特許第5782571号(P5782571)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー・ハウシス・リミテッドの特許一覧

特許5782571断熱性能が向上した環境低負荷フェノールフォーム樹脂組成物およびこれを用いたフェノールフォーム
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5782571
(24)【登録日】2015年7月24日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】断熱性能が向上した環境低負荷フェノールフォーム樹脂組成物およびこれを用いたフェノールフォーム
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/14 20060101AFI20150907BHJP
   C08L 61/06 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
   C08J9/14CFB
   C08L61/06
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-544683(P2014-544683)
(86)(22)【出願日】2012年12月6日
(65)【公表番号】特表2015-500356(P2015-500356A)
(43)【公表日】2015年1月5日
(86)【国際出願番号】KR2012010527
(87)【国際公開番号】WO2013085300
(87)【国際公開日】20130613
【審査請求日】2014年6月3日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0130524
(32)【優先日】2011年12月7日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509286787
【氏名又は名称】エルジー・ハウシス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LG HAUSYS,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】キム・ジムン
(72)【発明者】
【氏名】イ・ウンキ
(72)【発明者】
【氏名】イ・ミンヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム・ミョンヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム・ジョンクン
【審査官】 芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−196838(JP,A)
【文献】 特開2008−024868(JP,A)
【文献】 特開2010−285496(JP,A)
【文献】 特開2002−037910(JP,A)
【文献】 特開2002−338784(JP,A)
【文献】 特開2003−213031(JP,A)
【文献】 特開2003−183439(JP,A)
【文献】 特開2000−080279(JP,A)
【文献】 特表平10−506956(JP,A)
【文献】 特開昭57−205428(JP,A)
【文献】 特公昭45−015874(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00−42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール樹脂、炭化水素系発泡剤、ヘキサメチルジシラザンおよびジメトキシジメチルシランのうち1種以上を含むシラン系化合物である核剤および添加剤を含み、
独立気泡セルの大きさが20μm〜200μmである発泡体を形成するフェノールフォーム樹脂組成物。
【請求項2】
前記核剤は、
前記組成物100重量部を基準に1重量部〜5重量部含まれることを特徴とする請求項1に記載のフェノールフォーム樹脂組成物。
【請求項3】
前記発泡剤は、
イソペンタン(Isopentane)、イソブタン(isobutane)およびシクロペンタン(Cyclopentane)系列の発泡剤からなる群から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載のフェノールフォーム樹脂組成物。
【請求項4】
前記組成物は、
界面活性剤、硬化剤、可塑剤および中和剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のフェノールフォーム樹脂組成物。
【請求項5】
前記界面活性剤は、
ポリシロキサン系界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、および非イオン性界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項に記載のフェノールフォーム樹脂組成物。
【請求項6】
前記硬化剤は、
硫酸、リン酸、ベンゼンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフトールスルホン酸およびフェノールスルホン酸からなる群から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項に記載のフェノールフォーム樹脂組成物。
【請求項7】
前記可塑剤は、
リン酸トリフェニル、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、ポリエチレングリコール、ポリオールからなる群から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項に記載のフェノールフォーム樹脂組成物。
【請求項8】
前記中和剤は、
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウムおよび炭酸亜鉛からなる群から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項に記載のフェノールフォーム樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1〜に記載のフェノールフォーム樹脂組成物が、発泡、硬化されて形成され、独立気泡セルの大きさが20μm〜200μmであることを特徴とするフェノールフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェノールフォーム樹脂組成物およびこれを用いたフェノールフォームに関するものであり、より詳しくは、フェノール樹脂に核剤を添加して断熱性が向上した環境低負荷フェノールフォーム樹脂組成物およびこれを用いたフェノールフォーム断熱材を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡タイプの断熱材であって、ポリイソシアヌレートフォーム及びポリウレタンフォーム等は、ポリオール、イソシアネート、触媒および発泡剤等を混合して反応させることにより製造でき、前記反応中に生じる発泡気体によって多孔性フォームが形成される。
【0003】
特許文献1には、このようなウレタンフォーム発泡体を用いた複合断熱材に関する技術が開示されている。前記発泡気体は、ポリイソシアヌレートフォームのセル構造内に含まれており、時間が経つほど外部に拡散され、セルの内部が空気に置換される。空気は一般的に発泡気体より熱伝導度が高いため、フォームの熱伝導度は時間が経つほど段々増加して断熱性能が低下する。
【0004】
また、現在のほとんどの発泡断熱材では、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)系列の発泡剤を多く使用している。よって、オゾン層破壊の問題を有しており、時間が経つにつれ断熱性能が下落する既存の断熱材を代替するために環境低負荷発泡ガスで製造したフェノールフォーム断熱材の開発が必要な実情にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10―1985―0000145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、環境低負荷的でありながら既存のフェノールフォームに比べて断熱性能が向上したフェノールフォーム樹脂組成物およびこれを用いたフェノールフォームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための本発明にかかるフェノールフォーム樹脂組成物は、フェノール樹脂、炭化水素系発泡剤、核剤および添加剤を含み、独立気泡セルの大きさが20μm以上200μm以下である発泡体を形成できることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかるフェノールフォームは、核剤が含まれた樹脂組成物で製造されることにより、既存のフェノールフォーム樹脂組成物を用いて形成されたフェノールフォームに比べて優れた断熱性能を有するという長所がある。
【0009】
また、本発明にかかるフェノールフォーム樹脂組成物は、炭化水素系発泡剤を使用して地球温暖化に対する危険要素がなく、これを通じて製造されるフェノールフォームは、長期的に高い断熱性能を有するという長所がある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、詳しく後述してある実施例を参照すると明確になると考える。しかし、本発明は以下で開示する実施例に限定されるのではなく、相違する多様な形態で具現でき、単に本実施例は本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明は請求項の範疇によって定義されるだけである。
【0011】
以下、本発明の好ましい実施例にかかるフェノールフォーム樹脂組成物およびこれを用いたフェノールフォームについて詳しく説明する。
【0012】
本発明にかかるフェノールフォーム樹脂組成物は、フェノール樹脂、炭化水素系発泡剤、核剤および添加剤を含み、独立気泡セルの大きさが20μm以上200μm以下である発泡体を形成できるフェノール樹脂組成物であることを特徴とする。
【0013】
前記フェノールフォーム樹脂組成物は、発泡性フェノール樹脂を主成分とし、前記フェノール樹脂は、レゾール型、ノボラック型のいずれのタイプを使用しても構わない。
【0014】
前記フェノール樹脂としては、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土金属水酸化物によって合成されたレゾール型フェノール樹脂を挙げることができる。レゾール型フェノール樹脂以外に、酸触媒によって合成されたノボラック型フェノール樹脂、アンモニアによって合成されたアンモニアレゾール型フェノール樹脂、またはナフテン酸鉛等によって合成されたベンジルエーテル型フェノール樹脂等を挙げることができる。また、フェノール樹脂は相違するタイプの混合物でもよい。
【0015】
一例として、前記レゾール型フェノール樹脂は、フェノールとホルマリンを原料としてアルカリ触媒によって40℃ないし100℃の温度範囲で加熱して重合させることにより得られる。また、必要に応じて、レゾール樹脂重合時にウレア等の添加剤を添加してもよい。ウレアを添加する場合は、予めアルカリ触媒でメチロール化したウレアをレゾール樹脂に混合することがより好ましい。合成後のレゾール樹脂は、通常、過剰の水を含有しているため、発泡時に、発泡に適した水分量まで調整される。
【0016】
また、フェノール樹脂に、脂肪族炭化水素または高沸点の脂環式炭化水素、或いはそれらの混合物やエチレングリコール、ジエチレングリコール等の粘度調整用の希釈剤、その他、必要に応じて添加剤を添加することもできる。
【0017】
本発明にかかるフェノールフォーム樹脂組成物は、核剤を含む。核剤が含まれたフェノールフォーム樹脂組成物から形成された発泡体は、独立気泡セル(cell)の数字が飛躍的に増加し、前記セルの大きさが小さく均一になって断熱効果が向上する。
【0018】
具体的に、フェノールフォーム樹脂組成物に核剤を添加すると、極性を有するフェノール樹脂と非極性を有する核剤がよく混ざり合わないため初期反応時には数多くの核を形成することになる。よって、前記核剤の添加によって多くの独立気泡セルが生成される。このとき、反応物は核剤の不溶解性によってエマルジョン状態を維持して前記独立気泡の表面張力を減少させ、前記独立気泡が成長時に相互結合することを抑制する。よって、核剤を含むフェノールフォーム内には、小さい独立気泡セルが均一に存在するようになる。
【0019】
本発明にかかるフェノールフォームは、核剤が含まれたフェノールフォーム樹脂組成物を用いて製造される。よって、本発明のフェノールフォームは、小さく均一な独立気泡セルが多数存在するようになり、これにより既存のフェノールフォームに比べて優れた断熱性能を有する。
【0020】
本発明で使用される核剤は、その種類が特に制限されるものではなく、シラン系核剤、シロキサン系核剤、又はパーフルオロアルカン系核剤等を使用できる。より好ましくは、表面張力が低く、フェノール樹脂と相溶性に優れたシラン系化合物およびシロキサン系化合物が使用でき、これらを1種以上混合して使用することができる。前記シラン系化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、及びジメトキシジメチルシランのような化合物が使用でき、前記シロキサン系化合物としては、ヘキサメチルジシロキサンを使用することが好ましい。
【0021】
本発明にかかるフェノールフォーム樹脂組成物において前記核剤は、前記組成物100重量部を基準に1重量部ないし5重量部含まれることが好ましい。前記核剤が1重量部未満で含まれると核剤の使用による効果が微々たるものになり、5重量部を超えて含まれるとフェノールフォームの発泡密度を減少させるという問題点がある。
【0022】
本発明にかかるフェノールフォーム樹脂組成物は、独立気泡セルの大きさが20μm以上200μm以下である発泡体を形成できることを特徴とする。前記独立気泡セルの大きさとは、セルの直径を意味する。本発明にかかるフェノールフォーム樹脂組成物は、前述の通り、核剤を含んでいるため、これにより製造される発泡体は、独立気泡セルの大きさが20μm以上200μm以下であることを特徴とする。前記独立気泡セルの大きさが200μmを超えると、発泡体の断熱性能と長期耐久性が低下するという問題点がある。また、独立気泡セルの大きさを小さく形成しようとすると製造単価が飛躍的に上昇するという問題点があるため、本発明では製造単価および製品の品質を考慮して発泡体の独立気泡セルの大きさを20μm超過に限定する。
【0023】
また、本発明にかかるフェノールフォーム樹脂組成物は、炭化水素系発泡剤を含む。前記発泡剤は、フォーム(foam)構造を形成する機能をする。
【0024】
本発明において、発泡剤は炭素数が1ないし8である脂肪族炭化水素系発泡剤を使用する。以前はフレオンガスまたはHCFC(hydro―chloro―fluoro―carbon)を発泡剤として使用していたためオゾン層破壊による地球温暖化の問題があった。しかし、本発明では炭化水素を発泡剤として用いることにより、従来に比べて環境を脅かす危険性に対する負担を解消することができる。
【0025】
本発明で発泡剤として使用できる炭化水素の種類としては、シクロペンタン、イソペンタン、イソブタン等があり、発泡剤の熱伝導率と沸点を考慮して選定することが好ましい。
【0026】
前記発泡剤は、イソペンタン(Isopentane)、イソブタン(isobutane)およびシクロペンタン(Cyclopentane)の一つ以上からなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
【0027】
前記炭化水素を発泡剤として使用することにより、本発明にかかるフェノールフォームの初期熱伝導度率と長期耐久性が目的とする物性を有するようになり、環境汚染に対する負担も解消できる。
【0028】
前記発泡剤は、フェノールフォーム樹脂組成物全体重量の3重量%ないし15重量%で含まれることが好ましい。発泡剤の含量が3重量%未満だと十分に発泡が起きないため、発泡体の固体面を通じた熱伝達が行われ効率の低下が生じることになる。逆に、発泡剤の含量が15重量%を超えると、過量の発泡剤が硬化膨張過程で気泡壁を壊してもれてしまう現象が発生するため独立気泡率と熱伝導率が悪化する。
【0029】
本発明にかかるフェノールフォーム樹脂組成物は、添加剤として、界面活性剤、硬化剤、可塑剤および中和剤をさらに含むことができる。
【0030】
本発明において、前記界面活性剤は、微細に分散された発泡剤等の疎水性物質と樹脂等の親水性物質の界面安定の役割をするだけでなく、発泡が行われる際、気泡面が安定して形成され破けなくなる。具体的な例として、ポリシロキサン系、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ヒマシ油のエチレンオキシド付加物等の非イオン性界面活性剤等を用いることができる。
【0031】
界面活性剤は、フェノールフォーム樹脂組成物全体重量の0.5重量%ないし10重量%で含まれることが好ましい。界面活性剤の含量が0.5重量%未満だと原材料間の相溶性が低下して気泡が大きく独立気泡率が低いフェノールフォームが形成され、5重量%を超えるとフェノールフォームの硬度が低くなり完成品の取扱性が良くなくなる。
【0032】
本発明において、前記硬化剤は、フェノール樹脂を100℃以下の温度で硬化させる役割をする。具体的な例として、硫酸、リン酸等の無機酸、ベンゼンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフトールスルホン酸、フェノールスルホン酸等の有機酸が用いられる。これらのうち、ベンゼンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフトールスルホン酸およびフェノールスルホン酸が好ましい。これら硬化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
硬化剤は、フェノールフォーム樹脂組成物全体重量の5重量%ないし20重量%で含まれることが好ましい。硬化剤の含量が5重量%未満だと硬化よりも発泡が先に行われるため発泡ガスが抜けて気泡がうまく形成されなくなり、20重量%を超えると硬化が速く進み発泡が十分に行われなくなるだけでなく、pHが過度に低くなる。
【0034】
本発明において、前記可塑剤は気泡壁面に柔軟性を与えるため、壁面が割れたり劣化して気泡内の発泡ガスが抜け空気と置換されることを防ぎ長期耐久性を高める役割をする。具体的な例として、リン酸トリフェニル、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、ポリエチレングリコール、ポリオール等を用いることができる。
【0035】
可塑剤は、フェノールフォーム樹脂組成物全体重量の1重量%ないし15重量%で含まれることが好ましい。添加剤の含量が1重量%未満だと長期耐久性に影響を与えられなく、15重量%を超えるとフェノールフォームの性能を低下させる。
【0036】
本発明において、前記中和剤は、フェノールフォーム樹脂組成物のpHを3ないし9程度に高める役割をする。
【0037】
一般的に、フェノールフォームの製造時には酸性硬化剤を使用するため製品が酸性を帯び、完成した板材と金属接着面で腐食が発生する等、信頼度の問題があった。
【0038】
よって、本発明では中和剤を用いてフェノール樹脂硬化発泡体が中性を帯びるようにする。本発明における中和剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の金属の水酸化物や酸化物、亜鉛等の金属粉末、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛等の金属の炭酸塩を含有させることができる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。中和剤は、フェノールフォーム樹脂組成物全体重量の0.5重量%ないし50重量%で含まれることが好ましい。
【0039】
中和剤の含量が0.5重量%未満だとフェノールフォームが酸性を帯び、50重量%を超えると物性変化の問題が生じる。
【0040】
前記のようなフェノール樹脂組成物を、発泡、硬化させて本発明にかかるフェノールフォームを得ることができる。
【0041】
フェノール樹脂フォームの発泡および硬化は、常温または加熱して行うことができ、一定速度で走行する表面材上に発泡性フェノール樹脂組成物を吐出させた後、硬化路内のコンベア間に板形状に成形する方法を採ることができる。
【実施例】
【0042】
本発明にかかるフェノールフォーム樹脂組成物およびこれを用いたフェノールフォームの具体的な実施例は次の通りである。
【0043】
[フェノールフォームの製造]
(実施例1)
フェノール樹脂200gと添加剤としてポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(界面活性剤)、エチルベンゼンスルホン酸(硬化剤)、リン酸トリフェニル(可塑剤)およびイソペンタン(発泡剤)で構成される添加剤40gおよび全体樹脂組成物100重量部を基準に液状シラン系化合物であるヘキサメチルジシラザン(核剤)1重量部を含むフェノールフォーム樹脂組成物を準備した。
【0044】
前記フェノールフォーム樹脂組成物を、発泡、硬化させて実施例1にかかるフェノールフォームを得た。実施例1にかかるフェノールフォームの断面を観察して独立気泡セルの大きさ(直径)を測定したところ、前記独立気泡セルの大きさが全て20μmないし200μmの範囲を満たした。
【0045】
(実施例2)
前記実施例1と同一条件でフェノールフォームを製造するが、核剤としてジメトキシジメチルシランを全体樹脂組成物100重量部を基準に2重量部含むようにした。実施例2にかかるフェノールフォームの断面を観察して独立気泡セルの大きさ(直径)を測定したところ、前記独立気泡セルの大きさが全て20μmないし200μmの範囲を満たした。
【0046】
(実施例3)
前記実施例1と同一条件でフェノールフォームを製造するが、核剤としてヘキサメチルジシラザン及びヘキサメチルジシロキサンの混合物を全体樹脂組成物100重量部を基準に3重量部含むようにした。実施例3にかかるフェノールフォームの断面を観察して独立気泡セルの大きさ(直径)を測定したところ、前記独立気泡セルの大きさが全て20μmないし200μmの範囲を満たした。
【0047】
(実施例4)
前記実施例1と同一条件でフェノールフォームを製造するが、核剤としてジメトキシジメチルシランの代わりにヘキサメチルジシラザンを使用した。実施例4にかかるフェノールフォームの断面を観察して独立気泡セルの大きさ(直径)を測定したところ、前記独立気泡セルの大きさが全て20μmないし200μmの範囲を満たした。
【0048】
(実施例5)
前記実施例1と同一条件でフェノールフォームを製造するが、核剤としてジメトキシジメチルシランの代わりにヘキサメチルジシロキサンを使用した。実施例5にかかるフェノールフォームの断面を観察して独立気泡セルの大きさ(直径)を測定したところ、前記独立気泡セルの大きさが全て20μmないし200μmの範囲を満たした。
【0049】
(比較例1)
前記実施例1と同一条件でフェノールフォームを製造するが、前記ヘキサメチルジシラザン(核剤)を含まなかった。比較例1にかかるフェノールフォームの断面を観察して独立気泡セルの大きさ(直径)を測定したところ、前記独立気泡セルの大きさは全て200μmを超えた。
【0050】
[性能試験および評価]
前記の実施例1ないし5及び比較例1に従って製造したフェノールフォームのサンプルを85℃の恒温チャンバにそれぞれ入れ、3ヶ月間維持しながら、全体加熱を行わなかったものと熱伝導率を比較しながら実施した。このとき、熱伝導率の測定にはHC―074―200(EKO社製造)熱伝導測定機を使用した。次に、加速ファクターを適用して0年ないし10年までの断熱性を予測し、結果は熱伝導率(W/mK)で換算して下記表1のように表した。
【0051】
【表1】
【0052】
実施例1ないし5の場合、初期熱伝導率が比較例より低いだけでなく、時間による増加量も比較例より低く表れることが分かる。
【0053】
よって、本発明にかかるフェノール樹脂組成物を用いたフェノールフォームは、既存のフェノールフォームに比べて初期断熱性能と長期耐久性能が共に優れることが分かる。これにより、本発明にかかるフェノールフォームは、エネルギー負荷節減率が高いため高効率建築物仕上げ材として用いることができる。
【0054】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、相違する多様な形態に製造でき、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は本発明の技術的思想や必須的特徴を変更せずに他の具体的な形態で実施できるということを理解できると考える。そのため、以上に記述した実施例は、全ての面において例示的なものであり、限定的なものではないことを理解しなければならない。