(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ドッキング装置の装置筐体に携帯用情報機器が搭載された場合に係合レバーの係合爪部を前記携帯用情報機器の係合穴に係合させることで前記ドッキング装置からの前記携帯用情報機器の離脱を阻止すると共に、相互にコネクタを接続することで相互に電気的に接続される一方、前記ドッキング装置のエジェクトボタンが操作された場合には前記係合レバーをスライドさせて前記係合爪部の前記係合穴への係合状態を解除することで前記携帯用情報機器の前記ドッキング装置からの離脱を許容するドッキング装置と携帯用情報機器との着脱構造であって、
前記ドッキング装置は、前記装置筐体における前記携帯用情報機器の搭載面上に突出形成されたガイドポストを備え、
前記装置筐体に前記携帯用情報機器が搭載される場合に、前記ガイドポストが前記係合レバーと共に前記係合穴に挿入されることで前記装置筐体に対して前記携帯用情報機器が位置決めされるものであり、
前記装置筐体には、ロック本体部の先端にフック軸が設けられたロック器具が装着された際に該フック軸が係合するキー挿入孔が設けられており、
前記ドッキング装置は、前記ロック器具が前記キー挿入孔に挿入されてロック方向に操作された場合に、前記係合レバーのスライド方向で前記係合レバーの裏面に対向する位置に配置されて前記係合レバーの解除方向へのスライドを阻止するロック部材を備え、
前記係合レバーは、前記装置筐体に対してスライド可能に支持されるレバー基部を備え、
前記ロック部材は、前記レバー基部よりも前記係合爪部側となる位置で前記係合レバーの裏面に対向配置されることを特徴とする着脱構造。
装置筐体に携帯用情報機器が搭載された場合に係合レバーの係合爪部を前記携帯用情報機器の係合穴に係合させることで前記携帯用情報機器の離脱を阻止すると共に、相互にコネクタを接続することで前記携帯用情報機器と電気的に接続される一方、エジェクトボタンが操作された場合には前記係合レバーをスライドさせて前記係合爪部の前記係合穴への係合状態を解除することで前記携帯用情報機器の離脱を許容するドッキング装置であって、
前記装置筐体における前記携帯用情報機器の搭載面上に突出形成され、前記装置筐体に前記携帯用情報機器が搭載される場合に、前記係合レバーと共に前記係合穴に挿入されることで前記装置筐体に対して前記携帯用情報機器を位置決めするガイドポストを備え、
前記装置筐体には、ロック本体部の先端にフック軸が設けられたロック器具が装着された場合に該フック軸が係合するキー挿入孔が設けられており、
前記ロック器具が前記キー挿入孔に挿入されてロック方向に操作された場合に、前記係合レバーのスライド方向で前記係合レバーの裏面に対向する位置に配置されて前記係合レバーの解除方向へのスライドを阻止するロック部材を備え、
前記係合レバーは、前記装置筐体に対してスライド可能に支持されるレバー基部を備え、
前記ロック部材は、前記レバー基部よりも前記係合爪部側となる位置で前記係合レバーの裏面に対向配置されることを特徴とするドッキング装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ドッキング装置にラップトップパソコンを搭載した状態であっても、その境界面間、つまりドッキング装置の搭載面(上面)とラップトップパソコンの下面との間には、ラップトップパソコンの下面に形成された凹凸形状等によってある程度の隙間が形成されることになる。このため、上記のようにロックキーによって係合レバー等をロックした状態であっても、前記隙間からドライバ等の細径な工具等を挿入し、係合レバーを直接的に且つ強制的に押圧された場合には、係合レバーが回動させられてしまい、その係合状態が不正に解除されてしまう可能性がある。
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、搭載された携帯用情報機器との係合状態の不正解除を防止することを可能とするドッキング装置、及び該ドッキング装置と携帯用情報機器との着脱構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る着脱構造は、ドッキング装置の装置筐体に携帯用情報機器が搭載された場合に係合レバーの係合爪部を前記携帯用情報機器の係合穴に係合させることで前記ドッキング装置からの前記携帯用情報機器の離脱を阻止すると共に、相互にコネクタを接続することで相互に電気的に接続される一方、前記ドッキング装置のエジェクトボタンが操作された場合には前記係合レバーをスライドさせて前記係合爪部の前記係合穴への係合状態を解除することで前記携帯用情報機器の前記ドッキング装置からの離脱を許容するドッキング装置と携帯用情報機器との着脱構造であって、前記ドッキング装置は、前記装置筐体における前記携帯用情報機器の搭載面上に突出形成されたガイドポストを備え、前記装置筐体に前記携帯用情報機器が搭載される場合に、前記ガイドポストが前記係合レバーと共に前記係合穴に挿入されることで前記装置筐体に対して前記携帯用情報機器が位置決めされる
ものであり、前記装置筐体には、ロック本体部の先端にフック軸が設けられたロック器具が装着された際に該フック軸が係合するキー挿入孔が設けられており、前記ドッキング装置は、前記ロック器具が前記キー挿入孔に挿入されてロック方向に操作された場合に、前記係合レバーのスライド方向で前記係合レバーの裏面に対向する位置に配置されて前記係合レバーの解除方向へのスライドを阻止するロック部材を備え、前記係合レバーは、前記装置筐体に対してスライド可能に支持されるレバー基部を備え、前記ロック部材は、前記レバー基部よりも前記係合爪部側となる位置で前記係合レバーの裏面に対向配置されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るドッキング装置は、装置筐体に携帯用情報機器が搭載された場合に係合レバーの係合爪部を前記携帯用情報機器の係合穴に係合させることで前記携帯用情報機器の離脱を阻止すると共に、相互にコネクタを接続することで前記携帯用情報機器と電気的に接続される一方、エジェクトボタンが操作された場合には前記係合レバーをスライドさせて前記係合爪部の前記係合穴への係合状態を解除することで前記携帯用情報機器の離脱を許容するドッキング装置であって、前記装置筐体における前記携帯用情報機器の搭載面上に突出形成され、前記装置筐体に前記携帯用情報機器が搭載される場合に、前記係合レバーと共に前記係合穴に挿入されることで前記装置筐体に対して前記携帯用情報機器を位置決めするガイドポストを備え
、前記装置筐体には、ロック本体部の先端にフック軸が設けられたロック器具が装着された場合に該フック軸が係合するキー挿入孔が設けられており、前記ロック器具が前記キー挿入孔に挿入されてロック方向に操作された場合に、前記係合レバーのスライド方向で前記係合レバーの裏面に対向する位置に配置されて前記係合レバーの解除方向へのスライドを阻止するロック部材を備え、前記係合レバーは、前記装置筐体に対してスライド可能に支持されるレバー基部を備え、前記ロック部材は、前記レバー基部よりも前記係合爪部側となる位置で前記係合レバーの裏面に対向配置されることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、ドッキング装置と携帯用情報機器との境界面間、つまりドッキング装置の搭載面と携帯用情報機器の下面との間の隙間にドライバ等の細い工具を挿入した場合であっても、係合レバーと同時に係合穴に挿入されたガイドポストが邪魔板となり、挿入した工具によって係合レバーを十分に押圧することが困難となり、係合レバーが不正にスライド又は回動されることが防止される。このため、係合レバーと係合穴との係合状態を工具等を用いて不正解除することが防止され、携帯用情報機器の盗難防止性能を高めることができる。
【0011】
前記ガイドポストは、前記係合レバーにおける前記係合爪部が形成された面の裏面と対向する背面板と、該背面板の左右端から突出し、前記係合レバーのスライド方向に沿って設けられた一対の側面板とを備え、前記ドッキング装置では、前記背面板と前記一対の側面板とで囲まれる空間に前記係合レバーのスライド領域が形成されていてもよい。そうすると、係合穴と係合状態にある係合レバーの周囲の大部分をこれに近接配置されたガイドポストによって囲むことができ、係合レバーの不正解除を一層効果的に防止することができる。
【0012】
前記装置筐体には、ロック本体部の先端にフック軸が設けられたロック器具が装着された際に該フック軸が係合するキー挿入孔が設けられており、前記ドッキング装置は、前記ロック器具が前記キー挿入孔に挿入されてロック方向に操作された場合に、前記係合レバーのスライド方向で前記係合レバーの裏面と前記背面板との間に介在し、前記係合レバーの解除方向へのスライドを阻止するロック部材を備える構成としてもよい。そうすると、係合レバーの背後に位置する係合穴の内側空間が、ガイドポストとロック部材とで穴埋めされた状態となり、係合レバーの解除方向へのスライド及び回動がより確実に阻止される。
【0013】
また、前記係合レバーは、その上端に前記係合爪部を設けた支柱部を有し、該支柱部は、前記係合爪部の前記係合穴への係合状態を解除可能な位置まで前記係合レバーが解除方向にスライドされた場合に、前記一対の側面板の各先端面よりも退避して前記スライド領域内に埋没する構成としてもよい。そうすると、係合レバーを係合解除位置まで工具等によって不正にスライドさせようとした場合には、ガイドポストの側面板が係合レバーの支柱部より手前側に必ず配置されるため、係合レバーの不正解除を一層確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、係合レバーと同時に係合穴に挿入されたガイドポストが邪魔板となり、ドッキング装置の搭載面と携帯用情報機器の下面との間の隙間にドライバ等の細い工具を挿入した場合であっても、挿入した工具によって係合レバーを十分に押圧することが困難となり、係合レバーが不正にスライド又は回動されることが防止される。このため、係合レバーと係合穴との係合状態を工具等を用いて不正解除することが防止され、携帯用情報機器の盗難防止性能を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るドッキング装置について、この装置と携帯用情報機器との着脱構造を例示して好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るドッキング装置10とラップトップパソコン12とを分離させた状態での分解斜視図である。
図2は、
図1に示すドッキング装置10とラップトップパソコン12とを接続した状態での一部断面側面図であり、ドッキング装置10と携帯用情報機器であるラップトップパソコン12との着脱構造14を示している。本実施形態に係るドッキング装置10は、携帯用情報機器としてのノートブック型パーソナルコンピュータであるラップトップパソコン12を接続対象とし、ラップトップパソコン12を複数の周辺機器やネットワークに接続させる等、その機能を拡張するものである。ドッキング装置10の接続対象は、ラップトップパソコン12以外であっても勿論よく、例えば、物理的なキーボードを持たないタブレット型のパーソナルコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、又は電子手帳等の携帯用情報機器を接続対象とすることができる。
【0018】
本実施形態に係るドッキング装置10への接続対象の一例としてのラップトップパソコン12は、
図1に示すように、本体筐体16に対して開閉可能に取り付けられた蓋体18を備えたもので、本体筐体16の上面にキーボード20を有し、蓋体18に表示装置22を有する。
図2に示すように、本体筐体16の下面には、ドッキング装置10の拡張側コネクタ24と電気的に接続されるPC側コネクタ26と、ドッキング装置10側から突出する係合レバー28と係合可能な係合穴30とが設けられている。
【0019】
図1及び
図2に示すように、ドッキング装置10は、ラップトップパソコン12の本体筐体16を載置させた状態で用いられるものであり、合成樹脂材によって成形した装置筐体32にPC搭載部34及びロック操作部36を有して構成されている。
【0020】
PC搭載部34は、ラップトップパソコン12を載置することのできる大きさの上面を有した箱体である。PC搭載部34は、前側から後側に向かうに従って漸次高さ寸法が大きくなるように傾斜し、ラップトップパソコン12の下面が着地する搭載面34aと、搭載面34aの後側で一段低く形成され、ラップトップパソコン12の後面に図示しないバッテリ等が突出設置されている場合に、該バッテリの逃げ部となる逃げ面34bとを備える。ロック操作部36は、PC搭載部34よりも大きな高さ寸法を有した直方体状部分であり、PC搭載部34の一側方において後半側となる部位(逃げ面34bの側部)に設けてある。
【0021】
PC搭載部34の搭載面34a上には、拡張側コネクタ24が突出配置されており、拡張側コネクタ24の左右側部からは係合レバー28がそれぞれ突出し、その上部が搭載面34a上に露出している。それぞれの係合レバー28の前側及び左右側の三方を囲むように平面視コの字状のガイドポスト38が突出形成されている(
図3も参照)。搭載面34a上には、さらに、ゴム材料等によって形成され、ラップトップパソコン12の下面が着地するクッション部材40等が設けられている。
【0022】
拡張側コネクタ24は、ドッキング装置10に設けた各種拡張機能の接続端子を構成し、ラップトップパソコン12において本体筐体16の下面に設けたPC側コネクタ26に接続可能となるものである。拡張側コネクタ24は、PC搭載部32の内部に収容された図示しない基板等に接続されており、搭載面34aに形成された開口を通って上面に露出している。拡張側コネクタ24にPC側コネクタ26を接続することにより、ドッキング装置10とラップトップパソコン12が電気的に接続され、ドッキング装置10に設けた各種拡張機能をラップトップパソコン12から使用することが可能となる。
【0023】
図3は、係合レバー28及びガイドポスト38の拡大斜視図である。
図4は、
図2に示す係合レバー28と係合穴30との係合動作を示す要部拡大断面図であり、
図4(A)は、係合レバー28と係合穴30とを係合させた状態を示し、
図4(B)は、係合レバー28と係合穴30との係合状態を解除した状態を示す。
図5は、
図4(A)中のV−V線に沿う断面図である。
【0024】
図3〜
図5に示すように、一対の係合レバー(係合手段)28,28は、それぞれ前後方向に延びたレバー基部28aを介してPC搭載部34に前後方向に沿ってスライド可能に支持されたものである。各係合レバー28は、レバー基部28aの後端に一体的に設けられて上下方向に延びた支柱部28bと、支柱部28bの上端から後方に向けて突出した係合爪部28cとを有する。各レバー部材28は、装置筐体32との間に介在させた図示しないレバーばねにより、装置筐体32の後側に向けて常時付勢されている。
【0025】
レバー基部28aは、PC搭載部34の内部に設けられた前後方向のレール(図示せず)に対して前後方向にスライド可能な状態で保持されている。レバー基部28aの根元上面には、僅かに窪んだ凹部28dが形成されている。該凹部28dには、PC搭載部34の左右方向にスライドすることで、支柱部28bの前側の面である裏面28eと固定板44との間に介在し又は離脱するレバーロック部材46が係合レバー28の側方から延在して配置される。固定板44は、PC搭載部34に固定された板状部材である。レバーロック部材46は、装置筐体32の左右方向にスライド可能な矩形の棒状部材であるが、その具体的な構成及び動作は後述する。
【0026】
支柱部28bは、レバー基部28aのスライド動作によって上下方向に立脚したまま前後方向にスライドする矩形の棒状部材である。支柱部28bは、その上部が搭載面34aに形成された長方形状の開口48を通って該搭載面34a上に露出しており、その上端には係合爪部28cが後側に向かって突設されている。また、支柱部28bの下端の後面には、下方に向かって漸次前側に傾斜する傾斜面28fが形成されている。
【0027】
係合爪部28cは、その上面は後側に向かって漸次下方に傾斜する傾斜面であり、その下面がラップトップパソコン12の係合穴30の後壁から前方に向けて該係合穴30の中ほどまで突出した爪状の係合片50と当接し、これと係合する。
【0028】
図3〜
図5に示すように、このような各係合レバー28の周囲に起立するように搭載面34a上に突設された各ガイドポスト38は、係合レバー28における支柱部28bの裏面28eの上方部分と対向する背面板52と、背面板52の左右端から係合爪部28cの突出方向である後側へと突出し、係合レバー28のスライド方向に沿って設けられた一対の側面板54,54とを備える。ガイドポスト38は、装置筐体32の搭載面34aを構成する蓋状部材(板状部材)に対して一体的に成形されている。
【0029】
図3及び
図5に示すように、背面板52は、開口48の前側縁部に沿って起立形成され、係合レバー28の係合爪部28cの背面に対面するように配置されており、上端に面取り状の傾斜面が形成されている。各側面板54は、背面板52の両端からそれぞれ開口48の左右側縁部に沿って該開口48の中ほどまで延在し、係合レバー28の係合爪部28cの左右側面にそれぞれ対面するように配置されており、上端に面取り状の傾斜面が形成されると共に、中間位置から後側に向かう部分は、その高さ寸法が後側に向かって減少した傾斜面となっている。
【0030】
図2及び
図4に示すように、ガイドポスト38は、ドッキング装置10にラップトップパソコン12が接続される際、係合レバー28と共にラップトップパソコン12側の係合穴30に挿入されることにより、装置筐体32に対してラップトップパソコン12を位置決めする位置決めピンとして機能する。従って、
図4及び
図5に示すように、ガイドポスト38を構成する背面板52及び側面板54は、係合穴30の穴形状に対応した形状及び位置で構成されている。なお、
図4(A)に示すように、ガイドポスト38が設けられない係合穴30の後側壁部に対しては、係合レバー28の支柱部28bが係合穴30内に形成された係合片50に対面し、より安定した位置決めがなされるようになっている。
【0031】
背面板52と一対の側面板54,54とで平面視コの字状に形成されたガイドポスト38は、
図3〜
図5に示すように、背面板52と一対の側面板54,54とで囲まれる空間に係合レバー28のスライド領域Rが形成されている。換言すると、ガイドポスト38を係合レバー28の三方を囲むような壁形状としたことにより、左右の側面板54,54間に係合レバー28のスライド動作を邪魔しないスライド領域Rを確保でき、これにより、ガイドポスト38を係合レバー28に対して近接位置に配置しつつ、係合レバー28の円滑なスライド動作を担保している。
【0032】
図6は、装置筐体32の内部構造を示す平面図であり、搭載面34a及び逃げ面34bを構成する上側の蓋状部材を取り外した状態を示す。
図7は、ロック操作部36を後側から見た斜視図である。
【0033】
図1、
図6及び
図7に示すように、ロック操作部36は、エジェクトボタン60と、キー挿入孔62aとを有する。
【0034】
エジェクトボタン60は、ロック操作部36に対して上下方向に移動可能に配設された押ボタンであり、通常状態においては図示しない復帰ばねによって上方に付勢された状態にある。
図6に示すように、エジェクトボタン60には、係合状態解除機構64が連係されている。係合状態解除機構64は、第1係合解除レバー66と、第2係合解除レバー68と、第3係合解除レバー70とを備えて構成されている。
【0035】
第1係合解除レバー66は、装置筐体32の左右方向に沿った第1レバー軸66aの軸心回りに回転可能な状態でロック操作部36の内部に配設されており、第1入力部66b及び第1出力部66cを有する。第1入力部66bは、第1レバー軸66aから装置筐体32の前側に向けて延在し、エジェクトボタン60が下方に向けて押圧操作された場合に当接される部分である。第1出力部66cは、第1入力部66bから下方に向けて延在し、第1入力部66bが下方に押圧された場合に後側に向けて移動する部分である。
【0036】
第2係合解除レバー68は、上下方向に沿った第2レバー軸68aの軸心回りに回転可能な状態でPC搭載部34の内部に配設されており、第2入力部68b及び第2出力部68cを有する。第2入力部68bは、第1係合解除レバー66における第1出力部66cの移動域に位置しており、第1出力部66cが後側に向けて移動した場合にこれに当接し、後側に向けて移動する部分である。第2出力部68cは、第2レバー軸68aに対して第2入力部68bとは反対の方向に延在した後、前側に向けて屈曲したもので、第2入力部68bが後側に向けて移動した場合に前側に向けて移動する部分である。
【0037】
第3係合解除レバー70は、細径の円柱状を成すレバー軸部70aを有する。レバー軸部70aは、PC搭載部34の左右方向に沿って略水平方向に延在し、その軸心回りに回転可能に支持されている。第3係合解除レバー70は、レバー軸部70aの周面に第3入力部70b及び一対の第3出力部70c,70cを有する。第3入力部70bは、レバー軸部70aの下部周面から第2係合解除レバー68における第2出力部68cの移動域上に向けて下方に延在しており、第2係合解除レバー68の第2出力部68cが前側に向けて移動した場合にこれに当接し、装置筐体32の前側に向けて移動する部分である。一対の第3出力部70cは、レバー軸部70aの下部周面からそれぞれ係合レバー28における支柱部28b下端の傾斜面28fに当接するように延在し、第3入力部70bが装置筐体32の前側に向けて移動した場合にレバー基部28aを介して係合レバー28を装置筐体32に対して前側にスライドさせる。
【0038】
図6及び
図7に示すように、キー挿入孔62aは、ラップトップパソコン12用のワイヤ式ロックキー(ロック器具)72を装着するための開口である。ロックキー72は、太径の円柱状を成すロック本体部74と、ロック本体部74の先端から延在したフック軸76を有する汎用品である。フック軸76は、軸部76aの先端に直角に延在したフック76bを有するT字形状である。
【0039】
図7に示すように、キー挿入孔62aは、左右の幅寸法に比べて上下の高さ寸法を大きく設定した矩形の長孔であり、装置筐体32におけるロック操作部36の後側面に配設した円盤部材62に形成されている。円盤部材62は、装置筐体32に固定した金属プレート等の剛性部材78に保持されている。図示はしないが、円盤部材62と剛性部材78の板厚を加えた軸方向寸法がロックキー72におけるロック本体部74の先端面とフック軸76のフック76bとの間の相互間距離と一致するように構成してある。キー挿入孔62aにロックキー72のフック軸76を挿入した後、ロック本体部74を介してフック軸76を約90°回転させると、フック軸76のフック76bが剛性部材78の裏面に対向し、フック軸76を抜去する方向の移動が阻止される。
【0040】
ロック操作部36には、さらに、キー挿入孔62aを形成した円盤部材62の外周となる部位に可動部材80が設けられている。可動部材80は、中心部に円盤部材62を挿通させることのできる大きさの孔80aを有する有底の円柱状に形成され、その底面が装置筐体32に形成された押圧操作孔36aを介して外部に露出され、且つ軸心方向(前後方向)に沿ってスライド可能な状態で装置筐体32に配設されている。可動部材80は、装置筐体32の内部に位置する端部に図示しない拡径したストッパ片を有しており、押圧操作孔36aから装置筐体32の外部に脱落することが阻止されている。また、可動部材80と装置筐体32との間には、図示しない押圧操作ばねが介在しており、この押圧操作ばねにより、可動部材80は押圧操作孔36aから外部に突出する方向に常時付勢されている。
【0041】
図示はしないが、可動部材80には、ボタン操作阻止機構が連係されている。このボタン操作阻止機構は、可動部材80のスライド動作に連動する各種のスライダ部材、レバー部材、及びブロック部材等を有して構成されている。ロックキー72のフック軸76をキー挿入孔62aに挿入させて押圧すると共に、フック軸76を90°回転させてフック76bを剛性部材78の裏面に係合させることにより、可動部材80が装置筐体32の押圧操作孔36aの内部に埋没する方向(退避方向)にスライドし、この可動部材80のスライド動作と連動して、前記ボタン操作阻止機構が動作してエジェクトボタン60の下方への移動が阻止される。
【0042】
図6に示すように、可動部材80には、さらに、レバーロック機構(係合解除阻止機構)82が連係されている。レバーロック機構82は、ロックプレート84とリンクレバー86とを備えて構成されている。
【0043】
ロックプレート84は、装置筐体32においてPC搭載部34の底壁に左右方向に沿ってスライド可能に配設され、平面視で中央部の後側縁部が大きく窪んだ扁平なU字状の板状部材であり、一対のレバーロック部材(ロック部材)46,46を有する。
【0044】
レバーロック部材46は、ロックプレート84のU字の両先端角部から側方に向けて突出した矩形の棒状部材ある。レバーロック部材46は、ロックプレート84が
図6中に実線で示すように右方向にスライドされた場合には、これに伴って右方向にスライドし、係合レバー28の裏面28eと固定板44との間に介在し(
図4(A)参照)、係合レバー28の前側(係合状態解除方向)へのスライドを阻止する。一方、ロックプレート84が
図6に示す位置から左方向にスライドされると、レバーロック部材46もこれに伴って左方向にスライドし、係合レバー28の裏面28eと固定板44との間から離脱し(
図4(B)参照)、係合レバー28の前側へのスライドを許容する(
図6中に2点鎖線で示すレバーロック部材46参照)。なお、レバーロック部材46の背後に固定板44を設けたことにより、係合レバー28が強制的に前側にスライドされようとした場合であっても、固定板44がレバーロック部材46を強固に支持するため、このスライドを確実に阻止できる。
【0045】
リンクレバー86は、可動部材80とロックプレート84との間を連結するものであり、上下方向に沿ったリンクレバー軸86aの軸心回りに回転可能な状態でPC搭載部34の内部に配設されている。リンクレバー86の一方の端部86bは、ロック操作部36側へと延びており、前記ボタン操作阻止機構を構成するレバー部材等と当接し、可動部材80の押込方向へのスライド動作に連動する。リンクレバー86の他方の端部86cは、長孔86dを介してロックプレート84の一端部に設けた軸部材84aと連結されている。
【0046】
リンクレバー86は、可動部材80が押込方向へのスライド動作を受けていない通常状態(アンロック状態)では、ロックプレート84を
図6に示す位置から左方向へとスライドさせた位置に配置することで、レバーロック部材46を係合レバー28の裏面28eと固定板44との間から離脱させ、係合レバー28の前側へのスライドを許容する(
図6中に2点鎖線で示すレバーロック部材46参照)。一方、可動部材80が押込方向へのスライド動作を受けたロック状態では、リンクレバー86は、可動部材80の押込方向へのスライド動作と連動して前記アンロック状態での位置から回転し、リンクレバー86、ロックプレート84、及びレバーロック部材46が
図6中に実線で示す位置となって、レバーロック部材46を係合レバー28の裏面28eと固定板44との間に介在させ、係合レバー28の前側へのスライドを阻止する。
【0047】
以上より、このようなドッキング装置10では、通常状態(アンロック状態)にある場合、可動部材80が装置筐体32においてロック操作部36の後側面から突出した位置にあり、その結果、係合レバー28を前記レバーばねの付勢力に抗して前側にスライドさせることが可能となっている。さらに、この通常状態では、エジェクトボタン60は、前記復帰ばねによって最も上方に配置されているが、ボタン操作阻止機構によって押下動作が阻止されていないため、下方に押圧操作することが可能となっている。
【0048】
従って、通常状態から装置筐体32のPC搭載部34にラップトップパソコン12を搭載する際には、一対のガイドポスト38,38をそれぞれラップトップパソコン12の本体筐体16の下面に設けた係合穴48に嵌挿させつつ、PC側コネクタ26を拡張側コネクタ24に接続させる。そうすると、係合レバー28は、係合爪部28c上面の傾斜面がラップトップパソコン12の係合穴30に設けられた係合片50と摺接しつつ、前記レバーばねの付勢力に抗して前側にスライドする。最終的には、係合爪部28cが係合片50を乗り越えると、前記レバーばねによって係合レバー28が後側にスライドし、係合爪部28cが係合穴30(係合片50)と係合する。これにより、ラップトップパソコン12の不用意な離脱を防止した状態でラップトップパソコン12の機能をドッキング装置10によって拡張することができる。
【0049】
このようにラップトップパソコン12がドッキング装置10に接続された状態から、ロックキー72のフック軸76をキー挿入孔62aに挿入し、これを約90°回転させてキーロック(ロック操作)すると、フック軸76を抜去する方向の移動が阻止される。従って、ロックキー72のロック本体部74に設けられているワイヤを机等の固定物に巻回させれば、ドッキング装置10の盗難を防止することが可能となる。
【0050】
この際、当該ドッキング装置10では、フック軸76をキー挿入孔62aに挿入する際にロック本体部74の先端面を可動部材80に当接させ、前記押圧操作ばねの付勢力に抗して可動部材80を押し込んだ後、フック軸76を90°回転させてフック76bを剛性部材78の裏面に係合させる必要がある。すなわち、ロックキー72のフック軸76を装置筐体32のキー挿入孔62aに挿入させた場合には、可動部材80が装置筐体32の内部へと押込方向にスライドされる。そして、可動部材80が押込方向にスライドされると、上記のように前記ボタン操作阻止機構とレバーロック機構82とが動作し、エジェクトボタン60の下方への押下移動が阻止され、同時にレバーロック部材46によって係合レバー28の前側へのスライドが阻止される。
【0051】
その結果、係合レバー28によるラップトップパソコン12の係合状態を解除することが不可能となり、ロックキー72によるドッキング装置10の盗難防止と同時にラップトップパソコン12の盗難も防止される。
【0052】
なお、上記の状態からロックキー72を解除し、フック軸76を90°回転させてこれを抜去すれば、可動部材80が装置筐体32から突出した通常状態に復帰する。従って、エジェクトボタン60を押圧操作することが可能となると共に、エジェクトボタン60の押圧操作によって係合状態解除機構64が動作することになる。この状態では、係合レバー28の裏面28eと固定板44との間からレバーロック部材46が離脱しているため、係合レバー28によるラップトップパソコン12の係合状態を解除し、ドッキング装置10から離脱させることが可能となる。
【0053】
この場合、本実施形態に係るドッキング装置10とラップトップパソコン12との着脱構造14によれば、ドッキング装置10が装置筐体32におけるラップトップパソコン12の搭載面34a上に突出形成されたガイドポスト38を備え、装置筐体32にラップトップパソコン12が搭載される場合に、ガイドポスト38が係合レバー28と共にラップトップパソコン12側の係合穴30に挿入され、これにより装置筐体32に対するラップトップパソコン12の位置決めが行われる。従って、
図4(A)に示すように、ドッキング装置10とラップトップパソコン12との境界面間、つまりドッキング装置10の搭載面34aとラップトップパソコン12の下面との間の隙間Gにドライバ等の長尺で細径な工具Tを挿入した場合であっても、係合レバー28と同時に係合穴30に挿入されたガイドポスト38が邪魔板となる。これにより、工具Tによって係合レバー28を十分に押圧することが困難となり、係合レバー28が不正にスライド又は回動されることが防止される。このため、係合レバー28と係合穴30との係合状態を工具T等を用いて不正解除することが防止され、ラップトップパソコン12の盗難防止性能を一層高めることができる。さらに、係合穴30は、ガイドポスト38と係合レバー28とに兼用されるため、ラップトップパソコン12側に形成しておく穴の数を最小限に抑えることができ、ラップトップパソコン12の構造を簡素化し、その外観が損なわれることも抑制できる。
【0054】
また、ドッキング装置10は、ロックキー72がキー挿入孔62aに挿入されてロック方向に操作された場合には、レバーロック部材46が係合レバー28のスライド方向で該係合レバー28の裏面28eとガイドポスト38の背面板52との間に介在する(
図5参照)。これにより、
図5に示す平面視で係合レバー28の背後に位置する係合穴30の内側空間が、ガイドポスト38とレバーロック部材46とで実質的に隙間なく穴埋めされた状態となり、係合レバー28の解除方向へのスライドが確実に阻止される。従って、上記のような工具Tによって前記隙間Gと対面する支柱部28bを押圧した場合であっても、係合レバー28の前側へのスライド動作がレバーロック部材46によって阻止されているため、係合穴30と係合爪部28cとの係合状態が解除されることを一層確実に防止できる。
【0055】
しかも、
図4(A)に示すように、レバーロック部材46は、装置筐体32の図示しないスライドレールに対してスライド可能な状態で保持され、係合レバー28のスライド動作を保持するレバー基部28aの上方位置(凹部28d)に配置されている。このため、仮に工具Tによる押圧力によって係合レバー28が前側への回動力を受けた場合であっても、その回動中心Oが係合レバー28のスライド軸線S上に形成され、つまり回動中心Oよりも上方でレバーロック部材46が係合レバー28のスライドを阻止していることになり、係合レバー28が回動して、係合爪部28cが係合片50から離脱することが阻止される。このように、レバーロック部材46は、係合レバー28のスライドを阻止すると同時に、係合レバー28の回動や撓みによって係合穴30との係合状態が解除されてしまうのを阻止することも可能となっている。
【0056】
本実施形態の場合、ガイドポスト38は、係合レバー28における係合爪部28cが形成された面の裏面28eと対向する背面板52と、背面板52の左右端から突出し、係合レバー28のスライド方向に沿って設けられた一対の側面板54,54とを備え、背面板52と一対の側面板54,54とで囲まれる空間に係合レバー28のスライド領域Rを形成している。このため、
図4(A)及び
図5に示すように、係合穴30と係合状態にある係合レバー28において前記隙間Gと対面する支柱部28bは、その周囲の大部分が近接配置されたガイドポスト38によって囲まれるため、係合レバー28の不正解除を一層効果的に防止することができる。
【0057】
しかも、係合レバー28の支柱部28bは、係合爪部28cの係合穴30への係合状態を解除可能な位置まで係合レバー28が解除方向にスライドされた場合に、一対の側面板54,54の各先端面54aよりも退避してスライド領域R内に埋没する(
図4(B)参照)。このため、係合レバー28を係合解除位置まで工具Tによってスライドさせようとした場合には、ガイドポスト38の側面板54が支柱部28bより手前側(工具T側)に必ず配置されるため、係合レバー28の不正解除を一層確実に防止することができる。
【0058】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0059】
例えば、ガイドポスト38を構成する側面板54は、一対ではなく一枚のみであっても、工具Tの侵入を阻止することができ、十分な盗難防止効果を得ることができる。また、ロックキー72の構成や、そのロック操作と連係するボタン操作阻止機構及びレバーロック機構82の構成及び動作は、特に限定されるものではなく、他の構成であっても勿論よい。