(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5782674
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】ジアミンおよびポリアミドの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 209/86 20060101AFI20150907BHJP
C07C 209/84 20060101ALI20150907BHJP
C07C 211/09 20060101ALI20150907BHJP
C07C 211/12 20060101ALI20150907BHJP
C08G 69/26 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
C07C209/86
C07C209/84
C07C211/09
C07C211/12
C08G69/26
【請求項の数】11
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2009-511696(P2009-511696)
(86)(22)【出願日】2009年3月11日
(86)【国際出願番号】JP2009054618
(87)【国際公開番号】WO2009113565
(87)【国際公開日】20090917
【審査請求日】2012年2月29日
(31)【優先権主張番号】特願2008-62497(P2008-62497)
(32)【優先日】2008年3月12日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2008-321271(P2008-321271)
(32)【優先日】2008年12月17日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正照
(72)【発明者】
【氏名】中川 いずみ
(72)【発明者】
【氏名】加藤 公哉
(72)【発明者】
【氏名】耳塚 孝
(72)【発明者】
【氏名】澤井 健司
(72)【発明者】
【氏名】峯岸 進一
(72)【発明者】
【氏名】澤井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 勝成
【審査官】
土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−095483(JP,A)
【文献】
特開2000−245493(JP,A)
【文献】
特開平06−343833(JP,A)
【文献】
特開昭63−065906(JP,A)
【文献】
特表2004−511325(JP,A)
【文献】
特開2000−301005(JP,A)
【文献】
特開2004−075932(JP,A)
【文献】
特開2004−222569(JP,A)
【文献】
特開昭62−201606(JP,A)
【文献】
Nicolae Sdrula,Simulation for determination of optimal conditions for salt removal from aqueous amine solution,Desalination,2006年,189(1-3),pp.136-140
【文献】
社団法人 日本化学会編,実験化学講座1 基本操作I,日本,丸善株式会社,1990年11月 5日,第4版,161−163頁、189−198頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 209/86
C07C 209/84
C07C 211/09
C07C 211/12
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式(1)で表されるジアミン
の塩を含んだ水溶液か
らジアミンを精製する工程を含むジアミンの製造方法であって、該水溶液にアルカリ性物質を添加した後、該水溶液をナノ濾過膜に通じて濾過することで塩を除去してジアミン水溶液を得る工程を含み
、ジアミン塩とアルカリ性物質が以下の(a)または(b)の組み合わせである、ジアミンの製造方法。
(a)
化学式(1)で表されるジアミンの硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、ジカルボン酸塩またはトリカルボン酸塩とアルカリ性物質の組み合わせ
(b)
化学式(1)で表されるジアミン
の塩と水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムまたは水酸化アルミニウムの組み合わせ
【化1】
(式中、nは1から10の整数を表す。)
【請求項2】
前記(b)の化学式(1)で表されるジアミンの塩がジアミン無機酸塩またはジアミンジカルボン酸塩である、請求項1に記載のジアミンの製造方法。
【請求項3】
前記(a)のアルカリ性物質が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムまたはアンモニアである、請求項1に記載のジアミンの製造方法。
【請求項4】
前記ナノ濾過膜の機能層がポリアミドを含む、請求項1から3のいずれかに記載のジアミンの製造方法。
【請求項5】
前記ポリアミドが架橋ピペラジンポリアミドを主成分とし、かつ、化学式(2)で示される構成成分を含有することを特徴とする請求項
4に記載のジアミンの製造方法。
【化2】
(式中、Rは−Hまたは−CH
3、nは0から3までの整数を表す。)
【請求項6】
前記工程におけるアルカリ性物質を添加した後の水溶液のpHが9以上12以下である、請求項1から5のいずれかに記載のジアミンの製造方法。
【請求項7】
前記工程における水溶液の濾過圧が0.1MPa以上8MPa以下である、請求項1から6のいずれかに記載のジアミンの製造方法。
【請求項8】
前記工程により得られたジアミン水溶液を、さらに、1Pa以上大気圧以下の圧力下において、25℃以上200℃以下で蒸留する工程に供する、請求項1から7のいずれかに記載のジアミンの製造方法。
【請求項9】
前記工程により得られたジアミン水溶液を、さらに、逆浸透膜で濾過してジアミン濃度を高める工程に供する、請求項1から8のいずれかに記載のジアミンの製造方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載のジアミンの製造方法によって得られたジアミンをジカルボン酸と重縮合させる工程を含む、ポリアミドの製造方法。
【請求項11】
前記ジカルボン酸がアジピン酸である、請求項10に記載のポリアミドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジアミンの塩を含んだ水溶液からジアミンを精製する工程を含む、ジアミンの製造方法、さらには該ジアミンの製造方法によって得られたジアミンを原料とするポリアミドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナイロンに代表されるように、ジアミンはポリアミド原料として多くの分野で用いられている。ポリアミドは例えばジアミンとジカルボン酸のモル比1:1のジアミンジカルボン酸塩の加熱重縮合反応によって得られるが、原料のジアミンによっては、揮発性が高く、重合反応中にジカルボン酸とのモルバランスが崩れるため、ジアミンをジカルボン酸に対して過剰に添加する必要があった(例えば、特許文献1)。そこで添加されるジアミンは、ポリアミド樹脂の物性を損なわない高純度品である必要があるため、ジアミン塩を含んだ水溶液からジアミンを簡便に精製し、高純度品を得る技術が求められていた。
【0003】
従来、ジアミン塩(例えば、ジアミン硫酸塩)からジアミンを精製する場合、アルカリ性物質(例えば、水酸化ナトリウム)をジアミン塩に添加してpHを高めてジアミンを遊離させてフリージアミンとし、アルカリ性物質添加により形成される塩(例えば、硫酸ナトリウム)を抽出などの操作によりフリージアミンと分離し、さらに蒸留により精製する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、抽出操作によりジアミンと塩を分離する場合、多量の有機溶媒(例えば、アニリン、クロロホルムなど)を必要とし、分配係数の小さいジアミンである場合、有機溶媒層におけるジアミン回収率が低く、有機溶媒により繰り返し抽出操作を行う必要があるという問題があった。さらに、抽出操作後は、有機溶媒および有機溶媒を含んだ水溶液が多量の廃液として排出されることにより、廃液処理コストの増加および、環境負荷の増大という問題点もあった。
【特許文献1】特開2004−75932号公報
【特許文献2】特開2004−114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述したような課題、すなわち、ジアミン塩からジアミンを精製する場合において、抽出操作を行わずに塩を効果的に除去するという課題を解決し、効率よくポリアミド原料に適したジアミンを精製する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、ジアミン塩を含んだ水溶液を、ナノ濾過膜を用いて濾過することにより、水溶液中の塩を高効率で除去することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、次の[1]〜[12]から構成される。
【0007】
[1]
脂肪族ジアミン塩
(ただし、リジン塩を除く。)を含んだ水溶液から
脂肪族ジアミンを精製する工程を含むジアミンの製造方法であって、該水溶液にアルカリ性物質を添加した後、該水溶液をナノ濾過膜に通じて濾過すること
で塩を除去してジアミン水溶液を得る工程を含
み、
脂肪族ジアミン塩とアルカリ性物質が以下の(a)または(b)の組み合わせである、ジアミンの製造方法。
(a)脂肪族ジアミンの硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、ジカルボン酸塩またはトリカルボン酸塩とアルカリ性物質の組み合わせ
(b)脂肪族ジアミン塩と水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムまたは水酸化アルミニウムの組み合わせ
【0008】
[2]前記ジアミン塩が化学式(1)で表されるジアミンの塩である、[1]に記載のジアミンの製造方法。
【0009】
【化1】
【0010】
(式中、nは1から10の整数を表す。)。
【0011】
[3]前記
(b)の脂肪族ジアミン塩が
脂肪族ジアミン無機酸塩または
脂肪族ジアミンジカルボン酸塩である、[1]または[2]に記載のジアミンの製造方法。
【0012】
[4]前記
(a)のアルカリ性物質が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムまたはアンモニアである、[1]
または[2]に記載のジアミンの製造方法。
【0013】
[5]前記ナノ濾過膜の機能層がポリアミド含む、[1]から[4]のいずれかに記載のジアミンの製造方法。
【0014】
[6]前記ポリアミドが架橋ピペラジンポリアミドを主成分とし、かつ、化学式(2)で示される構成成分を含有することを特徴とする[5]に記載のジアミンの製造方法。
【0015】
【化2】
【0016】
(式中、Rは−Hまたは−CH
3、nは0から3までの整数を表す。)。
【0017】
[7]前記工程におけるアルカリ性物質を添加した後の水溶液のpHが9以上12以下である、[1]から[6]のいずれかに記載のジアミンの製造方法。
【0018】
[8]前記工程における水溶液の濾過圧が0.1MPa以上8MPa以下である、[1]から[7]のいずれかに記載のジアミンの製造方法。
【0019】
[9]前記工程により得られたジアミン水溶液を、さらに、1Pa以上大気圧以下の圧力下において、25℃以上200℃以下で蒸留する工程に供する、[1]から[8]のいずれかに記載のジアミンの製造方法。
【0020】
[10]前記工程により得られたジアミン水溶液を、さらに、逆浸透膜で濾過してジアミン濃度を高める工程に供する、[1]から[9]のいずれかに記載のジアミンの製造方法。
【0021】
[11][1]から[10]のいずれかに記載のジアミンの製造方法によって得られたジアミンをジカルボン酸と重縮合させる工程を含む、ポリアミドの製造方法。
【0022】
[12]前記ジカルボン酸がアジピン酸である、[11]に記載のポリアミドの製造方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明のジアミンの製造方法では、ジアミン塩水溶液中に含まれる塩を従来の有機溶媒による抽出操作よりも簡単な操作により効果的に除去されるので、ポリアミド原料に適したジアミンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明で用いられるナノ濾過膜分離装置の一つの実施の形態を示す概要図である。
【
図2】本発明で用いられるナノ濾過膜分離装置のナノ濾過膜が装着されたセル断面図の一つの実施の形態を示す概要図である。
【0025】
1 原水槽
2 ナノ濾過膜が装着されたセル
3 高圧ポンプ
4 膜濃縮液の流れ
5 膜透過液の流れ
6 高圧ポンプにより送液された培養液の流れ
7 ナノ濾過膜
8 支持板
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0027】
本発明のジアミンの製造方法は、ジアミン塩を含んだ水溶液に、アルカリ性物質を添加した後、該水溶液をナノ濾過膜に通じて濾過することで塩を除去してジアミン水溶液を得る工程を含むことを特徴としている。
【0028】
本発明のジアミンの製造方法で用いるナノ濾過膜とは、ナノフィルトレーション膜、NF膜とも呼ばれるものであり、数ナノメートル程度の微小空隙を有していると考えられる膜で、主として、水中の微小粒子や分子、イオン、塩類等を阻止するために用いられる。本発明で用いられるナノ濾過膜は、一価のイオンは透過し、二価のイオンを阻止する膜であることが好ましい。
【0029】
ナノ濾過膜の素材には、酢酸セルロース系ポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ビニルポリマーなどの高分子素材を使用することができるが、前記1種類の素材で構成される膜に限定されず、複数の膜素材を含む膜であってもよい。またその膜構造は、膜の少なくとも片面に緻密層を持ち、緻密層から膜内部あるいはもう片方の面に向けて徐々に大きな孔径の微細孔を有する非対称膜や、非対称膜の緻密層の上に別の素材で形成された非常に薄い機能層を有する複合膜のどちらでもよい。複合膜としては、例えば、特開昭62−201606号公報に記載のように、ポリスルホンを膜素材とする支持膜にポリアミドの機能層からなるナノ濾過膜を構成させた複合膜を用いることができる。
【0030】
これらの中でも高耐圧性と高透水性、高溶質除去性能を兼ね備え、優れたポテンシャルを有する、ポリアミドを機能層として含む複合膜が好ましい。さらに操作圧力に対する耐久性と、高い透水性、阻止性能を維持できるためには、ポリアミドを機能層とし、それを多孔質膜や不織布からなる支持体で保持する構造のものが好ましい。また、ポリアミドを機能層とするナノ濾過膜としては、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重縮合反応により得られる架橋ポリアミドの機能層を支持体に有してなる複合ナノ濾過膜が好ましい。
【0031】
ポリアミドを機能層として含むナノ濾過膜において、ポリアミドを構成する単量体の好ましいカルボン酸成分としては、例えば、トリメシン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメリット酸、ピロメット酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ピリジンカルボン酸などの芳香族カルボン酸が挙げられるが、製膜溶媒に対する溶解性を考慮すると、トリメシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、またはこれらの混合物がより好ましい。
【0032】
前記ポリアミドを構成する単量体の好ましいアミン成分としては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ベンジジン、メチレンビスジアニリン、4,4’−ジアミノビフェニルエーテル、ジアニシジン、3,3’,4−トリアミノビフェニルエーテル、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニルエーテル、3,3’−ジオキシベンジジン、1,8−ナフタレンジアミン、m(p)−モノメチルフェニレンジアミン、3,3’−モノメチルアミノ−4,4’−ジアミノビフェニルエーテル、4,N,N’−(4−アミノベンゾイル)−p(m)−フェニレンジアミン−2,2’−ビス(4−アミノフェニルベンゾイミダゾール)、2,2’−ビス(4−アミノフェニルベンゾオキサゾール)、2,2’−ビス(4−アミノフェニルベンゾチアゾール)等の芳香環を有する一級ジアミン、ピペラジン、ピペリジンまたはこれらの誘導体等の二級ジアミンが挙げられ、中でもピペラジンまたはピペリジンを単量体として含む架橋ポリアミドを機能層とするナノ濾過膜は耐圧性、耐久性の他に、耐熱性、耐薬品性を有していることから好ましく用いられる。より好ましくは前記架橋ピペラジンポリアミドまたは架橋ピペリジンポリアミドを主成分とし、かつ、前記化学式(2)で示される構成成分を含有するポリアミドであり、さらに好ましくは架橋ピペラジンポリアミドを主成分とし、かつ、前記化学式(2)で示される構成成分を含有するポリアミドである。また、前記化学式(2)中、n=3のものが好ましく用いられる。架橋ピペラジンポリアミドを主成分とし、かつ前記化学式(2)で示される構成成分を含有するポリアミドを機能層とするナノ濾過膜としては、例えば、特開昭62−201606号公報に記載のものが挙げられ、具体例として、架橋ピペラジンポリアミドを主成分とし、かつ、前記化学式(2)中、n=3のものを構成成分として含有するポリアミドを機能層とする東レ株式会社製の架橋ピペラジンポリアミド系ナノ濾過膜のUTC60が挙げられる。
【0033】
ナノ濾過膜は一般にスパイラル型の膜エレメントとして使用されるが、本発明で用いるナノ濾過膜も、スパイラル型の膜エレメントとして使用されることが好ましく、採用できる。好ましいナノ濾過膜の具体例としては、例えば、東レ株式会社製のUTC60を含む同社製ナノフィルターモジュールSU−210、SU−220、SU−600、SU−610も使用することができる。また、架橋ピペラジンポリアミドを機能層とするフィルムテック社製ナノ濾過膜のNF−45、NF−90、NF−200、NF−400、あるいはポリアミドを機能層とするアルファラバル社製ナノ濾過膜のNF99、NF97、NF99HF、酢酸セルロース系のナノろ過膜であるGE Osmonics社製ナノ濾過膜のGEsepaなどが挙げられる。
【0034】
本発明のジアミンの製造方法における、「ナノ濾過膜に通じる」とは、ジアミン塩を含んだ水溶液にアルカリ性物質を添加した後、該水溶液を、ナノ濾過膜に通じて濾過し、非透過液側に溶解または固体として析出している塩を除去または阻止または濾別し、透過液側にジアミン水溶液を濾液として透過させることを意味する。
【0035】
ジアミン水溶液のナノ濾過膜透過性の評価方法としては、ジアミン透過率を算出して評価する方法が挙げられる。ジアミン透過率は、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーに代表される分析により、原水(ジアミンを含んだ水溶液)中に含まれるジアミン濃度(原水ジアミン濃度)および透過水(ジアミン水溶液)中に含まれるジアミン濃度(透過水ジアミン濃度)を測定することで、式1によって算出することができる。
【0036】
ジアミン透過率(%)=(透過水ジアミン濃度/原水ジアミン濃度)×100・・・(式1)。
【0037】
膜単位面積、単位圧力当たりの透過流量(膜透過流束)の評価方法としては、透過水量および透過水量を採水した時間および膜面積を測定することで、式2によって算出することができる。
【0038】
膜透過流束(m
3/(m
2・日))=透過水量/(膜面積×採水時間)・・・(式2)。
【0039】
本発明のジアミンの製造方法において、ジアミン塩を含んだ水溶液のナノ濾過膜による濾過は、圧力をかけて行ってもよい。その濾過圧は、0.1MPaより低ければ膜透過速度が低下し、8MPaより高ければ膜の損傷に影響を与えるため、0.1MPa以上8MPa以下の範囲で好ましく用いられるが、0.5MPa以上7MPa以下で用いれば、膜透過流束が高いことから、ジアミン水溶液を効率的に透過させることができ、膜の損傷に影響を与える可能性が少ないことからより好ましく、1MPa以上6MPa以下で用いることが特に好ましい。
【0040】
本発明のジアミンの製造方法において、ジアミン塩を含んだ水溶液のナノ濾過膜による濾過は、非透過液を再び原水に戻し、繰り返し濾過することで透過液の回収率を向上させることができる。ジアミンの回収率は、ナノ濾過前のジアミン総量およびナノ濾過膜透過ジアミン総量を測定することで、式3によって算出することができる。
【0041】
ジアミン回収率(%)=(ナノ濾過膜透過ジアミン総量/ナノ濾過前のジアミン総量)×100・・・(式3)。
【0042】
本発明のジアミンの製造方法で用いるナノ濾過膜の膜分離性能としては、温度25℃、pH6.5に調整した塩化ナトリウム水溶液(500mg/L)を0.75MPaの濾過圧で評価したとき塩除去率が45%以上のものが好ましく用いられる。ここでいう塩除去率は前記塩化ナトリウム水溶液の透過水塩濃度を測定することにより、式4によって算出することができる。
【0043】
塩除去率=100×{1−(透過水中の塩濃度/供給水中の塩濃度)}・・・(式4)。
【0044】
また、ナノ濾過膜の透過性能としては、塩化ナトリウム(500mg/L)で0.3MPaの濾過圧において、膜透過流束(m
3/(m
2・日))が0.3以上のものが好ましく用いられる。
【0045】
本発明のジアミンの製造方法においては、ナノ濾過膜に通じるジアミン塩を含んだ水溶液にアルカリ性物質を添加することを特徴とする。その際、ジアミン塩を含んだ水溶液のpHは9以上12以下であることが好ましい。ナノ濾過膜は、溶液中にイオン化していない(非解離)物質の方が、イオン化している(解離)物質に比べて透過しやすい特性から、ジアミン塩を含んだ水溶液のpHを9以上とすることで、ジアミン塩を含んだ水溶液中でイオン化していないジアミンの割合の方がイオン化しているジアミンより多くなり(非解離ジアミン/解離ジアミン>1)、効率的にジアミン水溶液を透過液側から回収することができる。また、ジアミン塩を含んだ水溶液のpHが12を越えると、ナノ濾過膜の耐久性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0046】
本発明のジアミンの製造方法においてナノ濾過膜に供されるジアミン塩としては、ジアミン無機酸塩またはジアミン有機酸塩が挙げられる。ここでいうジアミン無機酸塩としては、ジアミン硫酸塩、ジアミン塩酸塩、ジアミン炭酸塩、ジアミンリン酸塩またはジアミン硝酸塩が挙げられる。またジアミン有機酸塩としては、ジアミンモノカルボン酸塩であるジアミン脂肪族モノカルボン酸塩(具体例として、ジアミンギ酸塩、ジアミン酢酸塩、ジアミンプロピオン酸塩、ジアミン酪酸塩、ジアミン吉草酸塩またはジアミン乳酸塩)またはジアミン芳香族モノカルボン酸塩(具体例として、ジアミン安息香酸塩、ジアミンサリチル酸塩、ジアミン桂皮酸塩またはジアミン没食子酸塩)、ジアミンジカルボン酸塩であるジアミン脂肪族ジカルボン酸塩(具体例として、ジアミンシュウ酸塩、ジアミンマロン酸塩、ジアミンリンゴ酸塩、ジアミンフマル酸塩、ジアミンマレイン酸塩、ジアミングルタル酸塩、ジアミンピメリン酸塩、ジアミンスベリン酸塩、ジアミンアゼライン酸塩、ジアミンセバシン酸塩、ジアミンコハク酸塩またはジアミンアジピン酸塩)またはジアミン芳香族ジカルボン酸塩(具体例として、ジアミンフタル酸塩、ジアミンイソフタル酸塩またはジアミンテレフタル酸塩)、あるいはジアミン脂肪族トリカルボン酸塩(具体例として、ジアミンクエン酸塩またはジアミンアコニット酸塩)が挙げられ、好ましくはジアミンジカルボン酸塩であり、より好ましくはジアミン脂肪族ジカルボン酸である。
【0047】
本発明のジアミンの製造方法において、ジアミン塩を含んだ水溶液に添加するアルカリ性物質としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムまたはアンモニアの固体、水溶液もしくは気体が挙げられるが、中でも水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムまたはアンモニアを添加することが好ましく、ジアミン塩がジアミン硫酸塩である場合、アルカリ性物質として水酸化カルシウムを添加すれば、難溶性の硫酸カルシウムとして沈殿させることができ、定性濾紙などで固体として濾別することができることからより好ましい。添加するアルカリ性物質の濃度は限定されるものではなく、飽和溶解度を越えた、スラリー状のものを添加してもよい。
【0048】
前記ジアミン塩を形成するジアミンとしては特に限定されず、メチレンジアミン、1,2−エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,2−ブタンジアミンなどの、1,2−シクロヘキシルジアミンなどの、直鎖状、分枝状、環状の脂肪族ジアミン、o−フェニレンジアミン(o−フェニルジアミン)、m−フェニレンジアミン(m−フェニルジアミン)、p−フェニレンジアミン(p−フェニルジアミン)、1,8−ナフタレンジアミンなどの芳香族ジアミン、脂肪族と芳香族が結合したジアミンが挙げられ、また、リジンのようにカルボン酸が結合したジアミンであってもよい。好ましいジアミンとしては、前記化学式(1)で示される脂肪族ジアミン(具体例として、メチレンジアミン、1,2−エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミンまたは1,10−デカンジアミン)であり、より好ましくは化学式(1)中、nが1から6のジアミン(具体例として、メチレンジアミン、1,2−エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン)であり、更に好ましくは化学式(1)中、n=5の1,5−ペンタンジアミンである。なお、本発明により精製されるジアミンとしては1種類に限定されず、複数種類のジアミンの混合物であっても好ましく精製することができる。
【0049】
前記ジアミン塩の製造方法については特に限定されず、有機合成法、発酵法、酵素法、休止菌体法などの製造方法の例が挙げられる。また、発酵法または酵素法である場合、ジアミン塩を含む培養液についても本発明のジアミン塩水溶液に含まれる。具体的には、精製されるジアミンが1,5−ペンタンジアミンの場合、例えば、特開2004−114号公報、特開2005−6650号公報に記載の酵素法により、リジンを原料としてリジン脱炭酸酵素反応により製造される1,5−ペンタンジアミン塩水溶液から、あるいは特開2004−222569号公報またはWO2007/113127に記載の糖類を原料とする発酵法により得られる1,5−ペンタンジアミン塩を含む水溶液または培養液から、本発明により1,5−ペンタンジアミンが精製される。また、精製されるジアミンが1,4−ブタンジアミンの場合、特表2008−505651に記載の、オルニチンを原料としてのオルニチン脱炭酸酵素(オルニチンデカルボキシターゼ)反応による得られる1,4−ブタンジアミン塩を含む培養液から、本発明により1,4−ブタンジアミンを精製することができる。また、精製されるジアミンがL−リジンの場合、例えば特開昭49−126891号公報に記載の糖類を原料とする発酵法により得られるL−リジン塩を含む培養液から、本発明によりL−リジンを精製することができる。
【0050】
本発明のジアミンの製造方法において用いられるジアミン塩水溶液中のジアミン塩の濃度は、特に限定されないが、高濃度であれば、ナノ濾過膜を透過したジアミン水溶液を濃縮する時間を短縮することができることからコスト削減に好適であり、例えば5g/L以上200g/L以下が好ましい。
【0051】
次に、本発明で用いられるナノ濾過膜の分離膜装置の好ましい態様について説明する。本発明で用いられるナノ濾過膜の分離膜装置の形態としては、培養液を貯留するための原水槽と、ろ過の駆動力を与える高圧ポンプとナノ濾過膜を装着するためのセルによって主に構成される。
【0052】
図1は、本発明で用いることができるナノ濾過膜の分離膜装置の例を説明するための概要図である。また、
図2は本発明で用いることができるナノ濾過膜の分離膜装置のナノ濾過膜が装着された例を説明するためのセル断面概要図である。次に、
図1のナノ濾過膜の分離膜装置によるジアミンの精製の形態について説明する。ナノ濾過膜7をセル2に支持板8を用いて装着する。次にジアミン塩水溶液を原水槽に投入して、高圧ポンプ3によってジアミン塩水溶液をセルに送液することによってジアミンの精製を行う。高圧ポンプ3によるろ過圧力は0.1MPa以上8MPa以下で行うことができる。好ましくは、0.5MPa以上7MPa以下であり、1MPa以上6MPa以下で用いることが特に好ましい。ジアミン塩水溶液はセル2に送液されてジアミンが精製された透過液5が得られる。セルで濃縮された濃縮液4は再び原水槽1に返送される。この時、透過液と等量のジアミン塩を新たに原水槽に投入することで連続的にジアミンの精製を行うことも可能である(図示せず)。このようにして、ジアミン塩水溶液から所望の生産物であるジアミンと不純物を分離し、簡便にジアミンを精製することができる。
【0053】
本発明のジアミンの製造方法においては、前記ナノ濾過膜による濾過工程に他のジアミン精製工程を組み合わせてもよく、好ましくはナノ濾過膜で濾過して得られるジアミン水溶液を、さらに蒸留する工程に供することで、高純度のジアミンを得ることができる。蒸留工程は、1Pa以上大気圧(常圧、約101kPa)以下の減圧下で行うことが好ましく、100Pa以上15kPa以下の減圧下で行うことがより好ましい。減圧下で行う場合の蒸留温度は、20℃以上200℃以下で行うことが好ましく、50℃以上180℃以下で行うことがより好ましい。この蒸留工程に供する前に、ナノ濾過膜を透過したジアミン水溶液を、一旦エバポレーターに代表される濃縮装置を用いてジアミン水溶液を濃縮してもよい。
【0054】
また、ナノ濾過膜で濾過して得られるジアミン水溶液を、さらに、逆浸透膜で濾過してジアミン水溶液濃度を高める工程に供することも好ましく採用できる。ここで逆浸透膜とは、被処理水の浸透圧以上の圧力差を駆動力にイオンや低分子量分子を除去する濾過膜である。ここで使用される逆浸透膜としては、例えば酢酸セルロースなどのセルロース系や、多官能アミン化合物と多官能酸ハロゲン化物とを重縮合させて微多孔性支持膜上にポリアミド分離機能層を設けた膜などが採用できる。逆浸透膜表面の汚れすなわちファウリングを抑制するために、酸ハライド基と反応する反応性基を少なくとも1個有する化合物の水溶液をポリアミド分離機能層の表面に被覆して、分離機能層表面に残存する酸ハロゲン基と該反応性基との間で共有結合を形成させた主に下水処理用の低ファウリング逆浸透膜なども好ましく採用できる。本発明のナノ濾過で塩を大部分除去できているため、逆浸透膜面でのスケールの生成もなく安定した膜濃縮が行える。
【0055】
本発明で使用される逆浸透膜の具体例としては、例えば、東レ株式会社製ポリアミド系逆浸透膜モジュールである低圧タイプのSU−710、SU−720、SU−720F、SU−710L、SU−720L、SU−720LF、SU−720R、SU−710P、SU−720Pの他、逆浸透膜としてUTC70を含む高圧タイプのSU−810、SU−820、SU−820L、SU−820FA、同社酢酸セルロース系逆浸透膜SC−L100R、SC−L200R、SC−1100、SC−1200、SC−2100、SC−2200、SC−3100、SC−3200、SC−8100、SC−8200、日東電工株式会社製NTR−759HR、NTR−729HF、NTR−70SWC、ES10−D、ES20−D、ES20−U、ES15−D、ES15−U、LF10−D、アルファラバル製RO98pHt、RO99、HR98PP、CE4040C−30D、GE製GE Sepa、Filmtec製BW30−4040、TW30−4040、XLE−4040、LP−4040、LE−4040、SW30−4040、SW30HRLE−4040などが挙げられる。
【0056】
逆浸透膜による濾過は、圧力をかけて行うが、その濾過圧は、1MPaより低ければ膜透過速度が低下し、8MPaより高ければ膜の損傷に影響を与えるため、1MPa以上8MPa以下の範囲であることが好ましい。また、濾過圧が1MPa以上7MPa以下の範囲であれば、膜透過流束が高いことから、ジアミン水溶液を効率的に濃縮することができる。膜の損傷に影響を与える可能性が少ないことから最も好ましくは、2MPa以上6MPa以下の範囲である。
【0057】
本発明のジアミンの製造方法で得られるジアミンはポリアミド原料として使用されうる。該ジアミンを原料とするポリアミドの製造方法としては、ジアミンをジカルボン酸と重縮合させる公知の方法が適用される(福本修編、「ポリアミド樹脂ハンドブック」日刊工業出版社(1998年1月)または特開2004−75932号公報参照)。
【0058】
本発明のポリアミドの製造方法でジアミンと重縮合されうるジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、コハク酸またはアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸またはフタル酸、イソフタル酸またはテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸が挙げられ、なかでも脂肪族ジカルボン酸が好ましく、アジピン酸がより好ましい。
【0059】
本発明のポリアミドの製造方法で得られるポリアミドとしては、例えば、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の重縮合ではポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)が得られ、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の重縮合ではポリヘキサメチレンセバシミド(ナイロン610)が得られ、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸の重縮合ではポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)が得られ、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸の重縮合ではポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)が得られ、1,5−ペンタンジアミンとアジピン酸の重縮合ではポリペンタメチレンアジパミド(ナイロン56)が得られ、1,5−ペンタンジアミンとセバシン酸の重縮合ではポリペンタメチレンセバシミド(ナイロン510)が得られ、またこれらの共重合体でもよく、例えば、ナイロン6T、ナイロン66の共重合体(ナイロン6T/66)、ナイロン6T、ナイロン6Iの共重合体(ナイロン6T/6I)が得られる。
【0060】
本発明のポリアミドの製造方法で得られるポリアミドの重合度は特に制限はないが、98%硫酸中、0.01g/mL濃度、25℃でオストワルド式粘度計を用いて測定を行った時に相対粘度ηr=1.5〜8.0であることが好ましく、2.0〜7.0であればより好ましい。
【実施例】
【0061】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0062】
(ナノ濾過膜の準備)
ナノ濾過膜として、架橋ピペラジンポリアミド系ナノろ過膜“UTC60”(ナノ濾過膜1;東レ株式会社製)、架橋ピペラジンポリアミド系“NF−400”(ナノ濾過膜2;フィルムテック製)、ポリアミド系ナノろ過膜“NF99”(ナノ濾過膜3;アルファラバル製)、酢酸セルロース系ナノろ過膜“GEsepa”(ナノ濾過膜4;GE Osmonics製)をそれぞれステンレス(SUS316製)製のセルに
図2の通りそれぞれセットした。
【0063】
(ジアミン濃度のHPLCによる分析方法)
使用カラム:CAPCELL PAK C18(資生堂)
移動相:0.1%(w/w)H3PO4:アセトニトリル=4.5:5.5
検出:UV 360nm
サンプル前処理:分析サンプルを25ulに内部標準として1,3−プロパンジアミン(0.03M)を25μl、炭酸水素ナトリウム(0.075M)を150ul、2,4−ジニトロフルオロベンゼン(0.2M)のエタノール溶液を添加混合し37℃で1時間保温する。上記反応溶液50μlを1mlアセトニトリルに溶解後、10000rpmで5分間遠心した後の10μlをHPLC分析した。
【0064】
(ジアミン塩の準備)
1,4−ブタンジアミン(和光純薬工業株式会社製)、1,5−ペンタンジアミン(和光純薬工業株式会社製)、1,6−ヘキサンジアミン(和光純薬工業株式会社製)の各10g/L水溶液(50L)を準備し、pH7になるまで濃硫酸(和光純薬工業株式会社製)を添加し、得られた各ジアミン硫酸塩を実施例1〜9の出発物質とした。
【0065】
実施例1〜12
(ナノ濾過膜で分離する1,4−ブタンジアミン硫酸塩水溶液の準備)
10g/L、1,4−ブタンジアミン硫酸塩水溶液(50L)に、1M水酸化カルシウム水溶液(和光純薬工業株式会社製)をそれぞれ、pH9、10、11、になるまで添加後、1時間25℃で攪拌した。沈殿した硫酸カルシウムを定性濾紙No2(アドバンテック製)を用いて吸引濾過により濾別し、濾液50Lを回収した。
【0066】
(ナノ濾過膜による分離実験)
次いで、
図1に示す、膜濾過装置の原水槽1に上記で得られた濾液50Lを注入し、ナノ濾過膜に通す際、高圧ポンプ3の圧力を1MPaに調整し、透過水5を回収した。原水槽1、透過水5に含まれる、硫酸イオン、カルシウムイオンの濃度をイオンクロマトグラフィー(DIONEX製)、1,4−ブタンジアミン濃度を、高速液体クロマトグラフィー(株式会社島津製作所製)により分析した。結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
表1に示すように、ナノ濾過膜により、9、10、11のすべてのpHにおいて、硫酸カルシウムが高効率で除去され、1,4−ブタンジアミンが高収率で回収されたことがわかった。
【0069】
実施例13〜24
(ナノ濾過膜で分離する1,5−ペンタンジアミン硫酸塩水溶液の準備)
10g/L、1,5−ペンタンジアミン硫酸塩水溶液(50L)に、1M水酸化カルシウム水溶液(和光純薬工業株式会社製)をそれぞれ、pH9、10、11、になるまで添加後、1時間25℃で攪拌した。沈殿した硫酸カルシウムを定性濾紙No2(アドバンテック製)を用いて吸引濾過により濾別し、濾液50Lを回収した。
【0070】
(ナノ濾過膜による分離実験)
次いで、
図1に示す、膜濾過装置の原水槽1に上記で得られた濾液50Lを注入し、ナノ濾過膜に通す際、高圧ポンプ3の圧力を1MPaに調整し、透過水5を回収した。原水槽1、透過水5に含まれる、硫酸イオン、カルシウムイオンの濃度をイオンクロマトグラフィー(DIONEX製)、1,5−ペンタンジアミン濃度を、高速液体クロマトグラフィー(株式会社島津製作所製)により分析した。結果を表2に示す。
【0071】
【表2】
【0072】
表2に示すように、ナノ濾過膜により、9、10、11のすべてのpHにおいて、硫酸カルシウムが高効率で除去され、1,5−ペンタンジアミンが高収率で回収されたことがわかった。
【0073】
実施例25〜36
(ナノ濾過膜で分離する1,6−ヘキサンジアミン硫酸塩水溶液の準備)
10g/L、1,6−ヘキサンジアミン硫酸塩水溶液(50L)に、1M水酸化カルシウム水溶液をそれぞれ、pH9、10、11、になるまで添加後、1時間25℃で攪拌した。沈殿した硫酸カルシウムを定性濾紙No2(アドバンテック製)を用いて吸引濾過により濾別し、濾液50Lを回収した。
【0074】
(ナノ濾過膜による分離実験)
次いで、
図1に示す、膜濾過装置の原水槽1に上記で得られた濾液50Lを注入し、ナノ濾過膜に通す際、高圧ポンプ3の圧力を1MPaに調整し、透過水5を回収した。原水槽1、透過水5に含まれる、硫酸イオン、カルシウムイオンの濃度をイオンクロマトグラフィー(DIONEX製)、1,6−ヘキサンジアミン濃度を、高速液体クロマトグラフィー(株式会社島津製作所製)により分析した。結果を表3に示す。
【0075】
【表3】
【0076】
表3に示すように、ナノ濾過膜により、9、10、11のすべてのpHにおいて、硫酸カルシウムが高効率で除去され、1,6−ヘキサンジアミンが高収率で回収されたことがわかった。
【0077】
実施例37〜48
(ナノ濾過膜で分離する1,5−ペンタンジアミンアジピン酸塩水溶液の準備)
10g/L、1,5−ペンタンジアミン(和光純薬工業株式会社製)に、10g/Lアジピン酸水溶液(和光純薬工業株式会社製)を、pH7になるまで添加し、1,5−ペンタンジアミンアジピン酸塩水溶液(50L)とした。これに、1M水酸化カルシウム水溶液(和光純薬工業株式会社製)をそれぞれ、pH9、10、11、になるまで添加後、1時間25℃で攪拌した。
【0078】
(ナノ濾過膜による分離実験)
次いで、
図1に示す、膜濾過装置の原水槽1に上記で得られた水溶液50Lを注入し、ナノ濾過膜に通す際、高圧ポンプ3の圧力を1MPaに調整し、透過水5を回収した。原水槽1、透過水5に含まれる、カルシウムイオンの濃度をイオンクロマトグラフィー(DIONEX製)、1,5−ペンタンジアミン、アジピン酸の濃度を、高速液体クロマトグラフィー(株式会社島津製作所製)により分析した。結果を表4に示す。
【0079】
【表4】
【0080】
表4に示すように、ナノ濾過膜により、9、10、11のすべてのpHにおいて、アジピン酸カルシウムが高効率で除去され、1,5−ペンタンジアミンが高収率で回収されたことがわかった。
【0081】
また、上記実施例1から実施例48において、ナノ濾過膜を新しい膜に取り換えることなく、一つの膜を用いて実施したが、上記の濾加圧において、硫酸カルシウムが高効率で除去された。
【0082】
実施例49〜60
(酵素法により製造された1,5−ペンタンジアミン硫酸塩の準備)
まず、特開2004−114号公報の参考例1(1)〜(3)に記載の方法でL−リジン脱炭酸酵素の調整を行った。次に、50%L−リジン水溶液(Fluka社製)を20%水溶液になるよう希釈し、その水溶液にpH6になるまで硫酸を滴下していきリジン硫酸塩水溶液を調整した。上記リジン硫酸塩水溶液に終濃度0.05mMのピリドキサルリン酸一水和物(Fluka社製)を添加し、そこに終濃度50mg/LのL−リジン脱炭酸酵素を加え、45℃で48時間反応させた。反応終了後、調整した1,5−ペンタンジアミン硫酸塩水溶液を希釈して10g/Lの1,5−ペンタンジアミン硫酸塩水溶液(50L)を準備した。
【0083】
(ナノ濾過膜で分離する1,5−ペンタンジアミン硫酸塩水溶液の準備)
10g/L、1,5−ペンタンジアミン硫酸塩水溶液(50L)に、1M水酸化カルシウム水溶液(和光純薬工業株式会社製)をそれぞれ、pH9、10、11、になるまで添加後、1時間25℃で攪拌した。沈殿した硫酸カルシウムを定性濾紙No2(アドバンテック製)を用いて吸引濾過により濾別し、濾液50Lを回収した。
【0084】
(ナノ濾過膜による分離実験)
次いで、
図1に示す、膜濾過装置の原水槽1に上記で得られた水溶液50Lを注入し、ナノ濾過膜に通す際、高圧ポンプ3の圧力を1MPaに調整し、透過水5を回収した。原水槽1、透過水5に含まれる、硫酸イオン、カルシウムイオンの濃度をイオンクロマトグラフィー(DIONEX製)、1,5−ペンタンジアミン濃度を、高速液体クロマトグラフィー(株式会社島津製作所製)により分析した。結果を表5に示す。
【0085】
【表5】
【0086】
表5に示すように、ナノ濾過膜により、9、10、11のすべてのpHにおいて、硫酸カルシウムが高効率で除去され、1,5−ペンタンジアミンが高収率で回収されたことがわかった。
【0087】
実施例61〜72
(酵素法により製造された1,5−ペンタンジアミンアジピン酸塩の準備)
まず、特開2004−114号公報の参考例1(1)〜(3)に記載の方法でL−リジン脱炭酸酵素の調整を行った。次に、50%L−リジン水溶液(Fluka社製)を20%水溶液になるよう希釈し、その水溶液にpH6になるまでアジピン酸(和光純薬工業株式会社製)を滴下していきリジンアジピン酸塩水溶液を調整した。上記リジンアジピン酸塩水溶液に終濃度0.05mMのピリドキサルリン酸一水和物(Fluka社製)を添加し、そこに終濃度50mg/LのL−リジン脱炭酸酵素を加え、45℃で48時間反応させた。反応終了後、調整した1,5−ペンタンジアミンアジピン酸塩水溶液を希釈して10g/Lの1,5−ペンタンジアミンアジピン酸塩水溶液(50L)を準備した。
【0088】
(ナノ濾過膜で分離する1,5−ペンタンジアミンアジピン酸塩水溶液の準備)
10g/L、1,5−ペンタンジアミンアジピン酸塩水溶液(50L)に、1M水酸化カルシウム水溶液(和光純薬工業株式会社製)をそれぞれ、pH9、10、11、になるまで添加後、1時間25℃で攪拌した。沈殿したアジピン酸カルシウムを定性濾紙No2(アドバンテック製)を用いて吸引濾過により濾別し、濾液50Lを回収した。
【0089】
(ナノ濾過膜による分離実験)
次いで、
図1に示す、膜濾過装置の原水槽1に上記で得られた水溶液50Lを注入し、ナノ濾過膜に通す際、高圧ポンプ3の圧力を1MPaに調整し、透過水5を回収した。原水槽1、透過水5に含まれる、カルシウムイオンの濃度をイオンクロマトグラフィー(DIONEX製)、1,5−ペンタンジアミン、アジピン酸の濃度を、高速液体クロマトグラフィー(株式会社島津製作所製)により分析した。結果を表6に示す。
【0090】
【表6】
【0091】
表6に示すように、ナノ濾過膜により、9、10、11のすべてのpHにおいて、アジピン酸カルシウムが高効率で除去され、1,5−ペンタンジアミンが高収率で回収されたことがわかった。
【0092】
実施例73〜84
(発酵法により製造された1,5−ペンタンジアミン硫酸塩の準備)
(1)リジン脱炭酸酵素発現ベクターの作製
データベース(Genbank)に登録されている大腸菌のリジン脱炭酸酵素遺伝子(配列番号1)の塩基配列を元に、PCRプライマー(配列番号2,3)を設計した。PCR用プライマーの末端にはHindIII切断部位とXbaI切断部位がそれぞれ付加されている。
【0093】
これらのプライマーを用い、大腸菌K12株(ATCC10798)のゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、約2.2kbの増幅断片を得た。この増幅断片をHindIIIおよびXbaI(タカラバイオ)により切断後、pUC19(タカラバイオ)のHindIII/XbaI切断部位に導入し、リジン脱炭酸酵素発現ベクターpCAD1を作製した。pCADAはlacプロモーターの下流にcadA遺伝子が導入されており、IPTGによる発現誘導が可能である。
【0094】
(2)宿主への発現ベクターの導入
(1)で作製した発現ベクターpCAD1を大腸菌JM109株に導入した。導入後、組換え大腸菌の選択は抗生物質であるアンピシリン耐性を指標に行い、形質転換体を得た。この形質転換株を大腸菌CAD1株と命名した。
【0095】
(3)形質転換株による1,5−ペンタンジアミンの製造
形質転換株の培養は以下のように行った。表6に示すMS培地5mlを試験管に取り、そこに終濃度50mg/Lのアンピシリンを加え1白金耳分のCAD1株を植菌し、30℃で24時間振とうして前々培養した。
【0096】
【表7】
【0097】
次に、MS培地95mlを500mlのバッフル付き三角フラスコに入れ、そこに終濃度50mg/Lのアンピシリンを加えた。この培地に前培養した上記培養液を全量植え継ぎ、37℃で8時間攪拌培養した(前培養)。この前培養液を1LのMS培地を投入したミニジャーファメンター(バイオット社製、容量2L)に植え継ぎ、攪拌速度(800rpm)、通気量(1L/min)、温度(37℃)、pH(pH6.5)を一定にして培養を行った(本培養)。なお、pH調整は2N硫酸および4N水酸化ナトリウムで行い、また、培養開始後15時間に100mLの50%グルコースを追加した。培養は24時間で終了し、菌体を除去した培養上清の1,5−ペンタンジアミン硫酸塩濃度を測定したところ、3g/Lの蓄積が確認できた。
【0098】
(ナノ濾過膜で分離する1,5−ペンタンジアミン硫酸塩水溶液の準備)
発酵法で得られた3g/Lの1,5−ペンタンジアミン硫酸塩を含む培養上清(発酵を繰り返し、50Lを準備)に、1M水酸化カルシウム水溶液(和光純薬工業株式会社製)をそれぞれ、pH9、10、11、になるまで添加後、1時間25℃で攪拌した。沈殿した硫酸カルシウムを定性濾紙No2(アドバンテック製)を用いて吸引濾過により濾別し、濾液50Lを回収した。
【0099】
(ナノ濾過膜による分離実験)
次いで、
図1に示す、膜濾過装置の原水槽1に上記で得られた水溶液50Lを注入し、ナノ濾過膜に通す際、高圧ポンプ3の圧力を1MPaに調整し、透過水5を回収した。原水槽1、透過水5に含まれる、硫酸イオン、カルシウムイオンの濃度をイオンクロマトグラフィー(DIONEX製)、1,5−ペンタンジアミン濃度を、高速液体クロマトグラフィー(株式会社島津製作所製)により分析した。結果を表8に示す。
【0100】
【表8】
【0101】
表8に示すように、ナノ濾過膜により、9、10、11のすべてのpHにおいて、硫酸カルシウムが高効率で除去され、1,5−ペンタンジアミンが高収率で回収されたことがわかった。
【0102】
実施例85
(1,5−ペンタンジアミン水溶液の濃縮、蒸留)
実施例13の条件でナノ濾過膜分離した、透過液48L(1,5−ペンタンジアミン濃度:8g/L)を、逆浸透膜(東レ株式会社製逆浸透膜:SU−810)に3MPaの操作圧力で通じた。逆浸透膜の非透過溶液を回収し(80g/L、5L)、ロータリーエバポレーター(東京理化器械株式会社製)を用いて、減圧下(50hPa)で水を蒸発させて濃縮(950g/L、0.4L)した。この時、硫酸カルシウムの析出は見られず、99%の回収率で1,5−ペンタンジアミンを回収することができた。
【0103】
次いで、12kPa、100℃で減圧蒸留を行った。蒸留残査に硫酸カルシウムの析出は見られず、99%の収率で蒸留することができた。
【0104】
実施例86
(ポリアミドの製造)
実施例63で得られた1,5−ペンタンジアミンとアジピン酸(和光純薬工業株式会社製)の等モル塩の50wt%水溶液を50g(100.8mmol)調整し、さらに1,5−ペンタンジアミン10wt%水溶液を1.542g(1.512mmol)を試験管に仕込み、オートクレーブに入れて密閉し、窒素置換した。次いで、ヒーター温度を285℃に設定し、加熱を開始した。缶内圧力が17.5kg/cm
2に到達した後、缶内圧力を17.5kg/cm2で2時間保持した。その後、1.5時間かけて缶内圧力を常圧に戻し、缶内温度が275℃に到達した時点で、加熱を停止した。室温に放冷後、試験管をオートクレーブから取り出し、ポリペンタメチレンアジパミド樹脂を得た。
【0105】
(ポリアミドの融点測定)
上記で製造したポリアミドを、示差走査熱量測定装置(セイコー電子工業製 ロボットDSC RDC220)を用い、窒素雰囲気下、試料を5mg採取し、285℃に昇温して3分間保持し、試料を完全に溶融させた後、20℃/分の降温速度で30℃まで降温し、3分間保持した後、30℃から285℃まで20℃/分の昇温速度で昇温したときに観測される吸熱ピークの温度(融点)は254℃であった。
【0106】
(ポリアミドの粘度測定)
上記で製造したポリアミドを、98%硫酸中、0.01g/mL濃度、25℃でオストワルド式粘度計を用いて相対粘度(ηr)を測定したところ、ηr=2.76であった。
【0107】
比較例1
(ナノ濾過膜を用いない、1,5−ペンタンジアミン硫酸塩の精製)
実施例13と同様に、10g/L、1,5−ペンタンジアミン硫酸塩水溶液(50L)に、1M水酸化カルシウム水溶液を、pH9になるまで添加後、1時間25℃で攪拌した。沈殿した硫酸カルシウムを定性濾紙No2(アドバンテック製)を用いて吸引濾過により濾別し、濾液50Lを回収した。次いで、濾液50Lをロータリーエバポレーター(東京理化器械株式会社製)を用いて、減圧下(50hPa)で水を蒸発させて濃縮(950g/L、0.4L)した。この時、硫酸カルシウムの析出が見られた。次いで、12kPa、100℃で減圧蒸留を行ったところ、蒸留残査に硫酸カルシウムがさらに析出し、蒸留収率は70%であった。
【0108】
比較例2
(ナノ濾過膜を用いない、1,5−ペンタンジアミンアジピン酸塩の精製)
実施例39と同様に、10g/L、1,5−ペンタンジアミンアジピン酸塩水溶液(50L)に、1M水酸化カルシウム水溶液を、pH11になるまで添加後、1時間25℃で攪拌した。沈殿した硫酸カルシウムを定性濾紙No2(アドバンテック製)を用いて吸引濾過により濾別し、濾液50Lを回収した。次いで、濾液50Lをロータリーエバポレーター(東京理化器械株式会社製)を用いて、減圧下(50hPa)で水を蒸発させて濃縮(950g/L、0.4L)した。この時、アジピン酸カルシウムの析出が見られた。次いで、12kPa、100℃で減圧蒸留を行ったところ、蒸留残査に硫酸カルシウムがさらに析出し、蒸留収率は30%であった。
【0109】
比較例3
(抽出操作による、1,5−ペンタンジアミン硫酸塩の精製)
実施例13と同様に、10g/L、1,5−ペンタンジアミン硫酸塩水溶液(50L)に、1M水酸化カルシウム水溶液を、pH9になるまで添加後、1時間25℃で攪拌した。沈殿した硫酸カルシウムを定性濾紙No2(アドバンテック製)を用いて吸引濾過により濾別し、濾液50Lを回収した。次いで、濾液50Lに20Lのクロロホルム(和光純薬工業株式会社製)を入れ、分液漏斗で抽出した。抽出した有機層、水層中に含まれる、1,5−ペンタンジアミンをHPLCで分析したところ、有機層への回収率は50%であった。抽出後の水層に再びクロロホルム20Lを入れ、分液漏斗で繰り返し抽出したが、回収率は80%を超えることはなかった。また、抽出操作により100L以上の有機溶媒廃液が産出した。
【0110】
以上の実施例及び比較例の結果から、ナノ濾過膜により、ジアミン塩を含んだ水溶液から塩を高効率で除去することでジアミンを高収率で回収でき、該ジアミンはポリアミド原料として利用できることが明らかとなった。すなわち、ジアミン塩を含んだ水溶液をナノ濾過膜を用いて濾過することにより、有機溶媒を用いた抽出操作よりもポリアミド原料用のジアミンを高収率で精製できることが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明のジアミンの製造方法では、ジアミン塩水溶液中に含まれる塩を従来の有機溶媒による抽出操作よりも簡単な操作により効果的に除去されるので、ポリアミド原料に適したジアミンを得る場合に有用である。
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]