(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記マトリックス層には光を拡散させる拡散剤、気泡をとり除く消泡剤、前記蛍光体を前記マトリックス層内に均一に分散させる添加剤及び前記マトリックス層を硬化させる硬化剤のうちで少なくとも一つが含まれたことを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
前記蛍光体は、ケイ酸(Silicate)系列、スルフィド(Sulfide)系列、YAG系列及びTAG系列のうちで少なくともいずれか一つの蛍光体を含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の光学フィルム。
前記マトリックス層が100重量部であるとする時、前記マトリックス層内には前記赤色蛍光体1ないし60重量部及び前記緑色蛍光体1ないし60重量部が含まれたことを特徴とする請求項7に記載の光学フィルム。
前記マトリックス層が100重量部であるとする時、前記マトリックス層内には前記赤色蛍光体1ないし60重量部、前記緑色蛍光体1ないし60重量部及び前記黄色蛍光体1ないし60重量部が含まれたことを特徴とする請求項7に記載の光学フィルム。
前記マトリックス層は、シリコン樹脂及び蛍光体を混合して撹拌して、液状のマトリックス樹脂物を形成して、前記液状のマトリックス樹脂物を前記ベースフィルム上に塗布した後硬化させることで形成することを特徴とする請求項10に記載の光学フィルム製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付された図面を参照して実施例を詳しく説明するようにする。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態による光学フィルム1の断面図である。
【0011】
図1を参照すれば、前記光学フィルム1はベースフィルム10、該ベースフィルム10上にマトリックス層20、該マトリックス層20上に保護層30、該保護層30上に保護フィルム40、該保護フィルム40上に接着部材50及び前記接着部材50上に離型フィルム60を含むことができる。
【0012】
前記マトリックス層20には蛍光体が含まれ、前記蛍光体は光源によって放出される第1光によって励起され、第2光を放出するようになる。
【0013】
すなわち、前記光学フィルム1は光源から放出される光の波長を変化させて外部に放出することができる効果を有する。
【0014】
したがって、前記光学フィルム1は、各種照明装置、バックライトユニット、発光素子、表示装置などの光源に適用され、多様な波長を有する光を生成するのに使用されるか、または前記光源の演色指数(CRI)を向上させるなどの用途で使用されることができる。
【0015】
以下、前記光学フィルム1の構成要素に対して詳しく説明する。
【0016】
前記ベースフィルム10は良好な光透過性及び耐熱性を有する樹脂材質で形成されることが望ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate:PET)、ポリエチレンナフタレート(Polyethylene naphthalate:PEN)、アクリル樹脂、ポリカーボネート(Polycarbonate:PC)、ポリスチレン(Polystyrene:PS)、ポリメチルメタクリレート(Polymethyl methacrylate:PMMA)などでなされた群から選択的に形成されることができる。
【0017】
具体的には、前記ベースフィルム10の材質は前記光学フィルム1の用途によって選択されることができるが、例えば、高い光透過性が要求される場合には90%以上の光透過率を有するポリエチレンテレフタレート(PET)を使用することができる。また耐熱性、耐化学性が要求される場合には、前記ベースフィルム10はポリカーボネート(Polycarbonate)で形成されることができる。但し、前記ベースフィルム10の材質に対しては限定しない。
【0018】
前記ベースフィルム10の厚さは、例えば、10μmないし500μmであることがあって、望ましくは、20μmないし30μmである。10μmないし500μmでは取り扱い性や光透過率が良いが、20μmないし30μmでは取り扱い性及び光透過率特性がさらに良い。但し、これに対しては限定しない。
【0019】
前記ベースフィルム10上には前記マトリックス層20が形成されることができる。
【0020】
前記マトリックス層20は、良好な光透過率、粘度、硬化温度などを有する材質で形成されることが望ましい。前記光学フィルム1は高温で光を放出する光源に適用されることができるので、高温でも良好な光透過率と粘度及び硬度を維持しなければならないからである。
【0021】
具体的には、前記マトリックス層20は、80%以上の光透過率を有して、120℃以下で硬化され、3000cp以上の粘度を有して、前記ベースフィルム10との接着性が良好な材質で形成されることができる。例えば、前記マトリックス層20は樹脂材質及びシリコン材質のうちで少なくとも一つで形成されることができるし、望ましくは、シリコン樹脂(Silicone Resin)で形成されることができる。
【0022】
前記マトリックス層20の厚さは、20μmないし500μmであることがあって、望ましくは、30μmないし50μmである。このような厚さ範囲の前記マトリックス層20は、後述する蛍光体、拡散剤、消泡剤などが容易に混合されることができるし、光が安定的に透過されることができるし、前記ベースフィルム10上に容易に塗布されることができる。
【0023】
前記マトリックス層20は、蛍光体を含むことができる。前記蛍光体は、例えば、液状のマトリックス層20に混合して撹拌機を利用して撹拌することで前記マトリックス層20内に含まれることができる。
【0024】
前記蛍光体は、光源によって放出される第1光によって励起され、第2光を放出して、例えば、ケイ酸(Silicate)系列、スルフィド(Sulfide;硫化物)系列、YAG系列及びTAG系列のうちで少なくともいずれか一つを使用することができる。
【0025】
前記蛍光体は光源から放出される前記第1光によって励起されて黄色、赤色、緑色及び青色の光を放出する黄色、赤色、緑色及び青色蛍光体のうちで少なくともいずれか一つを含むことができるが、前記蛍光体の種類に対しては限定しない。
【0026】
一方、深紅色を発光させるための代表的なスルフィド系列の無機蛍光体としてCaS:Euが使用されることができる。オレンジ色蛍光体としてスルフィド系列のSrS:Eu及びMgS:Euのうちで少なくともいずれか一つが使用されることができる。緑色蛍光体としては、スルフィド系列のSrGa
2S
4:Eu
2+を使用することができる。
【0027】
前記蛍光体は、前記光学フィルム1が適用される光源によって相異な種類及び量が前記マトリックス層20に含まれることができる。
【0028】
例えば、前記光学フィルム1が白色光源に適用される場合、前記マトリックス層20には緑色及び赤色蛍光体が含まれることができるし、前記マトリックス層20の100重量部(wt%)に対して前記緑色蛍光体1ないし60重量部及び前記赤色蛍光体1ないし60重量部が含まれることができる。
【0029】
また、前記光学フィルム1が青色光源に適用される場合、前記マトリックス層20には緑色、黄色及び赤色蛍光体が含まれることができるし、前記マトリックス層20の100重量部に対して前記緑色蛍光体1ないし60重量部、前記黄色蛍光体1ないし60重量部及び前記赤色蛍光体1ないし60重量部が含まれることができる。
【0030】
このように、前記マトリックス層20内に含まれる前記蛍光体の種類及び量は光源の種類によって変化されることができるし、これに対しては限定しない。
【0031】
一方、前記マトリックス層20には拡散剤、消泡剤、添加剤、硬化剤のうちで少なくとも一つがさらに含まれることもできる。
【0032】
前記拡散剤は、前記マトリックス層20に入射される光を散乱させることで拡散させることができる。前記拡散剤は、例えば、酸化シリコン(SiO
2)、酸化チタン(TiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、硫酸バリウム(BaSO
4)、炭酸カルシウム(CaSO
4)、炭酸マグネシウム(MgCO
3)、水酸化アルミニウム(Al(OH)
3)、合成シリカ、ガラスビーズ、ダイヤモンドのうちで少なくとも一つを含むことができるが、これに限定しない。
【0033】
前記拡散剤の粒子大きさは、光の拡散に好適な大きさに選択されることができるし、例えば、5〜7μmの直径を有するように形成されることができる。
【0034】
前記消泡剤(antifoaming agent)は、前記マトリックス層20内の気泡をとり除くことで、前記光学フィルム1の信頼性を向上させることができる。特に、前記マトリックス層20を前記ベースフィルム10上にスクリーン印刷方式によって塗布する時に問題になる気泡問題を解決することができる。
【0035】
前記消泡剤はオクタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールまたは各種界面活性剤のうちで少なくとも一つを含むことができるが、これに対しては限定しない。
【0036】
前記硬化剤は前記マトリックス層20を硬化させることができるし、前記添加剤は前記蛍光体を前記マトリックス層20内に均一に分散するために使用されることができる。
【0037】
前記マトリックス層20上には前記保護層30が形成されることができる。
【0038】
前記保護層30は良好な光透過率、耐熱性及び接着性を有する樹脂材質または/及びシリコン材質で形成されることができる。
【0039】
特に、前記保護層30上に形成される前記保護フィルム40との接着性が良好な材質で形成されることが望ましいが、例えば、前記保護層30は光透過率が80%以上であり、耐熱性及び接着性が優れたシリコン樹脂で形成されることができる。
【0040】
前記保護層30の厚さは、例えば20μmないし50μmであることがあって、これに対しては限定しない。
【0041】
前記マトリックス層20上にすぐに前記保護フィルム40を形成する場合、前記マトリックス層20と前記保護フィルム40との間の接着力が不足で、二つの層の間が離れ、二つの層の間に水分が浸透するなどの現象が発生して、光学フィルムの信頼性を阻害する要因になることがある。
【0042】
したがって、実施例では前記マトリックス層20及び前記保護フィルム40の間に前記保護層30を形成することで、前記保護フィルム40との接着を堅くして、前記光学フィルム1の信頼性を向上させることができる。
【0043】
具体的には、先ず、前記マトリックス層20上に半硬化(B-stage)状態の前記保護層30を塗布して、半硬化状態の前記保護層30上に前記保護フィルム40を付着した後に前記保護層30を硬化させることで、前記保護フィルム40を前記保護層30上に堅く接着して、前記光学フィルム1の信頼性を向上させることができる。
【0044】
また、実施例のように前記保護層30を形成する場合、前記マトリックス層20に含まれる蛍光体を保護する効果がある。すなわち、前記保護層30が光源から発生される熱が前記蛍光体に伝達することを緩衝する効果をして、前記蛍光体が熱によって劣化される現象を減少させることができる。特に、一般に赤色蛍光体の場合熱に脆弱な特性を有するので、前記保護層30による蛍光体保護効果がさらに確実に現われることができる。
【0045】
前記保護層30上には前記保護フィルム40が形成されることができる。前記保護フィルム40は前記マトリックス層20を保護して、前記光学フィルム1の信頼性を向上させることができる。
【0046】
前記保護フィルム40は、前記ベースフィルム10と同一な材質で形成されることができるし、例えば、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate:PET)、ポリエチレンナフタレート(Polyethylene naphthalate:PEN)、アクリル樹脂、ポリカーボネート(Polycarbonate:PC)、ポリスチレン(Polystyrene:PS)、ポリメチルメタクリレート(Polymethyl methacrylate:PMMA)などでなされた群から選択的に形成されることができる。
【0047】
また、前記保護フィルム40の厚さは、例えば、10μmないし500μmであることがあって、望ましくは25μmである。
【0048】
前記保護フィルム40上には前記接着部材50が形成されることができる。
【0049】
前記接着部材50は胴体層51と、該胴体層51の両面に第1接着層52a及び第2接着層52bを含むことができる。
【0050】
前記第2接着層52bは前記胴体層51及び前記保護フィルム40の間に形成されて二つの層をお互いに接着させる。
【0051】
また、前記第1接着層52aは前記胴体層51上に形成され、外部の光源に前記光学フィルム1を付着させることができる。
【0052】
前記接着部材50は別に用意して、前記保護フィルム40上に付着するか、または前記保護フィルム40上に順次に積層されることで形成されることができるし、これに対しては限定しない。また、前記接着部材50は必要ではない場合には、形成されないこともあって、これに対しては限定しない。
【0053】
前記接着部材50上には前記離型フィルム60が形成されることができる。前記離型フィルム60は前記第1接着層52aが空気などによって乾燥されて接着力を喪失することを防止することができる。前記光学フィルム1は前記離型フィルム60をとり除いた後、光源などに付着することができる。
【0054】
以下、実施例による光学フィルム1の製造方法に対して詳しく説明する。但し、前に説明した内容と重複される内容に対しては手短に説明するか略する。
【0055】
図2ないし
図5は、前記光学フィルム1の製造方法を説明する図面であり、
図7は前記光学フィルム1の製造方法を示す流れ図である。
【0056】
図2を参照すれば、前記ベースフィルム10を準備して(
図7のS101)、用意した前記ベースフィルム10上に前記マトリックス層20を形成する(
図7のS102)。
【0057】
前記ベースフィルム10は、前記光学フィルム1が適用される光源の種類によって、その材質及びサイズが選択されて用意することができる。
【0058】
前記ベースフィルム10上には前記マトリックス層20が形成されることができる。
【0059】
前記マトリックス層20は、例えば、シリコン樹脂及び蛍光体などを混合して撹拌して液状のマトリックス樹脂物を形成した後、前記液状のマトリックス樹脂物を前記ベースフィルム10上に塗布することで形成することができる。
【0060】
前記マトリックス層20は、例えば、スクリーンプリンティング方式、スリットコーティング方式、ロールコーティング方式などで前記ベースフィルム10上に塗布した後硬化されることで形成されることができる。前記マトリックス層20は電気オーブン、赤外線乾燥器などによっておおよそ100℃の温度で乾燥して硬化されるか、または硬化剤が添加されることで硬化されることができる。
【0061】
図3及び
図4を参照すれば、前記マトリックス層20上に前記保護層30を形成して(
図7のS103)、前記保護層30上に前記保護フィルム40を形成することができる(
図7のS104)。
【0062】
前記保護層30は半硬化(B-stage)状態で前記マトリックス層20上に塗布され、半硬化状態の前記保護層30上に前記保護フィルム40を付着した後に前記保護層30を硬化させることで、前記保護フィルム40を前記保護層30上に堅く接着して、前記光学フィルム1の信頼性を向上させることができる。
【0063】
前記保護層30は硬化剤を添加して硬化されるか、または電気オーブン、赤外線乾燥器などによっておおよそ100℃の温度で乾燥することができる。
【0064】
前記保護層30は良好な光透過率、耐熱性及び接着性を有する樹脂材質または/及びシリコン材質で形成されることができるし、その厚さは20μmないし50μmであることができる。
【0065】
前記保護フィルム40は、前記ベースフィルム10と同一な材質で形成されることができるし、その厚さは、例えば、10μmないし500μmであることができる。
【0066】
図5を参照すれば、前記保護フィルム40上に前記接着部材50及び前記離型フィルム60を形成することで(
図7のS105)、実施例による光学フィルム1が提供される。
【0067】
前記接着部材50は別に用意して、前記保護フィルム40上に付着するか、または前記保護フィルム40上に順次に積層されることで形成されることができるし、これに対しては限定しない。また、前記接着部材50は必要ではない場合には、形成されないこともあって、これに対しては限定しない。
【0068】
前記離型フィルム60は、前記第1接着層52aが空気などによって乾燥して接着力を喪失することを防止することができる。前記光学フィルム1は前記離型フィルム60をとり除いた後光源などに付着することができる。
【0069】
一方、前記光学フィルム1の信頼性を向上させるために、1時間ないし24時間の間に前記光学フィルム1を50℃ないし100℃の温度で加熱する後処理工程が実施されることができる。
[第2の実施形態]
以下、第2の実施形態による光学フィルム2及びその製造方法に対して詳しく説明する。第2の実施形態に対する説明において、第1の実施形態と重複される内容は略する。
【0070】
図6は、第2の実施形態による光学フィルム2の断面図である。第2の実施形態による光学フィルム2は第1の実施形態による光学フィルム1に比べて保護フィルムの存否を除き同一である。
【0071】
図6を参照すれば、前記光学フィルム2はベースフィルム10、該ベースフィルム10上にマトリックス層20、該マトリックス層20上に保護層30、該保護層30上に接着部材50及び前記接着部材50上に離型フィルム60を含むことができる。
【0072】
前記保護層30上には前記接着部材50がすぐ形成されることができる。すなわち、第1の実施形態の保護フィルムが形成されないこともある。
【0073】
別途の保護フィルムが形成されないので、前記保護層30は第1の実施形態に比べて厚く形成されて前記光学フィルム1の信頼性を確保することができる。例えば、前記保護層30の厚さは20μmないし100μmであることがあって、これに対しては限定しない。
[第3の実施形態]
図8は、第3の実施形態による光学フィルム3の断面図である。
【0074】
図8を参照すれば、前記光学フィルム3はベースフィルム10、該ベースフィルム10上にマトリックス層20、前記マトリックス層20上に粘着性樹脂層30a及び前記粘着性樹脂層30上に離型フィルム60を含むことができる。
【0075】
第3の実施形態のベースフィルム、マトリックス層及び離型フィルムは第1の実施形態の光学フィルムで既に説明したので、これに対する説明は略することにする。
【0076】
マトリックス層20上には前記粘着性樹脂層30aが形成されることができる。前記粘着性樹脂層30aは良好な光透過率、耐熱性を有して、特に優れた粘着性を有する樹脂材質または/及びシリコン材質で形成されることができる。
【0077】
例えば、前記粘着性樹脂層30aは、シリコン樹脂、望ましくは、トルエン(Toluene)を含む溶剤タイプのシリコン樹脂で形成されることができる。前記トルエンを含むシリコン樹脂は優れた粘着性を有すると共に高い光透過率を有するので、前記光学フィルム2を光源などに付着するための別途の接着部材を形成する必要がない。
【0078】
すなわち、前記粘着性樹脂層30aを形成することで、前記光学フィルム1の製造工程が簡素化されるだけでなく、前記光学フィルム2の厚さが薄くなって、これによって前記光学フィルム2を透過する光の光損失量も減ることがある。
【0079】
前記トルエンを含むシリコン樹脂の光透過率は、少なくとも90%以上であることがあって、粘性は2000ないし10000cp(centipoise)であることができる。
【0080】
一方、前記粘着性樹脂層30aの厚さは、例えば20μmないし100μmで形成されることが望ましい。
【0081】
このような厚さの前記粘着性樹脂層30aは、光源から発生される熱が前記マトリックス層20内に含まれた蛍光体に伝達することを緩衝する効果を有し、前記蛍光体が熱によって劣化される現象を減少させることができる。特に、赤色蛍光体の場合熱に脆弱な特性を有するので、前記粘着性樹脂層30aによる蛍光体保護効果がさらに確実に現われることができる。
【0082】
前記粘着性樹脂層30aが揮発性を有するトルエンを含む場合、前記マトリックス層20上に半硬化(B-stage)状態で形成した後、別途の硬化剤を使わないで電気オーブン、赤外線乾燥器などによって熱を加えて乾燥することで硬化させることができる。但し、前記粘着性樹脂層30aは硬化剤を添加して硬化させることもでき、これに対しては限定しない。
【0083】
前記粘着性樹脂層30a上には前記離型フィルム60が形成されることができる。前記離型フィルム60は前記粘着性樹脂層30aが空気などに露出して接着力を喪失することを防止することができる。前記光学フィルム2は前記離型フィルム60をとり除いた後光源などに付着することができる。
【0084】
以下、実施例による光学フィルム3の製造方法に対して詳しく説明する。但し、前に説明した内容と重複される内容に対しては手短に説明するか、または略する。
【0085】
図9ないし
図11は、前記光学フィルム3の製造方法を説明する図面であり、
図12は前記光学フィルム3の製造方法を示す流れ図である。
【0086】
図9を参照すれば、前記ベースフィルム10を準備して(
図12のS101)、用意した前記ベースフィルム10上に前記マトリックス層20を形成する(
図12のS102)。
【0087】
前記ベースフィルム10は、前記光学フィルム3が適用される光源の種類によって、その材質及びサイズが選択されて用意することができる。
【0088】
前記ベースフィルム10上には前記マトリックス層20が形成されることができる。
【0089】
前記マトリックス層20は、例えば、シリコン樹脂及び蛍光体などを混合して撹拌して液状のマトリックス樹脂物を形成した後、前記液状のマトリックス樹脂物を前記ベースフィルム10上に塗布することで形成することができる。
【0090】
前記マトリックス層20は、例えば、スクリーンプリンティング方式、スリットコーティング方式、ロールコーティング方式などで前記ベースフィルム10上に塗布した後硬化されることで形成されることができる。前記マトリックス層20は電気オーブン、赤外線乾燥器などによっておおよそ100℃の温度で乾燥して硬化されるか、または硬化剤が添加されることで硬化されることができる。
【0091】
図10を参照すれば、前記マトリックス層20上に前記粘着性樹脂層30aを形成することができる(
図12のS103)。
前記粘着性樹脂層30aは、良好な光透過率、耐熱性を有して、特に、優れた粘着性を有する樹脂材質または/及びシリコン材質で形成されることができる。例えば、前記粘着性樹脂層30aはシリコン樹脂、望ましくは、トルエン(Toluene)を含む溶剤タイプのシリコン樹脂で形成されることができる。
【0092】
前記粘着性樹脂層30aの厚さは、例えば20μmないし100μmで形成されることが望ましい。このような厚さの前記粘着性樹脂層30aは、光源から発生される熱が前記マトリックス層20内に含まれた蛍光体に伝達することを緩衝する効果を有し、前記蛍光体熱によって劣化される現象を減少させることができる。
【0093】
前記粘着性樹脂層30aが揮発性を有するトルエンを含む場合には、前記マトリックス層20上に半硬化(B-stage)状態で形成した後、別途の硬化剤を使わないで電気オーブン、赤外線乾燥器などによっておおよそ100℃程度の熱を加えて乾燥することで硬化させることができる。但し、これに対しては限定しない。
【0094】
実施例による光学フィルム3は、前記粘着性樹脂層30aを形成することでスリムな厚さ及び向上した光透過率を有して、その製造工程が簡素化されることができる。
【0095】
図11を参照すれば、前記粘着性樹脂層30a上に前記離型フィルム60を形成することで(
図12のS104)、実施例による光学フィルム3が提供されることができる。
【0096】
前記離型フィルム60は前記粘着性樹脂層30aが外部に露出して粘着性を喪失することを防止することができるし、前記光学フィルム3を光源などに付着する時には前記離型フィルム60を除去することができる。
【0097】
一方、前記光学フィルム3の信頼性を向上させるために、1時間ないし24時間の間に前記光学フィルム3を50℃ないし100℃の温度で加熱する後処理工程が実施されることができる。
【0098】
図13は、実施例による発光素子を示す図面である。
【0099】
図13を参照すれば、前記発光素子は発光チップ100、該発光チップ100から出射された光によって励起される少なくとも一種類の蛍光体を含む第1ないし第3の実施形態で説明したいずれか一つの光学フィルム1、2、3を含むことができる。
【0100】
前記発光チップ100は、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を含むことができるが、これに対しては限定しない。
【0101】
前記発光ダイオードは、例えば、赤色、緑色、青色または白色の光を生成する赤色、緑色、青色または白色発光ダイオードであることができる。
【0102】
一般に、発光ダイオード(LED)は窒化物半導体層の間のエネルギーバンドギャップ差によって光を生成する半導体素子である。ところが、このような発光ダイオードはエネルギーバンドギャップ差による所定の波長帯の光のみを生成するので、演色指数(CRI:Color Rendering Index)が低くて、高品質の光が要求される環境には適用されにくい問題点がある。
【0103】
したがって、実施例では前記発光チップ100から出射される光が前記光学フィルム1、2、3を通過するようにすることで、85ないし100の高い演色指数(CRI)を確保する。
【0104】
すなわち、前記光学フィルム1、2、3を通過する光は、前記光学フィルム1、2、3内に含まれた少なくとも一種類の蛍光体を励起させて、励起光が生成され、前記励起光によって前記発光チップ100から出射された光の演色指数(CRI)が向上することができる。
【0105】
一方、前記光学フィルム1、2、3内に含まれる前記蛍光体の種類及び量は前記発光チップ100から生成される光の色温度(Color Temperature)によって選択されることができる。
【0106】
図14は、前記発光チップ100の色温度による前記光学フィルム1内に含まれる蛍光体の種類及び量を示す表であり、
図15ないし
図20は、前記光学フィルム1を適用する場合前記発光素子の演色指数(CRI)変化を示したグラフである。
【0107】
図14、
図15及び
図16を参照すれば、前記発光チップ100の色温度が3000Kである場合、前記光学フィルム1には前記マトリックス層20の100重量部(wt%)に対して主波長が650nmである赤色(R)蛍光体30ないし40重量部及び主波長が515nmである緑色(G)蛍光体30ないし40重量部が含まれることができる。
【0108】
前記発光チップ100から放出される光は、
図15に示されたところのように、515nm近所及び650nm近所の光の強さが相対的に低くて、これによって低い演色指数(CRI)を有する。よって、前記光学フィルム1内に515nm及び650nmの主波長を有する前記赤色(R)及び緑色(G)蛍光体を含むことで、前記発光素子が
図16のようにおおよそ92の演色指数(CRI)を有するようにすることができる。
【0109】
図14、
図17及び
図18を参照すれば、前記発光チップ100の色温度が4000Kである場合、前記光学フィルム1には前記マトリックス層20の100重量部(wt%)に対して主波長が650nmである赤色(R)蛍光体15ないし25重量部及び主波長が515nmである緑色(G)蛍光体15ないし25重量部が含まれることができる。
【0110】
前記発光チップ100から放出される光は、
図17に示されたところのように、515nm近所及び650nm近所の光の強さが相対的に低くて、これによって低い演色指数(CRI)を有する。よって、前記光学フィルム1内に515nm及び650nmの主波長を有する前記赤色(R)及び緑色(G)蛍光体を含むことで前記発光素子が
図18のようにおおよそ90の演色指数(CRI)を有するようにすることができる。
【0111】
図14、
図19及び
図20を参照すれば、前記発光チップ100の色温度が5000Kである場合、前記光学フィルム1には前記マトリックス層20の100重量部(wt%)に対して主波長が650nmである赤色(R)蛍光体5ないし15重量部及び主波長が515nmである緑色(G)蛍光体8ないし18重量部が含まれることができる。
【0112】
前記発光チップ100から放出される光は、
図19に示されたところのように、515nm近所及び650nm近所の光の強さが相対的に低くて、これによって低い演色指数(CRI)を有する。よって、前記光学フィルム1内に515nm及び650nmの主波長を有する前記赤色(R)及び緑色(G)蛍光体を含むことで、前記発光素子が
図20のようにおおよそ92の演色指数(CRI)を有するようにすることができる。
【0113】
但し、前記発光チップ100の種類及び色温度によって前記蛍光体の種類及び量は変わることができるし、これに対しては限定しない。
【0114】
図21は、前記発光素子を含むライトユニットを示す図面である。
【0115】
図21を参照すれば、前記ライトユニットは、前記発光チップ100、前記発光チップ100から出射された光によって励起される少なくとも一種類の蛍光体を含む光学フィルム1、2、3、前記光学フィルム1、2、3を通過した光を拡散させる光拡散部を含むことができる。
【0116】
この時、前記光拡散部は、前記光学フィルム1、2、3を通過した光を面光源化させる導光板200、該導光板200上に形成されて光を拡散させる拡散シート400及び前記導光板200下に設置されて前記導光板200の出射面を向けて光を反射させる反射シート300を含むことができる。
【0117】
前記光学フィルム1、2、3は、
図21に示すように、前記発光チップ100及び前記導光板200の間に形成されることができる。この時、前記光学フィルム1、2、3は前記発光チップ100の出射面に付着するか、または前記導光板200に付着することもでき、これに対しては限定しない。
【0118】
一方、前記ライトユニットはエッジ(Edge)方式で光が提供されることに限定されなくて、直下(Top View)方式で光が提供されることもできる。
【0119】
前記ライトユニットは、前記発光チップ100及び前記光学フィルム1、2、3を含むことで、高い演色指数(CRI)を有する高品質の光を提供することができる。また、前記光学フィルム1、2、3を利用することで、高い演色指数(CRI)を具現することにおいて、必要な前記発光チップ100の数量を最小化することができる効果がある。
【0120】
以上で実施形態に説明された特徴、構造、効果などは本発明の少なくとも一つの実施形態に含まれ、必ず一つの実施形態のみに限定されるものではない。延いては、各実施形態で例示された特徴、構造、効果などは実施形態が属する分野の通常の知識を有する者によって他の実施形態に対しても組合せまたは変形されて実施可能である。したがって、このような組合と変形に係る内容は本発明の範囲に含まれるものとして解釈されなければならないであろう。
【0121】
また、以上で実施形態を中心に説明したが、これは単に例示に過ぎず本発明を限定するものではなくて、本発明が属する分野の通常の知識を持った者なら本実施形態の本質的な特性を脱しない範囲で以上に例示されないさまざまの変形と応用が可能であることが分かるであろう。例えば、実施形態に具体的に現われた各構成要素は変形して実施することができるものである。そして、このような変形と応用に係る差異は添付された請求範囲で規定する本発明の範囲に含まれるものとして解釈されなければならないであろう。