(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5782802
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】冷媒循環装置及びサーモバルブ
(51)【国際特許分類】
F01P 7/14 20060101AFI20150907BHJP
F16K 31/68 20060101ALI20150907BHJP
F01P 7/16 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
F01P7/14 J
F16K31/68 Q
F01P7/16 502A
F01P7/16 502B
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-92975(P2011-92975)
(22)【出願日】2011年4月19日
(65)【公開番号】特開2012-225238(P2012-225238A)
(43)【公開日】2012年11月15日
【審査請求日】2014年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】橋本 浩司
【審査官】
川口 真一
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭63−063529(JP,U)
【文献】
特開昭63−111216(JP,A)
【文献】
実開昭60−121598(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 7/14
F01P 7/16
F16K 31/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源を経由させて冷媒を循環させるポンプと、
循環される冷媒を冷却する熱交換器と、
前記熱交換器に対して並列に配置されたバイパス路と、
冷媒の温度に応じて冷媒を前記熱交換器と前記バイパス路のいずれかに切り替えて導くサーモバルブであって、冷媒が流入する入口室と、高温の冷媒を前記熱交換器に導くための高温出口室と、低温の冷媒を前記バイパス路に導くための低温出口室と、これら入口室、高温出口室、低温出口室に連通する弁室と、前記弁室内に冷媒温度に応じて移動可能に収容され、高温時には前記低温出口室を遮断し、低温時には前記高温出口室を遮断する弁体と、前記弁室の前記弁体に遮断されない箇所に前記低温出口室に通じる漏出孔とを備えたサーモバルブと、
前記サーモバルブに形成された前記漏出孔からなり、前記サーモバルブが前記熱交換器に切り替えているときでも、前記漏出孔を通じて冷媒の一部を前記低温出口室に漏出させる迂回手段を備えたことを特徴とする冷媒循環装置。
【請求項2】
熱源を経由させて冷媒を循環させるポンプと、
循環される冷媒を冷却する熱交換器と、
前記熱交換器に対して並列に配置されたバイパス路と、
冷媒の温度に応じて冷媒を前記熱交換器と前記バイパス路のいずれかに切り替えて導くサーモバルブであって、冷媒が流入する入口室と、高温の冷媒を前記熱交換器に導くための高温出口室と、低温の冷媒を前記バイパス路に導くための低温出口室と、これら入口室、高温出口室、低温出口室に連通する弁室と、前記弁室内に冷媒温度に応じて移動可能に収容され、高温時には前記低温出口室を遮断し、低温時には前記高温出口室を遮断する弁体と、前記弁体の前記低温出口室を遮断する箇所に前記弁室から前記低温出口室に通じる漏出孔とを備えたサーモバルブと、
前記サーモバルブに形成された前記漏出孔からなり、前記サーモバルブが前記熱交換器に切り替えているときでも、前記漏出孔を通じて冷媒の一部を前記低温出口室に漏出させる迂回手段を備えたことを特徴とする冷媒循環装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い放熱量と低い圧損が両立できる冷媒循環装置及びサーモバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
車両やその他のエンジン付き装置において、エンジンの冷却と潤滑に使用されて高温になったエンジンオイルは、オイルパンにて走行風や自然風、送風による空冷がなされた後、オイルクーラで冷却されて再びエンジンに供給される。
【0003】
図9に示されるように、エンジンオイルを循環させる冷媒循環装置91は、エンジン2を経由させてエンジンオイルを循環させるオイルポンプ3と、循環されるエンジンオイルを冷却するオイルクーラ4と、オイルクーラ4に対して並列に配置されたバイパス路5と、エンジンオイルの温度に応じてエンジンオイルをオイルクーラ4とバイパス路5のいずれかに切り替えて導くオイルサーモバルブ92とを備える。
【0004】
図9に示されるように、エンジン2の冷間始動時や暖機運転時など、エンジンオイルの温度が低いときには、オイルポンプ3から圧送されたエンジンオイルがオイルサーモバルブ92の低温出口cからバイパス路5に導かれてそのままエンジン2に供給される。
【0005】
図10に示されるように、エンジン2の暖機達成後の継続運転時や再始動時など、エンジンオイルの温度が高いときには、オイルポンプ3から圧送されたエンジンオイルがオイルサーモバルブ92の高温出口bからオイルクーラ4に導かれ、オイルクーラ4で冷却されたエンジンオイルがエンジン2に供給される。
【0006】
図11に示されるように、オイルサーモバルブ92は、エンジンオイルが流入する入口室31と、高温のエンジンオイルを外部に排出するための高温出口室32と、低温のエンジンオイルを外部に排出するための低温出口室33と、これら入口室31、高温出口室32、低温出口室33に連通する弁室34と、弁室34内にエンジンオイルの温度に応じて移動可能に収容され、高温時には低温出口室33を遮断し、低温時には高温出口室32を遮断する弁体35とを備える。
【0007】
弁体35は、高温時に弁室34に対して低温出口室33を遮断しているときは高温出口室32を開放し、低温時に弁室34に対して高温出口室32を遮断しているときは低温出口室33を開放するように構成されている。具体的には、弁体35は、図示しないワックス材に支持されている。ワックス材の融点がオイルサーモバルブ92の切替温度に相当する。
【0008】
図11に示されるように、エンジンオイルの温度が低いとき、ワックス材が固相であるため弁体35がワックス材に押し出されることなく、弁体35が弁室34の高温出口室側壁面に着座し、高温出口室32の遮断と低温出口室33の開放が達成される。
【0009】
図12に示されるように、エンジンオイルの温度が高いとき、ワックス材が液相となって体積増加するため、ワックス材に押されて弁体35が弁室34の低温出口室側壁面に着座するまで移動し、高温出口室32の開放と低温出口室33の遮断が達成される。
【0010】
入口室31は、
図9、
図10に示した入口aに繋がっており、高温出口室32は、高温出口bに繋がっており、低温出口室33は、低温出口cに繋がっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特願2007−333068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
冷媒循環装置91では、エンジンオイルの循環量が多くなると、放熱量が増加し、冷却性能が向上する。
【0013】
しかしながら、オイルクーラ4は、エンジンオイルと二次冷媒との熱交換効率が向上するよう、細径の通路が多数形成された構造を有する。この構造のため、オイルクーラ4は、エンジンオイルの流動に対する抵抗が大きい。したがって、オイルポンプ3によるエンジンオイルの圧送仕事に対してオイルクーラ4で圧損が生じ、圧損は燃費に影響する。オイルクーラ4に流れるエンジンオイルの流量が多いほど、圧損は大きく、燃費が悪化する。
【0014】
このため、従来の冷媒循環装置91は、オイルクーラ4における放熱量の増加と圧損の抑制という相反する要求が同時に満たされない。
【0015】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、高い放熱量と低い圧損が両立できる冷媒循環装置及びサーモバルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明の冷媒循環装置は、熱源を経由させて冷媒を循環させるポンプと、循環される冷媒を冷却する熱交換器と、前記熱交換器に対して並列に配置されたバイパス路と、冷媒の温度に応じて冷媒を前記熱交換器と前記バイパス路のいずれかに切り替えて導くサーモバルブとを備えた冷媒循環装置において、前記サーモバルブが前記熱交換器に切り替えているときでも、冷媒の一部について前記熱交換器を迂回させる迂回手段を備えたものである。
【0017】
また、本発明のサーモバルブは、冷媒が流入する入口室と、高温の冷媒を外部に排出するための高温出口室と、低温の冷媒を外部に排出するための低温出口室と、これら入口室、高温出口室、低温出口室に連通する弁室と、前記弁室内に冷媒温度に応じて移動可能に収容され、高温時には前記低温出口室を遮断し、低温時には前記高温出口室を遮断する弁体とを備えたサーモバルブにおいて、前記弁室の前記弁体に遮断されない箇所に前記低温出口室に通じる漏出孔を備えたものである。
【0018】
また、本発明のサーモバルブは、冷媒が流入する入口室と、高温の冷媒を外部に排出するための高温出口室と、低温の冷媒を外部に排出するための低温出口室と、これら入口室、高温出口室、低温出口室に連通する弁室と、前記弁室内に冷媒温度に応じて移動可能に収容され、高温時には前記低温出口室を遮断し、低温時には前記高温出口室を遮断する弁体とを備えたサーモバルブにおいて、前記弁体の前記低温出口室を遮断する箇所に前記弁室から前記低温出口室に通じる漏出孔を備えたものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0020】
(1)高い放熱量と低い圧損が両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態を示す冷媒循環装置の高温時の構成図である。
【
図2】
図1の冷媒循環装置の低温時の構成図である。
【
図3】本発明の一実施形態を示すサーモバルブの高温時の構成図である。
【
図4】
図3のサーモバルブの低温時の構成図である。
【
図5】オイルクーラにおける流量対放熱量特性図である。
【
図6】オイルクーラにおける流量対圧損特性図である。
【
図7】(a)、(b)は、本発明の他の実施形態を示すサーモバルブの構成図である。
【
図8】本発明の他の実施形態を示す冷媒循環装置の構成図である。
【
図9】従来の冷媒循環装置の低温時の構成図である。
【
図10】従来の冷媒循環装置の高温時の構成図である。
【
図11】従来のサーモバルブの低温時の構成図である。
【
図12】従来のサーモバルブの高温時の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0023】
図1に示されるように、本発明に係る冷媒循環装置1は、熱源(以下、エンジン)2の下部に設置されエンジン2から排出されたエンジンオイルが貯留されるオイルパン8と、オイルパン8からエンジンオイルを汲み上げて圧送することにより、エンジン2を経由させて冷媒(以下、エンジンオイル)を循環させるポンプ(以下、オイルポンプ)3と、循環されるエンジンオイルを冷却する熱交換器(以下、オイルクーラ)4と、オイルクーラ4に対して並列に配置されたバイパス路5と、エンジンオイルの温度に応じてエンジンオイルをオイルクーラ4とバイパス路5のいずれかに切り替えて導くサーモバルブ(以下、オイルサーモバルブ)6と、オイルサーモバルブ6がオイルクーラ4に切り替えているときでも、エンジンオイルの一部についてオイルクーラ4を迂回させる迂回手段7とを備える。
【0024】
オイルサーモバルブ6には1つの入口aがあり、入口aはオイルポンプ3の出口に接続される。オイルサーモバルブ6には、高温出口bと低温出口cとがあり、高温出口bはオイルクーラ4に接続され、低温出口cはバイパス路5に接続される。
【0025】
オイルクーラ4は、オイルサーモバルブ6の高温出口bとエンジン2との間に設置されており、エンジンオイルを冷却してエンジン2に供給するようになっている。バイパス路5は、オイルサーモバルブ6の低温出口cとエンジン2との間に設置されており、エンジンオイルを冷却することなくエンジン2に供給するようになっている。
【0026】
本発明の冷媒循環装置1は、従来の冷媒循環装置91に迂回手段7が付加されたものである。本実施形態では、迂回手段7は、オイルサーモバルブ6に組み込まれる。
【0027】
図1に示されるように、エンジンオイルの温度が高いときには、オイルポンプ3から圧送されたエンジンオイルがオイルサーモバルブ6の高温出口bからオイルクーラ4に導かれる。このとき、迂回手段7がエンジンオイルの一部について低温出口cからバイパス路5に流出させる。このように、オイルサーモバルブ6が高温時の状態に切り替わったことによって、エンジンオイルの大部分はオイルクーラ4を経由してエンジン2に供給されるが、エンジンオイルの一部は、オイルクーラ4を迂回してエンジン2に供給される。
【0028】
図2に示されるように、エンジンオイルの温度が低いときには、オイルポンプ3から圧送されたエンジンオイルがオイルサーモバルブ6の低温出口cからバイパス路5に導かれる。これにより、エンジンオイルは冷却されることなくエンジン2に供給される。
【0029】
図3に示されるように、オイルサーモバルブ6は、エンジンオイルが流入する入口室31と、高温のエンジンオイルを外部に排出するための高温出口室32と、低温のエンジンオイルを外部に排出するための低温出口室33と、これら入口室31、高温出口室32、低温出口室33に連通する弁室34と、弁室34内にエンジンオイルの温度に応じて移動可能に収容され、高温時には低温出口室33を遮断し、低温時には高温出口室32を遮断する弁体35とを備え、さらに、弁室34の弁体35に遮断されない箇所に低温出口室33に通じる漏出孔36を備える。
【0030】
オイルサーモバルブ6は、従来のオイルサーモバルブ92に迂回手段7としての漏出孔36が付加されたものである。
【0031】
図3に示されるように、エンジンオイルの温度が高いとき、弁体35が弁室34の低温出口室側壁面に着座し、高温出口室32の開放と低温出口室33の遮断が達成される。よって、エンジンオイルは、
図1で説明したように、高温出口bからオイルクーラ4に導かれることになる。しかし、漏出孔36が弁体35に遮断されない箇所にあるため、漏出孔36からエンジンオイルが低温出口室33に漏出する。漏出したエンジンオイルが低温出口cからバイパス路5に流出することになる。
【0032】
図4に示されるように、エンジンオイルの温度が低いとき、弁体35が弁室34の高温出口室側壁面に着座するまで移動し、高温出口室32の遮断と低温出口室33の開放が達成される。よって、エンジンオイルは、
図2で説明したように、低温出口cからバイパス路5に導かれることになる。
【0033】
次に、エンジンオイルの一部がオイルクーラ4を迂回する効果について説明する。
【0034】
図5に示されるように、オイルクーラ4においては、エンジンオイルの流量が少ないときには放熱量が少なく、エンジンオイルの流量が多くなると放熱量が増加する。したがって、放熱量の増加要求に対しては流量増加で応ずることができる。しかし、流量対放熱量特性は、直線的ではなく、流量が多くなるにつれて放熱量が飽和する傾向にある。このため、ある程度、流量が多くなると放熱量の顕著な増加は期待できない。
【0035】
図6に示されるように、オイルクーラ4においては、エンジンオイルの流量が少ないときには圧損が少なく、エンジンオイルの流量が多くなると圧損が増加する。流量対圧損特性は、流量対放熱量特性とは対照的に、流量が多くなるにつれて圧損が発散する傾向にある。このため、ある程度、流量が多くなると圧損が急増加してしまう。
【0036】
本発明によれば、エンジンオイルの一部がオイルクーラ4を迂回するので、オイルクーラ4におけるエンジンオイルの流量が減少する。ここで、オイルポンプ3における圧送流量(=冷媒循環装置1の全体の循環流量)を一定として本発明と従来技術を比較すると、
図5に示されるように、オイルクーラ4における流量は、従来の流量A1に対して本発明では迂回されただけ流量が減じられて流量A2となる。これによる放熱量の減少はごく僅かである。一方、
図6に示されるように、流量が流量A1から流量A2に減少することで、圧損が顕著に減少する。
【0037】
このとき、迂回されるエンジンオイルの流量が多すぎると、放熱量の減少が大きくなり、好ましくない。逆に、迂回されるエンジンオイルの流量が少なすぎると、圧損の減少効果が小さい。したがって、迂回されるエンジンオイルの流量には最適な値がある。迂回されるエンジンオイルの流量は、実験に基づいて最適値に設定されるのが望ましい。また、迂回手段7において迂回されるエンジンオイルの流量がチューニング可能であるよう迂回手段7が構成されると、いっそう望ましい。
【0038】
この結果、オイルクーラ4における放熱量の増加と圧損の抑制のトレードオフによる最適なエンジンオイルの循環が達成され、高い放熱量と低い圧損が両立できる。一方、オイルポンプ3における圧送流量には変化がないので、冷媒循環装置1の全体でのエンジンオイルの循環流量には影響が及ぶことなく、オイルパン8での冷却効果は維持される。
【0039】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。
【0040】
図7(a)に示されるように、オイルサーモバルブ71では、弁室34から低温出口室33に通じる漏出孔36が弁体35の低温出口室33を遮断する箇所に形成される。漏出孔36は、弁室34の低温出口室側壁に接する弁体35の縁部分に切り欠かれた溝であってもよい。オイルサーモバルブ71を構成する他の部材は、オイルサーモバルブ6の部材と同じであり、オイルサーモバルブ71の動作はオイルサーモバルブ6の動作と同等であるので、説明は省略する。
【0041】
図7(b)に示されるように、漏出孔36は、弁体35が着座する弁室34の低温出口室側壁面に掘られた溝であってもよい。
【0042】
図8に示されるように、冷媒循環装置81では、迂回手段7がオイルサーモバルブ92の外に配置される。迂回手段7は、副バイパス路82または副バイパス路83で実現される。
【0043】
一点鎖線で示された副バイパス路82は、オイルクーラ4の入口出口間を繋ぐように設けられる。このように、オイルクーラ4の入口出口間を繋ぐ副バイパス路82が設けられることにより、オイルサーモバルブ92の切り替えによらず、エンジンオイルの一部がオイルクーラ4を迂回してエンジン2に供給されるようになる。
【0044】
二点鎖線で示された副バイパス路83は、オイルポンプ3からオイルサーモバルブ92とオイルクーラ4を迂回してエンジン2に至るように設けられる。このように、オイルポンプ3から直接、エンジン2に至る副バイパス路83が設けられることにより、オイルサーモバルブ92の切り替えによらず、エンジンオイルの一部がオイルクーラ4を迂回してエンジン2に供給されるようになる。
【0045】
図8の実施形態と
図1の実施形態を比較すると、
図1のように迂回手段7がオイルサーモバルブ6に組み込まれる構成にあっては、エンジン周辺への部材追加がなく、搭載スペースが制約されないという利点がある。さらに、迂回手段7としてオイルサーモバルブ6内に漏出孔36が形成される場合、前述の利点に加え、既存部品の追加工や簡単な設計変更で実現され、コスト増加がほとんどないという利点がある。
【0046】
これまでは、エンジンオイルを循環させる冷媒循環装置1について述べたが、本発明は冷却水を循環させる冷媒循環装置やその他の冷媒を循環させる全ての冷媒循環装置に適用できる。熱源は、エンジンに限定されない。一例として、エンジン冷却水を循環させる冷媒循環装置は、従来公知のように、熱交換器としてラジエータを備え、サーモバルブとしてサーモスタットを備える。エンジン冷却水の温度が高いとき、サーモスタットはエンジン冷却水がラジエータに導かれるよう切り替わるが、迂回手段がエンジン冷却水の一部についてラジエータを迂回させるので、ラジエータにおける高い放熱量と低い圧損が両立できる。
【符号の説明】
【0047】
1 冷媒循環装置
2 エンジン(熱源)
3 オイルポンプ(ポンプ)
4 オイルクーラ(熱交換器)
5 バイパス路
6 オイルサーモバルブ(サーモバルブ)
7 迂回手段
31 入口室
32 高温出口室
33 低温出口室
34 弁室
35 弁体
36 漏出孔