(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態及び変形例を順に詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0014】
先ず、
図1を参照して、本実施の形態の装置構成を説明する。
図1に、本実施の形態の携帯端末10の構成を示す。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態のユーザ識別装置としての携帯端末10は、タッチパネルによる情報の入力機能、バーコードのスキャン機能、無線通信機能等を備えるハンディターミナルである。携帯端末10は、例えば、倉庫や、小売店の店舗で使用される。
【0016】
携帯端末10は、複数のユーザに兼用で使用されるものとする。このため、携帯端末10は、タッチパネルのタッチ入力により、各ユーザを認証(識別)するユーザ認証機能を有する。携帯端末10において、ユーザ認証が成功した場合に、その認証されたユーザは、使用許可されているプログラムやデータを使用できる。これら複数のユーザを、ユーザA,B,…とする。
【0017】
携帯端末10は、特徴情報取得部、ユーザ識別部としてのCPU(Central Processing Unit)11と、キー操作部12aと、タッチパネル12bと、RAM(Random Access Memory)13と、表示部14と、ROM(Read Only Memory)15と、無線通信部16と、記憶部としてのフラッシュメモリ17と、スキャナ部18と、報知部19と、計時部20と、電源部21と、を備える。電源部21を除く携帯端末10の各部は、バス22を介して互いに接続されている。
【0018】
CPU11は、携帯端末10の各部を制御する。CPU11は、各種プログラムのうち指定されたプログラムをROM15から読み出してRAM13に展開し、展開されたプログラムとの協働で各種処理を実行する。
【0019】
キー操作部12aは、文字入力キー等の各種キーからなるキー群を備え、ユーザからの各キーの押下入力に応じた操作情報をCPU11に出力する。
【0020】
タッチパネル12bは、表示部14の表示パネル上に設けられ、ユーザからのタッチ入力の物体としての指、ペン等(以下、指と表す)のタッチ入力を受け付け、そのタッチした表示パネルの座標の位置情報をCPU11に出力する。タッチパネル12bは、静電容量方式のタッチパネルとする。
【0021】
また、タッチパネル12bは、タッチパネル12bとユーザの指との距離としての指の距離の情報を取得してCPU11に出力する。というのは静電容量方式のタッチパネル12bは、タッチパネル12bからユーザの指迄の垂直距離に応じて、タッチパネル12bに設けられたコンデンサの静電容量が変化する。そして、タッチパネル12bは、この静電容量の変化量に応じた指の距離の情報を取得する。
【0022】
RAM13は、揮発性の半導体メモリであり、各種データ及び各種プログラムを格納するワークエリアを有する。
【0023】
表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(ElectroLuminescent)ディスプレイ等の表示パネルを備える表示部であり、CPU11から入力される表示情報に応じて表示パネルに各種表示を行う。
【0024】
ROM15は、各種データ及び各種プログラムを記憶する読み出し専用の半導体メモリである。ROM15には、ユーザ登録プログラム151及び操作プログラム152が記憶されている。
【0025】
無線通信部16は、無線LAN(Local Area Network)方式の無線通信部である。無線通信部16は、アンテナ、変調部、復調部、信号処理部等を備え、アクセスポイントと無線通信を行う。無線通信部16は、送信する情報の信号を、信号処理部で信号処理し、変調部により変調してアンテナから無線電波としてアクセスポイントに送信する。このアクセスポイントは、通信先の機器と通信ネットワークを介して接続されている。また、無線通信部16は、アンテナによりアクセスポイントから受信した無線電波の受信信号を復調部により復調し、信号処理部で信号処理して受信情報を得る。このようにして、無線通信部16は、アクセスポイントを介して、通信先の機器と通信を行う。また、無線通信部16は、携帯電話通信方式の無線通信部とし、基地局を介して、通信先の機器と通信を行うこととしてもよい。
【0026】
フラッシュメモリ17は、情報を読み出し及び書き込み可能に記憶する不揮発性の半導体メモリである。
【0027】
スキャナ部18は、レーザ方式のスキャナ部又はイメージスキャナであり、シンボル(バーコード、2次元コード)を読み取り、読み取ったイメージデータをCPU11に出力する。CPU11は、スキャナ部18から入力されたイメージデータをデコードする。なお、スキャナ部18が、イメージデータをデコードすることとしてもよい。
【0028】
報知部19は、CPU11の指示により、ユーザ認証が失敗した際のアラーム音を出力してユーザに報知する。なお、報知部19は、音声や、LED(Light Emitting Diode)の点灯等により、報知する構成としてもよい。
【0029】
計時部20は、現在の時刻を計時する計時回路であり、現在の時刻情報をCPU11に出力する。
【0030】
電源部21は、リチウム電池等の二次電池であり、携帯端末10の各部に電源供給を行う。電源部21は、アルカリ電池等の一次電池としてもよい。
【0031】
次に、
図2を参照して、携帯端末10に記憶する情報を説明する。
図2に、認証テーブル30の構成を示す。
【0032】
認証テーブル30は、ユーザ認証に用いるテーブルであり、フラッシュメモリ17に記憶される。認証テーブル30は、ユーザID31と、特徴情報32と、の項目を有する。
【0033】
ユーザID31は、各ユーザの識別情報である。特徴情報32は、タッチパネル12bにより得られる情報に応じた、各ユーザのタッチ入力の特徴を示す情報である。特徴情報32は、タップ間距離321と、タップ間時間間隔322と、指の距離323と、タップ時間324と、タップ面積325と、を有する。
【0034】
タップ間距離321は、タッチパネル12b上の複数のタップにおいて、あるタップから次のタップまでの平面上の距離の情報である。タップ間時間間隔322は、タッチパネル12b上の複数のタップにおいて、あるタップから次のタップまでの時間間隔の情報である。指の距離323は、タッチパネル12bからのユーザの指の垂直距離(高さ)の情報である。タップ時間324は、タッチパネル12b上のタップの時間の情報である。タップ面積325は、タッチパネル12b上のタップ時の指の接触面積の情報である。
【0035】
次に、
図3〜
図10を参照して、携帯端末10の動作を説明する。
図3に、ユーザ登録処理を示す。
図4に、操作処理を示す。
図5に、操作処理の第1のユーザ認証処理を示す。
図6に、タップ間距離とタップ間時間間隔との分布を示す。
図7に、タップ間距離と指の距離との分布を示す。
図8に、タップ時間と頻度との分布を示す。
図9に、タップ面積と頻度との分布を示す。
図10に、操作処理の第1の同一ユーザ認証処理を示す。
【0036】
先ず、
図3を参照して、携帯端末10で実行されるユーザ登録処理を説明する。ユーザ登録処理は、新規に携帯端末10を使用するユーザをログイン登録する処理である。
【0037】
携帯端末10において、例えば、キー操作部12a又はタッチパネル12bを介してユーザ登録処理の実行指示が入力された場合に、CPU11は、ROM15から読み出されて適宜RAM13に展開されたユーザ登録プログラム151との協働で、ユーザ登録処理を実行する。
【0038】
先ず、CPU11は、ユーザ登録用のユーザ登録操作画面を表示部14に表示する(ステップS11)。ユーザ登録操作画面は、パスワード入力を行う画面ではなく、ユーザ登録用の各種入力をタッチ入力により受け付ける画面である。ユーザ登録操作画面におけるタッチ入力内容は、特徴情報(タップ間距離、タップ間時間間隔、指の距離、タップ時間、タップ面積)を得るのに十分なタッチ入力情報を得られるものとする。
【0039】
そして、CPU11は、タッチパネル12bによりステップS11のユーザ登録操作画面に応じたタッチ入力を受け付け、得られたタッチ入力情報と、計時部20から得られる時刻情報とに応じた特徴情報を算出して取得しRAM13に記憶する(ステップS12)。
【0040】
ステップS12において、タッチパネル12bから得られるタッチの位置情報に応じて、特徴情報としてのタップ間距離及びタップ面積が得られる。また、ステップS12において、タッチパネル12bから得られる指の距離の情報に応じて、特徴情報としての指の距離が得られる。また、タッチパネル12bから得られるタッチの位置情報と計時部20から得られる時刻情報とに応じて、タップ間時間間隔及びタップ時間が得られる。
【0041】
そして、CPU11は、ステップS12におけるタッチ入力が終了したか否かを判別する(ステップS13)。タッチ入力が終了していない場合(ステップS13;NO)、ステップS11に移行される。タッチ入力が終了した場合(ステップS13;YES)、CPU11は、キー操作部12a又はタッチパネル12bを介して新規に登録するユーザIDの入力を受け付ける(ステップS14)。なお、ユーザIDとしては、ユニークなIDを自動生成してもよい。
【0042】
そして、CPU11は、ステップS12でRAM13に記憶された特徴情報を、ステップS14で入力されたユーザIDに対応付け、それぞれ特徴情報32、ユーザID31としたレコードを、フラッシュメモリ17に記憶されている認証テーブル30に追加し(ステップS15)、ユーザ登録処理を終了する。
【0043】
次いで、
図4〜
図10を参照して、携帯端末10で実行される操作処理を説明する。操作処理は、ユーザが各種操作を行うとともに、ユーザ認証を繰り返し行う処理である。
【0044】
携帯端末10において、例えば、キー操作部12a又はタッチパネル12bを介して操作処理の実行指示が入力された場合に、CPU11は、ROM15から読み出されて適宜RAM13に展開された操作プログラム152との協働で、操作処理を実行する。
【0045】
先ず、CPU11は、ログイン前操作画面を表示部14に表示する(ステップS21)。ログイン前操作画面は、ユーザ認証成功(ログイン)前に表示されるタッチ入力の各種操作画面であり、認証していないユーザも操作可能である。ログイン前操作画面では、ログイン後にログインユーザが使用許可されたプログラム及びデータを使用する操作ができないものとする。また、ログイン前操作画面におけるタッチ入力内容は、特徴情報を得るのに十分なタッチ入力情報を得られるものとする。
【0046】
そして、CPU11は、タッチパネル12bによりステップS21のログイン前操作画面に応じたタッチ入力を受け付け、得られた情報と、計時部20から得られる時刻情報とに応じた特徴情報を算出して取得しRAM13に記憶する(ステップS22)。ステップS22は、
図3のユーザ登録処理のステップS12と同様にして、特徴情報を取得する。
【0047】
そして、CPU11は、ユーザ認証処理を行う(ステップS23)。ここで、
図5を参照して、ステップS23のユーザ認証処理としての第1のユーザ認証処理を説明する。先ず、CPU11は、フラッシュメモリ17に記憶されている認証テーブル30を参照し、ステップS22で得られた特徴情報のタップ間時間間隔及びタップ間距離の分布パターンが、タップ間時間間隔322及びタップ間距離321の分布パターンと同じである該当ユーザがあるか否かを判別する(ステップS41)。この分布パターンが同じとは、完全一致に限定されるものでなく、相違が一定以上ないこととし、以下同様とする。
【0048】
ステップS41では、例えば、
図6に示すように、認証テーブル30において、タップ間時間間隔322及びタップ間距離321の分布が記憶されているものとする。パターンP1は、ユーザID31がAのユーザAの分布パターン(
図6で“○”の分布パターン)である。パターンP2は、ユーザID31がBのユーザBの分布パターン(
図6で“×”の分布パターン)である。ステップS41では、ステップS22で得られたタップ間時間間隔及びタップ間距離の分布パターンが、パターンP1,P21のいずれかと同じであるか、あるいはいずれでもないかにより、パターンP1,又はP21に該当ユーザがあるか否かが判別される。
【0049】
該当ユーザがある場合(ステップS41;YES)、CPU11は、フラッシュメモリ17に記憶されている認証テーブル30を参照し、ステップS22で得られた特徴情報の指の距離及びタップ間距離の分布パターンが、ステップS41の該当ユーザのユーザID31の指の距離323及びタップ間距離321の分布パターンと同じで、同一ユーザが該当するか否かを判別する(ステップS42)。
【0050】
ステップS42では、例えば、
図7に示すように、認証テーブル30において、指の距離323及びタップ間距離321の分布が記憶されているものとする。パターンP3は、ユーザID31がAのユーザAの分布パターン(
図7で“○”の分布パターン)である。パターンP4は、ユーザID31がBのユーザBの分布パターン(
図7で“×”の分布パターン)である。例えば該当ユーザがユーザAである場合に、ステップS42では、ステップS22で得られた指の距離及びタップ間距離の分布パターンが、パターンP3と同じであるか否かにより、同一ユーザが該当するか否かが判別される。
【0051】
同一ユーザが該当する場合(ステップS42;YES)、CPU11は、フラッシュメモリ17に記憶されている認証テーブル30を参照し、ステップS22で得られた特徴情報のタップ時間及びその頻度の分布パターンが、ステップS41の該当ユーザのユーザID31のタップ時間324及びその頻度の分布パターンと同じで、同一ユーザが該当するか否かを判別する(ステップS43)。
【0052】
ステップS43では、例えば、
図8に示すように、認証テーブル30において、タップ時間324の分布が記憶されているものとする。パターンP5は、ユーザID31がAのユーザAの分布パターン(
図8で“○”の分布パターン)である。パターンP6は、ユーザID31がBのユーザBの分布パターン(
図8で“×”の分布パターン)である。例えば該当ユーザがユーザAである場合に、ステップS43では、ステップS22で得られたタップ時間及びその頻度の分布パターンが、パターンP5と同じであるか否かにより、同一ユーザが該当するか否かが判別される。
【0053】
同一ユーザが該当する場合(ステップS43;YES)、CPU11は、フラッシュメモリ17に記憶されている認証テーブル30を参照し、ステップS22で得られた特徴情報のタップ面積及びその頻度の分布パターンが、ステップS41の該当ユーザのユーザID31のタップ面積325及びその頻度の分布パターンと同じで、同一ユーザが該当するか否かを判別する(ステップS44)。
【0054】
ステップS44では、例えば、
図9に示すように、認証テーブル30において、タップ面積325の分布が記憶されているものとする。パターンP7は、ユーザID31がAのユーザAの分布パターン(
図9で“○”の分布パターン)である。パターンP8は、ユーザID31がBのユーザBの分布パターン(
図9で“×”の分布パターン)である。例えば該当ユーザがユーザAである場合に、ステップS44では、ステップS22で得られたタップ面積及びその頻度の分布パターンが、パターンP7と同じであるか否かにより、同一ユーザが該当するか否かが判別される。
【0055】
同一ユーザが該当する場合(ステップS44;YES)、CPU11は、ステップS41の該当ユーザのユーザ認証の成功を設定し、その旨を表示部14に表示し(ステップS45)、第1のユーザ認証処理を終了する。ステップS45の後、該当ユーザにのみ使用が許可されているプログラム及びデータが使用可能となる。
【0056】
該当ユーザがない場合(ステップS41;NO)、CPU11は、ユーザ認証の失敗を設定し、その旨を表示部14に表示し(ステップS46)、第1のユーザ認証処理を終了する。同一ユーザが該当しない場合(ステップS42;NO)、同一ユーザが該当しない場合(ステップS43;NO)、又は同一ユーザが該当しない場合(ステップS44;NO)、ステップS46に移行される。
【0057】
図4に戻り、ステップS23の実行後、CPU11は、ステップS23でユーザ認証が成功したか否かを判別する(ステップS24)。ユーザ認証が失敗した場合(ステップS24;NO)、ステップS21に移行される。
【0058】
ユーザ認証が成功した場合(ステップS24;YES)、CPU11は、直前のステップS22又はS28でRAM13に記憶されている特徴情報で、認証テーブル30の該当ユーザのユーザID31の特徴情報を更新する(ステップS25)。認証テーブル30の特徴情報を追加更新してもよい。そして、CPU11は、キー操作部12a又はタッチパネル12bの操作に応じて、操作処理を終了するか否かを判別する(ステップS26)。操作処理を終了する場合(ステップS26;YES)、操作処理が終了する。
【0059】
操作処理を終了しない場合(ステップS26;NO)、CPU11は、ログイン後操作画面を表示部14に表示する(ステップS27)。ログイン後操作画面は、ユーザ認証成功(ログイン)後に表示されるタッチ入力の各種操作画面であり、認証されたユーザが操作可能である。ログイン後操作画面では、ログイン後にログインユーザが使用許可されたプログラム及びデータを使用する操作が可能である。ログイン後操作画面におけるタッチ入力内容は、特徴情報を得るのに十分なタッチ入力情報を得られるものとする。
【0060】
そして、CPU11は、タッチパネル12bによりステップS27のログイン後操作画面に応じたタッチ入力を受け付け、得られた情報と、計時部20から得られる時刻情報とに応じた特徴情報を算出して取得しRAM13に記憶する(ステップS28)。ステップS28は、
図3のユーザ登録処理のステップS12と同様にして、特徴情報を取得する。
【0061】
そして、CPU11は、同一ユーザ認証処理を行う(ステップS29)。ここで、
図10を参照して、ステップS29の同一ユーザ認証処理としての第1の同一ユーザ認証処理を説明する。先ず、CPU11は、フラッシュメモリ17に記憶されている認証テーブル30を参照し、ステップS28で得られた特徴情報のタップ間時間間隔及びタップ間距離の分布パターンが、ステップS24でユーザ認証が成功した該当ユーザのユーザID31のタップ間時間間隔322及びタップ間距離321の分布パターンと同じで、同一ユーザが該当するか否かを判別する(ステップS51)。
【0062】
ステップS52〜S56は、
図5の第1のユーザ認証処理のステップS42〜S46と同様である。
【0063】
図4に戻り、ステップS29の実行後、CPU11は、ステップS29でユーザ認証が成功したか否かを判別する(ステップS30)。ユーザ認証が成功した場合(ステップS30;YES)、ステップS25に移行される。
【0064】
ユーザ認証が失敗した場合(ステップS30;NO)、CPU11は、携帯端末10(ログイン後に使用しているプログラム及びデータ)を使用できなくするロック設定を行い、ユーザが識別されなくなった旨及びロック設定の旨を、表示部14に表示するとともに報知部19にアラーム音で報知させ(ステップS31)、ステップS21に移行される。
【0065】
以上、本実施の形態によれば、携帯端末10は、タッチパネル12bへのタッチ入力の情報に応じて、タップ間距離、タップ間時間間隔、指の距離、タップ時間及びタップ面積をタッチ入力の特徴情報として取得し、これら取得された特徴情報の分布パターンが、フラッシュメモリ17に記憶されている認証テーブル30の特徴情報の分布パターンと同じであるユーザがあるか否かを判別し、該当するユーザがある場合に、当該ユーザを識別(認証)する。このため、ユーザ識別(認証)において、ユーザがパスワード入力を意図するタッチ入力を行わなく、ユーザによるパスワードの記憶及び入力が不要であるので、ユーザの作業負担を軽減できる。また、パスワード入力を意図するタッチ入力でないため、他人がタッチ入力を覗き見しても特徴情報が得られず、真似できないので、他人の覗き見による不正なユーザの識別(認証)を防ぐことができる。
【0066】
また、携帯端末10は、タッチ入力により取得された複数の特徴情報として、タップ間距離−タップ間時間間隔と、指の距離−タップ間距離と、タップ時間と、タップ面積と、の分布パターンが、フラッシュメモリ17に記憶されている認証テーブル30の同種の特徴情報の分布パターンと全て同じであるユーザがあるか否かを判別し、該当するユーザがある場合に、当該ユーザを識別(認証)する。このため、ユーザをより正確に識別(認証)できる。
【0067】
また、携帯端末10は、ユーザが識別(認証)された場合に、当該ユーザ識別に使用した当該ユーザの特徴情報を認証テーブル30のレコードとしてフラッシュメモリ17に記憶(更新)する。このため、照合元としてフラッシュメモリ17に記憶される特徴情報を容易に取得でき、また最新のユーザのタッチ入力の特徴をフラッシュメモリ17の特徴情報に反映できる。例えば、ユーザの操作の習熟度が上がった場合にも、その習熟度が上がった特徴情報を用いて、ユーザを正確に識別(認証)できる。
【0068】
また、携帯端末10は、ユーザが識別(認証)された後(ログイン後)に、タッチパネル12bへのタッチ入力の情報に応じて、特徴情報を取得し、当該ユーザが識別された後に取得された特徴情報の分布パターンが、フラッシュメモリ17に記憶された認証テーブル30の当該ユーザの特徴情報の分布パターンと同じであるか否かを判別し、当該ユーザの特徴情報の分布パターンが同じである場合に、再度当該ユーザを識別(認証)する。このため、ユーザ識別(認証)をした後に、同じユーザがタッチ入力をする限り、ユーザ識別(認証)できる。たとえ、ユーザ識別(認証)をした後に、その携帯端末10が他人に渡ったとしても、その他人のユーザ識別(認証)を行わなくすることができる。
【0069】
また、携帯端末10は、ユーザ識別(認証)をした後に、再度当該ユーザが識別(認証)されない場合に、携帯端末10の使用のロックを設定する。このため、ユーザ識別(認証)をした後に、その携帯端末10が他人に渡ったとしても、その他人による携帯端末10の不正使用を防ぐことができる。
【0070】
また、携帯端末10は、ユーザ識別(認証)をした後に、再度当該ユーザが識別(認証)されない場合に、報知部19にユーザが識別(認証)されなくなった旨を報知させる。このため、ユーザ識別(認証)をした後に、その携帯端末10が他人に渡ったとしても、その他人による使用の意図をユーザ等に報知できる。
【0071】
(変形例)
図11及び
図12を参照して上記実施の形態の変形例を説明する。
図11に、第2のユーザ認証処理を示す。
図12に、第2の同一ユーザ認証処理を示す。
【0072】
本変形例では、上記実施の形態と同様に、装置構成として携帯端末10を用いる。携帯端末10の動作として、
図3のユーザ登録処理と、
図4の操作処理と、が実行される。但し、操作処理のステップS23のユーザ認証処理は、
図5の第1のユーザ認証処理に代えて、
図11の第2のユーザ認証処理とし、操作処理のステップS29の同一ユーザ認証処理は、
図10の第1の同一ユーザ認証処理に代えて、
図12の第2の同一ユーザ認証処理とする。
【0073】
図11を参照して、第2のユーザ認証処理を説明する。先ず、CPU11は、ユーザ認証の成功か否かを判別するための変数としての点数を初期化する(ステップS61)。ステップS61の点数は、ユーザ毎の点数とする。そして、CPU11は、フラッシュメモリ17に記憶されている認証テーブル30を参照し、ステップS22で得られた特徴情報のタップ間時間間隔及びタップ間距離の分布パターンが、タップ間時間間隔322及びタップ間距離321の分布パターンと同じである該当ユーザがあるか否かを判別する(ステップS62)。
【0074】
該当ユーザがある場合(ステップS62;YES)、CPU11は、ステップS62の該当ユーザの点数に所定数を加算する(ステップS63)。
【0075】
そして、CPU11は、フラッシュメモリ17に記憶されている認証テーブル30を参照し、ステップS22で得られた特徴情報の指の距離及びタップ間距離の分布パターンが、指の距離323及びタップ間距離321の分布パターンと同じである該当ユーザがあるか否かを判別する(ステップS64)。
【0076】
該当ユーザがない場合(ステップS62;NO)、ステップS64に移行される。該当ユーザがある場合(ステップS64;YES)、CPU11は、ステップS64の該当ユーザの点数に所定数を加算する(ステップS65)。
【0077】
そして、CPU11は、フラッシュメモリ17に記憶されている認証テーブル30を参照し、ステップS22で得られた特徴情報のタップ時間及びその頻度の分布パターンが、タップ時間324及びその頻度の分布パターンと同じである該当ユーザがあるか否かを判別する(ステップS66)。
【0078】
該当ユーザがない場合(ステップS64;NO)、ステップS66に移行される。該当ユーザがある場合(ステップS66;YES)、CPU11は、ステップS66の該当ユーザの点数に所定数を加算する(ステップS67)。
【0079】
そして、CPU11は、フラッシュメモリ17に記憶されている認証テーブル30を参照し、ステップS22で得られた特徴情報のタップ面積及びその頻度の分布パターンが、認証テーブル30のタップ面積325及びその頻度の分布パターンと同じである該当ユーザがあるか否かを判別する(ステップS68)。
【0080】
該当ユーザがない場合(ステップS66;NO)、ステップS68に移行される。該当ユーザがある場合(ステップS68;YES)、CPU11は、ステップS69の該当ユーザの点数に所定数を加算する(ステップS69)。
【0081】
そして、CPU11は、点数が最も高いユーザの点数が予め設定された基準値以上であるか否かを判別する(ステップS70)。ユーザの点数≧基準値である場合(ステップS70;YES)、CPU11は、基準値以上の点数の該当ユーザのユーザ認証の成功を設定し、その旨を表示部14に表示し(ステップS71)、第2のユーザ認証処理を終了する。
【0082】
ユーザの点数<基準値である場合(ステップS70;NO)、CPU11は、ユーザ認証の失敗を設定し、その旨を表示部14に表示し(ステップS72)、第2のユーザ認証処理を終了する。
【0083】
図12を参照して、第2の同一ユーザ認証処理を説明する。先ず、CPU11は、ステップS28でタッチ入力したユーザの点数を初期化する(ステップS81)。そして、CPU11は、フラッシュメモリ17に記憶されている認証テーブル30を参照し、ステップS28で得られた特徴情報のタップ間時間間隔及びタップ間距離の分布パターンが、ステップS24でユーザ認証が成功した該当ユーザのユーザID31のタップ間時間間隔322及びタップ間距離321の分布パターンと同じで、同一ユーザが該当するか否かを判別する(ステップS82)。
【0084】
同一ユーザが該当する場合(ステップS82;YES)、CPU11は、ステップS28でタッチ入力したユーザの点数に所定数を加算する(ステップS83)。
【0085】
そして、CPU11は、フラッシュメモリ17に記憶されている認証テーブル30を参照し、ステップS28で得られた特徴情報の指の距離及びタップ間距離の分布パターンが、ステップS24でユーザ認証が成功した該当ユーザのユーザID31の指の距離323及びタップ間距離321の分布パターンと同じで、同一ユーザが該当するか否かを判別する(ステップS84)。
【0086】
同一ユーザが該当しない場合(ステップS82;NO)、ステップS84に移行される。同一ユーザが該当する場合(ステップS84;YES)、CPU11は、ステップS28でタッチ入力したユーザの点数に所定数を加算する(ステップS85)。
【0087】
そして、CPU11は、フラッシュメモリ17に記憶されている認証テーブル30を参照し、ステップS28で得られた特徴情報のタップ時間及びその頻度の分布パターンが、ステップS24でユーザ認証が成功した該当ユーザのユーザID31のタップ時間324及びその頻度の分布パターンと同じで、同一ユーザが該当するか否かを判別する(ステップS86)。
【0088】
同一ユーザが該当しない場合(ステップS84;NO)、ステップS86に移行される。同一ユーザが該当する場合(ステップS86;YES)、CPU11は、ステップS28でタッチ入力したユーザの点数に所定数を加算する(ステップS87)。
【0089】
そして、CPU11は、フラッシュメモリ17に記憶されている認証テーブル30を参照し、ステップS28で得られた特徴情報のタップ面積及びその頻度の分布パターンが、ステップS24でユーザ認証が成功した該当ユーザのユーザID31の認証テーブル30のタップ面積325及びその頻度の分布パターンと同じで、同一ユーザが該当するか否かを判別する(ステップS88)。
【0090】
同一ユーザが該当しない場合(ステップS86;NO)、ステップS88に移行される。同一ユーザが該当する場合(ステップS88;YES)、CPU11は、ステップS28でタッチ入力したユーザの点数に所定数を加算する(ステップS89)。
【0091】
そして、CPU11は、ステップS28でタッチ入力したユーザの点数が予め設定された基準値以上であるか否かを判別する(ステップS90)。ユーザの点数≧基準値である場合(ステップS90;YES)、CPU11は、ステップS28でタッチ入力したユーザのユーザ認証の成功を設定し、その旨を表示部14に表示し(ステップS91)、第2の同一ユーザ認証処理を終了する。
【0092】
ユーザの点数<基準値である場合(ステップS80;NO)、CPU11は、ステップS28でタッチ入力したユーザ認証の失敗を設定し、その旨を表示部14に表示し(ステップS92)、第2の同一ユーザ認証処理を終了する。
【0093】
以上、本変形例によれば、携帯端末10は、タッチ入力により取得された複数の特徴情報として、タップ間距離−タップ間時間間隔と、指の距離−タップ間時間間隔と、タップ時間と、タップ面積と、の分布パターンのうち、フラッシュメモリ17に記憶されている認証テーブル30の複数の特徴情報の分布パターンと同じであるものに、ユーザ毎に点数を加算していき、当該点数が基準値以上であるユーザがあるか否かを判別し、該当するユーザがある場合に、当該ユーザを識別(認証)する。このため、ユーザをより正確に識別(認証)できる。また、基準値を変更することにより、ユーザ識別(認証)の容易さ(正確さ)を変更できる。
【0094】
以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてROM15を使用した例を開示したが、この例に限定されない。
その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。
また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0095】
なお、上記実施の形態及び変形例における記述は、本発明に係るユーザ識別装置及びプログラムの一例であり、これに限定されるものではない。
【0096】
上記実施の形態及び変形例では、ユーザ識別装置としての携帯端末10がハンディターミナルである構成としたが、これに限定されるものではない。ユーザ識別装置としては、タッチパネルを有する、ATM(Automated Teller Machine)、キオスク端末、ECR(Electronic Cash Register)、PC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートフォン、携帯電話機等、タッチ入力に応じてユーザ識別(認証)する装置であればよい。
【0097】
また、上記実施の形態及び変形例では、タッチ入力の特徴情報として、タップ間距離、タップ間時間間隔、指(タッチ入力の物体)の距離、タップ時間、タップ面積を用いてユーザ識別(認証)する構成としたが、これに限定されるものではない。タッチ入力の特徴情報として、タップ間距離、タップ間時間間隔、指(タッチ入力の物体)の距離の少なくとも一つを用いてユーザ識別(認証)する構成としてもよい。
【0098】
また、上記実施の形態及び変形例では、タッチパネル12bは、静電容量方式のものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、タッチパネル12bが、抵抗膜方式等、他の方式のタッチパネルとしてもよい。
【0099】
また、上記実施の形態における携帯端末10の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【0100】
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
タッチ入力の物体によるタッチ入力を受け付けるタッチパネルと、
前記タッチパネルへのタッチ入力の情報に応じて、前記タッチパネルの平面上の複数のタップのタップ間距離と、複数のタップのタップ間時間間隔と、前記タッチパネルからの前記タッチ入力の物体の距離と、の少なくとも一つをタッチ入力の特徴情報として取得する特徴情報取得部と、
前記ユーザ毎の特徴情報を記憶する記憶部と、
前記特徴情報取得部により取得された特徴情報の分布パターンが、前記記憶部に記憶されている特徴情報の分布パターンと同じであるユーザがあるか否かを判別し、該当するユーザがある場合に、当該ユーザを識別するユーザ識別部と、を備えるユーザ識別装置。
<請求項2>
前記ユーザ識別部は、前記特徴情報取得部により取得された複数の特徴情報の分布パターンが、前記記憶部に記憶されている複数の特徴情報の分布パターンと全て同じであるユーザがあるか否かを判別し、該当するユーザがある場合に、当該ユーザを識別する請求項1に記載のユーザ識別装置。
<請求項3>
前記ユーザ識別部は、前記特徴情報取得部により取得された複数の特徴情報の分布パターンのうち、前記記憶部に記憶されている複数の特徴情報の分布パターンと同じであるものに、ユーザ毎に点数を加算していき、当該点数が基準値以上であるユーザがあるか否かを判別し、該当するユーザがある場合に、当該ユーザを識別する請求項1に記載のユーザ識別装置。
<請求項4>
前記ユーザ識別部は、前記ユーザが識別された場合に、前記特徴情報取得部により取得された当該ユーザの特徴情報を前記記憶部に記憶する請求項1から3のいずれか一項に記載のユーザ識別装置。
<請求項5>
前記特徴情報取得部は、前記ユーザが識別された後に、前記タッチパネルへのタッチ入力の情報に応じて、特徴情報を取得し、
前記ユーザ識別部は、前記ユーザが識別された後に、前記特徴情報取得部により取得された特徴情報の分布パターンが、前記記憶部に記憶されている前記ユーザの特徴情報の分布パターンと同じであるか否かを判別し、前記ユーザの特徴情報の分布パターンが同じである場合に、再度前記ユーザを識別する請求項1から4のいずれか一項に記載のユーザ識別装置。
<請求項6>
前記ユーザ識別部は、再度前記ユーザが識別されない場合に、自機の使用のロックを設定する請求項5に記載のユーザ識別装置。
<請求項7>
報知部を備え、
前記ユーザ識別部は、再度前記ユーザが識別されない場合に、前記報知部にユーザが識別されなくなった旨を報知させる請求項5又は6に記載のユーザ識別装置。
<請求項8>
コンピュータを、
タッチ入力の物体によるタッチ入力を受け付けるタッチパネルへのタッチ入力の情報に応じて、前記タッチパネルの平面上の複数のタップのタップ間距離と、複数のタップのタップ間時間間隔と、前記タッチパネルからの前記タッチ入力の物体の距離と、の少なくとも一つを特徴情報として取得する特徴情報取得部、
前記特徴情報取得部により取得された特徴情報の分布パターンが、ユーザ毎の特徴情報を記憶する記憶部に記憶されている特徴情報の分布パターンと同じであるユーザがあるか否かを判別し、該当するユーザがある場合に、当該ユーザを識別するユーザ識別部、
として機能させるためのプログラム。