【文献】
翠輝久、外3名,質問応答・情報推薦機能を備えた音声による情報案内システム,情報処理学会論文誌,日本,社団法人情報処理学会,2007年12月15日,第48巻,第12号,p.3602−3611
【文献】
井上僚介、外3名,音声対話システムにおける質問応答データベースの分類とその分析,言語処理学会第18回年次大会発表論文集 チュートリアル 本会議[CD−ROM],日本,言語処理学会,2012年 3月13日,p.642−645
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも一つの項目をそれぞれ含む複数のカテゴリで分類された状態でユーザの情報を格納したデータベースと、前記カテゴリにおける未収集の項目に関するユーザ情報を取得するために前記ユーザへの質問を生成する質問制御手段と、前記データベースに格納されている複数のカテゴリにおける項目に関するユーザ情報から前記ユーザの問いかけに対するレコメンドを作成するレコメンド作成手段と、を具備し、
前記質問制御手段は、前記問いかけに含まれるキーワードから一つのカテゴリを推定し、推定されたカテゴリを中心カテゴリとし、前記問いかけに対して中心カテゴリ以外で関連するカテゴリを関連カテゴリとし、前記中心カテゴリ及び前記関連カテゴリでブロックマトリクスを設定し、
前記ブロックマトリクスに基づき前記中心カテゴリ以外のカテゴリについての項目に対するユーザ情報を用いて前記レコメンドを作成することを特徴とするレコメンド作成システム。
各カテゴリに含まれるそれぞれの項目には、他のカテゴリに対して関連度が予め設定されており、前記質問制御手段は、前記関連カテゴリにおける、前記中心カテゴリに対する関連度が高い未収集の項目に関するユーザ情報を取得するための質問を生成することを特徴とする請求項1記載のレコメンド作成システム。
前記質問制御手段は、前記ブロックマトリクスを構成する中心カテゴリ及び関連カテゴリにおける項目の登録率が所定値未満であるときに、ユーザ情報が未収集の項目についての質問を生成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレコメンド作成システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような情報検索サービスにおいては、ユーザの問いかけに含まれるキーワード及びユーザの属性情報から回答を提供しているので、ユーザが予期していない回答やユーザに対して適切なレコメンドは得られない。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、ユーザが予期していない回答やユーザに対して適切な回答等の最適なレコメンドを提供することができるレコメンド作成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のレコメンド作成システムは、少なくとも一つの項目をそれぞれ含む複数のカテゴリで分類された状態でユーザの情報を格納したデータベースと、前記カテゴリにおける未収集の項目に関するユーザ情報を取得するために前記ユーザへの質問を生成する質問制御手段と、前記データベースに格納されている複数のカテゴリにおける項目に関するユーザ情報から前記ユーザの問いかけに対するレコメンドを作成するレコメンド作成手段と、を具備
し、前記質問制御手段は、前記問いかけに含まれるキーワードから一つのカテゴリを推定し、推定されたカテゴリを中心カテゴリとし、前記問いかけに対して中心カテゴリ以外で関連するカテゴリを関連カテゴリとし、前記中心カテゴリ及び前記関連カテゴリでブロックマトリクスを設定し、前記ブロックマトリクスに基づき前記中心カテゴリ以外のカテゴリについての項目に対するユーザ情報を用いて前記レコメンドを作成することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、ユーザが予期していない回答やユーザに対して適切な回答等の最適なレコメンドを提供することができる。
また、この構成によれば、ユーザの問いかけから推定されたカテゴリ以外のカテゴリについての項目に対するユーザ情報を用いることができるので、ユーザが予期していない回答やユーザに対して適切な回答等のより最適なレコメンドを提供することができる。
【0010】
本発明のレコメンド作成システムにおいては、各カテゴリに含まれるそれぞれの項目には、他のカテゴリに対して関連度が予め設定されており、前記質問制御手段は、前記関連カテゴリにおける、前記中心カテゴリに対する関連度が高い未収集の項目に関するユーザ情報を取得するための質問を生成することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、中心カテゴリに対する関連度が高い未収集の項目を優先して収集することができるので、ユーザが予期していない回答やユーザに対して適切な回答等のより最適なレコメンドを提供することができる。
【0012】
本発明のレコメンド作成システムにおいては、前記質問制御手段は、前記ブロックマトリクスを構成する中心カテゴリ及び関連カテゴリにおける項目の登録率が所定値未満であるときに、ユーザ情報が未収集の項目についての質問を生成することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、ユーザの問いかけに対して、関連カテゴリの情報を含めたレコメンドを提供することができるので、ユーザ自身も気がついていないような、意外で、ユーザのためになる回答を得ることができる。
【0014】
本発明のレコメンド作成システムにおいては、前記レコメンド作成手段は、ユーザの履歴ログも用いて前記ユーザの問いかけに対するレコメンドを作成することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、ユーザ情報としてユーザの履歴ログを用いるので、ユーザ自身も気がついていないような、意外で、ユーザのためになる回答を得ることができ、ユーザが予期していない回答やユーザに対して適切な回答等のより最適なレコメンドを提供することができる。
【0016】
本発明のレコメンド作成システムにおいては、前記データベースは、各カテゴリにおける各項目に関するユーザ情報を取得するための質問を格納していることが好ましい。
【0017】
本発明のレコメンド作成システムにおいては、前記データベースは、前記中心カテゴリ毎に設定されたブロックマトリクスを格納していることが好ましい。
【0018】
本発明の携帯端末装置は、上記レコメンド作成システムを搭載したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ユーザからの問いかけに対するレコメンドを提供するにあたり、問いかけと相関関係が高い項目を優先的に使用し、相関関係が高いにもかかわらず未収集の項目があれば、そのような項目を収集する質問をユーザに対して行うので、ユーザが予期していない回答やユーザに対して適切な回答等の最適なレコメンドを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るレコメンド作成システムを含むシステム構成を示す図である。
図1においては、レコメンド作成システムがネットワークに接続されたサーバにある場合について示している。本発明においては、
図1に示すシステム構成に限定されず、レコメンド作成システムが携帯端末装置に搭載されている場合についても適用することができる。
【0022】
図1に示すシステムは、携帯電話等の携帯端末装置1と、この携帯端末装置1とモバイルネットワーク2及びインターネットのようなネットワーク3を介して接続された検索エンジン4と、モバイルネットワーク2及びインターネットのようなネットワーク3を介して接続されたレコメンド作成システム(Webサーバ)5とから主に構成されている。
【0023】
携帯端末装置1は、携帯電話やタブレット型端末等の端末装置を含み、少なくとも検索エンジン4と接続して情報検索をすることができ、レコメンド作成システムを備えたサーバに接続してレコメンドを取得できる機能を備えている。また、携帯端末装置1は、音声入力したユーザの音声を解析し、ユーザが要求する情報を検索エンジン4から取得する機能を備えている。また、携帯端末装置1は、その他の通話機能、電子メール機能、非接触カード機能等を備えていても良い。
【0024】
モバイルネットワーク2は、携帯端末装置1とインターネット3との間のネットワークである。このモバイルネットワーク2には、通常の移動通信網に加えて移動パケット通信網も含まれる。モバイルネットワーク2は、インターネットのようなネットワーク3とを結ぶゲートウェイ機能を担っている。
【0025】
ネットワーク3には、インターネットをはじめその他のネットワーク、例えばLANやWANなども含まれる。
【0026】
レコメンド作成システム5は、
図2に示すように、対話制御部51と、レコメンド作成部52と、質問制御部53と、個人情報データベース(DB)54とから主に構成されている。レコメンド作成システム5においては、ユーザからの問いかけに対するレコメンドを提供するにあたり、問いかけと相関関係が高い項目を優先的に使用してレコメンドを提供する。また、相関関係が高いにもかかわらず未収集の項目があれば、そのような項目を収集する質問をユーザに対して行う。
【0027】
対話制御部51は、ユーザから入力された問いかけに対してレコメンドをユーザに出力すると共に、未収集の項目に関するユーザ情報を取得するための質問をユーザに出力する。ここで、「問いかけ」とは、ユーザがレコメンドを求めるためにレコメンド作成システムに入力する問いを意味し、「レコメンド」とは、ユーザからの「問いかけ」に対してレコメンド作成システムが提供する提案を意味する。例えば、「問いかけ」として、「家の購入を検討しているけど、どうかな?」とユーザがレコメンド作成システムに入力すると、「レコメンド」として、「預金額に対して負債が多い。まずはローンが残っている車を売却したら?」が出力される。
【0028】
また、「質問」とは、後述する個人情報DB54に格納され、少なくとも一つの項目を含むカテゴリ別に分類されたユーザ情報において、未収集である項目に対応する質問を意味する。例えば、金融情報のカテゴリにおいて、預金額の項目が未収集であれば、「預金額はいくら?」という質問がレコメンド作成システムからユーザに出力される。
【0029】
また、「カテゴリ」とは、ユーザ情報を分類するためのものであり、例えば、食事、健康、人間関係、夢・目標、基本情報、趣味、運動、仕事、金融等が挙げられる。「項目」とは、カテゴリに含まれる具体的な情報を意味する。例えば、食事カテゴリに含まれる項目としては、好きな食べ物等が挙げられ、金融カテゴリに含まれる項目としては、預金額、定期的支出、負債額等が挙げられる。基本情報とは、氏名、身長、体重、住所、年齢、職業、家族構成等のユーザについての基本的な情報であり、この基本情報は、ユーザが予め入力しておいても良く、他のアプリケーション操作時にユーザが入力した情報を用いても良く、質問により収集しても良い。なお、このカテゴリや項目は、これらに限定されず、適宜設定することができる。
【0030】
対話制御部51は、ユーザから入力された問いかけに含まれるキーワードからユーザ情報を分類するカテゴリを推定する。例えば、ユーザからの問いかけが上記「家の購入を検討しているけど、どうかな?」である場合、キーワードとなり得る「家」や「購入」から中心カテゴリとして「金融カテゴリ」を推定する。対話制御部51は、推定した中心カテゴリを質問制御部53に出力する。なお、対話制御部51にユーザが入力する場合、ユーザが音声で入力しても良く、ユーザが手でデータ入力しても良い。
【0031】
対話制御部51は、上記中心カテゴリと、この中心カテゴリ以外で関連する関連カテゴリとで設定されたブロックマトリクスにおける項目についてのユーザ情報の収集状況(登録率)に応じて、上記質問の出力と上記レコメンドの出力を切り替える。すなわち、対話制御部51は、ブロックマトリクスにおける登録率が所定値(例えば、80%)以上であれば、後述するレコメンド作成部52から、問いかけに対するレコメンドを出力する。なお、登録率が所定値以上である旨は、後述する質問制御部53から通知される。また、対話制御部51は、ブロックマトリクスにおける登録率が所定値(例えば、80%)未満であれば、質問制御部53から未収集の項目に対する質問を出力する。
【0032】
質問制御部53は、中心カテゴリ及び関連カテゴリ(ブロックマトリクス)における未収集の項目に関するユーザ情報を取得するためにユーザへの質問を生成する。また、質問制御部53は、問いかけに含まれるキーワードから一つのカテゴリを推定し、推定されたカテゴリを中心カテゴリとし、問いかけに対して中心カテゴリ以外で関連する関連カテゴリとし、中心カテゴリ及び関連カテゴリでブロックマトリクスを設定する。このようにブロックマトリクスを用いることにより、ユーザの問いかけから推定されたカテゴリ以外のカテゴリについての項目に対するユーザ情報を用いることができるので、ユーザが予期していない回答やユーザに対して適切な回答等のより最適なレコメンドを提供することができる。
【0033】
例えば、質問制御部53では、上述したように、対話制御部51から中心カテゴリが通知されるので、
図3に示すように、この中心カテゴリAを中心とし、この中心カテゴリA以外で関連する関連カテゴリBを周囲に配置してなるブロックマトリクスを設定する。
図3においては、中心カテゴリAが金融カテゴリであり、関連カテゴリBが食事カテゴリ、趣味カテゴリ、スポーツカテゴリ及び健康カテゴリである。なお、このブロックマトリクスは、中心カテゴリの種類毎に予めそれぞれ設定されており、中心カテゴリが決定したときに、ブロックマトリクスが決まるようになっている。この中心カテゴリ毎に設定されたブロックマトリクスは、個人情報DB54に格納されている。
【0034】
また、質問制御部53は、関連カテゴリにおける、中心カテゴリに対する関連度が高い未収集の項目に関するユーザ情報を取得するための質問を生成する。なお、関連度については、ブロックマトリクス毎に設定されている。中心カテゴリ及び関連カテゴリにおける各項目は、中心カテゴリの中心項目からの関連度(距離)が予め設定されているので、質問制御部53は、その関連度が高い(距離が短い)項目についての質問を優先して生成する。例えば、
図4に示すように、ブロックマトリクスには、中心カテゴリAの中心項目(中心カテゴリにおける中心の項目(距離0))から他の項目までの距離が設定されている。質問制御部53は、選択されたブロックマトリクスにおいて、ユーザ情報が未収集である項目であって、中心カテゴリAの中心項目からの距離が小さい(中心項目に関連度が高い)項目についての質問を優先して生成する。これにより、中心カテゴリに対する関連度が高い未収集の項目を中心カテゴリに対する関連度が低い未収集の項目より優先して収集することができるので、ユーザが予期していない回答やユーザに対して適切な回答等のより最適なレコメンドを提供することができる。
【0035】
生成すべき質問は、各カテゴリにおける各項目に関するユーザ情報を取得するための質問として、カテゴリ別、項目毎に予め個人情報DB54に記憶されており、項目及びカテゴリを指定して読み出すことができる。例えば、質問は、データレコード[項目,カテゴリ,質問]で管理されており、項目を第1キー、カテゴリを第2キーとしてそれらの順にソートしたリスト(表)として個人情報DB54に格納することができる。また、このリストには、項目毎にユーザ情報が収集済であるか未収集であるかを示すフラグが付けられており、項目におけるユーザ情報の収集状況も関連付けられている。例えば、ユーザ情報が収集済であれば、フラグ”1”が入力されており、ユーザ情報が未収集であれば”0”が入力されている。
【0036】
なお、本実施の形態においては、質問が予め個人情報DB54に格納されている場合について説明しているが、本発明はこれに限定されず、質問制御部が個人情報DB54に格納されているブロックマトリクスの未収集項目に対する質問を生成する場合についても同様に適用することができる。
【0037】
質問制御部53は、上記のように中心項目からの距離で決定された項目を第1キーとし、中心カテゴリを第2キーとして、二分探索又は線形探索によってこのリストを探索し、一致したレコードの質問を、ユーザに出力すべき質問として生成する。なお、質問の内容としては、未収集の項目に対するユーザ情報が収集できる内容であれば特に制限はない。
【0038】
また、質問制御部53は、ブロックマトリクスを構成する中心カテゴリ及び関連カテゴリにおける項目の登録率が所定値未満であるときに、ユーザ情報が未収集の項目についての質問を生成する。ここで、登録率とは、ブロックマトリクスを構成する中心カテゴリ及び関連カテゴリにおける全項目数(
図3においては45項目)に対するユーザ情報収集済の項目数(フラグ”1”の項目数)の割合をいう。例えば、質問制御部53において、登録率が80%未満である場合に、ユーザ情報が未収集の項目についての質問を生成すると設定されたときには、登録率が80%以上になるまで、ユーザ情報が未収集の項目についての質問を生成し続ける。
図5においては、ユーザ情報が収集済の項目(例えば、金融カテゴリの預金額項目、負債額項目、定期的支出項目)を網掛けしている。したがって、ユーザ情報が未収集の項目(
図5において網掛けのない項目)について登録率が80%以上になるまで順次質問を行う。
【0039】
本実施の形態においては、ユーザ情報の登録率が所定値以上になったときにレコメンドを作成する場合について説明しているが、本発明はこれに限定されず、カテゴリにおける項目に重み付けをしておき、重み付けが高い(重要度が高い)項目すべてについてユーザ情報が収集されたときにレコメンドを作成するようにしても良い。また、登録率が80%未満であっても登録率がある範囲内(例えば、60%〜80%)にあるときには、ユーザに未収集項目についての質問を出力すると共にレコメンドを出力するように設定しても良い。
【0040】
質問制御部53は、質問を生成してユーザからの回答があり、項目に対するユーザ情報が収集された際に登録率を計算し、登録率が80%以上になったときに、その旨を対話制御部51及びレコメンド作成部52に出力する。これは、登録率が80%以上になるまではレコメンドをユーザに出力しないことを意味する。なお、登録率の閾値については、これに限定されず、適宜設定することができる。
【0041】
このように、登録率が所定値以上になったときにレコメンドを出力することにより、ユーザの問いかけに対して、関連カテゴリの情報を含めたレコメンドを提供することができるので、ユーザ自身も気がついていないような、意外で、ユーザのためになる回答を得ることができる。
【0042】
個人情報DB54は、少なくとも一つの項目をそれぞれ含む複数のカテゴリで分類された状態でユーザの情報を格納する。また、個人情報DB54は、中心カテゴリ毎に設定されたブロックマトリクスを格納する。また、個人情報DB54は、各カテゴリにおける各項目に関するユーザ情報を取得するための質問を格納する。
【0043】
また、個人情報DB54は、ユーザ情報が収集済である項目の組み合わせに応じたレコメンドパターンを格納する。このレコメンドパターンは、設定されたブロックマトリクス毎に予め決められている。レコメンドパターンは、
図6に示すテーブルのように、ユーザ情報収集済の項目と関連付けられており、例えば、レコメンドパターン1は、預金額項目、預金額履歴項目、定期的支出項目(金融カテゴリ)、車項目(趣味カテゴリ)、好きな食べ物項目、食事履歴項目(食事カテゴリ)の項目からレコメンドを作成するパターンであり、レコメンドパターン2は、預金額項目、車項目(趣味カテゴリ)、好きな食べ物項目、他の検索情報からレコメンドを作成するパターンである。なお、このレコメンドパターンは
図6に限定されず適宜設定することができる。
【0044】
レコメンド作成部52は、個人情報DB54に格納されている複数のカテゴリにおける項目に関するユーザ情報からユーザの問いかけに対するレコメンドを作成する。レコメンド作成部52は、質問制御部53から登録率が所定値以上になった旨の通知を受けると、ユーザの問いかけに対するレコメンドを作成する。この場合において、レコメンド作成部52は、ブロックマトリクスにおいてユーザ情報収集済の項目についてのユーザ情報を用いてユーザに対するレコメンドを作成する。レコメンドを作成する際には、ブロックマトリクスにおいてユーザ情報収集済の項目のみでレコメンドを作成しても良く、ブロックマトリクスにおいてユーザ情報収集済の項目に加えて、他の検索情報(例えば、ユーザ情報収集済の項目に関連する情報)を用いてレコメンドを作成しても良い。
【0045】
例えば、レコメンド作成部52は、ユーザ情報が収集済である項目からレコメンドパターンを選択し、そのレコメンドパターンを用いてレコメンドを作成する。この場合において、収集済のユーザ情報以外の情報でレコメンドに必要な情報については検索エンジン4を用いて情報収集する。レコメンド作成部52は、このようなユーザ情報や検索情報を用いてレコメンドを作成する。
【0046】
レコメンド作成部52においては、
図5及び
図6に示すように、ユーザの履歴ログも用いてユーザの問いかけに対するレコメンドを作成する。このユーザの履歴ログは、例えば、
図7に示すように、カテゴリにおける項目についての時間経過を示すものである(
図7では預金額の時間経過を示している)。このようにユーザ情報としてユーザの履歴ログを用いることにより、ユーザ自身も気がついていないような、意外で、ユーザのためになる回答を得ることができ、ユーザが予期していない回答やユーザに対して適切な回答等のより最適なレコメンドを提供することができる。
【0047】
上記構成を有するレコメンド作成システムのレコメンド作成手順について
図8を用いて説明する。
【0048】
まず、対話制御部51において、ユーザから入力された問いかけに含まれるキーワードからユーザ情報を分類するカテゴリを推定する(ST11)。例えば、ユーザからの問いかけが上記「家の購入を検討しているけど、どうかな?」である場合、キーワードとなり得る「家」や「購入」から中心カテゴリとして「金融カテゴリ」を推定する。推定されたカテゴリの情報は、質問制御部53に出力される。
【0049】
次いで、質問制御部53において、金融カテゴリを中心カテゴリとするブロックマトリクスを設定する(ST12)。このブロックマトリクスの設定は、個人情報DB54に格納されている、予め設定されたブロックマトリクスを選択することにより行う。次いで、設定したブロックマトリクスの登録率を求める。登録率は、ブロックマトリクスを構成する中心カテゴリ及び関連カテゴリにおける全項目数に対するユーザ情報収集済の項目数の割合を演算することにより求める。そして、質問制御部53において、登録率が所定値(ここでは80%)以上であるかどうかを判断する(ST13)。
【0050】
登録率が80%未満である場合(N)、質問制御部53において、ブロックマトリクスにおける未収集の項目に関するユーザ情報を取得するためにユーザへの質問を生成する。まず、ブロックマトリクスにおいて、ユーザ情報が未収集である項目であって、中心カテゴリの中心項目からの距離が小さい(中心項目に関連度が高い)項目を選択する(ST14)。そして、質問制御部53は、選択した未収集項目についての質問を生成する。具体的には、データレコード[項目,カテゴリ,質問]で管理されたリストにおいて、項目及びカテゴリをキーとして質問を抽出する。抽出された質問は、対話制御部51を介してユーザに出力される(ST15)。
【0051】
次いで、ユーザが質問に対して回答したときに、その回答は、対話制御部51を介して個人情報DB54に送られ、ブロックマトリクスの項目(選択された未収集項目)にユーザ情報として登録される(ST16)。このとき、個人情報DB54において、ユーザ情報が登録された項目についてはフラグが書き換えられる(未収集→収集済)。
【0052】
次いで、質問制御部53において、ユーザ情報を登録した後のブロックマトリクスの登録率を求め、登録率が所定値(ここでは80%)以上であるかどうかを判断する(ST13)。登録率が80%未満である場合(N)、ST14〜ST16の手順を繰り返す。一方、登録率が80%以上である場合(Y)、その旨が質問制御部53からレコメンド作成部52に通知され、レコメンド作成部52でユーザの問いかけに対するレコメンドを作成する(ST17)。この場合、レコメンド作成部52は、個人情報DB54に格納されているテーブルを参照して、ユーザ情報収集済の項目からレコメンドパターンを選択する。そして、このレコメンドパターンに沿ってレコメンドを作成する。作成されたレコメンドは、対話制御部51を介してユーザに出力される。
【0053】
本実施の形態においては、登録率が所定値以上になるまでユーザに質問を繰り返す場合について説明しているが、本発明はこれに限定されず、対話制御部51が質問以外の検索結果をユーザに対して出力しても良い。例えば、ユーザがシステムに「問いかけ」をした後に、システム側からユーザに対して質問を出力して未収集項目のユーザ情報を収集しながら、ユーザからの通常の検索要求に対して検索エンジンを用いて検索結果を出力しても良い。この場合、対話制御部51がユーザへの質問と検索結果を組み合わせてユーザに出力するようにしても良い。
【0054】
以下、本発明の効果を明確にするために実施した実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0055】
<住宅購入を考えているユーザの例>
ユーザが「家の購入を検討しているけど、どうかな?」と携帯端末装置に入力すると、ネットワークを介してこの問いかけはレコメンド作成システムに送られる。レコメンド作成システムにおいては、ユーザの問いかけからカテゴリを推定して、ブロックマトリクスを決定する。ここでは、レコメンド作成システムが金融カテゴリと推定して、金融カテゴリを中心カテゴリとするブロックマトリクスを決定する(
図3)。
【0056】
そして、レコメンド作成システムにおいて、登録率を監視しながら、中心カテゴリの中心項目に関連度の高い項目についての質問をユーザに行って、未収集項目のユーザ情報を収集する。この動作を、登録率が所定値以上になるまで続ける。その後、レコメンド作成システムにおいては、登録率が所定値以上になったときに、収集済のユーザ情報と、検索情報とによりレコメンドを作成する。
【0057】
このとき、レコメンド作成システムにおいては、収集済の項目からレコメンドパターンを選択し、そのレコメンドパターンに沿ってレコメンドを作成する。このレコメンドパターンは、少なくとも預金額項目、預金額履歴項目、定期的支出項目(金融カテゴリ)、車項目(趣味カテゴリ)、好きな食べ物項目、食事履歴項目(食事カテゴリ)の項目を用いるものである(
図6のレコメンドパターン1)。ここで、預金額履歴については、
図7に示すようになっているとする。また、レコメンド作成システムにおいて、家の値段等については検索エンジン4で検索する。
【0058】
このようにして作成されたレコメンドは以下のようなものであり、このレコメンドをユーザに出力する。
「家の値段は
X 円ぐらいだけど、預金額が
Y 円なので不足しているよ。ただし、出費が増加しているので注意が必要だよ。ところで、あなたは車を持っているので、一般的に
Z 円が毎月かかっているし、あなたの好きな食べ物が
O で高くつくから今家を買うのは控えた方がいいよ!」
【0059】
このように本発明のレコメンド作成システムによれば、家を購入したいという問いかけに対して家を紹介するレコメンドをするのではなく、家を購入することを抑制するという予期しない回答が得られる。
【0060】
<高血圧を改善したいユーザの例>
ユーザが「血圧を145mmHg以下にしたい、どうしたらいいかな?」と携帯端末装置に入力すると、ネットワークを介してこの問いかけはレコメンド作成システムに送られる。レコメンド作成システムにおいては、ユーザの問いかけからカテゴリを推定して、ブロックマトリクスを決定する。ここでは、レコメンド作成システムが健康カテゴリと推定して、健康カテゴリを中心カテゴリとするブロックマトリクスを決定する(
図9)。
【0061】
そして、レコメンド作成システムにおいて、登録率を監視しながら、中心カテゴリの中心項目に関連度の高い項目についての質問をユーザに行って、未収集項目のユーザ情報を収集する。この動作を、登録率が所定値以上になるまで続ける。その後、レコメンド作成システムにおいては、登録率が所定値以上になったときに、収集済のユーザ情報と、検索情報とによりレコメンドを作成する。
【0062】
このとき、レコメンド作成システムにおいては、収集済の項目からレコメンドパターンを選択し、そのレコメンドパターンに沿ってレコメンドを作成する。このレコメンドパターンは、少なくとも血圧項目、たばこ項目(健康カテゴリ)、TOEIC項目(仕事カテゴリ)、ジョギング項目(スポーツカテゴリ)、アルコール項目(食事カテゴリ)の項目を用いるものである(
図10のレコメンドパターン3)。
【0063】
このようにして作成されたレコメンドは以下のようなものであり、このレコメンドをユーザに出力する。
「たばこは吸うのに、ジョギング等の運動はしないし、アルコールが好きみたいだから大変だよ。ところで、あなたは休みの日にアルコールの量が多いみたいだから、その時間を利用してTOEICの勉強でもしたら!」
【0064】
このように本発明のレコメンド作成システムによれば、血圧を下げたいという問いかけに対してTOEICの勉強をしろという予期しない回答が得られる。
【0065】
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、ブロックマトリクス、カテゴリ、項目、問いかけ、質問等については適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しないで適宜変更して実施することが可能である。