(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記酸化物が、鉄、コバルト、ニッケル、チタン、マンガン及び銅から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含み、且つ、ペロブスカイト構造又はスピネル構造を有する複合酸化物である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の空気電池用空気極。
導電性炭素粒子と結着材とを少なくとも含むガス拡散層をさらに有し、前記電解質層側から順に、前記触媒層と前記ガス拡散層とが積層している、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の空気電池用空気極。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の空気電池用空気極は、酸素を活物質とする空気極であって、
負極と、当該空気極及び前記負極の間に介在する電解質層と、を有する空気電池を構成し、
少なくとも電極触媒と導電材とを含有する触媒層を有し、
前記電極触媒として、少なくとも酸素還元反応に対して活性な酸化物を含み、
前記導電材として、炭化タングステン、炭化チタン及び炭化モリブデンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属炭化物を含むことを特徴とする。
【0019】
以下、本発明の空気電池用空気極及び空気電池について、図を参照しながら説明する。
図1は、本発明の空気電池用空気極を備える空気電池の一形態例を示す断面模式図である。
図1において、空気電池11は、空気極(正極)1と、負極2とが、空気極缶7及び負極缶8で構成される電池ケース内に収容されている。空気極1と負極2は、電解質層3が、空気極1と負極2との間に介在するように、積層されている。空気極缶7及び負極缶8は、ガスケット9により固定されており、空気極缶と負極缶の絶縁性が確保されている。
【0020】
空気極1は、電解質層3側から順に触媒層4とガス拡散層5とが積層した構造を有している。空気極1は、気体透過性を有しており、活物質である酸素(空気)が拡散可能である。
触媒層4は、酸素の酸化還元反応の場であり、電極触媒である酸化物(少なくとも酸素還元反応に対して活性な酸化物。例えば、La
0.7Sr
0.3CoO
3)、導電材として金属炭化物(炭化タングステン、炭化チタン、及び炭化モリブデンから選ばれる少なくとも1種)、及び結着材(例えば、ポリテトラフルオロエチレン)を含んでいる。
ガス拡散層5は、活物質である酸素(空気)を、触媒層4へ効率良く導く機能を有すると共に導電性を有するものであり、触媒層4側から順に、導電性炭素粒子と結着材とを少なくとも含む第1のガス拡散層5aと、カーボンペーパー等の気体透過性を有する多孔性の材料から構成される第2のガス拡散層5bとが積層した2層型の構造を有している。
空気極1には、該空気極1の集電行う空気極集電体6が設けられている。空気極集電体6は、気体透過性を有する導電性材料(例えば、金属メッシュ)から構成されており、空気極缶7に設けられた酸素取り込み孔10から取り込まれた酸素(空気)が、空気極集電体6を経て空気極1に供給される。空気極1では、ガス拡散層5を経て触媒層4へ酸素が供給される。
【0021】
負極2は、例えば、金属イオンを放出・取り込み可能な負極活物質(例えば、リチウム金属、亜鉛金属など)を含む。負極缶8は、負極2と接触しており、負極2の集電体として機能する。
電解質層3は、水系電解液(例えば、アルカリ水溶液)を含み、該電解液が空気極1と負極2との間に配置された絶縁性多孔質体からなるセパレータ(図示せず)に含浸されている。
【0022】
本発明者らの鋭意検討の結果、空気極の触媒層を構成する導電材として、炭化タングステン、炭化チタン及び炭化モリブデンから選ばれる少なくとも1種の金属炭化物を用いることで、空気極の酸素還元電位が高くなることが見出された。そのメカニズムは、現時点では明らかではないが次のように推測される。
すなわち、金属炭化物は、導電性炭素粒子と比べて比重が大きい。そのため、導電性炭素粒子と、少なくとも酸素還元反応に対して活性な酸化物(以下、酸化物電極触媒ということがある。)と、からなる触媒層は、さらに金属炭化物を含むことにより高密度となり、同一の厚みの触媒層において酸化物電極触媒の含有量がより高くなり、高い触媒機能が発現されるようになる。その結果、放電性能が向上すると考えられる。
一方、触媒層に導電性炭素粒子を含まないか、またはその含有量が少ない場合は、酸化物電極触媒だけでは、充分な導電性が得られないため、金属炭化物を加えることにより高い触媒機能が発現されるようになる。その結果、放電性能が向上すると考えられる。
また、導電材として、上記のような金属炭化物を用いることによって、導電性炭素のみを導電材として用いる場合と比較して、空気極の耐久性が向上するという効果も奏する。
導電性炭素と比べて、上記金属炭化物は耐酸化性に優れているからである。
さらに、金属炭化物を空気極触媒層に添加することによって、空気極触媒層が導電性炭素を含む場合、高い酸素還元電位での導電性炭素の分解が抑制される。その結果、空気極触媒層表面での電子伝導性を維持することができる。
【0023】
尚、本発明において、空気電池とは、正極活物質として酸素を用いるものであれば特に限定されない。例えば、二次電池であっても一次電池であってもよい。本発明の空気電池用空気極は、高率放電性能に優れることから、放電のみを行う一次電池及び充放電を行う二次電池のいずれにおいても放電電圧の向上という効果を得ることが可能である。
空気電池の具体例として、例えば、リチウム空気電池、ナトリウム空気電池、カリウム空気電池、マグネシウム空気電池、カルシウム空気電池、亜鉛空気電池、アルミニウム空気電池、鉄空気電池等の金属空気電池等を挙げることができる。
【0024】
以下、本発明の空気電池用空気極及び空気電池の各構成について詳しく説明する。
[空気電池用空気極]
空気極は、少なくとも電極触媒と導電材とを含む触媒層を有しており、該電極触媒として少なくとも酸素還元反応に対して活性な酸化物(酸化物電極触媒)を含み、該導電材として炭化タングステン、炭化チタン及び炭化モリブデンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属炭化物を含む。空気極は、多孔質構造を有し、活物質である酸素(空気)の拡散性が確保される。
【0025】
酸化物電極触媒としては、少なくとも酸素還元反応に対して活性を有していれば特に限定されず、例えば、立方晶系に属する酸化物等を挙げることができる。
電極触媒活性の観点から、好ましい酸化物電極触媒としては、鉄、コバルト、ニッケル、チタン、マンガン及び銅から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含み、且つ、ペロブスカイト構造又はスピネル構造を有する複合酸化物が挙げられる。
尚、複合酸化物とは、2種以上の金属元素を含む酸化物であり、上記複合酸化物としては、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、チタン、マンガン及び銅から選ばれる少なくとも1種の金属元素とその他の金属元素を含む形態、鉄、コバルト、ニッケル、チタン、マンガン及び銅から選ばれる少なくとも2種以上の金属元素を含む形態等が挙げられる。
【0026】
中でも、電極触媒活性の観点から、ペロブスカイト構造を有し、且つ、La
1−xA
xBO
3(AはSr及びCaから選ばれる少なくとも1種、BはCo、Fe及びMnから選ばれる少なくとも1種であり、xは0≦x≦1を満たす数である)で表わされる組成を有するものが好ましい。
酸化物電極触媒は1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
酸化物電極触媒は、触媒性能の発現及び電極としての加工性の観点から、粒子状であることが好ましく、特に平均粒径が、100μm以下、中でも5μm以下であることが好ましい。電極触媒の平均粒径は、例えば、レーザー回折法により測定することができる。
金属炭化物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上の組み合わせて用いてもよい。
【0028】
金属炭化物は、導電性付与効果及び加工性の観点から、粒子状であることが好ましく、特に平均粒径が、100μm以下、中でも10μm以下であることが好ましい。金属炭化物の平均粒径は、例えば、レーザー回折法により測定することができる。
【0029】
空気極触媒層において、金属炭化物の含有量は特に限定されない。しかし、空気極触媒層は、高密度になりすぎると気体透過性が低下し、酸素還元反応が円滑に進行しなくなること、また、優れた放電性能を発現するためには触媒性能と導電性とのバランスが重要であること等を考慮して、金属炭化物の含有量を設定することが好ましい。
金属炭化物として、炭化タングステンを用いる場合、高率放電性能の観点から、触媒層における炭化タングステンの割合は、該触媒層の総量に対して、20重量%以上、特に28重量%以上であることが好ましく、90重量%以下、特に71重量%以下であることが好ましい。
また、金属炭化物として、炭化チタンを用いる場合、高率放電性能の観点から、触媒層における炭化チタンの割合は、該触媒層の総量に対して、2重量%以上、特に5重量%以上であることが好ましく、90重量%以下、特に71重量%以下であることが好ましい。
また、金属炭化物として、炭化モリブデンを用いる場合、高率放電性能の観点から、触媒層における炭化モリブデンの割合は、該触媒層の総量に対して、2重量%以上、特に5重量%以上であることが好ましく、90重量%以下、特に71重量%以下であることが好ましい。
【0030】
触媒層において必須成分である酸化物電極触媒と金属炭化物との割合は、特に限定されるものではないが、酸化物電極触媒の単位面積当たりの担持量と導電性とのバランスの観点から、設定することが好ましい。具体的には、酸化物電極触媒と金属炭化物の合計量に対する金属炭化物の割合(金属炭化物の重量/酸化物電極触媒と金属炭化物の合計重量×100%)が、2重量%以上、特に5重量%以上であることが好ましく、90重量%以下、特に71重量%以下であることが好ましい。
より具体的には、金属炭化物として、炭化タングステンを用いる場合、酸化物電極触媒と炭化タングステンの合計量に対する炭化タングステンの割合が、20重量%以上、特に28重量%以上であることが好ましく、90重量%以下、特に71重量%以下であることが好ましい。
また、金属炭化物として、炭化チタンを用いる場合、酸化物電極触媒と炭化チタンの合計量に対する炭化チタンの割合が、2重量%以上、特に5重量%以上であることが好ましく、90重量%以下、特に71重量%以下であることが好ましい。
また、金属炭化物として、炭化モリブデンを用いる場合、酸化物電極触媒と炭化モリブデンの合計量に対する炭化モリブデンの割合が、2重量%以上、特に5重量%以上であることが好ましく、90重量%以下、特に71重量%以下であることが好ましい。
【0031】
本発明の空気極において、触媒層は、上記金属炭化物に加えて、その他の導電材を含有していてもよい。具体的な導電材としては、例えば、導電性炭素を挙げることができる。
導電性炭素は、触媒層における電子伝導性の確保に貢献すると共に、酸素還元反応に対して活性であり、空気電池の放電反応を促進するという機能を有している。導電性炭素としては、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラック、グラファイト、活性炭等の導電性炭素粒子、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等の導電性炭素繊維等が挙げられる。
導電性炭素は、導電性付与及び耐酸化性の観点から、比表面積が、5m
2/g以上、特に10m
2/g以上であることが好ましく、1000m
2/g以下、特に、500m
2/g以下であることが好ましい。
導電性炭素の比表面積は、例えば、窒素吸着法により測定することができる。
また、導電性炭素として導電性炭素粒子を用いる場合、その平均粒径は、20μm以下、中でも10μm以下であることが好ましい。導電性炭素粒子の平均粒径は、例えば、レーザー回折法により測定することができる。
【0032】
触媒層は、酸化物電極触媒や金属炭化物導電材の固定化や触媒層の成形性等の観点から、通常、結着材を含有することが好ましい。
結着材としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等が挙げられる。
結着材は、電極の活性に対して直接寄与しないため、触媒層における結着材の含有量は、触媒層の強度を保つことができる範囲で少ない方がよく、例えば、30重量%以下であることが好ましい。
触媒層は、上記成分に加えて、さらにその他の成分を含んでいてもよい。
【0033】
本発明の空気電池用空気極は、触媒層のみを有するものであってもよいが、触媒層へ酸素(空気)を均一に供給するために、ガス拡散層を有していてもよい。
ガス拡散層は、例えば、カーボンペーパー、カーボンシート、多孔性の金属、多孔性の金属化合物等の導電性多孔質体を用いて構成することができる。このような導電性多孔質体からなるガス拡散層(第2のガス拡散層)の厚さは特に限定されない。
【0034】
また、上記触媒層を構成する導電性炭素として挙げた導電性炭素粒子と結着材とを少なくとも含む層を、ガス拡散層(第1のガス拡散層)として設けることもできる。
ここで、導電性炭素粒子の具体的な材料、平均粒径、比表面積については、上記触媒層を構成する導電性炭素粒子と同様であるため、ここでの説明は省略する。また、結着材としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等が挙げられる。
第1のガス拡散層において、導電性炭素粒子と結着材との比率は特に限定されない。
上記のような第1のガス拡散層をガス拡散層として用いる場合、
図1に示すように、電解質層3から順に、触媒層4と該ガス拡散層(第1のガス拡散層)5aとが積層するように配置することが好ましい。導電性炭素粒子が酸素還元反応に対して活性を有しているため、導電性炭素粒子を含む該ガス拡散層を触媒層に隣接させることで、導電性炭素粒子による酸素還元反応の促進効果を得ることができる。
また、上記したように、導電性炭素材料は耐酸化性が低いため、本発明の空気極を二次電池の空気極として用いる場合には、触媒層には導電性炭素材料を用いずに、導電性炭素粒子を含む第1のガス拡散層を触媒層に隣接して設けることによって、放電特性を確保しつつ、充電時の導電性炭素粒子の分解を抑制することが可能である。
導電性炭素粒子を含む第1のガス拡散層の厚さは特に限定されないが、例えば、0.1〜100μm程度とすることができる。
【0035】
ガス拡散層は、第1又は第2のガス拡散層のみであってもよいし、第1のガス拡散層と第2のガス拡散層とが積層した2層構造とすることもできるし、第1及び第2のガス拡散層以外の層を有していてもよい。第1及び第2のガス拡散層を積層する場合、電解質層側から順に、触媒層、第1のガス拡散層及び第2のガス拡散層が積層するように構成することが好ましい。
【0036】
空気極は、触媒層及びガス拡散層の他、さらに該空気極の集電を行う空気極集電体を備えていてもよい。
空気極集電体としては、所望の電子伝導性を有しており、また、空気極への酸素拡散を妨げるものでなければ、気体透過性を有するものであっても、或いは緻密構造を有するものであってもよいが、空気(酸素)の拡散性の観点から、気体透過性を有するものが好ましい。緻密構造を有するものは、空気極の全面を覆わない構造の場合、用いることができる。
気体透過性を有する構造としては、例えば、構成繊維が規則正しく配列されたメッシュ構造、構成繊維がランダムに配列された不織布構造、独立孔や連結孔を有する三次元網目構造等が挙げられる。
【0037】
空気極集電体の材料としては、例えば、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、鉄、チタン、銅等の金属材料、カーボンファイバー、カーボンペーパー等のカーボン材料、窒化チタン等の高電子伝導性セラミックス材料等が挙げられる。
空気極集電体の厚さは特に限定されないが、一般的には、使用する電流に対して充分に抵抗が低く、充分な機械的強度を確保できるのであれば、薄ければ薄いほどよく、例えば、1000μm以下、特に400μm以下であることが好ましい。
尚、後述する空気電池の電池ケースが空気極の集電体としての機能を兼ね備えていてもよい。
【0038】
空気極の製造方法は、特に限定されない。例えば、酸化物電極触媒と金属炭化物と結着材と溶媒(分散媒)とを含む空気極材料を、圧延又は塗布して成形し、必要に応じて、乾燥処理、加圧処理、加熱処理等を施すことによって、触媒層を作製することができる。また、まず、上記空気極材料を圧延又は塗布して成形し、必要に応じて、乾燥処理、加圧処理、加熱処理等を施して触媒層を作製し、次に、該触媒層とガス拡散層とを重ね合わせ、適宜、加圧や加熱等を行うことで、触媒層とガス拡散層とを積層することができる。また、ガス拡散層の表面に、電極触媒と金属炭化物と結着材と溶媒(分散媒)とを含む空気極材料を、圧延又は塗布して成形し、必要に応じて、乾燥処理、加圧処理、加熱処理等を施すことによって、触媒層をガス拡散層の表面に形成することもできる。
導電性炭素粒子と結着材とを含む上記第1のガス拡散層は、例えば、導電性炭素粒子と結着材と溶媒(分散媒)とを含むガス拡散層材料を、圧延又は塗布して成形し、必要に応じて、乾燥処理、加圧処理、加熱処理等を施すことによって、作製することができる。
空気極材料やガス拡散層材料に用いる溶媒や分散媒は特に限定されず、適宜選択することができる。具体的には、水、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
【0039】
[空気電池]
次に、本発明の空気電池について説明する。
本発明の空気電池は、酸素を活物質とする空気極と、負極と、前記空気極及び前記負極の間に介在する電解質層と、を有する空気電池であって、前記空気極が、本発明の空気電池用空気極であることを特徴とするものである。
以下、本発明の空気電池について各構成ごとに説明するが、空気極については、上記空気電池用空気極の項目で説明した通りであるため、ここでの説明は省略する。
【0040】
(負極)
負極は、負極活物質を少なくとも含有する。
負極活物質は、金属イオンの酸化還元反応が可能なものであれば特に限定されず、例えば、金属イオンを含有する単体金属、合金、金属酸化物、金属硫化物、及び金属窒化物等が挙げられる。また、炭素材料も負極活物質として用いることができる。負極活物質としては、単体金属、合金が好ましく、特に単体金属が好ましい。単体金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム及び亜鉛等が挙げられ、合金としては、これら単体金属を少なくとも1種含む合金が挙げられる。
より具体的には、リチウム空気電池の負極活物質としては、例えば金属リチウム;リチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛合金、リチウムケイ素合金等のリチウム合金;スズ酸化物、ケイ素酸化物、リチウムチタン酸化物、ニオブ酸化物、タングステン酸化物等の金属酸化物;スズ硫化物、チタン硫化物等の金属硫化物;リチウムコバルト窒化物、リチウム鉄窒化物、リチウムマンガン窒化物等の金属窒化物;並びにグラファイト等の炭素材料等を挙げることができ、中でも金属リチウムが好ましい。
【0041】
負極は、少なくとも負極活物質を含有してればよいが、必要に応じて、負極活物質を固定化する結着材を含有していてもよい。例えば、負極活物質として箔状の金属や合金を用いる場合には、負極を負極活物質のみを含有する形態とすることができるが、粉末状の負極活物質を用いる場合には、負極活物質と結着材を含有する形態とすることができる。また、負極は、必要に応じて導電材を含有していてもよい。結着材及び導電材の種類、使用量等については、上述した空気極と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0042】
負極は、該負極の集電を行う負極集電体を備えていてもよい。負極集電体の材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されない。例えば、銅、ステンレス、ニッケル等が挙げられる。負極集電体の形状としては、例えば、箔状、板状、及びメッシュ状等が挙げられる。また、電池ケースが負極集電体としての機能を有していてもよい。
【0043】
負極の製造方法は特に限定されない。例えば、箔状の負極活物質と負極集電体とを重ね合わせて加圧する方法が挙げられる。また、別の方法として、負極活物質と結着材とを含有する負極材料圧延又は塗布することによって、負極を作製し、必要に応じて、負極集電体と積層する方法を挙げることができる。
【0044】
(電解質層)
電解質層は、空気極と負極との間で所望のイオンを伝導できれば、特に限定されず、電解液でもよいし、固体電解質でもよい。また、電解液と固体電解質を組み合わせてもよい。
電解液としては、非水系電解液、水系電解液を用いることができる。
【0045】
非水系電解液は、電解質塩及び非水溶媒を含有する。
非水溶媒としては、特に限定されず、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、イソプロピルメチルカーボネート、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸メチル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジエトキシエタン、1,1−ジメトキシエタン、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
【0046】
また、イオン液体を非水溶媒として用いることもできる。イオン液体としては、例えば、N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、N−メチル−N−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド等の脂肪族4級アンモニウム塩;テトラフルオロホウ酸1−メチル−3−エチルイミダゾリウム、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、臭化1−アリル−3−エチルイミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1−アリル−3−エチルイミダゾリウム、1−アリル−3−エチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、臭化1,3−ジアリルイミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1,3−ジアリルイミダゾリウム、1,3−ジアリルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド等のアルキルイミダゾリウム4級塩等が挙げられる。
【0047】
電解質塩は、非水溶媒に対して溶解性を有し、所望のイオン伝導性を発現するものであればよい。例えば、伝導させたい金属イオンを含む金属塩を電解質塩として用いることができる。例えば、リチウム空気電池の場合、電解質塩としてリチウム塩を用いることができる。リチウム塩としては、例えば、LiPF
6、LiBF
4、LiClO
4、LiAsF
6、LiOH、LiCl、LiNO
3、Li
2SO
4等の無機リチウム塩、CH
3CO
2Li、ホウ酸リチウムビスオキサレート(略称 LiBOB)、LiN(CF
3SO
2)
2(略称 LiTFSA)、LiN(C
2F
5SO
2)
2(略称 LiBETA)、LiN(CF
3SO
2)(C
4F
9SO
2)等の有機リチウム塩を用いることができる。
非水電解液において、非水溶媒に対する電解質塩の含有量は、特に限定されず、溶媒と電解質塩の組み合わせにより適宜設定することができる。
【0048】
非水系電解液は、ポリマーを添加してゲル化して用いることもできる。非水電解液のゲル化の方法としては、例えば、非水系電解液に、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)またはポリメチルメタクリレート(PMMA)等のポリマーを添加する方法が挙げられる。
【0049】
水系電解液としては、例えば、アルカリ水溶液や、酸水溶液等が挙げられ、負極活物質の種類に応じて適宜選択することができる。アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等が挙げられる。酸水溶液としては、例えば、塩酸、硝酸水溶液、硫酸水溶液等を挙げることができる。
水系電解液を用いる場合、負極の構成材料によっては水と反応してしまうので、固体電解質を水系電解系と負極との間に介在させ、保護することが好ましい。固体電解質としては、以下に説明するものを用いることができる。
【0050】
固体電解質としては、例えば、硫化物固体電解質、酸化物固体電解質等の無機固体電解質が挙げられる。尚、無機固体電解質としては、ガラス、結晶、ガラスセラミックスのいずれでもよい。
具体的な無機固体電解質は、伝導イオンに応じて適宜選択すればよい。
硫化物固体電解質としては、硫黄(S)を含有し、かつ、イオン伝導性を有するものであれば特に限定されず、リチウムイオン伝導性硫化物固体電解質材料としては、具体的には、Li
2S−P
2S
5(Li
2S:P
2S
5=50:50〜100:0)、Li
2S−P
2S
5−LiI、Li
2S−P
2S
2−Li
2O−LiI、Li
2S−SiS
2、Li
2S−SiS
2−LiI、Li
2S−SiS
2−LiBr、Li
2S−SiS
2−LiCl、Li
2S−SiS
2−B
2S
3−LiI、Li
2S−SiS
2−P
2S
5−LiI、Li
2S−B
2S
3、Li
2S−P
2S
5−Z
mS
n(Z=Ge、Zn、Ga)、Li
2S−GeS
2、Li
2S−SiS
2−Li
3PO
4、Li
2S−SiS
2−Li
xMO
y(M=P、Si、Ge、B、Al、Ga、In)等を挙げることができる。
また、リチウムイオン伝導性酸化物固体電解質材料としては、例えば、LiPON(リン酸リチウムオキシナイトライド)、Li
1.3Al
0.3Ti
0.7(PO
4)
3、La
0.51Li
0.34TiO
0.74、Li
3PO
4、Li
2SiO
2、Li
2SiO
4等を挙げることができる。
【0051】
(その他)
空気電池は、通常、空気極、負極、電解質層を収納する電池ケースを有する。電池ケースの形状は特に限定されないが、具体的にはコイン型、平板型、円筒型、ラミネート型等を挙げることができる。電池ケースは、大気開放型であっても、密閉型であってもよい。
大気開放型の電池ケースは、少なくとも空気極が十分に大気と接触可能な構造を有する。
一方、密閉型の電池ケースは、正極活物質である酸素(空気)の導入管及び排気管を設けることができる。
【0052】
また、空気極集電体及び負極集電体には、それぞれ、外部との接続部となる端子を設けることができる。
本発明の空気電池の製造方法は特に限定されず、一般的な方法を採用することができる。
【実施例】
【0053】
以下に、実施例、参考例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0054】
[参考例1]
(酸化物電極触媒の作製)
以下のようにして、ペロブスカイト型の結晶構造を有する酸化物(La
0.7Sr
0.3CoO
3)を作製した。
すなわち、まず、La源として硝酸ランタン・六水和物(La(NO
3)
3・6H
2O)、Sr源として硝酸ストロンチウム(Sr(NO
3)
2)、Co源として硝酸コバルト・六水和物(Co(NO
3)
2・6H
2O)を準備し、La:Sr:Co=0.7:0.3:1(mol比)となるように、混合した。この混合物を、La元素とSr元素とCo元素の合計モル濃度が0.05mol/Lとなるように、水に添加し、原料硝酸水溶液を調製した。
一方、水酸化カリウム0.5mol/Lと臭化テトラプロピルアンモニウム0.03mol/Lとを含む水溶液を調製した。
次に、上記原料硝酸水溶液を、上記水溶液に滴下した。得られた沈殿(水酸化物)を濾過、乾燥した後、700℃で5時間焼成し、La
0.7Sr
0.3CoO
3を得た。得られたLa
0.7Sr
0.3CoO
3は粉砕し、粉末状(平均粒径約1μm)にした。尚、酸化物電極触媒の平均粒径は、レーザー回折法により測定した。
【0055】
(二次電池用空気極の作製)
まず、上記にて作製した酸化物電極触媒(La
0.7Sr
0.3CoO
3)と、炭化タングステン(高純度化学株式会社製、平均粒径約8μm)と、アセチレンブラック(電気化学工業株式会社製、平均粒径約1μm、比表面積33m
2/g、真密度約1.8g/cm
3)と、ポリテトラフルオロエチレン分散液(シグマアルドリッチ・ジャパン社製、60重量%)とを、表1に示すように、酸化物電極触媒:炭化タングステン:アセチレンブラック:PTFE=40:30:10:20(重量比)となるように混練し、電動式の圧延ローラーを用いて約200μmの厚みになるまで圧延し、シート状の触媒層を作製した。このシート状触媒層を、直径約24mmの円盤状に打ち抜き、円盤状触媒層を得た。
次に、直径約24mmの円盤状のカーボンペーパー(米国Electrochem社製、EC‐TP1‐120T)の片面に、上記円盤状触媒層を圧着し、空気極を得た。尚、上記カーボンペーパーは、空気極のガス拡散層及び基板として機能する。
【0056】
(二次電池用空気極の評価)
上記にて作製した空気極の電極反応特性を、以下のようにして、2室セルを用いて評価した。
評価に用いた2室セルの断面模式図を
図2に示す。試験に供した空気極12は、アノード室13とカソード室14との間に挟み込み、3.14cm
2の有効な電極面積(直径20mmの円形)を有する作用極15として使用した。空気極12のカーボンペーパー側には、集電体16としてニッケルメッシュ(100メッシュ)を圧着し、触媒層17、カーボンペーパー18、及び集電体16が順に積層した構成とした。
アノード室13は8mol/Lの水酸化カリウム水溶液で満たし、カソード室14には空気又は酸素を50cm
3/分で供給した。対極19として白金線、参照極20として酸化水銀電極を用いた。
【0057】
作用極15に、一定時間、定電流を流しながら、作用極15の電位を測定することによって、空気極12を評価した。測定温度は、50℃とした。結果を
図3及び
図4に示す。
図3は、カソード室14に空気を供給した際の酸素還元反応の電流電位特性を示し、
図4は、カソード室14に酸素を供給した際の酸素還元反応の電流電位特性を示す。尚、電極電位は、可逆水素電極基準に換算した(以下同じ)。
また、カソード室14に空気を供給しながら、電流密度20mA/cm
2で30分間、酸素還元反応を行った後、電流密度20mA/cm
2で30分間、酸素発生反応を行うという操作を5サイクル繰り返した時の、酸素還元電位の推移を測定した。測定温度は50℃とした。結果を
図5に示す。
尚、二次電池の空気極において、酸素還元は放電に相当し、酸素発生は充電に相当する。
【0058】
[参考例2]
酸化物電極触媒と、炭化タングステンと、アセチレンブラックと、PTFEとを、表1に示すように40:20:20:20の重量比で混練したこと以外は、参考例1と同様にして、空気極を作製した。
また、作製した空気極の電極反応特性を、参考例1と同様にして評価した。結果を
図3〜
図5に示す。
【0059】
[比較例1]
炭化タングステンを用いずに、酸化物電極触媒と、アセチレンブラックと、PTFEとを、表1に示すように、40:40:20の重量比で混練したこと以外は、参考例1と同様にして、空気極を作製した。
また、作製した空気極の電極反応特性を、参考例1と同様にして評価した。結果を
図3〜
図5に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
図3〜
図5に示すように、参考例1及び2の空気極は、比較例1の空気極と比較して、酸素還元電位が高く、優れた性能を示すことが明らかである。具体的には、
図3及び
図4より、比較例1の空気極と比較して、参考例1及び2の空気極は、低い電流密度域から高い電流密度域までの広範囲にわたって、高い電位を保持できることがわかる。また、
図5より、比較例1の空気極と比較して、参考例1及び2の空気極は、5サイクル後も高い酸素還元電位を維持し、サイクル特性に優れることがわかる。特に、触媒層における炭化タングステンの割合が30重量%である参考例1の空気極は、炭化タングステンの割合が20重量%である参考例2よりも大幅な特性向上が確認された。
【0062】
[実施例3]
炭化タングステンの代わりに炭化チタン(和光純薬工業株式会社製、平均粒径約4μm)を用い、酸化物電極触媒と、炭化チタンと、アセチレンブラックと、PTFEとを、表2に示すように、40:20:20:20の重量比で混練したたこと以外は、参考例1と同様にして、空気極を作製した。
また、作製した空気極の電極反応特性を、参考例1と同様の2室セルを用いて評価した。すなわち、カソード室14に空気を供給し、作用極15に、一定時間、定電流を流しながら、作用極15の電位(酸素還元電位)を測定した。測定温度は、50℃とした。結果を
図6に示す。
【0063】
[実施例4]
炭化チタンの代わりに炭化モリブデン(和光純薬工業株式会社製、平均粒径約7μm)を用い、酸化物電極触媒と、炭化モリブデンと、アセチレンブラックと、PTFEとを、表2に示すように、40:20:20:20の重量比で混練したたこと以外は、実施例3と同様にして、空気極を作製した。
また、作製した空気極の電極反応特性を、実施例3と同様にして測定した。結果を
図6に示す。
【0064】
[比較例2]
炭化チタンを用いずに、酸化物電極触媒と、アセチレンブラックと、PTFEとを、表2に示すように、40:40:20の重量比で混練したこと以外は、実施例3と同様にして、空気極を作製した。
また、作製した空気極の電極反応特性を、実施例3と同様にして評価した。結果を
図6に示す。
【0065】
【表2】
【0066】
図6に示すように、実施例3及び4の空気極は、比較例2の空気極と比較して、酸素還元電位が高く、優れた性能を示すことが明らかである。具体的には、比較例2の空気極と比較して、実施例3及び4の空気極は、低い電流密度域から高い電流密度域までの広範囲にわたって、高い電位を保持できることがわかる。
【0067】
[参考例5]
(二次電池用空気極の作製)
まず、参考例1と同様にして作製した酸化物電極触媒(La
0.7Sr
0.3CoO
3)と、炭化タングステン(ナカライテスク社製、平均粒径約4μm)と、ポリテトラフルオロエチレン分散液(シグマアルドリッチ・ジャパン社製、60重量%)とを、表3に示すように、酸化物電極触媒:炭化タングステン:PTFE=67:28:5(重量比)となるように混合し、触媒スラリーを調製した。
一方、アセチレンブラック(電気化学工業株式会社製、平均粒径約0.8μm、比表面積約33m
2/g、真密度約1.8g/cm
3)と、ポリテトラフルオロエチレン分散液(シグマアルドリッチ・ジャパン社製、60重量%)とを、アセチレンブラック:PTFE=80:20(重量比)となるように混練し、電動式の圧延ローラーを用いて約200μmの厚みになるまで圧延し、炭素シートを作製した。この炭素シートを、直径約24mmの円盤状に打ち抜き、直径約24mmの円盤状のカーボンペーパー(米国Electrochem社製、EC‐TP1‐120T)の片面に圧着した。
次に、上記2層型ガス拡散層シートの炭素シート面に、上記触媒スラリーを塗布、乾燥し、空気極を得た。尚、触媒スラリーは、La
0.7Sr
0.3CoO
3と炭化タングステンの合計量が3mg/cm
2となるように、上記炭素シート面に塗布した。
【0068】
(二次電池用空気極の評価)
上記にて作製した空気極の電極反応特性を、以下のようにして、2室セルを用いて評価した。
評価に用いた2室セルは、
図7に示すように、
図2に示す2室セルと同様である。ただし、試験に供した空気極12が、
図2では、触媒層17とカーボンペーパー18とからなる2層構造を有しているのに対して、参考例5では、
図7に示すように、触媒層17と炭素シート21とカーボンペーパー18とが順に積層した3層構造を有している点が異なっている。
【0069】
作用極15に、一定時間、定電流を流しながら、作用極15の電位を測定することによって、空気極12を評価した。測定温度は、50℃とした。結果を
図8に示す。
図8は、カソード室14に酸素を供給した際の酸素還元反応の電流電位特性を示す。
また、カソード室14に空気を供給しながら、10mV/秒の速度で空気極の電位を0.5から1.7V(vs.RHE)の範囲で変化させ、サイクリックボルタンメトリ−を行った。測定温度は50℃とした。表3に、酸素還元性能の指標として0.5Vにおける電流密度及び酸素発生性能の指標として1.7Vにおける電流密度を示す。
【0070】
[参考例6]
酸化物電極触媒と、炭化タングステンと、PTFEとを、表3に示すように38:57:5の重量比で混合したこと以外は、参考例5と同様にして、空気極を作製した。
また、作製した空気極の電極反応特性を、参考例5と同様にして評価した。結果を
図8及び表3に示す。
【0071】
[参考例7]
酸化物電極触媒と、炭化タングステンと、PTFEとを、表3に示すように24:71:5の重量比で混合したこと以外は、参考例5と同様にして、空気極を作製した。
また、作製した空気極の電極反応特性を、参考例5と同様にして評価した。結果を
図8及び表3に示す。
【0072】
[比較例3]
炭化タングステンを用いずに、酸化物電極触媒とPTFEとを、表3に示すように、95:5の重量比で混合したこと以外は、参考例5と同様にして、空気極を作製した。
また、作製した空気極の電極反応特性を、参考例5と同様にして評価した。結果を
図8及び表3に示す。
【0073】
[比較例4]
酸化物電極触媒を用いずに、炭化タングステンとPTFEとを、表3に示すように、95:5の重量比で混合したこと以外は、参考例5と同様にして、空気極を作製した。
また、作製した空気極の電極反応特性を、参考例5と同様にして評価した。結果を
図8及び表3に示す。
【0074】
【表3】
【0075】
図8及び表3に示すように、参考例5〜7の空気極は、比較例3、4の空気極と比較して、酸素還元電位が高く、また、優れた酸素発生性能を示すことが明らかである。具体的には、
図8より、比較例3、4の空気極と比較して、参考例5〜7の空気極は、低い電流密度域から高い電流密度域までの広範囲にわたって、高い電位を保持できることがわかる。また、表3より、比較例3、4の空気極と比較して、参考例5〜7の空気極は、酸化還元電流及び酸素発生電流が共に高く、酸素還元性能及び酸素発生性能のいずれにおいても優れていることがわかる。