(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5782561
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】接点形成部材を有する挿入型コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/46 20060101AFI20150907BHJP
H01R 13/44 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
H01R13/46 302F
H01R13/44 Z
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-504185(P2014-504185)
(86)(22)【出願日】2012年1月30日
(65)【公表番号】特表2014-512083(P2014-512083A)
(43)【公表日】2014年5月19日
(86)【国際出願番号】EP2012000399
(87)【国際公開番号】WO2012139676
(87)【国際公開日】20121018
【審査請求日】2014年5月8日
(31)【優先権主張番号】202011005271.0
(32)【優先日】2011年4月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506333314
【氏名又は名称】ローゼンベルガー ホーフフレクベンツテクニーク ゲーエムベーハー ウント ツェーオー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン エッカート
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ツェプハウザー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン マイヤー
【審査官】
前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭51−159895(JP,U)
【文献】
特開昭62−054405(JP,A)
【文献】
特開昭63−117636(JP,A)
【文献】
実開昭58−147180(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/46
H01R 13/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングを有するとともに、前記ハウジングに配設される少なくとも一つの第1接点形成部材を有する、少なくとも一つの電気接点を形成するための挿入型コネクタであって、相補的挿入型コネクタへの挿入による接続のために設計された挿入端部を前記ハウジングが有して、前記挿入端部に隣接する自由端部を前記少なくとも一つの第1接点形成部材が有する、挿入型コネクタにおいて、前記挿入型コネクタの少なくとも一つの第1接点形成部材と前記ハウジングの少なくとも一部とが、前記第1接点形成部材が前記ハウジングへ引き込まれる第1位置と、前記第1接点形成部材の前記自由端部が露出する第2位置との間で相互に対して移動可能であり、前記ハウジングの一部および前記第1接点形成部材に対する固定位置に配設される少なくとも一つの第2接点形成部材が設けられ、前記第2接点形成部材が電気摺動接点を介して前記第1接点形成部材に電気的に接続される、挿入型コネクタにおいて、径方向に反対側の螺旋の外側面によって前記第1および第2接点形成部材と電気接点を形成してそれぞれが接点面での接点形成圧力により接点形成を行う少なくとも一つの巻きばねを摺動接点が具備することを特徴とする、挿入型コネクタ。
【請求項2】
前記挿入型コネクタが前記相補的挿入型コネクタへ挿入された時に、前記少なくとも一つの第1接点形成部材が前記相補的挿入型コネクタの相補的接点形成部材と電気接点を形成するように設計されることを特徴とする、請求項1に記載の挿入型コネクタ。
【請求項3】
前記挿入型コネクタが雄型コネクタの形を取り、少なくとも一つの第1接点形成部材が接点形成ピンの形を取ることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の挿入型コネクタ。
【請求項4】
前記相補的挿入型コネクタへの前記挿入型コネクタの挿入方向に対して平行な方向に前記第1接点形成部材および/または前記ハウジングの一部が移動可能であることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の挿入型コネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングが電気絶縁材料のカバーを前記挿入端部に有し、前記少なくとも一つの第1接点形成部材が、前記第1位置では前記ハウジングと前記カバーとにより画定される空間の中に配設され、前記第2位置では前記カバーから突出するように延出することを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の挿入型コネクタ。
【請求項6】
前記カバーと前記ハウジングとが相互に一体的に形成されることを特徴とする、請求項5に記載の挿入型コネクタ。
【請求項7】
前記自由端部を完全に被覆する電気絶縁材料製の端部キャップが少なくとも一つの第1接点形成部材の前記自由端部に配設されることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の挿入型コネクタ。
【請求項8】
前記少なくとも一つの巻きばねが前記第1接点形成部材に固定位置で締結されることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の挿入型コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文(preamble)に規定された、ハウジングを有するとともに、ハウジングに配設される少なくとも一つの第1接点形成部材を有する、少なくとも一つの電気接点を形成するための挿入型コネクタ、特に充電コネクタまたは高電流コネクタに関連し、相補的挿入型コネクタへの挿入による接続のために設計された挿入端部をハウジングが有し、挿入端部に隣接する自由端部を少なくとも一つの第1接点形成部材が有し、挿入型コネクタの少なくとも一つの第1接点形成部材とハウジングの少なくとも一部とが、第1接点形成部材がハウジングに引き込まれる第1位置と、第1接点形成部材の自由端部が露出する第2位置との間で相互に対して移動可能であり、ハウジングの一部および第1接点形成部材に対する固定位置に配設される少なくとも一つの第2接点形成部材が設けられ、第2接点形成部材が、電気摺動接点を介して可動の第1接点形成部材に電気的に接続される。
【背景技術】
【0002】
電流を伝達するための高電流挿入型コネクタは、特許文献1から周知である。これは、ケーブルへの機械的および電気的な接続のために設計されるとともに、導電材料で製作された係合相手の挿入型コネクタの挿入のための開口端部を有する導電材料のハウジングを有する。その上設けられているものは、接点面と電気接点を形成するとともに、ハウジングとこれに挿入される係合相手の挿入型コネクタとの間に接点形成圧力を発生させるようにハウジングに配設および形成された接点形成部材である。接点形成部材は、少なくとも1つの環状の巻きばねを有する。
US2005/0153588A1は一般的文献であり、これから周知となるのは、第1電気コネクタと第2電気コネクタのいずれかが必要に応じてハウジングから突出するような手法で第1電気コネクタと第2電気コネクタとがハウジング内で変位可能となるように配設される電気適合コネクタである。第1および第2電気コネクタの間で相互に対する相対移動が行われることを、連結機構が保証する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ドイツ特許発明第20 2010 010 827 U1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の元となる目的は、コネクタを使用する作業者にとっての安全性が向上するような手法で上述の種類の挿入型コネクタを設計して、高電流および電圧の分野での用途にも適している挿入型コネクタを製作することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に挙げられた特徴を有する上述の種類の挿入型コネクタによって、本発明によりこの目的が達成される。本発明の好適な実施形態は、他の請求項に記載される。
【0006】
上述した種類の挿入型コネクタでは、径方向に反対側の螺旋の曲がり目(turn)の外側面によって第1および第2接点形成部材と電気接点を形成してそれぞれが接点面での接点形成圧力によって接点形成を行う少なくとも一つの巻きばねを摺動接点が具備するための用意が、本発明により行われる。
【0007】
これは、挿入型コネクタが相補的挿入型コネクタへ挿入されていない時には少なくとも一つの第1接点形成部材が作業者によって不用意に触れられることがないような手法で電気ショックからの保護が達成され得るという長所を有する。こうして、非挿入状態でも単数または複数の第1接点形成部材に電圧が印加される用途にも適した挿入型コネクタが製作される。同時に、電気ケーブルが電気的および機械的に締結される挿入型コネクタのケーブル端部からの単数または複数の第1接点形成部材の移動について分離が達成される。第1および第2接点形成部材の間の相対移動によって、良好な電気的接触が悪影響を受けることがない。
【0008】
少なくとも一つの電気接点を形成するため、挿入型コネクタが相補的挿入型コネクタへ挿入された時に相補的挿入型コネクタの相補的接点形成部材と電気接点を形成するように、少なくとも一つの第1接点形成部材が設計される。
【0009】
結合器または雌型の挿入型コネクタへの接続のため、挿入型コネクタは雄型コネクタの形を取り、少なくとも一つの第1接点形成部材は接点形成ピンの形を取る。
【0010】
第1接点形成部材および/またはハウジングの一部を、相補的挿入型コネクタへの挿入型コネクタの挿入方向に対して平行な方向で移動可能にすることによって、直線上での挿入による接続が達成される。
【0011】
電気絶縁材料のカバーをハウジングの挿入端部に付与することにより、電気ショックの発生に対する単数または複数の第1接点形成部材の特に良好な保護が達成され、少なくとも一つの第1接点形成部材は、第1位置ではハウジングおよびカバーにより画定される空間の中に配設され、第2位置ではカバーを通ってこれから突出するように延出する。
【0012】
特に信頼性があって確実に機能する電気ショックに対する保護は、カバーとハウジングとを相互に一体的に形成することによって達成される。
【0013】
少なくとも一つの第1接点形成部材の自由端部に、該自由端部を完全に被覆する電気絶縁材料製の端部キャップを配設することによって、電気ショックに対する保護のさらなる向上が達成される。
【0016】
第1および第2接点形成部材の間の電気接点の形成が行われる際の確実性の向上は、少なくとも一つの巻きばねを第1接点形成部材に固定位置で締結することにより達成される。
【0017】
次の図面を参照して、本発明が以下で詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】接点形成部材が後退した状態における、本発明による挿入型コネクタの好適な実施形態の斜視図である。
【
図2】接点形成部材が後退した状態における、
図1に示された挿入型コネクタの一部破断斜視図である。
【
図3】接点形成部材が部分的に延出した状態における、
図1に示された挿入型コネクタの斜視図である。
【
図4】接点形成部材が部分的に延出した状態における、
図1に示された挿入型コネクタの一部破断斜視図である。
【
図5】接点形成部材が完全に延出した状態における、
図1に示された挿入型コネクタの斜視図である。
【
図6】接点形成部材が完全に延出した状態における、
図1に示された挿入型コネクタの一部破断斜視図である。
【
図7】接点形成部材が延出した状態における、
図1に示された挿入型コネクタのケーブル端部の破断斜視図である。
【
図8】接点形成部材が後退した状態における、
図1に示された挿入型コネクタのケーブル端部の破断斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1乃至8に示された本発明による挿入型コネクタの好適な実施形態は、7個の第1接点形成部材12が配設される電気絶縁材料製のハウジング10を具備する。高い明瞭性を理由として、ハウジング10に対する移動のために第1接点形成部材12が取り付けられて保持される手法は、いずれの図面にも示されていない。第1接点形成部材12はブレード状の形であって相互に実質的に平行に配設され、これは隣接する第1接点形成部材12のそれぞれの幅広側面22が相互に隣接していることを意味する。ハウジング10は、相補的挿入型コネクタ(不図示)への挿入による接続のための挿入端部14と、導電性ケーブル(不図示)への電気的および機械的な接続のためのケーブル端部16とを有する。
図1乃至6では、挿入型コネクタは挿入端部14まで示され、ケーブル端部16は切除されている。
図7および8では、ハウジング10のケーブル端部16と挿入端部14とが切除されている。
【0020】
第1接点形成部材12の各々は、挿入端部14に隣接する自由端部18を有する。各自由端部18の先頭位置に取り付けられているのは、電気絶縁材料で製作された端部キャップ20である。あるいは、第1接点形成部材12が導電材料で製作されて、本発明による挿入型コネクタと一緒にプラグ接続される相補的挿入型コネクタ(不図示)にある対応の接点形成部材と電気接点を形成することが想定される。
【0021】
挿入端部14では、一つの第1接点形成部材12が各開口部26に嵌着するように設計および配設された開口部26を有するカバー24を、ハウジング10が有する。
【0022】
第1接点形成部材12は、
図1および2に示された第1位置と
図5および6に示された第2位置との間で移動可能であるように、ハウジング10に対して移動可能に配設される。
図3および4は、第1および第2位置の間にある第1接点形成部材12の中間位置を示す。第1接点形成部材12を移動させるための機構は、高い明瞭性を理由として図面に示されていない。第1位置では、ハウジング10とカバー24とを境界とする空間に第1接点形成部材12が引き込まれている。第2位置では、第1接点形成部材12が開口部26を通ってハウジング10から摺動することで、挿入端部14の方向にカバー24およびハウジング10よりも突出している。
【0023】
ゆえに第1位置では、本発明による挿入型コネクタが相補的挿入型コネクタへ挿入されずに挿入端部14が自由接触可能である時に、第1接点形成部材12による作業者への不要な電気ショックに対する保護が行われる。挿入端部では、露出しているのは電気絶縁カバー24と電気絶縁ハウジング10とともに端部キャップ20のみである。こうして、本発明による挿入型コネクタが非プラグ接続状態である時でも第1接点形成部材12へ電圧が印加可能であり、これにより導電ポイントでの第1接点形成部材12との不要な接触による作業者への危険を発生させることがない。
【0024】
本発明による挿入型コネクタが相補的挿入型コネクタと一緒にプラグ接続されてしまうと、第1接点形成部材12がカバー24を通って第1位置から第2位置へ延出し、こうして第1接点形成部材12は相補的挿入型コネクタにある対応の接点形成部材と電気接点を形成する。逆に、本発明による挿入型コネクタと相補的挿入型コネクタとが再び引き離される前に、第1接点形成部材12が再び第2位置から第1位置へ引き戻される。本発明による挿入型コネクタが相補的挿入型コネクタに完全に挿入された場合にのみ第1接点形成部材12を第1位置から第2位置へ移動させる適切な第1安全機構が設けられることが好ましい。第1接点形成部材が第1位置にない限り本発明による挿入型コネクタと相補的挿入型コネクタとが互いにプラグ接続から解除されることを防止する第2安全機構が設けられることも好ましい。
【0025】
ケーブル端部16では、本発明による挿入型コネクタが導電性ケーブルに接続される。第1接点形成部材12の移動をケーブル端部16から、言い換えるとケーブルから分離するため、
図7および8に示されているように、ハウジング10に対して固定された第2接点形成部材28が、可動の第1接点形成部材12の各々に設けられる。高い明瞭性を理由として、一対の第1および第2接点形成部材12,28のみが
図7および8に示されている。
【0026】
第2接点形成部材28はブレード状の形であって、第1および第2接点形成部材12,28のそれぞれの幅広側面が相互に隣接するような手法で、各対を成す第1および第2接点形成部材12,28が相互に平行に配設されている。また、一対の第1および第2接点形成部材12,28を形成するブレード状の接点形成部材12,28の間の重複領域30に、導電性の弾性材料で製作される少なくとも一つの巻きばね32が配設される。重複領域30での巻きばね32の直径と、この領域30でのブレード状の接点形成部材12,28の間、つまり一対の第1および第2接点形成部材12,28の幅広側面22の間の距離とは、巻きばね32の螺旋の曲がり目のそれぞれが第1径方向外側面で第1接点形成部材12に、第1径方向外側面と反対側の第2外側面で第2接点形成部材28に支承され、こうして接点形成圧力により接点面との電気接点が形成されるポイントを、巻きばね32の曲がり目とそれぞれの接点形成部材12,28との間に作り出すように選択される。巻きばね32の曲がり目が巻きばね32の長手軸に対してそれぞれの支承位置から撓曲する、言い換えると巻きばね32の長手軸に対して傾くという事実のため、接点形成圧力が発生する。これは、一対の第1および第2接点形成部材12,28を形成するブレード状の接点形成部材12,28の間の距離を巻きばね32の外径より短くすることによって達成される。
【0027】
巻きばね32は第1接点形成部材12に締結され、これは巻きばね32が第1接点形成部材12とともに移動することを意味する。第1接点形成部材12の移動が行われる時には、こうして巻きばね32の曲がり目が第2接点形成部材28と擦れることにより、二つの接点形成部材12,28の間の妥当な電気接続を維持する。
【0028】
第2接点形成部材
28の各々は、先頭端面34を有する自由端部を有し、この自由端部は本発明による挿入型コネクタのケーブル端部16に隣接している。先頭端面34は、例えば、本発明による挿入型コネクタに接続されるケーブルの芯または電気伝導体と電気接点を形成するのに使用される。
【0029】
巻きばね32は環状の形であることが好ましく、この環状体の中の範囲空間に平面を画定する。巻きばね32との境界線で、この平面は巻きばね32の長手軸に対して平行に整列されている。環状の形のため、原則として巻きばね32は、二つの軸方向端部を有する円環面を空間内に作り出す。本発明によれば、
図7および8から分かるように、巻きばね32が一つの軸方向端部の曲がり目によって第1接点形成部材12と、反対側の軸方向他端部の曲がり目によって第2接点形成部材28と当接するように、二つの接点形成部材12,28の間の重複領域30に巻きばね32が配設される。言い換えると、接点形成部材12,28のいずれも環状の巻きばね32の環状体の中の範囲を横断せず、代わりに、巻きばね32と接点形成部材12,28との間の電気接点の形成が環状の巻きばね32の軸方向端部で行われる。このため、巻きばね32は第1接点形成部材12に確実に締結され、第2接点形成部材28に対する第1接点形成部材12の移動が生じた場合には滑りまたはねじれが回避される。巻きばね32の環状体に包囲される範囲は、第1接点形成部材12の周りに部分的に嵌着することが好ましい。これは、第1接点形成部材12の箇所での巻きばね32の固定を付加的に補助するばかりでなく、接点形成部材12,28の間における巻きばね32の環状の変形を回避する。