特許第5782564号(P5782564)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5782564生物学的汚染を取り除く分離障壁を備える水の浄化および配分のためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5782564
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】生物学的汚染を取り除く分離障壁を備える水の浄化および配分のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/32 20060101AFI20150907BHJP
   C02F 1/44 20060101ALI20150907BHJP
   B01D 61/14 20060101ALI20150907BHJP
   B01D 61/58 20060101ALI20150907BHJP
   B01D 65/02 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
   C02F1/32
   C02F1/44 H
   B01D61/14
   B01D61/58
   B01D65/02
【請求項の数】23
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-516477(P2014-516477)
(86)(22)【出願日】2012年6月20日
(65)【公表番号】特表2014-516791(P2014-516791A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】IB2012053114
(87)【国際公開番号】WO2012176134
(87)【国際公開日】20121227
【審査請求日】2014年2月18日
(31)【優先権主張番号】1155630
(32)【優先日】2011年6月24日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】504115013
【氏名又は名称】イー・エム・デイー・ミリポア・コーポレイシヨン
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲーネ,イブ
(72)【発明者】
【氏名】メイエ,デイデイエ
(72)【発明者】
【氏名】ボール,ジユリアン
【審査官】 金 公彦
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第00096377(EP,A1)
【文献】 実開平06−031897(JP,U)
【文献】 実開昭51−000760(JP,U)
【文献】 特開2011−036809(JP,A)
【文献】 特開2003−080274(JP,A)
【文献】 特開2007−075328(JP,A)
【文献】 特開2010−221173(JP,A)
【文献】 特開2006−000854(JP,A)
【文献】 米国特許第4595498(US,A)
【文献】 特開2007−125493(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/176135(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/20− 1/26
C02F 1/30− 1/38
C02F 1/70− 1/78
Thomson Innovation
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの処理水供給地点(A)と、少なくとも1つの浄水の利用地点(U)と、少なくとも1つのポンプ手段(101)と、UVによる滅菌ゾーン(106)を規定するUV放射による滅菌のための少なくとも1つの手段(106)と、少なくとも1つの濾過手段(103)とを備える水流閉ループ(107、109、109’)を備える処理水浄化システム(18、19、19’)であって、
UVによる滅菌ゾーン(106)は、処理水供給地点(A)と、さらに、水流閉ループ(107、109、109’)内を流れる方向に、処理水供給地点(A)の上流に位置する少なくとも1つの浄水抽出地点(P)とを備えること、ならびに浄水抽出地点(P)も処理水供給地点(A)も、UV滅菌ゾーン(106)のセクタ(106B)内に位置し、前記セクタ(106B)は、UV滅菌ゾーンの2つの他のセクタ(106A、106C)により、水流閉ループ(107、109、109’)を滅菌ゾーン(106)に接続する2つの地点(R、R)から分離されることを特徴とする、システム(18、19、19’)。
【請求項2】
滅菌ゾーン(106)の前記浄水抽出地点(P)に抽出手段(14)を介して接続された少なくとも1つの貯蔵タンク(16、17)をさらに備える、請求項1に記載のシステム(18、19、19’)。
【請求項3】
少なくとも1つの再循環パイプを備え、前記再循環パイプは、抽出手段(14)により過剰な浄水を供給されることができ、かつ水流閉ループ(107、109、109’)に前記過剰な浄水を供給するために少なくとも1つの処理水生産システム(10)に前記過剰な浄水を供給するように適合されることができる、請求項に記載のシステム(18、19、19’)。
【請求項4】
ポンプ手段(101)が、水流閉ループ(107、109、109’)上に存在する停止手段(102)に結合される、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム(18、19、19’)。
【請求項5】
停止手段が、逆止め弁である、請求項4に記載のシステム(18、19、19’)。
【請求項6】
濾過手段が、少なくとも1つのフィルタ(103)である、請求項1からのいずれか一項に記載のシステム(18、19、19’)。
【請求項7】
フィルタ(103)が、少なくとも1つの膜を備えるアブソリュートフィルタ(103)である、請求項6に記載のシステム(18、19、19’)。
【請求項8】
フィルタ(103)が、利用地点に位置する、請求項6に記載のシステム(18、19、19’)。
【請求項9】
フィルタが、迂回パイプに結合された水流閉ループ(107、109)に連結される、請求項6に記載のシステム(18、19、19’)。
【請求項10】
加の濾過手段(111)を備える、請求項1からのいずれか一項に記載のシステム(19、19’)。
【請求項11】
追加の濾過手段(111)が、限外濾過フィルタ(111)である、請求項10に記載のシステム(18、19、19’)。
【請求項12】
追加の濾過手段(111)が、ポンプ手段(101)の下流かつ濾過手段(103)の上流に位置し、迂回パイプ(110)が、追加の濾過手段(111)を滅菌ゾーン(106)の上流に位置する水流閉ループ(109)の地点(RP)に連結する、請求項10に記載のシステム(18、19、19’)。
【請求項13】
水流閉ループ(109’)の少なくとも1つの部分を加熱するための少なくとも1つの手段(108)を備える、請求項1から12のいずれか一項に記載のシステム(19’)。
【請求項14】
濾過手段(103)、追加の濾過手段(111)および隣接する回路構成要素を備える水流閉ループの一部が、1組の着脱可能な構成要素(19B、19’B)である、請求項1から13のいずれか一項に記載のシステム(19、19’)。
【請求項15】
ループ(107、109、109’)内を流れる処理水を浄化する方法にして、
前記水流閉ループ(107、109、109’)が、少なくとも1つの濾過手段(103)、滅菌手段(106)、浄水抽出地点(P)、および処理水供給地点(A)を備え、前記濾過手段(103)が浄水の利用地点(U)を備え、前記滅菌手段(106)が、水流閉ループ(107、109、109’)内を流れる方向に、浄水抽出地点(P)の上流に位置する第1のセクタ(106C)と、浄水抽出地点(P)の下流かつ処理水供給地点(A)の上流に位置する第2のセクタ(106B)と、処理水供給地点(A)の下流に位置する第3のセクタ(106A)とを備え、
前記方法が、
処理水を処理水供給地点(A)から前記水流閉ループ(107、109、109’)に供給するステップと、
前記第3のセクタ(106A)内を流れる水を滅菌するステップと、
浄水を生成するために、滅菌された水を濾過手段(103)によってフィルタリングするステップと、
利用地点(U)で浄水の一部を前記水流閉ループ(107、109、109’)から抜き取るステップと、
浄水を前記第1のセクタ(106C)に流すステップと、
浄水抽出地点(P)で前記水流閉ループ(107、109、109’)から浄水の一部を抽出するステップと、
浄水を前記第2のセクタ(106B)および前記第3のセクタ(106A)に流すステップとを含むことを特徴とする、方法。
【請求項16】
濾過手段が、精密濾過手段である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
抽出するステップが、貯蔵場所(16、17)の中に置く少なくとも1つのステップに結合される、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
水流閉ループ(107、109、109’)の浄水抽出地点(P)で、貯蔵場所(16、17)の中に置かれた水の一部を水流閉ループ(107、109、109’)内に再度環流させる少なくとも1つのステップをさらに備えることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
水流閉ループ(109’)内を流れる水を加熱する少なくとも1つのステップ(108、114)を備える、請求項15から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、少なくとも2つのフィルタリングするステップ(111、103)を備え、方法から生じる浄水は、2つのフィルタリングするステップの一方(103)の場所(U)で抜き取られる、請求項15から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
第1のフィルタリングするステップは、限外濾過ステップ(111)であり、第2のフィルタリングするステップは、精密濾過ステップ(103)である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
水流閉ループ(109、109’)内を流れる水の一部を水流閉ループ(109、109’)から分水路(110)内を流れさせることによ、少なくとも1つのパージするステップを備える、請求項20または21に記載の処理水を浄化する方法。
【請求項23】
水流閉ループ(107、109、109’)内を流れるどんなガスも大気に排出する少なくとも1つのステップ(15、112、110)を備える、請求項15から22のいずれか一項に記載の処理水を浄化する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、詳細には浄水流ループを装備する、水を浄化し、分配するシステムに関する。本発明はまた、このシステムを使用して水を浄化し、分配する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
詳細には、分析化学および分析生物学研究所では、数多くの用途が純水または超純水さえ使用する必要がある。これらのシステムはまた、内科療法、たとえば透析のために、または非常に高いレベルの浄化を必要とする(血液、尿などのための)生物学的分析装置のために使用される。
【0003】
水浄化システムは、所望の品質の水を生産するために設計されてきた。
【0004】
したがって、特許文献である米国特許出願公開第2008/0230450号明細書、米国特許第7,250,619号明細書、米国特許第5,259,954号明細書、米国特許第4,495,067号明細書、米国特許第4,810,388号明細書、および欧州特許第1875818号明細書が、紫外線ランプおよび使い捨てフィルタを含むいくつかのステップの水処理をインラインで使用して浄水を生産する方法について説明している。
【0005】
特許文献である特公平3−223660号公報が、詳細には、限外濾過フィルタを通してインラインで分配する前に80℃でタンク内に浄水を貯蔵することについて説明している。
【0006】
図1図2、および図3は、最新技術に従って純水または超純水さえも浄化し、分配するシステム13、13’、および13”を示す。
【0007】
システム13および13’は、分析生物学および分析化学研究所の用途で一般に使用される。これらのシステムはまた、内科療法、たとえば透析のために、または生物学的分析装置に供給するために使用される。
【0008】
図1では、水を浄化し、分配するシステム13は、たとえば逆浸透および電気脱イオン化により、当業者に公知の手法で、たとえば水道水EVから処理水を生産する処理水生産システム10に結合される。処理水生産システム10は、一般に、一次回路と呼ばれる回路の形をとる。
【0009】
システム13は、この処理水の利用者に分配される準備ができた、浄化された純水または超純水を生産する。システム13は、浄水流用閉ループである回路100により主に構成される。回路100は、一般に二次回路と呼ばれる。
【0010】
システム10は、供給地点20でループ100に入るパイプ11により流動ループ100に処理水を供給する。水流の方向に、供給地点20の下流に、ループ100は、ポンプ101と、一般に254nmで放出する紫外線(UV)ランプ105と、フィルタ膜3を備える一般に精密濾過フィルタ103である濾過構成要素103とを備える。ポンプ101により、流れが流動ループ100内部に維持され、かつ異なる水浄化構成要素内および流体回路内の水頭損失を補償することが可能になる。フィルタ103は、ループ100からの分水路に取り付けられる。
【0011】
利用者がシステム13から浄水を抜き取る利用地点104は、フィルタ103の下流に位置する。利用者により抜き取られない浄水は、弁102を介してポンプ101の入口に向けて閉ループ100の中を流れ続ける。弁102は、フィルタ103の入口で十分な背圧を発生させて、分配地点104で流動を得る。弁の開口圧力で、ポンプ101からの流動により、浄水がループ100の中を流れることが可能になる。弁102は、較正された弁または吐出し弁のタイプからなる。
【0012】
水の浄化および分配システム13は、水処理用の少なくとも1つの構成要素12により完成されてもよい。構成要素12は、一般に、イオン交換樹脂カートリッジタイプ、および/または有機物を吸収するための材料を含むカートリッジタイプ、および/または限外濾過タイプからなる。構成要素12は、好ましくは、(図1に示されるように)ポンプ101とUVランプ105の間に置かれる。示されない一変形形態によれば、構成要素12はまた、UVランプ105とフィルタ103の間に置かれてもよい。構成要素12は、システム10により生産された水の中に含まれる残留イオン、有機物、粒子、または発熱物質の除去を可能にしてもよい。構成要素12は、図1に破線で表されている。構成要素12が存在しない場合、単純なパイプがポンプ101をUVランプ105に連結する。
【0013】
図2のシステム13’は、ループ100’が単純な供給地点20の代わりにタンク17を備える、図1のシステム13の一変形形態を表す。システム13’は、浄水流用閉ループである回路100’により主に構成される。タンク17は、パイプ11を介して処理水生産システム10により生産される水によっても、弁102を介して通過した後にタンク17の上流側に到達する、利用地点104で抽出されなかった浄水によっても、供給される。ポンプ101は、このタンク17からの出口に接続される。
【0014】
さらに、システム13’は、利用者によるどんな抜き取りとも無関係に、ループ100’内の循環によりタンク17からの水の断続的再循環を可能にする。これにより、たとえば、利用者により抽出が行われない期間中に、タンク17内にあまりにも長時間水をよどませないことが可能になる。
【0015】
提示されない一変形形態によれば、フィルタ103とタンク17の間のループ100’の一部の中の水流を除去することが可能であり、水は、利用地点104で、要求に応じてインラインで配分される。
【0016】
図3は、UVランプが2つの別個の回路を滅菌することができるということを除き、図2で説明されるシステムの構成要素を含む、米国特許第4,969,991号明細書で説明される特定のシステム13”を示す。システム13”は生産ラインを構成し、以下で説明されるように、浄水流用閉ループを実際に備えないが、タンク17内に含まれる処理水は、利用者によるどんな抽出とも無関係にループ26を介して流れて、UVランプ105’を通過することによって浄化されてもよい。
【0017】
図3では、UVランプ105’は、2つの別個で独立の流体回路105’Aおよび105’Bを所有する。システム10により処理された水は、UVランプ105’の回路105’Aを通過することにより、パイプ21、22、および23を介してタンクを満たす。タンク17内に貯蔵された水は、ポンプ101’およびパイプ26を使用することにより、回路105’A内を流れることができる。パイプ26および21は、単一のパイプ22に入り、パイプ22は回路105’Aに供給する。タンク17およびポンプ101から得られる水は、UVランプ105’の回路105’Bを通ってパイプ24を通り過ぎて、パイプ25を介して利用地点に到達する前に、浄化構成要素12により浄化される。この水の循環は提供されない。
【0018】
したがって、図3に示される米国特許第4,969,991号明細書は、一方の流れがタンク17を満たす水を処理するために使用され、もう一方の流れが水を利用地点25に直接分配するために使用される、2つの別個の流れを有する、UVランプ105’のインライン使用法について説明している。
【0019】
この構成によれば、UVランプは、水抽出のサイクルおよび断続的循環のサイクル中だけ使用中となる(スイッチが入れられる)。生産システム10とタンク17の間のパイプ26により、生産回路と分配回路の間の逆汚染または相互汚染の可能性をすべて除去することが可能にならない。さらに、この構成は、2つのポンプおよび別個の流れのUVランプなどの追加ハードウェアを必要とするので、複雑で、コストがかかる。
【0020】
従来技術のシステム13、13’、および13”はすべて、たとえば1カ月〜3カ月ごとに、流動ループおよびラインの定期的汚染除去を必要とする。この汚染除去は、一般に、熱水で、または塩素、過酸化物、もしくは任意の他の酸化成分の中から選択される少なくとも1つの化学製品で洗浄されることにより実施される。この汚染除去は、資格を与えられた技術者により実施されなければならず、このことが、水浄化システムの使用を複雑にすると同時に、コストを著しく増大させる。
【0021】
事実上1回しか使えないフィルタであるフィルタを使用する他の方法が存在する。これらのフィルタは、それぞれ使用された後に、または非常に少ない回数使用された後に、交換される。
【0022】
さらに、UVランプが存在することにより、たとえば潜在的に「汚染された水」による相互汚染または逆汚染などのすべての汚染問題が解決されることができるようになるわけではない。その上、利用者が浄水をもはや抽出せず、かつランプが消されるために、特に、水が回路内で、たとえばタンク内でよどむとき、使用中に非常に低いレベルの細菌に絶えず維持することは非常に困難である。このことが、タンクからの水がUVランプ内を断続的に流れる場合でさえ当てはまるのは、細菌が豊富に存在し、落ちたときにタンクの水を汚染する、凝結による水の液滴が、タンクの上部に存在するためであり、これは、タンク内に到達している、新たに滅菌された水が、再度汚染されたことを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0230450号明細書
【特許文献2】米国特許第7250619号明細書
【特許文献3】米国特許第5259954号明細書
【特許文献4】米国特許第4495067号明細書
【特許文献5】米国特許第4810388号明細書
【特許文献6】欧州特許第1875818号明細書
【特許文献7】特公平3−223660号公報
【特許文献8】米国特許第4969991号明細書
【非特許文献】
【0024】
【非特許文献1】AAMI RD62:2006年
【非特許文献2】AAMI RD52:2004年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
生じる問題は、最小の微生物(一般に100CFU/L未満)を保証しながら、および利用者により望まれる浄水の処理水生産流量と、浄水の使用速度の両方に適合しながら、浄水が分配されることが可能になる水浄化システムを設計し、生産することである。CFUは「Colony Forming Unit(コロニー形成単位)」を意味する。
【0026】
正確に言えば、浄化回路から浄水を抽出するケイデンスがどうであろうとも、利用者は、浄水を常に利用可能でなければならない。さらに、汚染除去のためのシステム停止は、できるだけ最小の頻度でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明によるシステムは、有利には、効果的解決策が提供され、かつ従来技術のデバイスの欠点が軽減されることができるようにする。
【0028】
この目的のために、本発明の様態の1つが、少なくとも1つの処理水供給地点と、少なくとも1つの浄水の利用地点と、少なくとも1つのポンプ手段と、UVによる滅菌用ゾーンを規定するUV放射による滅菌のための少なくとも1つの手段と、少なくとも1つの濾過手段とを備える水流用閉ループを備える処理水浄化システムであって、
UVによる滅菌用ゾーンは、供給地点と、さらに、ループ内を流れる方向に、供給地点の上流に位置する少なくとも1つの浄水抽出地点とを備えること、ならびに抽出地点も供給地点も、UV滅菌ゾーンのセクタ内に位置し、前記セクタは、UV滅菌ゾーンの2つの他のセクタにより、ループを滅菌ゾーンに接続する2つの地点から分離されることを特徴とするシステムに関する。
【0029】
浄水の抽出地点は、一般に少なくとも1つの抽出手段に結合される。浄水の抽出地点はまた、以下で説明されるように、ループ内の水の再循環を作り出すために役立つ場合があり、この再循環は、ループに供給する他の手段である。
【0030】
UVによる滅菌手段は、一般にUVランプである。ほとんどの場合、UV滅菌ゾーンは、UVランプを含むエンベロープまたはケーシングを備えるデバイスである。このデバイスは、典型的には、その長さにわたり4つの接続地点を装備し、それにより、3つの滅菌セクタの範囲を定める。ほとんどの場合、UV放射滅菌ゾーンは、ループ内を水が流れる方向に、利用地点の上流に位置する。
【0031】
ポンプ手段は、一般に少なくとも1つのポンプである。
【0032】
濾過手段は、一般に少なくとも1つのフィルタであり、好ましくは、利用地点の上流にあり、かつ利用地点に非常に近い、微細孔フィルタまたは限外濾過フィルタなどの最終フィルタである。
【0033】
ループを滅菌ゾーンに接続する2つの地点は、一般に上流地点(M)および下流地点(V)であり、上流の接続地点は、ループ内を水が流れる方向に、下流の接続地点に先行する。
【0034】
したがって、本発明は、二次流動ループを生じさせることを巧に可能にし、二次流動ループ内部には、UV滅菌ゾーン内の異なるセクタの構成および位置、ならびに抽出地点および供給地点の構成および位置によって、不感帯も、細菌汚染に対して保護されていない処理水供給回路への連結も存在しない。二次ループ内を流れる水が、詳細には逆汚染または相互汚染を回避しながら、非常に低いレベルの細菌汚染(ループ内で1CFU/mL未満、および利用地点で100CFU/L未満)に保たれることを可能にするのは、浄水流ループと、供給回路との間の境界、または再循環する処理水用回路との間の境界にさえ位置する、連続動作状態にある(スイッチが入った)UV障壁の存在である。
【0035】
本発明によれば、「処理水」は、一次ループの水を処理する方法による水を意味し、「浄水」は、二次ループの水を浄化する方法により処理された水を意味する。
【0036】
さらに、「汚染除去」は、存在する場合がある生きた成分または発熱性成分を除去する行為を意味する。この行為は、一般に特定の時間に実施される。本発明に関連して、「UVによる滅菌」は、一般に連続動作で、1回または複数回の紫外線放射によって、生きた要素を破壊する行為を意味するために使用される。
【0037】
最後に、本発明によれば、「浄化」は、微粒子状、イオン状、有機の、または生きている場合がある汚染物質の除去を意味する。当業者に公知であるように、浄化技法は、汚染物質のタイプに従って非常に異なってもよい、すなわち、逆浸透(イオンまたは有機の汚染物質に対して)、イオン交換樹脂(イオン汚染物質に対して)、活性炭(有機汚染物質に対して)、濾過(粒子および/または生きた汚染物質に対して)、限外濾過(生きた汚染物質および/または細菌の副産物および/または発熱物質に対して)、UV(紫外線放射が、ほとんどの場合に当てはまる254nmである場合、生きた汚染物質に対して、および紫外線放射が185nmである場合、有機汚染物質に対して)であってもよい。
【0038】
本発明による浄水流用閉ループはまた、二次ループ、またはより簡単に本明細書ではループと呼ばれる。本発明によるシステムは、このループ内を水が連続的に流れるように設計された、真の閉ループシステムである。ループ内を流れループの中に入る水が常に滅菌ゾーンを通り過ぎるとき、ループ内を流れる水は連続的に浄化される。
【0039】
本発明に関連して、抽出地点でループからの浄水の抽出が少なくとも1回行われる。また、必要に応じて、水の補充が提供されてもよく、この水は、滅菌ゾーン内を通過することにより滅菌される。また、最後に、好ましくは別個の時間に、浄水の抽出を行い、この同じ抽出地点で水の補充を提供することが可能である。したがって、ループに供給する処理水の流動と、利用者により抜き取られる水の流動の両方に応じて、異なる可能性が使用される。
【0040】
ループ内の流動は、一般に、利用者により望まれる浄水の流動より多い、または等しい。利用者により抽出される水の流動は、一般に変わりやすく、順序づけられてもよい。
【0041】
ループに供給するために、本発明によるシステムに入る処理水の生産速度は、分配される浄水の流動と等しくても、これより大きくてもよい。この場合、過剰に生産された処理水が、本発明によれば、一般に、貯蔵場所の中に置かれる、またはたとえば処理水の生産用回路の中に再循環させられる。
【0042】
ループに供給するために、本発明によるシステムに入る処理水の生産速度はまた、一般に、分配される浄水の流動より少なくてもよい。この場合、一般に、本発明の一実施形態によれば、システムにより浄化され、貯蔵場所の中に置かれた水を追加することにより、ループに供給する水の流動を増大させることが可能である。その後補充として使用することができる、たとえばタンク内の貯蔵場所の中に過剰な浄水を置くことがこのように可能であることは、本発明によるシステムの好ましい実施形態の1つの利点の1つである。
【0043】
貯蔵場所の中に水を置くことは、処理水の供給地点と異なる、UV滅菌ゾーン内の抽出地点で実施され、浄水が過剰モードであれ、補充モードであれ、滅菌されることができるようにする。
【0044】
したがって、水抽出地点により、貯蔵場所の中に置くための過剰な浄水を、ループに供給する浄水であろうとなかろうと、タンクに、および/または処理水生産システムの入口に経路設定することが可能になる。
【0045】
第1の実施形態によれば、抽出地点は、浄水が滅菌ゾーンのセクタ内をあらかじめ通過して、貯蔵場所の中に、一般に少なくとも1つのタンクの中に置かれることが可能になるように適合され、タンクの細菌汚染の可能性を低減する。したがって、本発明によるシステムは、少なくとも1つの貯蔵タンクをさらに備える。このようなタンクは、一般に大気に対して開放され、抽出手段により供給されることができる。これにより、有利には、ループが大気に接続されることが可能になる。したがって、タンク内の浄水が大気に接続されることにより、有利には、ほとんどの場合、ループの濾過手段のパージングにより得られる、滅菌ゾーン内を流れるどんな残留ガスも大気に吐き出すことが可能になる。
【0046】
このような場合、好ましくは、システムは、タンクのUV滅菌用の、好ましくは前記タンク内部に置かれた、またはさらにはタンク内に沈められた少なくとも1つの追加手段を備える。この追加の滅菌手段は、タンクの少なくとも一部の中に潜在的に存在する液体だけでなく、この液体から生じる凝結により潜在的に汚染される、タンクの沈められていない壁も滅菌するように適合される。
【0047】
第2の実施形態によれば、抽出地点は、水が、処理水生産システム内で、好ましくは本発明によるシステムに供給する一次回路内で、少なくとも部分的に再循環させられることが可能になるように適合される。これは、滅菌ゾーンのセクタ内を先行して通過して実施され、これにより、一次回路の細菌汚染の可能性が低減される。この場合、本発明によるシステムは、抽出手段により供給され、かつ少なくとも1つの処理水生産システムに供給するように適合されることができる、少なくとも1つの再循環パイプを備える。
【0048】
有利には、本発明によれば、流動ループは、好ましくは、UV滅菌ゾーン内の異なるセクタの構成および位置、ならびに抽出地点および供給地点、ならびに任意選択で利用地点の構成および位置によって、不感帯も、細菌汚染に対して保護されていない処理水供給回路への連結もなく、UVゾーンは、浄水流ループ(二次回路)と供給回路(一次回路)との間の境界に位置する、連続動作状態にあるUV障壁であり、これにより、二次ループ内を流れる水がループ内で1CFU/mL未満、および利用地点で100CFU/L未満という非常に低いレベルの細菌汚染に保たれることが可能になる。
【0049】
本発明によれば、抽出手段はまた、先行する第1の実施形態と第2の実施形態を組み合わせることにより、タンクに供給するのにも、処理水生産システムに供給するのにも役立つ場合がある。
【0050】
ポンプ手段および濾過手段は、一般に、供給地点から抽出地点に進むループ部分で、好ましくは供給地点から利用地点に進むループ部分で、ループ内を水が流れる方向に、ループ上に連続的に配置される。
【0051】
したがって、本発明は、二次流動ループを生じさせることを巧に可能にし、二次流動ループ内部には、UV滅菌ゾーン内に3つの異なる滅菌セクタを生成することによって、不感帯も、細菌汚染に対して保護されていない処理水供給回路への連結も存在しない。
【0052】
ループ上に置かれた各滅菌手段、およびおそらくはタンク上および/またはタンク内に置かれてもよい追加の滅菌手段は、一般に、少なくとも1つのUVランプ、つまり、水銀灯、または放電ランプ(たとえば、キセノンランプ)、または少なくとも1つのLED(発光ダイオード)を備える。滅菌手段は、殺菌特性を有する紫外線放射を放出する。本発明によれば、滅菌手段は、一般に、処理水用の(一次)生産回路と、浄水用の(二次)回路またはループとの間を、本質的に細菌であるバイオ汚染物質が通過するのを防ぐための連続的障壁を生成するために連続動作状態にある(スイッチが入れられる)。
【0053】
さらに、二次ループの流体と処理水生産回路の間の交換が、UV滅菌ゾーン内で常に行われるので、逆汚染および相互汚染は、典型的には起こり得ない。これは、本発明の利点の1つである。
【0054】
滅菌ゾーンのセクタの構成はまた、有利には、ループ内を流れる流体の冷却を可能にする。正確に言えば、流体は、UVランプにより放散させられるエネルギーにより、典型的には細菌の成長に不利な25〜40℃に加熱される。本発明によれば、この流体は、有利には、セクタの少なくとも1つの中で、供給水と混合することにより冷却される。
【0055】
その結果、本発明によれば、従来技術よりはるかに少ない頻度で、典型的にはほんの半年から1年ごとに、熱水または化学製品を通過させることにより、ループを除染することが可能である。
【0056】
ポンプ手段は、ほとんどの場合ポンプである。さらに、ポンプ手段は、好ましくは、ループ上に存在する停止手段に結合され、前記停止手段は、好ましくは逆止め弁(または安全弁)である。ポンプ手段により、有利には、所望の量の浄水が利用地点で提供され、濾過および流体回路の構成要素に特有の水頭損失を補償することにより閉流動ループ内部の流れを維持することが可能になる。
【0057】
濾過手段は、一般にフィルタ構成要素またはフィルタであり、ほとんどの場合、好ましくは、少なくとも1つの膜を備えるアブソリュートフィルタ、たとえば、孔径0.22μmまたは0.1μmの膜を備えるフィルタである。このフィルタは、好ましくは、利用地点に位置する。このフィルタは、好ましくは、ループに連結された、パージングパイプである迂回パイプに結合される。フィルタが膜を備えるとき、前記パイプは、ループ内を水が流れる方向に、膜の上流に位置する。
【0058】
濾過手段が膜を備えるフィルタであるとき、濾過手段は、一般に、ループに接続するための2つのパイプを備える。第1の接続パイプは、一般に濾過膜の上流に位置する。第1の接続パイプにより、ループ内を流れる浄水全体が、利用地点からの抜き取りが終了したときに、膜を水で洗い流すことが可能になり、これにより、有利には、この膜の上流または膜上の水の死容積を除去し、ループから戻っている、ループの下流側に一般に連結された第2の接続パイプにより再度出て、膜に存在するどんな残留ガスもパージング可能にする、すなわち自動排出可能にする。
【0059】
濾過手段は、好ましくは、浄化水分配ループ上の分水路上に位置する。これにより、有利には、ループと利用地点の間の完全な分離が可能になる。濾過手段はまた、ループ上のインラインに位置してもよく、水はループ内を流れ、フィルタを通過し、利用地点は、フィルタの下流のループ上に位置する。それにもかかわらず、このような場合、利用地点は、たとえば膜によりループから分離されず、抜き取る地点で水の逆汚染のリスクが存在する。
【0060】
利用地点は、一般に、濾過手段の場所に、さらにより好ましくは、濾過手段上に位置する。この場合、濾過手段は「最終」と呼ばれる。フィルタが膜フィルタであるとき、利用地点は、好ましくは、膜の下流に位置する。
【0061】
本発明によれば、システムは、少なくとも1つの膜を備える限外濾過フィルタであることが好ましい追加の濾過手段をさらに備えてもよい。この限外濾過フィルタは、本発明によれば、カットオフしきい値が一般に1,000Da〜1,000,000Daまで変化する膜を備えるフィルタとして規定される。カットオフしきい値は、求められる性能に従って当業者により選択される。この限外濾過フィルタは、一般に、溶解されても、されなくてもよい、流体中に存在する分子を保持し、分子量は膜の選択のための、保持力の決定要因を構成する。本発明に関連して、保持力しきい値は、一般に浄水の発熱物質除去を可能にするように選択される。
【0062】
濾過手段はまた、特有の0.1μmまたは0.22μm最終フィルタの特性と限外濾過フィルタの特性を組み合わせる、正に帯電したアブソリュートフィルタであってもよい。正確に言えば、濾過手段の正電荷が、親和力により発熱物質の吸収を可能にする。このフィルタは、おそらくは、追加の濾過手段が存在しなくても濾過手段の役割を果たす場合がある。
【0063】
追加の濾過手段は、好ましくは、ポンプ手段の下流かつ濾過手段の上流に、迂回パイプが追加の濾過手段を滅菌ゾーンの上流に位置するループの地点に連結するように位置する。この迂回パイプは、一般に、ガスをパージするためのパイプであり、追加の濾過手段が少なくとも1つの膜を備えるフィルタであるとき、1つまたは複数の膜の上流を滅菌ゾーンの上流に位置するループの地点に連結する。
【0064】
したがって、本発明の好ましい一実施形態によれば、追加の濾過手段は、一般に濾過手段(追加の濾過手段が膜フィルタであるとき、膜の上流に位置する地点にある)と、利用地点の下流かつUV滅菌ゾーンの上流に位置するループの地点を連結する、パージングパイプである迂回パイプをさらに備える。
【0065】
有利には、この迂回パイプは、存在する残留ガスをパージする、つまり、排出することを可能にする。
【0066】
この迂回パイプが存在することにより、自動パージングが実施されることが可能になり、このことは、非常に有利である。実際には、既存の浄化システムにより、手作業によるパージングだけが行われることが可能になる。しかしながら、この手作業によるパージング動作は、詳細には利用者が資格のある技術者ではないとき、行うことが困難である。
【0067】
迂回パイプは、一般に、ガスの排出が、前記パイプ内のより低い流量の水で効果的に実施され、ループから排出されるように構成される。これは、一般に、パイプの壁上にバイオフィルムがどのように形成することも回避するために、ループに属する異なるパイプ内で適切な線速度を維持することを意味する。
【0068】
したがって、迂回パイプは、一般に、好ましくは、濾過手段または追加の濾過手段内に含まれるどんな残留ガスも、この迂回パイプを介して通過する水により移送され、それにより、大気に、たとえばタンク内にこのガスを排出するように構成される。本発明に関連してそれほど好ましくないが、迂回パイプが、同じく、どんな残留ガスも、同じく迂回パイプの中に部分的に排出されることができるようなものとすることも可能である。この場合、迂回パイプは、少なくとも1つのガス排出手段を備える。迂回パイプ内の流動は、有利には、たとえば、制限する手段を使用することにより、または迂回パイプを構成する管の直径を低減することなどにより、制限されてもよい。
【0069】
好ましくは、本発明によれば、本発明のシステムのすべての濾過手段の完全性が、稼動前に100%まで試験された。
【0070】
一実施形態では、本発明によるシステムは、一般に、ループ内を流れる水を加熱するように適合された、ループの少なくとも1つの部分を加熱するための少なくとも1つの手段を備える。この加熱手段は、たとえば、UVランプを含むステンレス鋼のケーシングによりUV滅菌ゾーンが構成されるとき、たとえば、UV滅菌手段を取り囲む加熱スリーブであってもよい。加熱手段は、抵抗タイプの加熱素子であってもよい。最も一般的には、このような素子は沈められ、ループ上に位置する。加熱手段はまた、ループ上に位置する少なくとも1つの加熱素子により構成されてもよい。この加熱手段により、有利には、所定のサイクルを使用して、典型的には85℃より高い温度の熱水でループを除染することが可能になる。
【0071】
本発明によれば、本発明によるシステムの一部が、より具体的には濾過手段および隣接する回路構成要素を備えるループの一部が、1組の消耗できる構成要素であることがさらに好ましい。本発明によれば、「消耗できる構成要素」は、性能が特定の寿命に対して、または利用地点での、生産された/分配された浄水の特定の容積に対して適格である使い捨ての構成要素を意味する。
【0072】
消耗できる構成要素は、一般に、濾過手段および隣接するパイプにより構成される。
【0073】
1組は、一般に単一の部分を形成し、可能である場合には、照射または他の技法により無菌の、または除染された状態で1組のパッケージングで配送される。これにより、単純な機械的接続手段を使用して、消耗できるこの1組を迅速かつ簡単に変えることが可能になり、ループの、または1つもしくは複数の濾過構成要素の、汚染のリスクが低減される。1組は、その使用期間中の1組の性能の完全性を保証するためには、寿命が限られている、または水処理能力が限られている。1組はまた、1組がループ上に存在することが解析され、かつ1組の寿命または処理水の容積を追跡することが可能になる検出および認識のための手段を備えてもよい。検出手段は、RFIDタグ、バーコード、メモリ回路、または光学的もしくは機械的な偏光子もしくは他の手段の形をとってもよい。
【0074】
本発明による水浄化システムに供給する処理水生産システムは、一般に、イオン交換樹脂タイプまたは電気脱イオン化モジュールの脱イオン化ステップが加えられてもよい逆浸透処理デバイスを備える。
【0075】
生産された処理水は、ループ内で供給地点に処理水が到達したときに滅菌ゾーンの中に流れ込み、これにより、有利には、ループ内に処理水が到達したときに処理水の細菌汚染を著しく低減することが可能になる。
【0076】
有利には、本発明によるシステムにより、処理水の、および浄水の、微生物による相互汚染を回避することが可能になる。
【0077】
水処理システムの水およびエネルギーの消費を低減するため、および/または2回の抜き取る動作の間に長期間ループ内で水の温度が上昇するという問題を回避するため、処理水生産システムだけでなくループの分配ポンプも停止することがときどき必要である。しかしながら、本発明による滅菌ゾーンの滅菌手段は、一般に、処理水生産回路とループの間の障壁を動作状態に保つために、連続的に動作状態になければならない。さらに、ループ内の生産および循環の中へ戻す規則的サイクルを提供して、システムを構成する水処理構成要素および流体回路内のバイオフィルムの形成および微生物の成長を回避することが有利である場合がある。実際には、本発明による滅菌手段をほとんどの場合構成するUVランプは、一般に連続的に作動している。
【0078】
したがって、本発明による浄化システムにより得られる浄水に含まれる細菌、細菌の副産物、およびバイオ汚染物質のレベルは、水生産の限界を設定するAAMI(Association for the Advancement of Medical Instrument、医療器具開発協会)およびEP(「European Pharmacopeia(欧州薬局方)」)の仕様に適合する:
・AAMI RD62:2006年による血液透析用の純水:微生物についてはミリリットルあたり200CFU未満、および発熱物質についてはミリリットルあたり2EU、
・AAMI RD52:2004年による超純水:微生物についてはリットルあたり100CFU未満、および発熱物質についてはミリリットルあたり0.03EU、
・EPによる純水:微生物については100CFU/L未満、および発熱物質については0.25EU/mL、および
・EPによる超純水:微生物については100CFU/L未満、および発熱物質については0.03EU/mL。
【0079】
本発明はまた、本発明によるシステムの任意の使用法に関する。
【0080】
したがって、本発明は、このようなシステムを使用する方法であって、方法は、閉水流ループ内に処理水流を作るステップを備える、処理水を浄化する方法からなり、処理水は少なくとも1つの供給するステップ中に供給地点により入り、前記浄化するステップは、好ましくは精密濾過ステップである少なくとも1つのフィルタリングするステップと、少なくとも1つの滅菌手段により滅菌する少なくとも1つのステップとを備え、方法から生じる流出する浄水は、フィルタリングするステップの場所で抽出される方法であって、
前記方法は、ループ内を水が流れる方向に、フィルタリングするステップの下流に位置する抽出地点で、ループ内を流れる水の一部を抽出する少なくとも1つのステップを備えること、
および滅菌するステップは、抽出地点の上流に位置するセクタ内、抽出地点の下流かつ供給地点の上流に位置するセクタ内、および供給地点の下流に位置するセクタ内で、ループ内を流れる水に対して連続的に実施されることを特徴とする方法に関する。
【0081】
有利には、本発明による処理水を浄化する方法は、閉流動ループが、好ましくは、UV滅菌ゾーン内の異なるセクタの構成および位置、ならびに抽出地点および供給地点、ならびに任意選択で使用する地点の構成および位置によって、不感帯も、細菌汚染に対して保護されていない処理水供給回路への連結もないようなものであり、UVゾーンは、浄水流ループ(二次回路)と供給回路(一次回路)との間の境界に位置する、連続動作状態にあるUV障壁であり、これにより、二次ループ内を流れる水がループ内で1CFU/mL未満、および利用地点で100CFU/L未満という非常に低いレベルの細菌汚染に保たれることが可能になる。
【0082】
本発明による方法は、好ましくは、連続的に行われる、つまり、水はループの中を連続的に流れる。ループ内を流れループの中に入る水が滅菌ゾーンを通り過ぎるとき、ループ内を流れる水は連続的に浄化される。利用者は、自分の必要に従って、水を連続的に、または不連続に抜き取る。
【0083】
濾過ステップは、少なくとも1つの濾過手段により、好ましくは膜フィルタにより実施される。このような場合、好ましい一変形形態によれば、方法は、1つまたは複数の濾過ゾーンから得られるどんな残留ガスも、大気に自動的に吐き出されるようなものである。
【0084】
好ましくは、抽出するステップは、貯蔵場所の中に、典型的には大気に対して開放された少なくとも1つのタンクの中に置く少なくとも1つのステップに結合される。
【0085】
この場合、好ましい一実施形態によれば、方法は、ループの抽出地点で貯蔵場所の中に置かれた水の一部をループの中に環流させる(すなわち、流れさせる)少なくとも1つのステップをさらに備える。この環流により、一般に、ループの利用地点で十分な流量を保証するために補充水が提供されることが可能になる。
【0086】
本発明による方法は、ループ内を流れる水を加熱する少なくとも1つのステップを備えてもよい。このステップは、一般に、除染サイクル中に熱水を、つまり、一般に85℃より高い温度で通過させることにより浄水回路の除染の役に立つ。
【0087】
本発明による方法は、好ましくは限外濾過ステップである少なくとも1つの追加のフィルタリングするステップを備えてもよい。
【0088】
この場合、本発明による方法は少なくとも2つのフィルタリングするステップを備え、方法から生じる流出する浄水は、2つのフィルタリングするステップの一方の場所で抽出される。好ましくは、第1のフィルタリングするステップは限外濾過ステップである。好ましくは、第2のフィルタリングするステップは精密濾過ステップである。
【0089】
好ましい一実施形態によれば、方法は、ループ内を流れる水の一部をループから分水路内を流れさせることにより、少なくとも1つのパージするステップを備える。水をこのように流れさせることにより、一般に、このパージするステップでどんな残留ガスも排出することが可能になる。水のこの部分は、一般に、ループ内の総流動のわずかなパーセンテージを表し、流動の主要な部分はループ内で行われる。
【0090】
好ましくは、このパージするステップは、フィルタリングするステップで実施される。これにより、有利には、どんな残留ガスの排出も可能になる。このパージするステップは、一般に、連続的に実施され、どんな残留ガスも、フィルタリングするステップとの関連で大気に排出される。濾過手段が、少なくとも1つの膜を備えるフィルタであるとき、このパージするステップは、一般に、フィルタの1つまたは複数の膜の上流にある特定の出口への分水路により実施される。このパージするステップにより、有利には、システム内に存在する空気の排出が可能になる(溶解したガス、および濾過手段内に捕獲された空気により、フィルタリングするステップが実施されることが可能になる)。
【0091】
好ましい一実施形態では、本発明による方法は、ループ内を流れるどんなガスも大気に排出する少なくとも1つのステップを備える。一般に、ガスは、1つまたは複数のフィルタリングするステップの上流側から得られる。好ましくは、このステップは、タンクを使用することにより実施される。
【0092】
本発明は、以下の添付図面に照らしてよりよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0093】
図1】従来技術による第1の水浄化用システムの図である。
図2】従来技術による第2の水浄化用システムの図である。
図3】従来技術による第3の水浄化用システムの図である。
図4】本発明の第1の実施形態による水浄化用システムの図である。
図5】本発明の第2の実施形態による水浄化用システムの図である。
図6】除染用加熱構成要素をさらに装備する、図5による水浄化システムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0094】
図面では、同じ参照記号が同一構成要素を表す。
【0095】
図1図2、および図3については、すでに解説された。
【0096】
図4は、本発明の第1の実施形態による水浄化用システム18を示す。システム18は、水EVを、典型的には水道水EVを使用して、たとえば逆浸透および電気脱イオン化により処理水生産用システム10に結合される。
【0097】
システム18は、浄水を貯蔵するためのタンク17を備える。システム18はまた、二次流動用に閉ループ107上にすべて配置された、弁102に結合されたポンプ101を備えるポンプ手段と、膜3を備える精密濾過フィルタ103と、UV滅菌ゾーン106とを備える。フィルタ103は、ループ上の分水路上にあり、利用者により浄水を抜き取るための利用地点Uに供給する。
【0098】
処理水生産システム10の処理水は、UV滅菌ゾーン内に配置された供給地点Aで、ライン11により流動ループ107の中に入る。
【0099】
パイプ14により、水が抽出地点Pでループ107から抽出されることが可能になる。この水は、利用地点Uで使用されず、かつタンク17内の貯蔵場所の中に置かれた、システム18により生産された過剰な浄水に相当する。パイプ14により、水が浄水生産システム18の補充供給のために同じ地点Pで戻されることがさらに可能になる。示されていないが、タンク17はまた、ループポンプ101が停止させられたときに、システム10から生じる処理水により供給されてもよい。
【0100】
ループ107内を浄水が流れる方向に関して地点Pの下流に位置するUV滅菌ゾーン106のセクタが、セクタ106Aである。
【0101】
ループ107内を浄水が流れる方向に、地点Pの上流に位置するUV滅菌ゾーン106のセクタが、このゾーン106のセクタ106Cである。
【0102】
したがって、ゾーン106は、セクタ106A、セクタ106Cにより、および地点Pと地点Aの間に位置する中間補充セクタ106Bにより構成される。ゾーン106はループ107に接続され、接続地点Rを介してループ107の上流の部分を、および下流の接続地点Rを介してループ107の下流の部分を形成する。
【0103】
利用地点Uで水が抜き取られないとき、ループ107の浄水の全体がゾーン106の中に流れ、高いレベルの水の滅菌を維持する。この時間の間、システム10により生産された水は、地点Aでループ107から得られる水と混合される。ループ107から得られる水は、セクタ106B(水が地点Pでの補充水である場合)、またはセクタ106Bおよび106C(水がループ戻りから得られる水である場合)さえも通過することによりすでに滅菌されている。地点Aでの混合水は、UV滅菌セクタ106Aにより滅菌される。したがって、システム10により生産され、地点Uで抜き取られない過剰な水は、地点Pでループ107内を流れる水から抽出され、セクタ106Cを通過した後にタンク17内の貯蔵場所の中に置かれる。
【0104】
抜き取る間、地点Uで抜き取られる水の流量が、システム10により生産される水の流量より小さい場合、ループ107からの水が、UVランプにより構成される滅菌ゾーン106のセクタ106Cおよび106Bを通って流れ、その後、システム10により生産された水と地点Aで混合される。生産された過剰な水は、滅菌セクタ106C内を通過した後、タンク17の中に貯蔵される。地点Uで抽出される水の流量が、システム10により生産され、次いで、セクタ106Aで滅菌される水の流量より大きい場合、タンク17から得られる補充水がパイプ14を介してループ107に供給される。補充水が流れるループ107の第1の部分がセクタ106Bであり、これにより、有利には、タンク17内に存在する微生物によるループ107の逆汚染のリスクを回避することが可能になる。
【0105】
図4に表されるデバイスでは、UVランプ15はタンク17内部に存在する。このランプ15は、定期的に、断続的に(たとえば1日あたり5分間4回)スイッチが入れられることによって、タンク17内部の細菌増殖のリスクを低減することが可能になる。ループ107内を流れるどんな残留ガスもパイプ14を介して大気に戻すことにより、自動パージングが実施されることが可能になるのもまた、タンク17が存在するためである。
【0106】
図5は、本発明の第2の実施形態による水浄化用システム19を表す。図4に表されるシステム18に対して、このシステム19は、詳細には、濾過に関して、および過剰な処理水の再処理のために処理水生産システム10を使用することにより、過剰な処理水を貯蔵場所に置く処理に関して、一変形形態を提示する。
【0107】
したがって、システム19は、供給地点Aに処理水を供給する処理水生産用システム10に結合される。システム19は流動ループ109を備え、固定部分19Aから、および着脱可能部分19Bから形成される。
【0108】
ループ109は、滅菌ゾーン106と、ポンプ101と、分水路内に位置する場所にあるフィルタ103と、利用地点Uと、弁102とを備える。
【0109】
システム19は、膜121を備える限外濾過フィルタ111であり、かつポンプ101の下流かつフィルタ103の上流に位置する追加の濾過構成要素だけでなく、迂回パイプ110またはパージングパイプもさらに備える。パイプ110は、フィルタ111の膜121の上流側を、弁102の下流かつ滅菌ゾーン106の上流に位置する地点RPに連結する。このライン110により、詳細には、ポンプ101をフィルタ111に連結するパイプ113内の抽出された水の一部の流動により、膜121の場所に存在するどんな残留ガスも水で洗い流されることが可能になる。この迂回ライン110は、詳細には、膜121の上流で捕獲されたどんな残留ガスも自動的に排出するための手段(図示されず)を備える。この手段は、ほとんどの場合、パージングを容易にするために、さまざまな構成要素、1つまたは複数のフィルタ、およびパイプを空間内で位置決めするステップから本質的になる。タンク112内で大気に接続することにより、この自動パージングが完了する。
【0110】
さらに、使い捨て部分19Bとして、3つの流水接続地点Ac、Bc、およびCcが存在する。限外濾過フィルタ111の入口が、接続部Ccに接続され、限外濾過フィルタ111のパージング出口が接続部Bcに接続され、弁102に向けて導く最終フィルタ103用のループ戻り/パージが接続部Acに接続される。その結果、システム19を待機状態に置いた後、濾過構成要素103および111、ならびに濾過構成要素103および111に結合される管を備える消耗できる部分19Bを固定部分19Aから非常に容易に分離し、滅菌された、または除染された新しい部分19Bを地点Ac、Bc、およびCcに取り付けることが可能である。したがって、フィルタ、およびフィルタに結合された管は、推奨される使用時間に従って、または生産される浄水の品質の悪化を示す水の分析結果にさらに従って、定期的に交換される。
【0111】
ループ109内の過剰な浄水は、ゾーン106内に位置する抽出地点Pで抽出され、次いで、この水を貯蔵場所の中に置く前に、浄水の需要のピークを吸収するために、閉じられたタンク16までパイプ14を介して進む。このタンク16は、パイプ14の一部から、前記一部の容積が十分である場合、かなり簡単に形成される場合がある。
【0112】
このタンク16から得られる過剰な処理水は、システム10に属する開放タンク112内の処理水生産システム10の上流に再循環させられる。ループ109のフィルタのパージングから得られるガスは、タンク112内の大気に排出される。このタンク112により、パイプ14内を流れる水の自動パージングが実施されることが可能になる。
【0113】
図5に表されるシステム19の場合、浄化システムの利用地点Uで抜き取る流量は、タンク16の容積から得られる補充により補完される処理水の生産用システム10の流量に制限される。
【0114】
図6は、図5の一変形形態であり、かつ熱水を使って本発明による浄水流ループ109’の除染用サイクルをプログラムすることが可能な、システムの一変形形態19’の図である。UV滅菌ゾーン106を取り囲む加熱スリーブ108、および/またはループ109’上に配置された加熱素子114により、ループ109’内を流れる水が加熱されることが可能になる。
【0115】
(実施例)
以下の表1、表2、および表3では、図5に表されるようなシステム19で処理水を浄化することにより、逆浸透(RO)および電気脱イオン化(EDI)による水処理用システムから得られる処理水を使用して、汚染に関する値が得られた。フィルタ111は、カットオフしきい値が13,000Daである単一の限外濾過膜を備え、フィルタ103は、膜が孔径0.22μmを有するアブソリュートフィルタである。
【0116】
UV水銀灯の出力は17Wである。
【0117】
動作流量は以下のとおりである:
・ポンプ101およびパイプ113:1.8L/分(一定)
・パージングパイプ110:0.2L/分(一定)
・利用地点Uからの抜き取り:0.5L/分(平均)、1.1L/分(最大値)
・供給地点Aに入る処理水の生産量:0.6L/分(一定)
【0118】
測定は135日の期間にわたり行われた。
【0119】
得られた値(平均)が以下の表1に示される。
【0120】
【表1】
【0121】
細菌の実績が以下の表2に示される。
【0122】
【表2】
【0123】
毎日の測定値が以下の表3に要約されている。
【0124】
水のサンプルは、サンプリング弁および膜濾過方法(0.45μmの孔サイズの膜を備えるMillipore社のMilliflex)を使用して最終フィルタの出口から得られた。
【0125】
濾過後、膜は、35℃で5日間増殖培地プレート(R2AおよびTSA)上で培養された。
【0126】
培養時間後、膜上のCFUがカウントされ、表3に示される。
【0127】
【表3】
【0128】
したがって、使用するのが簡単であり、かつ経時的に安定した方法で超純水が生産されることが可能な本発明によるシステムの有効性が理解されることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6