(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記熱交換部は、前記セルスタックから排出されるオフガスの燃焼ガスから前記水に熱を移動させて前記水を加熱する熱交換器と、前記貯湯槽から前記熱交換器に前記水を循環流通させる第3の水流路と、を有し、
前記第2の水流路は、前記第3の水流路における前記熱交換器の下流側の第2の位置から分岐して前記第1の位置に合流し、
前記第2の水流路系は、前記第3の水流路における前記第2の位置の上流側の部分、前記第2の水流路、及び前記第1の水流路における前記第1の位置の下流側の部分を介して、前記所定の施設に至る、請求項1又は2記載の燃料電池システム。
前記熱交換部は、前記セルスタックから排出されるオフガスの燃焼ガスから熱媒体に熱を移動させて前記熱媒体を加熱する熱交換器と、前記貯湯槽及び前記熱交換器を介して前記熱媒体を循環流通させる熱媒体流路と、を有し、
前記第2の水流路は、前記第2の水貯留領域から延出して前記第1の位置に合流し、
前記第2の水流路系は、前記第2の水流路、及び前記第1の水流路における前記第1の位置の下流側の部分を介して、前記所定の施設に至る、請求項1又は2記載の燃料電池システム。
前記熱交換部は、前記セルスタックより循環される熱回収媒体から前記水に熱を移動させて前記水を加熱する熱交換器と、前記貯湯槽から前記熱交換器に前記水を循環流通させる第3の水流路と、を有し、
前記第2の水流路は、前記第3の水流路における前記熱交換器の下流側の第2の位置から分岐して前記第1の位置に合流し、
前記第2の水流路系は、前記第3の水流路における前記第2の位置の上流側の部分、前記第2の水流路、及び前記第1の水流路における前記第1の位置の下流側の部分を介して、前記所定の施設に至る、請求項1又は2記載の燃料電池システム。
前記熱交換部は、前記セルスタックより循環される熱回収媒体から熱媒体に熱を移動させて前記熱媒体を加熱する熱交換器と、前記貯湯槽及び前記熱交換器を介して前記熱媒体を循環流通させる熱媒体流路と、を有し、
前記第2の水流路は、前記第2の水貯留領域から延出して前記第1の位置に合流し、
前記第2の水流路系は、前記第2の水流路、及び前記第1の水流路における前記第1の位置の下流側の部分を介して、前記所定の施設に至る、請求項1又は2記載の燃料電池システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、バックアップボイラは、最弱の火力での燃焼量である最低燃焼量を有している。従って、貯湯槽に貯留されている湯の温度が所定の施設の要求温度よりも低い場合において、その差が、バックアップボイラの最低燃焼量によって上昇する水の温度よりも小さいときには、所定の施設に供給される湯の温度が要求温度を超えてしまうことになる。そのため、バックアップボイラに供給する前に湯に水を加えるなどして、所定の施設に供給される湯の温度が要求温度を超えないように調節する必要があり、エネルギーの損失を招いていた。
【0005】
そこで、本発明は、所定の施設に効率良く湯を供給することができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点の燃料電池システムは、水素含有ガスを用いて発電を行うセルスタックを含む発電部と、所定の施設に供給するための水を貯留する貯湯槽と、発電部で発生する熱を利用して、貯湯槽に貯留された水を加熱する熱交換部と、貯湯槽の第1の水貯留領域に貯留された水を所定の施設に流通させる第1の水流路と、第1の水流路に設けられ、第1の水貯留領域に貯留された水の温度が所定の施設の要求温度よりも低い場合に水を加熱する加熱部と、第1の水貯留領域に貯留される水の温度よりも低い温度の水が貯留される貯湯槽の第2の水貯留領域に貯留された水を第1の水流路における加熱部の上流側の第1の位置に流通させる第2の水流路と、貯湯槽に貯留された水を所定の施設に供給するときに、第1の水流路を介して所定の施設に至る第1の水流路系と、第2の水流路、及び第1の水流路における第1の位置の下流側の部分を介して、所定の施設に至る第2の水流路系との間で、水流路系を切り替える切替部と、を備える。
【0007】
このとき、熱交換部は、セルスタックから排出されるオフガスの燃焼ガスから水に熱を移動させて水を加熱する熱交換器と、貯湯槽から熱交換器に水を循環流通させる第3の水流路と、を有し、第2の水流路は、第3の水流路における熱交換器の下流側の第2の位置から分岐して第1の位置に合流し、第2の水流路系は、第3の水流路における第2の位置の上流側の部分、第2の水流路、及び第1の水流路における第1の位置の下流側の部分を介して、所定の施設に至ってもよい。
【0008】
或いは、熱交換部は、セルスタックから排出されるオフガスの燃焼ガスから熱媒体に熱を移動させて熱媒体を加熱する熱交換器と、貯湯槽及び熱交換器を介して熱媒体を循環流通させる熱媒体流路と、を有し、第2の水流路は、第2の水貯留領域から延出して第1の位置に合流し、第2の水流路系は、第2の水流路、及び第1の水流路における第1の位置の下流側の部分を介して、所定の施設に至ってもよい。
【0009】
また、熱交換部は、セルスタックより循環される熱回収媒体から水に熱を移動させて水を加熱する熱交換器と、貯湯槽から熱交換器に水を循環流通させる第3の水流路と、を有し、第2の水流路は、第3の水流路における熱交換器の下流側の第2の位置から分岐して第1の位置に合流し、第2の水流路系は、第3の水流路における第2の位置の上流側の部分、第2の水流路、及び第1の水流路における第1の位置の下流側の部分を介して、所定の施設に至ってもよい。
【0010】
或いは、熱交換部は、セルスタックより循環される熱回収媒体から熱媒体に熱を移動させて熱媒体を加熱する熱交換器と、貯湯槽及び熱交換器を介して熱媒体を循環流通させる熱媒体流路と、を有し、第2の水流路は、第2の水貯留領域から延出して第1の位置に合流し、第2の水流路系は、第2の水流路、及び第1の水流路における第1の位置の下流側の部分を介して、所定の施設に至ってもよい。
【0011】
これらの場合、所定の施設に湯(貯湯槽に貯留された水)を供給するための水流路系が、貯湯槽の第1の水貯留領域から加熱部を介して所定の施設に至る第1の水流路系と、貯湯槽の第2の水貯留領域から加熱部を介して所定の施設に至る第2の水流路系との間で切り替えられる。そのため、例えば、第1の水貯留領域に貯留された水の温度が所定の施設の要求温度よりも低い場合に、第1の水流路系から第2の水流路系に切り替えることで、第1の水貯留領域に貯留されている水の温度の低下を抑制しつつ、第2の水貯留領域から加熱部を介して所定の施設に湯を供給することができる。よって、この燃料電池システムによれば、所定の施設に効率良く湯を供給することが可能となる。
【0012】
ここで、切替部は、
第1の水貯留領域に貯留された水の温度が要求温度以上である場合には、第1の水流路系によって所定の施設に水を供給し、第1の水貯留領域に貯留された水の温度が要求温度よりも低い場合に
は、
第2の水流路系によって所定の施設に水を供給するように、第1の水流路系
と第2の水流路系
との間で、水流路系を切り替えてもよい。これによれば、上述したように、第1の水貯留領域に貯留されている水の温度の低下を抑制することができる。
【0013】
さらに、切替部は、
第1の水貯留領域に貯留された水の温度が要求温度以上であるか、又はその差が加熱部による水の上昇温度の最小値以上である場合には、第1の水流路系によって所定の施設に水を供給し、第1の水貯留領域に貯留された水の温度が要求温度よりも低く、かつその差が加熱部による水の上昇温度の最小値よりも小さい場合に
は、
第2の水流路系によって所定の施設に水を供給するように、第1の水流路系
と第2の水流路系
との間で、水流路系を切り替えてもよい。そのような場合に第1の水流路系を用いると、加熱部に供給する前に湯に水を加えるなどして、所定の施設に供給される湯の温度が要求温度を超えないように調節する必要があるが、第1の水流路系から第2の水流路系に切り替えることで、そのような調節が不要となる。
また、セルスタックは、固体酸化物形燃料電池であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、所定の施設に効率良く湯を供給することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1の実施形態]
【0017】
図1に示されるように、燃料電池システム1は、脱硫部2と、水気化部3と、水素発生部4と、セルスタック5と、オフガス燃焼部6と、水素含有燃料供給部7と、水供給部8と、酸化剤供給部9と、パワーコンディショナー10と、制御部11と、を備えている。燃料電池システム1は、水素含有燃料及び酸化剤を用いて、セルスタック5にて発電を行う。燃料電池システム1におけるセルスタック5の種類は特に限定されず、例えば、固体高分子形燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)、固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)、リン酸形燃料電池(PAFC:Phosphoric Acid Fuel Cell)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC:Molten Carbonate Fuel Cell)、及び、その他の種類を採用することができる。なお、セルスタック5の種類、水素含有燃料の種類、及び改質方式等に応じて、
図1に示す構成要素を適宜省略してもよい。
【0018】
水素含有燃料として、例えば、炭化水素系燃料が用いられる。炭化水素系燃料として、分子中に炭素と水素とを含む化合物(酸素等、他の元素を含んでいてもよい)若しくはそれらの混合物が用いられる。炭化水素系燃料として、例えば、炭化水素類、アルコール類、エーテル類、バイオ燃料が挙げられ、これらの炭化水素系燃料は従来の石油・石炭等の化石燃料由来のもの、合成ガス等の合成系燃料由来のもの、バイオマス由来のものを適宜用いることができる。具体的には、炭化水素類として、メタン、エタン、プロパン、ブタン、天然ガス、LPG(液化石油ガス)、都市ガス、タウンガス、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油が挙げられる。アルコール類として、メタノール、エタノールが挙げられる。エーテル類として、ジメチルエーテルが挙げられる。バイオ燃料として、バイオガス、バイオエタノール、バイオディーゼル、バイオジェットが挙げられる。
【0019】
酸化剤として、例えば、空気、純酸素ガス(通常の除去手法で除去が困難な不純物を含んでもよい)、酸素富化空気が用いられる。
【0020】
脱硫部2は、水素発生部4に供給される水素含有燃料の脱硫を行う。脱硫部2は、水素含有燃料に含有される硫黄化合物を除去するための脱硫触媒を有している。脱硫部2の脱硫方式として、例えば、硫黄化合物を吸着して除去する吸着脱硫方式や、硫黄化合物を水素と反応させて除去する水素化脱硫方式が採用される。脱硫部2は、脱硫した水素含有燃料を水素発生部4へ供給する。
【0021】
水気化部3は、水を加熱し気化させることによって、水素発生部4に供給される水蒸気を生成する。水気化部3における水の加熱は、例えば、水素発生部4の熱、オフガス燃焼部6の熱、あるいは排ガスの熱を回収する等、燃料電池システム1内で発生した熱を用いてもよい。また、別途ヒータ、バーナ等の他熱源を用いて水を加熱してもよい。なお、
図1では、一例としてオフガス燃焼部6から水素発生部4へ供給される熱のみ記載されているが、これに限定されない。水気化部3は、生成した水蒸気を水素発生部4へ供給する。
【0022】
水素発生部4は、脱硫部2からの水素含有燃料を用いて水素リッチガスを発生させる。水素発生部4は、水素含有燃料を改質触媒によって改質する改質器を有している。水素発生部4での改質方式は、特に限定されず、例えば、水蒸気改質、部分酸化改質、自己熱改質、その他の改質方式を採用できる。なお、水素発生部4は、セルスタック5に要求される水素リッチガスの性状によって、改質触媒により改質する改質器の他に性状を調整するための構成を有する場合もある。例えば、セルスタック5のタイプが固体高分子形燃料電池(PEFC)やリン酸形燃料電池(PAFC)であった場合、水素発生部4は、水素リッチガス中の一酸化炭素を除去するための構成(例えば、シフト反応部、選択酸化反応部)を有する。水素発生部4は、水素リッチガスをセルスタック5のアノード12へ供給する。
【0023】
セルスタック5は、水素発生部4からの水素リッチガス及び酸化剤供給部9からの酸化剤を用いて発電を行う。セルスタック5は、水素リッチガスが供給されるアノード12と、酸化剤が供給されるカソード13と、アノード12とカソード13との間に配置される電解質14と、を備えている。セルスタック5は、パワーコンディショナー10を介して、電力を外部へ供給する。セルスタック5は、発電に用いられなかった水素リッチガス及び酸化剤をオフガスとして、オフガス燃焼部6へ供給する。なお、水素発生部4が備えている燃焼部(例えば、改質器を加熱する燃焼器など)をオフガス燃焼部6と共用してもよい。
【0024】
オフガス燃焼部6は、セルスタック5から供給されるオフガスを燃焼させる。オフガス燃焼部6によって発生する熱は、水素発生部4へ供給され、水素発生部4での水素リッチガスの発生に用いられる。
【0025】
水素含有燃料供給部7は、脱硫部2へ水素含有燃料を供給する。水供給部8は、水気化部3へ水を供給する。酸化剤供給部9は、セルスタック5のカソード13へ酸化剤を供給する。水素含有燃料供給部7、水供給部8、及び酸化剤供給部9は、例えばポンプによって構成されており、制御部11からの制御信号に基づいて駆動する。
【0026】
パワーコンディショナー10は、セルスタック5からの電力を、外部での電力使用状態に合わせて調整する。パワーコンディショナー10は、例えば、電圧を変換する処理や、直流電力を交流電力へ変換する処理を行う。
【0027】
制御部11は、燃料電池システム1全体の制御処理を行う。制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び入出力インターフェイスを含んで構成されたデバイスによって構成される。制御部11は、水素含有燃料供給部7、水供給部8、酸化剤供給部9、パワーコンディショナー10、その他、図示されないセンサや補機と電気的に接続されている。制御部11は、燃料電池システム1内で発生する各種信号を取得すると共に、燃料電池システム1内の各機器へ制御信号を出力する。
【0028】
上述した燃料電池システム1は、
図2に示されるように、発電部21と、熱交換器22と、貯湯槽23と、バックアップボイラ(加熱部)24と、を備えて構成されている。発電部21は、水素リッチガス(水素含有ガス)を用いて発電を行うセルスタック5を含んでモジュール化されたものである。発電部21は、少なくともセルスタック5を含むものであって、さらにオフガス燃焼部6や水素発生部4等を含む場合もあれば、オフガス燃焼部6や水素発生部4等を含まない場合もある。
【0029】
熱交換器22は、セルスタック5から排出されるオフガスの燃焼ガス(すなわち、オフガス燃焼部6からの排ガス)(若しくは、セルスタック5から循環される熱回収媒体(例えば、純水、不凍液等の電気伝導性が充分に低い液体))、及び水を流通させることで、燃焼ガス(若しくは、熱回収媒体(以下、同じ))から水に熱を移動させて水を加熱する。この水は、水流路(第3の水流路)FP3によって、貯湯槽23から熱交換器22に循環流通させられているものである。熱交換器22で加熱された水は、貯湯槽23に貯留される。ここでは、熱交換器22及び水流路FP3によって熱交換部20が構成されている。すなわち、熱交換部20は、発電部21で発生する熱を利用して、貯湯槽23に貯留された水を加熱する。なお、熱交換器22では、冷却された燃焼ガスから水が回収され、その水は、水供給部8及び水気化部3を介して水素発生部4に供給される。
【0030】
貯湯槽23は、例えば円筒状に形成されている。ここでは、水流路FP3は、貯湯槽23の下部から水を導出し、熱交換器22を介して、貯湯槽23の上部に水を導入する。これにより、貯湯槽23に貯留されている水の温度は、下部での温度よりも上部での温度が高い状態で徐々に上昇することになる。つまり、貯湯槽23においては、上部が、比較的高い温度の水が貯留される水貯留領域(第1の水貯留領域)23Hとなり、下部が、比較的低い温度(第1の水貯留領域に貯留される水の温度よりも低い温度)の水が貯留される水貯留領域(第2の水貯留領域)23Lとなる。
【0031】
貯湯槽23に貯留されている水は、水流路(第1の水流路)FP1によって、燃料電池システム1が設置された施設(所定の施設)Fに流通させられる。つまり、水流路FP1は、湯(熱交換器22で加熱された水)を施設Fに供給するための水流路である。ここでは、水流路FP1は、貯湯槽23の水貯留領域23Hから水を導出する。つまり、水流路FP1は、貯湯槽23の水貯留領域23Hに貯留された水を施設Fに流通させる。
【0032】
バックアップボイラ24は、水流路FP1に設けられており、熱交換器22で加熱された水の温度(すなわち、貯湯槽23の水貯留領域23Hに貯留された水の温度)が施設Fの要求温度よりも低い場合に水を加熱する。例えば、施設Fの要求温度が70℃であるのに対し、貯湯槽23の水貯留領域23Hでの水の温度が50℃である場合には、水流路FP1によって貯湯槽23の水貯留領域23Hから導出された水の温度は、バックアップボイラ24によって20℃上昇させられる。
【0033】
水流路FP3における熱交換器22の下流側の位置(第2の位置)P2と、水流路FP1におけるバックアップボイラ24の上流側の位置(第1の位置)P1との間には、水流路(第2の水流路)FP2が掛け渡されている。つまり、水流路FP2は、水流路FP3における位置P2から分岐し、水流路FP1における位置P1に合流している。これにより、水流路FP2は、貯湯槽23の水貯留領域23Lに貯留された水を間接的に(ここでは、水流路FP3における位置P2の上流側の部分を介して)水流路FP1における位置P1に流通させる。
【0034】
燃料電池システム1では、貯湯槽23に貯留された水を施設Fに供給するときに、水流路系(第1の水流路系)FS1又は水流路系(第2の水流路系)FS2が用いられる。水流路系FS1は、貯湯槽23から水流路FP1を介して施設Fに至る水流路系である。水流路系FS2は、貯湯槽23から、水流路FP3における位置P2の上流側の部分、水流路FP2、及び水流路FP1における位置P1の下流側の部分を介して、施設Fに至る水流路系である。
【0035】
貯湯槽23に貯留された水を施設Fに供給するための水流路系は、切替部25によって、水流路系FS1と水流路系FS2との間で切り替えられる。切替部25は、例えば、水流路FP3における位置P2の下流側の部分、水流路FP2、及び水流路FP1における位置P1の上流側の部分のそれぞれに設けられた電磁弁によって構成することができる。この場合、切替部25は、水流路FP3における位置P2の下流側の部分に設けられた電磁弁、及び水流路FP1における位置P1の上流側の部分に設けられた電磁弁を開き、水流路FP2に設けられた電磁弁を閉じることで、水流路系FS1に切り替える。一方、切替部25は、水流路FP3における位置P2の下流側の部分に設けられた電磁弁、及び水流路FP1における位置P1の上流側の部分に設けられた電磁弁を閉じ、水流路FP2に設けられた電磁弁を開くことで、水流路系FS2に切り替える。
【0036】
なお、貯湯槽23の水貯留領域23Lには、水流路FP4が接続されている。この水流路FP4は、例えば、貯湯槽23に貯留されている水が施設Fで利用された場合に、貯湯槽23内の水位が一定に維持されるように、水道水を貯湯槽23に供給する。また、水流路FP4における所定の位置と、水流路FP1における位置P1の上流側の所定の位置との間には、水流路FP5が掛け渡されている。つまり、水流路FP5は、水流路FP3における所定の位置から分岐し、水流路FP1における所定の位置に例えば減圧調整バルブやブレンダー等を介して合流している。この水流路FP5は、例えば、施設Fの要求温度が70℃であるのに対し、貯湯槽23の水貯留領域23Hでの水の温度が75℃である場合に、その水の温度が5℃下降するように、貯湯槽23の水貯留領域23Hから導出された水に水道水を加える。
【0037】
ここで、施設Fに湯を供給するときの切替部25の動作について説明する。なお、バックアップボイラ24の最低燃焼量(すなわち、最弱の火力での燃焼量)によって上昇する水の温度(バックアップボイラ24による水の上昇温度の最小値)は20℃であるものとする。また、貯湯槽23に貯留されている水の温度は、少なくとも貯湯槽23の水貯留領域23H,23Lのそれぞれにおいて温度センサによって検出される。
【0038】
最初に、施設Fの要求温度が70℃であるのに対し、貯湯槽23の水貯留領域23Hでの水の温度が75℃である場合(つまり、水貯留領域23Hに貯留された水の温度が施設Fの要求温度よりも高い場合)について説明する。この場合には、
図3に示されるように、切替部25は、例えば、水流路FP3における位置P2の下流側の部分に設けられた電磁弁、及び水流路FP1における位置P1の上流側の部分に設けられた電磁弁を開き、水流路FP2に設けられた電磁弁を閉じることで、水流路系FS1に切り替える。これにより、貯湯槽23から水流路FP1を介して施設Fに至る水流路系FS1によって、施設Fに湯が供給されることになる。ただし、この場合には、水流路FP5によって、貯湯槽23の水貯留領域23Hから導出された水の温度が5℃下降するように、その水に水道水が加えられる。なお、貯湯槽23に貯留されている水は、水流路FP3によって、熱交換器22に循環流通させられる。
【0039】
次に、施設Fの要求温度が70℃であるのに対し、貯湯槽23の水貯留領域23Hでの水の温度が70℃である場合(つまり、水貯留領域23Hに貯留された水の温度が施設Fの要求温度に等しい場合)について説明する。この場合には、上述した場合と同様に、切替部25は、水流路系FS1に切り替える。これにより、貯湯槽23から水流路FP1を介して施設Fに至る水流路系FS1によって、施設Fに湯が供給されることになる。勿論、この場合には、水流路FP5による水道水の加水は不要である。なお、貯湯槽23に貯留されている水は、水流路FP3によって、熱交換器22に循環流通させられる。
【0040】
最後に、施設Fの要求温度が70℃であるのに対し、貯湯槽23の水貯留領域23Hでの水の温度が65℃である場合(つまり、水貯留領域23Hに貯留された水の温度が施設Fの要求温度よりも低く、かつその差(ここでは5℃)がバックアップボイラ24による水の上昇温度の最小値(ここでは20℃)よりも小さい場合)について説明する。この場合には、
図4に示されるように、切替部25は、例えば、水流路FP3における位置P2の下流側の部分に設けられた電磁弁、及び水流路FP1における位置P1の上流側の部分に設けられた電磁弁を閉じ、水流路FP2に設けられた電磁弁を開くことで、水流路系FS2に切り替える。これにより、貯湯槽23から、水流路FP3における位置P2の上流側の部分、水流路FP2、及び水流路FP1における位置P1の下流側の部分を介して、施設Fに至る水流路系FS2によって、施設Fに湯が供給されることになる。このとき、バックアップボイラ24によって、貯湯槽23の水貯留領域23Lから導出された水の温度が70℃となるように、その水が加熱される。このように、貯湯槽23の水貯留領域23Lに貯留されている低温の水が利用されることで、貯湯槽23の水貯留領域23Hに貯留されている高温の水が温存されることになる。なお、施設Fに供給する湯量を補充するためなどに、水流路FP5によって、貯湯槽23の水貯留領域23Lから導出された水に水道水が加えられてもよい。
【0041】
ところで、切替部25は、貯湯槽23の水貯留領域23Hに貯留された水の温度が施設Fの要求温度よりも低い場合に(その差がバックアップボイラ24による水の上昇温度の最小値よりも小さいか否かにかかわらず)、水流路系FS2に切り替えてもよい。これによっても、貯湯槽23の水貯留領域23Lに貯留されている低温の水が利用されて、貯湯槽23の水貯留領域23Hに貯留されている高温の水が温存されるからである。
【0042】
以上説明したように、燃料電池システム1では、施設Fに湯(貯湯槽23に貯留された水)を供給するための水流路系が、貯湯槽23の水貯留領域23Hから熱交換器22を介さずにバックアップボイラ24を介して施設Fに至る水流路系FS1と、貯湯槽23の水貯留領域23Lから熱交換器22及びバックアップボイラ24を介して施設Fに至る水流路系FS2との間で切り替えられる。そのため、水貯留領域23Hに貯留された水(ここでは、熱交換器22で加熱された水)の温度が施設Fの要求温度よりも低い場合に、水流路系FS1から水流路系FS2に切り替えることで、水貯留領域23Hに貯留されている水の温度の低下を抑制しつつ、水貯留領域23Lから熱交換器22及びバックアップボイラ24を介して施設Fに湯を供給することができる。しかも、水がバックアップボイラ24に至る前に熱交換器22で予熱されるため、バックアップボイラ24の負荷を軽減することができる。よって、燃料電池システム1によれば、施設Fに効率良く湯を供給することが可能となる。
【0043】
さらに、切替部25は、貯湯槽23の水貯留領域23Hに貯留された水の温度が施設Fの要求温度よりも低く、かつその差がバックアップボイラ24による水の上昇温度の最小値よりも小さい場合に、水流路系FS1から水流路系FS2に切り替える。そのような場合に水流路系FS1を用いると、バックアップボイラ24に供給する前に湯に水を加えるなどして、施設Fに供給される湯の温度が施設Fの要求温度を超えないように調節する必要があるが、水流路系FS1から水流路系FS2に切り替えることで、そのような調節が不要となる。
【0044】
また、施設Fに湯を供給するために水流路系FS2が用いられると、貯湯槽23の水貯留領域23Lに貯留されていた低温の水が熱交換器22を流通することになる。そのため、熱交換器22での燃焼ガスの冷却を促進し、燃焼ガスから回収する水の量を増加させることができる。
[第2の実施形態]
【0045】
第2の実施形態の燃料電池システム1は、熱交換部の構成において、上述した第1の実施形態の燃料電池システム1と主に相違している。すなわち、
図5に示されるように、熱交換部30は、セルスタック5から排出されるオフガスの燃焼ガスから熱媒体に熱を移動させて熱媒体を加熱する熱交換器31と、貯湯槽23及び熱交換器31を介して熱媒体を循環流通させる熱媒体流路32と、を有している。熱媒体流路32は、貯湯槽23において水貯留領域23Hから水貯留領域23Lに向かうように熱媒体を流通させる。熱媒体流路32には、貯湯槽23の下流側に位置しかつ熱交換器31の上流側に位置するように熱媒体タンク33が設けられている。なお、熱媒体としては、例えば、水、エチレングリコール水溶液等の不凍液、油、空気、二酸化炭素や窒素等のガス、水蒸気等を用いることができる。
【0046】
このとき、水流路FP2は、貯湯槽23の水貯留領域23Lから延出し、水流路FP1における位置P1に合流している。これにより、水流路FP2は、貯湯槽23の水貯留領域23Lに貯留された水を直接的に水流路FP1における位置P1に流通させることができる。そして、水流路系FS2は、水流路FP2、及び水流路FP1における位置P1の下流側の部分を介して、施設Fに至る水流路系となっている。
【0047】
また、切替部25は、例えば、水流路FP2、及び水流路FP1における位置P1の上流側の部分のそれぞれに設けられた電磁弁によって構成することができる。この場合、切替部25は、水流路FP1における位置P1の上流側の部分に設けられた電磁弁を開き、水流路FP2に設けられた電磁弁を閉じることで、水流路系FS1に切り替える。一方、切替部25は、水流路FP1における位置P1の上流側の部分に設けられた電磁弁を閉じ、水流路FP2に設けられた電磁弁を開くことで、水流路系FS2に切り替える。なお、施設Fに湯を供給するときの切替部25の動作については、上述した第1の実施形態の燃料電池システム1の場合と同様である。
【0048】
以上のように構成された燃料電池システム1においても、施設Fに湯(貯湯槽23に貯留された水)を供給するための水流路系が、貯湯槽23の水貯留領域23Hからバックアップボイラ24を介して施設Fに至る水流路系FS1と、貯湯槽23の水貯留領域23Lからバックアップボイラ24を介して施設Fに至る水流路系FS2との間で切り替えられる。そのため、水貯留領域23Hに貯留された水の温度が施設Fの要求温度よりも低い場合に、水流路系FS1から水流路系FS2に切り替えることで、水貯留領域23Hに貯留されている水の温度の低下を抑制しつつ、水貯留領域23Lからバックアップボイラ24を介して施設Fに湯を供給することができる。よって、この燃料電池システム1によっても、施設Fに効率良く湯を供給することが可能となる。
【0049】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、バックアップボイラ24に代えて、他の加熱部(通常のボイラ(メインボイラを含む)等)を適用してもよい。その場合、加熱部による水の上昇温度の最小値は、加熱部の最低加熱量によって上昇する水の温度となる。また、上記実施形態では、水素含有燃料として、純水素や水素富化ガス等の改質が不要なガスを供給することもできる。この場合、水素発生部が有する改質器は不要となる。また、熱交換部は、上述した熱交換器22,31を用いたものに限定されず、発電部で発生する熱を利用して、貯湯槽に貯留された水を加熱するものであれば、適用可能である。
【0050】
なお、本発明を別の観点で捉えると、本発明の別の観点の燃料電池システムは、水素含有ガスを用いて発電を行うセルスタックを含む発電部と、セルスタックから排出されるオフガスの燃焼ガスから水に熱を移動させて水を加熱する熱交換器と、熱交換器で加熱された水を貯留する貯湯槽と、貯湯槽から熱交換器に水を循環流通させる第1の水流路と、熱交換器で加熱された水を所定の施設に供給するために、貯湯槽から所定の施設に水を流通させる第2の水流路と、第2の水流路に設けられ、熱交換器で加熱された水の温度が所定の施設の要求温度よりも低い場合に水を加熱する加熱部と、第1の水流路における熱交換器の下流側の第1の位置から分岐し、第2の水流路における加熱部の上流側の第2の位置に合流する第3の水流路と、熱交換器で加熱された水を所定の施設に供給するときに、貯湯槽から第2の水流路を介して所定の施設に至る第1の水流路系と、貯湯槽から、第1の水流路における第1の位置の上流側の部分、第3の水流路、及び第2の水流路における第2の位置の下流側の部分を介して、所定の施設に至る第2の水流路系との間で、水流路系を切り替える切替部と、を備える。
【0051】
この燃料電池システムでは、所定の施設に湯(熱交換器で加熱された水)を供給するための水流路系が、貯湯槽から熱交換器を介さずに加熱部を介して所定の施設に至る第1の水流路系と、貯湯槽から熱交換器及び加熱部を介して所定の施設に至る第2の水流路系との間で切り替えられる。そのため、例えば、熱交換器で加熱された水の温度が所定の施設の要求温度よりも低い場合に、第1の水流路系から第2の水流路系に切り替えることで、貯湯槽に貯留されている水の温度の低下を抑制しつつ、貯湯槽から熱交換器及び加熱部を介して所定の施設に湯を供給することができる。しかも、水が加熱部に至る前に熱交換器で予熱されるため、加熱部の負荷を軽減することができる。よって、この燃料電池システムによれば、所定の施設に効率良く湯を供給することが可能となる。
【0052】
ここで、切替部は、熱交換器で加熱された水の温度が要求温度よりも低い場合に、第1の水流路系から第2の水流路系に切り替えてもよい。これによれば、上述したように、貯湯槽に貯留されている水の温度の低下を抑制することができると共に、加熱部の負荷を軽減することができる。
【0053】
さらに、切替部は、熱交換器で加熱された水の温度が要求温度よりも低く、かつその差が加熱部による水の上昇温度の最小値よりも小さい場合に、第1の水流路系から第2の水流路系に切り替えてもよい。そのような場合に第1の水流路系を用いると、加熱部に供給する前に湯に水を加えるなどして、所定の施設に供給される湯の温度が要求温度を超えないように調節する必要があるが、第1の水流路系から第2の水流路系に切り替えることで、そのような調節が不要となる。