の第1の端子は、相端子(F)であり、前記交流電圧源(15)の第2の端子は、中性端子(N)であり、又はその逆である、
請求項10に記載の冷却システム用の可変能力コンプレッサ及び電子サーモスタットの間のデータ及びコマンド通信システム。
【請求項12】
一方向通信において、前記インバータ通信ブランチ(101)は、少なくとも、電子受容デバイス(2)を含み、前記サーモスタット通信ブランチ(201)は、少なくとも、電子伝送デバイス(1)を含む、
請求項10に記載の冷却システム用の可変能力コンプレッサ及び電子サーモスタットの間のデータ及びコマンド通信システム。
【請求項13】
双方向通信において、前記インバータ通信ブランチ(101)及び前記サーモスタット通信ブランチ(201)の各々は、少なくとも、電子伝送デバイス(1)と、電子受容デバイス(2)と、を含む、
請求項10に記載の冷却システム用の可変能力コンプレッサ及び電子サーモスタットの間のデータ及びコマンド通信システム。
【請求項14】
前記電圧値(Vf)又は前記電流値(If)の変調は、前記電子伝送デバイス(1)を介して行われ、前記変調情報信号(Sx)の復調は、前記受容デバイス(2)を介して行われる、
請求項12又は13に記載の冷却システム用の可変能力コンプレッサ及び電子サーモスタットの間のデータ及びコマンド通信システム。
【請求項15】
前記電子伝送デバイス(1)は、前記電圧値(Vf)又は前記電流値(If)を変調できる、絶縁又は非絶縁の部品又は電子回路であり、前記電子受容デバイス(2)は、それぞれの制御回路によるデータの正しい解釈のために、前記電圧値(Vf)又は前記電流値(If)を復調できる、絶縁又は非絶縁の部品又は電子回路である、
請求項12又は13に記載の冷却システム用の可変能力コンプレッサ及び電子サーモスタットの間のデータ及びコマンド通信システム。
【請求項16】
冷却システム用の可変能力コンプレッサ及び電子サーモスタットの間のデータ及びコマンド通信方法であって、
前記コンプレッサは、少なくとも、前記コンプレッサの電気モータに電気的に関連付けられる周波数インバータユニット(100)を含み、前記電子サーモスタット(200)は、前記周波数インバータユニット(100)に電気的に関連付けられ、前記電子サーモスタット(200)及び前記周波数インバータユニット(100)は、相ケーブル(F)及び中性ケーブル(N)を用いて交流電圧源(15)により電力を供給され、
前記方法は、
前記周波数インバータユニット(100)に、前記電子サーモスタット(200)を用いて、前記冷却システムの熱定値条件を、第1の通信時点(t10)に、前記電子サーモスタット(200)及び前記インバータユニット(100)の間に一本のデータ通信電気ケーブルにより形成されるデータ通信単一ハイウェイ(50)から変調情報信号(Sx)を送信することにより通知するステップと、
前記電子サーモスタット(200)に、前記インバータユニット(100)を用いて、少なくとも電気的大きさの測定値を、第2の通信時点(t20)に、前記データ通信単一ハイウェイ(50)を用いて変調情報信号Sxを送信することにより通知するステップと、を含む、
ことを特徴とする冷却システム用の可変能力コンプレッサ及び電子サーモスタットの間のデータ及びコマンド通信方法。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の、可変能力コンプレッサ及び電子サーモスタットの間のデータ及びコマンド通信システムを少なくとも含む、
ことを特徴とする冷却器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、ブラジル特許出願第PI0904208−3号の優先権を主張し、その開示は、参照によりここに組み込まれる。
【0002】
本発明は、可変能力コンプレッサ(VCC)を有する冷却システムに特に適用される、コンプレッサ及び電子サーモスタットの間のデータ及びコマンド通信システムを参照し、その装置間の、今日利用可能な手段と比べて技術的により効率的且つ低コストのデータ交換を提供することを目的とする。
【0003】
加えて、本発明は、ここで説明されるシステムを用いる、冷却システム用に設計されたコンプレッサ及び電子サーモスタットの間のデータ通信方法を参照する。
【0004】
本発明は、本発明で規定されるようなデータ通信システムを特に有する冷却器も開示する。
【背景技術】
【0005】
今日、効率に関する最も厳しい要求を満たすために、国産及び商用の冷却システムは、可変能力コンプレッサを用いる選択肢を有する。可変能力コンプレッサは、その名前が示すように、システムの要求に従って、冷却ガス(即ち、流量)のポンピング速度を変化させることにより、冷却能力の調節を可能とする。
【0006】
可変能力コンプレッサ(VCC)は、周波数インバータと呼ばれる電子制御ユニットを有する。多くの場合に、周波数インバータは、電子サーモスタットとして知られる、冷却システムの電子温度制御と、情報交換を行う。
【0007】
インバータは、例えば、電子サーモスタットに、コンプレッサ及び測定される大きさ(magnitude)の現在の状態を通知してもよい。さらに、電子サーモスタットは、例えば、冷却システムの必要に従って、コンプレッサ内のモータの回転を調節するために、インバータにコマンド信号を送信し、冷却器内から環境外により多い又は少ない熱を提供できる。モータの回転の変化は、システム内の冷却ガスの流量の変化を提供し、コンプレッサの可変冷却能力の実行可能性(viability)を保証する。
【0008】
電子サーモスタット及び周波数インバータの配置に関し、電子サーモスタット及びインバータの間の情報交換を行うために用いられる基本配置(第1の配置)、及び例えば、コンプレッサをオンする又は望ましい回転で動作させるコマンド信号を送信するために、単にサーモスタットから周波数インバータに情報を送信するために用いられる他の二つの基本配置(第2及び第3の配置)が存在する。
【0009】
示される第1の配置では、情報交換は、この目的のための排他的物理的手段により行われ、例えば、三つのワイヤを用いるシリアルの種類のもの(of the serial kind with three wires)でもよい。
【0010】
信号中継が(電子サーモスタットから周波数インバータへの)一方向である基本配置のうち、示される第2の配置では、電子サーモスタットは、周波数インバータに、モータの回転が何であるべきかを通知し、従って、インバータは、与えられる回転又は速度の基準に従う要素として動作する。
【0011】
所謂第3の配置では、電子サーモスタットは、周波数インバータに、コンプレッサが動作すべき及び動作を停止すべき時点を通知するだけである。この最後の配置では、インバータは、コンプレッサのエネルギ要求の実績に基づいて、コンプレッサのモータの回転を規定する要素である。従って、最後(第3)の配置では、サーモスタットからの信号は、ただ二つのレベル(オン又はオフ)で回復され(resumed)、電気ネットワークに参照付けられ(referenced to)ても、参照付けられなくてもよい、低速要素(slow element)により、容易に処理され得る。
【0012】
以上に基づいて、本システム及び方法は、参照として電気ネットワーク(相(PHASE)又は中性(NEUTRAL))を用いて、電子サーモスタット及び周波数インバータの間の新しい通信配置を提供する。
【0013】
提案される配置を介して、既述の第1の配置でのような双方向通信、又は既述の第2の配置と同じ機能を有し、電子サーモスタットが周波数インバータに情報を伝送する要素である一方向通信を得ることが可能である。
【0014】
一方向通信について、第3の配置と同一のハードウェア配置を用いることが可能である。差異は、サーモスタットにより伝送される信号が、コンプレッサをオン又はオフするコマンドだけでなく、電気ネットワークの相又は中性に参照付けられる電気伝導体により伝送される、より複雑な値(基準、大きさ、コマンド等)を示す信号でもあることである。
【0015】
従って、現在の三つの基本配置のいずれでも用いられる単一電子サーモスタットモデルを有し、加えて、同じケーブルで、通信チャネルと共に、電子サーモスタット(電気ネットワークの相及び中性)への電気エネルギ伝送の実行可能性を保証し、従って、電子サーモスタット及び周波数インバータ内の接続だけを行うことが可能であるので、冷却器の製造業者は、コストを削減することが可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の第1の目的は、参照として交流電圧電気ネットワークを用いるハードウェア配置を介して、電子サーモスタットと可変能力コンプレッサの周波数インバータとの間のデータ通信システムを提案することである。
【0017】
本発明の第2の目的は、電子サーモスタットと可変能力コンプレッサの周波数インバータとの間のケーブルの数を削減することである。
【0018】
本発明の追加の目的は、冷却システムの製造業者のために、ここで提案される通信システムの組み立てに関連するコストを削減し、サーモスタット及びインバータの間の接続の数を削減し、加えて、在庫品(二つのケーブルから一つに)、及び第2のケーブルを収容するのに必要な他の可能な部品を削減することである。
【0019】
加えて、本発明の別の目的は、電子サーモスタット及びインバータの間で、絶縁された電子サーモスタットを有する冷却システム内のコマンドケーブルと比べて絶縁特性への要求が少ない、単一ケーブルの使用を可能とすることである。
【0020】
最後に、本発明の追加の目的は、より複雑なコマンド情報(コマンドワード)の交換等の、今日存在する通信機能を実現できる同じハードウェアの使用、又は単純なオン/オフコマンドの使用を可能とする電子サーモスタット及び周波数インバータの間の通信の形式を提案し、最新技術において今日利用可能な異なる電子制御モデルの維持に関連するコストを削減することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の目的を達成する方法は、冷却システム用の可変能力コンプレッサ及び電子サーモスタットの間のデータ通信システムであって、コンプレッサは、少なくとも、コンプレッサの電気モータに電気的に関連付けられる周波数インバータユニットを含み、電子サーモスタットは、周波数インバータユニットに電気的に関連付けられ、電子サーモスタット及び周波数インバータユニットは、交流電圧源により電力を供給され、データ通信システムは、サーモスタット及びインバータユニットの間のデータ交換を実現するために配置される、電子サーモスタット及びインバータユニットの間のデータ通信単一ハイウェイを含み、サーモスタット及びインバータユニットの間のデータ交換は、交流電圧源の電気的大きさ(electrical magnitude)の変調により提供され、交流電圧源の電気的大きさの変調は、変調情報信号を設定でき、サーモスタット及びインバータユニットの間のデータ交換は、変調情報信号の復調により提供される、データ通信システムを介する。
【0022】
本発明の目的を達成する第2の方法は、冷却システム用の可変能力コンプレッサ及び電子サーモスタットの間のデータ通信システムであって、コンプレッサは、少なくとも、コンプレッサの電気モータに電気的に関連付けられる周波数インバータユニットを含み、電子サーモスタットは、周波数インバータユニットに電気的に関連付けられ、電子サーモスタット及び周波数インバータユニットは、交流電圧源により電力を供給され、データ通信システムは、サーモスタット及びインバータユニットの間のデータ交換を実現するために配置され、第1の電気的接続点(electrical connection point)を介して電子サーモスタットに接続され、第2の電気的接続点を介してインバータユニットに接続されるデータ通信単一ハイウェイと、第1の末端で第1の電気的接続点に電気的に関連付けられ、第1の末端の反対側の末端で交流電圧源の第1の端子に電気的に関連付けられるインバータ通信ブランチを少なくとも有するインバータユニットと、第1の末端で第2の電気的接続点に電気的に関連付けられ、第1の末端の反対側の末端で交流電圧源の第2の端子に電気的に関連付けられるサーモスタット通信ブランチを少なくとも有する電子サーモスタットと、交流電圧源、インバータ通信ブランチ、データ通信単一ハイウェイ、及びサーモスタット通信ブランチの間の電気的関連により規定される電気通信回路と、を含み、サーモスタット及びインバータユニットの間のデータ交換は、変調情報信号を配置するために、交流電圧源の電気的大きさの変調により提供され、サーモスタット及びインバータユニットの間のデータ交換は、変調情報信号の復調により提供される、データ通信システムを提供することによる。
【0023】
本発明の目的を達成する第3の方法は、冷却システム用の可変能力コンプレッサ及び電子サーモスタットの間のデータ通信方法であって、コンプレッサは、少なくとも、コンプレッサの電気モータに電気的に関連付けられる周波数インバータユニットを含み、電子サーモスタットは、周波数インバータユニットに電気的に関連付けられ、電子サーモスタット及び周波数インバータユニットは、交流電圧源により電力を供給され、方法は、周波数インバータユニットに、電子サーモスタットを用いて、冷却システムの熱定値条件(thermal setpoint condition)、又は周波数インバータに関連する他の情報若しくはコマンドを、第1の通信時点に、データ通信単一ハイウェイから第1のコマンド信号を送信することにより通知するステップと、電子サーモスタットに、インバータユニットを用いて、少なくともコンプレッサの大きさの測定値又は動作条件(operating condition)を、第2の通信時点に、データ通信単一ハイウェイを用いて第2のコマンド信号を送信することにより通知するステップと、を含む、データ通信方法を提供することによる。
【0024】
最後に、本発明の目的は、ここで主張される目的で提案されるような、電子サーモスタットとコンプレッサの周波数インバータとの間のデータ通信システムを有する冷却器を提供することにより達成される。
【0025】
本発明は、添付の図面を参照し、ここでより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】冷却システム用の電子サーモスタット及び周波数インバータの間の、最新技術で通常用いられる第1の通信配置を示す。排他的物理的手段を介して、制御間の双方向通信が存在する。
図2】最新技術でのサーモスタット及びインバータ装置の間の第1の配置を示す。電子サーモスタットの制御回路が電気ネットワークから電気的に絶縁される場合を示す。
図3】冷却システム用の電子サーモスタット及び周波数インバータの間で通常用いられる第2の通信配置を示す。サーモスタットは、排他的物理的手段を介して周波数インバータに情報を送信する。
図4】冷却システム用の電子サーモスタット及び周波数インバータの間で通常用いられる第3の通信配置を示す。サーモスタットは、電力ネットワークに参照付けられる回路を介して、コンプレッサをオン又はオフにする時点を通知し、周波数インバータは、コンプレッサのモータの回転を規定する要素である。
図5】冷却システム用の電子サーモスタット及び周波数インバータの間の、本発明の目的である通信配置を示す。
図6a】電気ネットワークに参照付けられる、サーモスタットの論理回路と伝送回路との間の電気絶縁及び情報の受領に関する電子サーモスタットの二つの配置を示す。
図6b】電気ネットワークに参照付けられる、サーモスタットの論理回路と伝送回路との間の電気絶縁及び情報の受領に関する電子サーモスタットの二つの配置を示す。
図7a】安全の目的又は電気ネットワークからの障害に対する免疫の目的での電気絶縁に特に関連し、電子サーモスタットから情報を受信及び送信することに責任を負う周波数インバータ回路の二つの配置を示す。
図7b】安全の目的又は電気ネットワークからの障害に対する免疫の目的での電気絶縁に特に関連し、電子サーモスタットから情報を受信及び送信することに責任を負う周波数インバータ回路の二つの配置を示す。
図8】交流電圧ネットワークのサイクルを計数することにより、情報を伝送するために交流電圧を変調する第1の形式を示す、又は例示する。
図9】交流電圧ネットワークのサイクルにより形成される2値ワードを介して、情報を伝送するために交流電圧を変調する第2の形式を示す。
図10】電気ネットワークよりも大きな周波数での交流電圧の変調により得られる周波数信号を介して、情報を伝送するために電気ネットワークの交流電圧を変調する第3の形式を示す。
図11】参照として電気ネットワークを用いる、示される(電子サーモスタットが周波数インバータに情報を送信する)第2の配置と同じ効果を得るために、ここで提案される配置の実装を示す。
図12】参照として電気ネットワークを用いる、示される(電子サーモスタット及び周波数インバータが情報を交換する)第1の配置と同じ効果を得るために提案される配置の実装を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1〜4は、最新技術で通常用いられるデータ通信システムの実施形態を示す。
【0028】
より詳細に、図1は、冷却システム用の電子サーモスタット及びインバータユニット又は周波数インバータの間の第1の通信配置を示す。三の通信ケーブルにより形成される物理的手段を介して、制御間の双方向通信が存在する。
【0029】
図5は、電子サーモスタット200及びインバータユニット100の間のデータ通信を開発するために、本発明のために提案される配置を示す。
【0030】
本発明で提案されるような、冷却システム用の可変能力コンプレッサ及び電子サーモスタットの間のデータ通信システムは、少なくとも、コンプレッサの電気モータに電気的に関連付けられる周波数インバータユニット100を含む。
【0031】
図5は、電子サーモスタット200が周波数インバータユニット100に電気的に関連付けられ、電子サーモスタット200及び周波数インバータユニット100が交流電圧源15により電力を供給されることも示す。
【0032】
従来技術と比べて有利には、本発明は、電子サーモスタット200及び周波数インバータユニット100の間の、デバイス間のデータ交換を実現するために配置されるデータ通信単一ハイウェイ50を有する。この場合に、データ通信ハイウェイ50は、サーモスタット200及びインバータユニット100の間の効率的なデータ交換に今日利用可能な手段とは異なり、一本のデータ通信電気ケーブルにより形成される。図5は、本システムでは、一本のケーブルからなる単一接続が、通信ハイウェイと、サーモスタット200及びインバータユニット100に電力を供給できる交流電圧電源との両方を含むことも示す。
【0033】
本発明の追加の革新的な特徴は、電気ネットワークの交流電圧を変更するために、交流電圧源15の電気的大きさSnetworkの変調を参照し、例えば、図4に示される手段と比べて、電子サーモスタット200及びインバータユニット100の間の、より効率的且つ完全なデータ通信を可能とする。この手段は、電子デバイス間のオン/オフ型のただ一つのコマンドを提供し、本発明で提案されるような、データコマンド通信及び装置状態を提供しない。
【0034】
本質的に、本発明の教示に従う、サーモスタット200及びインバータユニット100の間のデータ交換は、交流電圧源15の電気的大きさSnetworkの変調により提供される。その大きさは、好ましくは、交流電圧源15から得られる電圧値Vf又は電流Ifである。
【0035】
電気的大きさSnetworkの変調は、変調情報信号Sxを設定できる。従って、電子サーモスタット200及びインバータユニット100の間のデータ交換は、変調情報信号Sxの復調により提供される。
【0036】
図5は、変調情報信号Sxが、サーモスタット200及びインバータユニット100の間の一方向モード及び双方向モードの両方でのデータ交換を提供することを示す。
【0037】
特に、双方向データ通信は、下記の二つの通信期間又は通信時点に基づいて例示され得る。
1.データ交換は、電子サーモスタット200による交流電圧源15の電気的大きさSnetworkの変調、及びインバータユニット100による変調情報信号Sxの復調のために配置される第1の通信期間T1、及び
2.インバータユニット100による交流電圧源15の電気的大きさSnetworkの変調、及び電子サーモスタット200による変調情報信号Sxの復調のために配置される第2の通信期間T2までに開始する。
【0038】
第1の通信期間T1に、電子サーモスタット200は、例えば、インバータユニット100に、電気モータの回転が何であるべきか、又はコンプレッサをオン若しくはオフにする最善の時点を通知する。
【0039】
第2の通信期間T2に、周波数インバータユニット100は、上述のように、電子サーモスタット200に、コンプレッサ及び測定される電気的大きさの現在の状態を通知してもよい。
【0040】
一方向データ通信は、電子サーモスタット200により生成される交流電圧源15の電気的大きさSnetworkの変調、及びインバータユニット100により決定される交流電圧源15の電気的大きさSnetworkの復調により発生する。
【0041】
本発明をより詳細に利用(exploit)するために、図5は、ここで提案されるデータ通信システムを構成する他の関連する特徴も示す。例えば、周波数インバータユニット100及び電子サーモスタット200のそれぞれに配置される第1及び第2のデータ通信ブロック13’、13’’の存在に留意されたい。
【0042】
電気ネットワークに参照付けられる電気通信回路、並びにサーモスタット200及びインバータユニット100の間のデータ交換を実現するために、第1のデータ通信ブロック13’は、交流電圧源15の第2の端子、好ましくは、交流電圧源15の中性端子(neutral terminal)Nに電気的に関連付けられるのに対して、第2のデータ通信ブロック13’’は、交流電圧源15の第1の端子、好ましくは、交流電圧源15の相端子(phase terminal)Fに電気的に関連付けられる。
【0043】
この形式の通信、即ち、電力ネットワークに参照付けられる通信は、電子サーモスタット200及び周波数インバータユニット100の両方について、電気絶縁手段を用いて実現される。
【0044】
図6a及び6bは、電子サーモスタット200の絶縁のためだけに設計された、二つの可能な状況を示す。特に、図6aは、サーモスタット200に配置される、電子回路3に適用される電気絶縁80の使用を示す。その回路は、共有情報を生成及び解釈する、又は単に周波数インバータユニット100に送信することに責任を負う。
【0045】
電気絶縁80は、フォトカプラ、トランス等の、異なる型の電気及び/又は電子デバイスにより形成され得る。しかしながら、図6bは、電気絶縁80を用いる必要がない配置を示す。
【0046】
そして、図7a及び7bは、周波数インバータユニット100に隣接する電気絶縁用の可能な配置を示す。図7aは、ユニット100の電子回路への電気絶縁80の適用を示すのに対して、図7bは、そのような絶縁がない装置の項目を示す。
【0047】
通常、インバータユニット100の電子回路は、交流電圧電気ネットワークから絶縁されない。しかしながら、電圧サージ、電磁雑音等の、電気ネットワークの障害が発生した場合に、読み込み/伝送の入力、又は単なるデータの読み込みが損傷を受けることを防ぐために、図7aにより示される位置に絶縁要素を用いることが普通である。
【0048】
いずれの場合にも、図7bにすでに示したように、インバータユニット100の信号受容(receptor)回路の入力/出力特性に依存して、絶縁は省略され得る。
【0049】
図8〜10は、本発明の教示に従う、電子サーモスタット200及びインバータユニット100の間のデータ交換を実現するための、電気的大きさSnetworkの変調の可能な形式を示す。
【0050】
図8は、電気ネットワーク又は交流電圧源15に参照付けられる、データ通信単一ハイウェイ50により伝送される信号が、ネットワークの周波数に関連するパルスにより基本的に形成され得ることを示す。
【0051】
この場合に、パルスの数は、サーモスタット200及びインバータユニット100の両方により、コマンド又はデータとして解釈される。サーモスタット200は、例えば、周波数インバータユニット100に、パルスの数に比例する、コンプレッサが従う回転値を送信してもよい。従って、変調情報信号Sxは、この場合に、交流電圧源15の周波数サイクルの数を計数することにより形成される。
【0052】
実装の一例として、3300RPMの回転範囲を50RPMの最小分解能(resolution)で検討し、最大回転に対してネットワークの66パルスを計数し、最小回転に対して1パルスを計数する。この推論により、最小回転より上の1000RPMの回転が、20パルスを計数することにより特定される。
【0053】
変調の別の可能な形式が、図9に示される。この場合に、システムは、”n”ビットにより形成される2値情報を生成するために、交流電圧源15の電圧、又は交流電圧源15から得られる電圧値Vfを変調するという意味で動作する。この手段では、8ビットを有するワード又は1バイトに対して、第1のビット(ビット0)は、情報を受信する制御回路により解釈されるワードの開始を示す。図9では、各ビットは、交流電圧源15の電圧サイクルにより示される。
【0054】
しかしながら、上で提案される変調の、各ビットが1サイクル以上で形成され、伝送される信号の頑健性が増大されるような変形があってもよい。従って、図9に示される変調機構に対して、変調情報信号Sxは、交流電圧源15の周波数サイクルにより形成される一組の2値ワードにより形成される。
【0055】
図10は、ここで提案される発明の目的に従う、サーモスタット200及びインバータユニット100の間のデータ通信を提供できる信号フォーマットの別の例を示す。
【0056】
この場合に、図5に示されるように、第2のデータ通信ブロック13’’は、より大きな周波数で電気ネットワークの電圧を変調できる半導体デバイスである。例えば、50Hzのネットワークでは、ネットワーク電圧のセミサイクル(semicycle)の間に、数kHzの周波数レンジを用いることが可能である。
【0057】
換言すれば、周波数インバータユニット100は、この周波数の値を読み込み、コンプレッサで適用される回転と関連付ける。さらに、値を伝送する形式として時間TONを変化させ、あるいは、図9に示されるものと同一の変調を行い、2値情報を形成することが可能である。
【0058】
従って、図10に示される変調は、変調情報信号Sxが交流電圧源15の周波数の測定値又はサイクリック比(cyclic rate)を用いて行われる(carried out)ことを示す。
【0059】
図11及び12は、一方向通信及び双方向通信のそれぞれについて設計された、本発明で提案されるデータ通信システムに対する二つの可能な実施形態を例示する。例えば、データ通信単一ハイウェイ50は、第1の電気的接続点Sx1を介して、電子サーモスタット200に接続され、第2の電気的接続点Sx2を介して、インバータユニット100に接続されることに留意すべきである。
【0060】
示される第1及び第2のデータ通信ブロック13’、13’’の各々は、少なくとも、データ通信ブランチ(data communication branch)又はデバイスを有することにも留意すべきである。
【0061】
より詳細に、インバータユニット100は、少なくとも、インバータ通信ブランチ101を有する。インバータ通信ブランチ101は、第1のインバータ(pole inverter)110で、第2の電気的接続点Sx2に電気的に関連付けられ、第1のインバータ110の反対側の第2のインバータ111で、交流電圧源15の第2の端子に電気的に関連付けられる。その端子は、好ましくは、中性端子Nである。
【0062】
一方、電子サーモスタット200は、第1のサーモスタット210で、第1の電気的接続点Sx1に電気的に関連付けられ、第1のサーモスタット210の反対側の第2のサーモスタット211で、交流電圧源15の第1の端子に電気的に関連付けられるサーモスタット通信ブランチ201を少なくとも有する。その第1の端子は、好ましくは、相端子Fである。いずれの場合にも、交流電圧源15の第1の端子は、中性端子Nにより形成され得るのに対して、同じ交流電圧源15の第2の端子は、その相端子Fからなる。
【0063】
電気通信回路は、交流電圧源15、インバータ通信ブランチ101、データ通信単一ハイウェイ50、及びサーモスタット通信ブランチ201の間の電気的関連により規定されることを明言すべきである。
【0064】
この配置では、上述のように、サーモスタット200及びインバータユニット100の間のデータ交換は、変調情報信号Sxを配置するために、交流電圧源15の電気的大きさSnetworkの変調により提供される。その通信は、変調情報信号Sxの復調によっても発生する。
【0065】
図11は、一方向データ通信について、インバータ通信ブランチ101が少なくとも電子受容デバイス2を含み、サーモスタット通信ブランチ201が少なくとも電子伝送(transmitter)デバイス1を含むことを示す。
【0066】
そして、図12は、双方向通信において、インバータ通信ブランチ101及びサーモスタット通信ブランチ201の各々が、少なくとも、電子伝送デバイス1と、電子受容デバイス2とを含むことをより詳細に示す。
【0067】
本発明では、電気的大きさSnetworkの変調は、好ましくは、電子伝送デバイス1を介して行われ、変調情報信号Sxの復調は、受容デバイス2を介して行われる。
【0068】
さらに好ましくは、電子伝送デバイス1は、それぞれの制御回路のデータ出力により実現される信号に従って電気的大きさSnetworkを変調できる、絶縁又は非絶縁の電子部品又は電子回路である。また、電子受容デバイス2は、それぞれの制御回路によるデータの正しい解釈のために、変調された大きさSnetworkを調節できる、絶縁又は非絶縁の電子部品又は電子回路である。そのデバイスは、それぞれの電子制御回路により命令を受ける。
【0069】
本発明の教示に従う、双方向データ通信は、同時に行われないことに言及すべきである。即ち、電子サーモスタット200が周波数インバータユニット100に情報を送信するときに、サーモスタットに存在する電子伝送デバイスは、インバータユニット100に配置される受容デバイス2が変調情報信号Sxの後の復調のために変調情報を受信するのと同時に変調される。これにより、データ通信単一ハイウェイ50の使用が可能となる。
【0070】
図11及び12に示される手段は、好ましくは、安全上の理由により、及びネットワークからの潜在的雑音障害によるシステムの汚染を防ぐために、交流電圧源15の電気絶縁を考慮する。しかしながら、図6a、6b、7a、及び7bに示されるように、他のハードウェア手段が、絶縁なしで用いられてもよい。
【0071】
上述の手段により、本発明の目的は、データ通信50の単一ハイウェイ又はケーブルにより電気的に関連付けられる電子サーモスタット200及びインバータユニット100を用いて達成される。そのデバイスは、交流電圧源15に参照付けられ、電力ネットワークの電圧を変調できる。これにより、今日知られており且つ冷却装置に適用される技術と比べて、ここで提案されるシステム用の単純且つ効率的なデータ交換を実現する。
【0072】
加えて、本発明は、PLC型の通信手段と異なり、低周波数で、電子サーモスタット200及び周波数インバータユニット100の間のデータ通信システムを使用する。これにより、本手段が低コストのハードウェアを用いてその目的を達成することを可能とする。
【0073】
本発明は、電子サーモスタット200及び周波数インバータユニット100の両方により、電力ネットワーク又は交流電圧源15及びデータ通信ハイウェイとの単一電気的接続を提供することを指摘することも重要である。
【0074】
本発明は、冷却システム用の可変能力コンプレッサ及び電子サーモスタットの間のデータ通信方法も提供する。そのコンプレッサは、少なくとも、電気モータに電気的に関連付けられる周波数インバータユニット100を有する。
【0075】
電子サーモスタット200は、周波数インバータユニット100に電気的に関連付けられる。そのデバイスは、交流電圧源15により電力を供給される。ここで提案される方法は、周波数インバータユニット100に、電子サーモスタット200を用いて、冷却システム20の熱定値条件、又は周波数インバータに関連する他の情報若しくはコマンドを、第1の通信時点t10に、データ通信単一ハイウェイ50から変調情報信号Sxを送信することにより通知するステップと、電子サーモスタット200に、インバータユニット100を用いて、少なくともコンプレッサの大きさの測定値又は動作条件を、第2の通信時点t20に、変調情報信号Sxを送信することにより、データ通信単一ハイウェイ50を用いて通知するステップと、を含む。
【0076】
最後に、本発明は、ここで提案される目的で規定されるような、可変能力コンプレッサ及び電子サーモスタットの間のデータ通信システムを少なくとも有する冷却器を提供する。
【0077】
好ましい実施形態の一例を説明したが、本発明の範囲は、他の可能な変形を包含し、添付の特許請求の範囲の内容によってのみ限定され、それには潜在的均等物が含まれることを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図8
図9
図10
図11
図12