(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5782144
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】液晶パララックスバリア、表示装置及び液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20150907BHJP
G02F 1/1343 20060101ALI20150907BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20150907BHJP
G02B 27/22 20060101ALI20150907BHJP
H04N 13/04 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1343
G02F1/1333
G02B27/22
H04N13/04 090
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-15292(P2014-15292)
(22)【出願日】2014年1月30日
(62)【分割の表示】特願2009-159206(P2009-159206)の分割
【原出願日】2009年7月3日
(65)【公開番号】特開2014-132347(P2014-132347A)
(43)【公開日】2014年7月17日
【審査請求日】2014年1月30日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(73)【特許権者】
【識別番号】506087819
【氏名又は名称】パナソニック液晶ディスプレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大和久 芳治
(72)【発明者】
【氏名】宮沢 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】近藤 裕則
【審査官】
佐藤 洋允
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−009081(JP,A)
【文献】
特開平07−072491(JP,A)
【文献】
特開平10−149114(JP,A)
【文献】
特開2007−156390(JP,A)
【文献】
特開2008−083114(JP,A)
【文献】
特開2007−293270(JP,A)
【文献】
特開2005−134663(JP,A)
【文献】
特開2006−308864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/13
G02F1/1333
G02F1/1343−1/1345
G02B27/22
H04N13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶分子の配向を制御することにより、3次元表示を行うためのパララックスバリアを形成する液晶パララックスバリアであって、
互いに平行に設置された第1の基板及び第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に封止された液晶と、
前記第1の基板に配置された複数の電極と、を備え、
前記第2の基板には、電極が形成されず、
前記複数の電極は、第1電極と第2電極とを含み、
前記第1電極は分岐し、前記分岐の末端を有する複数の第1の枝部を有し、
前記第1電極と前記第2電極とに、互いに異なる電圧が印加されることにより前記第1電極と前記第2電極との間に生ずる電界によって、前記液晶を配向させパララックスバリアを形成し、
前記第1電極と前記第2電極とは、同一平面上に形成され、
前記第2電極の各々は、分岐し、前記分岐の末端を有する複数の第2の枝部を有し、
前記第1の枝部の各々が2つの前記第2の枝部の間に入るように、交互に配置される、
ことを特徴とする液晶パララックスバリア。
【請求項2】
前記第1の枝部の各々が互いに隣接する2つの前記第2の枝部の間に入るように、交互に配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の液晶パララックスバリア。
【請求項3】
前記第1の枝部と前記第2の枝部は屈曲している、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液晶パララックスバリア。
【請求項4】
液晶分子の配向を制御することにより、3次元表示を行うためのパララックスバリアを形成する液晶パララックスバリアであって、
互いに平行に設置された第1の基板及び第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に封止された液晶と、
前記第1の基板に配置された複数の電極と、を備え、
前記第2の基板には、電極が形成されず、
前記複数の電極は、第1電極と第2電極とを含み、
前記第1電極は分岐し、前記分岐の末端を有する複数の第1の枝部を有し、
前記第1電極と前記第2電極とに、互いに異なる電圧が印加されることにより前記第1電極と前記第2電極との間に生ずる電界によって、前記液晶を配向させパララックスバリアを形成し、
前記第2電極は、前記第1電極と異なる平面上に形成されると共に、矩形の平面を有し、
前記第1の枝部は、前記矩形の平面の一辺が延びる方向に、前記矩形の平面を横切って延びている、ことを特徴とする液晶パララックスバリア。
【請求項5】
液晶分子の配向を制御することにより、3次元表示を行うためのパララックスバリアを形成する液晶パララックスバリアであって、
互いに平行に設置された第1の基板及び第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に封止された液晶と、
前記第1の基板に配置された複数の電極と、を備え、
前記第2の基板には、電極が形成されず、
前記複数の電極は、第1電極と第2電極とを含み、
前記第1電極は分岐し、前記分岐の末端を有する複数の第1の枝部を有し、
前記第1電極と前記第2電極とに、互いに異なる電圧が印加されることにより前記第1電極と前記第2電極との間に生ずる電界によって、前記液晶を配向させパララックスバリアを形成し、
分岐し、前記分岐の末端を有する複数の第3の枝部を有する第3電極を備え、
前記第1電極、前記第2電極、及び前記第3電極は、互いに異なる平面上に形成され、
前記第2電極は矩形の平面を有し、
前記第1の枝部は、前記矩形の平面の第1辺が延びる第1の方向に、前記矩形の平面を横切って延び、
前記第3の枝部は、前記第1の方向と交差する第2の方向に、矩形の平面を横切って延びている、ことを特徴とする液晶パララックスバリア。
【請求項6】
前記第1電極には第1の電位が印加され、且つ前記第2電極には前記第1の電位とは異なる第2の電位が印加されることによって第1のパララックスバリアを形成し、
前記第3電極には前記第2の電位とは異なる第3の電位が印加され、且つ前記第2電極には前記第2の電位が印加されることによって第2のパララックスバリアを形成し、
第1のパララックスバリアの形成と前記第2のパララックスバリアの形成とは、切り替え可能なことを特徴とする請求項5に記載の液晶パララックスバリア。
【請求項7】
液晶分子の配向を制御することにより、3次元表示を行うためのパララックスバリアを形成する液晶パララックスバリアであって、
互いに平行に設置された第1の基板及び第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に封止された液晶と、
前記第1の基板に配置された複数の電極と、を備え、
前記第2の基板には、電極が形成されず、
前記複数の電極は、第1電極と第2電極とを含み、
前記第1電極は分岐し、前記分岐の末端を有する複数の第1の枝部を有し、
前記第1電極と前記第2電極とに、互いに異なる電圧が印加されることにより前記第1電極と前記第2電極との間に生ずる電界によって、前記液晶を配向させパララックスバリアを形成し、
前記第1電極と同一平面上に形成された第3電極と、前記第2電極と同一平面上に形成された第4電極と、を備え、
前記第1電極及び前記第3電極は、前記第2電極及び前記第4電極とは異なる平面状に形成され、
前記第2電極は分岐し、前記分岐の末端を有すると共に前記第1の枝部が延びる方向とは異なる方向に延びる複数の第2の枝部を有し、
前記第3電極は分岐し、前記分岐の末端を有すると共に前記第1の枝部が延びる方向と平行で、異なる向きに延びる複数の第3の枝部を有し、
前記第4電極は分岐し、前記分岐の末端を有すると共に前記第2の枝部が延びる方向と平行で、異なる向きに延びる複数の第4の枝部を有し、
前記第1の枝部は、2つの前記第3の枝部の間に入るように延び、
前記第2の枝部は、2つの前記第4の枝部の間に入るように延び、
前記第1電極及び前記第2電極のうち、一方の電極の前記分岐の末端を有する枝部は、他方の電極の前記分岐の末端を有する2つの枝部の間に入るように延びている、ことを特徴とする液晶パララックスバリア。
【請求項8】
前記第1電極には第1の電位が印加され、且つ前記第2電極と前記第4電極とには前記第1の電位とは異なる第2の電位が印加されることによって第1のパララックスバリアを形成し、
前記第2電極には第3の電位が印加され、且つ前記第1電極と前記第3電極とには前記第3の電位とは異なる第4の電位が印加されることによって第2のパララックスバリアを形成し、
第1のパララックスバリアの形成と前記第2のパララックスバリアの形成とは、切り替え可能なことを特徴とする請求項7に記載の液晶パララックスバリア。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の液晶パララックスバリアと、前記液晶パララックスバリアと平行に表示面が配置された表示部と、を備える表示装置。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載の液晶パララックスバリアと、前記液晶パララックスバリアと平行に配置された液晶パネルと、前記液晶パネル及び前記液晶パララックスバリアに対して光を照射するバックライトと、を備える液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パララックスバリア、表示装置及び液晶表示装置に係り、より詳しくは、液晶分子の配向を制御することにより、3次元表示を行うためのパララックスバリアを形成する液晶パララックスバリア、その液晶パララックスバリアを利用した表示装置及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、メガネを使用しない3次元画像の表示方式のひとつとして、パララックスバリア方式が知られている。パララックスバリア方式とは、パララックスバリアと呼ばれる、複数の縦方向の細かいスリットが入った板の後方に、右眼からの視野の画像と、左眼からの視野の画像とを縦に短冊状に切り取って交互に並べた画像を設置し、その画像をパララックスバリアを介して観察することにより、3次元の画像を表示する方式である。
【0003】
特許文献1には、このパララックスバリアを液晶を用いた装置(以下、「液晶パララックスバリア」という。)により構成することにより、2次元画像及び3次元画像の両方を表示可能とした液晶表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−119889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の表示装置のような、2次元画像と3次元画像とを一の表示装置により表示可能とした表示装置は有用ではあるが、このような表示装置においても、3次元画像が表示される機会よりも、2次元画像が表示される機会が極めて多いため、3次元画像の表示機能を有する表示装置を特に望まない利用者も多い。しかしながら、より多くの機会に3次元画像が利用されるには、このような2次元画像と3次元画像とを一の表示装置により表示可能とした表示装置がより多くの利用者に利用されている必要があり、3次元画像の利用機会を多くするためにも、より安価にこのような表示装置が提供されることが望まれている。
【0006】
本発明は上述の事情に鑑みてされたものであり、液晶パララックスバリアをより安価に製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の液晶パララックスバリアは、液晶分子の配向を制御することにより、3次元表示を行うためのパララックスバリアを形成する液晶パララックスバリアであって、互いに平行に設置された第1の基板及び第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に封止された液晶と、前記第1の基板に配置された複数の電極と、を備え、前記第2の基板には、電極が形成されず、前記複数の電極は、第1電極と第2電極とを含み、前記第1電極は分岐し、前記分岐の末端を有する複数の第1の枝部を有し、前記第1電極と前記第2電極とに、互いに異なる電圧が印加されることにより生ずる電界によって、前記液晶を配向させパララックスバリアを形成する、ことを特徴とする液晶パララックスバリアである。
【0008】
また、本発明の液晶パララックスバリアにおいて、前記第1電極と前記第2電極とは、同一平面上に形成され、前記第2電極の各々は、分岐し、前記分岐の末端を有する複数の第2の枝部を有し、前記第1の枝部の各々が2つの前記第2の枝部の間に入るように、交互に配置されていてもよい。
【0009】
また、本発明の液晶パララックスバリアにおいて、前記第1の枝部の各々が互いに隣接する2つの前記第2の枝部の間に入るように、交互に配置されていてもよい。
【0010】
また、本発明の液晶パララックスバリアにおいて、前記第1の枝部と前記第2の枝部は屈曲していてもよい。
【0011】
また、本発明の液晶パララックスバリアにおいて、前記第2電極は、前記第1電極と異なる平面上に形成されると共に、矩形の平面を有し、前記第1の枝部は、前記矩形の平面の一辺が延びる方向に、前記矩形の平面を横切って延びていてもよい。
【0012】
また、本発明の液晶パララックスバリアにおいて、分岐し、前記分岐の末端を有する複数の第3の枝部を有する第3電極を備え、前記第1電極、前記第2電極、及び前記第3電極は、互いに異なる平面上に形成され、前記第2電極は矩形の平面を有し、前記第1の枝部は、前記矩形の平面の第1辺が延びる第1の方向に、前記矩形の平面を横切って延び、前記第3の枝部は、前記第1の方向と交差する第2の方向に、矩形の平面を横切って延びていてもよい。
【0013】
また、本発明の液晶パララックスバリアにおいて、前記第1電極には第1の電位が印加され、且つ前記第2電極には前記第1の電位とは異なる第2の電位が印加されることによって第1のパララックスバリアを形成し、前記第3電極には前記第2の電位とは異なる第3の電位が印加され、且つ前記第2電極には前記第2の電位が印加されることによって第2のパララックスバリアを形成し、第1のパララックスバリアの形成と前記第2のパララックスバリアの形成とは、切り替え可能であってもよい。
【0014】
また、本発明の液晶パララックスバリアにおいて、前記第1電極と同一平面上に形成された第3電極と、前記第2電極と同一平面上に形成された第4電極と、を備え、前記第1電極及び前記第3電極は、前記第2電極及び前記第4電極とは異なる平面状に形成され、前記第2電極は分岐し、前記分岐の末端を有すると共に前記第1の枝部が延びる方向とは異なる方向に延びる複数の第2の枝部を有し、前記第3電極は分岐し、前記分岐の末端を有すると共に前記第1の枝部が延びる方向と平行で、異なる向きに延びる複数の第3の枝部を有し、前記第4電極は分岐し、前記分岐の末端を有すると共に前記第2の枝部が延びる方向と平行で、異なる向きに延びる複数の第4の枝部を有し、前記第1の枝部は、2つの前記第3の枝部の間に入るように延び、前記第2の枝部は、2つの前記第4の枝部の間に入るように延び、前記第1電極及び前記第2電極のうち、一方の電極の前記分岐の末端を有する枝部は、他方の電極の前記分岐の末端を有する2つの枝部の間に入るように延びていてもよい。
【0015】
また、本発明の液晶パララックスバリアにおいて、前記第1電極には第1の電位が印加され、且つ前記第2電極と前記第4電極とには前記第1の電位とは異なる第2の電位が印加されることによって第1のパララックスバリアを形成し、前記第2電極には第3の電位が印加され、且つ前記第1電極と前記第3電極とには前記第3の電位とは異なる第4の電位が印加されることによって第2のパララックスバリアを形成し、第1のパララックスバリアの形成と前記第2のパララックスバリアの形成とは、切り替え可能であってもよい。
【0016】
本発明の表示装置は、上述に記載の液晶パララックスバリアのうちのいずれかの液晶パララックスバリアと、前記液晶パララックスバリアと平行に表示面が配置された表示部と、を備える表示装置である。
【0017】
また、本発明の液晶表示装置は、上述に記載の液晶パララックスバリアのうちのいずれかの液晶パララックスバリアと、前記液晶パララックスバリアと平行に配置された液晶パネルと、前記液晶パネル及び前記液晶パララックスバリアに対して光を照射するバックライトと、を備える液晶表示装置である。
【0018】
本発明の液晶パララックスバリアは、液晶分子の配向を制御することにより、3次元表示を行うためのパララックスバリアを形成する液晶パララックスバリアであって、互いに平行に設置された2つのガラス基板と、前記2つのガラス基板の間に封止された液晶と、前記液晶の分子配向を制御するための複数の電極と、を備え、前記複数の電極は、前記2つのガラス基板のうちの一方のガラス基板にのみ配置され、前記複数の電極のうち、一の電極に他の電極とは異なる電圧を印加することにより、パララックスバリアを形成する、ことを特徴とする液晶パララックスバリアである。
【0019】
また、本発明の液晶パララックスバリアは、前記複数の電極は、同一平面上にある第1電極及び第2電極であり、前記第1電極及び前記第2電極の各々は、分岐し、前記第1電極及び前記第2電極のうち、一方の電極の前記分岐の末端を有する枝部は、他方の電極の前記分岐の末端を有する2つの枝部の間に入るように、交互に配置される、とすることができる。
【0020】
また、本発明の液晶パララックスバリアは、前記分岐の末端を有する枝部は屈曲している、とすることができる。
【0021】
また、本発明の液晶パララックスバリアは、前記複数の電極は、互いに異なる平面上にある、第1電極及び第2電極であり、前記第1電極は、矩形の平面を形成し、前記第2電極は、分岐し、前記分岐の末端を有する複数の枝部は、前記矩形の平面の一辺と平行に、前記矩形の平面を横切るように延びている、とすることができる。
【0022】
また、本発明の液晶パララックスバリアは、前記複数の電極は、互いに異なる平面上にある、第1電極、第2電極及び第3電極であり、前記第1電極は、矩形の平面を形成し、前記第2電極は、分岐し、前記分岐の末端を有する複数の枝部は、前記矩形の平面の一辺と平行に、前記矩形の平面を横切るように延び、前記第3電極は、分岐し、前記分岐の末端を有する複数の枝部は、前記第2電極の前記複数の枝部とは垂直に、前記矩形の平面を横切るように延びている、とすることができる。
【0023】
また、本発明の液晶パララックスバリアは、前記複数の電極は、同一平面上にある第1電極及び第2電極、並びに、前記第1電極及び前記第2電極のある平面とは異なる平面で、同一平面上にある第3電極及び第4電極であり、前記第1電極は、分岐し、前記分岐の末端を有する複数の枝部は、一方向に延び、前記第2電極は、分岐し、前記分岐の末端を有する複数の枝部は、前記一方向と平行で、異なる向きに延び、前記第1電極及び前記第2電極のうち、一方の電極の前記分岐の末端を有する枝部は、他方の電極の前記分岐の末端を有する2つの枝部の間に入るように延び、前記第3電極は、分岐し、前記分岐の末端を有する複数の枝部は、前記一方向と異なる方向に延び、前記第4電極は、分岐し、前記分岐の末端を有する複数の枝部は、前記一方向と異なる方向と平行で、異なる向きに延び、前記第3電極及び前記第4電極のうち、一方の電極の前記分岐の末端を有する枝部は、他方の電極の前記分岐の末端を有する2つの枝部の間に入るように延びている、とすることができる。
【0024】
本発明の表示装置は、上述の液晶パララックスバリアのうちのいずれかの液晶パララックスバリアと、前記液晶パララックスバリアと平行に表示面が配置された表示部と、を備える表示装置である。
【0025】
本発明の液晶表示装置は、上述の液晶パララックスバリアのうちのいずれかの液晶パララックスバリアと、前記液晶パララックスバリアと平行に配置された液晶パネルと、前記液晶パネル及び前記液晶パララックスバリアに対して光を照射するバックライトと、を備える液晶表示装置である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置を概略的に示す図である。
【
図2】
図1の液晶モジュールの構成を示す図である。
【
図3】
図2の電極基板の電極の配置を概略的に示す図である。
【
図4】
図3の電極基板の線A−Aの位置における液晶パララックスバリアパネルの断面を示す図である。
【
図5】第1電極に所定の電圧が印加された際の表示領域の様子を示す図である。
【
図6】第1実施形態の変形例である電極基板の電極の配置を概略的に示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置における、液晶パラバックスバリアの電極基板の電極の配置を概略的に示す図である。
【
図8】
図7の電極基板の線B−Bの位置における液晶パララックスバリアパネルの断面を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置における、液晶パラバックスバリアの電極基板の電極の配置を概略的に示す図である。
【
図10】
図9の電極基板の線C−Cの位置における液晶パララックスバリアパネルの断面を示す図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置における、液晶モジュールの構成を示す図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置における、液晶モジュールの構成を示す図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係るプラズマ表示装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の第1実施形態乃至第6実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面において、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0028】
[第1実施形態]
図1には、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置100が概略的に示されている。この図に示されるように、液晶表示装置100は、上フレーム110及び下フレーム120に挟まれるように固定された液晶モジュール130、及び不図示の電源装置等から構成されている。液晶表示装置全体を液晶モジュールと称することもある。
【0029】
図2には、液晶モジュール130の構成が示されている。液晶モジュール130は、後述する画素電極に電圧を印加することにより、スリットの入ったパララックスバリアとして機能する液晶パララックスバリアパネル200と、映像信号が入力されることにより、映像信号の画像に応じた光を透過させる液晶パネル131と、液晶パネル131及び液晶パララックスバリアパネル200に光を照射して液晶表示面に画像を表示させるバックライト132と、から構成されている。バックライト132は、例えば、冷陰極管(CFL
)や発光ダイオード(LED)からなる光源と、反射シートや拡散シート等からなる光学シートと、導光板等で構成されている。ここで、液晶パララックスバリアパネル200は、電極を有する電極基板210と、不図示の液晶組成物と、液晶組成物を電極基板210との間で封止する封止基板204と、を有している。尚、液晶表示装置全体を液晶モジュールと称することもあるが、本明細書においては上記で説明した
図2に示す構成を液晶モジュールと称する。
【0030】
図3には、電極基板210の電極の配置が概略的に示されている。
図3に示されるように、電極基板210は、それぞれ複数の段階で分岐した第1電極211と第2電極212とを備えており、これらの電極のうち、表示領域215において、一方の電極の分岐の末端を有する枝部は、他方の電極の分岐の2つの末端を有する2つの枝部の間に入るように、交互に配置されている。第1電極211及び第2電極212は、パララックスバリアのスリットを形成しないときは、同一の電位を有しており、パララックスバリアのスリットを形成する際には、第1電極211に前記同一の電位とは異なる所定の電圧が印加される。なお、
図3では、図が煩雑になるのを避けるため、スリットの数を減らし、簡略化して示している。
【0031】
図4には、
図3の電極基板210の線A−Aの位置における液晶パララックスバリアパネル200の断面図が示されている。
図4に示されるように、液晶パララックスバリアパネル200は、電極基板210、液晶層202、及び封止基板204が順に重ねられた構造を有している。電極基板210は、ガラス基板216と、第1電極211(枝部a)と、第1電極211と同一層に配置された第2電極212(枝部b)と、第1電極211に電圧が印加されていないときに液晶組成物の分子を所定の方向に配向させる配向膜217とを有している。一方、封止基板204は、配向膜206と、ガラス基板207と、偏光板208とを有しているが、電極は配置されていない。
【0032】
液晶パララックスバリアパネル200は、第1電極211に所定の電圧が印加されると、第1電極211の末端の有する枝部aと、第2電極212の末端の有する枝部bとの間に電界を形成する。そして、この電界が、これらの枝部a,bの上層にある液晶組成物の分子の配向を変え、バックライト132からの光を遮ることにより、スリットを形成し、パララックスバリアとして機能する。
図5には、第1電極211に所定の電圧が印加された際の表示領域215の様子が示されている。黒い部分はバックライト132からの光が遮られる部分を示している。
【0033】
したがって、第1実施形態の液晶パララックスバリアパネル200では、電極を片方の基板にのみ設けているため、より安価に液晶パララックスバリアパネル及びこれを使用した液晶表示装置を製造することができる。
【0034】
図6には、第1実施形態の変形例である電極基板250の電極の配置が概略的に示されている。電極基板250は、上述の第1実施形態と同様に、それぞれ複数の段階で分岐した第1電極251と第2電極252とを備えており、これらの電極のうち、表示領域215において、一方の電極の分岐の末端を有する枝部は、他方の電極の前記分岐の末端を有する2つの枝部の間に入るように、交互に配置されている。本変形例では、第1電極251の分岐の末端を有する枝部c及び第2電極252の分岐の末端を有する枝部dは、途中で折り曲げられ、斜めに伸びる形状をしている。この電極の形状は、スリットを形成した際の遮光の品質を向上するためのものであり、偏光膜の偏光方向や配向膜のラビング方向等の影響を考慮して、適切な形状を定めることができる。
【0035】
したがって、この第1実施形態の変形例の電極基板250を使用した液晶パララックスバリアにおいても、電極を片方の基板にのみ設けているため、より安価に液晶パララックスバリアパネル及びこれを使用した液晶表示装置を製造することができる。
【0036】
[第2実施形態]
図7には、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置における、液晶パラバックスバリアの電極基板310の電極の配置が概略的に示されている。なお、この電極基板310が使用される液晶表示装置の構成は、第1実施形態における
図1の液晶表示装置100の構成及び
図2の液晶モジュール130の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0037】
図7に示されるように、電極基板310は、分岐の末端を有する枝部eが図面の横方向に伸びる第1電極311と、分岐の末端を有する枝部fが図面の縦方向に延びる第2電極312と、表示領域面全体に広がる第3電極313とを備えており、各電極は異なる層に配置されている。第1電極311、第2電極312及び第3電極313は、パララックスバリアのスリットを形成しないときは、同一の電位を有しており、横方向のスリットを形成する際には第1電極311のみに所定の電圧を印加し、第1電極311と第3電極313との間に電界を形成させる。また、縦方向のスリットを形成する際には第2電極312のみに所定の電圧を印加し、第2電極312と第3電極313との間に電界を形成させる。なお、
図7では、図が煩雑になるのを避けるため、スリットの数を減らし、簡略化して示している。
【0038】
図8には、
図7の電極基板310の線B−Bの位置における液晶パララックスバリアパネル300の断面図が示されている。
図8に示されるように、液晶パララックスバリアパネル300は、電極基板310を除いて、第1実施形態と同様の構成となっている。電極基板310は、ガラス基板216と、第1電極311(枝部e)と、第1電極311と異なる層に配置された第2電極312(枝部f)と、第1電極311及び第2電極312の両方と異なる層に配置された第3電極313と、第1電極311、第2電極312及び第3電極313を互いに絶縁する絶縁層305と、第1電極311又は第2電極312に電圧が印加されていないときに液晶組成物の分子の配向させる配向膜217とを有している。
【0039】
液晶パララックスバリアパネル300は、第1電極311に所定の電圧が印加されると、第1電極311の横方向に延びる枝部eと、第3電極313との間に電界を形成する。そして、この電界が、これらの枝部e,fの上層にある液晶組成物の分子の配向を変え、バックライト132からの光を遮ることにより、横方向スリットを形成し、パララックスバリアとして機能する。また、第2電極312に所定の電圧が印加されると、第2電極312の縦方向に延びる枝部fと、第3電極313との間に電界を形成する。そして、この電界が、これらの枝部e,fの上層にある液晶組成物の分子配向を変え、バックライト132からの光を遮ることにより、縦方向スリットを形成し、パララックスバリアとして機能する。
【0040】
なお、本実施形態では、第1電極311、第2電極312及び第3電極313の3つの電極を用いることとしたが、第1電極311及び第2電極312のいずれかが欠けている構成であっても、一方向のみのスリットを形成するパララックスバリアとして使用することができ、このような構成であってもよい。
【0041】
したがって、本実施形態の液晶パララックスバリアパネル300では、電極を片方の基板にのみ設けているため、より安価に液晶パララックスバリアパネル及びこれを使用した液晶表示装置を製造することができる。
【0042】
[第3実施形態]
図9には、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置における、液晶パラバックスバリアの電極基板410の電極の配置が概略的に示されている。なお、この電極基板410が使用される液晶表示装置の構成は、第1実施形態における
図1の液晶表示装置100の構成及び
図2の液晶モジュール130の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0043】
図9に示されるように、電極基板410は、分岐の末端を有する枝部g及び枝部hが図面の横方向に、互いに対向して伸びる第1電極411及び第2電極412と、分岐の末端を有する枝部i及び枝部jが図面の縦方向に、互いに対向して延びる第3電極413及び第4電極414とを備えており、第1電極411及び第2電極412は同一の層に配置され、第3電極413及び第4電極414は、第1電極411及び第2電極412が配置された層とは異なる層であって、同一の層に配置されている。
【0044】
第1電極411、第2電極412、第3電極413及び第4電極414は、パララックスバリアのスリットを形成しないときは、同一の電位を有しており、横方向のスリットを形成する際には第1電極411のみに所定の電圧を印加し、第1電極411と、第3電極413及び第4電極414との間に電界を形成させる。また、縦方向のスリットを形成する際には第3電極413のみに所定の電圧を印加し、第3電極413と、第1電極411及び第2電極412との間に電界を形成させる。なお、
図9では、図が煩雑になるのを避けるため、スリットの数を減らし、簡略化して示している。
【0045】
図10には、
図9の電極基板410の線C−Cの位置における液晶パララックスバリアパネル400の断面図が示されている。
図9に示されるように、液晶パララックスバリアパネル400は、電極基板410を除いて、第1実施形態と同様の構成となっている。電極基板410は、ガラス基板216と、上述したように、同一の層に形成された第1電極411(枝部g)及び第2電極412(枝部h)と、第1電極411及び第2電極412が形成された層とは異なる層であって、同一の層に形成された第3電極413(不図示)
及び第4電極414と、第1電極411及び第2電極412が形成された層と、第3電極413及び第4電極414が形成された層とを絶縁する絶縁層405と、第1電極411又は第3電極413に電圧が印加されていないときに液晶組成物の分子の配向させる配向膜217とを有している。
【0046】
液晶パララックスバリアパネル400は、第1電極411に所定の電圧が印加されると、第1電極411の横方向に延びる枝部hと、第3電極413及び第4電極414との間に電界を形成する。そして、この電界が、これらの枝部hの上層にある液晶組成物の分子の配向を変え、バックライト132からの光を遮ることにより、スリットを形成し、パララックスバリアとして機能する。また、第3電極413に所定の電圧が印加されると、第3電極413の縦方向に延びる枝部jと、第1電極411及び第2電極412との間に電界を形成する。そして、この電界が、これらの枝部jの上層にある液晶組成物の分子の配向を変え、バックライト132からの光を遮ることにより、スリットを形成し、パララックスバリアとして機能する。
【0047】
したがって、本実施形態の液晶パララックスバリアパネル400、及びこれを使用した液晶表示装置では、電極を片方の基板にのみ設けているため、より安価にこれらを製造することができる。
【0048】
[第4実施形態]
図11には、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置における、液晶モジュール150の構成が示されている。なお、この液晶モジュール150が使用される液晶表示装置の構成は、第1実施形態における
図1の液晶表示装置100の構成と同様であるため、説明を省略する。この液晶モジュール150は、液晶パララックスバリアパネル500を備えており、液晶パララックスバリアパネル500は、
図2の電極基板210と封止基板204とを入れ替えた構成である。
【0049】
このような構成であっても、スリットを形成することができる。また、第1実施形態と同様に、第4実施形態の液晶パララックスバリアパネル500においても、電極を片方の基板にのみ設けているため、より安価に液晶パララックスバリアパネル及びこれを使用した液晶表示装置を製造することができる。
【0050】
[第5実施形態]
図12には、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置における、液晶モジュール170の構成が示されている。なお、この液晶モジュール170が使用される液晶表示装置の構成は、第1実施形態における
図1の液晶表示装置100の構成と同様であるため、説明を省略する。この液晶モジュール170は、第1実施形態における液晶パララックスバリアパネル200と液晶パネル131とを入れ替えた構成をしている。このような構成であっても、スリット介した光による3次元の映像を観察することができる。また、第1実施形態と同様に、電極を片方の基板にのみ設けているため、より安価に液晶パララックスバリアパネル及びこれを使用した液晶表示装置を製造することができる。
【0051】
[第6実施形態]
図13には、本発明の一実施形態に係るプラズマ表示装置600が示されている。上述の第1実施形態の液晶パララックスバリアパネル200と、放電による発光により表示を行う公知のプラズマパネル610とにより構成されている。このような構成であっても、3次元の映像を観察することができ、また、第1実施形態と同様に、電極を片方の基板にのみ設けているため、より安価に液晶パララックスバリアパネル及びこれを使用したプラズマ表示装置を製造することができる。
【0052】
なお、上述の各実施形態においては、液晶パネル又はプラズマパネルを用いることとしたが、有機EL(Electro-luminescent)パネル、CRT(Cathode Ray Tube)等その他の表示部を用いた表示装置に適用することができる。
【0053】
また、上述の各実施形態に記載した電極の形状及び配置は、一例であり、本発明は片側の基板にのみ電極を配置した液晶パララックスバリアに適用される。
【符号の説明】
【0054】
100 液晶表示装置、110 上フレーム、120 下フレーム、130,150,
170 液晶モジュール、131 液晶パネル、132 バックライト、200,300
,400,500 液晶パララックスバリアパネル、202 液晶層、204 封止基板、206,217 配向膜、207,216 ガラス基板、208 偏光板、210,250,310,410 電極基板、211,251,311,411 第1電極、212
,252,312,412 第2電極、215 表示領域、305,405 絶縁層、313,413 第3電極、414 第4電極、600 プラズマ表示装置、610 プラズマパネル。