【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明による実施の形態を示した概念図で、複数の各々のDCファン1
1,1
2・・・1
nの電源配線2a、2bをそのまま制御装置3に接続した例である。制御装置3は、各々のDCファン1
1,1
2・・・1
nの電源配線2a、2bのマイナス側の配線2bに接続した駆動電流検出手段としての電流センサR
1,R
2,・・・R
nを内蔵したものである。各電流センサRは、制御装置3の近傍に配設しても良い。制御装置3には、各電流センサRとともに、回転数検出および正常・異常の判定手段として、回転数検出回路4が内蔵されており、各電流センサRからの検出電流が回転数検出回路4に入力されるものである。この実施例は、DCファン1の台数nに対して配線数は2nとなる。
【0010】
図2は、本発明による他の実施の形態を示した概念図で、複数の各々のDCファン1
1,1
2・・・1
nの電源配線2a、2bのプラス側の配線2aを共通にして制御装置3に接続したものである。制御装置3は、各々のDCファン1
1,1
2・・・1
nのマイナス側の配線2bに接続した駆動電流検出手段としての電流センサR
1,R
2,・・・R
nを内蔵したものである。各電流センサRは、制御装置3の近傍に配設しても良い。制御装置3には、各電流センサRとともに、回転数検出および正常・異常の判定手段として、回転数検出回路4が内蔵されており、各電流センサRからの検出電流が回転数検出回路4に入力されるものである。この実施例は、DCファン1の台数nに対して配線数はn+1となる。
【0012】
図3は、本発明による、1台の回転数検出回路4によってn台のDCファン1
1,1
2・・・1
nの回転数を監視するときの、制御のフローチャートを示したものである。
このフローチャートを説明すると、まず、ファン番号f=1に設定(S1)し、f番号にデータを切り換える(S2)。電流センサR
1,R
2,・・・R
nを通して各DCファン1
1,1
2・・・1
nごとの電流を検出して脈動周期を計測する(S3)。
脈動周期から回転数を演算し(S4)、これを判定(S5)する。予め定めておいた正常範囲ならOK、範囲外ならNGを主制御機に情報を送信し(S6)、次に2台目を計測するためファン番号に1を加える(S7)。このように順次n台のDCファンの全ての回転数計測および判定処理を進めていき、n台目の処理が終わったら、1台目に戻って監視を続ける(S8)。
【実施例】
【0013】
例えば、基準回転数3000rpmのDCファンにおいて、2回転で電流の脈動周期を計測した場合、1台に要する時間は、実際に2回転分を計測する0.04秒に加えて演算に要する時間である。1台の演算判定に要する時間を仮に0.06秒とした場合、合計時間は0.1秒となり、100台のDCファンの回転数すべてを検出する時間は約10秒である。この時間は一般的な装置の熱時定数からみると十分短い時間といえるので、順次処理を行っても実用上問題は無い。
当然ながら、その処理の途中に他の制御を入れることができるし、逆に他の制御を行っている途中の空いた時間に処理を行うことも出来る。
【0014】
上記の実施の形態によれば、以上の検出方法によって、DCファン1
1,1
2・・・1
nごとにそれに接続された電流検出器(電流センサR
1,R
2,・・・R
n)によってDCファン1
1,1
2・・・1
nが特定されるので、設置した全てのDCファン1
1,1
2・・・1
nについて個別に回転数を把握することが出来る。
【0015】
図4は、
図1または
図2と同一部分は同符号を付して示す本発明の他の実施の形態である。
DCファンの数が相当多い場合には、1台の制御装置に全てのDCファン1の配線を接続することは、多くの配線が集中することになり、設置作業が煩雑になると共に、DCファンと電流センサ(電流検出器)の対比が図り辛く、間違いを起こしやすくなる。
【0016】
そこで、
図4に示された実施の形態では、DCファン1をグループごとに分け、それぞれのグループにグループ制御装置5を設けて、上記同様グループ内での制御を行う。例えば、8台ずつのグループに分ければ、グループ内でのDCファン1
1,1
2・・・1
8と電流検出器の相関は取りやすい。
【0017】
図4は1台のグループ制御装置5でn台のDCファン1
1,1
2・・・1
nを監視し、g台のグループ制御装置5
1,5
2、・・・5
gが主制御機6に接続された形態の概念図である。
この場合、グループ制御装置5
1,5
2、・・・5
gは識別コード(1〜g)を設定する機能を持つ。DCファン1
1,1
2・・・1
nには識別コードは持たないが、グループ制御装置5
1,5
2、・・・5
gへの接続箇所からDCファン1
1,1
2・・・1
nを特定できる。このように接続すれば、主制御機6から、グループ制御装置5
1,5
2、・・・5
gを通じて全てのDCファン1
1,1
2・・・1
nの状態を把握できる。
【0018】
図5はグループ制御装置5
1,5
2、・・・5
gの内部構造を表す概念図である。グループ制御装置5
1,5
2、・・・5
gは、電源Eと、例えば抵抗器など各DCファン1
1,1
2・・・1
nに対応した電流検出手段R1,R2,…,Rnと、電流検出手段によって検出された各検出信号を切替えるデータ切替手段8と、データ切替手段8から入力されたデータに基づき脈動周期を検出する脈動周期検出手段9と、脈動周期検出手段9から脈動周期が入力され運転状態を判定する運転状態判定手段10と、運転状態判定手段10からの判定結果を主制御機6に伝達する通信手段11と、この通信手段11に接続され、グループのアドレスとなる識別コードを設定する識別コードスイッチ12とを備えている。
図3と同様なフローで回転数の監視を行う。
【0019】
図6はグループ制御装置5
1,5
2、・・・5
gから主制御機6へのデータ通信の一例を示した概念図である。グループ識別コード、グループ内のDCファン1
1,1
2・・・1
n識別コードに続いて、そのDCファン1
1,1
2・・・1
nの状態を送信する。それによって、主制御機6からは、グループ制御装置5
1,5
2、・・・5
gを特定し、さらにはDCファン1
1,1
2・・・1
nを特定することが出来るので、全てのDCファン1
1,1
2・・・1
nの状態を把握することが出来る。
【0020】
図7はDCファンの電流波形の一例である。一般にDCファンは、モータの回転子の位置を検出して固定子側巻線の励磁を切替えて駆動しているため、電源から流入する電流は脈動している。1回転中の切替回数は回転子の極数によることから、電流脈動周波数を回転子の極数で除すればファンの回転速度が導き出される。(特許文献2参照)
図7の例では、モータが4極で、周期が約4.3msなので、約3490rpmで回っていることが分る。
【0021】
上記実施の形態の効果は、以下のとおりである。
電源線2a,2bを流れる電流からDCファン1
1,1
2・・・1
nの回転数を検出する方法を採用したので、DCファン側に回転異常検出や識別のための回路等を設置しなくても状態を把握できるため、アラーム検出装置を持たないDCファンを用いることができる。このことは、安価なファンを用いることができると同時に、部品数の削減による信頼性向上が図れるという利点がある。
電流センサR
1,R
2,・・・R
nを制御装置3またはその近傍に置いて、各々のDCファン1
1,1
2・・・1
nに繋がる信号線2cを無くしたので、配線数の削減が図れる。n台のDCファンの場合、合計n+1本の電線だけで済む。例えば100台のときは101本となる。
動力用電源線2a,2bの配線だけで、従来のアラーム検出装置を備えたDCファンのように信号線2cを引き回さないので、ノイズの影響を受けない。
電流検出器7(例えば抵抗器R)は各々のDCファン1
1,1
2・・・1
nごとに設ける必要があるが、回転速度を求めるための演算装置は少なくとも1台でよいので、大幅な部品数と費用の削減が図れると同時に信頼性向上が図れる。
DCファン1
1,1
2・・・1
nをグループ分けし、グループごとに個々のDCファンの電流脈動から回転数を求める検出手段と判定手段と、主制御機との通信手段と、グループのアドレスとなるグループ識別コードを設定するスイッチ等を備えたグループ制御装置5
1,5
2・・・5
nを設けたので、全てのDCファンの状態を個別に把握できるとともに、設置時のアドレスに対する設置されたファンの同定が容易になるだけでなく、アラーム発生時の故障ファンの同定も容易になり、多くのファンを使用する上での煩雑さの軽減が図れる。
【0022】
なお、本発明は、上記実施の形態のみに限定されるものではなく、電流脈動を検出する手段としては、電流を検出できるものとして、抵抗、ホールセンサ、電流トランスなど各種の検出手段を用いることができるなど、その他、本発明の要旨を変更しない範囲内で適宜変更して実施し得ることは言うまでもない。