(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0004】
一態様によれば、バッテリなしで動作するワイヤレス通信装置が提供される。別の態様によれば、バッテリから電力を引き込まずにいくつかの通信機能を実行できるワイヤレス通信装置が提供される。別の態様によれば、現在の通信装置よりも大幅に少ない最小限のバッテリ電力を使用していくつかの通信機能を実行できるワイヤレス通信装置が提供される。
【0005】
一実施形態によれば、ワイヤレス装置は、RF信号を受信するように構成され、かつRF信号から得た出力データ信号を提供するように構成されるRFインターフェースと、出力データ信号を受信して出力アナログ信号を提供するように構成された論理回路と、RFインターフェースに結合され、かつRF信号から得られた直流(DC)動作電力をRFインターフェースおよび論理回路に提供するように構成される電力回路と、を備える。このワイヤレス装置は、論理回路に結合された入力を有し、かつ出力を有する第1のインピーダンス整合トランスと、第1のインピーダンス整合トランスの出力に結合され、かつ出力アナログ信号に基づいてオーディオ信号を生成するように構成される第1のトランスデュ
ーサと、を備える。
【0006】
一実施形態によれば、このワイヤレス装置は、入力オーディオ信号を受信して入力アナログ信号を論理回路に提供するように構成される第2のトランスデューサを備え得る。論理回路は、入力アナログ信号を受信して該入力アナログ信号に基づいてRFインターフェースに入力データ信号を提供するように構成され得る。RFインターフェースは、入力データ信号を受信して入力データ信号に基づいてRF信号を変調するように構成され得る。一実施形態によれば、このワイヤレス装置は、第2のトランスデューサと論理回路との間に結合された第2のインピーダンス整合トランスも備え得る。別の実施形態によれば、第1のインピーダンス整合トランスは複数のスイッチを備え得る。これらのスイッチは、第1のインピーダンス整合トランスの巻数比を調節するように構成可能であり得る。別の実施形態によれば、論理回路は、第1のインピーダンス整合トランスに結合された出力を有するデジタル−アナログ変換器を備え得る。論理回路は、第2のトランスデューサに結合された入力を有するアナログ−デジタル変換器を備え得る。
【0007】
一実施形態によれば、このワイヤレス装置は着用可能なヘッドセットとして構成され得る。別の実施形態によれば、このワイヤレス装置は、イメージをキャプチャして該イメージに関するデータを論理回路に提供するように構成されるイメージセンサを備え得る。
【0008】
別の実施形態では、ワイヤレス通信システムは、ワイヤレス装置と、少なくとも1つのネットワーク接続を有する基地局と、RF信号を生成してバックスキャタ通信を使用してワイヤレス装置と通信するように構成されたRFトランシーバと、を備える。ワイヤレス装置は、RF信号からワイヤレス装置のための動作電力を生成するように構成される。ワイヤレス装置はまた、オーディオ信号を受信してバックスキャタ通信を使用してオーディオ信号に関連するデータを基地局に通信するようにも構成される。
【0009】
一実施形態によれば、このワイヤレス通信システムのワイヤレス装置は、ワイヤレス装置内において信号を処理するように構成される論理回路と、オーディオ出力信号を生成するように構成される第1のトランスデューサと、入力オーディオ信号を受信して入力アナログ信号を論理回路に提供するように構成される第2のトランスデューサと、を備え得る。論理回路は、RF信号からデータを受信して出力アナログ信号を第1のトランスデューサに提供するように構成され得る。
【0010】
各種実施形態によれば、ワイヤレス装置は、論理回路と第1のトランスデューサとの間に結合された第1のインピーダンス整合トランスを備え得る。ワイヤレス装置は、第2のトランスデューサと論理回路との間に結合された第2のインピーダンス整合トランスを備え得る。論理回路は、第1のインピーダンス整合トランスに結合された出力を有するデジタル−アナログ変換器を備え得る。論理回路は、第2のトランスデューサに結合された入力を有するアナログ−デジタル変換器を備え得る。
【0011】
一実施形態によれば、ワイヤレス装置は、着用可能なヘッドセットとして構成される。別の実施形態によれば、ワイヤレス装置は、イメージをキャプチャして該イメージに関するデータを論理回路に提供するように構成されるイメージセンサを備える。
【0012】
一実施形態によれば、ワイヤレス通信は、各々が一意なアドレスを有する複数のワイヤレス装置を含んでおり、各々が、RF信号から動作電力を生成するように構成される。基地局は、ワイヤレス装置の各々からバックスキャタ通信を受信するように構成され得る。一実施形態によれば、基地局は、RF信号を使用してワイヤレス装置の各々にデータを送信するように構成され得る。
【0013】
一実施形態では、ワイヤレス装置を動作させる方法は、ワイヤレス装置においてRF信号を受信する工程と、RF信号から得られた出力データ信号を生成する工程と、第1のインピーダンス整合装置を使用して出力データ信号を出力アナログ信号に変換する工程と、ワイヤレス装置のための直流動作電力をRF信号から得る工程と、出力アナログ信号に基づいて出力オーディオ信号を生成するように、インピーダンス整合装置の出力に結合されたワイヤレス装置の第1のトランスデューサを使用する工程と、を含む。
【0014】
一実施形態によれば、ワイヤレス装置を動作させる方法は、ワイヤレス装置の第2のトランスデューサを使用して入力オーディオ信号を受信する工程と、入力オーディオ信号に基づいて入力データ信号を生成する工程と、入力データ信号に基づいてRF信号を変調する工程と、を含み得る。別の実施形態によれば、この方法は、ワイヤレス装置のイメージセンサを使用してイメージをキャプチャして、該イメージに関するデータをRF信号源に提供することを含み得る。
【0015】
ワイヤレス装置を動作させる方法の一実施形態によれば、入力データ信号を生成する工程は、第2のトランスデューサの出力に結合された入力を有する第2のインピーダンス整合トランスを使用する工程を含み得る。別の実施形態によれば、第1のインピーダンス整合トランスを使用する工程は、複数のスイッチを、第1のインピーダンス整合トランスの巻数比を調節するように構成する工程を含み得る。さらなる実施形態によれば、出力データ信号を出力アナログ信号に変換する工程は、第1のインピーダンス整合トランスに結合されたデジタル−アナログ変換器を使用することを含み得る。別の実施形態によれば、入力データ信号を生成することは、第2のトランスデューサに結合されたアナログ−デジタル変換器を使用することを含み得る。
【0016】
一実施形態では、ワイヤレス装置と基地局との間の通信を提供する方法が、基地局からRF信号を生成する工程と、ワイヤレス装置においてRF信号を受信する工程と、RF信号からワイヤレス装置の動作電力を得る工程と、ワイヤレス装置においてオーディオ入力信号を受信する工程と、オーディオ入力信号に基づいてRF信号を変調して変調済みRF信号を生成するようにワイヤレス装置を使用する工程と、変調されたRF信号を基地局において受信する工程と、を含む。
【0017】
ワイヤレス装置と基地局との間の通信を提供する方法の一実施形態によれば、ワイヤレス装置は、オーディオ出力信号を生成するように構成された第1のトランスデューサと、オーディオ入力信号を受信するように構成された第2のトランスデューサと、を備え得る。この方法は、RF信号からデータを受信する工程と、受信データに基づいて第1のトランスデューサに出力信号を提供する工程と、をさらに含み得る。
【0018】
ワイヤレス装置と基地局との間の通信を提供する方法の一実施形態によれば、この方法は、第1のトランスデューサの入力において第1のインピーダンス整合装置を使用する工程を含み得る。別の実施形態では、この方法は、第2のトランスデューサの出力において第2のインピーダンス整合装置を使用する工程を含み得る。別の実施形態によれば、この方法は、第1のインピーダンス整合トランスに結合されたデジタル−アナログ変換器を使用して出力アナログ信号に出力データ信号を変換することを含み得る。さらなる実施形態では、この方法は、第2のトランスデューサに結合されたアナログ−デジタル変換器を使用することを含み得る。
【0019】
ワイヤレス装置と基地局との間の通信を提供する方法の一実施形態によれば、この方法は、ワイヤレス装置のイメージセンサを使用してイメージをキャプチャする工程と、該イメージに関するデータを基地局に提供する工程と、を含み得る。別の実施形態によれば、この方法は、ワイヤレス装置によってテキストデータを受信する工程と、該テキストデー
タに関連するデータを基地局に提供する工程と、を含み得る。
【0020】
ワイヤレス装置と基地局との間の通信を提供する方法の一実施形態によれば、この方法は、各々が一意なアドレスを有し、かつ各々がRF信号から動作電力を生成するように構成された複数のワイヤレス装置を提供する工程を含み得る。この方法は、それらのワイヤレス装置のうちの1つの一意なアドレスを使用して基地局によってワイヤレス装置のうちの1つを選択する工程と、それらのワイヤレス装置のうちの1つからバックスキャタ通信を受信する工程と、を含み得る。一実施形態によれば、この方法は、RF信号を使用して基地局からワイヤレス装置の各々にデータを送信する工程を含み得る。
【0021】
一実施形態では、ワイヤレス通信装置は、ワイヤレス通信装置を第1の動作モードにおいて動作させるための電力を提供するように構成されるバッテリと、該バッテリに結合され、かつ第1の動作モードのにおいてバッテリ電力で動作するように構成される処理部と、RF信号を受信して第2の動作モードにおいてRF信号からワイヤレス通信装置の動作電力を生成するように構成されるRFインターフェースと、を備える。ワイヤレス通信装置は、利用可能なRF電力を検出して第1の動作モードから第2の動作モードに入るように構成される。
【0022】
一実施形態によれば、ワイヤレス通信装置は、第1の動作モードにおいて、携帯電話、タブレット型コンピュータ、またはノート型コンピュータとして機能するように構成され得る。別の実施形態によれば、ワイヤレス通信装置は、第2の動作モードにおいて処理部がスリープモードに入るように構成され得る。ワイヤレス装置は、メモリ装置のフィル状態を検出して、該フィル状態に基づいて処理部をスリープモードからアクティブモードに変更し、およびメモリ装置とのデータ転送を行うようにさらに構成され得る。フィル状態は、メモリがフルである、メモリが空である、あるいはメモリが選択された割合でフルまたは空であることを表し得る。
【0023】
別の実施形態によれば、ワイヤレス通信装置のRFインターフェースは、第2の動作モードにおいてRF信号からデータを受信するように構成され得る。ワイヤレス通信装置は、メモリ装置にデータを記憶するように構成され得る。別の実施形態では、RFインターフェースが、RF信号を変調してバックスキャタ通信にRF信号を提供するように構成され得る。別の実施形態によれば、ワイヤレス通信装置は、メモリからデータを読み出してRF信号を変調することによって出力メッセージをRF信号源に提供するように構成され得る。別の実施形態では、ワイヤレス通信装置は、メモリからデータを読み出してRF信号を変調することによって出力メッセージをRF信号源に提供するように構成され得る。
【0024】
一実施形態では、ワイヤレス通信装置により通信する方法は、ワイヤレス通信装置に備えられたバッテリによって供給される動作電力を使用して第1の動作モードにおいてワイヤレス通信装置を動作させる工程と、RF信号の存在を検出する工程と、該検出に応答して、RF信号から得られた動作電力を使用して第2の動作モードにおいてワイヤレス通信装置を動作させる工程と、を含む。
【0025】
一実施形態によれば、ワイヤレス通信装置による通信方法は、第1の動作モードにおいて、ワイヤレス通信装置を携帯電話、タブレット型コンピュータ、またはノート型コンピュータとして動作させることを含み得る。別の実施形態によれば、この方法は、メモリのストアレベルが限界に達したと検出する工程と、ワイヤレス通信装置のプロセッサを非アクティブ状態からアクティブ状態に変更する工程と、を含み得る。別の実施形態では、この方法が、第2の動作モードにおいてワイヤレス通信装置内のデータをRF信号から抽出する工程と、該データをワイヤレス通信装置のメモリに記憶する工程と、を含み得る。
【0026】
一実施形態によれば、ワイヤレス通信装置による通信方法は、プロセッサを使用してメモリからデータを移す工程を含み得る。別の実施形態では、この方法が、メモリからデータを読み出す工程と、RF信号を変調することによってワイヤレス通信装置から出力メッセージを提供する工程と、を含み得る。別の実施形態によれば、この方法は、RF信号源とのバックスキャタ通信を提供するようにワイヤレス通信装置によってRF信号を変調する工程を含み得る。
【0027】
ワイヤレス通信装置による通信方法の一実施形態によれば、RF信号を変調する工程は、ワイヤレス通信装置の識別データによってRF信号を変調することを含み得る。別の実施形態では、RF信号源は、少なくとも1つのネットワーク接続を有する基地局であり得る。この方法は、基地局において識別データを受信して、識別データをネットワーク接続を通じて少なくとも1つの遠隔装置に提供する工程を含み得る。別の実施形態によれば、この方法は、ワイヤレス通信装置に対するメッセージをネットワーク接続を通じて遠隔装置から基地局において受信する工程と、該メッセージをワイヤレス通信装置に提供するようにRF信号を変調する工程と、を含み得る。
【0028】
ワイヤレス通信装置による通信方法の一実施形態によれば、このRF信号源は、少なくとも1つのネットワーク接続を有する基地局であり得る。この方法は、基地局においてワイヤレス装置からデータを受信して、該データをネットワーク接続を通じて遠隔装置に提供する工程と、を含み得る。別の実施形態によれば、この方法は、メモリからデータを読み出す工程と、RF信号を変調することによってワイヤレス通信装置から出力メッセージを提供する工程と、を含み得る。
【0029】
一実施形態では、ワイヤレス通信システムは、ワイヤレス装置と、少なくとも1つのネットワーク接続を有する基地局と、RF信号を生成してバックスキャタ通信を使用してワイヤレス装置と通信するように構成されるRFトランシーバと、を備える。ワイヤレス装置は、ワイヤレス装置を第1の動作モードにおいて動作させるための電力を提供するように構成されるバッテリと、該バッテリに結合され、かつ第1の動作モードにおいてバッテリ電力で動作するように構成される処理部と、基地局からRF信号を受信して第2の動作モードにおいてRF信号からワイヤレス装置の動作電力を生成するように構成されるRFインターフェースと、を備える。ワイヤレス装置は、利用可能なRF電力を検出して第1の動作モードから第2の動作モードに入るように構成される。
【0030】
一実施形態によれば、ワイヤレス通信システムは、第1の動作モードにおいて、携帯電話、タブレット型コンピュータ、またはノート型コンピュータとして機能するように構成され得る。別の実施形態によれば、ワイヤレス装置は、第2の動作モードにおいて処理部がスリープモードに入るように構成され得る。このワイヤレス装置は、メモリ装置のフィル状態を検出し、該フィル状態に基づいて処理部をスリープモードからアクティブモードに変更し、およびメモリ装置とのデータ転送を行うように構成され得る。
【0031】
一実施形態によれば、ワイヤレス通信システムのRFインターフェースは、第2の動作モードにおいてRF信号からデータを受信するように構成され得る。ワイヤレス装置は、メモリ装置にデータを記憶するように構成され得る。別の実施形態によれば、RFインターフェースは、データを基地局に提供するためにRF信号を変調するように構成され得る。別の実施形態では、このワイヤレス装置は、メモリからデータを読み出してRF信号を変調することによって出力メッセージをRF信号源に提供するように構成され得る。別の実施形態では、このRFインターフェースは、ワイヤレス装置の識別データによってRF信号を変調するように構成され得る。
【0032】
一実施形態によれば、ワイヤレス通信システムの基地局は、識別データを受信して該識
別データをネットワーク接続を通じて少なくとも1つの遠隔装置に提供するように構成され得る。別の実施形態によれば、基地局は、ワイヤレス装置に対するメッセージをネットワーク接続を通じて遠隔装置から受信して該メッセージをワイヤレス装置に提供するためにRF信号を変調するようにさらに構成され得る。別の実施形態では、基地局は、基地局においてワイヤレス装置からデータを受信して該データをネットワーク接続を通じて遠隔装置に提供するように構成され得る。別の実施形態によれば、RFインターフェースは、第2の動作モードにおいてRF信号からデータを受信するように構成され得る。ワイヤレス装置は、メモリ装置にデータを記憶するように構成され得る。
【0033】
添付の図面は、一定の縮尺で描くことを目的としていない。これらの図面には、さまざまな数字で図示されている各々の同一またはほぼ同一の構成要素が、同様の数字によって表されている。明瞭化のため、すべての構成要素がすべての図面に明記されているとは限らない。
【0034】
本発明の実施形態は、以下の説明に記載した、あるいは図面に示した構成の詳細および構成要素の配置に限定されない。本発明の実施形態は、さまざまな方法で実践あるいは実施することができる。また、本明細書で使用されている言い回しおよび用語は、説明上のものであり、限定的なものとみなすべきでない。本明細書において「含む」、「備える」、「有する」、「含有する」、「伴う」、およびこれらの語の変化形が使用されている場合には、以降に列記された要件およびそれらの均等物、ならびに追加要件を備えるものとする。
【0035】
本発明の少なくともいくつかの実施形態は、ある実施例では、バッテリなしで動作可能な低電力ワイヤレス通信装置を提供し、他の実施例では、ワイヤレス通信装置はバッテリを備えているものの、複数の動作モードを有しており、少なくともその一部は、バッテリからの電力引き込みをまったく必要としないか、またはほとんど必要としない。各種実施例におけるワイヤレス通信装置は、コードレス電話システム、携帯または有線電話、携帯無線機などのRF通信システム、オーディオ音楽プレーヤ、リモコン、デスクトップ、ラップトップ、タブレット型コンピュータなどのコンピュータシステムなど、異なる数種類の装置において動作可能なマイクロフォンおよび/またはスピーカを有するワイヤレスヘッドセットとハンドセットとを含む。他の実施例では、携帯電話、カメラ、テレビ・ゲーム・コントローラ、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、および1つまたは複数の有線または無線ネットワークへの接続を備え得る基地局と無線ネットワークを通じて通信する他の装置として動作するワイヤレス通信装置が提供される。少なくともある実施例では、ワイヤレス装置は、そのワイヤレス装置に対する入力データを含むことも含まないこともあるRF信号から給電される。さらに、少なくともある実施例では、ワイヤレス通信装置は、基地局または他のワイヤレス装置と通信するようにバックスキャタ通信技法を利用する。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態に応じた通信システム100の略図である。通信システム100は、基地局102と複数のワイヤレス通信装置104a、104b、104c、104dとを含む。基地局102は、ワイヤレス通信装置によって受信されるRF信号106を送信する。
【0037】
一実施形態によれば、基地局102は電源に接続されている。電源は電気コンセントであり得る。基地局102はまた、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、ワイヤレス・ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、セルラネットワークまたは公衆交換電話網(PSTN:Pubic Switched Telephone Network)など、1つまたは複数の有線または無線ネットワークに結合するための1つまたは複数のネットワークインターフェースも備え得
る。
【0038】
各種実施形態によれば、ワイヤレス通信装置104a〜104dには、1つまたは複数の携帯電話、iPhone、ヘッドフォン、ヘッドセット(マイクロフォンおよびイヤフォンを含む)、音楽プレーヤ、iPod、携帯情報端末、iPad、ラップトップ、コンピュータ、またはカメラが含まれ得る。
【0039】
一実施形態によれば、ワイヤレス通信装置104a〜104dは、受信したRF信号を、ワイヤレス通信装置104a〜104dの内部構成要素に給電するための直流電圧に変換する。一実施例では、ワイヤレス通信装置104a〜104dがバッテリを備えておらず、RF信号が唯一の電源である。
【0040】
別の実施形態によれば、基地局102はRFトランシーバを含み、バックスキャタ変調技法を用いてワイヤレス通信装置104a〜104dと通信する。トランシーバは、振幅変調または位相変調を使用してワイヤレス通信装置104a〜104dに送信する。いくつかの実施形態では、振幅変調がDSB−ASK(両側波帯振幅シフトキーイング(double sideband amplitude shift keying))、PRASK(位相逆転振幅シフトキーイング(phase reversal amplitude shift keying))またはSSB−ASK(単側波帯振幅シフトキーイング(single sideband amplitude shift keying))である。ワイヤレス通信装置104a〜104dは、バックスキャタ変調によって通信に応答する。さまざまな実施形態において、基地局102は、第2世代GS1を含む1つまたは複数のRFID通信規格に応じて動作し得る。
【0041】
図2は、一実施形態に応じたワイヤレス通信装置の動作方法150のフローチャートである。ブロック152において、
図1のワイヤレス通信装置104a〜104dなどのワイヤレス通信装置は、基地局付近に配置される。ブロック154において、ワイヤレス通信装置は基地局からRF信号を受信する。ブロック156において、ワイヤレス通信装置はワイヤレス通信装置の構成要素に給電するためにRF信号を直流電圧に変換する。ブロック158において、ワイヤレス通信装置はRF信号からのデータを基地局から受信する。
【0042】
ブロック152において、ワイヤレス通信装置は、基地局によって放射されたRF信号の強度がワイヤレス通信装置に給電する強度として十分に足りるように基地局に対し近距離に存在しており、特定の通信装置の機能に応じて、基地局からのデータ受信と基地局へのデータ送信とを開始することができる。一実施例によれば、ワイヤレス通信装置は、基地局から約2フィート(約60センチメートル)〜約60フィート(約18メートル)の距離に存在し得る。他の実施例では、ワイヤレス通信装置と基地局との間の距離は、約1インチ(約2.5センチメートル)〜5フィート(1.5メートル)、約1フィート(約30センチメートル)〜約10フィート(約3メートル)、約2フィート(約60センチメートル)〜約10フィート(約3メートル)、約2フィート(約60センチメートル)〜約20フィート(約6メートル)、約5フィート(約1.5メートル)〜約20フィート(約6メートル)、および約5フィート(約1.5メートル)〜約30フィート(約9メートル)である。他の実施形態では、使用されるRF通信技術に応じて他の距離でもよい。
【0043】
上記のとおり、ブロック154において、ワイヤレス通信装置は基地局からRF信号を受信する。一実施例では、基地局はRF信号を連続的に放射し、ワイヤレス通信装置が基地局に十分近いエリアに入ると、そのワイヤレス通信装置はRF信号を受信し始める。
【0044】
ブロック156において、ワイヤレス通信装置は、RF信号を少なくとも1つの直流電圧に変換する。一実施形態では、ワイヤレス通信装置は、起動するために十分なエネルギーを受け取った後、ブロック158においてRF信号からデータの受信も開始し得る。データを含むRF信号は、電力を提供するRF信号とは異なる送信元を有し得るか、同じ基地局から送信されたものであり得る。1つの特徴によれば、ワイヤレス通信装置は、複数の基地局を含むエリアで動作しており、複数の基地局からのRF信号がワイヤレス通信装置に給電する。ワイヤレス通信装置は、バックスキャタ変調を用いてデータの送信元基地局に応答し得る。一実施形態では、ワイヤレス通信装置に給電するRF信号を放射している基地局がデータの送信元基地局でもあり、この基地局は、所定時に一方向で行われるデータ通信に対して同時に動作する送信機および受信機を備える。
【0045】
一実施形態によれば、RF信号は約840MHz〜約960MHzの周波数で送信される。別の実施形態では、RF信号が約2.403GHz〜約2.483GHz(WiFi用に使用される)のISM周波数帯域において送信される。さらなる実施形態では、RF信号が約4915MHz〜約5825MHz(WiFi用に使用される)5GHz U−NII周波数帯域において送信される。別の実施形態によれば、RF信号はUMTS/LTE周波数帯域において送信され、その周波数は、約800MHz、約850MHz、約900MHz、約1500MHz、約1700MHz、約1800MHz、約1900MHzまたは約2100MHzであり得る。
【0046】
図3は、本発明の一実施形態に応じたワイヤレス通信装置のいくつかの構成要素を示すブロック
図200である。構成要素は、アナログRFインターフェース202と、デジタル制御ブロック204と、センサブロック206と、を含む。
【0047】
アナログRFインターフェース202は、アンテナパッド210aおよび210bと、電圧調整器212と、整流器214と、復調器216と、変調器218と、を含む。また、バッテリなど、直流電力の追加電源がワイヤレス装置に含まれる場合には、電圧入力220aも含み得る。
【0048】
デジタル制御ブロック204は、アナログRFインターフェース202からの電圧入力222を含み、バッテリなど、直流電力の追加電源がワイヤレス装置に含まれる場合には、電圧入力220bも備え得る。各種実施形態において、デジタル制御ブロック204は、衝突回避技術と、読み出し/書き込み制御と、アクセス制御と、センサインターフェース制御と、RFインターフェース制御と、を備え得る。一実施例では、デジタル制御ブロック204は有限状態機械を備える。別の実施例では、デジタル制御ブロック204はプロセッサを備える。他の実施形態では、デジタル制御ブロックは、本明細書に記載された機能を実行するように構成および/またはプログラムされたいくつかの論理回路とプロセッサとを備え得る。1つの特徴によれば、デジタル制御ブロック204は、基地局から受信したデジタル・データ・パケットをアナログ信号に変換する。別の機能によれば、デジタル制御ブロック204は、基地局に伝達するようにアナログ信号をデジタル・データ・パケットに変換する。
【0049】
センサブロック206は、オーディオ出力部230とオーディオ入力部250とを備える。他の実施形態では、センサブロック206はオーディオ出力部230とオーディオ入力部250との両方を備えていない場合がある。他の実施形態では、センサブロック206は、カメラ部240、テレビ・ゲーム・コントローラ部、テキスティングインターフェースのうち1つまたは複数を含み得る。バッテリなど、直流電力の追加電源がワイヤレス装置に含まれる場合、センサブロック206は電圧入力220cも備え得る。
【0050】
オーディオ出力部230は、デジタル−アナログ変換器232と、電圧・電流変換モジ
ュール234と、オーディオ出力装置236と、を備える。オーディオ出力部については、
図4でさらに詳しく説明する。他の実施形態では、オーディオ出力部230の構成要素が他の機能ブロックに位置し得る。
【0051】
オーディオ入力部250は、オーディオ入力装置260と、電圧・電流変換モジュール254と、アナログ−デジタル変換器(ADC:analog−to−digital converter)252と、を備える。一実施形態によれば、サンプルホールド回路254はADC252に統合される。別の実施形態によれば、オーディオ入力部250はサンプルホールド回路254を備えていない。オーディオ入力部250について、
図6においてさらに詳しく説明する。他の実施形態では、オーディオ出力部230の構成要素が他の機能ブロックに位置し得る。
【0052】
一態様によれば、センサブロック206は、デジタル制御ブロック204からデジタルデータを受信する。たとえば、センサブロック206は、デジタル制御ブロック204からデジタルオーディオ出力データを受信し得る。一実施形態によれば、センサブロック206は、デジタル制御ブロック204にデジタルデータを送信する。たとえば、センサブロック206は、デジタル化されたオーディオ入力データをデジタル制御ブロック204に送り得る。別の実施例では、センサブロック206は、デジタル写真など、デジタル化された光学データをデジタル制御ブロック204に送る。
【0053】
一実施形態によれば、センサブロック206は、デジタルオーディオ出力データを圧縮形式で受信し、ローカル状態機械またはプロセッサを使用して復号する。デジタル制御ブロック204は、デジタル化されたオーディオ入力を受信してもよく、状態機械またはプロセッサを使用してデータを圧縮または符号化してもよい。RFプロトコルは、圧縮または非圧縮データの通過を許可するための特定の命令または状態機械操作を有し得る。符号化/復号化アルゴリズムの各種実施例は、LPC(線形予測符号化(Linear Predictive Coding))と、CELP(符号励起線形予測(Code Excited Linear Prediction))と、SADVQ(連続適応差分ベクトル量子化(Serial Adaptive Differential Vector Quantization))と、ACELP(代数符号励起線形予測(Algebraic Code Excited Linear Prediction))と、圧縮感知技法と、を含む。他のアルゴリズムも使用され得る。
【0054】
1つの特徴によれば、アナログRFインターフェース202は、デジタル制御ブロック204の構成要素に給電するために、直流電圧222をデジタル制御ブロック204に供給する。いくつかの実施形態によれば、アナログRFインターフェース202は、基地局からデジタル制御ブロック204に受信データを送信する。
【0055】
別の特徴によれば、デジタル制御ブロック204は、センサブロック206からアナログRFインターフェース202にデータを送る。各種実施例で、このデータは、マイクロフォン260からのオーディオ入力データと、カメラ244からの光学データと、キーボードまたはキーパッドからのテキスト入力と、を表し得る。
【0056】
一態様によれば、アナログRFインターフェース202、デジタル制御ブロック204、およびセンサブロック206は、最小限の量の電力を使用するように設計される。たとえば、一実施形態のデジタル制御ブロック204は、最小限の電力を引き込む有限状態機械を備える。同様に、センサブロック206の構成要素は、電力使用を最小限に抑えるように設計される。代表的なアナログRFインターフェース202およびデジタル制御ブロック204は、約10μWまたはそれ以下の電力を使用する。
【0057】
図4は、オーディオ出力部230の一実施形態の概略図である。オーディオ出力部230は、デジタル−アナログ変換器(DAC:digital−to−analog converter)272と、インピーダンス整合器278と、トランス274と、イヤフォン276と、を備える。DAC272はインピーダンス整合器278に接続されており、DAC232の出力がインピーダンス整合器278に入力される。インピーダンス整合器278はトランス274に接続されており、インピーダンス整合器278の出力がトランス274に入力される。DAC272、インピーダンス整合器278、およびトランス274は、相補型金属酸化物半導体(CMOS:complementary metal oxide semiconductor)またはCMOSの副しきい値に必要とされる高電圧を磁気駆動式のイヤフォンの低電圧要件に変換することによって、オーディオ出力信号をイヤフォン276に送信する際に最小限の電力を消費するように設計される。
【0058】
一実施形態では、DAC272はパルス幅変調器と、ローパスフィルタまたは低損失バンドパスフィルタと、電圧入力280と、デジタルコントロール282と、を備える。1つの特徴によれば、パルス幅変調器を含むDAC272は、ナイキスト周波数の少なくとも約2倍に相当するクロック周波数を有する。クロック周波数がナイキスト周波数の約2倍より大きい場合には、そのパルスを記述するためのオーバーサンプリング要因が存在する。一実施例では、8kHzオーディオ信号に8ビットのタイミング分解能を用いた場合、2.048メガサンプル/秒(MSPS)(Fs*2^N)のサンプリングレートである。LCタンク回路または高次数フィルタは、約8kHzに同調される。フィルタは、ローパスフィルタまたはバンドパスフィルタであり得る。
【0059】
別の実施形態では、DAC272は、デルタシグマ変調器と、ローパスフィルタまたは低損失バンドパスフィルタと、を備える。1つの特徴によれば、DAC272はデルタシグマ変調器を備えており、オーバーサンプリング比はダイナミックレンジ(ビット)の平方根である。一実施例では、8ビットキロサンプル/秒(kSPS)のシグマデルタDACには64kSPSの1ビットサンプルが使用されており、一次ローパスフィルタ、二次ローパスフィルタ、または三次ローパスフィルタは約8kHzに同調される。いくつかの実施形態では、デルタシグマ変調器が一次、二次または三次であり得る。一実施形態では、低損失ローパスフィルタが単極のインダクタ−キャパシタ対によって実装され得る。別の実施形態では、インダクタがトランスの1つの脚(leg)であり得る。
【0060】
他の実施例では、DAC272は別の低電力デジタル−アナログ変換器であり得る。一実施例では、DAC272は、約0.7Vの最大動作電圧で約5.7nA〜約180nAの最大電流を有する。ヘッドフォン276などのイヤフォンまたはヘッドフォンに給電するためのオーディオ電力は、等式(1)を用いて定められ得る。
【0061】
【数1】
式中、P
audioはオーディオ電力であり、SPL
conversionは会話の音圧レベルであり、SPL
headphoneは1mWの電力から生成された音圧レベル(SPL)である。一実施例では、SPL
headphoneが124dB SPL/mWであることから、ヘッドフォンは1μWを使用して94dB SPLを生成する。ヘッドフォンの電圧は、等式(2)を用いて決定され得る。
【0062】
【数2】
式中、V
headphoneはヘッドフォンの最大電圧であり、R
headphoneはヘッドフォンの抵抗である。一実施形態では、トランス234の巻数比は、等式(3)を用いて決定され得る。
【0063】
【数3】
式中、N
turnsは、インダクタの二次コイルの巻数に対するインダクタの一次コイルの巻数の比であり、D2AV
maxはDAC272の最大電圧である。一実施形態では、DAC272における電流は、等式(4)を用いて決定され得る。
【0064】
【数4】
式中、D2AI
maxはDAC272の電流である。なお、これらの等式ではトランスの効率が100%であることを想定している。他の実施形態では、D2AV
maxおよびD2AI
maxは、これらの等式から計算される値より高い場合がある。
【0065】
別の実施例によれば、DAC272は、バックコンバータ、またはパルス幅変調を使用するステップダウンDC−DCコンバータを含む。本実施例では、エネルギーがインダクタに記憶され、デジタル電子機器ソースからのエネルギーの大半がオーディオ生成イヤフォン236へと転送され、システムの効率を高める。
【0066】
一実装形態によれば、DAC272はさらにキャパシタを備え、そのキャパシタは、選択されたレベルまで充電され、その後コンパレータへと放電される。コンパレータは、電圧パルスのタイミングを決定して、より高い周波数のパルス幅変調スイッチングを許容する。一実施例では、DAC272は、8kHzのスイッチング周波数およびオーバーサンプリング比32のシグマデルタ変調を使用する。別の実施例では、DACは、1ビットにおいてスイッチング周波数256kHzのシグマデルタ変調を使用する。
【0067】
トランス274はインピーダンストランスである。インピーダンストランス274は、DAC272から受け取ったアナログ信号を低電圧、高電流の信号に変換する。各種実施例において、トランス274は、約410:1、約840:1、または約410:1〜約840:1の巻数比を有する。トランス274の具体的な設計は、イヤフォンの特徴に基づいて選択されたものであり、イヤフォンの入力インピーダンスと整合する出力インピーダンスを提供する。
【0068】
トランス274の一実施形態は、フェライト磁心を有する既製の小型トランスである。1つの特徴によれば、フェライト磁心を有する小型トランスは非常に効率的である。別の実施形態では、トランス274は、基板上のプレーナ型の磁気材料と、DAC側において多数の巻数を提供するエッチングが施された多層コイルとを用いた半導体の製作技法を用
いて製作される。DAC側の巻数は、たとえば、約400、約500、約600、約700、約800、約850、または約900であり得る。反対側の多層コイルは、電気−音圧装置(イヤフォン)における少ない巻数(例えば1、2または3以上)を提供する。
【0069】
半導体トランス274の一実施形態では、トランス274に給電する複数のアームがあり、各々がCMOSスイッチを有する。CMOSスイッチは、DAC側において選択された巻数において切り替わるように使用され得る。1つの特徴によれば、CMOSスイッチは、イヤフォンの固定インピーダンスに対する効率を最大限に高めるように使用され得る。一実施形態では、起動に際し巻数比が決定されることができ、スイッチの構成は不揮発性メモリに記憶される。別の実施形態では、スイッチの構成が事前に完了している。
【0070】
いくつかの実施形態によれば、イヤフォン276は、イヤフォン、またはヘッドフォン、スピーカ、または別のオーディオ出力装置など他の電気音響トランスデューサを備え得る。イヤフォンの電力要件は、1メートル離れて人が会話する場合において一般に約5nW〜約300nWの間において変動する。たとえば、Ultimate Ears 7 Proは約8nWの電力を使用し、Klipsch X5は約32nWの電力を使用し、アップルのインイヤー型イヤフォンは約260nWの電力を使用する。これらの計算は、十分な音圧レベルを生成するための電力要件に基づく。圧力は、インピーダンスおよび速度と相関性がある。
【0071】
【数5】
式中、pは標準気圧から20℃への圧力変化であり、Zは標準温度における空気の特性インピーダンスであり、vは空気中の粒子の二乗平均速度平方根である。速度vは、圧力pおよびW/m
2単位において表される音の強度Jと相関性がある。
【0074】
約1メートルの距離で行われる通常の会話は、約40dB〜約60dB SPLの音圧レベルを有する。この音が0.7×0.7cm
2の孔を有する外耳道を伝わる必要がある場合、イヤフォンは約480pWを使用して70dB(1メートルの距離における通常の会話の音圧レベルの少なくとも10倍)の音圧レベルを生成する。例えば、Ultimate Ears 7 Pro(UE7 Pro)ヘッドフォンは、1kHzの入力電力1mWに対して、124dB SPLの感度と17.5Ωのインピーダンスとを有する。したがって、これらのヘッドフォンは動作するために、1チャネル当たり4.0nWの電力
を使用して、260μVrmsの電圧を生成する。さらに、等式(l)〜(4)によれば、Ultimate Ears 7 Proヘッドフォンの場合、トランスの一次巻線は2652巻を有し、0.7VのDAC272は最大電流5.68nAを有する。別の実施例では、モデルMA850G/Bなどアップルのインイヤー型ヘッドフォンは、1kHzにおいて109dB SPL/mWの感度と23Ωのインピーダンスとを有する。そのため、これらのヘッドフォンは1チャネル当たり130nWを使用して、1.70mVrmsの電圧を生成する。さらに、等式(l)〜(4)によれば、アップルのインイヤー型ヘッドフォンの場合、トランスの一次巻線は411巻を有し、0.7VのDAC272は最大電流180nAを有する。
【0075】
図5は、本発明の一実施形態に応じた、オーディオ出力装置に給電する方法のフローチャートである。一実施例では、オーディオ出力装置は
図4のイヤフォン276である。ブロック302において、ワイヤレス通信装置のアナログRFインターフェースが基地局からRF信号を受信する。アナログRFインターフェースは、
図3のインターフェース202であり得る。アナログRFインターフェースは、RF信号を復調して入力データ信号を生成して、その入力データ信号をデジタル制御ブロック204に送信する。ブロック304において、デジタル制御ブロックは、たとえば圧縮表現からデータを復号することによって任意に信号を処理する。ブロック306において、デジタル−アナログ変換器はデジタル信号をアナログ信号に変換する。デジタル−アナログ変換器は、
図4で説明したDAC272であり得る。一実施形態によれば、アナログ信号は、約0ボルトからCMOSの論理しきい値レベルまたは論理副しきい値レベルまで変動する動的な電圧範囲を有する。各種実施形態で、電圧は約0.7V、約1.8V、または約0.7V〜約1.8Vであり得る。ブロック308において、トランスがアナログ信号を、高電流を有する低電圧アナログ信号に変換する。1つの特徴によれば、トランスは最小限の電力損失で信号を変換する。電力損失は、従来の大型トランスの場合、10〜20パーセントであり、80〜90パーセントの効率というのが典型的である。各種実施例によれば、このトランスの効率は、約99パーセント、約95パーセント、約90パーセント、約80パーセント、または約90パーセント〜約99パーセントである。トランスは、
図4に記載されたトランス274であり得る。ブロック310において、低電圧アナログ信号はオーディオ出力装置に出力される。ブロック312において、出力された電気信号は音圧に変換される。
【0076】
一実施形態において、受信信号は、ワイヤレス通信装置に電力を提供し、かつ、データを含む。別の実施形態では、受信信号は、チャネルを通じて音声データを送信するために特別に設計されたパケットである。別の実施形態では、受信信号がワイヤレス通信装置に電力を提供し、異なる信号がデータを提供する。
【0077】
図6は、オーディオ入力部250の概略図であり、本発明の一実施形態に応じたマイクロフォン290と、バッファ298と、トランス296と、サンプルホールド回路294と、アナログ−デジタル変換器(ADC)292と、を備える。一実施形態によれば、オーディオ入力部250は、たとえばバッファ298およびトランス296に接続された可変ゲインアンプも備え得る。一実施形態によれば、サンプルホールド回路294はADC292の一部であり、別の実施形態では、オーディオ入力部250がサンプルホールド回路294を備えていない。別の実施形態では、バッファ298が低ノイズアンプであり得る。一実施例では、トランス296がインピーダンストランスであり、電流を減少させることによって電圧を増幅する。別の実施形態では、オーディオ出力部250がバッファ298を備えておらず、バッファ298の機能はトランス296において実装される。一実施例では、トランスは、
図8Aに示すトランス370または
図8Bおよび
図8Cに示すトランス390などの半導体トランスである。一実施形態では、トランスは、オーディオ出力部230において使用されるトランス274である。一実施例では、
図8Aに示すトランス370など単一のトランスは、オーディオ出力装置230とオーディオ入力装置25
0との両方において使用され、1つまたは複数のスイッチを、トランスの巻数比を調節するように装置ごとに適宜繰り返して使用することができる。
【0078】
アナログ−デジタル変換器292は、出力信号262を有する。マイクロフォン290、バッファ298、可変ゲインアンプ296、サンプルホールド回路294、およびアナログ−デジタル変換器292は、ワイヤレス通信装置の要素であり、マイクロフォン290からワイヤレス通信装置のデジタル制御ブロックにオーディオ入力信号を送信するに際し最小限の電力を消費するように設計される。
【0079】
マイクロフォン290は、音圧差を電気エネルギーに変換するオーディオトランスデューサを含む。一実施例では、マイクロフォン290はエレクトレットマイクロフォンであり、エレクトレットMEMSマイクロフォンであり得る。別の実施例では、マイクロフォン290はダイナミックマイクロフォンである。1つの特徴によれば、マイクロフォン290は、0ボルトバイアスで動作する。マイクロフォンの使用電力は約10pW〜約200pWであり得る。等式8〜11を用いて計算され得る。特に、圧力場の電力は、等式8を用いて定められ得る。
【0080】
【数8】
式中、pは圧力であり、Zは空気の音響インピーダンスであり、Aはマイクロフォンの孔の面積である。空気Zの音響インピーダンスは、等式9を用いて定められ得る。
【0081】
【数9】
式中、ρは媒体(ここでは空気)の密度であり、cは音速である。一実施例によれば、空気が20℃の場合、空気の密度は1.184kg/m
3であり、音速は346.1m/秒であり、インピーダンスZは約409.8Pa s/mである。なお、60dB SPLは1mの距離(r
1)において2.0・10
−3パスカルである。一実施例では、マイクロフォンと口(r
2)との間の距離がわずか約1/3メートルであるため、送信された信号のSPLはこの値を上回る。特に圧力は、r
1/r
2の比において増大する。容量センサの電力は、等式10を使用して定められ得る。
【0082】
【数10】
式中、Cは静電容量であり、Vは電圧であり、fは周波数である。孔に入るすべての音声電力が、等式11に示すとおりに電気エネルギーに変換されるものと想定して、電圧対圧力の比を計算するために等式10が使用され得る。
【0083】
【数11】
一実施例によれば、「マイクロフォン用途向け薄膜テフロン(登録商標)エレクトレット技術(A Thin Film Teflon Electret Technology for Microphone Applications)」固体センサ、アクチュエータおよびマイクロシステムズワークショップ、ヒルトンヘッド、1996年、pp.235〜238(http://www.audiocircuit.com/A−PDF/AA−Materials−MAT/Membranes−ME/941−DUP−Teflon−elect−A−A01.pdf)の中でT.Y.シュー(T.Y.Hsu)、W.H.シェ(W.H.Hsieh)、Y.−C.タイ(Y.−C.Tai)、およびK.フルタニ(K.Furutani)が述べているように、このマイクロフォンは、カルテクMEMSマイクロフォンである。マイクロフォンの孔の面積Aは、12×10
−6m
2(各側3.5mm)である。等式8〜11を使用して、入力周波数fが250Hzの場合、マイクロフォンは約13pWの電力を使用すると推定される。
【0084】
別の実施例では、マイクロフォンがブリュエル・ケアー4953エレクトレットマイクロフォンである。マイクロフォンの孔の面積Aは、127×10
−6m
2(直径1/2インチ(1.3センチメートル))である。等式8〜11を使用して、入力周波数fが250Hzの場合、マイクロフォンは約140pWの電力を使用すると推定される。
【0085】
一実施形態によれば、マイクロフォンによって生成されるピーク電圧は、約900μV〜約1.0mVである。
マイクロフォン290からの信号は、低ノイズアンプ298に送信される。低ノイズアンプ298は、信号を増幅し、トランス296に送信する。一実施形態によれば、バッファ298は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)の電圧レベルを動作させる低ノイズ・トランスインピーダンス・アンプである。CMOSの電圧レベルは、約0.7V、約1.8V、または約0.7V〜約1.8Vであり得る。
【0086】
一実施形態では、可変ゲインアンプが信号の振幅を増幅するように使用され、その信号をアナログ−デジタル変換器292に出力し得る。一実施形態では、アナログ−デジタル変換器はサンプルホールド回路294であり、一体型ADC292が後続する。別の実施形態では、アナログ−デジタル変換器292は、シグマデルタ・アナログ−デジタル変換器などのパルス密度コンバータであり得る。別の実施形態では、アナログ−デジタル変換器292は、デルタ符号化されたADCであり得る。別の実施形態では、アナログ−デジタル変換器292は逐次比較型ADCである。サンプルホールド回路294は、信号の電圧をサンプリングして、所定の期間一定レベルに保持する。その期間は約100ns〜約100μsであってもよく、約100ns、約250ns、約500ns、約750ns、約1μs、10μs、25μs、50μs、約75μs、または約100μsでもよい。サンプルホールド回路294は、その信号をADC292に出力する。
【0087】
一実施例によれば、バッファ298、トランス296、およびアナログ−デジタル変換器292は、11fJ/ステップ基準に基づき、約247ナノワットの電力を使用する。他の実施例によれば、バッファ298および可変ゲインアンプは、約337nWの電力または約584nWの電力を使用する。他の実施例では、バッファ298および可変ゲインアンプの電力使用量は、約200nW、約250nW、約300nW、約350nW、約400nW、約450nW、約500nW、約550nW、約600nW、約750nW、または1000nWである。
【0088】
一実施形態によれば、ADC292に入力される信号は、約90μV〜約1.0mVの電圧を有し、ADC292のフロントエンドゲインは約40dB以上である。一実施形態では、ADC292がスイッチ−キャパシタ直接変換二分探索配列を使用する。1つの特徴によれば、これによってADC292による電力消費量が最小化される。一実施例では、ADC292が逐次比較型ADCであり、具体的には、約3.6μWの電力を使用して最大8kS/秒の音声をキャプチャする450nW、12ビット、1kS/秒の逐次比較型(SAR)ADCであり得る。別の実施例では、ADC292は、約46.92dBのSNダイナミックレンジを有する7.5ビットのENOB(有効ビット数)、7.75μW設計である。この設計は、0.18μm CMOS(相補型金属酸化物半導体)において実装され得る。約500kS/秒で動作し、86fJ/変換ステップの性能指数(FOM:Figure of Merit)を有する。
【0089】
図7は、本発明の一実施形態に応じたオーディオ入力の受信方法350のフローチャートである。ブロック352において、たとえばマイクロフォンによってオーディオ入力が受信される。オーディオ入力は音圧差であり得る。ブロック354において、音圧差が電気エネルギーに変換される。ブロック356において、この信号は、電圧と電流とを生成するために任意にバッファされ得る。ブロック358において、受信信号は、より高い電圧および低い電流を有する信号へと任意に変換され得る。一実施形態では、信号の振幅は、たとえば可変ゲインアンプによって増幅されてもよい。一実施形態によれば、インピーダンス変換回路は、電流と電圧を変換し(ブロック356において)、電圧信号の振幅を増幅する。ブロック360において、信号の電圧が任意にサンプリングされ、所定の期間保持される。ブロック362において、アナログ信号がデジタル信号に変換される。一実施形態によれば、ブロック362におけるアナログ信号からデジタル信号への変換は、信号の電圧をサンプリングすることと、所定の期間それを保持することと、を含む。デジタル信号は、ワイヤレス通信装置のデジタル制御ブロックに出力される。任意に、ブロック364において出力信号がプロセッサによって処理される。ブロック366において、出力信号がバックスキャタトランシーバに送出される。バックスキャタトランシーバは、たとえば基地局または別のRF受信機であり得る。
【0090】
図8Aは、本発明の一実施形態に応じた一次巻線372と、二次巻線374と、スイッチモジュール376と、コア378と、を含むトランス370の概略図である。1つの特徴によれば、トランス370は微細加工トランスであり、加工用基板は、シリコンまたは微細加工に適した別の選択材料であり得る。一次巻線372および二次巻線374は、コア378に巻かれる。一次巻線372は、一次電流384を有する。一次電流384は、スイッチモジュール376および一次巻線372を通じて流れる。二次巻線374は、二次電流386を有する。
【0091】
1つの特徴によれば、一次巻線372を通過する電流384は磁場を生成し、変化する磁場は、一次巻線372の両端間に印加される電圧380を誘導する。二次巻線374を通過する電流386は、二次巻線374の両端間に印加される電圧388を誘導する。1つの特徴によれば、一次巻線372全体に印加される電圧380は、二次巻線386全体に印加される電圧388より高い。
【0092】
スイッチモジュール376は一次巻線372に接続されており、1つまたは複数のスイッチ382a〜382iを備え得る。スイッチモジュール376は、一次巻線372の巻数を調節するように使用され得る。一実施例では、スイッチモジュール376の最も左のスイッチ382aが閉じているとき、一次巻線372が840巻きを有する。別の実施例では、最も右のスイッチ382iのみが閉じているとき、一次巻線372が410巻きを有する。典型的な実施形態では、スイッチ382a〜382iのうち1つのみが一度に閉
じる。一実施形態によれば、スイッチ376はSP9Tスイッチである。
【0093】
1つの特徴によれば、コア378は磁気材料で構成される。たとえば、コア378はシリコン面上における強磁性合金である得る。別の実施例では、コア378は、ミノ(Mino)ら著、「マイクロ切換コンバータ用途のための新たなプレーナマイクロトランス(A new planar microtransformer for use in
microswitching converters)」、磁気学(Magnetics)、IEEEトランザクション、第28巻(4)、pp.1969〜73(2002年)に記載されているようなCoZrRe合金であり得る。
【0094】
図8Bは、本発明の一実施形態に応じた一次巻線392、二次巻線394、およびコア398を含むトランス390の側面斜視図である。一次巻線392および二次巻線394は、コア398に巻かれる。
図8Cは、本発明の一実施形態に応じた一次巻線392の一部を示すトランス390のコア398の分解図である。一実施例では、一次巻線392は840巻を有し、二次巻線394は1巻を有する。別の実施例では、一次巻線392は410巻を有し、二次巻線394は1巻を有する。1つの特徴によれば、コア378はシリコン上において構成され、強磁性合金製である。
【0095】
図9は、上記ワイヤレス通信装置と合わせて使用され得る基地局400の概略図である。基地局400は、受信機と、モデムおよびマイクロプロセッサ402と、復調器404と、電力検出器406と、マイクロプロセッサ408と、カプラ410と、スイッチ412と、アンテナポート414a〜414cと、デジタル制御ブロック416と、を備える。この略図は、1つまたは複数のワイヤレス通信装置から受信機402までのバックスキャタ信号420の経路を示す。基地局400は、電源が投入されると、基地局400自体の範囲内に存在するワイヤレス通信装置に給電する。電力検出器406はマイクロプロセッサ408に接続されており、受信機レベルに入るRF電力を基地局で監視する。別の実施形態では、別の電力検出器は、送信された信号のRF電力レベルを監視する。
【0096】
カプラ410は、デジタル制御ブロックによって制御されるスイッチ412によって送信機と基地局400の受信機とをアンテナポートに結合するように使用される。このカプラは、バックスキャタRF信号を、復調器404を含む受信機に提供する。復調器404は、信号からデータを除去するために入力RF信号を復調する。送信機は、デジタル−アナログ変換器およびローパスフィルタから発信され得るアナログベースバンド信号と、アンテナによってワイヤレス通信装置に送されるAM復調されたRF信号を生成する変調器(I&Qミキサ)と、を備える。
【0097】
図10は、本発明の一実施形態に応じた、RFトランシーバ452とオーディオ出力装置454とを含むワイヤレス通信装置450のブロック図である。通信装置450はまた、オーディオ入力装置456と、カメラ458と、プロセッサ464と、メモリ466と、バッテリ460と、ユーザインターフェース462と、を備え得る。ユーザインターフェースは、キーボードとディスプレイとを含み得る。ワイヤレス通信装置は処理部も備える。1つの特徴によれば、ワイヤレス通信装置450は、RF信号によって受動的に給電される。たとえば、RF信号は、RFトランシーバ452と、オーディオ出力装置454、オーディオ入力装置456、およびカメラ458のうちの1つまたは複数と、を受動的に給電し得る。
【0098】
一実施形態では、ワイヤレス通信装置450は、携帯電話や多機能電話などのデュアル・モード・ワイヤレス通信装置とバッテリ460とを備える。第1のモードでは、ワイヤレス通信装置450はRF信号を使用して受動的に給電し、バッテリ460から直流電力を引き込まない。第1のモードでは、ワイヤレス通信装置450の機能が制限されており
、第1のモードの一実施形態では、デュアル・モード・ワイヤレス通信装置が基地局と通信し、バッテリから電力を引き込むことなく、電子メールメッセージ、ウェブコンテンツ、テキストメッセージ、通話などのメッセージを引き続き受信することができる。第2のモードでは、ワイヤレス通信装置450がバッテリから電力を引き込み、その種の典型的なワイヤレス通信装置の全機能を実行することができる。
【0099】
別の実施形態では、第1のモードでは、ワイヤレス通信装置450はRF信号を使用して動作し、バッテリ460から最小限の直流電力を引き込む。このモードは、バッテリ補助受動モードとみなされ得る。第1のモードでは、ワイヤレス通信装置450の機能が制限され、第1のモードの一実施形態では、デュアル・モード・ワイヤレス通信装置が基地局と通信し、バッテリから電力を引き込むことなく、電子メールメッセージ、ウェブコンテンツ、テキストメッセージ、通話などのメッセージを引き続き受信することができる。第2のモードでは、ワイヤレス通信装置450がバッテリから電力を引き込み、その種の典型的なワイヤレス通信装置の全機能を実行することができる。
【0100】
一実施形態によれば、ワイヤレス通信装置は携帯電話であり、RF信号は、ワイヤレス通信装置が呼を受信していることを示す指示を携帯電話に提供する。携帯電話が呼を受信していることを示す指示を受信すると携帯電話がスリープ状態から復帰し、その呼を受信することができる。
【0101】
図11は、本発明の一実施形態に応じたデュアル・モード・ワイヤレス通信装置におけるデータを送受信する方法500のフローチャートである。方法500は、バッテリから電力を引き込むことなく実行可能なバックスキャタ方法502を含む。バックスキャタ方法502は、現在の通信装置よりも大幅に少ないバッテリ電力を使って実行されることもある。ブロック504において、ワイヤレス通信装置は、RF信号を探索することによって、利用可能なバックスキャタ接続が存在するか否かを決定する。利用可能なバックスキャタ接続が存在しない場合、ワイヤレス通信装置は、WiFi、3G、4Gまたは他のWLAN\WAN接続など別の接続を使用して、ワイヤレス通信装置自体のバッテリ駆動モードにおいて動作する。バックスキャタ接続が利用可能である場合には、ブロック506において基地局との接続を確立し、利用可能なデータが存在するか否かを決定する。一実施例では、データが1つまたは複数の電子メールメッセージを表す。このデータは、サーバからダウンロード、またはワイヤレス通信装置からサーバにアップロード可能であり得る。各種実施形態において、データは、TCP/IP(伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(Transmission Control Protocol/Internet Protocol))やUDP/IP(ユーザ・データグラム・プロトコル/インターネットプロトコル(User Datagram Protocol/Internet Protocol)))などのプロトコルを改変することによって送信され得る。別の実施形態では、データは、SMTP(シンプル・メール・トランスファ・プロトコル(Simple Mail Transfer Protocol))、HTML(ハイパー・テキスト・マークアップ言語(Hyper Text Markup Language))、SMS(ショート・メッセージ・サービス(Short Message Service))、IM(インスタントメッセージング(Instant Messaging))、電話情報またはボイスメールなどパケット化されたデータとして、ワイヤレスチャネルを通じて直接送信される。
【0102】
ブロック508において、ワイヤレス通信装置がデータの受信または送信を行い、それによって先入れ先出し(FIFO:first−in first out)キューをフルにするか、または空にする。一実装形態によれば、ブロック510において、ワイヤレス通信装置は、データを受信しているFIFOがフルか否かを決定する。データを受信しているFIFOがフルの場合、ワイヤレス通信装置はブロック518において、FIFO
を空にするためにプロセッサをスリープ状態から復帰させる。データを受信しているFIFOがフルでない場合には、ブロック512において、データ転送が完了しているか否かを決定する。データ転送が完了していない場合、方法はブロック508に戻り、受信するデータを増やす。一実施例によれば、FIFOにおけるデータの量は、FIFOのフィル状態である。本実施例では、FIFOが空であれば、フィル状態はFIFOが空であることを表し、FIFOがフルであれば、フィル状態はFIFOがフルであることを表す。一実施例では、フィル状態は、FIFOに残っている空き容量の量または割合を表す。
【0103】
別の実装形態では、ブロック510において、ワイヤレス通信装置は、データを送信しているFIFOが空か否かを決定する。データを送信しているFIFOが空の場合、ブロック518において、ワイヤレス通信装置はFIFOをフルにするようにプロセッサをスリープ状態から復帰させる。データを受信しているFIFOが空でない場合には、ブロック512において、ワイヤレス通信装置はデータ転送が完了しているか否かを決定する。データ転送が完了していない場合には、方法はブロック508に戻り、送信するデータを増やす。FIFOは、完全に受動的なオーディオモードにおいて使用され得るか、または他のタイプのデータに対して使用され得る。一実施形態によれば、完全に受動的なオーディオモードは、FIFOを使用することなく機能する。
【0104】
1つの特徴によれば、方法500は、利用可能であれば、バックスキャタ方法502を用いてデュアル・モード・ワイヤレス通信装置を使用することによってバッテリ電力を維持する。ワイヤレス通信装置は、方法502を実行するに際し、バッテリから電力を一切引き込まずに、スリープモードに入りメッセージを引き続き受信することができ、バッテリの寿命を格段に延ばすことができる。
【0105】
上記実施形態では、ワイヤレス通信装置はローカル基地局と通信する。一実装形態では、施設は、その施設内の至るところに分散したいくつかの基地局を備え得る。ワイヤレス装置のユーザは、施設内を移動しながら、ユーザの位置に基づいてさまざまな基地局に接続し得る。基地局は、複数のワイヤレス通信装置の各々との通信を調整するために、WiFi、3G、4Gなどの有線またはワイヤレス技術を用いて互いに通信し得る。また、各々の基地局は、1つ以上のワイヤレス通信装置に対して動作し得る。
【0106】
上記のとおり、本発明の実施形態は、装置がバッテリ電力を一切使用せずに、または特定の動作モードにおいて動作できるようにすることによって、ワイヤレス通信装置における重要な利点を提供する。
【0107】
以上、少なくとも一実施形態のいくつかの態様について説明してきたが、当業者であれば、各種変更形態、修正形態、および改良形態が容易に想到し得るものと理解されるべきである。かかる変更形態、修正形態、および改良形態は、本開示の一部であるものと意図され、かつ本発明の範囲内であるものと意図される。したがって、先述の説明と図面は例示目的に過ぎず、本発明の範囲は、添付の請求項およびそれらの均等物の適切な構成から決定されるべきである。