(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
図1は、燃料電池システムを示すブロック図である。
図1に示すように、燃料電池システム1は、燃料供給装置10、改質水供給装置20、酸素含有ガス供給装置30、水素製造部40、カソードガス供給装置50、燃料電池ユニット60、PCS70、電圧検出部80、及びシステム制御部90を備えている。
【0015】
燃料電池ユニット60は、複数の燃料電池スタックを備えている。燃料電池ユニット60は、燃料電池スタックを構成する燃料電池セルのアノード極(図示せず)にアノードガスとしての水素含有ガス中の水素を、カソード極(図示せず)にカソードガスとしての酸素含有ガス中の酸素を、それぞれ供給し、電解質体(図示せず)内にイオンの移動を生じさせることにより電力を発生させるものである。
【0016】
燃料供給装置10は、後述する水素製造部40において処理される原料を供給するためのものである。原料としては、炭素及び水素を含んでなる化合物(例えば、メタン及びプロパン等の炭化水素類、メタノール及びエタノール等のアルコール類、ジメチルエーテル等のエーテル類等)が挙げられる。中でも、入手容易性の観点からは、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル、メタン、天然ガス、都市ガス、LPG(液化石油ガス)、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油等が好ましい。
【0017】
改質水供給装置20は、水素製造部40において燃料の処理に必要となる改質水を供給するためのものである。酸素含有ガス供給装置30は、水素製造部40において燃料の処理に必要となる酸素含有ガスを供給するためのものである。酸素含有ガスとしては、例えば純酸素ガス、酸素富化空気、及び空気が挙げられるが、中でも取扱容易性及びコストの観点から空気が好ましい。
【0018】
水素製造部40は、原料供給装置10から供給される原料を処理して水素含有ガスを生成するものである。生成された水素含有ガスは燃料電池ユニット60のアノードに供給される。具体的には、水素製造部40は、改質触媒(図示せず)を含み、燃料供給装置10から供給される燃料と、改質水供給装置20から供給される改質水と、酸素含有ガス供給装置30から供給される酸素含有ガスとを用いて水素含有ガスを生成する。水素を製造するための改質技術としては、公知の技術を適用することができる。例えば、水蒸気改質反応部、シフト反応部、及び選択酸化反応部の組合わせを用いることができる。或いは、部分酸化反応部、水蒸気改質反応部、自己熱改質反応部、又はこれらの組合わせを用いてもよい。
【0019】
水素製造部40内に含まれる改質触媒は、担体と、該担体に担持される金属とを含んで構成されている。担体の構成材料としては、例えば酸化アルミニウム(アルミナ)及び二酸化ジルコニウム(ジルコニア)が挙げられる。担持される金属としては、例えばニッケル、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、レニウム、及びコバルトが挙げられる。
【0020】
なお、例えば純水素ガス等、水素生成処理を必要としない燃料を燃料供給装置10から供給する場合には、改質水供給装置20、酸素含有ガス供給装置30及び水素製造部40を省略することができる。その場合、燃料を燃料電池セルのアノード極に直接供給することができる。
【0021】
カソードガス供給装置50は、燃料電池セルのカソード極に発電に必要となるカソードガスを供給するためのものである。カソードガスとしては、例えば純酸素ガス、酸素富化空気、及び空気が挙げられるが、中でも取扱容易性及びコストの観点から空気が好ましい。
【0022】
PCS70は、燃料電池ユニット60で発生した電力の調整を行う電力調整部としての役割を担うものであり、電圧変換器71及び直交変換器72を有している。電圧変換器71は、燃料電池ユニット60から出力された直流電力の電圧を変換するものであり、例えばDC/DCコンバータが挙げられている。直交変換器72は、電圧変換器71により変圧された電力を直流から交流へ変換するものであり、例えばDC/ACインバータが挙げられる。
【0023】
電圧検出部80は、燃料電池スタック部101A、101B、101Cの発電電圧を測定するものである。システム制御部90は、燃料電池システム1の駆動を制御する駆動制御機能を有するものである。システム制御部90としては、例えば電子制御を行うデバイス(例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read OnlyMemory)、RAM(Random Access Memory)、及び入出力インターフェイスを含んで構成されたデバイス)が挙げられる。本実施形態におけるシステム制御部90は、燃料供給装置10、改質水供給装置20、酸素含有ガス供給装置30、及びカソードガス供給装置50等に代表される補機やPCS70に対し電気的に接続され、当該補機の制御を行う。
【0024】
なお、燃料供給装置10、改質水供給装置20、酸素含有ガス供給装置30、カソードガス供給装置50、及び電圧検出部80に代表される補機は、燃料電池ユニット60の発電電力を利用して作動することができる機器である。ここでは、効率低下を抑制する観点から、燃料電池ユニット60と電圧変換器71との間から電力が供給されるように構成され、各補機類には、燃料電池ユニット60から出力された発電電力を変圧する電圧変換器(例えばDC/DCコンバータ等)が内蔵されている。なお、外部電力負荷EIは、燃料電池システム1から供給される電力を消費するものであり、例えば、家庭内の電力消費機器である。外部電力負荷EIは、燃料電池システム1及び外部電力系統CEに対して電気的に接続されている。
【0025】
次に、本実施形態に係る燃料電池システム1の作動の一例について説明する。まず、各補機が外部電力系統CEからの電力によって作動し、燃料電池システム1の起動が開始される。このとき、外部電力系統CEからの電力は、図示しないAC/DCコンバータによって交流から直流に変換した上で各補機に供給される。
【0026】
具体的には、外部電力系統CEからの電力によって補機類が作動することにより、水素製造部40に、燃料供給装置10、改質水供給装置20及び酸素含有ガス供給装置30によって、燃料、改質水及び酸素含有ガスがそれぞれ供給されて改質され、水素含有ガス(以下、改質ガス)が生成される。生成された改質ガスは、燃料電池ユニット60のアノード極に供給され、カソードガス供給装置50から酸素含有ガス(空気)が燃料電池ユニット60のカソード極に供給され、発電が開始される。燃料電池システム1による発電が開始されたら、補機類の作動電力は、外部電力系統CEから燃料電池システム1自体の発電電力に切り替えられる。
【0027】
[第1実施形態]
図2は、第1実施形態における燃料電池システム1の一部を示すブロック図である。本実施形態は、第1〜第3スタック部101A〜101C、PCS70、補機5、第1〜第3スタック部101A〜101Cのそれぞれの電圧を検出する電圧検出部80、及び第1〜第3スタック部101A〜101Cと補機5及びPCS70との接続を切替可能とする継電部3a〜3dを備え、それらによって回路(回路部)4が形成されている。
図2(a)は、第1〜第3スタック部101A〜101Cにおいて電圧低下が検出されておらず、補機5への電力が第2スタック部101Bから供給されているときの継電部3a〜3dの接続状態を示している。
図2(b)は、第2スタック部の電圧が低下し、補機5への電力供給が第2スタック部101Bから第1スタック部101Aに変更されたときの継電部3a〜3dの接続状態を示している。
【0028】
図3は、
図2の実施形態において固体電解質形燃料電池を用いる場合の燃料電池ユニットの一例を示す斜視図であり、
図4は、
図3のIV−IV線に沿っての断面図である。
図3に示すように、本実施形態における燃料電池ユニット60Aは、複数の燃料電池スタック部101、第1〜4集電体102A〜102D、及びセル固定部103を備えている。
【0029】
図4に示すように、燃料電池セル(単セル)100は、膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly(以下、「MEA」という))110、アノード側セパレータ120、及びカソード側セパレータ130を備えている。MEA110は、電解質膜111、アノード112、及びカソード113を含んで構成される。
【0030】
電解質膜111は、一対の電極(アノード112及びカソード113)によって挟まれており、水素イオンを選択的に透過させる高分子電解質膜によって形成されている。高分子電解質膜としては、例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸を使用することができる。
【0031】
アノード112は、電気化学的酸化反応が起きる状態にある電極層であり、カソード113は、電気化学的還元反応が起きる状態にある電極層である。これらのアノード112及びカソード113は、電解質膜111の表面側に形成された触媒層、及びこの触媒層の外面に配置されたガス拡散層を備えている。触媒層は、白金族金属触媒を担持したカーボン粉末を主成分とするものである。ガス拡散層は、通気性及び電気導電性を有するものである。
【0032】
アノード側セパレータ120は、導電性を有するカーボン板によって形成されており、複数の溝部121によって、水素含有ガスが通過するガス流路122が形成されている。溝部121は、MEA110のアノード112との接触面120bに形成されている。従って、ガス流路122を通過する水素含有ガスがアノード112に供給される。
【0033】
カソード側セパレータ130は、導電性を有するカーボン板によって形成されており、複数の溝部131によって、酸素含有ガスが通過するガス流路132が形成されている。溝部131は、MEA110のカソード113との接触面130bに形成されている。従って、ガス流路132を通過する酸素含有ガスがカソード113に供給される。
【0034】
そして、燃料電池セル100は、アノードガスとしての水素含有ガス中の水素と、カソードガスとしての酸素含有ガス中の酸素とを用いて電力を発生させる。水素含有ガスとしては、上述の改質ガス等が挙げられる。酸素含有ガスとしては、例えば純酸素ガス、酸素富化空気、及び空気が挙げられるが、中でも取扱容易性及びコストの観点から空気が好ましい。本実施形態では、アノードガスとして、水素製造部40から改質ガスが供給され、カソードガスとして、後述のカソードガス供給装置50を介して空気が供給される。
【0035】
図2に示すように、燃料電池スタック部101は、複数の燃料電池セル100が直列接続され、直列接続方向の一方の端部に第1集電体102Aが配置され、積層方向の他方の端部に第2集電体102Bが配置されている。第1及び第2集電体102A,102Bは、例えば銅板によって形成され、隣接する燃料電池セル100と電気的に接続されている。また、第1及び第2集電体102A,102Bには、外方に張り出す接続端子102tが回路4Aを構成するものとして設けられている。
【0036】
第3集電体102Cは、燃料電池セル100の直列接続方向において第1集電体102Aと第2集電体102Bとの間に配置されている。第3集電体102Cは、例えば、上述のセパレータ120,130によって構成され、隣接する燃料電池セル100と電気的に接続されている。第4集電体102Dは、燃料電池セル100の直列接続方向において第2集電体102Bと第3集電体102Cとの間に配置されている。第4集電体102Dは、例えば、上述のセパレータ120,130によって構成され、隣接する燃料電池セル100と電気的に接続されている。また、第3及び第4集電体102C,102Dには、外方に張り出す接続端子102tが回路4Aを構成するものとして設けられている。
【0037】
これら第3及び第4集電体102C,102Dは、その間の電圧が第1及び第2集電体102A,102B間の電圧よりも小さくなるよう配置されている。ここでは、第1〜第4集電体102A〜102Dは、直列接方向に等間隔で配置されている。よって、第1及び第3集電体102A,102C間の燃料電池スタック部101による発電電圧と、第2及び第4集電体102B,102D間の燃料電池スタック部101による発電電圧と、集電体102A,102C間の燃料電池セル100による発電電圧とは、補機5を作動させるための電圧(補機作動電圧、例えば24V)となっている。
【0038】
以上のように構成された燃料電池ユニット60Aでは、その内部が分割され、独立した一つの電池としてそれぞれ機能する複数のスタック部101A〜101Cが直列接続された構成とされる。すなわち、集電体102A,102C間の燃料電池セル100により第1スタック部101Aが構成され、集電体102C,102D間の燃料電池セル100により第2スタック部101Bが構成され、集電体102D,102B間の燃料電池セル100により第3スタック部101Cが構成される。
【0039】
セル固定部103は、燃料電池セル100の積層方向の両端部に配置された第1及び第2集電体102Aそれぞれの外側に配置されている。セル固定部103は、第1及び第2集電体102A,102Bを挟み、これらを両側から固定する。
【0040】
継電部3a〜3dは、補機5に電力を供給する第1〜第3スタック部101A〜101Cを切替可能とする構成を有している。この継電部3(3a〜3d)は、スイッチ素子を含み、このスイッチ素子のON/OFFを制御することで、燃料電池スタック部101A〜101Cから出力される発電電力の電圧に応じて、第1〜第3スタック部101A〜101Cと回路4との接続状態を切り替える。ここでの継電部3は、電圧検出部80で検出された第1〜第3スタック部101A〜101Cの各電圧に基づき回路4Aを切り替え、補機5に供給される発電電力の電圧を維持させる(詳しくは、後述)。継電部3としては、例えばリレー等が用いられている。
【0041】
ここで、第1〜第3スタック部101A〜101Cの電圧低下が電圧検出部80により検出されない通常時には、継電部3b及び3cはON状態、継電部3a及び3dはOFF状態になるように制御され、回路4Aが
図2(a)に示す回路状態とされる。このとき、第1〜第3スタック部101A〜101Cで発生された発電電力は、PCS70に供給され、電圧変換器71によって変圧された上で直交変換器72によって直流から交流に変換され、外部電力負荷EIに供給されて消費される。これと共に、第2スタック部101Bで発生された24Vの発電電力は、補機5に供給されて該補機5が作動される。
【0042】
一方、例えば第2スタック部101Bの電圧低下が電圧検出部80により検出された場合には、継電部3a及び3bはON状態、3c及び3dはOFF状態になるように制御され、回路4Aが例えば
図2(b)に示す回路状態とされる。つまり、電圧検出部80で電圧低下が検出された第2スタック部101Bを回路4Aから切り離すように回路4Aが切り替えられる。換言すると、電圧が安定しているスタック部101に接続されるように回路4Aを切り替える。その結果、補機5に印加される発電電力の電圧は24Vのまま維持され、補機5において印加電圧の低下が抑制されることとなる。
【0043】
以上、本実施形態では、例えば第1〜第3スタック部101A〜101C(複数の燃料電池スタック部101)の何れかで電圧低下が発生した場合でも、電圧検出部80で検出された電圧値に基づき継電部3a〜3dによって回路4Aを切り替えることで、補機5に電力を供給する第1〜第3スタック部101A〜101Cを切り替え、補機5に印加される発電電力の電圧を所定電圧に維持させることができる。その結果、電圧低下が生じた燃料電池スタック部101に対する発電負荷を軽減しつつ、補機5への印加電圧の低下を抑制することが可能となる。
【0044】
また、上述したように、継電部3a〜3dは、第1〜第3スタック部101A〜101Cのうち電圧検出部80で電圧低下が検出された第2スタック部101BからPCS70又は/及び補機5への電力供給を遮断するよう回路4Aを切り替えている。よって、電圧低下が生じた第2スタック部101Bに対する発電負荷を確実に減らし、電圧低下を抑制することが可能となる。
【0045】
なお、本実施形態は、直列接続された3つの第1〜第3スタック部101A〜101Cを備えているが、本発明は、スタック部の数が限定されるものではなく、複数のスタック部を備えていればよい。例えば、第1〜第3スタック部101A〜101Cと同様の第4スタック部101Dをさらに備え、第1〜第4スタック部101A〜101Dが直列接続されるよう構成されていてもよい。この場合においても、回路4Aに継電部3a〜3dが設けられ、この継電部3a〜3dによって、補機5に供給される発電電力の電圧に応じて燃料電池ユニット60Aと回路4Aとの接続状態が切り替えられる。
【0046】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明では、上記第1実施形態と異なる点について主に説明する。
【0047】
図5は、第2実施形態に係る燃料電池システムの一部を示すブロック図である。本実施形態の燃料電池システムは、第1〜第3スタック部201A〜201C、PCS70、補機5、第1〜第3スタック部201A〜201Cのそれぞれの電圧を検出する電圧検出部80、及び第1〜第3スタック部201A〜201Cと補機5及びPCS70との接続を切替可能とする継電部3a〜3dを備え、それらによって回路4が形成されている。
図3(a)は、第1〜第3スタック部201A〜201Cにおいて電圧低下が検出されておらず、補機5への電力は第2スタック部201Bから供給しているときの継電部3の接続状態を示す。
図3(b)は、第2スタック部201Bの電圧が低下し、補機5への電力供給を第1スタック部201Aに変更したときの継電部3の接続状態を示す。
【0048】
図5に示すように、本実施形態の燃料電池システムが上記第1実施形態と異なる点は、燃料電池ユニット60A(
図2参照)に代えて燃料電池ユニット60Bを備え、回路4A(
図2参照)に代えて回路4Bを備えた点である。
【0049】
本実施形態の燃料電池ユニット60Bは、回路4Bにより並列に接続された第1〜第3スタック部201A〜201Cを有している。具体的には、
図6に示すように、燃料電池ユニット60Bは、絶縁部205,206が形成されることによって、積層方向の直交方向(図示上下方向:以下、単に「直交方向」という)において、第1〜第3スタック部201A〜201Cに3分割されている。
【0050】
絶縁部205及び絶縁部206は、燃料電池ユニット60Bが直交方向において三等分されるように配置される。第1〜第3スタック部201A〜201Cのそれぞれは、互いに電気的に絶縁され、独立した一つの電池として機能する。
【0051】
図7に戻り、回路4Bは、第1〜第3スタック部201A〜201Cを電気的に繋いでこれらを直列接続する。この回路4Bに設けられた継電部3a〜3fは、補機5及びPCS70により補機5に電力を供給する第1〜第3スタック部201A〜201Cを切替可能とする構成を有している。
【0052】
ここで、第1〜第3スタック部201A〜201Cの電圧低下が電圧検出部80により検出されない通常時には、全ての継電部3a〜3fがON状態になるように制御され、回路4Bが
図5(a)に示す回路状態とされる。このとき、第1〜第3スタック部201A〜201Cで発生された発電電力は、PCS70に供給され、電圧変換器71によって変圧された上で直交変換器72によって直流から交流に変換され、外部電力負荷EIに供給されて消費される。これと共に、第1〜第3スタック部201A〜201Cで発生された24Vの発電電力は、補機5に供給されて該補機5が作動される。
【0053】
一方、例えば第2スタック部201Bの電圧低下が電圧検出部80により検出された場合には、継電部3a及び3bはON状態、3c及び3dはOFF状態になるように制御され、回路4Bが
図5(b)に示す回路状態とされる。つまり、電圧検出部80で電圧低下が検出された第2スタック部201Bを回路4Bから切り離すように回路4Bが切り替えられる。その結果、補機5に供給される発電電力の電圧は24Vのまま維持され、補機5において印加電圧の低下が抑制されることとなる。
【0054】
このように構成された本実施形態においても、電圧検出部80で検出された電圧値に基づき継電部3a〜3fによって回路4Bを切り替えることで、補機5に電力を供給する第1〜第3スタック部201A〜201Cを切り替え、補機5及びPCS70に供給される発電電力の電圧を所定電圧に維持させることができ、その結果、電圧低下が生じた燃料電池スタック部に対する発電負荷を軽減しつつ、補機5への印加電圧の低下を抑制することが可能となる。
【0055】
また、第2実施形態において、継電部3a〜3fついて別の操作をすることもできる。
図7は、第2実施形態に係る燃料電池システムの一部を示す他のブロック図である。
図7に示すように、本実施形態における燃料電池ユニット60Bは、第1〜第3スタック部201A〜201Cが互いに電気的に並列に接続されて構成されている。
図7(a)は、第1〜第3スタック部201A〜201Cにおいて電圧低下が検出されておらず、補機5への電力は第1〜第3スタック部201A〜201Cから供給しているときの継電部3d〜3fの接続状態を示す。
図7(b)は、第2スタック部201Bの電圧が低下し、補機5への電力供給を第1スタック部201A及び第3スタック部201Cに変更したときの継電部3d〜3fの接続状態を示す。
【0056】
ここで、第1〜第3スタック部201A〜201Cの電圧低下が電圧検出部80により検出されない通常時には、継電部3b、3d、3e及び3fはON状態、継電部3a及び3cはOFF状態になるように制御され、回路4Bが
図7(a)に示す回路状態とされる。このとき、第1〜第3スタック部201A〜201Cで発生された発電電力は、PCS70に供給され、電圧変換器71によって変圧された上で直交変換器72によって直流から交流に変換され、外部電力負荷EIに供給されて消費される。これと共に、第1〜第3スタック部201A〜201Cで発生された24Vの発電電力は、補機5に供給されて該補機5が作動される。
【0057】
一方、例えば第2スタック部201Bの電圧低下が電圧検出部80により検出された場合には、継電部3a,3d,3e及び3fはON状態、継電部3b及び3cはOFF状態になるように制御され、回路4Bが
図7(b)に示す回路状態とされる。つまり、電圧検出部80で電圧低下が検出された第2スタック部201Bを回路4Bから切り離すように回路4Bが切り替えられる。その結果、補機5に印加される発電電力の電圧は24Vのまま維持され、補機5において印加電圧の低下が抑制されることとなる。
【0058】
なお、第1及び第2実施形態は、並列接続された3つの第1〜第3スタック部201A〜201Cを備えているが、上述したように本発明はスタック部の数が限定されるものではなく、複数のスタック部を備えていればよい。
【0059】
例えば、燃料電池ユニット60Bは、第1〜第3スタック部201A〜201Cと同様の第4スタック部をさらに備え、第1〜第4スタック部が並列接続されるよう構成されてもよい。この場合においても、回路4Bに継電部3が設けられ、この継電部3によって、補機5及びPCS70に供給される発電電力の電圧に応じて、第1〜第4スタック部と回路4Bとの接続状態が切り替えられる。
【0060】
また、
図8に示す第3実施形態に係る燃料電池システムのように、直列接続および並列接続を併用して第1〜第4スタック部301A〜301Dを接続した燃料電池ユニット60Cを用い、回路4Cを構成することができる。この場合、補機5やPCS70に印加すべき電圧に応じて、スタック部301A〜301Dと回路4Cとの接続状態を切り替えればよい。
【0061】
さらには、
図9に示す第4実施形態に係る燃料電池システムのように、直列接続および並列接続を併用してメインスタック部401Mと第1〜第4スタック部401A〜401Dを接続した燃料電池ユニット60Dとを用い、回路4Dを構成することもできる。この場合、補機5やPCS70に印加すべき電圧に応じて、メインスタック部401M及び第1〜第4スタック部401A〜401Dと回路4Dとの接続状態を切り替えればよい。
【0062】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0063】
例えば、上記第1〜第3実施形態では固体電解質形燃料電池を用いたが、これに限られず、例えば固体酸化物形燃料電池(SOFC)、リン酸形燃料電池(PAFC)、及び溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)を採用してもよい。また、燃料電池ユニットとして、複数のスタック部が物理的に密着している構成を例に説明したが、複数のスタック部が配線等により電気的に接続されている構成のものを用いることもできる。
【0064】
ちなみに、上記第1〜第3の本実施形態では、補機5に供給される発電電力の電圧が維持されるよう構成されているが、これに代えて若しくは加えて、PCS70に供給される発電電力の電圧が維持されるよう構成されていてもよい。
【0065】
また、上記実施形態は、出力される発電電力の電圧が24Vで維持されるよう構成されているが、5V、12V、48V又はその他の電圧で維持されるよう構成されていてもよい。また、出力される発電電力の電圧が所定電圧に維持されているが、所定電圧範囲内に維持される場合もある。