(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1は、人が正規着座したときにクッションパッドが受ける荷重の分布を示す図である。
図1において、色の濃い部分程、クッションパッドが高い荷重を受けていることが分かる。人が着座している状態において、人とクッションパッドとの間には、座席表皮のみが介在するため、
図1に示すように、クッションパッドには、人の臀部が位置する部分に最も大きな荷重が加わる。そして、上記特許文献1に記載の着座センサでは、クッションパッド上における人の臀部が位置する部分に、感圧スイッチが配置されることにより、人の着座を検出することができる。
【0006】
しかし、上記特許文献1に記載の着座センサでは、座席装置の座席表皮と、その座席表皮に覆われるクッションパッドとの間に感圧スイッチが配置されているため、その感圧スイッチが、クッションパッドによる感触と異なる感触を違和感として着座者に与えてしまう場合があった。
【0007】
そこで、本発明は、違和感を防止しつつ、着座を適切に検知できる座席装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記の様な感圧スイッチによる違和感を防止することについて鋭意検討を行った。その結果、クッションパッドの載置台として座席装置の下に設置される板材上に感圧スイッチを配置すれば良いという結論に至った。この板材はシートパンと呼ばれ、一般には、金属板を加工することにより形成される。このように感圧スイッチがシートパン上に配置された場合、シートパンとクッションパッドとの間に感圧スイッチが介在することになるため、感圧スイッチによる違和感を着座者に与えることが防止される。
【0009】
しかし、座席装置では、座部の枠となるフレームに線材で成る複数本のばねが張り渡され、それらばねにクッションパッドが載置される場合がある。この場合、着座を適切に検知できるよう感圧スイッチをばねに設けることが困難であるということが分かった。そこで、本発明者は、更に鋭意検討を重ねて、本発明をするに至った。
【0010】
本発明の座席装置は、開口を有する座部フレームと、前記座席フレームに囲まれる前記開口に張り渡される線材で成る複数本のばねと、前記複数本のばね及び前記座部フレーム上に配置されるクッションパッドと、感圧スイッチとを備え、前記感圧スイッチは、前記座部フレームの上面と、前記クッションパッドとの間に配置されていることを特徴とするものである。
【0011】
この座席装置によれば、クッションパッドの座面から感圧スイッチまでにクッションパッドが介在することになるため、感圧スイッチによる違和感が防止される。また、このクッションパッドは、複数本のばねのみならず座部フレームの上面にも支持されているため、ばねに過度な負担を与えることなく、クッション性を保持することができる。このようなクッションパッドから押圧力が与えられた場合、座部フレームが土台となって、その押圧力に対向する力が働き、座部フレームとクッションパッドとに介在する感圧スイッチには挟み込む力が働くことになる。したがってこの座席装置によれば、単位押圧力当たりの感圧スイッチの感度が良好となり、着座の適切な検知が可能となる。
【0012】
また、前記感圧スイッチは、前記座部フレームの前部位となる上面と、前記クッションパッドとの間に配置されていることが好ましい。
【0013】
この座部フレームの前部位は、荷物を置くことが一般に想定し難い領域となる。またこの前部位は、後部位もしくは左右部位よりも強い力が働く領域となることが本発明者によって見出された。この理由として、正規着座する人の臀部から前方向に延びる足の重力が鉛直方向に働くことに加えて、臀部の重力が鉛直方向以外に前方向にも働くからであると考えている。この臀部の重力が前方向に働く力は、座席装置に背もたれがある場合には、背もたれが背中を押す力であり、背もたれがない場合には、後ろ側に倒れないように着座者自身が前かがみになることに起因する力であると考えている。したがって、座部フレームの前部位に感圧スイッチが配置される場合、単位押圧力当たりの感圧スイッチの感度が、後部位もしくは左右部位の上面に配置する場合に比べて良好となり、また荷物による誤検知が大幅に抑制されるので、より一段と適切に着座検知が可能となる。なお、本明細書において、「正規着座」とは、臀部が座面の奥深くに位置する状態で着座することを意味する。
【0014】
前記感圧スイッチは、前記座部フレームの前部位となる上面のうち、前記クッションパッドにおける幅方向の中心を通る中心線と交わる位置を基準とする近傍領域と、前記クッションパッドとの間に配置されていることが好ましい。
【0015】
この近傍領域は、座部フレームの前部位のなかでもより強い力が働く領域となるため、より一段と適切に着座検知が可能となる。
【0016】
また、前記感圧スイッチは少なくとも2つ有し、前記クッションパッドにおける幅方向の中心を通る中心線を境界として対称に配置されることが好ましい。
【0017】
人がクッションパッドに与える押圧力は、正規着座する人の骨盤が左右に広がっていることに起因して、鉛直平面を基準としておおむね左右均等となる。これに対し、荷物は、クッションパッドの幅方向の中心に置かれるとは限らないため、荷物がクッションパッドに与える押圧力は、鉛直平面を基準として左右対称にならない傾向にある。したがって、荷物による誤検知がより一段と抑制される。
【0018】
また、前記感圧スイッチは、並列接続される少なくとも2つの感圧スイッチの組を複数組有し、それら組の少なくとも2組は、前記クッションパッドにおける幅方向の左右に配置され、直列接続されることが好ましい。
【0019】
この座席装置では、並列接続される感圧スイッチの一つにさえ伝われば、他の感圧スイッチに伝わり難いとしても接続状態が維持される。したがって、並列接続されていない場合に比べて、感圧スイッチの非感知が確実に低減される。また、並列接続される感圧スイッチの組が2組あるため、1組の場合に比べて、感知範囲を広げることが可能となることに加え、臀部よりも小さい荷物がクッションパッドに置かれたことによる感圧スイッチの誤検知が低減される。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、違和感を防止しつつ、着座を適切に検知できる座席装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る着座センサの好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
(第1実施形態)
図2は、本発明の第1実施形態に係る着座センサを示す平面図である。
図2に示すように、着座センサ1は、感圧スイッチを有するセンサ部5と、座部フレームの一部を構成する枠部材にセンサ部5を固定するための固定部材6とを主な構成要素として備える。
【0024】
センサ部5は、第1電極シート10と、第2電極シート20と、第1電極シート10及び第2電極シート20の間に介在するスペーサ30と、他方の面にそれぞれ配置されるクッション部材51,52を主な構成要素として備える。
【0025】
図3は、
図2の第1電極シート10を示す平面図である。
図3に示すように、第1電極シート10は、第1絶縁シート11と、第1絶縁シート11の表面に設けられる第1電極14A〜14F、及び、端子42A、42Bを主な構成要素として備える。
【0026】
第1絶縁シート11は、可撓性を有するフィルム状で成り、クッションパッドの幅方向の中心を通る中心線(以下、鉛直平面という)VFを基準として左右対称に形成されている。便宜上、鉛直平面VFは直線として示している。なお、第1絶縁シート11を左右対称に形成することは必須の条件となるものではないが、製造効率や安定性などの観点では、左右対称に形成される絶縁シートのほうが好ましい。また第1絶縁シート11が可撓性を有していることは必須の条件となるものではないが、柔軟性や安定性などの観点では、可撓性を有する絶縁シートのほうが好ましい。
【0027】
第1電極14A〜14Fは、それぞれ略円形の形状とされる。第1電極14Aと、第1電極14Bは、第1絶縁シート11における一方の表面のうち、鉛直平面VFと交わる位置を基準として線対称の関係となり、鉛直平面VFに対して垂直となる方向へ一列となる位置にそれぞれ設けられている。第1電極14Cと14D、及び、第1電極14Eと14Fは、並列接続対象の組とされる。第1電極14Cと14Dは、鉛直平面VFを基準として左側の領域において、第1電極14A及び第1電極14Bよりも後方となり、鉛直平面VFに対して垂直となる方向へ一列となる位置にそれぞれ設けられている。第1電極14Eと14Fは、鉛直平面VFを基準として右側の領域において、第1電極14A及び第1電極14Bよりも後方となり、鉛直平面VFに対して垂直となる方向へ一列となる位置にそれぞれ設けられている。並列接続対象の組とされる第1電極14C及び14Dと、第1電極14E及び14Fとは、同一線上に並べられている。なお、第1電極14A〜第1電極14Fが設けられる表面は、第2電極シート20が対向される側の表面である。
【0028】
第1電極14Aと第1電極14Bとは第1配線16Aにより接続されている。また第1電極14C及び14Dは、第1配線16Bにより端子42Aに接続され、第1電極14E及び14Fは、第1配線16Cにより端子42Bに接続されている。なお、これら第1配線16A〜16Cは同一表面上にそれぞれ配されるが、異なっていても良い。
【0029】
このように第1電極シート10では、第1電極14Aと第1電極14Bとが、互いに電気的に接続され、第1電極14C及び第1電極14Dが端子42Aに対して並列接続され、第1電極14E及び第1電極14Fが端子42Bに対して並列接続されている。
【0030】
図4は、
図2の第2電極シートを示す平面図である。
図4に示すように、第2電極シート20は、第2絶縁シート21と、第2絶縁シート21の表面に形成される第2電極24A〜24Fを主な構成要素として有する。
【0031】
第2絶縁シート21は、第1絶縁シート11と同程度の可撓性を有するフィルム状で成り、第1絶縁シート11の形状及び大きさと同程度とされている。なお、第2絶縁シート21における可撓性は、第1絶縁シート11と同程度とされるが、異なっていても良い。また、第2絶縁シート21の形状又は大きさは、第1絶縁シート11と同程度とされたが、異なっていても良い。
【0032】
第2電極24A〜24Fは、第1電極14A〜14Fの形状及び大きさと同程度とされている。さらに、第2電極24A〜24Fは、第2電極シート20が第1電極シート10と重ね合わせられたときに、第2絶縁シート21の第1電極シート10側の表面において、第1電極14A〜14Fと完全に重なる位置にそれぞれ設けられている。
【0033】
第2電極24Aと、並列接続対象の組とされる第2電極24C及び24Dとは第2配線26Aにより電気的に接続され、第2電極24Bと、並列接続対象の組とされる第2電極24E及び第2電極24Fとは、第2配線26Bにより接続されている。なお、これら第2配線26A,26Cは同一表面上にそれぞれ配されるが、異なっていても良い。
【0034】
このように第2電極シート20では、第2電極24C及び第2電極24Dが第2電極24Aに対して並列接続され、第2電極24E及び第2電極24Fが第2電極24Bに対して並列接続されている。
【0035】
図5は、
図2のスペーサ30を示す平面図である。スペーサ30は、可撓性を有する絶縁シートからなる。そして、
図5に示すように、スペーサ30は、外形が第1電極シート10又は第2電極シート20と一致している。
【0036】
また、スペーサ30には、それぞれ同じ大きさである開口34A〜34Fが形成されている。開口34A〜34Fは、周縁が略円形の形状であり、第1電極14A〜14Fよりも直径が僅かに小さく形成されている。そして、開口34A〜34Fは、スペーサ30を第1電極シート10と重ね合わせて、スペーサ30に垂直な方向に沿って見る場合に、第1電極14A〜14Fの外周それぞれの内側に対応する開口34A〜34Fが収まるような位置に形成されている。
【0037】
さらにスペーサ30には、空気抜け用のスリットであり開口34A〜34Fをスペーサ30の外部と空間的に接続するスリット36A〜36Fが形成されている。具体的には、それぞれのスリット36A〜36Fは、一端がスペーサ30の外部と接続されている。そして、スリット36A〜36Fの他端は、対応する開口34A〜34Fと接続されている。
【0038】
なお、スペーサ30の両面には、第1電極シート10及び第2電極シート20と接着されるための図示しない接着剤が塗布されている。
【0039】
図6は、第1電極シート10とスペーサ30と第2電極シート20とを重ね合わせた状態を、鉛直方向から見た図である。ただし、理解用意のため、クッション部材51,52については省略している。
図7は、
図6のV−V線に沿った断面の様子を示す図である。
【0040】
図6、
図7に示すように、センサ部5は、第1電極シート10と第2電極シート20とがスペーサ30を挟んで重ね合わせられており、スペーサ30の両面に塗布された接着剤により互いに固定されて一体化されている。
【0041】
このように第1電極シート10とスペーサ30と第2電極シート20とが、重ね合わされ一体化された場合、
図7に示すように第1電極シート10の第1電極14D、及び、第2電極シート20の第2電極24Dは、互いに重なっており、スペーサ30に形成されている開口34Dは、第2電極24Dの外周内に収まっている。そして、第1電極14Dと第2電極24Dとは、
図6に示すようにスペーサ30により所定の間隔を空けて互いに対向している。このようにして、第1、第2絶縁シート11、21と、開口34Dが形成されたシート状のスペーサ30と、開口34Dを介して互いに対向する一対の電極14D、24Dとを有する感圧スイッチ40Dが構成されている。
【0042】
同様に他の第1電極14A〜14C,14E〜14Fと、他の第2電極24A〜24C,24E〜24Fとが、それぞれスペーサ30の開口34A〜34C,34E〜34Fにおいて所定の間隔をあけて対向し、
図6に示すように感圧スイッチ40A〜40C,40E〜40Fが構成されている。
【0043】
また、
図7に示すように、第2電極シート20の表面のうち、スペーサ30に対向される表面に対して反対側となる表面には、弾性力を有し、圧力が加えられると潰れるように変形するクッション部材52が設けられている。また、第1電極シート10の表面のうち、スペーサ30に対向される表面に対して反対側となる表面には、クッション部材51が設けられている。
【0044】
なお、一対のクッション部材51,52は、それぞれ対応する第1電極シート10,第2電極シート20の一方の表面全体にわたって設けられていても良く、第1電極シート10,第2電極シート20における一方の表面のうち、感圧スイッチ40A〜40Fが配置される部分の反対側となる表面部分に設けられていても良い。また一対のクッション部材51,52が、感圧スイッチ40A〜40Fの全体又は一部を覆うように一体として設けられていても良い。少なくとも、スペーサ30に対向される表面に対して反対側となる表面の一部に設けられていれば良い。
【0045】
本実施形態では、一対のクッション部材51、52が潰れる厚さの合計は、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Fにおける、対向する電極間の距離以上とされている。また、クッション部材51、52は、互いに同じ厚さとされ、それぞれのクッション部材51、52は、同じ材質で、同じ弾性力を有しており、同じ圧力が印加される場合に、同じように潰れるように構成されている。従って、着座センサ1は、第1電極シート10と第2電極シート20のどちらを上にして、使用しても着座の検出感度を同じようにすることができる。
【0046】
図8は、
図2のセンサ部5の回路構成を等価回路で示す回路図である。上述のように構成されるそれぞれの感圧スイッチ40A〜40F、及び、それぞれの端子42A、42Bは、
図8に示すように、第1絶縁シート11の表面に形成される第1配線16A〜16C、及び、第2絶縁シート21の表面に形成される第2配線26A、26Bにより互いに接続されている。このように各感圧スイッチ40A〜40Fが接続されることで、着座センサ1の回路が構成されている。
【0047】
また、感圧スイッチ40C及び40Dは、端子42A及び感圧スイッチ40Aに対して並列接続され、感圧スイッチ40E及び40Fは、端子42B及び感圧スイッチ40Bに対して並列接続されている。そして、端子42A、感圧スイッチ40C又は40D、感圧スイッチ40A、感圧スイッチ40B、感圧スイッチ40E又は40F、端子42Bが直列として接続されている。すなわち、端子42Aと、端子42Bとの間の経路に設けられる感圧スイッチ40A〜感圧スイッチ40Fのうち、2組の感圧スイッチ40C及び40D、40E及び40Fは並列接続されている。このため、クッション部材51又は52の押圧力が感圧スイッチ40C又は40D、40E又は40Fの一方にさえ伝われば、他方の感圧スイッチに対して伝わり難いとしても接続状態が維持される。
【0048】
図2に示すように、固定部材6は、フィルムの両面に接着剤が塗布された両面テープであり、一方の面に塗布された接着剤は、センサ部5におけるクッション部材51に貼り付けられている。
【0049】
図9は、本発明の実施形態に係る座席装置の様子を示す図である。具体的には、
図9の(A)は、着座センサ1が配置された座席装置9の様子を上方から示す図であり、
図9の(B)は、着座センサ1が配置された座席装置9の様子を側方から示す図である。
図9に示すように、座席装置9は、座部フレーム91と、複数のばね92と、クッションパッド93と、背もたれ96と、着座センサ1とを主な構成として備えており、座席装置9は、例えば、車両用の座席装置とされる。
【0050】
座部フレーム91は、前部位のフレームとして配置される前枠部材91aと、後部位のフレームとして配置される後枠部材91bと、左部位及び右部位のフレームとして配置される一対の側枠部材91c,91dを含むフレーム構造となっている。また、座部フレーム91は、これら部材91a〜91dにより囲まれた開口を有している。前枠部材91aと側枠部材91c,91dは、例えば板金のプレス成形品からなる。後枠部材91bは、例えば断面が円形の金属パイプからなり、車両の幅方向に延び、その両端は側枠部材91c,91dの後端部に連結されている。
【0051】
各ばね92は、同一面上で繰り返しS字状に蛇行する形状の線材でなる。これらばね92の前端は、前枠部材91aに取り付けられ、後端は、後枠部材91bに取り付けられる。こうして、複数のばね92は、互いに所定の間隔を隔てて、座部フレーム91の各部材91a〜91dにより囲まれる開口の同一面上に張り渡され、クッションパッド93のマットとして構成している。
【0052】
なお、ばね92は、例えばZ字状のようにS字状に限らず様々な形状の蛇行状態となる線材を適用でき、また複数の形状が組み合わさる蛇行状態の線材を適用できる。また、ばね92は、1つ又は複数の形状に繰り返し連続して蛇行する線材であっても良く、所定間隔おきに1つ又は複数の形状に蛇行する線材であっても良く、蛇行することなくストレートとなる線材であっても良い。さらに、複数のばね92が前後方向に張り渡されたが、左右方向であっても良く、斜め方向であっても良い。
【0053】
クッションパッド93は、クッション性を有する例えば発泡ウレタンから構成されている。従って、クッションパッド93は、弾性力を有し、押圧力が加わると潰れるように変形する。また、クッションパッド93は、図示しない布製の表皮に覆われている。
【0054】
背もたれ96は、クッションパッド93の後方において、クッションパッド93に接触するように、図示しない手段により座部フレーム91と連結している。
【0055】
着座センサ1は、前枠部材91aの上側端面に配置され、前枠部材91aとクッションパッド93との間に挟み込まれている。この着座センサ1を前枠部材91aに配置する手法は、前枠部材91aにおいて着座センサ1を配置すべき位置を決め、その位置に対して、着座センサ1における固定部材6のうち、センサ部5のクッション部材51に貼られている面とは反対側の面を貼り付ける。
【0056】
着座センサ1の感圧スイッチ40A、40Bは、前枠部材91aの上側端面のうち、鉛直平面VFと交わる位置の近傍領域において、その鉛直平面VFを基準として互いに左右対称の位置関係となり、クッションパッド93の幅方向に沿って配置されている。
【0057】
並列接続される2組の感圧スイッチ40C及び40D、40E及び40Fは、前枠部材91aの上側端面のうち、鉛直平面VFと交わる位置の近傍領域において、感圧スイッチ40A、40Bよりも後方に配置される。そして、2組の感圧スイッチ40C及び40D、40E及び40Fは、鉛直平面VFを基準として互いに左右対称の位置関係となり、クッションパッド93の幅方向に沿って配置されている。
【0058】
さらに、全ての感圧スイッチ40A〜40Fは、前枠部材91aの上側端面上に配置されているため、クッションパッド93に正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方となっている。感圧スイッチ40A〜40Fに接続される端子42A、42Bは、座部フレーム91の下方から、外部の図示しない電源と測定部に電気的に接続される。
【0059】
なお、「正規着座」とは、臀部が座面の奥深くに位置して、背中が背もたれ96に接触する状態で着座することを意味し、「ヒップポイント」とは、人が正規着座した状態で、臀部が最も下側に出ている点をいう。
【0060】
次に、座席装置9における着座センサ1の動作について説明する。
【0061】
図10は、座席装置9に人が正規着座したときに、座部フレーム91及びばね92が、クッションパッド93を介して受ける荷重の分布を示す概念図である。具体的にこの
図10では、最も強く加わる荷重を右斜線で示し、その荷重よりも小さい荷重を左斜線で示し、右斜線及び左斜線で示す荷重よりも小さい荷重を点で示している。
【0062】
この
図10に示すように、ヒップポイントHPの近傍にあるばね部分(左斜線部分)に比べて、ヒップポイントHPの前方にあるばね部分と座部フレーム部分(右斜線部分)に加わる荷重が大きくなる。この理由は、次のように考えられる。
【0063】
人が背もたれ96を備える座席装置9に正規着座するとき、臀部から前方向に延びる足の重力は、主にクッションパッド93の前方に加わる。また、人の背中が背もたれ96に接触して、背もたれ96により背中が押され、背中にかかる力が人の臀部を前方に押す。従って、着座する人の臀部は、重力により鉛直方向にクッションパッド93を押圧すると共に、背中からの力により前方に向かってクッションパッド93を押す。つまり、臀部がクッションパッド93を押す力は、重力によって鉛直方向に働くことに加えて、背もたれ96が背中を押す力によって前方向にも働く。こうして、ばね92がクッションパッド93から受ける押圧力は、正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方に強く生じる。
【0064】
また、正規着座者の臀部から膝関節部分に渡る部位は、クッションパッド93に対して鉛直平面VFを通る前後となるため、ヒップポイントHPよりも前方となる前枠部材91aの上側端面のうち、鉛直平面VFの近傍領域が他の領域よりも強くなる。
【0065】
一方、クッションパッド93のうち、感圧スイッチ40A〜40Fが配置される前枠部材91aの上側端面の上方となる先端部分に対して荷物を置くことは一般に想定し難い。また、クッションパッド93に対してその幅方向の中心を通る鉛直平面VFにわたって荷重がかかる荷物を置くことは一般に想定し難いものである。
【0066】
上述のように、感圧スイッチ40A〜40Fは、ヒップポイントHPよりも前方となる前枠部材91aの上側端面のうち、荷物を置き難い鉛直平面VFを基準とする近傍領域に配置されている。従って、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Fは、人が正規着座する場合に、人の着座による押圧力を適切に検知することができる。
【0067】
図11は、例えば感圧スイッチ40Dがオンする様子を
図7と同じ視点で示す図である。なお、
図11においては、理解の容易のため、固定部材6及び前枠部材91aの一部分のみを示している。
【0068】
人が着座すると、ヒップポイントHPよりも前方に配置されている感圧スイッチ40Dは、その感圧スイッチ40Dの構成要素である第1電極14D及び第2電極24Dの電極面に対して垂直な方向から、ばね92及びクッションパッド93によって、矢印で示すように適切に押圧される。つまり、クッション部材52は、座席のクッションパッド93から押圧力を受け、クッション部材51は、ばね92から押圧力を受ける。このときクッション部材51、52は、押圧力により、潰れるように変形する。そして、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21は、クッション部材51、52の弾性力により、クッション部材51、52から押圧力を受けて、スペーサ30の開口34Dに入り込むようにして撓む。このため、スペーサ30の開口34Dを介して対向する絶縁シート11、20に設けられた電極14D、24Dが接触する。こうして、感圧スイッチ40Dがオンとなる。
【0069】
そして、鉛直平面VFを基準として、感圧スイッチ40Dと対称な位置に配置されている感圧スイッチ40Eも、感圧スイッチ40Dと同様にして、クッション部材51、52の弾性力により、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21が押圧されて撓むことでオンになる。また、感圧スイッチ40A、40B、40C、40Fも、感圧スイッチ40D,40Eと同様にして、クッション部材51、52の弾性力により、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21が押圧されて撓むことでオンになる。
【0070】
並列接続の組となる感圧スイッチ40C及び40D、40E及び40Fの少なくとも一方がオンになり、感圧スイッチ40A及び40Bがオンになる場合に、端子42Aと端子42Bとが導通する。こうして、着座センサ1により感知する感知信号を図示しない測定部が測定することにより人の着座を検出する。
【0071】
なお、本実施形態の着座センサ1では、上述のように、クッション部材51、52が潰れる厚さの合計が、電極14A〜14Fと電極24A〜24Fとの間の距離以上とされている。従って、クッション部材51、52が撓まずに潰れる変形をすることのみによって、感圧スイッチ40A〜40Fをオンにすることができるため、適切に着座の検出を行うことができる。
【0072】
また、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21が撓む際、各開口34A〜34F内の空気は、スリット36A〜36Fを介して外部に排出される。従って、各感圧スイッチ40A〜40Fがオンになるとき、適切に第1絶縁シート11及び第2絶縁シートが撓むことができ、各感圧スイッチ40A〜40Fの一対の電極が接触し易くされている。
【0073】
以上説明したように、本実施形態の座席装置9によれば、感圧スイッチ40A〜40Fが、座部フレーム91に張り渡される線材で成る複数本のばね92と、それら座部フレーム91及び複数本のばね92に置かれるクッションパッド93とに介在する。このため、クッションパッド93の座面から感圧スイッチ40A〜40Fまでにクッションパッド93が介在することになる。したがって、この座席装置では、感圧スイッチによる違和感が防止される。また、座部フレーム91は、金属により成形されたものであるため、クッションパッド93から押圧力が与えられた場合、座部フレーム91が土台となって、その押圧力に対向する力が働き、座部フレーム91とクッションパッド93とに介在する感圧スイッチ40A〜40Fには挟み込む力が働くことになる。したがって、この座席装置では、単位押圧力当たりの感圧スイッチの感度が良好となり、着座の適切な検知が可能となる。
【0074】
また、感圧スイッチ40A〜40Fは、座部フレーム91の前部として配置される前枠部材91aの上端面のなかで鉛直平面VFを基準とする近傍領域と、クッションパッド93とに介在されている。この近傍領域は、上述したように、正規着座する人のヒップポイントHPよりも強い力が働く領域となり、荷物を置くことが一般に想定し難い領域となる。したがって、この座席装置9によれば、単位押圧力当たりの感圧スイッチの感度が、後枠部材91bや側枠部材91c,91dの上端面に配置する場合に比べて良好となり、また荷物による誤検知が大幅に抑制されるので、より一段と適切に着座検知が可能となる。
【0075】
また、感圧スイッチ40A〜40Fのうち、感圧スイッチ40Aと40B、40Cと40F、40Dと40Eは、クッションパッド93における幅方向の中心を通る鉛直平面VFを境界として対称に配置されている。人がクッションパッド93に与える押圧力は、クッションパッド93の前後方向に比べて左右方向に広がる骨盤に起因して、鉛直平面VFを基準としておおむね左右均等となる。これに対し、荷物は、クッションパッド93の幅方向の中心に置かれるとは限らないため、荷物がクッションパッド93に与える押圧力は、鉛直平面VFを基準として左右対称にならない傾向にある。したがって、座席装置9によれば、荷物による誤検知がより一段と抑制される。
【0076】
また、並列接続される組となる感圧スイッチ40Cと40D、40Eと40Fは、クッションパッド93における幅方向の左右に配置され、直列接続されている。このため、感圧スイッチ40Cと40D、40Eと40Fの一方にさえ伝われば、他方に伝わり難いとしても接続状態が維持される。したがって、この座席装置9によれば、並列接続されていない場合に比べて、感圧スイッチの非感知が確実に低減される。また、並列接続される感圧スイッチの組が2組あるため、1組の場合に比べて、感知範囲を広げることが可能となることに加え、臀部よりも小さい荷物がクッションパッド93に置かれたことによる感圧スイッチの誤検知が低減される。
【0077】
次に、着座センサ1を構成する材料について説明する。
【0078】
上述したように、第1電極シート10の絶縁シート11、及び、第2電極シート20の絶縁シート21、及び、スペーサ30は、可撓性を有する絶縁性の樹脂から構成されている。このような樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)等が挙げられる。中でもPENが耐熱性に優れる観点から好ましい。
【0079】
また、スペーサ30の両面に塗布される接着剤、及び、固定部材6に用いられる接着剤としては、アクリル系の接着剤が好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの一種または二種以上を単量体成分として用いたアクリル系重合体をベースとするものが挙げられる。
【0080】
また、第1電極14A〜14F、及び、第2電極24A〜24F、及び、第1配線16A〜16C、及び、第2配線26A、26B、及び、端子42A、42Bは、導電性ペーストや、めっきにより形成される金属箔等から構成される。このうち一部を導電性ペーストにより構成し、他の部分をめっきによる金属箔により構成しても良い。導電性ペーストとしては、銀ペーストなどの各種金属ペーストやカーボンペースト等が挙げられる。また、めっきにより形成される金属箔としては、銅やニッケル、或いは、これらの積層体等が挙げられる。
【0081】
特に、第1電極14A〜14F、及び、第2電極24A〜24Fの少なくとも一方は、温度の上昇に伴い、抵抗値が上昇する材料から構成されることが好ましい。第1絶縁シート11、第2絶縁シート21のような可撓性を有する樹脂は、通常、温度の上昇と共に撓み易くなり、座席装置9が置かれる環境の温度が上昇すると、弱い押圧力で第1電極14A〜14Fと第2電極24A〜24Fとが接触し易くなる。この場合において、上述のように、第1電極14A〜14F、及び、第2電極24A〜24Fの少なくとも一方が、温度の上昇に伴い抵抗値が上昇する電極であれば、温度の上昇と共に第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21が撓み易くなり、第1電極14A〜14Fと第2電極24A〜24Fとが接触し易くなるが、接触した電極に電流が流れづらくなる。従って、電極同士の接触のしやすさと、電極に流れる電流の流れづらさとが相殺し合って、座席装置9の環境温度が変化する場合においても、感圧スイッチ40A〜40Fがオンとなる押圧力が変化することを抑制することができる。特に、座席装置9が自動車に搭載される場合においては、車内の温度の変化が大きい。そして、一般にばね92は金属性であるため、着座センサ1に熱が伝達し易い。従って、上述のように第1電極14A〜14F、及び、第2電極24A〜24Fの少なくとも一方が、温度の上昇に伴い抵抗値が上昇する材料から構成されれば、車内が温度変化する場合においても、適切に人の着座を感知することができる。従って、このような座席装置9は、特に自動車用途に有用である。このような電極としては、銀ペースト上にカーボンペーストが塗布された2層の電極を挙げることができる。
【0082】
また、クッション部材51、52は、上述のように弾性力を有し、潰れるように変形する部材である。このような部材を構成する材料であれば、特に制限されるものではないが、クッション部材51、52の材料としては、多数の空孔が設けられたスポンジ状の樹脂や、弾性力を有する樹脂製の繊維が絡み合った不織布や、ゴム等を挙げることができる。このような樹脂としては、シリコン、ポリエステルの少なくとも一方を含有する樹脂をあげることができ、このような樹脂であれば、温度の変化による弾性力の変化が少ないため、着座センサ1が自動車等の環境温度の変化が大きい場所に配置される場合においても、着座の検出荷重の変化を抑制することができるため好ましい。
【0083】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について
図12〜
図14を参照して詳細に説明する。なお、特に説明する場合を除き、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して、重複する説明は省略する。
図12は、本発明の第2実施形態に係る座席装置に用いられる着座センサのセンサ部を示す平面図である。ただし、理解用意のため、クッション部材51,52は省略している。
【0084】
図12に示すように、本実施形態におけるセンサ部50は、感圧スイッチ40A〜40Fの第1電極14A〜14Fが櫛歯電極から構成されている点において、第1実施形態のセンサ部5と異なる。
【0085】
図13は、第1電極シートを示す平面図である。
図13に示すように、第1電極14A〜14Fを構成する櫛歯電極は、互いに平行な複数本の導体が一方側において互いに接続されており、更に、互いに平行な他の複数本の導体が他方側において互いに接続されている。そして、一方側で接続された複数本の平行導体の間に、他方側で接続された他の複数本の平行導体が入り込むように配置されており、それぞれの導体が交互に並べられている。そして、一方側で接続された複数本の平行導体と、他方側で接続された他の複数本の平行導体とは、互いに一定の間隔をあけて、互いに絶縁されている。このように櫛歯電極においては、1つの電極内に互いに絶縁されている一組の平行導体を有する。
【0086】
そして、第1電極14C,14Dにおける一方側で接続された複数本の平行導体は、第1実施形態と同様の第1配線16Bに接続され、他方側で接続された他の複数本の平行導体は、第1配線16Dの一端に接続される。第1配線16Dの他端は、第1電極14Aにおける一方側で接続された複数本の平行導体に接続され、第1電極14Aにおける他方側で接続された複数本の平行導体は、第1実施形態と同様の第1配線16Aに接続される。一方、第1電極14E,14Fにおける一方側で接続された複数本の平行導体は、第1実施形態と同様の第1配線16Cに接続され、他方側で接続された他の複数本の平行導体は、第1配線16Eの一端に接続される。第1配線16Eの他端は、第1電極14Bにおける一方側で接続された複数本の平行導体に接続され、第1電極14Bにおける他方側で接続された複数本の平行導体は、第1実施形態と同様の第1配線16Aに接続される。
【0087】
図14は、第2電極シートを示す平面図である。
図14に示すように、本実施形態の第2電極シート20は、第2配線26A、26Bが設けられていない点において、第1実施形態の第2電極シート20と異なる。
【0088】
そして、
図12に示すように、
図13に示す第1電極シート10と
図14に示す第2電極シート20とが、第1実施形態と同様のスペーサ30を介して重ねられて一体化されている。
【0089】
本実施形態のセンサ部50は、第1実施形態の着座センサ1と同様に、前枠部材91aの上側端面に配置され、前枠部材91aとクッションパッド93との間に挟み込まれる。
【0090】
人の着座に応じてクッションパッド93から感圧スイッチ40A〜40Fに押圧力が加わると、第2電極24A〜24Fが、第1電極14A〜14Fにおけるそれぞれの平行導体に接触する。このため、第1電極14A〜14Fにおける互いに絶縁されている一組の平行導体同士が、第2電極24A〜24Fを介して、電気的に接続される。こうして、感圧スイッチ40A〜40Fがオンとなる。このように感圧スイッチ40A〜40Fがオンとなることにより、センサ部50では人の着座が検出される。
【0091】
以上、本発明について、第1実施形態及び第2実施形態を例に説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
【0092】
例えば、上記実施形態では、固定部材6として、フィルムの両面に接着剤が塗布された両面テープが用いられたが、例えば、そのフィルムを省略した単なる接着剤とされても良く、ねじが適用されても良い。また、これら例示以外の固定部材であっても良い。
【0093】
また、上記実施形態では、端子42A,42Bが、前枠部材91aから、座部フレーム91に囲まれる空間に対して、前枠部材91aの上端面と平行に突出した状態で配置された。しかし、端子42A,42Bは、前枠部材91aの上端面に配置されていても良い。ただし、前枠部材91aの側面のうち、後枠部材91bと対向する側面に沿って端子42A,42Bが配置されたほうが好ましい。その理由は、前枠部材91aの上端面の鉛直平面VF近傍領域において複数の感圧スイッチ40A〜40Fの配置スペースを緩和でき、かつ、座部フレーム91に囲まれる空間において端子42A,42B以外の他の部材の配置スペースを緩和できるからである。具体的には、第1絶縁シート11が、前枠部材91aの上端面と、後枠部材91bと対向する前枠部材91aの側面との一部に、接着剤を介して取り付けられ、その前枠部材91aの側面側となる第1絶縁シート11の表面に端子42A,42Bが取り付けられる。
【0094】
また、上記実施形態では、感圧スイッチの数が6つとされたが、5つ以下でもよく、7つ以上でも良い。また、並列接続される感圧スイッチの数は2つとされたが、2つ以上であれば良い。さらに、並列接続される感圧スイッチ群40C,40Dと40E,40Fの組が2組であったが、1組又は3組以上でもよい。ただし、並列接続される感圧スイッチ群の組数は、対称性の観点では、偶数であるほうが好ましい。さらに、並列接続される感圧スイッチ群を省略しても良い。さらに、感圧スイッチ40Aと40Bを省略し、並列接続される感圧スイッチ群40C,40Dと40E,40Fとを直列に接続して、AND/OR回路を形成しても良い。
【0095】
また、上記実施形態では、並列接続対象の組となる感圧スイッチ40C及び40Dと40E及び40Fとが、鉛直平面VFに対して垂直となる方向へ一列に並べられたが、鉛直平面VFに対して平行となる方向へ一列に並べられても良い。
【0096】
また、上記実施形態では、感圧スイッチ40Aと40B、並列接続対象の感圧スイッチ40C,40Dと40E,40Fが、鉛直平面VFを境界として左右対称となるように配置されているとしたが、鉛直平面VFを境界として、一方側のみに配置されても良い。
【0097】
また、各感圧スイッチ40A〜40Fにおける、第1電極14A〜14Fと第2電極24A〜24Fとは形状、大きさが一致しており、互いに完全に重なるものとされたが、押圧力を感知できる範囲で、大きさや形状等が異なっていても良い。例えば、感圧スイッチ40A,40Bにおける開口34A、34Bの直径が、感圧スイッチ40C〜40Fにおける開口34C〜34Fの直径よりも大きく形成されても良い。つまり少なくとも2つの感圧スイッチが、互いに開口の直径が異なるようにしても良い。人が座席装置に着座する場合において、座部フレーム91がクッションパッド93から受ける押圧力は、座部フレーム91の場所により異なるが、着座センサ1をこのように構成することにより、座部フレーム91上において、クッションパッド93から比較的小さな押圧力がかかる場所に開口の直径が大きな感圧スイッチを配置して、比較的大きな押圧力がかかる場所に開口の直径が小さな感圧スイッチを配置することができる。このように着座センサを配置することにより、クッションパッド93上に人が着座して、スペーサ30に形成された開口の直径が互いに異なるそれぞれの感圧スイッチに対して、異なる押圧力がかかる場合に、それぞれの感圧スイッチにおける絶縁シート11、21が適切に撓み、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Fが適切にオンすることができる。このため、人の着座を適切に検出することができる。そして、このように少なくとも2つの感圧スイッチが、互いに開口の直径が異なる場合においては、互いに開口の直径が異なるそれぞれの感圧スイッチは、互いに電気的に直列に接続されていることが好ましい。
【0098】
またさらに、上記の様に、少なくとも2つの感圧スイッチが、互いに開口の直径が異なるようにする場合、さらに、開口の直径が互いに等しい少なくとも2つの感圧スイッチを備え、鉛直平面VFを基準とした左側及び右側に、開口の直径が互いに等しい感圧スイッチが少なくとも1つずつ配置されることが好ましい。人は、通常、クッションパッド93の幅方向の中心に着座するため、人の着座をより適切に検出して、クッションパッド93の幅方向に中心に配置されない荷物を人の着座として荷物を誤検出することを抑制することができる。そして、このように構成する場合、さらに鉛直平面VFの左側及び右側に配置される開口の直径が互いに等しい感圧スイッチの少なくとも一組は、クッションパッド93の幅方向に沿って配置されていることが好ましく、鉛直平面VFの左側及び右側に配置される開口の直径が互いに等しい感圧スイッチの少なくとも一組は、鉛直平面VFを基準として互いに対称な位置に配置されていることがより好ましい。このように構成することにより、人の着座を更に適切に検出し、荷物を人の着座として誤検出することを更に抑制できる。このように構成するには、例えば、感圧スイッチ40A〜40Fの位置が上述の実施形態と同様にされ、感圧スイッチ40A,40Bにおける開口34A、34Bの直径が、感圧スイッチ40C〜40Fにおける開口34C〜34Fの直径よりも大きく形成され、さらに、感圧スイッチ40C,40Dと40Bにおける開口34C,34Dと34Bを同じ直径にして、感圧スイッチ40E,40Fと40Aにおける開口34E,34Fと34Aを同じ直径にすれば良い。
【0099】
更に、上記実施形態において、クッション部材52を設けず、クッション部材51のみが設けられる構成であっても良い。この場合においても、着座センサ1は、従って、クッション部材51が、シートパン側の絶縁シート11がスペーサの開口に入り込むように、絶縁シート11を押圧し、クッションパッド93側の絶縁シート21は、クッションパッド93の弾性力により、スペーサ30の開口34A〜34Fに入り込むように撓む。こうして、一対の絶縁シートが撓むことにより、スペーサの開口を介して対向する一対の電極同士が接触することができるので、適切に感圧スイッチをオンすることができ、着座を適切に検出することができる。さらに、クッション部材51、52は、必ずしも必要ではない。この場合においても、クッションパッド93が、絶縁シート21を押圧することで、人の着座を感知することができる。
【0100】
また、上記実施形態のように、一対のクッション部材51、52が設けられている場合、クッション部材51、52は、同じ弾性力を有し、同じ厚さとされたが、本発明は、これに限らず、クッション部材51、52が互いに異なる弾性力を有しても良く、互いに異なる厚さであっても良い。
【0101】
また、上記実施形態のように、一対のクッション部材51、52が設けられている場合、クッション部材51、52は、着座センサ1に垂直な方向から見る場合に、互いに異なる形状であっても良い。この場合、クッション部材51は、第1絶縁シート11を介して少なくともスペーサ30の開口34A〜34Fを覆い、クッション部材52は、第2絶縁シート21を介して、少なくともスペーサ30の開口34A〜34Fを覆うように配置されていれば良く、クッション部材51、52の少なくとも一方が、スペーサ30の開口と重なる位置のみに設けられていてもよい。
【0102】
また、上記実施形態においては、第1絶縁シート11と第2絶縁シート21とが、互いに同じ可撓性を有し、同じ力が加わると同じように撓むとしたが、第1絶縁シート11と第2絶縁シート21とは、互いに異なる可撓性を有していても良い。